猫の背中を撫でながら
ショート*ショートです。
気長に書いていくので気が向いたら
ぜひ、読んで下さい。
よろしくお願いします。
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娘が卒業した年は私も初めての中学校生活に戸惑い、どちらかというと清水先生頼りで、勉強の仕方や試験前学習、またパニックの対応策など愚痴やため息が混じりながらも話していた。
娘も一緒で先生のクラスや相談室で話をしていて、それが普通になってきた頃には中学校生活1年目は終わりになった。
それが2年目になると様子が変わる。
年に数回でも、娘と保護者の私が分かる先生たちが少なくなり、清水先生の紹介で赴任してきた先生たちにあいさつすることも増えた。
「中学生になっても、こうして訪ねてきてくれて嬉しい」
そういってくれる先生もいたけれど、やはり、こうして訪ね、相談していることは違うんだと私自身、感じるようになってきた。
先生、忙しいよね、、、たまにと言っても時間を取ってることには変わりないし、連絡しても出張だから、会議だからと返信が来ることもあった。
先生はイヤな顔はしないけど、もう卒業もしてる、迷惑だろう負担だろうと私が離れなきゃ…だよね
メールでは相談の日時の確認だけで、プライベートなことは送ったこともなく、返信も大丈夫ですくらいだった。
娘の相談も会ってからしていた。
家でも娘が普通に清水先生のことや相談で母校に行っていることは話していたから、パパもそのことは知っていた。
「八生(やよい)は清水先生が好きだね」
「うん、テストの点数の目標を決めたんだ。数学、苦手なんだもん」
「先生も忙しいから、お世話になり過ぎるなよ、八生も中学生なんだから」
「うん、分かってるよ。清水先生ね、佐倉先生と知り合いなんだよ」
2人の噛み合わない会話を聞きながら、私は苦笑する。
だけど、パパの言う通りで、きっと私が頼り過ぎ、、、娘の八生よりも。
仲良しの友だちができた八生は、1年生の頃に比べたらすごく落ち着いた。
登下校もクラスも部活動も一緒の友だち。
小学校時代に娘が欲しくて欲しくてたまらなかった【友だち】。
清水先生に話すととても喜んでくれた。
「八生さんも明るい顔が増えて、オレも嬉しい」
だから、私が先生に日時確認メールをすることは自然と減っていった。
そんなある日、私がパート先でうっかりミスをした。
新人さんでもなければ、やらないような失敗!
周りにも後処理を手伝ってもらい、残業にもなった。泣きそうになる。
帰り道、頭の中がぐるぐるし、真っ白状態。パニックはだんだん収まって来ても今度はひどい落ち込み…。涙がうるり。
私は清水先生にメールをした。
“今日、お忙しいですか?”
退勤時間を過ぎていて、スマホがさわれる状態なら先生からは返信が来る。もちろん、出張や会議、仕事の忙しさに私のメールは多々、後回しになる。が、その日はすぐに返信があった。
“大丈夫ですよ、何時に来れますか?”
私は家事をバタバタと済ませ、娘に声をかけ、家を出た。
学校に到着したのが18時くらい…先生に“着きました”とメール。
もう鍵のかかった昇降口を開けてる先生の姿を見つける。私が以前、もう卒業生なのに学校内で相談はしづらいと言ったことを分かってくれて、少し前から昇降口で立ち話に変わっていた。
先生の姿にホッとして、それから、あれ?と思った。
私、何してるの?
急に現実に戻った。
「あれ、今日はひとり?八生さんは?」
いつもの優しい笑顔で迎えてくれた先生の言葉に、私は急に恥ずかしさを覚えた。
「今日はひとり、なんですけど…ごめんなさい、八生の相談じゃなくて」
ん?と先生の顔。
うわーッ‼スゴイ、恥ずかしい、めちゃくちゃ、、、私、顔が火照る。
「ごめんなさい、仕事でミスして落ち込んでて、、、先生にメールしてしまいました(>_<)」
「え?あ、あーそうなんだ…八生さんに何かあったんじゃないんですね」
先生は良かったとひとり言のように呟き、そしてちょっとの間、私は下を向いたままだった。
娘のことじゃないんだよね、相談じゃないんだから帰らないと(・_・;
「あの、すみませんでした。先生、忙しいのに、帰ります!ごめんなさい」
私、何で先生のところに来ちゃったんだろ?
「いえ、いいんですよ。……あーじゃ、コーヒー飲みに行きますか?寒いし」
「え?」
11月も半ば、朝に晩に肌寒さを増して来て、頬にあたる風も冷たく、しばらく外にいると寒く感じる。
ああ、寒いから
私の単純な頭はそう考え、はいと返事をした。
駅前のスタバで改めて待ち合わせする。
コーヒーを飲んで帰ろうと先に店内に入り、ほうじ茶ラテを頼む。
先生の分とも思ったが、何が好きかは分からない。とりあえず、ガラス張りの前に空いてる席を見つけ、スツールに座った。
後からスーツに着替えた清水先生が来る。私を見つけ、ブレンドを購入し、もう一度、店内を見回した。それから、
「向こうの席でもいいですか?」
と奥の席に移動。
「どうせならふかふかなソファにしましょう」
お尻が沈んでしまうくらいのクッション、先生と向かい合わせになると妙な感じ。
「八生さんは元気ですか?…中間はおわったのかな?」
「来月に期末になります」
「友だちとは仲良しですか?」
「仲良しですよ、この前、、、」
先生と八生の話。あったかいラテを手で包みながら、コクンと飲む。ほうじ茶の香りとラテの甘さ、先生とゆっくり話す心地良さ。
30分もしない内に飲み終わり、じゃ行きましょうかと席を立つ頃には私も落ち込みから少し立ち直っていた。
「また何かあったら連絡してくださいね。お母さん自身のことでも(笑)」
「もう大丈夫σ(^_^;)。先生、ありがとう。元気になりました」
素直にそう口にして、店の前で別れた。
晩ごはん…と時計を見ると19時過ぎ。駅前の大手ショッピングセンターのスーパーに寄る。
簡単にお惣菜を買い、レジに並ぶ。すると八生と小学校時代に一緒だった石井さんママにばったり会った。
「お久しぶり、川野さん。元気?」
石川さんは元気がよ過ぎて、おしゃべり好きで私は少し苦手だった。
「石井さんもお元気そうで」
「今、帰り?」
「うん、せ、……人に会ってたから今の時間」
娘と同じクラスで担任だったけれど、何となく清水先生の名前は出せなかった。
「あ、そうそう!さっき、そこで清水先生に会って^_^ちょっと話しちゃった。まだ仕事だったのかな、大変だよね~」
あっけらかんと笑う石井さんに、ふと、スタバで奥の席に移動した理由が分かった…気がした。
