注目の話題
初デートなのに「どこでも良いよ」
恋人の返信が来ないのが気になる
これはブロックするのが正解ですか?

微笑みの裏顔

レス88 HIT数 22625 あ+ あ-

夜の魔術師( 30代 ♂ TcKGh )
14/09/14 22:07(更新日時)

『大切な平凡』サスペンスホラバージョン。


全作の実話と異なり 100%作り話です。

それゆえ 進行が遅い部分もあったり 脱字誤字変換ミスもあろうかと思いますが、そこは皆様の頭をフル回転させ 理解度を上げて

温かく見守って下さい。

14/05/02 12:53 追記
出だしで やっちゃった😂

ホラーバージョンとしたかったのに ホラバージョン😂
なんだ ホラバージョンって😂

No.2090004 14/05/02 12:24(スレ作成日時)

投稿制限
スレ作成ユーザーのみ投稿可
投稿順
新着順
主のみ
付箋

No.1 14/05/02 12:51
夜の魔術師 ( 30代 ♂ TcKGh )

前略 浩之様。
私とブーちゃんの結婚を祝ってくれてありがとうございます。あなたと由美さんからの温泉旅行のプレゼント 本当に嬉しかったです。

あれから 2年の月日が流れました。来年の6月 あなた達2人の結婚式に出席出来る日を楽しみにしてます。

さて 本日お知らせしたかったのは、私達が移住した島に あなた達 ゆきえさんや博子さんを招待したいと思って手紙を差し出しました。
皆さんの都合もあるでしょうが、私と夫の近藤は腕によりをかけ 料理やイベントを考え お待ちしてます。

俺のとこへ ハガキがやってきたのは、まだ早朝や深夜は肌寒い 4月の終わりだった。

ゆきえちゃんの結婚があって 近藤の結婚があって 3番目は、いよいよ俺達か?と思っていたら 先に博子ちゃんが結婚をしちゃうんだもんなぁ・・・

ハガキを見ながらブツブツ言っていた横で 由美さんがポツリと言う。

「2年なんて早いよね。近藤さん達の後 勢いのまま 次に私達が入籍!って時に母が倒れてしまうなんて 看病で大変な1年だったけど キミには、母も私も 申し訳ないと思っているよ。別れて次を探すからと それを選択されても仕方ないのに 看病まで一緒にしてくれて 本当に助かったと思っているよ」



「由美さん 2人がそれぞれを思っての結婚延期。心が離れて行ったのならともかく より強く尊重し合えるのだから それそれで良かったんだよ。だからこそ 来年の結婚まで時間を保つ様にしたんだから お母さんも、すっかり持ち直し ここ2年は元気になったじゃない 俺達の未来は、これからだよ」

2年前も、今も、本当に由美さんを心から愛する気持ちに なんの変わりも無い。少なくとも俺は、そんな感じがしていた。

No.2 14/05/02 19:01
夜の魔術師 ( 30代 ♂ TcKGh )

29日の朝から携帯が鳴る。誰だよ! 祝日なのに ゆっくり寝させてくれよ。

「浩之さん 携帯 携帯。早く出てよ~ もう! 寝ぼけて手探りで見つけないで ちゃんと起きて携帯を取ってよ」

付き合う事になった 数年前の12月。恋人の位置を確立して以来 俺が、由美さんのマンションに泊まるのが日常化していた。

「はい・・・浩之です。誰ですか?」


「私 私よ!あなたの彼女だった・・・」

携帯に出たけれども、誰からの発信だったのか?確認しないまま応答。更に寝ぼけていたから 脳の反応が宜しく無い。
だが!俺の彼女?発言に由美さんだけは、ベッドから飛び起き 携帯を奪い取った。


「プリンちゃん! あんたさ 数年前突撃電話で はっきりと言ったよね! 浩之さんは、絶対に渡さない 絶対に 絶対に」

金曜日の朝から 凄い剣幕だ。

「ごめんなさ~い。由美さん 少しイタズラが過ぎました。プリンちゃんじゃなくて ゆきえです。本当にごめんなさい」


「えっ!! ゆきえちゃんなの? 此方こそゴメンね。どうしたの? まだ朝の9時にもなってないけど 浩之さんに用事?ちょっと代わるね」

「キミがすんなりと電話に出ないから ゆきえちゃんが嫌な思いをするのよ!」


とんだ言いがかりだ。しかし、既に尻に敷かれていた俺に 反論の余地は無かった。

「ゆきえちゃん ビビったよね。ごめんね 連休前とか週末は、由美さんのとこに来ている事が多くて ほら新婚だったゆきえちゃんなら 判るよね? 夜 色々と楽しんだから 体力を使い果たし 2人で爆睡してたんだよ」

ゆきえちゃん曰く てっきり俺が1人で寝ていると思い イタズラを慣行したのだけど 思わぬ伏兵(由美さん)で 気が動転したみたいだった。

No.3 14/05/03 13:40
夜の魔術師 ( 30代 ♂ TcKGh )

「用事って言うのか・・・近藤さん達から招待状来た?みんなが、揃うのは嬉しいけど 私達だけなのかな? 浩之さん何か知らないかな?と思ったから 朝から電話したんだけどね。行く日取りや詳細を決めないと・・・色々と家庭の都合もあるからね」

もっともだと感じた。普通は、招待する側が日にちを決め それらの予定に合わせて行動するはずなんだけど

近藤から貰ったハガキと言うか招待状と言うのか? まるでみんなの予定を上手くまとめて 此方に知らせてくれとも 取れる内容だ。

「ゆきえちゃん 家庭の事情って?旦那さんの仕事関係なの?」


「ん~ ん~ あのね そろそろ子作りに入ろうかと 結婚したては、新婚を満喫したいから 子供を生むのは、少し待ってねって旦那さんに話してたの 旦那さんも了解してくれたから結婚したんだけど 2年経つし そろそろどうですか?と アプローチがあったの だから 体調管理しながら毎週励んでいるけど なかなか実のらなくて」

近藤達が、どこの島に居るのかにもよるが、どれくらいの日数を確保しておけば良いのだろう?


「ゆきえちゃん 博子ちゃんの方にもハガキが行ってると思うから 其方も確認してみるよ。それで 4人の良さそうな 日数と月日を決めて それから事を進めようと思うけど 俺に任せて貰って良いのかな?」

「良いも、悪いも、昔から私達 浩之さんの行動力に頼っているんだから 今回も異論はないよ 博子ちゃんからの返事が判り次第教えて 旦那さんに許可貰って 絶対に行くから」

携帯で起こされた形になったのだが 後ろを振り向くと由美さんがいない。

キッチンに行けば、味噌汁を作り 魚を焼こうとしている。世間では、旦那さんが起きていても 布団やベッドの中で寝たままの女性も居るけど 由美さんに限っては、それらしき物が見あたらない。

40代後半になっても 相変わらずの美貌 それに家庭的な女性である。

No.4 14/05/05 17:56
夜の魔術師 ( 30代 ♂ TcKGh )

早朝から ゆきえちゃんのイタズラで慌てたが、博子ちゃんへ確認の電話をしてみた。

呼び出し音が鳴り続く。
1回切り もう1度かけ直す時にゆきえちゃんのイタズラを思いだし 博子ちゃんへ実行する。

再度掛け直すと 予定通りの寝ぼけた声で応答がある。

「さて 私は誰でしょう?ヒントは昔のあなたの彼氏・・・」

言い終わらないうちに

「おはよう浩之さん。彼氏が、どうしたの?」

いやいや! 今寝ぼけてたでしょう!! 何をあっさりと人の名前を呼んでるの?


「博子ちゃん 何で俺って判ったの?」

「浩之さん 幸せボケなの?寝起きだからって 携帯に着信があれば、普通誰か確認するよね? 確認しないでアタフタするのは、大馬鹿者だけだよね」

わっはっはっは その通り(笑) そして その大馬鹿者は、俺だよ!

「さっき 寝ていたら ゆきえちゃんから電話があって 近藤からの招待のハガキの件で、任されてしまって 何時にしようかと悩んでるんだよ」


「基本的に 私も、ゆきえちゃんも主婦だから時間はあるよ。ただ!何日かを視野に入れるとなると 夫に許可を貰わないと だけど そちら2人は、働いているし 会社の兼ね合いもあるだろうし・・・ 夫には、数日家を空ける前提で話をしておくから 何か決まったら教えてね」


博子ちゃんも、予想した通りの答えだった。となると 俺と由美さんが決める事になるのだが・・・


「由美さん 近藤達の招待 他の2人は俺に任せるって言ってるけどどうしようか?」

暫く考えていた由美さんの口から とんでもない日付が出てきた。


「5月の2日 月曜日は、今更有給休暇は出せないけど 6日の金曜日はまだ間に合うよ 3日の火曜日から8日の日曜日まで6日もあるんだから 決行しましょう♪」

時々 俺以上の決断を下す由美さん。

No.5 14/05/06 16:30
夜の魔術師 ( 30代 ♂ TcKGh )

由美さんの無茶ぶりを 僅かな願いと共に博子ちゃん、ゆきえちゃんに伝えると まさかのOK。俺自身、予定外 近藤に急いで3日から8日まで遊びに行くからとメールをした。


あと3日しかない。普通だったら そんな急な話は無理となるはずが・・・なんの抵抗も無く 了解とだけ返信が来た。

「由美さん 近藤の奥さん 遺産で島を手にしたは良いが、なんでわざわざ 不便なとこへ引っ越しする気になったのだろうね?」

「私の携帯にも、島を手に入れた ブーちゃんと移住します とだけ来たから 経緯がさっぱり 浩之さんが、遺産だと教えてくれなかったら謎のままだったわ 浩之さんは、近藤さんから?」


近藤のハガキが来て その時に島へ引っ越した。 その事があまりにも斬新で 即、彼に連絡を取り事情を把握できた訳だが、普通の人ならば 島を手に入れたと言われても、ピンとこないだろう。

