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鏡と私

レス82 HIT数 13318 あ+ あ-

旅人
15/08/07 14:01(更新日時)

平凡な主婦のリコ。
年下の旦那様と、可愛いトイプードルのココ。
子供には恵めれなかったが、ココに癒されてる。
そして、リコには不思議な力を秘めている。
信じる友人は、数少ない。
今は、その友人だけでいいと思っている。

No.2231246 15/07/02 17:40(スレ作成日時)

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No.1 15/07/02 17:52
旅人0 

朝、
7時のアラームが鳴る。うん?6時58分か?
起きないとなぁ~。
次にセットしてあるアラームが鳴る。

はいはい、起きますよ。

今日も雨。
梅雨は苦手だ。

しばらく天井を見ている。

今日は、もう7月なんだ。。。。。

No.2 15/07/02 18:05
旅人 

よっこらしょ。。。。。

重い身体を起こして、ベッドから降りる。

まだ半分しか開いてない目をこすりながらカーテンを開ける。

雨、ホント嫌い。

コーヒーをセットして、イビキをかいている旦那様を起こす。

お、オバヨー。。。。
ふぁーぁ。。。。。。


旦那様は、あくびをしながらリコの横をすり抜けてベランダへ。
着替えを用意している間の、一服タイムの旦那様。

タバコって、美味しいの?
そんな風に旦那様を見ながら、コーヒーを入れる。

リコの旦那様は、朝食は食べない派。

朝の家事が減って嬉しい。なんて思っても言わない。

No.3 15/07/02 18:20
旅人 

ココも、朝のオシッコをすませ、抱っこをせがんできた。

ココ、おはよう。

赤ちゃんを抱くように、ココをそっと抱っこした。

ココの匂い。。。。
大好き。

そのままソファーに座り、テレビのスイッチを入れる。

旦那様は自分のペースで仕事の支度をするので、あえて何時だよ。なんて言わない。

ほら、
いつの間にか洗面所にいるから。。。。

No.4 15/07/02 18:29
旅人 

コーヒー、ありがとう。

毎日の挨拶みたいな会話。

今日も雨?

そう、雨。。。。。

コーヒーを飲み干して、キッチンに置いてくれる。

同時に、リコもココを抱きながら、ソファーから立つ。

いってらっしゃい。

行ってきます 。。。。

チュっと軽くキスをする。

ココ、行ってくるね。チュッ。。。。。

玄関が静かに閉まる。



これがリコの月曜日から金曜日の風景。。。。


どこにでもある、日常。

No.5 15/07/02 18:48
旅人 

2人分の洗濯物しかないけど、リコは毎日洗濯機をまわす。

ココ、ちょっと降りてね。

ココは降りたとたん、ソファーに飛び乗りクッションの中に埋もれた。。。。。

洗濯機がある場所は、玄関を通らないといけない。
リコの家の玄関には、バリ島で作った鏡が立て掛けてある。

旦那様が風水に興味があり、独身時代から持っていた鏡らしい。

木彫りの枠に鏡が入っている。。。。。

立て掛けてある場所も、風水を調べて良い場所に置いてある。

ただ・・・・

風呂場の大きな鏡と、合わせ鏡になる。。。。。

リコは、それがとても気になり簾にようなカーテンを掛けている。

No.6 15/07/02 19:02
旅人 

洗濯機をまわして、旦那様のコーヒーカップを洗う。

キッチン回りをふきながら、蛇口の後ろにある小窓から外を見た。。。。。

雨、昔は好きだったかも。

ミニカーのような車が行き交うのを見て、ふっとそう思った。。。。。

No.7 15/07/02 20:49
旅人 

リコの家は、中古マンションの10階。

3年前に、旦那様の実家の近くに見つけた。
ココがいるため、ペット可の条件が付く。

いくつか見て回ったが、今のマンションが一番良かった。

旦那様の両親には、娘のように可愛がってもらっていたので、実家が近くでも問題なかった。

それに、
いくつか見たマンションの中で、部屋に入る前に立ちすくんだマンションがあった。
このマンションは見ない。と言って不動産屋に断ったところもある。

あとになって、引っ越さなくて良かったね。。。。。

言う事が起きた。

No.8 15/07/02 20:57
旅人 

DUSKINのモップをかけながら、洗濯が終わるまでテレビを見ていた。

話題は、梅雨の過ごし方。。。。。

バイ菌、カビ、ダニ。

ココがいるから、我が家はタイヘンだわ。
なんて、テレビに向かって話していた。

モップの次は、鏡を必ずふく。

洗面所、そして玄関の鏡。。。。。

No.9 15/07/03 07:52
旅人 


ホント、重い鏡。。。。
これって、プルメリアの花が彫ってあったんだ。

リコはそう呟いて、指先でなぞって見た。
不思議な感触。

ワン、ワン!

ソファーで寝ていたココが、側にいて吠えている。

ヤダァ~、ココ。
いつ起きたの?

ココの頭を優しく撫でて、もう一度 鏡を見た。

ん?!

全体をキレイに拭いたはずが、下の方に白くくもりがある。。。。。

キュッ、キュッ。

何度 拭いても消えない。。。。。

No.10 15/07/03 08:30
旅人 

ワン、ワン!

ココがまた吠えた。
あまり吠える子じゃない。。。。。

かまってちゃん?なのぉ~?
わかった。
遊ぼ!