そうだよね、ダメだよね。卒業してる子の保護者でも2人でコーヒーなんて…
先生に悪いことをしてしまった
私が変に落ち込んで暗かったから気を使ってくれたのだろう
申し訳ないと思うと同時に先生の優しさが嬉しかった。
「先生、忙しいんだろうね」
私は感情も込めず、そう返すとすかさず石井さんが、
「何、上の空なの?何かあった?」
ぐいっと身体を寄せてくる。
「何もないよ(^_^;)」
「あ、清水先生、そろそろ異動じゃない?もう6年だもの。そう言えば、担任してもらってたとき、先生、休んでたことがあったよね」
休養なんて初めて聞いた。私、ずっと相談にのってもらってたのに……。
「ホラ、あったじゃない、先生が1週間くらい休んだこと」
私は思い出そうとしたが、全然記憶にない。もしかしたら、八生が学校に行きたくないと揉めていた頃かも知れない。
「先生、憔悴してて、今もまだ入院みたいだよ。市立病院にいて、休みの日に先生に会った人がいて、聞いたんだって!でも何か奥さん、寝たきりみたいだよ。チラっと病室見たら、点滴とモニターがあったって」
石井さんのおしゃべりが何だかよけいなお節介に感じてきた。先生の噂話、プライベートなことなのに、聞いてもいないのにピーチクパーチク…。
「先生だって若いのにね、これから大変だよね。アッチだってどうしてるんだろ⁉ねぇ( ̄Д ̄)」
「知らないよッ! ごめん、もう時間なくって。またね」
ちょっと興奮した自分がいた。
私の知らない先生の姿、噂話、プライベート。
乱暴に歩き、ちょっと涙ぐみながら、私はショッピングセンターを後にした。
家に着くと気持ちがぐちゃぐちゃだった。頭も痛かった。八生に出来合い晩ごはんを出し、パパには早めに寝るとメールする。
パジャマに着替え寝る支度をして、ベットに潜り込む。スマホを握りしめて、私は苛立った気持ちがいっぱいだった。
次の日、早目に寝たからか頭はスッキリしていた。
八生とパパのお弁当を作り、朝ごはんもいつもにしては美味しそうな和膳が並んだ。
時間の余裕がある、そんな感じ。
ゴミ出しと2人を見送り、私は後片付けを済ませ、ゆっくりとコーヒーを飲む。
目覚めの一杯♪
それから昨日のことを思い出す。
先生のこと、石川さんが話していた先生の奥さんのこと。
自分がしたミスは今は小さく感じて、あと少ししたら仕事に行かなければならないのに、頭の中にはほとんど残っていなかった。
「そういえば、先生のこと何も知らないなぁ」
私はひとり言ちた。
スマホを持ち出し、今までの先生とのやり取りを見返す。
口元が緩むほど、私も先生も通り一遍の言葉しか並んでいない。
私も娘のことで一生懸命だったんだ。
『やよいさんってどうして八に生きるって字なんですか?』
先生が担任だったときに不意に聞いてきたことがあった。
八生の字は読めないし、どんな意味があるの?とよく聞かれるから、私も慣れたもので、
『七転び八起きからです。主人が好きな言葉で、失敗してもくじけてもまた立ち上がるというか、何度でも頑張るというか…もう一度、生きるですね』
『もう一度…生きる……。いい名前ですね。八生さん』
ふっと遠い目をした。
あの頃だったのだろうか?奥さんの入院、寝たきりなんて、こんな長い長い時間。。。私にできることって何かあるのかな。
そう思うと、私は今までしたことがないメールを先生に送った。
初めて日時連絡以外のメールを送ったときは私のひとり言みたいな感じだったから、
先生から返信が来るとは思ってなかった。
その日の夜に短いながらも返信が来て、ちょっとびっくりしたものの、私はほんのり胸が暖かくなった。
それから朝にちょっとしたメールを送るようになると、夜だった返信が朝に返ってくるようになった。
単純に嬉しかった。
朝の忙しい中、隙間時間に先生からメールが来る。
私が送るから来るメールでも、、、嬉しかった。
前日にあったクスッと笑ってしまうようなこと、嬉しかったこと、楽しかったこと、何でもないちょっとしたことを送る。
何気ないことでも毎日続くと、それが楽しみになってくる。
1日1通のお互いのやり取り、それが私の中で大事になっていった。
(さすがに休日はしなかったけれども、休み明けは少し長めのメールになった)
3週間、4週間と時間が経つにつれ、ふと疑問が浮かぶ。
私、いいのかな…こんなメールしてて
先生からは迷惑とかやめて欲しいような返信では来ない。だからと言って、楽しみにしているような感じでもなく、メールが来てるから返信するといったような義理やビジネスメールみたい。
私もやめた方がいいと分かっていながら、朝のメールは送っていた。
毎日のメールってやっぱり、おかしいよね……だけど、送りたい
この頃は八生も落ち着いていて、前のような相談したいので学校を訪ねることはなくなり、今まで定番だった日時メールは姿を消していた。
それまで先生が出張だから会議だからと都合が合わないときに返ってくるメールはなく、決まった時間のメールのやり取りに私はだんだん安心感を得ていた。
だからよけいに、こんなことはいけないと思いながらやめられなかった。
だから、つい、私は親しくなったような気でいた。
メールで娘のこととは関係なく、ラフな内容でやり取り。私は少しずつ、先生のこと、好きだなぁと思うようになっていく。
特別感、優越感、親近感、それらも混ざっていたと思う。
先生への好意を自分で自覚すると、私の中で、とてつもない罪悪感が生まれた。
好意なだけ
ファンみたいなもの
想うだけなら…
言い訳のような言葉を並べ、ごまかしながら気持ちを抑えながら、私は先生に思慕する。
バカだなぁ…
いつも先生への想いを考えあぐね、私がたどり着くのはそれだった。
「私はバカだ」
口にしても同じ。叶う想いでも届く想いでもなく、それより、そんなことを思う私がバカなのだ。
こうなるとメールは哀しく切ないものでしかなくなった。
私から送らなければ、先生からは来ない。
それが先生の常識なのに、メールはやめられなかった。
それでも2学期が終わり、3学期に入るとやめなければ…の思いが強くなってくる。
石井さんの言葉が現実になるだろうと思うからだ。
『先生、異動だろうね』
私もそう思う。八生が卒業して2年経っていても見守ってくれている先生に、どんな形であれ、甘えすぎてる私。
先生が学校にいないのに、いつまでもメールだってできないだろう…
私は何となく、姿を見たり約束で会えることがなくなったら、メールはなしだと思っていた。なぜかは分からないけれど、普通に会うことができるからメールしていいと。…何でだろう?