「由美さん 2日の月曜日に出勤したら その時に有給休暇を出さないと 6日は欠勤扱いになるから お互い気をつけようね」


「浩之さん 大丈夫よ。私が、代理でキミの分も出しておくから それよりも、近藤さん達のとこへ行く準備 其方の方を準備万端にしといて」


直前にならないと動かない 俺の性格を熟知している。

この年になれば、遠足前のドキドキ感みたいな物は無いが、それでも近藤達に会える喜びには変わりない。

だが!この時は、暗雲が近づいて来ている事すら予測出来なかった。

No.6 14/05/06 22:11
夜の魔術師 ( 30代 ♂ TcKGh )

近藤達にも、博子ちゃん達にも、日取りの確認は済ませた。
2日の月曜日に出社をしたが、既に心この場に非ず。

せっかちな由美さんは、事務所に入るなり2人分の有給休暇を出していたが、付き合い出して 1年ちょっとまでは、会社にも内緒にしていたが、2人で手を繋ぎ買い物をしていた時に お喋り好きのパートの人に見られてしまい

あっと言う間に広がった。そこで庇ってくれたのが部長で 結婚を前提に付き合っているから問題なしの太鼓判を押した事により収束した。

だから 2人揃って休む時も、とやかく言う人も居なく 今回の有給休暇も普通に取れた。


「由美さん いよいよ明日だね。何回も持って行くものを確認したよ。由美さんの方はバッチリかな? さっき ゆきえちゃん達に待ち合わせの場所と時間をメールしたよ」


「着替えは元より 色々役に立ちそうな物も揃えたけど キミのサバイバルセットとも言うべきか? 大量の電池パック 手動式のラジオ付き充電器 軍手にサバイバルナイフ 十得ナイフ ランタンにマッチとライター 防災用具って・・・ 着替え以外にも缶詰やチョコレート のど飴。まったく おそれいるよ」


「由美さん 何があるか判らないんだよ!島だからね! 水は、近藤のとこで調達するとしても 用心にこした事はないよ」

由美さんが言う事も判るが、何か嫌な予感が頭から離れない、リュックサックにボストンバッグ 確かに知らない人が見れば山籠もりでもするのかと思うだろう。

その事を博子ちゃん達にメールすると 見習って改めて用意し直すと返事が来た。


あちらに着いたら どんな形態で寝るか不明。個室があるのか?大部屋なのかすら判らない。

となれば・・・愛し合うのは今夜となる。
俺よりも、由美さんの方がやる気マンマンなのだが・・・

No.7 14/05/07 08:15
夜の魔術師 ( 30代 ♂ TcKGh )

明日に備えての夜九時就寝。体調が悪い以外で こんなにも早く寝るなんて もう思い出せない程だ。

「浩之さん 起きてる?」

「起きてるよ。この時間には、ちょっと寝れないかな・・・待ち合わせが、朝の8時だから もっと遅くに寝ても良いのだろうけど 由美さんが体力温存と言うから寝てはみたけど」

由美さんが、体を反転し 俺と向かい合わせになると

「私もよ。じゃあ 少し体力を消耗してみようか?」

性行為を表現する言葉にセックスやエッチ等の言葉がある。だけど 彼女の口から出た『体力を消耗』

なんとでも取れる発言。

「明日 ひょっとしたら長時間歩くかも知れないよ?遭難するかも知れないよ? 由美さん やっぱり体力は、残しておかないと」

「何言ってるのよ (笑) ちょっと触っただけでムクムクッて反応しているのに 近藤さん達のとこに着くとその間は、出来ないかもしれないよ!良いのかなぁ・・・」


良いのかなぁと言われたら良くは無いけど

先ほどから 俺の股間に由美さんの手が伸びる。股間をさする間隔が、早くなり ついには直に触ってきた。

「ほらっ ねっ!! こんなになってるんだもん。キミだって嫌じゃないんだよね」
          布団を剥ぎ 由美さんに覆い被さった。ナイト用の薄明かりを点け 彼女の顔は照明によってより 神秘的に見える。

何度も何度も 由美さんを抱いたのに 今夜は、何時にも増して魔性を漂わせている。

上半身を脱がせ 胸を愛撫する。軽く乳首を噛むと 由美さんが体をビクッと反応させた。

「由美さん 乳首が固くなってるよ。どうされたい?どうして欲しいの?」

「もう 意地悪言わないの もう少し強く揉んでもいいよ」

強弱をつけながら揉むと由美さんの息が荒くなって行く

口はキスをし 右手は、彼女のパンツの中でうごめく。指を二本出し入れすると濡れ具合も 程良く そろそろかと準備しかけた時に 由美さんが俺の下半身に食らいつく。

No.8 14/05/08 08:02
夜の魔術師 ( 30代 ♂ TcKGh )

今夜の由美さんは、何だろう?結構 凄い。
口でやってもらうと 自らパンツを脱ぎ 仰向けになっている俺に乗っかって来た。


股間を顔に押しつけ 吸引すると 激しく悶え より腰を振り体を反らす。

「浩之さん もぅ欲しい 突いて突いて突きまくって」

如意棒を秘部へあて ゆっくりと腰を溜めながらの挿入。由美さんの声が、如何に感度良好なのかが分かる。
正常位から そのまま抱き起こし向かい合ったまま行為は続く。彼女の両手は俺の首に巻き付き 腰を振りながらもキスをした。

息苦しくなった俺が顔を離すと 由美さんが『まだ!』と再度 舌をを出してくる。

「浩之さん もっとキスしようよ」

「由美さん なんか言い方が、悪いけど発情した雌ライオンの雰囲気があるよ。キスもだけど ちょっとヤバいかな?出ちゃいそう」

「じゃあ 最後は正常位 抱きつきながら中に出して」

もう1度 挿入し直し 乳首をコリコリしながら さらに腰振りを加速した。
絶頂を迎えた時 由美さんにしがみつき 大量の遺伝子を由美さん自身に放出する。


「ハァハァハァ これでしばらくは我慢できるかな?久しぶりだったけど 濃厚な時間をありがとう」

由美さんは、久しぶりだと言うが、先週にもしたじゃないかと 突っ込みたくなった(如意棒は突っ込んだけど)

朝に備えて早めに寝るはずが、こんなにも燃える一夜になろうとは・・・

No.9 14/05/09 10:09
夜の魔術師 ( 30代 ♂ TcKGh )

5月3日火曜日。快晴とまではいかないが、まずまずの天候。朝方は、まだ肌寒く男性であっても、長袖だけってのは辛く感じる。

「おはよう みんな良く寝れましたか?」

俺、由美さん、博子ちゃんが待っているとこへ ゆきえちゃんが小走りにやって来た。

「博子ちゃんも由美さんも、元気そうなのに 朝から浩之さんだけが疲れ切った表情をしているけれど どうしたの?」

「どうしたの?って・・・寝る前に疲れる事をしたから」

ゆきえちゃが、首を傾げる。
結構な天然。すかさず博子ちゃんが救いの手を出した。

「あれよ!あれ! ゆきえちゃと旦那さん 新婚の時 欠かさずやっていたあれよ!」

そこまで言われれば ゆきえちゃんと言えど判ってくれたようだ。由美さんの顔を見れば あえて2人と目を合わさず にやけながら違う方向を見ていた。

「浩之さん 私も、ゆきえちゃんも、任せたけど ここからどう移動するの?一応のルート教えといてよ」

「まず この駅から電車に乗り終点まで そこからバスに乗り船乗り場へ その船で近藤達が入る島へ 大まかに計算したけど 昼1時か2時には着くと思う。近藤からは、バスに乗る時にメールしてくれと言われてるけど 電車はともかくバスは1時間に一本 どう考えても中途半端な時間なんだよ」

計画を立てたのは、俺だが!ネットで調べてもヒットしなく 不安はある。だが、それを顔に出してしまえば 女性3人も、俺以上に不安になると思うからこそ黙っていた。

No.10 14/05/09 21:02
夜の魔術師 ( 30代 ♂ TcKGh )

各駅停車の電車に揺られて 終点に到着するまで 久しぶりの再会に話しも弾む。

博子ちゃんは、独身時代よりも、ややふっくらとした顔になっていた。ゆきえちゃんは、激変ってほどじゃない

由美さんは、体型を維持したままではあるけど やや白髪も目立ち始めるが、本人は至って気にならない様子。俺は・・・俺が体系的には変わったのかも?
近藤みたいにホンジャマカの石塚ほどじゃないが!決してスリムとは言えない だからと言ってデブでは無い 中途半端な体型に

「由美さん ゴールデンウィークだというのに 乗客が少ないよね? こんな田舎だと帰省客は居ないのかな? ガラガラだよ」


「私は、のどかな光景は好きだけど キミや博子ちゃん達の真似して 降りたらコンビニで非常食でも、買うとするよ。3人の用意周到を見てたら 若干の不安を覚えたから」

駅弁でも買って車内で食べれば、まだ良かったが、あいにくと4人共 そんな事が頭に浮かばず 誰1人として コンビニでおにぎりでも買おうの発言が無い。

非常食として持ってきた物を此処で食べる訳にもいかず たった数時間がとてつも長く感じた。


空腹との戦いが 最終駅に到着した事で解放されたと思っていたが・・・

ゆきえちゃんが辛抱して堪えていた物が爆発。
「え~っ 普通どんな駅でも 近くにコンビニくらいあるでしょう? 何此処! 如何にも昭和の40年代を醸し出す雰囲気は!」

それ見て笑う博子ちゃんは

「ゆきえちゃん あんた昭和40年代を知ってるの?」

「知らないよ~ ただ言ってみただけ」

俺も、正直なところ あまりの過疎ぶりにびっくりはしたが、おそらく この駅前が、この地域にとっての繁華街なのだろう。


No.11 14/05/10 23:34
夜の魔術師 ( 30代 ♂ TcKGh )

探して見たが、やはりコンビニは無い。あると思っていた時の落胆は大きいが、代わりにリカーショップ近藤なる店がある。
まさか同姓って事は?
駅周辺は、飲み屋が3件 郵便局に農協

駅前なのに10件も満たない地域。買う場所がリカーショップしかないなら そこに入るしかないのだが、由美さんは、その店の形態を見て懐かしいと言う。


俺やゆきえちゃん達のコンビニ慣れしている人にとっては、違和感のある店構え。

店内は、酒を中心とした雑貨店。米や調味料 くだものや種類は少ないが野菜まである。

コンビニほどの充実さでは無いけど それでも四人が、買い物するには事足りていた。

「キミには、判らないだろうけど昭和の中盤 まだそんなにコンビニが出回って無い頃 田舎にいけば なんでも売っている店が1、2件はあったんだよ」
歴史を語る生き証人といったところだろう。

ゆきえちゃんのお米も買っておこう発言には、皆 そこまでしなくともと言ったが、近藤宅 まさか何にも無いって事は無いだろう?

