印象的な名言

「……その傷は長いこと癒やされないのではないかと、心から恐れていたのだった。ところがそんな心配の必要がないことを今知った。
男たちは死んでは虫についばまれてきたが、恋ゆえに死んだのではなかった。」


アンの愛情　　　モンゴメリ

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食いもしねェのに殺し合うなんざ人間くらいなモンだ バカバカしい

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いいか貴様ら
人には触れちゃならん傷みがあるんだ!!
其処に触れたら後はもう生命のやり取りしか残らんのだ!!

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「あんたは目の前に見ている愛がわからないのよ。例のあんたの空想で自分では愛と思うものを作り出して、本物もそのようなものだと考えているのよ。
あら、あたし、生まれて初めて分別のあることを言ったわ。どうして言えたのかしら？」


アンの愛情　　　　　モンゴメリ

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ロイはアンだけがかつて愛した唯一の女性だと、はっきり言った。しかし……
他にも女神はあることだから、…‥　ロイはどこかの神殿を拝まずにはいられまい。


アンの愛情　　　　　モンゴメリ

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「自分に同情するな。自分に同情するのは下劣な人間のやることだ」


ノルウェィの森　　　　　村上春樹

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子どもが生まれて、
「私は死んでもいい自由というものを奪われた」
と感傷的になりながらも、その束縛が嬉しいという複雑な心境を味わった。


楽天的ライフスタイルノート　　　　西村玲子

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美しすぎるものというのは醜いものと同様、始末に困るものなんだろうか。



楽天的ライフスタイルノート　　　　西村玲子

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「良いニュースというのは多くの場合、小さな声で語られるものなのです」



ねじまき鳥クロニクル　　　　　村上春樹

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こうなりたいと望んだ時、半分その目標に近づいている。

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振り向くな　後ろには明日はないから　前を向け



サクラ咲ケ　　　　　嵐

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夫婦の会話なんてもの、おたがいに相手に逆らいながら、自問自答しているところもあるらしい。



まじめ半分　　　　　阿刀田高

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縁ある人
万里の道を越えて　引き合うもの
縁なき人
顔をあわせ　すべもなくすれ違う


縁　　　　　　中島みゆき

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私はすごくストレートだし、ストレートなのが美しいと思っているのね。女の嫉妬はストレートなほうがカッコいいと思ってるとこがある。



ルージュの伝言　　　　松任谷由実

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知識への投資は、実に最高の利息がついてくる



　　　　　ベンジャミン・フランクリン

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一人で食べるわびしさについて…
誰かを愛するための聖なる欠如ではないか。そして『ともに食べる』ときに感じる安堵感は、いのちを共有しあっているやすらぎであろう。



ごはんの風景　　　　宮迫千鶴

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楽しく生きるためにはエネルギーがいる。
戦いである。
わたしはその戦いを今も続けている。
退屈な連中に自分の笑い声を聞かせてやるための戦いは死ぬまで終わることがないだろう。



６９　　　　　村上龍

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……俺はどこかに帰りたいと思っているのだが、それがどこかわからないんだ、わかるわけがない、この星じゃないんだからな。

新聞記者は、途中でテープレコーダーを止めていた。
カメラマンは何度も首を横に振った。
サージアンは喋り終わっても興奮が冷めない様子で部屋をグルグル歩き回り、猫の膨らんだ腹をさすり続けた。
「完全に狂ってる、一体何があったっていうんだろう」
小屋を出る時、新聞記者が言った。
雨が上がって、海面に虹がかかっていた。



鐘が鳴る島　　　　村上龍

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‥…このあかりが美しいのは、みんなが自分の罪から逃げなかったことだよ

毎日が新しいスタートなんだ
覚えておおき

アメリカの
最も美しい夜だよ


CIPHER 　　　成田美名子

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「疑問は解決したのかな」
「ううん、全然。誰も答えてくれないの。でもわかったのは、問題が難しければ難しいほど、自分で考えなきゃいけないということ……
アイスクリームは溶けても、私は残るんだから」



PAPA told me　　　　はる野なな恵

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「かいしゃってどんなところ？」
「そうねえ…　会社にはねえ…　　針のムシロがしいてあるのよ」
「はりのムシロってなに？」
「じゅうたんみたいなものよ」

(　そんなフカフカのじゅうたんがしいてあるから

パパはかいしゃがすきなのか…　　とミキは思っ

だ　)



花きゃべつ　　ひよこまめ　　　篠　有紀子

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「女の子が頼んでんのに逃げるよーな男はモテないよ！」
「うわ　呪いの言葉」