私はそんな思いから、徐々にメールを送る間隔をあけていく。
“私が送らなければ、先生からは来ない”
その現実に向き合い、私は自分を傷つけ、この気持ちに終わりをつけようとしていた。
けれど、想像以上に、、、これは苦しく、そしてたくさん傷ついた。
娘のことで相談していた私、しかも八生に目が向いていた頃の支えの先生ではなく、八生のことが落ち着いた今になって先生に好意を持って、たくさん傷ついたと嘆くなんて、、、おこがましい。
自分を悲劇のヒロインにするつもりはないけれど、片思いなくせに泣いたり苦しかったり切なかったりと自分は何て可哀想なのだろうと浸っていたところはある。
本当、自分はバカ者…嬉しさや幸せをもらえることはなく、報われることも好意を見せることもできない恋なんて。
私はどんどん自分を追いつめ、先生に1ヶ月“メールしない”を達成した。
1日ずつ、メールを我慢をする。それが3日になり、1週間になると“ヨシ‼”に変わる。また1日ずつ、我慢。その繰り返し。
我慢をずっとして、送りたい日はわざと忙しくして気持ちを逃がし、送らなかった日には頑張ったじゃない^_^と自分をほめた。
そうして“私が送らなければ、先生からは来ない”が普通になったある日、スマホのメール受信が鳴る。
先生からメールが来てもいいのになとごくたまに思ったけれど、先生には用件なんてないんだと何度も私は自分を納得させていた。
とにかく私の我慢!
先生とのメールのやり取りやこの数年間の関わりを終わりにするには私の辛抱だけ。先生は私の気持ちなんて知らないのだから。
そんな2月も終わりに近付いた日、ピコン♪と先生からメールが届いたのだった。
“お元気ですか?
また何かありましたら連絡下さい”
先生からのメールに私はキョトンした。
それからすぐにかーッと身体が熱くなる。
先生から?Σ(・□・;)
イヤイヤ、大したことない、ない…
私は冷静になれ!とばかりにシンクに手をつき、目をつぶる、、、深呼吸。
ちょっとしてから、返信しよう
私はそう思うと手早く、晩ご飯の支度を進めるが裏返しにしたスマホの先生からのメールを気になり、鍋のふちで軽いヤケドをしたりした。
めっちゃ動揺して、挙動不審‼
たった1通のメールに私はワタワタして、そして、嬉しかった。
晩ご飯の後片付けも済み、パパのご飯はラップをする。
今日も遅いのかな?と時計を見る。八生はリビングでテレビを見ていた。
先生に返信しようか…
いくつかテキストを書いてみて、いちばん無難そうなメールを送った。先生にメールなんて久しぶりだった。
少しするとまた先生から来て、めずらしくやり取りがあって、私は高揚した。いつもならセーブするのに私はつい、会えるときはありますか?と送ってしまう。
先生からの返信、、、
“今週、水曜日なら。5時くらいに、着いたら連絡下さい”
結局、私は先生に会いたいのだ。
今まで我慢していた分、その日が楽しみだった。
水曜日、仕事から戻ると晩ご飯の支度を先にした。
洗濯物や朝、早かった分の家事を済ませ、私は無難なセーターから少し可愛らしいプルオーバーのシャツに着替え、クリーム色のカーディガンを羽織った。下はスキムジーンズ。
コートを手に八生には書き置きをし、家を出た。
6時には戻るから
そう心で呟き、私は久しぶりに先生の顔を見たくて、少しだけ声が聞きたくて、約束した5時に間に合うように家を出た。
日が傾き、もうすぐ暗闇がやって来る。そんな夕暮れ空を背にした校舎が見え、私はスマホを取り出した。手ぶくろを外した指先にその冷たさが伝わる。
「寒いなぁ」
3月になろうかというのにまだまだ冬将軍が居座っているようだ。
“着きました”
校舎にたどり着く前に以前と同じようにメールする。時刻は17:16だった。
差し入れを選んでいた分、遅くなってしまったようだ。私ははやる気持ちを抑え、いつも先生がいてくれる昇降口に急いだ。
が、今日はいなかった。まだ鍵も空いていたので、ひょっこりと校舎内に入る。いつもより暗い。事務室にも人はなく、電気は消えていた。
そのせいかな?と職員室に向かう。先生を待っていても良かったけれど、外で待つには少し寒過ぎた。
ノックをして扉を開ける…電気はついたまま、そこには誰もいなかった。
…誰もいない…
コートのポケットからスマホを取り出し、時刻とメールを確かめた。
17:23
メール受信なし
扉を静かに閉め、私はもと来た廊下を歩く。靴を履き、ふと事務室横に出された案内ボードを見つけた。
【広瀬大学宮下教授 ようこそおいで下さいました。3階の応接室までお越し下さい】
私はそれだけで先生たちの研究会だと分かった。校舎外から上を見上げると、確かにひとつの専科室に明かりがついている。
研究会、、、
私は自分で待ち合わせ時間や日にちを間違えたのかと思って、またスマホを取り出し、確認をした。
先生からのメールは今日の17時になっている。
先生が忘れてた?それにしてもこの数日で今日が研究会だって気付くだろう。朝にだって分かるはず…あとは私との面会を先生が忘れたかだ。
何にせよ、私は帰るしかない。校門を出て、もう一度、校舎を振り返る。明かりのこうこうとした専科室は、暗がりの中、とてもきれいに光っていた。来たときよりもいっそう、寒さと暗さの増した夜の道を私は歩き出した。
18時近く、メール受信の音がした。それはもうすぐ家に着くときで、先生からだと思った。
コートのポケットの中で、何回も鳴る。
私は自分の今の感情が何なのか分からなくて、困っていた。泣きたいのか悔しいのか怒りたいのか寂しいのか、、、ただショックだったのは分かった。
けれどもそれをどんな風に表現をすればいいのか分からなかった。
メールから電話の呼び出し音に変わる。
私はそれにも出れなかった。呼び出し音が切れては鳴るが繰り返され、それがだんだん私の心に響いてくる。少しずつ少しずつ、訳の分からなかった感情があふれてきた。
私は手探りでスマホの電源を切った…と同時に涙がこぼれ落ちた。あの振り返って校舎の明かりを見つめてから、私は涙を我慢してたのか……私の感情はようやく答えが見つかり、あふれ出たようだ。
家まであと少し、家路を急ぐ人の中、私は泣きながら歩いた。
夜の帳が下りた街のあちらこちらについた明かりは、何と安心感を与えてくれるのだろう。私のぼぅとした頭にそれは静かに染み込んで来た。
家の前で涙を拭いて、気持ちを整え、私はドアを開けた。
「おかえり、先にご飯を食べたよ」
八生の声だけが玄関に届いた。ん、と返事をするとリビングには顔を出さずに洗面所に向かう。コートを脱いで、腕をまくり、手と顔を洗った。
少しは大丈夫かな…
カーディガンもプルオーバーのシャツも脱ぎ、ざっくりとしたセーターに着替える。
リビングに行くと部屋が暖かかった。
ああそうだ
寒かったからココアでも飲もう