彼のスマホにかけたが、出たのは近藤では無くGREE熟だった。


「ブーちゃんは今 畑に行ってるよ。自給自足も、ようやく日常は困らなくなったけど とりあえず不足の事態になっても・・・1ヶ月の備蓄はあるから それでも島には、何にも無いからね。備えあれば憂いなしかな?」


俺は、みんなと相談し 買える物を買って 使わなければ近藤達にあげれば良いと 結論が出た。

No.12 14/05/11 22:41
夜の魔術師 ( 30代 ♂ TcKGh )

近藤に今からバス停に向かうからとメールをする。事前に彼から教えて貰っていた 時間に合わせての行動だけど 今から乗るバスをやり過ごすと 次は、三時にならないと無い!

絶対の時間を確保する為にも、15分前にはバス停に到着予定でいた。

みんなが、由美さんを煽った影響で あれもこれもと買い なんだか4人で合宿に来た気分だった。

買った荷物を持たされるのは、当然ながら 俺なんだけど

缶詰類が、多いから 重たくて持っている手提げは5キロは、あるんじゃないかとすら思った。


バス停が近づくにつれ 並んで先に待っていた2名を見て目を疑う!

プリンちゃんと小林だった。俺が黙っていれば、由美さんや博子ちゃん達は面識が無いから判らないだろうけど 俺の思惑よりも先に彼等の方が、俺に気づいた。

「浩之!まさかここでお前に会えるなんて どうしたんだ?こんなとこで?」

それは、今 俺が言おうとした台詞。しかも、プリンちゃんも一緒に居るってのが気になる。
「友達に遊びに来ないかと招待を受けたんだよ。離島に向かう為にこのバス停に来たけど 遠くから見て似ている人がいるんだなぁと思ったら まさか小林だなんて・・・」


俺と親友の会話に由美さんが入って来る。

「浩之さん 此方の方 お知り合いなの?」

「近藤以外の唯一の親友である 小林だよ。帰省した時は、何時も会って 食事したりして 幼少からの交友があるんだ」

由美さんは、笑顔で小林を見ていたが、その横の女性を見る時に 一瞬だけ鋭い眼差しになった。

No.13 14/05/12 08:14
夜の魔術師 ( 30代 ♂ TcKGh )

由美さんの視線がプリンちゃんに突き刺さる。同時にプリンちゃんも、睨み返す。

元彼女と現彼女。あってはならない光景が、今 目の前に・・・

「浩之さん 本当に久しぶりね。少し 太ったのかな?お正月に会ってた時よりも ふっくらとしてるよ」

ニヤニヤしながら発言するプリンちゃん。あたかも、由美さんに挑発的な態度に見える。

「プ、プリンちゃん・・・どうして此処に?小林と一緒に来たの?」

プリンちゃんや小林にしても、俺が話す言葉は、疑問文ばかり 居るはずの無い2人が、揃ってバス停に居るのだから 驚きは当然なんだけど

「私も、招待されたの!ゴールデンウイークやる事も無いし暇だから 遊びに来たけど この手紙に書いてある通りに来たら このバス停で この男性と会い 話をしていただけ」

「浩之さん 此方の女性 ひょっとして・・・」


由美さんが、居ても立ってもいられず 眉間に皺を寄せ 俺に詰め寄った。

別にやましい事は、何も無いが!この予想すらしてなかった出来事に頭が混乱。


「前の彼女 プリンちゃんだよ。小林もプリンちゃんも招待を受けたみたいだけど ひょっとして離島に行くのかな?」

俺の言葉に プリンちゃんも小林も頷く。同じ日に誘いを受ける。偶然なんだろうか?ただ1つの違いを除いては・・・

ゆきえちゃん、博子ちゃんも成り行きを見守っていた。
どうしたものかと考えたが、突破口となるものが浮かばない。

そうこうしているとバスがやって来る。私鉄もしくは市営のバスを思い浮かべていたが、町営のマイクロバス。


もっとも、6人だけしかいないから 狭くは無い。

No.14 14/05/13 07:27
夜の魔術師 ( 30代 ♂ TcKGh )

何事も無く目的のバス停に到着すれば良かったのだが、一番後ろの席に俺が座る その横は当然ながら由美さんのはずだった。


由美さんを押しのけて プリンちゃんが、俺の横にちゃっかりと座る。バスの中は険悪なムード それを取り繕うとする我が親友の小林。

「な~に!あれ! 厚かましいよ」

見かねた博子ちゃんが、プリンちゃんへ放つ一言。間近に自分の彼女が居ての行為 そう思われても仕方が無い。


「プリンちゃん 俺 由美さんの隣に行くから どいて」

「何で私の隣だと嫌なの?別に席なんてどこでもいいじゃん。一々 どっかのおばさんみたいに目くじら立てなくてもさ」

由美さんを標的とした発言にイライラしながら 強行突破し 由美さんの横に座った。

由美さんは、安堵の表情とプリンちゃんへ向けての『勝利』の視線。
まだ 近藤のとこにも着いていないが、もう既に憂鬱だった。

プリンちゃんの横に小林が宥める様にフォローの言葉をかける。


「プリンちゃん 俺の横でいいじゃない 一緒に帰省した時 食事した仲なんだから 連休中は仲よくしよう」


プリンちゃんも、小林と雑談しているうちに機嫌が直ったのか 時折笑顔を見せていた。

最初に乗った場所から暫くして 海が見えてくる。海水浴場なら間違いなく 必見のスポットとなるだろう。

絶景に感動しつつマイクロバスは、船乗り場に到着する。

No.15 14/05/14 08:35
夜の魔術師 ( 30代 ♂ TcKGh )

俺達が降りた駅とは、真逆になるのだろう。
降車した停留所の付近は、自販機すらなかった。


「本当に何にも無いところね。埠頭に着いたのは、良いけどどんな船で島に渡るのかしら」

ゆきえちゃんが、独り言にしては大きな声でつぶやいた。

よくありがちなターミナルでは無く こじんまりとしたプレハブに受け付けがある。そんな船乗り場だった。
さて チケットはどこで買うのか?辺りを見渡していると 招待主から電話がかかってくる。

「浩之 船に乗る場所 間違いなく着いてるよな? もう間もなく豪華客船が、そちらに向かうから それに乗ってきて欲しい」

俺は、その事をみんなに伝えた。俺を除く5人は、大喜び。だけど考えて欲しい 大きなターミナルならいざしらず 自販機すら無いとこに 豪華客船なんて有り得ない。

だからこそ 近藤の発言だから まともに取らない方が良いと言ったのに 誰も聞きやしない。


待つこと15分 豪華客船のキャプテンでは無く 漁業のオジサンが由美さんに声をかけていた。


「浩之さん 此方の男性が迎えに来たと言ってるよ」

やっと来たか!そう思いながら乗り場へ向かうと・・・
遊覧船タイプでは無く 漁船よりは、やや大きなタイプの船。
もっとまともな船は無いのだれうか?そんな思いが巡った。

No.16 14/05/14 19:29
夜の魔術師 ( 30代 ♂ TcKGh )

座席は4人分しかなく 俺と小林が、女性陣に席を譲る。

俺は船長に尋ねた。

「船長さん ここから時間的に どれくらいかかりますか?」


「小一時間ってとこかな?40年前まで あの島には定期船があったんだ。だけど 金脈が途絶えて 過疎化が酷くなり 金を目当てにしていた労働者 掘り師がいなくなって 最後に地主と数名の使用人だけが残った。 定期便は無い 過疎は酷い。なんで 好き好んであんなとこに居るのだろう?って 町民は口にしていたけどな。あんたら あの島に何か用でもあるのか?」


俺が、話そうとした時 由美さんが割ってはいる。

「彼の親友の奥さんが、遺産相続で島を貰い みんな誘われて ゴールデンウイークを利用して遊びに行くんです」


船長は、怪訝そうな顔になり 口の中で、もごもごと『しょうにん島に・・・』


「あっ!そうだそれだ!忘れていた。聖人島だ 由美さん 近藤から電話で聞いていたんだ。聖人島だった」


「なんか意味があるのかしら?でも 聖人だなんて 私達の中に悪人が居たらどうしよう キャハハハハ」

船長 俺 由美さんと三人で話していたら

「あんた等 聖人島と言ってるが、あの島の本当の名前知らないのか?」

「だから聖人島でしょ?」

船長は、首を横に振る。

「な~んも知らない方が、幸せなのかもな」

No.17 14/05/16 13:16
夜の魔術師 ( 30代 ♂ TcKGh )

俺は、船長の台詞が聞き流せなかった。横に居た由美さんに聞いたが、考えすぎじゃないの?で流され それは、ゆきえちゃん達も同様だった。

本当に俺の考え過ぎだけなのだろうか?
より深く考えていた時に GREE熟からの電話来る。

「もう船には、乗っているよね? こっちに着くと2時かな?昼ご飯を着くって待ってるから また着いた時にメールか電話でも頂戴」

僻地だからと電波の通り具合を心配したが、障害物が無いから よりクリアに聞こえる。

船が島に到着した その場所・・・灯台らしきもの 埠頭はあるが、接岸する場所がお粗末。

まったく手入れがしていなかった。

船を着けて貰い 陸地に上がった時 若干の解放感がわき上がる。

俺達の到着と同時に 近藤がマイクロバスで迎えに来てくれた。


船長と近藤の会話が耳に入ったが、これも聞き流せば良かった内容。

「近藤さん あんたの頼みだから客人を連れてきたけど 予定より2人多いぞ。ちゃんと前もって説明して貰わないと 漁の荷物があったらヤバかったよ」

「えっ? 俺が頼んだのは4人だよ。船長さん ちゃんと招待状の手紙かハガキ確認したの?」


「みんな持ってる。見せて貰ったから間違いはない」


招かざる来客?6人全員が招待されたはずなのに・・・

No.18 14/05/17 20:21
夜の魔術師 ( 30代 ♂ TcKGh )