カンナさーん！　　　　深谷かほる

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そもそも、大人が格好よかったら子供はグレねえんだよ。

伊坂幸太郎（チルドレン）

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子供である事を奪われた子供ほど哀しいものはありません。

吉田秋生 海街diary

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道具を使いこなすことのできる者は、身の回りの一切を自分自身で始末をつけることができる者であろう。
それこそが生きる基本であり、文化の源であると思う。そこに人間の根本の姿を見る。
……　会話で楽しむことも必要ないし、美しい外見も虚しいだけだ。ただ、火をおこし、ナイフを扱える、そのことが今、とても大切なことに思える。



可愛らしさの匂い　　　　光野　桃

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スランプは多分、またやってくるだろう。しかし次の波はもう少し上手に乗りこなせるに違いない。スランプ・サーファーの初級免許皆伝である。



スランプ・サーフィン　　　光野　桃

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法堂で風切って経本や見台を運ぶ古参の姿に、思わず見とれてる自分に気がつく度に、オレの考え方は変わっていった。
そう…
お寺ライフは丸井のインテリアよりもパルコのCFよりも、ソフィストケイトされた世界だったんだ…



ファンシィダンス　　　　岡野玲子

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「次　うでは見台を回し、身体は半転しながら腰をおとす。両方が揃わないと見苦しいぞ」

「やれば一応はできるんだよ　あいつ」
「八割はできるんだ。しかしできる八割より、ヘマする二割のほーが目立つな」

「まだ同じヘマしても、顔色変えない郁生のほうが、目立たなくて使える」



ファンシィダンス　　　　岡野玲子

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……　ついに、兄は逃げ出さなくてはならなくなりました。兄は貧乏な弟の家に向かって走り出しましたが、オートミールは川になって兄を追いかけました。みなは道ばたで、叫びながら走っている兄を見ていました。
「みんな逃げろーっ。百人分の腹があったって、オートミールに溺れることになるぞーっ！」
　兄は弟の家にたどりつくと言いました。
「早くひきうすをひきとってくれ。そうしないとこの世はオートミールだらけになるぞ！」
　弟はひきうすを返してもらいました。そして、金ピカのものすごく立派な家を建てました。家は海のそばにあったので、塩を運ぶ船が何そうも通るのが見えました。
　船乗りたちは弟の家を見て、「あの立派な家はいったい何だろう」と言いました。……



不思議なひきうす　　　　フィンランド

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俺の前を通り過ぎてった男は、皆、死んでったぜ

あぶない刑事　舘ひろしの台詞



俺の前を通り過ぎてった女は、皆、妊娠してったぜ

あぶない刑事　柴田恭兵の台詞





30年近く前の作品ですが、未だに覚えてるし、そのシーンしか覚えてない(￣▽￣;)

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‥…　けんかも裁判もこうも続くと、コシャリンのおえらがたも、シャーヌフのほうだってうんざりだ。考えのしっかりした連中が言いだした。
「藁の一致は黄金の裁判より貴い」と。
　もういいかげん仲直りしようということだ。
　だもんで、もめごとは平和裡に終わらすべえと、コシャリンの町長とシャーヌフの町長と、まんず夜明けに自分の町を出るって決めた。そうして行き会った所に杭を打ち込み、それを今後は境界線にしようってことだ。



シャーヌフとコシャリンの町境はどうして決めた？　　　

ポーランド

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‥…　まだ生きているとき、入院してるお年寄りだって看護師さんたちの見てないとこで亡くなりますよと身も蓋もないことを医者が言ってくれた。そのおかげで、それについての幻想も感傷もなかったが、たった一人の母の死ぬ瞬間は見たかったという思いは残る。そしてできれば母のほうも、たった一人の娘にそばにいて欲しかっただろうと思う。



漢(おんな)である　　　　伊藤比呂美

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‥…「あれ、ムーミントロールって？　ああ、そうか」
「たぶんきみは、ぼくが出発するまえに、なにかの歌をききたいんじゃないの。それとも、お話のほうがいいかね？」
　スナフキンがこういうと、はい虫はやぶの中から頭をつきだして、いいました。
「お話？　うん、いいですね。たぶん。今夜おそくにね。いまはぼく、とってもいそがしいもんでー　どうぞおかまいなく」
　そういって茶色のしっぽは、ヒースのしげみにかくれましたが、すこしすると、ティーティー=ウーの耳が、ちょっとはなれたところに見えて、こうさけぶのがきこえました。
「チェーリオ。ムーミントロールに、ぼくからよろしくとつたえてください。ぼくは、ありったけ生きるのをいそがなくちゃならないんです。もうずいぶん時間をむだにしちまったもんでね」
　それっきり、ティーティー=ウーはいってしまいました。‥…



