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いつか解き放たれる時まで…③続き

レス142 HIT数 47391 あ+ あ-

poinsettia( ♀ ySQTnb )
14/11/12 23:02(更新日時)

こちらで③の続きを書かせていただきます。思いの向くまま書かせていただいておりますので、更新もおそくなったりしています。読んでいただいている皆様ありがとうございます。

No.2027465 13/11/19 10:27(スレ作成日時)

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No.1 13/11/19 10:39
poinsettia ( ♀ ySQTnb )

晶仁に会いたくなる衝動を抑えて私は雅樹さんと藍斗くんの事だけを考えていた。

雅樹さんと居れば何も困らない。

お金もあって綺麗な家もある。

だからこのまま彼の奥さんになるのが賢い選択だと思った。

二人に買ったおみやげを手に私は決意を固めた。

No.2 13/11/19 10:55
poinsettia ( ♀ ySQTnb )

>> 1 秋田には雪が降ったと知り、私は雪が積もった実家の風景が浮かんだ。

母は雪掻きをしているのだろうか…。

東京は寒いけど雪が積もらなくていいな。


しばらく歩いて時間を潰した。

すれ違う女の子はみんな可愛く見えて、私は最近きちんとメイクもしていない事が悲しくなった。

綺麗にしなきゃ、、、。


小椋さんからいただいたお金を使うことが申し訳ない。でも髪をバッサリ切りたくなった。

新たな出発という訳ではないけど、何かきっかけが欲しかった。

私は美容室に向かった。

No.3 13/11/19 11:12
poinsettia ( ♀ ySQTnb )

“何時頃帰っても大丈夫ですか?。言われた時間に帰りますので連絡下さい。”

雅樹さんにメールを送った。

お店は空いていてすぐにゆったりした椅子に案内された。

『今日はどうしますか?』

背の高い細身の男性にドキッとしてしまう…。

『あっ…、あの、短くしたいので結構切って下さい。』

『えっ、いいんですか?。もったいないですね。』

『大丈夫です。お願いします。』

色々とカウンセリングをして私はボブにする事になった。


この人…かっこいい…。


細くて長い指で髪をすくわれるたびにドキドキしてしまう自分が恥ずかしい。


『今日は買い物とかですか?。』

『はい…。』

『仕事休みとか?。』

『仕事してないんです。』

『ん?、主婦とか。』

『そんな感じですかね…。』

会話が続かない。

ごめんなさい…。

でも顔はきっとニヤニヤしていた。

No.4 13/11/19 11:24
poinsettia ( ♀ ySQTnb )

私は渡された雑誌を見るより美容師さんを見ている方が幸せだった。

色白で細くて背が高くて私のタイプだった。

黒のジャケットがとても似合う。

『、、、、、すみません。ここいつからですか?。』

突然美容師さんに言われてハッとした。

『何かあります?。』

『円形出来ちゃってますね…、もしかしてわかんなかった?。』

『円形脱毛症ですか…。』

『うん。結構大きいですね…、大丈夫ですか?。』

優しく話してくれた。

『全然分からなかったです。ちょっとショックでした…。』

『ですよね…。あまり短くしないほうがいいかもしれないですね。』


いつから出来てたんだろう…。

No.5 13/11/19 11:46
poinsettia ( ♀ ySQTnb )

アシスタントの子が居たようだけど、彼はカットが終わって流してくれた。

『熱くないですか?』

『大丈夫です。』

優しい彼の指に癒されて私は至福の時を過ごした。

髪を乾かす頃には辺りはすっかり暗くなっていた。

『短いのも似合いますね。』

『そうですか?。良かった…。』

上着を着せてもらう時も会計をする時もずっとドキドキしていた。

『またお願いします、ありがとうございました。』

笑顔で見送ってくれた彼に私は恋をした。

幸せな気持ちにさせてくれた事に感謝した。

これから彼とどうなりたいかとかではない。

髪がかなり軽くなった。帽子も必要ない。

これからは上を向いて歩こう…。

“遅くなってごめん。藍斗がママと離れたくなくて今日は向こうに連れて行ったよ。いつでも帰って来ていいよ。”

雅樹さんからメールが入っていた。

私はそのまま家に帰る事にした。

No.6 13/11/19 12:03
poinsettia ( ♀ ySQTnb )

雅樹さんびっくりするかな?。


『ただいま戻りました。』


『あれっ??、どうしたの?。髪切ったの?。』

『どうですか…。』

『似合うじゃん…、可愛い可愛い。』

ちょっと本当っぽくて嬉しい。

『今日のお礼です。』

雅樹さんにおみやげの名刺入れを渡した。

『えっ…、わざわざ買ってくれたの?。』

『良かったら使って下さい。』

『千鶴俺に気を遣ったんだね、いいんだよ。』

『あと藍斗くんにも買って来たんだけど、後で渡しましょうね…。』

『ごめんね、せっかく…。明日連れてくるはずだから。』

『あの…。』

『ん?、何。』

『サインして行かれたんですか…。』


雅樹さんは頷いた。


『あの…、なんて言っていいかわかりませんが、お疲れ様でした…。』


『ありがとうございます。これからは堂々としていていいからね。俺も千鶴に遠慮しないから!。』

そう言うと雅樹さんは私を抱き締めキスをした。

『今日は二人だけだから…。いっぱい抱き締めていい?。』


ドキドキはしない。

でもあたたかい…。

私雅樹さんを愛せるかな…。

No.7 13/11/19 12:21
poinsettia ( ♀ ySQTnb )