「2年会わなかったけど 体格が痩せたとは無く 少し安心したよ。近藤 あのさ! 色々聞きたい事があるんだ 何から聞けば良いか 順番がずれるかも知れないが、まず この島だよ! お前 GREE熟と付き合っていた時 あるいは、結婚してから この島の事聞いてたのか? なんで また島に移住しようと? 生活費は? お前仕事は? このマイクロバスどうした? 生活物資どうしてる? 電気は? 水道は? この島の生活は楽しいのか?」


「浩之 浩之!待てよ! 何だよそれは(-_-#) お前は、どっかの国の監査官か? まず島の件な! 知らない 次 結婚してから聞いた。次 GREE熟がどうしてもと嘆願した。多少の抵抗があったけど了承した。次 お前が一番知りたがっている生活費。これは、GREE熟が貰った遺産が、島だけじゃなく 相当な金額も相続した。だから仕事はしてない・・・あとなんだっけ?」

こちらの質問に次々回答していく彼。これで喧嘩も強く 先を見通す力が、ずば抜けていたら

人間として彼を尊敬するだろう。そっかぁ・・・ 全ては、GREE熟が受け継いだ遺産だったのか・・・

「それで近藤 マイクロバスと生活物資 電気や生活水の件も頼む」

「マイクロバスは、お前等も乗ってきただろう? 町営の中古バスだよ。たった10万だったから即金で買った。もっとも、この島には、車は三台 原付バイクが二台 後は自転車だな!」


こいつは、金に物を言わせ収集家にでもなったのか?(多少 大袈裟だが)

No.19 14/05/18 13:58
夜の魔術師 ( 30代 ♂ TcKGh )

「あと自転車だな!って 何台もあるのか? 大体この島 どれくらいの広さなんだよ? 驚く事ばかりだよ。堤防のとこ お粗末とはいえ どうみてもカラーリングしてるとこもあるし・・・」

「浩之 2年で変わったのは、お前もか?もっと ゆったりと構えても良いと思うぞ。この島自体は、歩いても2時間あれば一周できる程度の広さだよ。自転車は、マウンテンバイクが4台 ママチャリが4台。備え有れば憂いなしってやつだ。あっ!原付バイクは2台しかないけどな 車は、マイクロバスと軽四。物資は買いだし 月に1回だけ 車数台が乗る船が来る。お金を払って 来て貰ってるけど その日は、2人揃って車にガソリンや生活物資の買いだめ。水も市販だけど 半分は井戸水で賄えてる。電気は、自家発電 特別なのを俺が作ったんだ」


なんともまぁ 完璧な答えだった。金はある 時間はある。羨ましいと思う反面 こんな島にたった2人だけ 俺なら精神が病んでしまうだろう。

「近藤 実はさ・・・ もう1つだけ聞きたい事があるんだ。それを今 この車の中で聞いて良いものか? 計りかねている」


「浩之 何を言いたいかは、想像できる。家に着いたら そこで話そう。部屋は全部で8部屋もあるから 好きに使って良いぞ 昭和初期から中期にかけての建物だから
リフォームが大変だったけど 部屋割りは元から8部屋あったんだ。金の掘削の話し聞いただろう? 元々 使用人の部屋だけど 全室にユニットバスを付け それとは別に大きな風呂もある。混浴だけどな 浩之良かったな」

混浴はもちろん嬉しいが 現段階では、女性陣五人だけしかいない。その場のテンションで一緒に入るのか? (≧∇≦)

No.20 14/05/18 15:10
夜の魔術師 ( 30代 ♂ TcKGh )

後ろから野次が飛んできたが、俺と近藤は、華麗にスルー・・・スルーしたかったのに近藤が食いついた。

「みんな~この2人のエロコンビは健在だよ。混浴だって きっと頭の中も妄想して ポコちゃんが勃起してるはず」

「ゆきえちゃん もう~せっかくの再会なのに この近藤様のポコちゃんと再会しちゃう?」

最初に乗ったドロドロとした物も、ゆきえちゃんと近藤の会話で場が和む。

由美さんとプリンちゃんにも笑顔が有り 一時休戦なんだろう? 俺の嫌な予感も取り越し苦労だと その時は思う事にした。

島の風景は、見て感激するものは無く 昔整備された道路 雨よけなのか?丸太の椅子 テーブル 柱と屋根だけがある建物が2件 あとは池と島に似合わぬ近藤達がする家。

どちらかと言えば、洋館っぽい作り。

「近藤さん ゆきえちゃんとあなたが籍を入れた時 次は、浩之さん達の番だと思ったでしょう? 浩之さんも言ってたけど まさか博子ちゃんが・・・ きっと近藤さんもだろうなぁと ずっと思っていたよ」


「博子ちゃん 負け惜しみじゃないけど 由美さんのお母さんの件が無かったら 間違いなく浩之達が先だったと思うよ。その件は着いた時に話すとして 全員注目 前方に見えて来たのが、我が家であります。連休中楽しんで下さい。食料もたっぷりあるから 心配ないぞ~」

朝が、早かったけど 駅→バス→船→車と 五時間以上もかけ ようやくの到着。お腹も空いたが、かなり疲れた。

No.21 14/05/18 17:26
夜の魔術師 ( 30代 ♂ TcKGh )

建物に到着したけど 俺達四人は、近藤やGREE熟と接点があるから まだ遊びに来る理由も判るが、プリンちゃんと小林・・・近藤に確認取ったが、面識が無いと

「近藤 もう一度確認するが、あの2人は、本当に知らないのか? 俺は見てないけど 船長さんは招待状を見たと言ってたよな? 小林とプリンちゃんに招待状を出したのは誰?」


近藤が眉間に皺を寄せている顔を見れば、俺をおちょくる為の演技かどうか位は読みとれる。

「浩之 本当に知らないんだよ。あれだったら俺とお前で確認してみようか? その前に部屋割りをして 荷物を各自置いて 遅めの昼食と行こうじゃないか」

ミステリアスな展開だったが、空腹なのは忘れてない

大広間に入ると 中世時代の映画に出てくる 長いテーブル そこには、それがあった。実際に目にするのは初めて

みんな一緒に顔を見ながら食事出来る利点はあれど 内緒のヒソヒソ話をしたい相手が反対側の時は、テーブルをグルッと回らないとダメなのが不便。

「料理が出る前に部屋割りをしておくけど 浩之と由美さん ゆきえちゃんと博子ちゃんは相部屋 小林さん プリンちゃんは個室だから 浩之!由美さんと一緒だからといっても その辺りは大人の行動をしてくれよ」

「近藤 任せろ。ここに来る前日に 絞り取られてきたから」

由美さんが、勢いよく 俺の背中を叩く。みんなが笑ってくれたが、叩かれた方は痛い
俺は、アイコンタクトで近藤の顔を見る。
それを頷き 行動に移す。

「みんな料理の前に 招待状を見せて欲しい。秘密の暗号が書いてあるんだ。その人には、豪華プレゼントを用意してある」

博子ちゃんが拳を突き上げ

「一気に金持ちになった近藤さんの事だから きっと驚く感じのプレゼントに違いないわよ」

各々がハガキ 手紙を用意したのだが・・・果たして この中に予定外の人なんているのだろうか?

No.22 14/05/22 18:57
夜の魔術師 ( 30代 ♂ TcKGh )

近藤も、芝居がかった事をし その場を取り繕う。彼の大げさなリクエストで 俺が、トップバッターに指名された。

この状況を把握しているのは、俺と近藤だけ。他の人達のドキドキと 俺達のドキドキは、質が異なった。

彼から届いた ハガキを誇らしげに高々と上げる。そのハガキの差出人 間違いなく近藤であった。


「あ~浩之 残念。肝心なキーワードが書いてない だけど公正を喫する為に 浩之には、俺と一緒に審査に加わって貰う」


「うわ~ 賞品は、俺がゲットじゃないのかよ!」


かなりのオーバーリアクション。こちらの意図をみんなに悟られない為にも やむなしだろう。


次に 由美さんが、手紙らしきものを持って 俺達2人の前にやってきた。

「賞品が何か判らないけど ゲットしたいよ。取ったど~って やりたいよね。 ねっ! ひ・ろ・ゆ・き・さん」


瞬時に何年か前のホテル探しを思い出してしまった(ホテル探しは実話)
苦笑しながらも、近藤の顔を伺う。

彼が、俺に手紙を渡す。
差出人は、近藤では無かったが、GREE熟からの手紙。

まぁ 2人は、日頃から連絡しあう仲だから 差出人が近藤でなく GREE熟からだとしても、問題はあるまい。

「あ~ 由美さん。由美さんに当たって欲しかったなぁ だけど残念。 浩之 間違いなくキーワードは、書かれて無いよな!」


キーワードなんて最初から無いけど とっさのアドリブになんとか応答。

No.23 14/05/23 08:25
夜の魔術師 ( 30代 ♂ TcKGh )

俺と由美さんは、当然と言えば当然の結果。誘われてもいないのに 離島にわざわざ来る理由も無い。

次に誰の確認をしようかとした時 ゆきえちゃんが自ら手を挙げて来た。

「近藤さん 次 私ね。絶対にテレビを当てる。私が賞品を持って帰るから」

テレビ?

「近藤、 何時からテレビが賞品になったの?」


近藤も苦笑いするしかなく

「ゆきえちゃんの脳内では、今 一番欲しい物は、テレビなんだよ。じゃあ ゆきえちゃんさっそくハガキを見せて」

ハガキや手紙 要は差出人を確認したいだけ

ハガキを見る近藤が、眉間に皺を寄せる。まさか! ゆきえちゃんか?ゆきえちゃんが招待されていないゲストなのか?