春のしらべ　　　　ムーミン谷の仲間たち
　　　　　　　　　　ヤンソン

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……フィリフヨンカは、身うごきすることもできませんでした。ひしとせともののねこをつかみながら、彼女はそこに無言でたちつくして、考えました。
「ああ、なんてうつくしい、ふしぎな、この世のおわりでしょう！」
　たつまきは、フィリフヨンカからそうはなれていない、岸べに上陸しました。彼女のそばをとおりすぎるときには、その白いすばらしいはしらが砂のはしらになっていて、それがあのヘムルさんの家の屋根を、しずかにもちあげました。……



この世のおわりにおびえるフィリフヨンカ

　　　　　ムーミン谷の仲間たち
　　　　　ヤンソン

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‥…「ワンワン。」
うれしいのか、ろくべえの鳴き声は、前より大きくなりました。
　「ろくべえ。がんばれ。」
みんな、口々にいいました。
　しかし、がんばれとさけぶだけでは、どうにもなりません。だい一、ろくべえは、何をがんばったらいいのでしょう。
　だれかが、ロープをつけて、下に下りていけばいいのでしょうが、それは、小さな子にはむりです。高学年の子は、まだ学校です。きょうは、日曜日でないので、お父さんはいません。
　こまった。
　こまった。……



ろくべえまってろよ　　　灰谷健次郎

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‥…小坊主は、だまって、だんごを一つだけたべると、おちゃをのんで、のこりのだんごを、ふところからだした大きなさといものはっぱに、だいじにくるんで、ことりとおぼんにおかねをおいて、だまって、おみせをでていったって。
「まいどー。」
といいながら、ももは、おぼんのうえをみた─、「やーっぱり！」おかねは、ひらべったい、いしっころ。
「にがすかーっ！」
と、ももは、のきさきにつるしておいたなわをひっかついで、とびだした。あしには、じしんがある。
　けど、あいては、たぬき。もう、どこにも、すがたはない。……



ももとこだぬき　　　　　松野正子

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……「美鶴　晩メシは？　もう食った？」
「あー　ばんめし」
「…どら焼きがどうした？」
「？　おいしいよ！」
「え!?　まさかそれがメシ!?　いつもそんなんなん？」
「えー？　いつもじゃないよー　昨日はバウムクーヘン　ペリペリはがして食べたよ☆」



食卓氷河期　　　　有田直央

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……「いいかこれは、たんなる楽しいだけの野外キャンプじゃないんだ。いついかなる非常時にも対応できるように─　そのための訓練でもあるんだ」
「えっ？……いつのまにそうなったの？」
「いつのまにかそうなったんだ。うち以外のどこかで、水を調達してくるように」
「えーっ？！」



花きゃべつ　ひよこまめ　　　篠　有紀子

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「……戦闘機がしょーとつしてくさ､爆発したとよ」
「わかった！！　リモコンと調理器の爆発が同時におこって、空間のねじれがつながったんだっちゃ」
「それでリモコンと料理が、いれかわったとや」



うる星やつら　　　　　高橋留美子

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…「上下水道にさん橋　気象観測所の設置に設計　しかも資金援助までしている
せっかく成功した定期航路は　開拓使のものにされてしまうし
おまけに旧藩の大名や新政府への貸付金がこんなにコゲついているではないか　よくもいままでとりたてもせず
なんとかこれをとりたてぬと　ブラキストン商会は風前のトモシビ」「……」



N.Y(ニューヨーク)小町　　　大和和紀

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「……これからもよろしくたのむ」
「なにかご不幸でも？」
「気にせんでくれたまえ　はるばる故国からたずさえてきたわが愛するワインの喪に服していただけなのだ」
「は？　ワインの喪ですだか？」
「学生の飲酒をいましめるために　ワインをひとビン残らずわったのだそうだ」
「ひと一倍酒好きなのにかかわらず…　生徒も熱心なら先生もマジメですだね」



NY(ニューヨーク)小町　　　大和和紀

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「なるほど…　立地条件は樹木の繁茂せるを観察すべし……と」
「しかし学校はアメリカン・スクールなのに　きみたちはどこかアメリカの学生とちがうね　かたくるしいというかマジメというか」
「し…しかしわれわれは学ぶためにはるばる故郷から…　」
「それはそうだがしかしどうも…　そうか！
女子学生がいないせいだ！」
「女子学生！？」