八生に飲む?と聞くとキッチンにいる私には振り返らず、うんと返事をしてくる。シンクにはお皿や茶碗が水に浸してあった。
「パパは?」
「早めに帰ってくるみたいだよ」
八生に返事をして、マグにお湯を注いだ。
暖かなココアをひと口飲んで、椅子に座った。八生にも差し出すと、ありがとと言ってマグを受け取る。
私は八生の見ているTV番組をただ見てい
た。ときどき八生が笑うその声でふっと現実に戻るような、そんな現(うつつ)の中にいた。心在らずだった。
その週の私は落ちたまま、ただ時間は過ぎた。
翌日に電源を入れたスマホには数件のメールと電話の受信が残っていた。私はそれを開かずにそのままにした。
次に何かのメールが来たら、開くことにして放っておく。今の気持ちからはどうしても開けなかった。
先生が悪いんじゃない。
あの日、会えなかったのは、どうしてかは分からない。けど、どうしようもなく哀しかった。この哀しみが癒えるまで、新たなメールは来ないで欲しかった。(パパとはLINEでやり取りをしていたから、メールは開くことはなかったのだ)
翌週、週1で来るメルマガのタイミングで、私はとうとうメールを開いた。
見ても大丈夫! と妙な意気込みを持って、私はようやくメールを開く。
……先生からのメールは、今、どこにいるのかと謝りの内容で、あの日、思っていたより研究会が長引いたようだった。
携帯電話等は持ち込み出来ず、私が来たことも分からず、時間が押しても私に連絡が取れなかったらしい。
終わってすぐにスマホを見たときには約束の時間からすでに1時間が経っていたようだ。
謝りと電話かメールして、と。
ほら、やっぱり先生を責められないと思った。仕事優先だもの、それが当たり前….。
だけど、モヤモヤする。
あのときの涙は乾いたけれど、私が抱えたこの塊はいったい、、、どうしたらなくなる?…未だ胸に残るよ…
“お疲れさまです。連絡が遅くなりました。仕事ですから仕方ありません。忙しくないときにまたお願いします”
メールを確認した日、私はそう返した。すでに1週間は過ぎ、時刻も18時半は過ぎていた。
先生は前回のことはもう気にないと思っていた。いつも忙しく、八生と行く面会のときも出張やら会議やらでダメなときがあったのだから、それと同じだろうと思っていた。
だから、すぐに返信があったときにはびっくりした。
“今日、大丈夫です。前のスタバで19時半は過ぎますがどうですか?”
私はそれをとても冷静に読んで、そしてすぐには返さなかった。
パパは基本的に21時半は過ぎる。だから行けなくはない時間…会いたい気持ちは確かにある。けど、、、19時半。八生を家に置いて…会う?
どうする?
どうするかって?
私は非難されるバカ女だ。そしてズルい。
LINEでパパの帰りが何時になりそうか聞いた、というより確かめる。今日は22時になりそうなのが分かった。
八生にも聞いた。ママ、1時間くらい家を空けるね…どこに行くの?と聞かれた。
「先生に本を借りてくるよ」
そんなとっさの言い訳をした。
時計はもうすぐ、19時。
“行きます。長くはいられないけど”
“待ってます”
先生からのメールに私は変に勇気づけられた。
駅前は人であふれていた。
今から帰宅する人、仕事帰りの人、待ち合わせの人、塾帰りの子ども…そんな中、私は少し緊張した面持ちで歩く。冷たい空気が夜の闇に溶けていた。
こんな夜の時間に外にいて、人と会う…それが後ろめたい。
気が弱いのか何かのか、分からないけど、嘘をついてまで会うなんて私には出来ない(今ですら、苦しい!)と思った。
この場の勢いに任せ、ただ好きな人に会うという感情に任せ、、、私はスタバに着くと今日はカフェオレを頼み、前回と同じように、通りから離れた席に座った。
先生、またスーツかな?
ちょっとだけドキドキしてきた。
何を話そう?
話すことって何かあるかな?
テーブルに置いたスマホがメール着信を知らせる。頼んだカフェオレはまだ口にしてない。
“すみません、行けなくなりました。保護者から電話があり、管理職と対応してます。こちらから声をかけたのに申し訳ありません。また連絡します”
メールを読んで、、、、、
え?
私の最初の感情はそれだった。
私はすぐに物分りのいい大人にならねば!と思った。
返信しなきゃ…“はい”かな? “分かりました”かな?
だけど…だけど何か…おかしいよ
心は動揺はしてる。混乱、困惑もしてる。だけど、それを先生に知られたくなかった。
普通なら、こんな時間に外に出ないし会わないのに、家族をあざむいて、あなたに会おうとしていた私を“待っています”とここで会うハズだった…先生。
だけど、その先生にすら、今、私は思いやるように返信しようとしてる。私の気持ちを知られたくないと隠して、とりあえず返信することが思いやり?私は大丈夫だから、心配しないでと?
“分かりました”
そう返信し、この数十分の自分の行動を思う。
私、何してるんだろう?
何でここにいて、先生を待っていたのかな?
おかしいよね?変だよ。
まだひと口も飲んでなかったカフェオレを口に運ぶ。味はなかった。ただ温かなウォーター、全然、美味しくなかった。
それからずっと毎日、悶々としていた。
“…また連絡します”
と先生は言っていたのに、あれからメールが来ることはなかった。
アレって実は嘘だったのかな?
自分から言ったけど、実際、会うとなったら私みたいに後ろめたくなったのかもしれない。
だから、あんなことを…もし本当だとしても、あれから連絡は入らない。それは私のことはどうでもいいってことだよね?
しかも2回、連続…ドタキャン。
だけど、ふと思う。
先生と私は好き合ってるわけでも付き合ってるわけでもないと。
ただの先生と元保護者の関係…それでも夜に会うなど行き過ぎには違いない。
私が好きだっただけ
こんな悶々とした毎日を続けるのはもう終わりにしたい。もうイヤだ。
季節は春三月…。出会いと別れの季節。
先生とはもう、離れていい。八生だってとっくに卒業しているのだから。
私は意を決して、先生にメールをした。
卒業式も終業式も終わり、春休み。先生は異動なのかは分からないけれど、そう思って今までのお礼も兼ねて、最後に。
…会おう。
今の苦しさから逃れるために、当たり前な別れの終わりを選ぶ。ただ私が好きだったから、、、もし、この感情がなければ意を決した別れの終わりなどいらないのだろう。
やっぱり、私はバカなんだと思うと、この数ヶ月の先生とのことは仕方のないことだったんだと、、、自分を慰めた。
私の左耳の聴こえが悪くなったのはこの頃…いかにストレスをため込んだことか。
聴こえないその耳は私自身の戦いのようでもあった。
“25、26、27日は通常勤務です。28日は半日、31日は1日おります。川野さんの都合のよい日にどうぞ。お待ちしてます”
憎々しい返信メールにも感じる。この前のことはなかったことなのだろうか?