「ゆきえちゃん・・・残念。キーワードは無かったよ。ちなみにテレビって どれくらい大きいサイズのが欲しかったの?」

近藤は、俺にハガキを渡し ゆきえちゃんとの会話に没頭している。元恋人であるし 何かと集まる仲間だから ゆきえちゃんが誘われない理由は無いけど
近藤の芝居が、結構リアルだったから つい 俺まで釣られてしまった。

No.24 14/05/27 15:16
夜の魔術師 ( 30代 ♂ TcKGh )

流れで行けば 博子ちゃんの順番。しかし! おもむろに小林が席を立ち 自分のを見てくれと名乗りを上げる。

現段階で 小林の事を知っているのは、俺とプリンちゃんだけ 近藤が無言の助けを求めて来た。


「小林、俺はキーワードを聞いているが、親友のお前だろうが、公平に進行させてもらうぜ!もちろん構わないよな?」

小林はニヤリと笑うだけで 黙って手紙を差し出す。手紙の内容は季節柄にまつわる話から 島に遊びに来て欲しいの言葉があった。

差出人が、近藤で無い事は確認済み。残るは、由美さんと同じパターンで GREE熟となるはずなんだが・・・

島に遊びに・・・その後の差出人にを見て 俺は固まってしまった。そのリアクションを小林は見逃さず


「おっ! 賞品ゲットは俺か? なっ! 浩之 俺なのか?」

とっさに 残念と口走ったが、俺の顔色 横に居た近藤も読み取った。

次の確認をしようとした時 緊張のあまりから 博子ちゃんがトイレに行きたいと それに続き由美さんやプリンちゃんまでも

結局 部屋に残ったのは、俺と近藤。

「浩之 !! 何か違う事が書いてあったのか? 俺や嫁さんじゃない 差出人の名前があったんだよな? なんて書いてあったんだ? 小林って人 誰から誘われた?お前 明らかに顔色が変わったぞ! 教えてくれよ」

この状況を速やかに 近藤へ報告した方が良いのか?或いは、博子ちゃんとプリンちゃんの招待状を確認してからの方が、良いのか?

俺のCPUは、高速で計算していた。

No.25 14/05/27 18:59
夜の魔術師 ( 30代 ♂ TcKGh )

「なぁ 近藤!お前でも無い GREE熟でも無い 第三者の名前が書いてあったら・・・ お前なら どうする? まだ博子ちゃんとプリンちゃんが残っているが、プリンちゃんのも気にはなるが、博子ちゃんに関しては、多分 お前が差出人で間違いないと思うが・・・」


「浩之 お前とゆきえちゃん 博子ちゃんに出したのは間違いなく俺だ。断言できる。由美さんの招待状は、妻が出すと言ってたから あえて出さなかった。もうさ 教えてくれよ。小林って人の招待状 差出人は、誰だった?」


「近藤 教えるけど・・・仮にプリンちゃんも小林と同じ差出人だとしても 平常心でいてくれ」


う~ん と眉間に皺を寄せ 彼が頷く。

「だったら 浩之! 当選者は、博子ちゃんって事にしておこうぜ 何が、あっても博子ちゃんが当選者。それだったら お前の推測通り プリンちゃんの差出人が、小林って人と同じでも さっきみたいなリアクションを取らずに済む」

みんなが、トイレに行ってる間 念入りに打ち合わせをする。
「近藤 親友でも有る 小林の差出人な・・・ナインフリーダムって書いてあったぞ 何か、心当たりはあるか?」

No.26 14/05/29 19:21
夜の魔術師 ( 30代 ♂ TcKGh )

何の話し? 彼の顔は、まさしくそんな顔になる。日本人の名前ならともかく なんのペンネームかハンドルネームか知らないが (`ヘ´)


聞いた事が無いカタカナの名前を告げられ 即 反応出来る方が可笑しい。


「思い出してみたけど 浩之! 俺には、まったく心当たりが無い 大体ナインフリーダムってどんな意味だよ? お前 結構雑学に強いし 何か浮かばないか?」


雑学と言われても、本で得る知識やネットで目にした物を覚えている程度。

ナイン・・・普通の数字として訳して良いのだろうか?
そうなるとフリーダムも?まんま訳して 二つの言葉を繋げるだけなのか?


試行錯誤していると トイレへ行ってた 面々が戻ってきた。打ち合わせ通りで 博子ちゃんを当選者と決まったが・・・

プリンちゃんは自ら近藤の名前に出て ニコッとした。

「電話では、一度会話してますよね。覚えてますか?」

彼の顔はにやけていたが、プリンちゃんの微笑みは、俺にも向けられる。
由美さんは、まったく面白くない。きっと 心中穏やかじゃないだろう

「近藤さん 私は当選してますか?賞品って何ですか?」

近藤はポーカーフェイスを装っていたが、俺は、平常心がぶっ飛びそうになる。


プリンちゃんの招待主 そこにも、ナインフリーダムの文字があった。
何なんだ! このナインフリーダムって どんな意味があるのだろう?

謎が頭を駆けめぐり 予想すら出来なかった展開が待ち受けていた。

No.27 14/05/31 17:10
夜の魔術師 ( 30代 ♂ TcKGh )

「ラストは博子ちゃんだから 当選と言えば当たり前になるけど 一応ハガキを見せて」

近藤からの言葉に笑みをこぼし ハガキを渡す。彼が、俺に発言した通り 招待したのは近藤だった。

「浩之 ほら!俺が、教えたキーワード ちゃんとあるよな!賞品は、博子ちゃんに決定 おめでとう」

近藤の三流MCぶりに 俺も悪乗り


「浩之さん、賞品は何? 見て 驚く物なの?」

「うん それについては、近藤に聞いてみて」

当選者を博子ちゃんにとまでは 決まっていたが、賞品の事までは打ち合わせをしていない。

近藤は、恨めしそうな顔をで見ていたが・・・咄嗟に浮かばない(近藤よ 悪く思わないで欲しい)

(T_T)


「近藤さん 期待していいのかな? 私が、当たったんだよね? 当たったのなら もうキーワードを教えてくれても良いんだよね?」

「あ~ あ~ あの~ その~ キーワードは、次回招待する時のヒントに成りかねないので却下します。次の3つから選んで A.この島の永住権 B.俺が履いているプレミアムパンツ C.何かの宝石」


C以外は、論外だろう。博子ちゃんがAかBを選んだら この場は盛り上がるだろうが、近藤のパンツを貰っても 使い処が無い(笑)

「近藤さん 何かの宝石って?どういう事なの?」

由美さんを始め男性陣を除く 女性全員が、宝石の言葉に反応する。

No.28 14/05/31 20:16
夜の魔術師 ( 30代 ♂ TcKGh )

「俺と嫁さんが、この島に来てすぐに住めた訳じゃないんだ。リフォームするとこは沢山あったし 2人ではとてもじゃないが、住めるまでの予測すら立てれなかった。業者を雇い入れ 背丈まで伸びきった雑草類の撤去 でかい岩で分断された道 崩れかけた家 それらを何とか処理できて 2人だけの時間を作れるようになった。それで リフォームの時に地下があると業者から教えて貰ったから 2人で探検して 妻の曾祖父? それらしき書斎から出てきたんだ」

街中のリフォームとは違い 混雑の心配は無いだろうけど 離島に有りがちな 苦労も耐えなかっただろう。

「近藤さん あなたとは、初めての会話になるけど 興味があるからぜひ教えて欲しい。どれくらいの時間と金額が掛かりましたか?」

小林も、自然に会話へ加わる。彼は、俺や近藤と違い 一種の曲が無く 誰とでも普通に仲良くなれる性質を持つ


「全額は把握してないけど リフォームが2000万?あとは、150万で済んだよ。離島だからね 別の意味で考えれば 一つの国を手に入れた。王様になれる」

得意気な近藤 鼻の穴が広がっている。

No.29 14/06/02 07:41
夜の魔術師 ( 30代 ♂ TcKGh )

ある程度の下地をプロに頼む。時間は、有り余るだろうけど それなりの財力が無いと無理だ。


皆一応に 近藤王国の建国に質問が飛ぶ。話せば話すほど 彼の体がふんぞり返り 成り上がりとでも言うのだろうか? 自慢話が途切れなかった。

それは、そうと この島に来て まだGREE熟を1度も見てない

どうしたのだろう?


「近藤 お前の奥さんは?」

「他で食事の用意をしてるぜ」
俺は、目で合図して 近藤を大部屋から出した。話すことは、もちろん 招待主の件

「浩之 ドアのすぐ側じゃ聞かれるかもしれない こっちの物置として使っている部屋へ入ろう」


客室数だけでも驚いているのに この建物の容量には、驚かされてばかりだ。
「近藤 予測通りだったな! プリンちゃんと小林が、ナインフリーダムってなっている。打ち合わせをしていたけど やっぱり その文字を目の当たりにすると 言葉につまるよ。誰なんだろう? 俺が直接2人に聞いてみようか?」


近藤に似合わない 腕組みで目を伏せる。

「この件 改めて掘り起こさなくても良いのかも? 何か興った訳じゃないし 妻にも出してないか聞いてみるよ。それよりも、腹が減ってるだろう?あちらに戻って みんなで食事しようぜ」

近藤は、流したが 俺は性格上気になって仕方がなかった。

No.30 14/06/03 08:22
夜の魔術師 ( 30代 ♂ TcKGh )

招待されて無いかもしれない人が来ている。どんな目的で来ているのかすら 分からない。


毎日 のんびり暮らすと脳の中も平和になってしまうのだろうか?