N.Y.(ニューヨーク)小町　　　大和和紀

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‥…イワンはきれいに洗って、ふこうとして手ふきを取り出した。と、お婆さんが、
「おや、どこでその手ふきを手に入れなさった？」
「妻がくれたんですよ」
「そりゃあたしの娘の手ふきだよ、それじゃお前さんは婿さんてわけかい」
「わからないけど、そうかもしれない」
「遠い旅かい？」
「遠くへいくんです。どこか知らんとこへいってなんだかわからんものを持ってこなきゃいかんのでね」
「じゃ、ちょっとばかり休んでいきな」
　部屋をあけたわけだ。
……



どこか知らんとこのなんだかわからんもの

ソビエト

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‥…あたりが暗くなると、木の下に悪魔たちが次々と集まってきた。そして、親分を囲んで車座に座り、みんなで今日の出来事を話し始めた。
　昨夜、得意そうに話していた三人の悪魔が、今夜はずいぶん気落ちした様子で、ため息ばかりついている。
「なあ、おい！俺たちの魔法をといた、もっと強い奴がいる。だれかが木こりの弟の目を、すっかりなおしてしまったのだ。たった一晩で、もとどおりなんだぜ」
　二人めの悪魔が相槌をうった。
「ふう！まったくだせ兄弟。それに、やっと壊した水車まで動きだしてしまうなんて、いったい、どうなっているんだ」



森の悪魔と兄弟　　　　ブルガリア

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‥…牛はいつも家の回りを歩き、誰ひとり寄せつけなかった。しばらくするとその家の中になにひとつ動きがないことが近所の人たちの気にかかった。そこで誰かが中に入ろうとすると、牛は垣根の外にほうり出した。ナイフも鉄砲もなんの役にもたたなかった。そうこうするうちに時がすぎていった。たい肥の上のいら草はすでに木々の高さまで伸びて、にわとこのやぶは屋根よりも高くなっていた。百姓は眠っているのに髭が長く伸びて、もう白くなっていた。おかみさんのお下げ髪も白くなっていた。家の外では夏も冬も緑の草の上にまき毛の娘が横たわっていて、すばらしい乙女に成長していた。長い金髪がマントのように娘を包んでいた。……



長い眠り　　　　　オーストリア

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「いちいちつきあってらんねーよ　月に５回は言ってんだもん　ポスターの色が悪いとか女優がすねたとか助監督にしかられたとか
今度はどーゆーくだらない理由だか…　」
「そっかあ　ナーバスでセンシティブなアーティストだからなあ　パパちゃん
よしっ　励ましに行っちゃおっ」
「今　客がいっぱいだぜ」
「客？」
「ポルノ女優のみなみなさま」



CLIMB THE MOUNTAIN

川原由美子

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……ああ　なんて気持ちがいいの　そしてたくさんの男の子が　わたしにラブコールするようになるのね
きれいに生まれてよかった　神さまありがとう
「ポルノ女優の卵がどれほどのもんよ」
「……何かおっしゃって‥…？」
「あっれー？　何か聞こえた？　天の声かな？」



CLIMB THE MOUNTAIN

川原由美子

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‥…私はあらゆる機械や器具を使って獣の体を苛み、切り刻んだ。命ある存在を苦しめ、のたうちまわらせる方法で、私が思いつかないことは何ひとつとしてなかった。ねえ獣、お前は女というもののことをよく知らないんだ。そういう種類のことなら私にはいくらだっていくらだって思いつけるのだ。でもそのうちに獣の輪郭がぼんやりと滲んできて、その立派な緑色の鼻までがみみずのようにするすると縮んでいってしまった。……



緑色の獣　　　　　　村上春樹


　　　　　　

　

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……センター街の奥に入りこむにしたがって、うっそうとした密林が増えてきた。蔓のからまったリンボクやバショウの間に、背の高い椰子なんかが見えていて、中に光がほとんど射しこまないくらい密生している。投光機の光が空の半球を照らし、光が密林の上に来ると、木々が暗く浮かび上がる。
「どこ行くの」聞くと、サエコさんは少し考えてから、
「まあまず一杯だわね」と答え、火のついたままの煙草を密林の一つにほうりこんだ。
「火事になっちゃわないの」と驚いて叫ぶと、サエコさんは頷きながら、
「焼いてやらないと、繁るいっぽうだし」と言い、すずしい顔で歩きはじめた。



椰子・椰子　　　　　川上弘美

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