リコは鏡を拭いていた雑巾を洗い、いつもの場所に干した。

足元でジャンプするココを抱っこして、ココのオヤツが入ってる戸棚を開けた。

嬉しくて暴れるココ。

ほら、あげるから落ちるよ。危ないから。。。。。

ソファーに座り、ココにオヤツをあげる。

テレビの放送内容は、芸能ニュースだった。
ふーん、芸能人ってタイヘン。。。。。

リコは、テレビがあまり好きじゃない。。。。。
テレビと言うよりラジオみたいなもの。
食い入るように見た事がない。

それより
邪気なココを見ていると、自然と笑顔になる。

♪~♪~♪~

携帯電話が鳴った。。。。。

No.11 15/07/03 13:08
旅人 

オヤツと格闘しているココを見ながら、携帯を取りに行った。

義母の名前が画面に出ていた。

もしもし?お義母さん、こんにちは。雨ばかりでヤダねぇ。

リコちゃん、こんにちは。本当に嫌ね、今年は雨、多いのかしら。

義母が電話をしてくる時は、義父の愚痴か食べ物の話、内容はともかく誰かと話したいんだと思う。
リコは義母に合わせて、話を聞いていた。

リコちゃん。
そう言えば、〇〇マンション見に行ったじゃない?

えっと・・・・。
私が部屋は見ないって言ったマンション?

そう、そう。

義母の声のトーンが変わった。

どうかした?

それがね、あそこに決めなくて良かったわよ。

えっ?

住人トラブルがあったみたい。

・・・・・・・・

義母の話だと。
ペット可なのに、動物すべてが嫌いな人が住んでいて、ことあるごとに嫌がらせをしてたそうだ。

No.12 15/07/03 13:15
旅人 

>10
邪気ではなく、
無邪気の間違いです。

スミマセン

No.13 15/07/03 20:35
旅人 

嫌がらせねぇ。
リコは独り言のように呟いた。

義母が言いにくそうに言った。。。。。

長生きしないみたい。

ん?なに?

あっ、別に。良いわ。またね、電話するわ。

ガチャッ・・・。

義母が先に電話を切ったのは初めてだった。

通話が終わって、ココの待ち受けに変わった携帯電話。
リコは、不思議そうに見つめているココと目が合った。
変なの。。。。ね、ココ。

ココは、またオヤツの残りを食べ始めた。

No.14 15/07/04 00:43
旅人 

夕方になり、雨上がりの夕焼けが出てきた。

ココ、散歩行こうか。。。。。

途中で雨が降ってきても大丈夫なように、ココ専用のバッグを肩から斜めにかけた。
傘も、持って行こうね。
お散歩バッグに携帯を入れて、家の鍵と小銭入れ。
これでOK!

ココは、嬉しくて玄関で待っている。

ココにハーネスを付けて、玄関を開けた。
道路は、まだぬれていたが、オレンジ色の空がキレイに広がっていた。

玄関に鍵をかけて、エレベーターに乗ってマンションの外に出た。

ピョンピョン跳ねるように歩くココ。
先に、先にとリードを引っ張る。

ココ、ちょっと待ってよ。。。。。
そんな言葉、ぜんぜん聞くわけがない。

ココ、今日の散歩コース 違うところに行こうか。
リコが行こうと思っていた場所は、義母と話していたマンションだった。

No.15 15/07/04 17:44
旅人 

自宅マンションから10分ぐらい歩いた場所。。。。

確か・・・・この辺りだよなぁ~。
茶系のような外壁のマンション。。。。

リコは、辺りを見回した。
ココも歩き疲れたようで、リコの近くでクンクン匂いをかいでいた。
いつもの散歩コースじゃないから、気になる匂いがするのだろう。

梅雨独特のムシムシした気温。
リコの身体じゅうに汗がじんわりしていた。

近くに自販機を見つけた。

ココ、お水飲もうよ。。。。。

自販機でミネラルウォーターを買って、ココのお水入れに注いだ。
美味しそうに飲むココ。

ココが飲み終わったのを見計らって、ペットボトルに残っている分を飲み干した。

No.16 15/07/04 18:06
旅人 

道、間違えたかな。。。。。

疲れているココをバッグに入れて、ペットボトルを捨てようとゴミ箱に向かった。

キキキィー!!

錆びた自転車が、出すような音のブレーキが響いた。


とっさに、目をつぶってココのバッグを庇った。。。。。
ぶつかる。。。。

自転車は、リコの手前で止まった。
止まったと言うより、ハンドルが左に傾いてよろけた感じだった。

ごめ・・・
ごめんなさいを言いかけたとたん、

あぶねぇなぁー!!の大きな声に消された。

自転車の相手は、
年金で、生活してそうな年齢層。
身だしなみも、正直言って、汚い。。。。。
鼻の良いリコには耐えられない体臭。

かかわらないほうが良い。

ホントにごめんなさい。。。。。
頭を下げて謝った。

No.17 15/07/04 18:39
旅人 

自転車の中年が、ジリジリとリコの側に来た。

う、うわっ。
キモい。

謝ったんだし、逃げよう。

リコは、中年男から目を反らし、捨てようと思ったペットボトルを握りしめていた。
何かあったら、ペットボトルを相手にぶつけて逃げればいい。

その時、
バッグの中で大人しくしていたココが、唸りはじめた。
今にもバッグから飛び出る勢いのココ。

けっ、犬がバッグに入ったいるなんてぜいたくな犬だな。

中年男の目線は、ココに変わった。




〇〇さん、何してるの?
中年男の知り合いらしい女性が、声をかけてきた。

No.18 15/07/04 19:13
旅人 

はりつめていたリコの緊張が、女性のおかげでときほぐれていった。

中年男は、怪訝そうに声をかけてきた女性を見た。

うるせーな、なんでもねーよ。

そう言って、錆びた自転車に乗り、リコを横目で睨み通りすぎて行った。

リコの手に握っているペットボトルが、コロンと落ちた。。。。。
指には、ペットボトルのフタのあとが付いている。

大丈夫?何かされた?