俺と近藤が大広間に戻った時 丁度GREE熟が配膳中だった。


「浩之さん みんなに言った台詞だけど 久しぶりね。由美さんの笑顔を見れば 結婚間近 幸せそうなあなた達の顔を見れて本当に嬉しい 急にこしらえたからシチューしか出来なかったけど 夕食までの繋ぎとして味わってね」


何年ぶりか?近藤家のシチュー。良い意味で味が変わってなく 懐かしい味だ。


雑談とこの島についての話で 食事は楽しめた。夕食は、遅めの夜8時にと それを決めて それまでは、各自自由な時間を過ごす。


俺は・・・やはりと言うか 空腹が満たされ 寝てしまう。

「由美さん 携帯のアラームをかけておくけど 出来れば30分前に起こして欲しい」


「朝が、早かったからね。ましてや移動 移動と疲れたんだよ。ゆっくり休んでね」

その言葉と同時に深い眠りに落ちていった。

どれ程時間が経ったのだろう?俺を呼ぶ声がしている。
だが、目が開かない 再び眠りに落ちていく。

No.31 14/06/05 07:33
夜の魔術師 ( 30代 ♂ TcKGh )

肉体の衰えは、確実に現れ 由美さんが起こしてくれるまで アラームが鳴り続けていた事すら 判らなかった。

「浩之さん イビキかきながら 気持ちよさそうに寝てたね。 起こすのが気の毒な位だったよ。近藤さんの奥さんから 間もなく準備が終わるから みんなに声をかけてきて欲しいと頼まれ プリンちゃん以外みんな声かけたよ。プリンちゃんは、小林って人に頼んだから」

「由美さんもだけど ゆきえちゃんや博子ちゃん 俺達と共に行動しているのだから疲れているはずなのに 仮眠取らなかったのかな?」

クスッと由美さんが笑い 遅めの昼ご飯を食べた後 各個に仮眠を取った事を聞く。

由美さんと大広間に向かう時 廊下や扉を見て つい思う事がある。
日本の建物ってよりは、洋館に近い 初めに建てた人の趣味もあるのだろう。
部屋に入れば 座ってないのは俺達だけ。 近藤に促され着席して待っていると 格式あるホテルでディナーを体験した気分になれる。


会話らしい会話も無く ゆきえちゃんは、あたりをキョロキョロ 博子ちゃんは旦那さんへメール。

数日間 この島に居るから 生活スタイルの変化も頷ける。

No.32 14/06/06 18:32
夜の魔術師 ( 30代 ♂ TcKGh )

GREE熟が台車に料理を乗せてくる。洋館っぽいとこから ステーキや高級食材を連想するが、それとはうらはらに 家庭の味 煮物やアスパラベーコン 刺身等が並ぶ。


もっとも、それが親しみを増し 食欲も増す。

「相変わらず 料理が上手だよね。由美さんも、ひけを取らないが、近藤が痩せないのも奥さんの料理がうまいからだろうね。近藤! また俺達でカレーでも作って みんなに食べて貰おう」


俺は、誰かに対しての嫌みでは無く 率直にその場で感じた事を言ったつもりなのに・・・


「浩之さん それ!私に対しての当てつけなの? 確かに私は料理下手だから 作らなかったけど 現彼女さんが上手だからって ちょっと嫌みじゃない?」


内心 なんでこうなるのかなぁ (-_-#) イラッとしたが、俺の表情を読み取ったGREE熟が止めに入る。


「まぁまぁ プリンちゃんも!料理は慣れだし 素質はあるはずなんだから 今から頑張れば大丈夫だから」


親しげそうにプリンちゃんへ話しかけるGREE熟。まさか!ナインフリーダムは、GREE熟なのか?

後で意味を聞いてみよう。
近藤が、雰囲気を変えたいのだろう? 島へ来てからの苦労話や 昔みたいに都会の生活を捨てきれなく 何度か家出しかけた事を話 まずい空気は何処かへ行った。


これだけの人数が、揃うと なかなか短時間での食事とはならず 全員が食べ終わった時は、22時をちょっと過ぎていた。


「招待客の皆さん 近藤宮殿の主より お知らせが有ります。お風呂は、各部屋にも有りますが、大浴場も有ります。混浴だから ぜひ利用してね。ウヒッ♪」

No.33 14/06/10 08:24
夜の魔術師 ( 30代 ♂ TcKGh )

ローマは1日してならず そんな言葉がある。早い話 そんなに上手くは行かないって例えだけど 混浴発言から 期待をして集まったのは、俺 近藤 小林の三人だけ

男性陣以外 5人の女性は部屋にある風呂を使う事になるのだが・・・


「近藤~ お前が黙っていれば ひょっとしてがあったかもしれないんだぜ! まったく!小林も、そう思うよな!!」


「僕は、君たち2人と違って 近藤さんの奥さんや由美さんの裸体を見た事は無いから 想像で言わせてもらうけど 両名とも年齢と似つかわしく無い 体のラインがしっかりしてると思う。 残りの女性陣にしても きっと結構な色気はあるだろうね」


お前は、詳論家かよ! 思わず突っ込んでしまった。

男である以上 異性の裸体に気持ちが行ってしまうのは、普通だろうと感じた。


それにしても この浴槽 大の大人が三人一緒に浸かっても、まだまだ広く 何故 こんなにも広い風呂場を作ったのか 気にはなるとこだった。


「浩之 お前の顔に書いてあるぜ! この馬鹿でかい風呂の事を聞いてみたいって ここは、作業員や家政婦達が、たくさん住み込みとして居たから 部屋の数やこの風呂も それに合わせての作りだったみたい。妻に聞いた話だけどな」


その事は、ここに連れて来てくれた船長さんから聞いてるが・・・

そう 肝心な事がもう一つあった。招かざれる招待客 それとこの島の由来。船長は、奇妙な事をつぶやいていたけど・・・

No.34 14/06/13 20:19
夜の魔術師 ( 30代 ♂ TcKGh )

小林が親友なのは、間違いないが・・・ 船での話を小林が目の前に居て 話して良いものだろうか?

悩むとこだ。何よりも、2人共気持ちよさそうに湯船に浸かっている。


「近藤さん 明日 水曜日の予定とかは決まってるの? 誰とは言わないけど 放置しておくと爆睡モードになり昼過ぎに起きてくる事もあり得るよ」


「あぁ 浩之の事だね。小林さん 浩之は、由美さんと一緒の部屋だから その点は大丈夫だと思うよ。夜の営みに注意する方が大切」


(ToT)

「近藤 お前が言うか! しかも、俺に向かって爆睡だの 夜の営みだの ここぞとばかりに見せつけるなよ」


「浩之 俺がこの島に来てから 生活環境も変え 朝は6時起き 畑に散歩にと健康的な生活に変わったんだぞ」


電話をかけた時 GREE熟が、そんな事をチラッと言ってたのを思い出した。しかし、この目で見るまでは・・・


「浩之も、近藤さんも、いい加減 出ましょうよ。暑くてのぼせちゃいますよ」


修学旅行気分だから つい長風呂になってしまう。

「浩之!食事したとこ判るだろう? そこのホワイトボードに朝食 昼食 夕食の大体の時間が書いてある。 食欲が無いや 自分達で持って来た物を食べたいとかなら 予め教えてくれると助かる。基本 自由時間だから 自然を堪能して貰えたら良いよ」


脱衣場で、彼の話を頭に入れながら やはり船長の事 ナインフリーダムの事が駆けめぐる。

No.35 14/06/14 16:47
夜の魔術師 ( 30代 ♂ TcKGh )

俺は、由美さんが待つ部屋に戻ろうとした。向かっている途中で 近藤が風呂で話していたホワイトボードの件を確認しと気が変わる。

大広間のドアを開け 電気を点ければ 部屋の隅に置いてあるのを発見。

夕食の時には、無かったけど いつの間にか時間が記載され 近藤家の掲示板として佇んでいた。

それにしても、大広間とは、よく言ったものだ。夕食時は、みんなが集合していたけど 1人でこの部屋に居ると 恐怖すら感じる。

朝食 8時 昼食1時 夕食 7寺。通常 俺達が食事する時間と比べたら

若干のズレがあるけど 意図的なものか?
ホワイトボードに書いてるのを頭に入れ 由美さんが待つ部屋に入る。


「由美さん 風呂の中で 近藤と話をしたけど 基本的に1日 自由なんだって 食事の時間も、大広間にあるホワイトボードに書いてあったよ。 由美さんは、お風呂に入ったの?」

やや上機嫌の由美さん。お風呂に入ったばかり?頬が赤く ニヤニヤしている。


「混浴したかった? 今から 2人で混浴しようか? この建物昔の作りにしては 浴室もトイレも広く 設備が整っているね。知らない土地へ来ての宿泊 わくわくするよね」

近藤やGREE熟がリフォームや拡張整理したのを聞いてなかったのかな?

No.36 14/06/15 12:55
夜の魔術師 ( 30代 ♂ TcKGh )

23時も30分を過ぎ 普通なら就寝となるべきはずが、由美さんの喋りが止まらない。

アルコールの匂いが・・・それと同時にラガービールの大きな缶2本が、床に転がっている。

「マジで? 空になっているけど 由美さんが飲んだの? あっ!! 昼間のリカーショップだ!」


「大当たり キミには特賞として 私のキスを上げるよ~」

由美さんが迫ってきた。体をひねり かわすと俺を抱き締めたつもりの手は空を切り そのままベッドに倒れ込む。


「もう!! 何でよ~」


「由美さん 何でよ~じゃないよ。 昨日 やったでしょう 此方に来て 何にも出来ないといけないから 前もって エッチしたじゃない」

由美さんの年を改めて口にする訳じゃないが、拗ねて 膝を抱えて貝みたいに無口になってしまった。

「由美さん 考えてみてよ 此処は、近藤邸だよ。ひょっとしたら隠しカメラがあって 2人のエロいとこ録画されちゃうかもよ?」


その言葉を聞いた彼女は、おもむろに部屋を飛び出しどこかへ行った。

少し、冗談が過ぎたかな?
数分すると 由美さんが戻ってきて開口一番に

「近藤さんの奥さんに聞いたけど 島には犯罪類の物が無いから 防犯カメラの設置も、他人のセックスも記録する趣味はありません・・・だってさ。 だから 何にも気になる事は無し さぁ そうなれば脱いだ脱いだ 男は度胸だよ」


そんな事を聞いてくるかよ! 由美さんの行動力は認めるけど なんだかなぁ・・・

No.37 14/06/16 07:32
夜の魔術師 ( 30代 ♂ TcKGh )

正直なとこ 体力があまり回復してない。早朝に起きて 電車やバスを乗り継いで 船まで乗って 途中で仮眠はしたけど・・・


「由美さん 今日はキスだけで勘弁してよ~ 明日 明日頑張るから」


「しょうがない じゃあ 腕枕と熱いキスで我慢しよう」

なんとか交渉成立。朝からバタバタの火曜日が、終わろうとしていた。

夜中だと思う 誰かが俺を呼ぶ。


「お兄ちゃん お兄ちゃん・・・」


最初は、由美さんの寝言かと思い 横を見ればあどけない表情で寝ている。

何の夢だったのだろう?

