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匿名
13/10/18 16:43(更新日時)

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No.2006109 13/09/27 03:10(スレ作成日時)

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No.1 13/09/27 12:55
匿名0 

彼と知り合ったのは、たわいもない場所だった

私がパート感覚で勤めた画廊の受付

毎日のように、足を運ぶ彼が少し気になっただけ

No.2 13/09/27 12:58
匿名0 

>> 1 彼も絵を描くのだろう

彼の匂いは絵具の香りがする

私も若い時には、少しだけその道を歩んだ事がある

自分には才能がないと諦めたが…

No.3 13/09/27 13:02
匿名0 

>> 2 伏し目がちな彼の面影は、とても印象的だった

私はただのアルバイトで受付に座っている

何時間も、1枚の絵を見つめる彼は密やかではあるが、私の好奇心を強く揺すぶられた

No.4 13/09/27 13:05
匿名0 

>> 3 画廊では、期間がある。

作者の展示される絵画が売れるか売れないかとは関係なく、期限を過ぎるとまた違う作者の作品が展示される

No.5 13/09/27 13:06
匿名0 

彼が来ない日は、何か落ち着かない

No.6 13/09/27 13:13
匿名0 

>> 5 画廊が定休日に入った。

仕事と言っても、来店した人たちに、今、展示されている作品のパンフレットを渡し、来店名簿に記入してもらうだけの仕事

拘束時間が長いだけで、貰えるお給料は少ない

退屈でもあるが、絵画に興味のない人には、この仕事は割りに合わない

No.7 13/09/27 13:17
匿名0 

>> 6 絵具屋が並ぶ街中をぶらぶらと歩く

絵具は思いの外、高額だ

1枚の絵画を仕上げるには時間とお金もかかる

No.8 13/09/27 15:31
匿名0 

>> 7 才能がないのは最初から、分かっていた事だ

それを生業にしようなどとは、到底考えてもいない

だが、自分を出す事の出来るすべが、絵画だった
それだけが唯一の自己主張だっただけだ

No.9 13/09/27 15:34
匿名0 

>> 8 親の薦められるまま、結婚した

平凡であるが今はその生活が私の全てでもあった

No.10 13/09/27 15:37
匿名0 

>> 9 夫も可もなく不可もなく、当たり前のような存在

子供たちも、極々普通に成長をしてくれていた

当たり前の平凡で平和な生活

No.11 13/09/27 15:41
匿名0 

>> 10 もう一度、絵を描きたいとは思わなかったと言ったら嘘になる

しかし、絵を描くのには、それだけの時間とお金がかかるのは充分に承知していた

No.12 13/09/27 15:42
匿名0 

>> 11 そんな時に見つけたのが、今の画廊の受付のアルバイトであった

No.13 13/09/27 15:45
匿名0 

>> 12 彼の存在もその中に入るはずであったが、どうしても違う感情が沸き上がる

初めての感情

No.14 13/09/27 15:48
匿名0 

>> 13 私自身は、学生時代には恋愛と言うものも経験はしている

恋人と呼ばれる事に、気恥ずかしさと心沸き立つ想いも何回かある

No.15 13/09/27 15:52
匿名0 

>> 14 しかし恋愛と結婚はまた別の何かだと言う事も、分かっていた

若いうちは、恋愛から結婚と繋がりを持ち、幸せを掴んでいる人たちは沢山、知っている

私は、臆病者だったのかもしれない

No.16 13/09/27 16:21
匿名0 

>> 15 色には小学校の授業でも学ぶと思うが、三原色というものがある

赤色・黄色・青色
そしてもう二種類
白色と黒色

この色たちは、どの色を混ぜ合わせても出来ない。

これが色の基本である

No.17 13/09/27 16:24
匿名0 

>> 16 絵画はこの色たちを使い、平面であるカンバスに、いかに描くかで絵画の本当の事が解る

人の人生にも似ている

No.18 13/09/27 16:35
匿名0 

>> 17 絵具屋の店先に並んだ何種類という絵筆に魅とれていた時

あの画廊でかいだ匂いが漂う

絵を描く人には、解るだろうが色を鮮やかに出す為には、やはり繋ぎといわれる油を使う。油の配合で絵画そのものが個人として主張をする

同じ絵画を描いたとしても、それはやはり模倣作なのだ

その人間でしか描けない絵という事

それが繋ぎと呼ばれる油のだ

No.19 13/09/27 16:39
匿名0 

>> 18 イーゼルを肩にかつぎ上げて歩く後ろ姿の彼に出会った

画廊以外で見る彼は、また違った印象を受ける

私は、彼に会いたかったのかも知れない

No.20 13/09/27 16:45
匿名0 

>> 19 三原色を混ぜると、違う色が出来る

赤色と黄色を混ぜ合わせると橙色となる

だが、赤色の量と黄色の色の量の割合でオレンジ色や茜色にもなる

今、この瞬間彼にひと声をかけると色同士が混ざる事にもなる

私は迷う

No.21 13/09/27 17:10
匿名0 

>> 20 改めて考える

声をかけた所で、何があると言うのだろうか?