二人ともまだ夕食を取らずにいたために外食をしようということになった。

雅樹さんの車で彼のお勧めのお店に行った。

中華のレストランで人気があるのかとても混んでいた。

雅樹さんは見れば見るほど熊に見えて滑稽で可愛い。

『千鶴可愛いなぁ…。本当俺のタイプなんだよね。』

『雅樹さん額に汗かいてる(笑)。』

『悪いか(笑)。』

ノンアルコールビールと小籠包、天津飯、餃子を注文した。

雅樹さんのグラスにビールを注ぐと嬉しそうな表情をした。

熱々の小籠包で舌をやけどしてしまったけど、美味しいご飯に笑みがこぼれた。

No.8 13/11/19 13:14
poinsettia ( ♀ ySQTnb )

雅樹さんに話していない事はたくさんある。

雅樹さんの事もあまり知らない。

でも包み隠さずに話せばいいというものでもない。

話さなくていい事があってもいい。

『私円形出来てたんだ。』

『うそ〜、本当に?。』

『美容師に言われて…。知らなかったからショックだった。』

『あまり深く考えないようにな。色々あって辛かっただろうけど。』

『もう会えない人達がたくさんいるんだ。』

『どうして会えないの?。』

『会えないっていうか会ってもらえないって言ったほうが正しいかな。』

『会いたい?。』



『わからない…。自信がないんだ。』

No.9 13/11/19 13:36
poinsettia ( ♀ ySQTnb )

雅樹さんとは体の相性が合わない。でも決めつけたら先がないし、そう思わない事にした。

何も考えず、ただ彼を受け入れる。

でも遠慮せずにしてほしいことを素直に伝えた。

雅樹さんは時間をかけてじっくり愛してくれた。


『あまりっ…、じっと見ないで…。』

『ほら、俺を見て。』

雅樹さんの舌は器用に私の秘部を舐め回す。

両腕で私の脚を開いて優しく押さえつけた。

No.10 13/11/19 15:44
poinsettia ( ♀ ySQTnb )

雅樹さんが美容師の彼なら…。

悪いとは思ったけど目を閉じて想像してしまった。

名前も知らないあの美容師にこんな風にされたら…。

そう考えただけで凄く感じてきた。

指が中に入ってきた。

『あぁっっ…、あっ…。もっと、もっと…。』

舌と指を使っての愛撫はたまらなく感じて、たまらず欲しくなり、自ら雅樹さんのものを口に含んだ。

『千鶴どうしたの?。本当はこんなに好きなんだね…。』

『お願い…。挿れて。』

四つん這いになり、彼にお尻を突き出した。


No.11 13/11/19 18:58
poinsettia ( ♀ ySQTnb )

次の日。

雅樹さんは8時に出勤した。

『夜仕事終わったら藍斗連れて帰って来るから。』

『うん。私今日何すればいいかな?。』

『そうだな…、適当に掃除少しやってくれたら助かるかな。あとは夕飯頼むね。』

『分かった。何か食べたいのある?。』

『任せるよ。お金まだあるかな?。』

『十分足りてる…。』

『じゃあ行って来るね、千鶴。』

そう言うと彼は私にキスをした。

No.12 13/11/19 19:11
poinsettia ( ♀ ySQTnb )

>> 11 雅樹さんより早く起きてメイクをする。

きちんと着替えもして綺麗な私で見送る。

そう決めたのだった。

朝食の片付けをすると、新聞を見ながらゆっくり紅茶を飲んだ。

私はテレビを見るよりはラジオが好きだ。

ラジオなら何かしながらでも情報が耳に入ってくるし。

スーパーのチラシを見ると今日は月曜日なのに安い店を見つけた。

歩いて行ける場所かな…。


奥さんはもうこの家に戻って来ないとしたら、私物はないということかな。

奥さんが選んだ家財や家電をそのまま使うのもちょっと気が引けた。

アイロンからホームベーカリーまでそのまま置いて行ったようだ。

別れてどんな暮らしをするのだろうか。

高そうな掃除機はあっという間に家中を綺麗にした。

No.13 13/11/19 19:19
poinsettia ( ♀ ySQTnb )

9時半頃に幼稚園のバスを見かけた。

藍斗君の幼稚園バスのようだ。

バスは雅樹さんの家のすぐ近くの公園前に停まった。

もしかして、藍斗君も乗せていたのかな。

幼稚園のママ達と関わりを持たなきゃいけないのかな。

バスに乗らなければ毎日送り迎えをすることになるんだ。

雅樹さんときちんと話さなければ。

ママ達はバスに子供達を乗せてからしばらくその場でおしゃべりをしているようだった。

あの中に入るのは無理だ。

というか避けたい。

No.14 13/11/19 19:27
poinsettia ( ♀ ySQTnb )