女性は、リコが落としたペットボトルを拾い、ゴミ箱に捨ててくれた。

あ、
ありがとうございました。大丈夫です。

リコは、自分の顔がひきつっていると思ったが、精一杯の笑顔でお礼を言った。

あら、あら、可愛い子ちゃんがいたのね。

女性は、バッグの中のココを見てニッコリ笑った。

今まで唸り続けいたココも、いつの間にか、甘えん坊のココに戻っていた。

No.19 15/07/04 19:54
旅人 

主です。

読んでいただき、ありがとうございます。

なにぶんド素人なので、読みずらいと思いますが宜しくお願い致します。

中年が、途中で 中年男に変わりました。

重々、スミマセン。。。。。

No.20 15/07/04 22:17
旅人 

あなた、この辺の人?

女性は、ココを優しく撫でながら聞いてきた。

いえ、近くの☆☆です。

そう、
この辺はさっきの人が多いから気を付けてね。
バイバイ、可愛い子ちゃん。

そう言って、女性は中年男と同じ方向に歩いて行った。

早く帰ろう、ココ。

ココはバッグから出さずに、そのまま自宅に帰った。。。。。

No.21 15/07/04 22:44
旅人 

自宅に着いて、ココの足を拭いた。

今日は怖かったね、ゴメンねココ。

ココは、何事もなかったかのようにソファーに飛び乗り、クッションの中に埋もれた。
安心出来る場所らしい。

リコはバッグを棚にかけ、汗だらけの洋服を脱いで部屋着に着替えた。

洗濯機に洋服放り込み、洗面所で顔を洗った。
冷たい水が、リコの心のモヤモヤを少し洗い流してくれた。

タオルで顔をふきながら、フッと玄関の鏡が目に入った。

あっ


白くくもってるのが、広がってる。。。。。

No.22 15/07/05 19:16
旅人 

う~ん、もうヤダ。

今日は、これ以上何も考えたくない。
リコは、タオルも洗濯機に入れて晩ごはんの用意を始めた。

いつもならキッチンに立つと、おこぼれをもらいにくるココも疲れたようで、ぐっすり眠っている。



♪~♪~♪

旦那様の帰るコールが鳴った。
会社から自宅まで40分ぐらい。

帰って来たら、今日の事 聞いてもらおう。。。。。

お味噌汁の味をみながら、考えていた。



ただいまぁ~。

おおかえりなさい。
寝ていたココが、旦那様に飛びついた。

おぉ~ココちゃん、良い子にしていたかぁ~。
ペロペロ、ココのお帰りキス。

旦那様は、ココを子供のように扱う。。。。。

いつもの微笑ましい光景だった。
だから、
今日の出来事を話すか迷い始めた。

No.23 15/07/05 19:49
旅人 

いつもと同じように、たわいのない話をしながらご飯を食べた。
会社の話、通勤途中の話、時々、ココが邪魔をしてくる。

ごちそうさま

旦那様は、ココを抱っこしながらソファーに座った。

リコは洗い物をしながら考えた。

No.24 15/07/06 11:23
旅人 

お茶入れようか。

ソファーに座って、ココと遊んでいる旦那様に声をかけた。

うん、そうだね。

旦那様はココを抱き上げて、テーブルに座った。

リコもテーブルに座り、マグカップを両手で包み
あのね。。。。。
一言言って、カップの中でゆらゆら揺れてるお茶を見て何から話そうか考えていた。

ん?
どうした?

旦那様の返事は、軽い感じがした。

大丈夫かな。

リコは今日の出来事を話始めた。

時折、ココとじゃれたり、返事をしなかったり、聞いてるんだか聞いてないんだか。。。。。
とにかく、話せば楽になると思い、一気に話た。

助けてもらった女性に会えるといいな。
キチンとお礼しないと、多分、近所の人だろうから。

そうだね。

そう、
彼女が声をかけてくれたから助かったんだ。。。。。

No.25 15/07/06 12:04
旅人 

旦那様に話から、気持ちがだいぶ楽になった。

でも地元の旦那様は、あの場所は危ない人が多いと言わなかった。
そもそも、そんな付近でマンションなんか探すだろうか。
やっぱり、違うところだったのかな。ぜんぜん違う場所に向かったのかな。そんな方向音痴じゃないよ、私。

リコ、どうした?

旦那様の声で、ハッと我に返った。

気になるなら、一緒に行こう。
リコとココだけじゃ・・・な。

そう言って、ココの頭を撫でて
リコとココを見て、旦那様はプッと笑った。

やな感じ。

リコは口を尖らせて、お風呂の用意をする事にした。

お湯の温度をセットして、自動ボタンを押す。
ジョ、ジョ、ジョー。。。。
お湯がたまっていく。

お風呂場から出て、玄関の鏡が目に入った。。。。。

えっ?

白くくもっている部分が半分に広がっていた。。。。。

爪でカリカリ、人差し指でごしごし。

鏡の表面じゃない。。。。。
鏡の中がくもっているんだ。。。。。
何で?

No.26 15/07/06 17:54
旅人 

ねぇ。
ねぇ、来て!

リコの大きな声に旦那様が驚いて来た。

びっくりするじゃないか、何だよ。

旦那様は、ココを降ろしてリコの側に来た。

これ、白くなってるの。

リコが指を指してる鏡の場所を、旦那様が覗いた。

汚れじゃないなぁ~、湿気かもな。
ほら、
お風呂場の湯気と、玄関の開閉の温度差でくもったか、なんかだなぁ~。

なんかだなって、なに?

わかんないよ。

ふざけてる?