所詮、私はこの程度ということなのだろう。何とも思われていない…だったら、何であんな時間に誘うのか、、、、、。
【会いたい】と思ってくれたからと思いたいものの、こうも冷たいあっさりとした返信だと、今また会いに行こうとしている私が痛々しく感じる。
好きになった…惚れた方の負け、なんだ
妙な気分だ。とにかく、私は先生にとって特別ではない。知人や友人でもない。
それは分かった。
“私も忙しいので、どの日に行けるかは当日でないと分かりません。そのときに連絡します”
私にしては意地悪く言ったメール。
あなたのことなんて何も気にしてませーんという雰囲気を醸し出したい!
分かる?この気持ち…(。-_-。)結局はそう思う時点でダメ何だろうけど。
私は先生に言われた日ばかりに八生と出かけ、先生の退勤時間頃には家にいないようにした。
それで会えないまま、4月になればいいと…返信には4月の予定はなかったから、やっぱり異動なんだとそれだけは確信に変わった。
八生と買い物や本屋さん巡り、ケーキバイキングに行ったりと、ゆっくりと暖かくなる春の陽気に誘われて出かけていると私も穏やかな気持ちになる。
先生との約束はまるでなかったかのように。
「ママ、私、新学期には3年生だし、新しいノートが欲しい。ペンも欲しいな」
「じゃ、駅前のショッピングモールに入ってる本屋さんはどう?あそこに文房具屋さんもあったから」
仕事から戻り、八生とお昼ご飯を食べているときに話はまとまった。ちなみに八生は文化部で春休みということもあり、部活動はなく、ほとんど家にいる。
「あそこに可愛い雑貨屋さんもあるの、のぞいていい?」
小学校時代に比べ、明るく元気になった八生が笑顔で言ってくる。それでも友だち出かけることはあまりなく、それが心配でもあった。
八生と出かけた駅前のショッピングセンター、私は失敗したと思った。
先生と待ち合わせたあのスタバがあるのを忘れていたのだ。
大手ショッピングセンターの正面入り口の真ん前にスタバがあるから、否が応でもでも目に入る。八生と歩きながら話しながらいても、あそこだけは意識してしまった。
私、あの店にはもう入れないな……
なるべく先生を思い起こさないようにしていたのに、それをきっかけに次々に思い出してしまった。
八生がノートとペンを買い、雑貨屋さんに入ったときに、すぐに目についたのがマグカップだった。
先生に…なんて思ったら、もうダメだった。ずっとずっと抑え込んでいた想いがあふれ出す。
先生に渡しに行こうか…
それでも時間を作って会いに行くのはイヤだった。だから、賭けみたいなことをした。
もし、八生と普通に時間を過ごし、家に戻ったときに17時くらいだったら、、、、、先生に会いに行くと連絡しよう
普通に晩ご飯の買い物もしても17時前に家に着いた。ここのところ、ずっと出歩いていたから八生ももういいらしい。。。
買ったものを冷蔵庫にしまうと、スキマ時間ができてしまった。先生にメール?
あ、洗濯物…。パタパタ…。しまう。おしまい。晩ご飯は今日は簡単に済ませるつもり。時計を見上げる。
17:25
ダメだ、諦めよう、気になって仕方ない
“今から行きます。何時まで大丈夫ですか?”
少しして返信来た。
“18時半くらいです”
私は八生にちょっと出てくると声をかけて、先生のいる学校に向かった。バックの中にさっき買ったマグを入れ、これで最後と気持ちを決める。
1ヶ月前に先生を訪ねたときよりも、寒さは和らいでいた。
今までと同じように昇降口にいる先生を見つけた。
ペコンと会釈をする。何の話をしようとか考えてなかった私は唐突に、
「今日は相談じゃなくて、、、」
バックからマグの入った小さな紙袋を取り出す。
「相談は違う先生にします」
半ば強引に紙袋を先生に渡した。
「異動だと思って、マグカップ。今までありがとうございました」
とりあえず言わなきゃいけないことは言えた。緊張する。顔が笑わない。
先生は昇降口の数段の階段にぺたりと座る。それから、私を見上げて来た。何だか怒っているような感じ、、、。
「異動?」
先生が何、言ってるの?と鼻で笑うように言葉が軽い。
「そうだと思って。お礼と感謝の気持ちです」
「異動か分からないよ」
今度はすごくイラつくように先生は返して来た。今まで接してきた穏やかな先生じゃないみたい。私は泣きそうになる。
「…じゃ、普通のお礼で」
「言えないからさ、異動かどうかも他人に話しちゃダメだから」
他人、、、私は言葉が出ない。私は顔を俯かせた。やっぱり、私なんて何とも思われていない。
先生はしゃべらない。まるで私との壁を強硬にするべく、黙っているようだ。いつもの先生らしくない…私は自分だけが今までを大切にしていたことに気付いて、とても傷ついた。
しばらくの沈黙の後、先生がお尻についた砂を払いながら、
「ま、新聞を買ってくださいよ」
と言ってくる。何の感情もなく。
「新聞は買いません」
「じゃ、その日にメールして。教えるから」
ぶわぁーんと耳鳴り…先生の声が聴こえなかった。私はとっさに左を向いた。右耳で聞こうと、私にしてみたら普通の動き。
先生は何も言わなかった。
私はもう終わりと思い、お礼を言って帰る。いつもなら見送る先生も、今日はすぐに校舎内に入った。
最後
終わり
私の中でそれだけが繰り返される。きちんとつけた区切りなんだと私は思っていた。
そして、届いた先生からのメール……。
私が間違えて送ってしまったのだけれど。
“本日付けで異動になりました。
これからもよろしくお願いします。
モンブラン、自分も好きですよ”
先生に何が届いたのだろうか?
短いメールの中に今までのやり取り以外の思いが入ってる。そう、感じたのは私の自意識じゃないと思う。
嬉しかった。
もう会うこともメールすることもないだろうけど、ただ一度、心に届いたメッセージ。
イツカマタアエル
そう信じて、私は大騒ぎした心をやっと落ちつかせることができた。
【イツカ…】 完
【soulmate ❶】
ソウルメイト (soulmate, soul mate) は、魂 (soul) の仲間 (mate) という意味で、互いに深い精神的な繋がりを感じる大切な人物のことである。古くは恋人・夫婦など男女の仲を詩的に表現した言葉であった。スポーツ、ビジネス、アートなど分野に限らず大きな成功を掴む成功者達には必ずとも言って良い程、家族、仲間などソウルメイトの存在が見られる。
なお、近年はしばしばスピリチュアリズムな分野で語られ、「前世での知り合い」「(超自然的な)運命で結ばれた仲間」「いくつもの転生の中で何度も身近な存在(家族・友人など)として出会っているグループ」という意味も持つ。
※出典不明
こんなにたくさんの人がいる中で
どうしてあなたがそこにいるんだろう?