>> 13 それからずっとその事が気になって仕方なかった。

雅樹さんと暮らすということは藍斗君の事もみるということ。

いづれ籍を入れたなら母親になるということでもある。

これから幼稚園、小学校、中学校とずっと続くのだ。

私に出来るだろうか。

どうしよう…。

奥さんが藍斗君を引き取るならそんな心配はないのに。


籍を入れるとなるとよほどの覚悟がいる。


軽々しく家に上がり込み、雅樹さんの女になった自分を馬鹿だと痛感した。

No.15 13/11/19 20:55
poinsettia ( ♀ ySQTnb )

掃除機をかけて、水周りを綺麗にして私はチラシのスーパーに行く事にした。

散歩をしている人に場所を聞いた。

方向音痴な私は間違って戻ったりしたけど、無事にそのスーパーに着いた。

安くてボリュームのある献立を考えるのは大変だ。

毎日買いに来る訳にはいかないから使いまわせる食材を買わなければ。

お肉の所を見ていると、一人の妊婦さんが目に入った。

あの人は…。

この前昌仁のアパートで見かけた人…。


多分そうだ。


私は変な汗が出て来てドキドキした。


まさか昌仁まで一緒なわけないよね。


怖くなって私はスーパーを出た。


少し足を伸ばせば来れない場所ではないはず。

そして節約を意識して生活している昌仁の事だから安いスーパーで買い物をするのが好きなはず。

ここは常連なのかも知れない。

No.16 13/11/19 23:50
poinsettia ( ♀ ySQTnb )

>> 15 手にしたカゴを戻し足早に店を出る。

でも…、一緒に買い物に来ているなら。


一目見たい…。

元気な顔を見たい…。


きっと私の事なんて思い出す事もないでしょう。

可愛い奥さんと生まれて来る子供の事だけしか考えてないよね。


隣の本屋に入り立ち読みするふりをしながらスーパーの出口をずっと見ていた。

昌仁らしき人物には会えなかった。

奥さんの姿も見失った。


無駄な時間を過ごした気がした。


結局チラシにも入ってこない帰り道のスーパーで適当に買った。


私は何がしたいの?。

なぜ過去にしがみついているの?。

後悔しない生き方をするんじゃないの?。

本当は誰が好きなの?。



そう、私の心はまだ諦めきれずにいた。


No.17 13/11/20 00:02
poinsettia ( ♀ ySQTnb )

>> 16 雅樹さんの胸に飛び込んだのも、美容師の彼に心がふらつくのも、さみしいから。

ひとりで居たくない。

誰かといなきゃ駄目になるから…。


音のない部屋で静かに夕食を作り始めた。


やっぱり…、大好きな人とは一緒になれないのね。

結婚はまた別だよ。


会いたいよ。
会いたいよ。

最後に一度だけでいいから会いたい。

もう邪魔はしないから。

はっきり嫌いって言ってほしい。


神様。神様居るなら昌仁に会わせてよ。



No.18 13/11/20 18:08
poinsettia ( ♀ ySQTnb )

考え事をしながら作る夕食。

いったい何を作りたかったのかわからないような献立になりそうだ。

私は夜6時を過ぎるとビールが飲みたくなる。

本当は作りながら飲みたい。

冷蔵庫に冷やしてあるビールがきになってしまう…。

飲みながら料理を作っていたら、雅樹さんどう思うかな。

私が酒好きだって分かっていても、あまり良くは思わないかな。

先に飲んでいたら申し訳ない…。

私は我慢した。

No.19 13/11/20 18:46
poinsettia ( ♀ ySQTnb )

うどんを煮た。ゆで卵とネギと天かすを添えてみる。

少し残っていたご飯は混ぜご飯にした。

藍斗君食べてくれるかな。



『ただいまぁ。』

『ただいまー。』

二人が帰ってきた。

『おっ、なんか美味そうな匂いがするぞ。』

『おねぇちゃん‼︎。』

藍斗君が抱きついてきた。

『おかえりなさい。寒かったでしょ、ご飯出来てるよ。』

藍斗君の瞳は澄んで綺麗だ。

No.20 13/11/20 19:09
poinsettia ( ♀ ySQTnb )

『藍斗くんうどん好き⁇。』

『今日幼稚園で出たよ!。藍斗ね〜全部食べたんだぁ。』

『そう…、偉いね。』

『さぁ、先に風呂入ってこようか?。』

『あっ、ごめんなさい。まだお湯はってなかった。』

『いいよいいよ、じゃあ先に食おう。』



うっかりしていた。


『ごめんなさい。』

『そんな、謝るなよ。大丈夫。早く藍斗寝かせて千鶴とゆっくり飲みたいだけだからさ(笑)。』


No.21 13/11/20 19:27
poinsettia ( ♀ ySQTnb )