ふざけてないよ。
お風呂入ろう~♪

旦那様は、霊感とか霊的なものを見たことがないから、興味津々なところがある。
リコと付き合っている時にも、リコの体験した話を心配そうな感じより、子供がワクワクする感じで聞いていた。

ちょっとムカついたから、腕組をしていたリコ。

足元には、甘えん坊のココが旦那様が入っているお風呂場を見ていた。


ホントに、甘ったれチャンと能天気クン。

1人で、プンプンしていても仕方がない。
ココを抱き上げて、テーブルに置いてある飲みかけのカップをキッチンに置き、ソファーにドスンと座った。

ソファーの バネで、揺れるのが好きなココ。
何回か遊んでいるうちに、旦那様が言ってた温度差と湿気かもなぁ~。
と思うようになった。
今日は、もう寝よう。。。。。
なんだか、とっても疲れてきた。

お風呂場では、シャワーの音と鼻歌が聞こえてきた。

No.27 15/07/06 18:21
旅人 

旦那様がお風呂から、出てきた。
タオルで、ガシガシ頭を拭きながら冷蔵庫を開けた。

いつもの事。。。。

350の缶ビールを取り出して、美味しそうに飲んでる。

旦那様は晩酌はしない。
缶ビールをお風呂上がりに飲んでおしまい。

リコは煙草も、お酒も飲まない。

缶ビールを持って、ソファーに座った旦那様めがけてココが飛び乗った。

私も、お風呂入るね。。。。。

少し眠くなってきた。
今日は、早く寝よう。。。。。

着替えを持って、お風呂場に行った。

No.28 15/07/06 23:52
旅人 

お風呂にゆっくり浸かった。
疲れが一気に取れていくようだった。

リコは、
ブクブクと湯船に顔を半分沈めた。



お風呂から出ると、旦那様はココとうたた寝をしていた。

ほら、ベッドで寝ないと。

旦那様をそっと起こして、ベッドに促した。

おやすみぃ~。

グーグー。

旦那様は、寝付きが早い。。。。。

ココも、旦那様の枕に顔を付けて寝ている。


テレビのチャンネルをいくつか変えてみた。

どこも同じような番組だった。

私も、寝よう。。。。

ガスのスイッチを消して、玄関の戸締まりの確認をして、電気を消して、
リコもベッドに入った。

No.29 15/07/07 21:36
旅人 

いつもの朝。

変わらない朝。。。。

そして今日も雨。。。。

ココは、今日もご機嫌。
1人でオモチャのボールを転がしている。

旦那様を見送って、ソファーに座ったリコに遊ぼうとボールを持ってくる。

♪~♪~♪


リコの携帯が鳴った。

朝から誰?

着信は、義母だった。

もしもし、義母さん。おはようございます。

もしもし、リコちゃんおはよう。朝早くからゴメンなさいね。

いえ、大丈夫ですよ。どうかしました?

私のお友達が、教室に入りたいって連絡がきたの。良いかしら。



リコは、花のアレンジメントの講師として、区の文化センターで簡単なアレンジメントを教えている。


えっと・・・・。

リコは、手帳を広げて月のスケジュールを確認した。

次回の教室は、明日の火曜日ですが大丈夫ですか?

明日ね。大丈夫よ、喜ぶわぁ。ありがとう。

いえ、いえ。宜しくお願いします。

こちらこそ、ありがとうね。じゃあ、明日。

リコは携帯を充電器に差し込んで、手帳に人数を書き直した。

あっお花屋さんに、確認の電話しなきゃ。

今日は、忙しい日になりそうだ。。。。。

No.30 15/07/07 21:53
旅人 

花材の準備、アレンジメントの確認、文化センターに連絡をして、教室の予約の確認。。。。

あっという間に、夕方になっていた。

リコが忙しくしているのを、ココはわかるようで、寝ている事が多い。

お腹空いた。。。。
もう4時か・・・。

お皿にシリアルをいれ、冷蔵庫から牛乳を取り出しをかけた。

物足りないけど、夕方だしね。
食べたら買い物行こう。

ココは、おこぼれを待っているかのようにテーブルの下にいる。

リコと目が合うと、ピョンピョン飛びはね、催促してきた。

No.31 15/07/07 22:33
旅人 

食べ終わったお皿をキッチンに置き、出かける準備をした。
ココは、嬉しくてリコの後に付いてくる。

ココ、雨だから留守番だよ。

そう言って、ココを抱き上げて玄関を開けた。

雨は小雨に変わっていた。

小雨でも、ココ濡れちゃうなぁ~。

すぐ帰って来るからね。

可愛そうだけど、仕方がない。
玄関前のリビングの扉に、ゲージを立て掛けてココが出ないようにした。

お留守番がわかるココは、ふてくされてソファーに飛び乗りクッションに埋もれた。

行ってきまぁ~す。

玄関の鍵をガチャッとかけた。。。。。

自転車でサクッと行こう。

マンションの1階に駐輪場がある。
扉を開けて自分の自転車を出し、買い物に向かった。

近くに24時間営業のスーパーがある。
お馴染みさんだ。

入り口に置いてある黄色いカゴを取り、野菜を選んでいた。



あら?!!

誰かに声をかけられた。

???

あ!!

この前、助けてくれた女性だった。

こんにちは。先日はありがとうございました。

良いのよ、それよりここで会うなんてビックリね。
もしかして、近所?

はい。
そこの通りのマンションです。

そうなのねぇ~。
可愛い子ちゃんは、お留守番?