気になりつつも またすぐに眠りへと落ちていった。

翌 水曜日の朝。先に修学旅行の感覚だと話をしたが、朝食の時がまさにそれ

由美さんや博子ちゃんにゆきえちゃん 女性陣は洗顔でシャッキリとした顔立ちだが、俺や小林 プリンちゃんは、如何にも 今 起きましたと言わんばかりの寝ぼけ顔。


「みんな朝食を食べた後で 島をグルッと回ってみるかい?」


近藤の一言で 良い時間潰しができる。そう思ったのは、俺だけじゃないはず
「近藤 早朝から畑仕事をしてきたのか? お前の顔を見ると 早起きは、どうやら本当みたいだな?」


「浩之 早起きは良いぞ! 5月初旬だから まだ寒く感じるけどな この島 6月の終わりでも寒さを感じる。9時に館の玄関で集合って事にしようぜ」


数年前の近藤では、考えられないほどの行動力。朝食が終わり 此処の部屋に戻り 散策の準備に取りかかった。

No.38 14/06/17 18:32
夜の魔術師 ( 30代 ♂ TcKGh )

近藤の館とでも言えばいいのか? 玄関にみんな集まっていた。俺もだが、近藤すら長袖 女性陣は、それ+トレーナー

軽装している者は少なく 『転ばぬ先の杖』 ちょっとしたミニキャンプ。そこそこの飲み物


由美さんも、みんなに釣られて買ってしまったが、実は 近藤の館に戻る昼ご飯まで 重宝する事になる。


「浩之 お前さ! どこに行くつもりなんだよ? みんなサイドバッグや小さい紙袋なのに 100均で買いました~的なマイバックを手に・・・ 中を見せてくれよ」


博子ちゃんや由美さん ゆきえちゃんは昨日の朝から一緒にいるので知っているが、小林とプリンちゃんは、中に入っている物を見て苦笑い。



「浩之さん 私と別れた後でも その几帳面な性格と用意周到さは、変わらないね。別の意味で安心したよ」


2人から笑われて なんとも言い返しができなかった。(ToT)


「浩之 ジュースやお茶は、分かるぜ。だけど缶詰めは、いるか? なんだよこのサバイバルセットは?ナイフにマッチにろうそくに・・・ お前 ちゃんと自分で持てよ。間違っても、由美さんに持って貰おうなんてするなよ!」


「分かっているさ! 誰が他人なんか頼るかよ もし、迷子になった時や 遭難した時の事を思えばこそだぜ!」


内心 プリンちゃん達に笑われて 自分でも、こんなに荷物いるか?と思い始めてた。

No.39 14/06/19 15:09
夜の魔術師 ( 30代 ♂ TcKGh )

この島に到着した時に 確か歩いて2時間程で回れると 近藤は話してくれた。


主要道路? 島周りの路面舗装は荒れる事なく これから先も道路としての立派に使えるだろう。


だが、一歩 人工的な池?や近藤の館に近づくと お世辞にも綺麗な道路はとは言えない

そんな事を観察しながら 我ら探検隊(笑)は、島を散策した。

「近藤隊長~質問。 この島 危ない獣は居ないのかな? あと 歩いていて トイレに行きたくなったらどうするの?」


ゆきえちゃんの発言に同じ事を俺も思っていた。



「ゆきえちゃん 鳥や虫は、居るけど なんとかパークに有りがちな豹やライオン 肉食系や犬や猫すら居ないよだから 夜出歩いたからって 食べられる事は無いから トイレは・・・島に栄養を与えよう」


由美さんが即座に食いつく。



「近藤さん ちょっと待ってよ。あなた達は男だから その辺で立って出来るでしょうけど 女は・・・大きい方も小さい方もしゃがまなくちゃいけないのよ!!」


女性陣から一斉にクレームが出た。当然だろう 街中の公園ですら男女や障害者用のトイレが設置してある。

都会に住む人は、そこら中にコンビニがあるし 日頃からトイレの設置されている場所を気にした事も無い。


だけど この島に栄養をとは・・・ 聞いていて笑いが出てしまった。


「そんな事言っても 島周辺にトイレを作る事までは、思いつかなかったよ。 女の人には悪いけど 草陰やどっかに隠れて用をたして」


次 来る時までは、船乗りはと適当な距離図り トイレを作ると約束したが・・・どこまで真剣なのか?

No.40 14/06/21 21:26
夜の魔術師 ( 30代 ♂ TcKGh )

街中では、ちょっと考えにくい 少し風が吹いたからと 肌寒いなんて

もう少し 重装備でも良かったと後悔。俺が、タオルをマフラー替わりに巻くのを見て

みな真似をし始めた。


「5月も、肌寒いけど 今年はちょっと天気か変だなぁ?」


近藤は、独り言を言ったつもりでも 横に居た俺は、はっきりと聞こえていた。



「結構 晴天だと思うけど そんなにヤバい天気なのか?」


「浩之 まだ俺も2回しか体験してないけど 晴れていても突然の大雨があるんだ。それも、2日ほど続き ラジオは入るけど スマホや携帯の電波はアウト 当然ながらテレビも砂嵐に近い。もっとも 俺はゲームかDVD 妻は読書かプチリフォームしてるけどな」


近藤の妻と言う発言。非常に羨ましく そして『妻』をすんなりと照れる事無く言える 彼を見ていると 俺も無性に由美さんへ言ってみたい


近藤の館に着いて 2人だけになったら 今後の未来の為に 練習してみようと決意。


みな行進を乱さず テンポ良く歩く。後列を歩いていたプリンちゃんが、先頭の俺達に声を掛ける。


「近藤さ~ん このちっちゃい森みたいなの 入った事ある?どんな風になってるの?」


「プリンちゃん 外周2時間の徒歩 そっちに行っちゃダメだよ。 区画整理してないから 道しるべも無く迷いやすいからね」


プリンちゃん不満そうに は~いと

坂道を上がっていると思っていたが、島の大半を見下ろせる絶景。


ここで休憩となる。シートを広げ 各々に持ってきた飲み物 お菓子を食べ やや冷たい風に揺られ 気分を満喫する。

No.41 14/06/23 07:51
夜の魔術師 ( 30代 ♂ TcKGh )

ランチパックやお菓子を出し 歩いてきた道のりを眺め 昼食までの時間を繋ぐ。


「浩之 俺にも缶詰めくれよ。人の物ってのは、何故か? 美味しそうに目に映るのから不思議だ。帰り道の途中で 俺が餓死したら道案内する人がいなくなるぞ」


「お前 さっき外周は一本道って言ったじゃん。ガイドなんて要らないぜ!」

俺を冷ややかな目で見る近藤。沢山 あるわけだし3個程分けても 帰ればまだあるから そう思い渡すと 笑いながら俺の手を取る。


「近藤 俺さ考えたんだけど プリンちゃんがさっき お前に言ってた森と言うのか 怪しい雰囲気の場所とでも言うべきか、俺達で道案内作ったらどうだろう? 詳細じゃなくてもさ 番号と矢印を設置する事で ある程度の目安にもなるし コーティングすれば、雨に濡れても問題ないはずだから」


1人なら 万が一何かあった時は、ヤバいだろうけど この散歩メンバー7人もいるなら・・・ ゆきえちゃん達にしてみれば 勝手に1人夫にするなと思うだろうけど


俺と近藤が話をしている時に後方が騒がしく 小林が、プリンちゃんと由美さんの間に割って入る。

No.42 14/06/26 08:35
夜の魔術師 ( 30代 ♂ TcKGh )

「あんたなんか死んじゃえ」


プリンちゃんの言葉に由美さんも即反応。汚い言葉の応酬が続く。


「すぐに股を開く淫売女に 言われたくない。大体 あんたは、バス停で初顔合わせした時から 気が合わないと思ってたのよ。がさつで 図々しく羞恥心の欠片もない」


「50を目の前にしたクソババァが!」


「50を目の前にしたクソババァでも 今は浩之さんが居るのよ。あんたには、側に居てくれる人がいないじゃない あんたの負け!」


俺と小林が懸命に止めるが、2人共 ヒートアップし過ぎ 掴み合いに発展しそうだったから まずは、2人を引き離す。


「由美さん 一体何があったの? 俺と近藤が先頭を歩いていた時に 何か不具合でもあったの?」


「あのバカ女が、私と博子さんが話していたとこに割り込んで来たの 割り込んできた事自体は、何とも思わなかったけど 嫌みをブチブチ言い始めて 無視していたけど くどいからムカッと・・・」

この島に来て まだ2日目だと言うのに このまま何もなければ良いのだけど・・・

No.43 14/06/27 11:07
夜の魔術師 ( 30代 ♂ TcKGh )

俺と由美さんが、神妙な面もちで話していると 近藤も近寄って来る。


「険悪になった後だから 仲良くしてくれってのも無理があるだろうけど 船が来る日曜の朝までは、平穏に頼むよ。由美さんには、お前が居るだろうけど プリンちゃん・・・ このままでは孤立してしまうかも知れないな」


「近藤さん 申し訳ないけど あなたのお願いでも、あんなのとは仲良く出来ないわ だからと言って浩之さんが、あの馬鹿女の元にご機嫌を伺うのは、もっと許せないけど」


プリンちゃんに愛情は、まったく無いが、事情を聞く為にフォローへ行こうとしたのは事実。


由美さんには、俺が次に取る 行動が判っていたからの発言だったのだろう。

プリンちゃんの方を見れば 小林が、なだめていた。まずは、一安心だろう。


「由美さん プリンちゃんの肩を持つ訳じゃ無いけど この島に居る以上は、まったく喋らないって無理があるよ。そこら辺りは、承知してよ」


「うん もちろんだよ。私は、キミと体だけじゃなく 心も繋がっている。そう思っているから 心配はしてないけど・・・さっき 馬鹿女と口喧嘩になった時 キミがフォローへ向かう素振りをしたから 釘をさしただけ」


「みんな 腹が減ってイライラしてるのかもな? このまま行けば13時には帰れる。帰ったら即 昼ご飯だね。さぁ 我が館へ向けて帰ろうか」


一波乱あったが以後は、無事に帰れ 昼食となった。

No.44 14/06/28 18:50
夜の魔術師 ( 30代 ♂ TcKGh )

みんなが大広間に入れば 既に料理は並んでいた。


「お帰り 丁度今 出来たばかりよ。ブーちゃん あとちょっとだけ料理が残っているから 運ぶのを手伝って」


GREE熟に促され 近藤は大広間から消えて行く。多分だが、さっき起きた小競り合いは報告するのだろう。


着席している者の中に 先ほどの話題を上げる人はいなく GREE熟の料理を目で楽しんでいた。


「浩之さん 私も、料理には自信があるけど 近藤さんの奥さんには、勝てる気がしない バリエーションが凄いよね。海に面しているから 魚料理が多くなるのは、仕方がないと思っていたけど 刺身 焼く 煮る 蒸す 本当に素晴らしいわね。近藤さん まだ帰って来ないけど 私達も運ぶの手伝いましょうか?」



由美さんとドアを開けたまでは良かったが さて! どちらへ向かえば良いものか?