『ただいまっ。』

『おかえり。あき…ごめん。なんか、お腹張って休んでたからまだご飯作ってないの。』

『、、、、、、。』


『お前さぁ、一日中何やってんの?。ずっと寝てたのか?。』

『違うよう。ちゃんと買い物してきたよ。今日カレーにしようと思って材料買ってきたよ。でも歩いて来てアパート着いたら具合悪くなっちゃったの。』


『飯は?。』

『今から作るから。ちょっと待ってて?。』

『今から作ったら何時になんだよ。お前おせーし。』

『あき…ゴメンね?。』

『いいよ、外で適当に食って来るから。お前寝てろ。』

『あき、ひどいよ。私赤ちゃんいるんだよ。たまにはあきだって作ってくれてもいいじゃない。悪阻だってまだあるのに。』


『最近家でまともなやつ食ってねーし。』


みゆは泣いた。


『あきって冷たいよね。付き合ってた頃は優しかったのに。』


『あのなぁ…、俺は仕事して来てクタクタなわけ。なんなの?。ワイシャツはアイロンかけてねーし、ゴミもちゃんと出してねーし。飯ぐらい作っとけよ。』

『あきにはわかんないよ‼︎。』


みゆはテーブルにあった雑誌をあきひとに投げつけた。

No.22 13/11/20 19:41
poinsettia ( ♀ ySQTnb )

藍斗君は珍しく早めに寝た。

リビングのソファで寝てしまい、雅樹さんが抱っこしてベッドに連れて行った。

『千鶴、うどん美味かったよ。』

『本当⁇、良かったぁ。』

『主婦長いの?。料理上手だよね。』

『そんなことないよ。主婦はちょっとだけしかやってない。』

『あのさ、明日からの藍斗の幼稚園なんだけど。』

『あっ、私も聞きたいって思って。バスに乗せた方がいいんだよね?。』

『バスか俺が送り迎えするかどっちかしかないからね。』

『千鶴はどっちがいい⁇。』


『出来れば送り迎えがいいけど、雅樹さんが大変だから…。』

No.23 13/11/20 22:55
poinsettia ( ♀ ySQTnb )

『バスはすぐそこの公園のとこまでは来てるんだ。うちの他に3人くらい乗ってる子が居るって聞いたかな。』

『そうなんだ。』

『うちのやつさ、お母さん達と合わなくて毎日送り迎えしてたよ。なんか合わせるのが大変だって言ってたかな。』

私の予想通りの展開だ。

『私も実は結構人見知りで、その…、出来たらバスじゃない方が助かるっていうか。』

『そりゃそうだよ。藍斗君とどういう関係ですか?なんて聞かれても困るしな。』


『うん。俺が送り迎えは責任持ってやるから。ただ出張とか居ない時は千鶴にお願いしたい。』

『はい。』


その時は仕方ない。

『運転は出来るの?。』

『一応出来るけど…。』

『軽自動車でも良ければ探してあげるよ。』

『えっ…、いいの?。』


雅樹さんは笑みを浮かべた。

No.24 13/11/20 23:08
poinsettia ( ♀ ySQTnb )

>> 23 幼稚園は夜の6時まで預かり保育をやっているらしく、雅樹さんは毎日仕事の合間をみて迎えに行ってくれた。

バスならば本当は楽なのに。

私のわがままで雅樹さんに負担をかけていた。


『藍斗くん、バスに乗って幼稚園行きたい?。』

洗濯物をたたみながらゲームをする藍斗君に話しかけた。

『バスやだ。だって⚪️⚪️くんたたくもん。』

『叩くの?』

『うん。たたくし藍斗の仮面ライダーのティッシュ幼稚園でとったもん。』

『返してくれなかったの?。』

藍斗君は黙って頷いた。

最近ティッシュを持っていかないのはそのせいなのかもしれないと思った。

バスで行きたくない理由があってちょっぴりホッとした。


No.25 13/11/20 23:23
poinsettia ( ♀ ySQTnb )

藍斗君ははっきり嫌だとかやめろとか言えない性格なのかもしれない。

同じバス停にそんな意地悪な子がいるとなると余計面倒臭い。

親ともギクシャクしてしまいそうだ。


『今日ね、発表会の練習したよ。』

『発表会?。発表会あるの?。』

『うん‼︎、お姉ちゃんパパと見に来てね‼︎。』


藍斗君は嬉しそうに話した。


雅樹さんは分かってるかな…。

今日話さなくちゃ。



雅樹さんから仕事で遅くなると電話が来て、私は藍斗君と二人でご飯を食べてからお風呂に入った。

一人で入らせるわけにはいかず、タオルで隠しながら一緒に入った。


歯磨き、絵本、寝かしつけ…。


自分の子供のように接した。


こんな風に梨華にはしてあげなかったな…。

今となってはもう遅い。


深い深い親子の溝を自ら作ってしまった。


私のことは忘れてほしい。


こんな、身勝手な母の事なんか…。

No.26 13/11/20 23:36
poinsettia ( ♀ ySQTnb )

昌仁とみゆはあれから気まずいままだった。

みゆの悪阻は長く、なかなか思うように家事が出来ないままだ。


晶仁はこの生活に我慢の限界が来ていた。


『あき、明日妊婦検診なんだけど一緒に行かない?。』

『病院に?。行ってどうすんの?。』

『どうするって、エコーで赤ちゃん見れるから一緒に見たいなって思って。』

『悪いけど仕事休めないし、無理。』


『だよ…ね。』



みゆは心細かった。


昌仁はちっとも嬉しそうじゃない。


『ねぇ…。』


『ん?。』


『私達、大丈夫かなぁ。』



みゆの質問に昌仁は何も答えなかった。

No.27 13/11/26 09:01
poinsettia ( ♀ ySQTnb )