はい。
雨だからお留守番です。

うふふ

ウフフ

じゃあ、また会えそうね。

はい。

またね。

はい。
失礼します。

リコは、軽く頭を下げた。

女性は買い物が終わったらしく、買い物袋を手に持ってスーパーから出て行った。

No.32 15/07/07 23:33
旅人 

リコも買い物をすませ、マンションに戻った。
自転車に鍵をかけ、ポストに郵便が入ってるか見た。
チラシと一緒に、電気代の請求書があった。

チラシはゴミ箱に捨てて、請求書を買い物袋の中に入れた。

ただいまぁ~。

ココは、相変わらず出てこない。

リビングの扉に立て掛けてあるゲージを取り外し、しまった。

その音にココが反応して、ソファーから降りてきた。

ココ、ただいま。
お留守番のご褒美で、オヤツ食べる?

買い物袋の中に首を突っ込み、クンクン匂いをかいでいたココ。
オヤツの言葉に、尻尾がブンブン。

ココ、この前 助けてくれた人に会ったんだよ。

ココは、そんな話よりオヤツ、オヤツと催促してる。

戸棚からココの大好きなオヤツを取り出した。

オヤツと格闘してるココ。

俗に言う、ガムと言うオヤツだ。
トイプードルでも、身体が小さいココは、ガムを1つ食べるのに数時間はかかる。
たまに飽きて、その辺に置いてある時もある。

リコは買い物袋から、冷蔵庫に入れるもの、すぐ使うものに分けていた。

あの女性、近所なのかなぁ~また会えそうねとか言ってたよな・・・。
まぁ、いいか。

旦那様が帰って来る時間になっちゃう。

手際よく、晩ごはんの用意を始めた。

No.33 15/07/08 00:27
旅人 

旦那様は、珍しく残業になると連絡があった。

リコは、明日の教室の用意を先にすませ、ココと一緒にご飯も先に食べた。

女性の話は、今日はやめようと思いながら自分の食べた食器を洗っていた。

ただいまぁ~。

お疲れの旦那様が帰って来た。
時計は、
もう23時を回っていた。

お茶漬けで、いいや。
ゴメンね。

うん、わかった。いいよ。

おかずにラップをかけて冷蔵庫に入れ、お茶漬けの用意をした。

明日、お花の教室だよね。
おばあちゃん達と、うちの母ちゃん相手だけど、頑張ってな。

うん、楽しいから大丈夫。ありがとう。

相変わらず、ココはテーブルの下で、おこぼれを待っていた。

No.34 15/07/08 01:03
旅人 

翌日、
教室のある日は、朝からバタバタと忙しくなる。

文化センターまでは歩いて数分。
わざわざ、車を出すほどでもない。

先にココを預けないと。

文化センターの事務員さんが、ココをみてくれる。
旦那様の同級生だから、教室の予約もすぐに取ってくれる。
リコにとって、唯一の友人でもある。

お茶菓子と一緒に、ココが入っているバッグを渡す。

いつもスミマセン。お世話になります。

いいってばぁ~。ココちゃん、おいでぇ~。

バッグに入ってたココは、ピョコンと頭を出し辺りを見回すと、ピョンとバッグから出た。

お教室の用意してきても、良いわよぉ~♪

事務員さんは、もうココに夢中。

はい、ではお願いします。

リコは、教室のテーブルの配置、簡単な掃除、アレンジメントの手順をホワイトボードに書いていた。

そのうち、お花屋さんも花材を運んでくれた。

今日のアレンジメントのメインは、真っ赤な薔薇だった。

この薔薇、すごい色合い。。。。
リコは、束になっている薔薇を1本手に取った。

あれ?トゲの処理は?

お花屋さんも眉をひそめ、考えていた。
そして大きく目を開いて

あ!!・・・・・スミマセン、もしかしてバイトの子が間違って・・・。

と言った。

いいですよ、時間ないし、トゲの処理一緒にして下さい。

もうすぐ、生徒さんが来る。

リコとお花屋さんは、1本1本丁寧にトゲを取っていった。

痛っ!

慌てたのか、リコの中指から血が滲んでいた。

No.35 15/07/08 01:36
旅人 

大丈夫ですか?

お花屋さんが、エプロンのポケットからバンドエイドを出し、リコの指にクルクルと巻いてくれた。

ありがとうございます。

いえ、ホントにスミマセン。

お花屋さんは、バンドエイドの紙をポケットにしまい、申し訳なさそうな顔をしていた。

素人みたいな事しちゃった、トゲで指を刺すなんてね。アハ。。。。

リコは、肩をすくめておどけてみせた。

お花屋さんも、笑顔になった。

私、まだまだだなぁ~。
トゲを取りながら、バンドエイドが巻いてある指をみて思った。

お疲れさまぁ~。

お疲れさまです。

二人で処理したので、なんとか間に合った。

次回からは、キチンと確認してからお持ちします。
ホントにスミマセン。

お花屋さんは、バンドエイドの束をテーブルに置いて、頭を下げて帰って行った。

いえ、ありがとうございました。

帰って行くお花屋さんに聞こえるようにお礼を言った。

指を見ると、バンドエイドから血が滲んでいる。

これじゃあ、生徒さんがビックリするわ。

お花屋さんが置いていってくれたバンドエイドを、使うことにした。



こんにちはぁ~。

ぞろぞろと生徒さんがやって来た。

こんにちはぁ~。

リコは、笑顔で生徒さんを迎えた。

No.36 15/07/08 01:47
旅人 

生徒さんが席に着く順番から、花材を置いていった。

10畳ぐらいの教室が、あっという間に賑やかになった。

こんにちは、リコちゃん。

花材を分けている時に、ポンと肩を叩いたのは義母だった。

あっ、義母さん、こんにちは。

リコちゃん、私のお友達の洋子さん。

あっ!!