私は、店の中に入り、スケッチブックとデッサン用の鉛筆を買った

また描いて見ようかな?

スケッチブックは、バックにも入るようにB5サイズを選んだ

No.22 13/09/27 17:15
匿名0 

>> 21 翌日の画廊はお客様がひとりもいらっしゃらない

外は小雨

受付のカウンターで隠すように、昨日購入したスケッチブックを取りだし、出入り口に飾られている花瓶の花たちをデッサンした

No.23 13/09/27 17:18
匿名0 

>> 22 夢中で鉛筆を動かしていると、ドアが開けられた

入ってきたのは彼

少し雨に濡れていた

No.24 13/09/27 17:20
匿名0 

>> 23 この期間の作品展は、あと1週間で終わる

売れた作品は三点

小さな画廊としては、まあまあの売り上げだ

No.25 13/09/27 17:25
匿名0 

>> 24 「あの…」
彼がはにかみながら何かを言おうとしていた

「お客様、いらっしゃっませ。お気に召した作品がおありになりましたら、お声をかけて下さい」

私は受付のマニュアル通りに話す

No.26 13/09/27 17:32
匿名0 

>> 25 「いえ、あの昨日…あなたを見かけたもので、あなたも絵を…」
彼は、そのまま押し黙ってしまった

「やっぱり、貴方でしたか?似ている方がいらっしゃったから…人間違いをしたらご迷惑なので、お声はかけませんでした。ごめんなさい」

私は、いけないとは思いつつも社交辞令のような言い訳をした

No.27 13/09/27 21:19
匿名0 

>> 26 「いえ…あの…実は…」
彼の言葉が消え入りそうになる

「僕は、昨日のいた場所の近くに住んでいるんですよ。子供たちに絵画を教えているんです」

「まあ、教えるってほどでもありませんが、一応は教室を開いているんです…」
言葉少なに話す彼

まともに話をしたのは、初めてであった

No.28 13/09/27 21:23
匿名0 

>> 27 素直に嬉しかった。

でもここでは、お客様であり画廊を見学していただく大事な人でもある

個人の感情など、どうでもよい事であった

No.29 13/09/28 16:40
匿名0 

>> 28 彼は、おずおずとした仕草をしている

もう何回となく見た姿だ

「あの…俺、いや僕は、貴女に話があって…」

No.30 13/09/28 16:43
匿名0 

>> 29 彼もまた、私という一人の人に興味があるのだ

人との縁とは、ひょんな事から始まる…

No.31 13/09/28 16:46
匿名0 

「今度、仕事が休みになるのはいつですか?出来る事なら、またあの街でお会いしたいのです」

以外な事を言ってきた彼の顔をまじまじとみた

No.32 13/09/28 16:51
匿名0 

>> 31 「今展示されている作品展が終了しますと、休みに入ります。次の作品のコーディネートをする為に、3日お休みです」

にこりとした笑顔で、そう答えた

「展示されている作品展は、あと1週間です」

「ごゆっくりとされて下さい。」

軽く会釈をした

No.33 13/09/28 16:54
匿名0 

>> 32 彼も納得したのか、明るい表情になる

彼もまた、会釈を返し飾られている作品のに歩んでいった

No.34 13/09/28 16:58
匿名0 

>> 33 秋の気配も色濃く、帰宅する頃には夕暮れが綺麗だ

この仕事を始めてから、私の中の私は少しずつ変わっていく

まるで季節が移り変わるように静かに静かに時を刻むように

No.35 13/09/28 17:07
匿名0 

>> 34 作品の最終日、彼は来た

「こんにちは。先日は失礼を致しました。お陰さまで今ある作品の一点を購入する決心が出来まして。今、交渉している所なのですよ」

ずっと、ひとつだけの作品を見続けいた彼は、やはり手元に置きたいと願ったのだろう

「それはそれは、お気に召す作品がおありになり、よろしゅうございました。ありがとうございます。」

私も嬉しい。素直に深々とお辞儀をする

No.36 13/09/28 17:10
匿名0 

>> 35 最終日とあって、作品を手掛けた画家の先生もお見えになっていた

無論、画廊のオーナーもいた

No.37 13/09/28 17:12
匿名0 

>> 36 オーナーが私を呼んでいる
次の作品の予定を立てるつもりなのだろう

No.38 13/09/28 17:18
匿名0 

>> 37 「お疲れ様でした。実はね。貴女を違う画廊の担当をしていただきたいと思ってねえ。画廊と言っても私が趣味のようなギャラリーではなくて本格的な、と言うより今、一流と言われている最新鋭の画家の先生たちの作品を展示する場所に…」