みゆとは遊びだった。

側にいる千鶴にちょっと飽きて、同僚のみゆに手を出した。

みゆの妊娠は予想外だったのだ。

みゆのお腹がどんどん大きくなっていく現実を受け止め切れずにいた。

『あき。まだ元カノ好きなんじゃない?。』

『あ?、何だって?。』

『たまに寝言言ってるし。ちーとか。』

晶仁は一気に顔を赤らめた。

No.28 13/11/26 16:11
poinsettia ( ♀ ySQTnb )

『ちーってさ、名前だよね。ちかとかちえとか…。』

『おまえいちいちうるせーよ。んなことどうだっていいだろ。』

『本当にちゃんと別れたの⁇。』

『みゆ。黙れ。』

『なんなの?その偉そーな態度。』

『今更元カノがどうとか名前がなんだとかよ、どうでもいいんじゃねーの?。まず家片付けたりとか飯作るとかさ、やることあんだろ?。具合悪りぃって本当かよ。』

『酷い。悪阻の大変さはあきにはわかんないよ。よくそれで子供育ててきたよね。』

『黙れ‼︎。』


晶仁はみゆに手を挙げた。

みゆはお腹をかばうように晶仁の暴力に耐えた。


No.29 13/11/26 16:21
poinsettia ( ♀ ySQTnb )

>> 28 『もうやだ…。あきと一緒に居たら赤ちゃんもどうなるかわかんないよ。私出てく。』

みゆは泣きじゃくりながらクローゼットからカバンを取り出そうとした。

『あたしのことそんなに好きじゃないんでしょ。』

『出てくってどうすんだよ。お前行くとこないんだろ。お前は何でなんも努力しないわけ?。』

『だって出来ないんだもん。』

『子供生まれたらどうすんの?。今のままじゃだめだろ?。』

『もっと私の体労ってよ。あきの赤ちゃんなんだよ。』


みゆは晶仁に抱き着きしばらく泣いていた。

No.30 13/11/26 22:47
poinsettia ( ♀ ySQTnb )

『ごめん、少し頭冷やしてくる。』

『行っちゃうの?、ちゃんと帰って来るよね?、元カノに会ったりしないよね?。』

『大丈夫だって…。』


晶仁はアパートを出た。


コンビニに立ち寄り雑誌を手にした。

少しでも現実逃避がしたかった。

自分にとっては千鶴くらいの女があっていると分かった。

自分の浮気とアパートから千鶴を追い出した事を後悔した。

千鶴のことだ。

また新しい男とっ捕まえて一緒に暮らしているのだろう…。


今更連絡の取りようがない。


千鶴に会いたい。

会って話がしたい。


晶仁も同じ気持ちだった。

No.31 13/11/26 22:58
poinsettia ( ♀ ySQTnb )

>> 30 『お帰りなさい…。』

ささやき声で千鶴は雅樹を出迎えた。

『藍斗は?。』

『さっき寝たよ。』

『風呂にも入れてくれたのか?。』

『うん。ちょっと照れ臭かったけどね。』

『ありがとう千鶴。ご飯あるの?。』

『もちろん。』

『じゃあ先に風呂入るかな。』


千鶴は雅樹が脱いだ靴を磨いた。

明日も気持ち良く仕事に行けるように…。


玄関に飾ったガーベラがいつのまにか萎れていた。

綺麗なピンクも白っぽくなっている。

明日また新しいガーベラを買ってこよう。



ガーベラは千鶴が好きな花だ。

No.32 13/11/26 23:09
poinsettia ( ♀ ySQTnb )

>> 31 雅樹が風呂から上がるタイミングを見計らい、味噌汁を温め直す。

雅樹の分のご飯だけは炊飯器で保温したまま温かいご飯を出すようにしている。


『いいなぁ。こうやって家でご飯作って待っててくれる女がいるって最高だよ。』

雅樹は嬉しそうに話す。

『千鶴といたやつは幸せものだな。』

『えっ?、うーん。それはどうかなぁ。』

『そうじゃない奴もいたのか?。』

『あまり感謝された事はないかも。やって当たり前?、みたいな。』

『そうなのか?。色んな考えの奴いるからな(笑)。』


『藍斗くんの発表会なんだけど。雅樹さん聞いてた?。』

『発表会?、あれ、いつだっけ?。』


雅樹はやはり忘れていた。

No.33 13/11/26 23:19
poinsettia ( ♀ ySQTnb )

>> 32 『もしかしたら出張になるかも知れない。』

『出張?。』

『なるべくそうならないようにするよ。』

『お願いします。藍斗くんパパと二人で見に来てねって言ってて。私も、その…、幼稚園に行くのは凄く抵抗あるんだけど。』

『千鶴。もう俺は離婚したんだ。千鶴は新しい奥さん候補なんだよ。堂々としてていいんだって。』

『でも…。』


『気にしなくていいんだ。なんだかんだ言われても堂々としていていいから。』


雅樹はもう私と結婚した気でいた。


内心私はまだ少し迷いがあった。

No.34 13/11/26 23:35
poinsettia ( ♀ ySQTnb )