たくさんの人がいるから?
たくさんの人がいても?
どちらでも同じかな…
あなたの驚いた顔とすぐに目を反らした姿にぼくは声さえも出ない
行き交う人の流れに逆らわず、たった一瞬見せた表情だけを残し、あなたはぼくたちとすれ違った
少し顔を俯かせ、緊張して…ぼくは歩みを止めたまま、あなたが通り過ぎるまで身体が動かなかった
動けなかった
急に立ち止まったぼくの腕にそっと手を添えてくるサチ
不思議そうにぼくを見、通り過ぎる人の流れに目をやるサチは少し首を傾げた
色鮮やかなサインネオンの明かりやクリスマスカラーに彩られた街のイルミネーション、光があふれた中をぼくはサチと一緒に歩いていた
今日は約束をしていたわけでもなく、ただクリスマスも慌ただしく過ぎるだけになっているぼくにサチが書店で声をかけて来たのだ
「偶然ですね、誰かにクリスマスプレゼントですか?」
ぼくが手にしている本は全く色気がなく、プレゼント選びをしているわけでもないのは一目瞭然だったからか、サチは笑った
「下田さんこそ、これからですか?」
赤いニットのワンピースを来て、ブーツを履いたサチはいつもの仕事の様子と違い、可愛らしかった
手にはモスグリーンのコートと大きなリボンのついた黒のバック持っている
「だと、いいんですが予定もなくて」
ぼくも同じですよとサチと2人で小さく笑った
「そろそろ帰ろうかと思って」
ハードカバーの本を新書のフェアで山積みになった元の場所に戻した
「勉強熱心ですね」
置いた本のタイトルを見て、サチが言う
「前にも読んだんだけど、また続編が出てるから」
これから休みに入る前に数冊、本を読もうかとその品定めをしていたのもある
腕時計を見れば、長い時間、ここにいて少し疲れも感じた
だからサチに「東(アズマ)さん、この後は?」と聞かれて、一緒に書店を出たのだ
駅前のショッピングモールにミスドがあった
軽くコーヒー、また週1で職場に来るサチとお茶をするくらいならと思ったのだ
ぼくはあまり女性とは縁がなく、もっと気の利いた場所に入ることは考えなかった
マックじゃないだけ、まだ、マシなのかもしれないが……
そこに向かう途中の道すがら、あなたに会ったのだ
あなたが住む街とぼくやサチが住む街とは離れていて、日常、会うことはないのに
カップルやファミリーで程よく混んでいるミスドで重量感のあるコーヒーカップを手にぼくはさっきのことを思い出していた
「気になります?」
サチが押し黙ったままのぼくに聞いて来た
「さっき、見かけたの神谷さんですよね?」
やはりサチも気付いたらしく、その名前を口にした
ぼくはギクとしたが何でもないようにコーヒーカップをソーサーに置いた
「2人でいるところ、見られちゃいましたね」
サチはぼくが思っていることとは全然違うことを口にした
「え?」
「私、もう少し東さんとお話ししたいです。もし良かったらこの後、食事もどうですか?」
サチが恥ずかしそうに、だけどはっきりとした口調でぼくをまっすぐに見て言ってきた
ぼくはマジマジとサチを見てしまう
なんで下田さんとご飯?とサチの好意が全く分からないぼくはいつもこうやってめぐって来るチャンスを逃しているらしい……
もしかしたら大の大人への気前のいいサンタクロースからのプレゼントだったかもしれないのに
「どうして下田さんとご飯なんですか?お腹すきました?」
ぼくはホントにそう思って、サチに聞いた
サチは面を食らって、苦笑いをして
「東さんはお腹すきません?私、美味しいパスタとピザのお店を知っているんです。それとも軽く飲みますか?」
サチは負けじと食事を申し込んできた
苦笑いから攻めの微笑みを浮かべたサチにぼくはますます意味が分からず、
「すみません、今日は帰ります。明日、仕事ですし、飲まないことにしてますので」
カップに残っていたコーヒーを飲み干すと、ぼくは席を立つ
まだ座ったままのサチに会釈をして、そのままミスドを後にした
サチが見せてきた好意は今日だけじゃなかった
週1で職場で会うときも立ち話で話はするが、それはあくまで仕事
ぼくは仕事以上に関心がなかったのかもしれない
今度、サチと会うのは年明けだろう
毎朝のことでキャビネットの上に出された連絡帳にぼくはひと通り目を通す
今日は24日、クリスマスイブで子どもたちもどことなく浮ついている
楽しみなのは分かる
クリスマス、冬休み、お正月と子どもたちにしてみればお楽しみがたくさんで待ち遠しくて…まぁ自分も長い2学期がようやく終わりになる気持ちがどこかにあるから分からなくもないが……
大抵は普通の大学ノートを連絡帳にし、神谷さんも同じだった
パラパラとめくり、変わった様子のない連絡帳を閉じる
昨日、あの場所で会ったのは神谷さんだったのか?それすらもぼくはどうでもよくなる
神谷さんだったら?
一体、何があるっていうんだ
朝の学活が始まる前にぼくの学級の優木(ユウキ)が湊人(ミナト)に声をかけていた
優木と湊人は6年生で大の仲良し
「ミナトー、年賀状を書きたいから住所、教えて」
それはごく普通の光景、だけど最近ではあまり見かけないないこと
ぼくでさえ、そこまでは考えていなかった
「ユウキ、年賀状を書くの?」
ぼくが尋ねるといかにもうっとおしそうに優木はハイと答えた
お母さんに言われたのか?と聞こうかと思ったがおそらく「自分で考えました」と返ってくるだろう
優木は少し大人びた子、学級のどの子よりも大人のご機嫌さ不愉快さ、期待を感じ取り、そこから行動ができる社会性は身についていた
だから、よけいに”普通の子”と同じに接してしまい、今は全く信頼関係がなくなっている
ぼくと優木の、
ぼくと神谷さんの関係
何が良くなかったのか
何が合わないのか?