えっ?!

あら!!?

義母のお友達は、私を助けてくれた女性だった。

ズキッ!

トゲが刺さった中指が、痛み出した。
でも、
顔に出せない。
後で、もう一度バンドエイドを変えよう。

義母は、得意気に私の事を友人の洋子さんに話ていた。

No.37 15/07/08 18:00
旅人 

今日は、薔薇を使ったアレンジメントを作りましょう。
基本の手順は、このようになります。

あらかじめ書いてあるホワイトボードを、見てもらった。

ざわざわ・・・・生徒さんみんなが作り始めた。

リコの教室は、ワンレッスン。

1回づつ内容を変えて、アレンジメントを教えている。

用事が入っていたり、体調が悪かったり、生徒さんの都合で人数もかわる。
年齢層も年配の方が多いが、親子で来たり、文化センターの募集で来たりまちまちだ。

義母と友人の洋子さんは、世間話をしながら楽しそうに作っている。

大人の生徒さんなので、付き添って教える事はない。

リコは、みんなの回りをゆっくり歩いて、たまに聞かれる事を教えたり、世間話をしたりしている。

義母のところに行くと、洋子さんは慣れた手つきでアレンジメントを作っている。

洋子さん、お花の先生なのよ。

えっ。そうなんですか?すごくセンスがあって、慣れていらっしゃるなぁと思っていたんです。

昔の話よ。それに、今は生け花って言うより、アレンジメントっていう斬新なデザインが好きなの。

あぁ、そう、ここ、どうしたら良いかしら?

洋子さんが、薔薇の向きを教えて欲しいと言った。

緊張するなぁ~生け花の先生でしょ~。。。。。
心の中でそうつぶやいて、
リコはバンドエイドの付いてる指を使わず、人差し指と親指、薬指で薔薇の向きをかえた。

こんな感じでどうですか?

さすが!!先生。感じが変わるわぁ~。

いえ、先生に先生なんて言われちゃうと・・・・。
隣にいた義母も慌てて

リコちゃん、私のもどう、見て見て。。。。

お義母さん、ここはもう少し、短くしたほうが良いですよ。

あら、リコちゃん。指、血が滲んでいるわよ。

義母に言われ、指を見るとバンドエイドが真っ赤になっていた。

No.38 15/07/08 20:19
旅人 

あっ、バンドエイド変えるの忘れた。

だ、大丈夫です、お義母さん。
さっき、薔薇のトゲの処理で、刺しちゃって。大したことないですよ。
バンドエイド、持ってますから。

リコは、そう言って義母の側から離れた。


たかがトゲぐらいで、こんなに出血するかなぁ。

お花屋さんからもらったバンドエイドを、1枚取り巻き変えた。


みんなさん、出来上がりそうですか?

生徒さんに、声をかけた。

聞きたい事がある方は、どうぞ。。。。




なにごともなくレッスンが終わり、教室の後片付けをしていた。

忘れ物はないし、大丈夫かな。

大きなゴミ袋を持って、教室出た。

ゴミ捨て場に寄りゴミを捨てようとしたら、扉が半分開いていて、誰かが立ち話をしていた。

洋子さん、久しぶりよね。

ホント、ホント、誰が連れて来たの?

カサッ。。。。。

リコの持っていたゴミ袋の音がしたとたん、話をやめた。

お疲れさまです。

お、お疲れさまです。

立ち話をしていた二人は、そそくさと消えた。。。。。

なんだろう、悪口?
やな人達。

リコは、悪口が嫌いだ。
悪口を言うなら、付き合いをやめるほうだ。

いろんな人がいるからねぇ~、私もいわれてるかも。

ゴミ捨て場の扉を閉めて、ココを迎えに行った。

No.39 15/07/08 21:24
旅人 

お世話になりましたぁ~。

事務所に行くと、リコを見つけたココは飛んで来た。

いつも、ありがとうございます。助かります。

足元でジャンプしていたココを抱き上げて、事務員さんにお礼を言った。

いいのよ~ココちゃん大人しいし、落ち着くとバッグに入ってくれるから、仕事出来るしねぇ~。

リコに抱っこされてるココの頭を、撫でてニッコリ笑う事務員さん。

あっ、そう言えば。。。。

事務員さんが何か言いかけた。

???首をかしげるリコ。

・・・・。
言葉を選ぶように話始めた。

洋子さん、 リコちゃんの教室に入ったでしょ。

はい、義母のお友達みたいです。

そっか。。。。

事務員さんの表情が曇った。

生徒さんとしてなら、大丈夫でしょ。

ココの頭にある手を離し、ニコリと笑った。

リコも、洋子さんと言う義母の友人に付いて、詮索する気は全くない。

じゃあ、帰ります。ありがとうございました。

帰るようすがわかったココは、バッグに大人しく入っていた。

No.40 15/07/08 21:48
旅人 

自宅に着いて、ココをバッグから出した。

ピョンと飛び出たココ。すぐにお気に入りの場所。
そう、ソファーに飛び乗りクッションに埋もれた。

ココも気を使っていることはわかる。

お疲れさま、ココ。いつもありがとうね。

ココに声をかけ、後片付けを始めた。

コトン。。。。。

玄関の方で音がした。

わんわん、わんわん!!
ココがものすごい勢いで、吠えながら玄関に走って行った。

誰か来た?

インターホンは、鳴らない。

リコの自宅マンションは、オートロックで管理人さんもいる。

ココ、大丈夫、大丈夫だから吠えないで。

ガチャッ。
玄関を開けた。。。。。
誰もいるはずがない。

ほらね、大丈夫でしょ。
もう~、ココの声でビックリするよ。

玄関に鍵をかけて、リビングに入ろうとした。。。。。

!!!!!