>> 33 台所で洗い物をしていると雅樹が後ろから抱き締めてきた。

『ちょっと、どうしたの?。びっくりする。』

『いいだろ…。』

雅樹は体をピタリとくつけてきた。

『あぁ…、千鶴。好きだよ。』

『雅樹さん、どうしたの?。酔ってるの?。』

『あぁっ…。』

雅樹の手が千鶴の胸を揉む…。

『待って…、まだ途中だから…。』

雅樹の息が首筋にかかる。

『千鶴、抱きたいよ。』

雅樹の右手は千鶴のショーツの中に入ってきた。

『あぁんっ。んっ…‼︎。』


私の体は雅樹で感じるようになってきていた。

『ほら…、こんなにしちゃってどうしたの…。』

雅樹が中指で上下になぞる。

一番敏感な部分には触れずに優しく擦る。

『あんっ、気持ち…いい。』


『今日もいっぱい気持ち良くしてあげるね。』





私の愛液が雅樹の指を濡らした…。

No.35 13/11/26 23:46
poinsettia ( ♀ ySQTnb )

>> 34 雅樹は後ろから千鶴に挿入した。

『あぁっ…、うんっ‼︎』

『ほら、もっと腰突き出して…。』

『藍斗くんがっ…、起きてきちゃうっ。』

『大丈夫。あぁーっ、千鶴気持ちいいよ。』

雅樹は激しく腰を振る。


『雅樹さんっ、お願い。ベッドでして?。』


『ダメだ。』



結局その夜は台所でしてしまった。


日に日に雅樹の性欲はエスカレートしてきていた。


No.36 13/11/26 23:52
poinsettia ( ♀ ySQTnb )

>> 35 その夜雅樹は鼾をかきながらぐっすり寝た。

千鶴はしばらく寝付けなかった。

頭の中で色々な事を考えていた。


どうして雅樹を愛せないのだろう。

いや、愛していないわけじゃない。

ただ、トキメキがないだけ。


結婚するならきっとこういう人がいいんだ。

結婚にドキドキはいらない。





晶仁。



今なにしてるの…。

No.37 13/11/27 00:02
poinsettia ( ♀ ySQTnb )

晶仁がアパートに戻るとテーブルに手紙があった。


みゆは先に寝ていた。


〈あきへ。みゆの事嫌いにならないでね。みゆ明日から頑張るから。悪阻で気持ち悪くてもあきのためにご飯作るしアイロンもちゃんとやるから。掃除もするから。大好きだよ。 みゆ。〉



手紙を見るなり晶仁は余計に疲れた。



こんな事しなくていい。



部屋の明かりを消してテレビをつけた。

音は出さずに画面を見ていた。


No.38 13/11/27 23:40
poinsettia ( ♀ ySQTnb )

コンビニで買った缶ビールを飲みながらみゆが作っておいた肉じゃがをつまみにした。


晶仁が美味しいと思う料理をまだみゆは作れない。

どうしたらみゆをもっと愛せるか考えた。

生まれてくる自分の子供を可愛がれるだろうか。



千鶴。



千鶴に甘えたい。

No.39 13/11/28 00:22
poinsettia ( ♀ ySQTnb )

>> 38 雅樹のワイシャツはいつもクリーニングに出していた。

千鶴はクリーニング屋のおばさんと親しくなった。

『今日はもしかしたら雪が降るかしら。だいぶ冷えますね。』

『本当寒いですね。』

『もうすぐ師走なんて、なんて早いのかしら…。また年を取るのね。』

『宝くじでも当たったらいいんですけどね。』

『本当だわね(笑)。』


千鶴は少しずつでも人見知りを克服したいと思っていた。

千鶴にとっては世間話も大切だった。


雅樹が藍斗を連れて帰ってくるまで、千鶴には時間があった。

だいたい家事を終えると退屈になる。

働かなくても雅樹が養ってくれるけれど、刺激がない。


働きたいと言ったらそんな必要ないだろと言われるのが目に見える。

お金が欲しくて働きたいのではない。

家にばかり居ると余計な事を考えたり、ひきこもってしまいそうになる。



“あっ…。ガーベラ。”


今日はガーベラを買いに行くんだった。


外に出掛ける口実が出来た。


クリーニングから取ってきたワイシャツをクローゼットにかけると、千鶴はまた外に出掛けた。


雅樹が預けてくれた鍵には秋田のご当地キティの鈴をつけてある。


ふと、翔太の顔が浮かんだりすることもあった。


梨華は怒った顔しか浮かばない…。

いつもそんな顔にさせたのはきっと私だ。



人は嫌な思い出は封印したままいつの間にか忘れていく。

でもふとした瞬間に蘇る。


時間が解決したわけではない。


ただ忘れていただけなんだと思う。


当たり前のように太陽が昇り、朝が来ること。

側に居て自分を支える人がいること。


愛は与えるもの。


生きているとわからないことがたくさんある。


あの人を愛したい…。




No.40 13/11/28 00:33
poinsettia ( ♀ ySQTnb )