ぼくにはそれすら分からない
ただ普通の信頼関係もなく、優木はぼくを嫌い、神谷さんはぼくを遠ざけた
こういう仕事だ
もちろん子どもたちの教育を第一に考えても多少の誤解やすれ違いはある
今までだってこういったことはあった
ぼくは問題をトラブルにせず、上手くこなしてきた、かわしてきた
なのに、今回だけは今までのケースと違う
打つ手を尽くしても変わらなければ、もう仕方ないのだ
お互い、人間同士、年齢の差や立場はあれど、気が合わなかったり違いがあるし、それが大きければ傷つけ合うようにもなる
ぼくと優木
ぼくと神谷さんはそんな関係
その日の夕方、ぼくは自分の学級の子どもたちに渡す「冬休みの宿題 一覧」に年賀状を出すと書き加えた
なぜだろう、いつも神谷さん親子に調子を狂わせられる
完璧!なまでの自分の仕事に、本当に何気ない当たり前の”普通”により自分の教育指導が変わる
今回の年賀状だって、ぼくは学級の子どもたちやプライベートでも出すつもりでいた
だから、どこか頭では分かり切ったことで、あんな目の前で「年賀状、出すから住所教えて」なんて光景を見せられて、初めて【年賀状を出す】ことがこの年代の子どもたちにしてみると一般化してないことに気付かされた
民政化された郵便局のCMじゃないが、確かに今は年賀状を出す、手紙のやり取りなんて子どもたちは無縁に近い
携帯電話、スマホの普及でメールやライン、SNS等でメッセージのやり取りが大人の中でも普通になってきてる
見過ごしがちな、人とのつながりの大切さ
自分も分かっていながら、優木の言葉で初めて気付いたのだ
なぜ、いつも優木なんだ?
まだ幼さが残る可愛らしい顔立ちと少年の出で立ちで、最も冷静だと思う職場にいるぼくを見据えてくる
この春、ぼくはこの学校に赴任してきた
前は歴史のある街で、地域ブロックごとに小中一貫教育が邁進され、その中でも先駆けの学校だった
今回初めての転勤で、ぼくが前の学校で残した実績を考えると、この学校で任された学級は自分の意思とは違っていた
最寄りの私鉄駅から歩いて10分ほどの高台にある小学校
付近の山は切り崩され、宅地開発が進み、近年、入学者数が増加
それに伴い、再来年からは校舎の増築工事が始まる
各学年2学級から3学級、38名〜40名の中規模校
そして、そこにはぼくが担任をしている知的障がい児の特別支援学級がある
優木は6年生からの転入で、日常生活、会話等の社会性は通常級の子らとなんら変わらない
不登校ぎみと学習の遅れから支援学級にいるが、ぼくが受け持ちになり、その中で学習の理解の遅れというよりは気持ちの波の大きさと本人の自己肯定感の低さに課題が感じられた
知的遅れはほとんどなく、不登校ぎみなどどこ吹く風で毎日、元気に学校に来ている
ぼく自身、去年までの受け持ちが高学年だったこともあり、支援級の中の高学年に当たるクラスを担当
優木や湊人、由香、淳(ジュン)、智史(サトシ)の4.5.6年生と混じった子たちと対面したのである
6年生からの転入はあまり聞かないが優木は今までいたかのように、ぼくよりもはるかに早く学級になじんでいる姿があった
通常級とは違うルールや学級目標もなんなく覚え、守り、その年に入学した1年生や低学年にも優しく丁寧に接して、入学前から恐らく手こずるだろうと思われていた男子児童も「お兄ちゃん」と懐かれるくらいだった
その子、洋介は事あるごとに我々には言うことは聞かず暴れたりしたが優木の言葉にはきちんと反応した
学級の中の生活班では洋介と優木は同じ班で、その班のリーダーは高学年の優木
おかげでたびたび助かることが多かった
生活班で給食や掃除、図工や調理実習、宿泊学習などが組まれ、優木は他の誰よりも低学年の扱いがうまかったし、教えてあげることにも別段、ぼくが何を言うこともなく、事を上手く運んだ
本当にぼくが見た去年の6年生たちより、大人びた子だった
だから、ぼくは”普通の子”として優木を見ていたし、通常級担任だった自分の中でこうあって欲しい理想と期待を優木に見せて欲しかった
2学期最後の今日は終業式
いつものように出された連絡帳をひと通り目を通し、だいたい感謝とお礼の言葉が並んでいた
神谷さんの連絡帳にも似たようなもので、むしろ今学期はご迷惑をおかけしましたとお詫びが書かれている
ぼくは書かれている言葉の通りを受け取る
その言葉以外に真実はないと思うし、言いたいことを率直に書いて家庭と学級との協力と連携とのやり取りにすべきだと考えている
連絡帳以外に電話のやり取りもあるがぼくは必要とは思わない
連絡帳に書いたらいいのだ
何でも
それについてなら、ぼくはきちんと返信する
終業式のため、廊下にに並び、体育館に移動する
体育館に着くと2列に並び、おしゃべりも身体のふらつきもない支援学級の子どもたち
「お行儀よくしている」姿にぼくは今までの長い時間をかけて積み重ねた指導の賜物を思う
ここまでの指導はそうそうできない
現に通常級からのざわめきが体育館に広がっていた
終業式が始まれば確かに止むが、今度は下を向いたり手いじり、手悪さ、前の子へのちょっかいがある
後ろから見ているとそれがよく分かる
美しくない…が、ぼくは自分の学級に集中した
終業式が終わり、今度は学級会に入る
教室内の大掃除は昨日終わり、あとは個人の荷物の片付けと整理整頓
冬休みの過ごし方と宿題の話
子どもたちの冬休みのお楽しみのことをみんなで話して笑った
それから今学期の児童生徒の学習の成果や生活の様子を保護者や子どもたちに知らせるあゆみを渡す
全体学級会が終われば、子どもたちはそれぞれお迎えに来ている保護者と帰っていく
優木や湊人は自立登校だから2人で連れ立って帰っていく
由香はひとりでも帰れるがお母さんが心配性なため、送迎がある
教室からぼくは見送り、ふーとひと息ついた
2学期が終わり、3学期に入ればもう6年生は卒業準備で忙しくなる
卒業に向けてカウントダウンが始まるのだ
4月の新学期を迎える前にこれから担任になる子どもたちの実態把握が必要で、引き継ぎ資料に目を通した
前担任の話も聞けたから個別の指導計画の案や配慮しなければいけないことを留意する
ただ優木に関しては前の学校の担任に話を聞こうと思ったが転勤のため、ムリだった
教育支援センターや前の学校の担任が書いた書類を見ただけに終わる
神谷 優木
ぼくの中で謎な子ではあったが、特別、配慮が必要な所見は書かれてなかったから始業式に会ったときの感覚を大事にしようと思った
新学期、始業式の日
少し緊張した優木とお母さんの姿があり、おとなしめな印象を優木から受ける
それは教室で席についた優木と対面したときも同じだった
優木のお母さんと初めて会ったのは運動会も過ぎ、6月の個人面談だった
ひとり20分程度で子どものら学校生活のこと、家での様子、また子どもへの願い、6年生だから中学校の進路についての話をする