立て掛けてある鏡に、ヒビが入っていた。

No.41 15/07/08 22:58
旅人 

そして、
ココが吠えているのは、鏡だった。。。。。

どうして??
どうして、ヒビが入ってるの?

ココが唸り声をあげている。

ウ"ー。

ココ、大丈夫、大丈夫、ね、あっちに行こう。

リコは、ココを抱きしめ、リビングのドアを閉めた。

仕事中だけど、旦那様の携帯にメールを送った。

今日は早く帰って来て欲しい。。。。。

不安と胸騒ぎがしていた。

No.42 15/07/10 02:13
旅人 

不安と胸騒ぎ。。



それは、数年前の事。。。。

旦那様と知り合う数年前、
リコは、バリバリのキャリアウーマンだった。

アパレル業界で、販売員から店長、エリアマネージャーと、
トントン拍子に昇格して、毎日があっという間に過ぎていった。
もともと、好きで入った業界での仕事。
疲れて、倒れこむように寝る日も多かったが、若かったせいか、翌日は疲れが残る事はなかった。

そんなある日。。。。。
仲良くしていた子のお父さんが亡くなったと、連絡があった。
数日前に、その子からお父さんの病状を聞いて、励ましたばかりだった。
それだけに、あまりにも早い悲報にショックを受けた。

エリアマネージャーだったので、担当エリアからすぐに駆けつけたが、お通夜の時間には間に合わなかった。
でも、
心よく迎えてくれて、お父さんを紹介してくれた。
とても安らかなお顔をされていた。

リコが来た安心感で、その子は思いっきり泣いた。。。。。
喪主として、気が張り積めていたのだろう。
しばらく側にいてあげた。

葬儀場は、民間の葬儀場だった。

リコは、仕事の都合でお葬式には出席できない事を伝えた。

でも、忙しいのにかけつけてくれて、お父さんに会ってもらえただけで嬉しいです。
涙いっぱいな目で、言ってくれた。

そして、
葬儀場をから帰宅した。

その後、
リコの回りで、あり得ない事が次々と起こるようになった。

No.43 15/07/11 01:36
旅人 

当時、リコは一緒に住んでる彼氏がいた。
3DKの小綺麗なアパートの2階。
駅から離れている、静かな場所だった。

お通夜の後、玄関で彼に塩を降ってもらった。

彼が、手に付いた塩をはたきながら

たいへんだったね。


声をかけてくれた。

リコは洋服に付いた塩を、パッとはらい靴を脱いだ。

うん、とりあえず着替えるね。

部屋の1つを、ウォークインクローゼットのようにしてある。

引き出しから部屋着を出して着替え、今日着ていたのはクリーニングに出そうと思っていた。

彼も営業の仕事なので、ワイシャツをクリーニングに出すため、クリーニング専用のバスケットがあった。
そのバスケットの洋服を入れ、洗面所に行った。

なんでもできる彼だったので、テーブルにはある程度の食べ物が用意されていた。

食欲ないな。。。。。

ビーズクッションにもたれかかるように、座った。

晩酌する彼は、焼酎を呑みながらリコを見ていた。

何かつまみな。どうせ昼も食べてないんだろう。

ふだんから彼は、リコの事をよく見ている。。。。。

リコの好きな食べ物、飲み物、テレビ。。。。
今、考えればいたせりつくせりだった。

リコも、そんな彼にすっかり甘えていた。

今日は、もう寝ていい?
身体が、すごく疲れていた。

いいよ、おやすみ。

ありがとう、おやすみ。

隣の部屋に行き、ベッドに倒れるように寝た。



ふっと気が付くと、隣で彼も寝息をたてている。

何時だろう。

目覚まし時計を手に取ろうと思った。

???

部屋の入り口に人の気配を感じた。

寝ぼけているのかな。

隣で、寝ている彼を起こそうと思った。

ええっ!!!!

彼がいない。
その瞬間、金縛りと掛け布団がはがされた。

何が起こってるのか、今、私はどうなってるのか、声も出ない、身体も動かない。。。。。
初めて冷や汗というものを知った。。。。。

No.44 15/07/11 01:48
旅人 

これからどうなるの。。。。。

恐怖で、全身がより硬直した。

掛け布団がはがされた状態である。。。。。

誰かが近づいてきた気配がある。

ガシッ右足の足首をつかまれた。

動かないリコは、ほぼパニックになっていた。

怖い、怖い、怖い、ゴメンなさい、ゴメンなさい。。。。
無抵抗なリコは、泣きながら訴えるしかなかった。

恐怖のあまり、いつの間にか気を失っていた。

リコ!リコ!

誰かに呼ばれている。

目を開けると彼が、抱き起こしてくれてた。

どうしたんだよ、うなされてるし、汗びっしょりだよ。

心臓も飛び出るくらいドキドキで、汗も尋常じゃないぐらいの量だった。

No.45 15/07/11 02:06
旅人 

こんばんは。
主です。

このような話を、読んで下さる皆様に感謝いたします。

実は、
お葬式の話からは、実話です。

大袈裟に書いていません。

信じてもらえないかもしれません。

でも、
私が体験した事をこれから書こうと思います。

私自身、霊を呼んでしまう体質なので、更新が遅れるかもしれません。

良かったら、最後までお付き合い宜しくお願い致します。

No.46 15/07/15 12:15
旅人 

ねぇ、どこに行ってたの?

はぁ?どこにって、ずっと寝てたよ。
それより、どうした?ずっとうなされてるし、何度起こしても起きないし。
とりあえず、着替えた方がいいよ。

う、うん、そうする。

リコの身体は鉛のように重かった。
重い身体を動かして、着替える事にした。

水、飲むか?