>> 39 『あき?、仕事行かないの?。遅れるよ。』


『今日俺休む。』

『どうして?。具合でも悪いの?。』


『いや。あの…。病院付き合うよ。』

『えっ?。本当に?。』

『うん。きのうは…、ごめん。』

『やったぁ♡。』


みゆは喜んだ。



『バスに遅れないように準備してね?。』

『あぁ。』



『ご飯きのうの肉じゃがと味噌汁でもいい?。』


『別にいいけど。』



本当は行きたくない。


でも子供を見たらきっと愛情が湧いてくるはずだ。


そう信じたい。

No.41 13/11/28 00:58
poinsettia ( ♀ ySQTnb )

みゆと晶仁は軽く朝食を済ませると、二人で病院へ向かった。


平日の午前中はバスも空いている。


『今日寒いね。』

『うん。』


二人は一番後ろの席に座った。

晶仁が窓際だ。


みゆはスマホをいじりはじめ、ゲームで遊び出した。

『バスに酔わないのか?。』

『平気。』


晶仁はあまりバスに乗らないせいもあるが酔いやすい体質だ。


外の景色を眺めていた。



交差点の信号でバスが停まる。


何気無く。



本当に何気無く目をやった。


横断歩道で信号が青になるのを待つ一人の女。


見覚えのある後ろ姿。


背が小さくて少し猫背のその女は…。





“千鶴…。”






みゆに気付かれないように心の中で叫んだ。



心臓が張り裂けそうだ。



髪が前より短くなっているけれど間違いない。


千鶴…。


会いたかったよ。


こんな所でお前に会えるなんて思ってもみなかったよ。


やっと見つけた。



バスは青に変わり走り出した。


晶仁は後ろの窓からずっと千鶴を見ていた。

No.42 13/11/28 01:11
poinsettia ( ♀ ySQTnb )

千鶴の表情は穏やかだった。


今どこに住んでいるのだろう。

男といるのか…?。


『もうすぐ降りるから。』


『あぁ。』


『病院めちゃめちゃ混んでるの。予約いれてるのにすごい待たされるんだぁ。あき、退屈かもよ。』

『気にしなくていいよ。みゆも疲れるのは一緒だからさ。』


『なんかやさしい…。どしたの⁇。』


『えっ、、?。いつもと変わんねーけど。』



千鶴を見た事で晶仁は希望が湧いてきた。


みゆにも優しく出来た。


病院では興味すらないマタニティ雑誌を読んだ。


みゆには訳が分からなかった。

No.43 13/11/30 23:12
poinsettia ( ♀ ySQTnb )

『柳田さん、中にどうぞ…。』


思っていたよりも早くみゆは呼ばれた。


『あき、行くよ。』


昌仁は恥ずかしさでいっぱいだった。


『今日旦那さんも一緒にいいですか?。』

みゆが聞いた。


承諾を得て昌仁は診察室にみゆと共に入った。


もう後戻りは出来ない。



みゆは体重が増えていた事を指摘された。


いつの間にか大きくなったお腹を見て昌仁は童謡していた。


かつて元嫁と経験してきた事だとしてももう昔の事であまり記憶にない。


『うわぁ…、動いてる‼︎。』


エコーの赤ちゃんは元気に羊水のなかで手足を動かしていた。


『あきわかる⁇。』


『うん…。』




千鶴…。


俺どうすればいいかな…。

No.44 13/11/30 23:27
poinsettia ( ♀ ySQTnb )

>> 43 千鶴は昌仁に気付く事などなく、落ち葉のじゅうたんでいっぱいの街路樹を歩いていた。


“今日はすき焼きにしようかな”



ショッピングモールの花屋でガーベラを買った。


赤と黄色を1本ずつ…。


すき焼きの材料と藍斗にカード入りのウエハースチョコを買った。


さっきまで晴れていた空は急に暗くなり、しとしと雨が降り出した。


千鶴は傘を持っていなかった。


“ダウンのフードがあればなんとかなるかな”


千鶴は急いで家に戻ろうとした。



バスはまだ乗ったことがないから路線もわからない。


ただ自分が歩いて来た道を走っていたのは確かだ。


“いい時間あるかなぁ…”


ショッピングモールのバス停の時刻表を見るとあと5分後に来るバスがあった。

No.45 13/11/30 23:46
poinsettia ( ♀ ySQTnb )

バスが停まり千鶴は運転手に尋ねた。

『すみません、これって⚪️⚪️町通りますか?。』


運転手は不機嫌そうな顔をしながら頷いた。


“何いらついてんだか…”


千鶴はバスに乗ることにした。



“小銭あったかな”



バスはすぐに走り出した。



運転手は気が荒く、スピードを出して走っていた。




“なんだこいつ。危ないじゃん。”


千鶴は段々イライラしてきた。



雨はどんどん強くなった…。




バスに乗ってから四つめの停留所で客を乗せた。


千鶴は前の席に座っていた。



『うわぁまじ最悪。何この雨…。』



バスは客が席に着く前に走り出す。


“ちょっと危ないっつうの、なんなのこいつ。”