初めて会った神谷さんは、フワゆるな髪を後ろでアップで止め、フード付きのお尻まで隠れるチュニックを着て、目が優木そっくりだ
面談時間に教室の扉付近に顔を出し、会釈をし、目を伏せる横顔が一瞬、優木と重なる
親子なんだから似てるか…と思いつつ、自分の向かいの椅子を勧めた
「優木くんは…」と学校生活、友人関係の話をし、ぼくは褒め、また不登校ぎみだったなんて感じさせないくらい、毎日楽しく過ごしていると伝えた
神谷さんは小さく頷きながら聞き、他の保護者との面談と変わりなかった
中学校進学について、9月半ば頃までに書いて欲しい書類を渡しながら、どんな意向なのか尋ねると、
「まだ半々の気持ちですが通常級+通級か支援級かといった感じです」
と…ぼくはすかさず、
「支援級ですね。分からない勉強を前に1日過ごすよりいいです。お母さんからも優木くんを説得されてはいかがですか?」
神谷さんはえ?と驚いたようにぼくを見て
「まだ考え中です」
と言った
「優木くんは知的障がいがない分、支援級に行くなら医師の診断書が必要になります。9月に書類提出を考えると早めに療育センターに予約を入れないと間に合いませんよ?どちらかにかかってますか?」
「◇◇センターにかかってます」
「じゃ、早めにお願いします。お母さん、優木くんのことで何かお話はありますか?」
「…いいえ」
「そうですか。ではこれで面談を終わりにします。ありがとうございました」
神谷さんはゆっくり立ち上がると、頭を下げ、教室から出ていった
優木のアセスメントはしてない状態での面談…だけどぼくの言うことに間違いはないのだ
それは誰に言われようが自負している
7月に入ると通常級と合わせた宿泊学習がある
ここら辺では日光らしい
またそれに向けて準備が始まる
実踏にも通常級の先生と一緒に行く
この頃に淳の保護者から宿題の件を言われた
漢字の書き取りを中心に3つないし4つの宿題を出していたが淳には量が多いと
「頑張ってやっていますが休みの日は1日かかります。終わらないようと泣くこともあるし、家族でどこにも出られません。少し減らしていただけませんか?」
「アツシくんが減らしてほしいと言っていますか?」
「アツシは自分の力になるからという先生の言葉を信じてます」
「お母さん、ぼくはアツシくんに期待してます。絶対、伸びますよ」
ぼくは涼やかに笑った
だってどこにも嘘はないから
もう一つ、神谷さんから連絡帳の記入がなくなった
正確に言えば、あの面談後から
ぼくは優木に連絡帳を書いてとお母さんに言ってと伝えた
優木はぼくを見て、ハイと返事をしたが、それでも書き込まれることはなかった
夏休みが始まる10日ほど前、移動教室の説明会が土曜参観も合わせた日に行われた
この日に移動教室の集金も合わせてあり、優木の連絡帳に「集金が合わせてあります。来られますか?」と書いたが、特に印もサインもなかった
土曜参観の朝に優木にお母さんは来るのか聞いてみると来るとぶっきらぼうに答えてきた
ぼくはその言い方にカチンと来て、来ますだろと言い直しをさせた
こういうひとつひとが大事
先生は友だちじゃないんだから
朝からの土曜参観にどの保護者も姿を見せ、移動教室の説明会にも参加があり、神谷さんもいて移動教室費も問題なく全員から回収できた
夏休みに入ってすぐに2泊3日の移動教室がある
説明会も無事に終わり、預かった移動教室費を職員室に持って行こうとしたとき、階段のところで神谷さんに呼び止められた
「すみません、連絡帳、書けないです」
何のことかと思ったら、そんなこと
「はい、じゃ、連絡事項に見た印かサインをお願いします」
大した問題じゃなかった、連絡帳なんだから連絡事項が賄えればそれでいい
神谷さんがその足で管理職に会って、先月の面談について話をしてるなど、ぼくは思いもしなかった
その日、管理職からの呼び出しがあり、6月の面談の様子を聞かれた
校長室のソファに座り、校長を前に特に問題はなかったと答える
「実は神谷さんが来られて、何故、進路を決めつけるのか?と言われた。君は何を言ったんだい?」
決めつける?
別に決めつけてはいない
「通常級か支援級かで迷われてる様子だったので、支援級ではどうか?とアドバイスをしたつもりですが…」
「じゃ、誤解かな?お母さん、相談もなしに進路を勝手に決めるのですか?と言ってた。あとで神谷さんところに電話をしておいて」
勝手な誤解もいいところ…
なんだよ、決めつけるって
アドバイスじゃないか
夕方に電話したが、神谷さん宅は留守
ちょうど片付けないといけない仕事があっから、今度は20時近くに電話をすると優木が出た
「●●小学校の東ですが、お母さんいますか?」
静かに電話を変わる
「はい、お待たせしました。神谷です」
「●●小学校の東です。お母さんですか?」
「…はい」
明らかにトーンダウンした
「今日、校長先生から話を聞きました。お母さん、誤解ですよ」
「は?」
「ぼくはそんなこと言ってません」
「いえ、言いましたよ。支援級にしなさいって。何の相談もなく、、、避難的に今は支援級にいて確かに学習は遅れてますが決めつけるのはどうなのですか?それを誤解だって言うのはおかしくないですか?」
「お母さん、勘違いですよ。相談なら学校に来ていただいて、話をしましょう。どうですか?」
「東先生!私は勘違いだって誤解だってしていません」
「だから。ちゃんと話しませんか?」
「…では、機会があればそうしましょう。お電話ありがとうございました」
一方的に電話を切られた。
話をしようとこちらから持ちかけているのになぜ怒られる?
意味が分からん…
そういえばサチに言われたことがある
下田サチは週1で学校に来る臨床心理士、スクールカウンセラーだ
来た日には各教室を周り、管理職や保護者からの依頼があった子の様子を見ている
また保護者面談や放課後には我々教員からの相談を受けていた
ぼくは相談をしたことはなかったが、優木は保護者からの依頼で観察対象になっていて、直近の彼の様子を話すことが常になっていた
春頃、優木の話をしているときにサチが言った言葉があった
「先生って先見の明がおありなんですね」
「事が起こる前に何が起こるか予見できるですか?」
にっこりと笑ってサチはぼくを褒めたらしいが、ぼくはそうか?と思ったくらいだった
だってぼくは間違うことはないのだから
今までだって子どもの指導力では信頼され、保護者からも仲間内からも高く評価され、認められてきた
今、神谷さんと意見が合わなくても、ぼくが正しい
結局はぼくが担任で良かったと言われるのだ
サチが毎週のように話をしていて、ぼくと気が合うとどこで思ったのかは分からないがぼくはぼくで良い出会いがあったらいいなとは思っている
それがサチではないのは先見の明がなくても明らかだった
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