彼がキッチンで用意してくれてるようだった。

う、うん、ありがとう。

パジャマに手を通しながら返事をした。
出かけるわけないよね、あんな時間に。。。。。
イビキかいて寝てたし。。。。。

自分の身に起きた事が、まだ理解出来てない。

着替えて、彼から冷たい水が入っているコップを受け取った。

ゴクッ。

生きた心地がする。この事を言うんだろうな。。。。。

大丈夫か?

心配そうな、彼。

何が起きたんだろう。。。。。

足首を捕まれてね。。。。。話ながら、彼に足首を見せた。

!!!!!

リコの足首が、
どこかにぶつけたかのように、真っ赤に腫れていた。

No.47 15/07/15 13:46
旅人 

驚いた彼は、キッチンの灯りつけた。

そして、リコも彼も言葉が出なかった。。。。。

俺が守ってやるから!
たぶんその時は、彼が精一杯の考えて出た言葉だと思う。

その日から、
リコは彼に腕枕をしてもらい、寄り沿って寝る事にした。





その後
数日間、なにも起こらなかった。

足首の赤みも取れて、リコも体験談ながらの話であの日の事を友人に話ていた。

なかには、
疲れてると筋肉が硬直するから、それを金縛りっていうみたいよ。
と素っ気なく言う友人もいて、リコの気持ちも少し楽になった。

疲れてるかなぁ~。

確かにエリアマネージャーとして、担当エリアを転々と回っている。
会議があれば、朝から会議室にこもりっぱなし。

担当営業がベテランの営業に変わった時に、少し有休を使うことが出来た。

いつ連絡があるかわからないので、遠くには出かけられないが、ゆっくりできる時間があるだけでも良かった。

彼もリコに気遣って、
朝は起きなくていいよ。
と言ってくれた。

彼が仕事に出た、玄関の閉まる音。
カーテンから薄日が差し込んでいる。
目覚ましを見ると8時だった。

もう少し寝てよう。

寝返りをした途端、人の気配を感じた。

ウソでしょ、怖い人は夜に出るもの。
私、寝ぼけている。

いいや、確かに人の気配がある。

リコは、布団を頭までかぶり、赤ちゃんのように身体を丸め目をギュッと閉じた。。。。。

あの日の恐怖がよみがえり、怖い、怖いと心の中で叫んだ。

No.48 15/07/16 00:46
旅人 

ベッドが置いてある部屋は、和室だった。
畳の上にベッドが置いてある。

ミシッ、ミシッ。。

畳のきしむ音。

確実にリコのベッドの方に向かって来ている。

絶対!目は開けない。。。。。

恐怖で身体が震えた、と同時にまた、金縛り。

動けない、お願いします。来ないで。。。。。
リコは泣きながらお願いしていた。

ギシッ。。。。。

ベッドに何者かが上ってきた。
掛け布団が沈む。
リコの身体を跨ぐように、一歩ずつ一歩ずつ。
きしむベッドの音が響いていた。

頭までかぶっていた布団を、はがされたそうになった。
とっさに、布団を握りしめた。
やめて!!!!
もちろん声は出ない。。。。。

何者かの手らしきものを触れた。

それは
まるで

テレビで見るような、ガイゴツの指のような感触だった。

No.49 15/07/16 12:09
旅人 

ガイゴツなんて、学生時代に理科室あってイタズラ半分で、遊んだぐらい。。。。。
でも、
目は閉じていてもハッキリわかる。
リコが触れたのは、人差し指、中指、薬指。
その3本指で、掛け布団を引っかけはがすような。。。。

恐怖の中で、必死に抵抗していたリコ。

一瞬、
布団から頭が出てしまった。
その時、
フッ・・・・右耳に、息をかけられた。
と、
同時に金縛りがとけ、リコの身体が自由になった。

あの時のように、身体が重い。。。。。
でも、
思いきってカーテンを開けた。

まぶしいぐらいの陽射しが、部屋に差し込んだ。

ベッドから飛び起き、窓と言う窓を開けた。
息が荒い。。。。。
顔は、鼻水と涙でぐちゃぐちゃ。

心地良い風が、部屋の中に入ってきた。

我にかえったリコは、へなへなと座りこんでしまった。

No.50 15/07/16 13:10
旅人 

彼が帰って来るまで、ここにいたくない。

とにかくこの部屋に、1人でいると恐怖で頭がおかしくなりそうだった。

あのように、尋常じゃない汗だらけのリコ。。。。。

着替えを用意して、シャワーを浴びた。
わけもなく、大きな声で歌いながら。

着替えて終わり、ドライヤーで髪を乾かしていた。
ロングの髪をかき分けながら、どこに行こうか考えていた。

???

右耳が妙に赤かった。。。。。
赤いと言うより、殴られたように真っ赤に腫れていた。

横向きに寝ていたのは、確かだ。
でも、
左側向いていた。
耳が押し潰されるのは、左耳だ。。。。。

髪をかき分け左耳をみた。
なにもなってない。

異常に腫れてあがってる右耳。

ドライヤーのコンセントを抜いて、そのまま洗面所に投げ捨て、
カバンに入っているものを確認して、車の鍵を持って逃げるようにアパートを出た。

アパートの敷地内に、駐車場がある。

車のエンジンをかけ、フロントガラスから自分たちの部屋をみた。

窓、開けっ放しだ。
でも、戻りたくない。戻ってはいけない気がした。

住んでいるアパートは、ファミリー層が多いので誰かしら家にいる。
大丈夫、取られるものない。

そう自分に言い聞かせ、車のアクセルを踏んだ。

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