え?何を言っていらっしゃるのだろう?
私は、ただのアルバイトである。

No.39 13/09/28 17:25
匿名0 

>> 38 「今そのギャラリーのオーナー兼画家の先生がお見えになっていて、是非とも君にギャラリー担当をしていただきたいと、おっしゃっているんだよ。君は運がいい。私も君にはまだまだ、ここで仕事をしてもらいたいと思っていたのだがね。少し残念だなあ」

「新しいオーナーに、会って来てほしい」

「今ここにわざわざ来て頂いているんだなあ」

No.40 13/09/28 17:28
匿名0 

>> 39 どこに、いらっしゃるのだろう?

有名な画家の先生。そしてあの有名な画廊のオーナーって…

No.41 13/09/28 17:35
匿名0 

>> 40 人の人生とはメビウスの輪に似ている

捻れが生じ、またその捻れが元の道に戻る

未来なんか見えない

と想っていても、その未来を少しだけ動かす事が出来る

自分では、それすら知らずに…

平凡でなんの取り柄もなく、幸もなく不幸もなく時計の時を刻むように生きてきた平淡な道。

No.42 13/09/28 17:40
匿名0 

>> 41 「話はお聞きになりましたか?僕のアトリエもあとで案内しますよ」

彼だった

普段、画廊に来る時はいつもテンピ油の香りを漂わせたラフな格好していたが、今日は、スーツをきちんと着こなしていた。

私は彼を見つめた

No.43 13/09/30 22:57
匿名0 



無題


No.44 13/09/30 23:02
匿名0 

「ただいまー!あっー疲れたっ!おいっ!」

また玄関先で夫の宏樹が怒鳴っている

「ご主人さまのお帰りなんだぞ!顔くらい出せよ!てか!おかえりなさいって言って出迎えろ!バカヤロー!」

また、酔っ払っているようだ

No.45 13/09/30 23:08
匿名0 

>> 44 時刻は、とっくに夜10時はまわっていた

やっと寝かしつけた歩が、またぐずり始めた…

歩は今年の夏に3才になったばっかりだ

保育園の空きを待ってやっと入れた

だけど、環境が変わったのがいけなかったのか夜はあんまり寝てくれない

保育園ではお昼寝の時間も影響しているのかもしれない

No.46 13/09/30 23:13
匿名0 

>> 45 「んだよ!しけた晩飯だな!冷凍食品ばっか!」

「こんなの食えるかよ!冷凍食品って、割高なんだぞ!知ってっか!料理もろくに出来ねえのかよ!」

夫が酔いにまかせて怒鳴り散らしていた

美恵の心は壊れかけている

No.47 13/09/30 23:21
匿名0 

>> 46 夫はお酒を飲むと人が変わる

酒乱という言葉を知ったのは、つい最近だ

「あ~あ!結婚なんかするんじゃなかったよ!独身だったら俺の働いた分の金は全部、俺が使えるんだもんな!」

「風呂は?まさか、沸いてないとか言うんじゃないだろうな!」

「飯もいい!風呂入って寝る!」

テーブルを壊さんばかりにガチャガチャと音を立て、立ち上がり、フラフラした足取りで風呂場に向かう、夫の後ろ姿を、おびえるように見つめていた

No.48 13/09/30 23:32
匿名0 

>> 47 宏樹と美恵は、高校時代の先輩と後輩の関係だった。
ひとつ上の宏樹は、車関係の整備士になるべく専門学校に入った。

美恵は、高校を卒業しフリーターで働きながら洋裁の専門学校に通っていた。

二人が再開したのは、宏樹が就職も決まり高校の部活の同窓会の時だった。

美恵はその時はマネージャー

後輩も呼ぼうと当時の副部長がひと言言ったのがきっかけになった

No.49 13/09/30 23:36
匿名0 

>> 48 その同窓会があってから、お互いの連絡先を教えあって交際が始まった

宏樹22歳
美恵21歳

交際が始まり、すぐに美恵のおなかの中に新しい命を宿した

No.50 13/09/30 23:42
匿名0 

>> 49 宏樹も女性と付き合うと言う事は初めてだった

高校を卒業してからは、男ばかりの専門学校だったし仕事場も男ばかりだったからだ

結婚の話が飛び出してからは、それはそれは早かった
新婦さんのおなかが目立つ前にお式を終え、新婚旅行にも行きたかったからだ

  • << 51 あれよあれよと言う間に、若い家族となった 幸い、二人の両親もこの結婚は大喜びをし、結納からお式、新婚旅行の資金に至るまで援助をした 新しい家族が住むアパートも、両方の両親で決めた。 そして、晴れて宏樹と美恵は夫婦となった
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