千鶴は運転手を睨みつけた。




『大丈夫か?、早く座んな。』


バスが急に走り出したからか、客はドアのすぐそばに座ったようだった。


『今日雨だったっけ?。』

『知らねー。』









千鶴は気がつかなかった…。




その存在に。

No.46 13/11/30 23:57
poinsettia ( ♀ ySQTnb )

エコバックの中のガーベラが萎れてしまわないかとても気になった。


家の近辺で千鶴はバスを降りる事にした。


フードを被ったまま千鶴はバスを降りた。


それが千鶴だと昌仁が気付いたのは、横顔だった。


一瞬見えた横顔。

そう言えば、信号待ちしてた時もあんなダウンを着ていた。


“まじかよ…、嘘だろ…。”



昌仁は千鶴が近くに住んでいることを認識した。


そんなに遠くはないはずだ。


No.47 13/12/01 00:11
poinsettia ( ♀ ySQTnb )

>> 46 “ただいまぁ”


誰もいなくてもそう言って家に入る。


家はやっぱり暖かい。


こんな綺麗な家を任せられて自分は幸せだと思った。


ガーベラはまだ元気だった。


食材を冷蔵庫にしまうとすぐにガーベラを飾った。


花を見ていると優しい気持ちになれた。


笑顔で二人の帰りを迎えよう。



『毎晩でもいい…、千鶴を抱きたい。』



雅樹はきのうそんな事を言った。



それに応えるのも…、務めかな…。


濡れたダウンをハンガーにかけながら千鶴は複雑な気持ちだった。

No.48 13/12/01 00:22
poinsettia ( ♀ ySQTnb )

>> 47 『お昼どうする?。なにもないよ。』

『なんか食ってくか?。』


みゆと昌仁はバスを降りてからラーメン屋に入った。


『あたしあまり食べれないからあきのちょっとちょうだい?。』

『いつになったらちゃんと飯食えるの?。』

『わかんないよ。食べると気持ち悪くなるし、でもお腹は空くし。』


昌仁のラーメン炒飯セットを、みゆは少しだけ食べた。


『病院付き合ってくれてありがと。』


『あぁ。』


『赤ちゃんどう思った?。』

『ん?。うーん、ちょっとびびった。』


『どっち似かなぁ。』


『んー、どうかな。』



二人の会話はいつも話が持たない。


みゆはそれも気にしていた。

No.49 13/12/01 00:40
poinsettia ( ♀ ySQTnb )

>> 48 アパートに戻るとみゆは疲れて寝たいと言った。


『あき、どこにも行かないでそばにいてね。』

『居るに決まってんだろ。俺も眠いし。』

『じゃあ一緒に寝よう?。あきの腕まくらがいいな。』


昌仁は仕方なくみゆの隣に寝た。


『あき、眼鏡取って?。』

『あぁ。』


『あき?、チューして?。』


昌仁は短いキスをした。


『何それー。もう終わり?。』


みゆは不満そうにした。



『ねぇ…。してもいいよ。』


『子供いるんだし、やめとけよ。』


『激しくしなきゃ大丈夫なんだよ。』


みゆはしたがった。




昌仁は迷った。


みゆを抱く心境ではなかった。


みゆは自ら昌仁のズボンを脱がせた。



昌仁はぼーっと天井を見ていた。



『あき、気持ちいい?。』



『うん。』




早く終わらせてくれ。



みゆにとっては悲しい現実だった。

No.50 13/12/01 00:51
poinsettia ( ♀ ySQTnb )

>> 49 みゆはいつも昌仁の愛撫でイッた…。


『あきっ‼︎、あきぃ〜っ、ダメっ‼︎。』


『あまり感じるなよ。』


『だってきもちいいんだもんっ‼︎、あぁっ…。』


みゆは声が大きい。


昌仁はそれをとても気にしていた。




みゆはそれからぐっすり眠った。


昌仁は千鶴の手がかりを掴みたくて落ち着かなかった。


家どこだ…。


あいつ今誰と暮らしてんだ。


どんな奴に抱かれてんだよ。



千鶴の裸を想像して嫉妬した。


  • << 51 『もしもし千鶴?、急で本当に悪いんだけど、藍斗の迎え行けなくてさぁ、帰りバスに乗せる事にしたんだけど迎えに出れるか?。』 雅樹からの思わぬ電話だった。 『迎えに出ればいいの?。何時頃かな。』 『2時40分に公園前に出てくれないか?。幼稚園には事情を話してあるから、心配しなくて大丈夫だから。』 『でも、いきなり私行ったら他のお母さん達に怪しまれないかな。』 『ごめん。そうさせたくなかったんだけど今日はこれから夜まで会議だし、無理なんだよ。分かってくれないか?。』 『、、、、、。はい。わかりました。』 千鶴は急に緊張してきた。 どうしよう…、あなたはどういう関係?なんて聞かれたら…。 お昼のカップラーメンは、そればかりを考えていたせいかいっこうになくならず、のびきっていた。
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