「お~い 近藤 聞こえたら返事してくれ お~い」


突き当たりから声がした気がする。由美さんとそちらへ向かえば エプロン姿のGREE熟 腕を捲り上げている近藤が 料理を運ぼうかとしていた。

近藤と由美さんがボールに入ったサラダと取り皿を持って大広間へ 俺は別の料理を運ぶ為待っていたが やはり・・・GREE熟は、俺にプリンちゃんと由美さんの事を聞いてくる。

No.45 14/06/29 12:03
夜の魔術師 ( 30代 ♂ TcKGh )

「浩之さん、もう判っていると思うけど プリンちゃんの味方なんかしちゃダメよ。それをやられると 彼女として由美さんの立場が無くなるし・・・」


「十分に気をつけるつもりだよ。由美さんからは、原因を聞いたけど 先頭を歩いていた俺と近藤が直接 やり取りを見てないから 本当は・・・プリンちゃんからも どうしてそうなったか理由を聞いてみたいとこだよ」


スープが出来上がり GREE熟と共同で運ぶ。 ドアを開け 再び由美さんとプリンちゃんがやり合っていたらどうしよう?

そんな 嫌な予感もしたが、それは外れてくれた。


昼食の最中 ゆきえちゃんが、口を開く


「朝に散歩をした時 木が生い茂ったとこがあったよね? 案内標識を 昼食食べた後 みんなで作ろうよ。A4サイズで作りラミコートすれば 雨に濡れても大丈夫だろうし 20枚程度作れば 私達が帰った後でも、近藤さん達が迷う事もなくなると思うの」


やる事が無く ブラブラするだけ 全員一致で賛成。GREE熟が日曜大工で使う結構な量の材木と木槌 画用紙とマジック テープを用意してくれた。


「近藤 俺達が帰った後でも 開拓するんだよな? 人手が居る場所があるなら 俺が手伝うぜ。1人でやるよりは、気も紛れるし 仕事もはかどると思うよ」


「浩之 ありがたく甘えさせてもらうよ。男と言っても 1人でボチボチやっていると 嫌になる時もあるからな」


食事を終え 少し休憩をして 玄関前に集まると話が決まった。

No.46 14/07/01 08:16
夜の魔術師 ( 30代 ♂ TcKGh )

此処に用意した案内表示。由美さんのアイデアで矢印や×の行き止まりだけじゃなく その標識自体にも番号を打てば より目安になりやすいとアドバイス。


朝の散歩の時と違い 全体の雰囲気も良く 意気揚々と行進。

「近藤 入り口はともかく 確かな出口って どれくらい判っている?」


「浩之 不確定要素が多いから それを減らす為の今回なんだろう 正直 俺も迷いたくないから この中には、あまり入らない様にしているんだ」


2年も、住んでいるのに・・・ってのは、勝ってな俺の意見なのだろう。


「必ず2人以上で行動し 大体の間隔で 表示を立てて行こう。行き止まりのとこは このバッテン行き止まりを立てる。先ずは 俺が知っている出口まで みんなで行こう」


近藤隊長 いざ出陣。これだけ人数が多いと 心細いって感じはしない。

それでも 俺はPPテープを入り口の木に括り付け それを解きながら出口へ向かう。

No.47 14/07/03 08:34
夜の魔術師 ( 30代 ♂ TcKGh )

意識して誰と誰が一緒になる。それに注意を払うべきだった。

先頭の近藤のすぐ後ろを俺がPPテープを伸ばしながら着いて行く。俺の後ろは・・・誰もいない みな各個に分かれたのだろう。


近藤と2人で森からの出口に到着。即座に テープを木に括り付けた。


「浩之 俺が知っている唯一の出口への道。これ以外に 他も見つかるといいよな。迷うこと無く すんなりと行けば 30もあれば出れる。ただ、道に迷うと焦りや苛立ちから 思考が鈍り・・・ まっ! こんな事は考えなくていいよな。 その為の今日だし」


「これだけの人数がいれば 声を出せば 誰かが気がつくよな。どの程度 出来たか みんなのとこに戻ってみようぜ」


目印がある やや頼りないPPテープではあるが・・・
それでも どこかしらの安心は湧いてくる。


近藤と雑談をしながら 入り口へ向かうと 悲鳴が聞こえる。

「きゃ~ 助けて」

「近藤 今の由美さんの声だ!どっちから聞こえて来た?」

俺と近藤は無我夢中で大きな声を出した。

No.48 14/07/03 16:08
夜の魔術師 ( 30代 ♂ TcKGh )

俺と近藤の声に由美さんが反応する。


「こっち 声のするこちらに向かって来て」

未踏だと思える場所から 由美さんの声が段々大きくなる。

到着してみれば 畳一畳分の広さ 深さは由美さんの頭がちょっこと出る程度だから 150センチってとこだろう。


俺達がその場所に到着したあと 続々とみんなが集まる。

「由美さん 怪我は無い? どこか強打しなかった?」


「浩之さん ありがとう。お尻を少し打ったかも? 他に抜け道は、あるのかな?とここまで来た時 この穴に落ちてしまったのよ。近藤さ~ん 何?この穴? 絶対に危ないと思うよ」

俺が、手を延ばし 由美さんを引っ張り上げる。小林と近藤に体を押さえて貰っての行動。


「浩之 相変わらず 馬鹿力だな。由美さんが何キロあるか知らないが、普通 片手で引っ張り上げれるもんじゃ無いだろう・・・お前の腕力 ちょっと頂戴」


「近藤 お前にだって 小狡い事に関しては、抜群な知力があるじゃないか」

「浩之 それじゃ 近藤さんが可哀想だよ。思いっきりトゲの有る言い方じゃないか」


忠告している 小林だって顔は笑っている。的を得ていると思うこその 含み笑いだと 俺は思った。

今回 由美さんが、落ちた この穴。また 誰かが落ちるやもしれない

みんなで手分けし 四方2メートルの雑草を取り 更に四カ所杭を打ち PPテープで囲み 穴がある事を知らせる看板を立てた。

No.49 14/07/04 07:52
夜の魔術師 ( 30代 ♂ TcKGh )

作業を終え 次に不足の自体に備え 全員で立てた標識を確認しながら移動。

標識の案内通りに歩けば 出口へと向かい その他にも、近道や通行不可が新たに見つかる。

「俺 みんなに感謝するよ。浩之のPPテープで確実な目印を作成する案も良かった。持ってきた杭やラミコートの標識も 全部使い切ったし 戻る頃には、夕食も出来ていると思う。本当にありがとう」


俺 小林 近藤 男性にしか出来ない力仕事の間 女性陣は、雑草や小枝を処理し 道の拡張に努めてくれた。

昨日 到着したばかりの島だけど 少なくとも、覆い茂った最初のイメージは結構拭われた。

「博子ちゃん 何か口に出来る物ある? 私、自分の食べちゃったから 何にもなく もう近藤さんのとこに着くまで 保たないよう~」

ゆきえちゃんが、発した言葉で みんなが微笑み ここに居る全員に力をくれる そんな感じがした。


「近藤 人の力って凄いよな。これだけの人数が整備に取り掛かれば 見た目が怪しかった森も 案内表示がある事で 生まれ変われる」

近藤は、クルッと振り返り 今まで作業していたとこを感慨深く見ている。

全員が無事帰宅し 大広間に集まれば、焼き肉の用意がしてあった。

誰も、歓喜の声を出し 俺も由美さんもテンションは急上昇。

さっきまでの疲れは吹き飛んだ。用意が整うと 我先に肉へと箸が伸びる。

No.50 14/07/04 23:17
夜の魔術師 ( 30代 ♂ TcKGh )

食卓での焼き肉だが、やはり何年か前を思い出す。近藤と2人でリストラされ お互いを励ましながら食べた焼き肉。ゆきえちゃん 博子ちゃんとの忘年会。ゆきえちゃんの結婚式の二次会


由美さんとGREE熟の初対面での忘年会。その席で 由美さんの爆弾発言。みんな良い思い出。


「近藤さん お肉って貴重なんじゃないの?お魚は、海がすぐ側だから良いとして 私達が、こんなに消費してしまったら 帰った後 困るんじゃないの?」



「ゆきえちゃん 流石は元彼女 気遣いありがとう。でもね この肉は、この焼き肉をする為に用意していたから 問題ないよ。寧ろ 全部平らげてくれた方が、無駄にならず 助かるね」

その言葉を聞いて安心したのは、ゆきえちゃんだけではく 俺もだった。

食べ始めた時は、俺なりに遠慮をしていたけど 館の主である近藤が遠慮なくと言うのだから・・・

満腹になった人から席を外す。多分 部屋に戻るか 外で風景を眺めるか この島では、時間が有り余る。

俺と由美さんは、少しでも手伝えればと GREE熟と近藤がいるキッチンへと向かい 食器洗いをやらせて貰った。


「浩之さんも、由美さんも、お客さんとして来ているのだから 私とブーちゃんでやるから ゆっくりして下さい」


もう粗方片づいているし 由美さんと2人で部屋に戻った。

島に来て 時間の流れが遅く感じる。つい癖で 時計を見てしまう。


「浩之さん・・・」


由美さんが俺を見つめる。

投稿順
新着順
主のみ
付箋
このスレに返信する

小説・エッセイ掲示板のスレ一覧

ウェブ小説家デビューをしてみませんか? 私小説やエッセイから、本格派の小説など、自分の作品をミクルで公開してみよう。※時に未完で終わってしまうことはありますが、読者のためにも、できる限り完結させるようにしましょう。

  • レス新
  • 人気
  • スレ新
  • レス少
新しくスレを作成する

サブ掲示板

注目の話題

カテゴリ一覧