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SENA ~私の恋物語~

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世奈♡•ﻌ•`( 20代 ♀ gq9Rnb )
13/10/02 05:20(更新日時)



「世奈って一目惚れした事ある?」

「ないない!ありえないよ」

「だよね!いつかしてみたいな~。一目惚れ。
いつも性格知ってから好きになってるパターン」

「みんなそうじゃないの?」






18の夏。
小学生からの親友、奈々が突然口にした "一目惚れ"





一目惚れってどんな感じなのかな。


見た目がドストライクじゃなきゃありえないよね。



生まれて18年、今までそんな人に出会った事がない。




特別理想が高いとは思ってないし、カッコいいって思う人は普通にいる。


けど、タイプではないし「あ、あの人カッコいいな」くらいの感覚で、その人とどうなりたいとかそういう感情を持った事がない。




今までの恋は、お互いがお互いを知って惹かれ合って付き合う。
そんな感じだった。


だから恋愛はそういうものだと思っていた。



13/07/22 03:16 追記
読んでくださっているか分かりませんが…←

この小説は私の実話です。

多少捻ったりしていますが、話のベースは私の18の頃の恋物語です。

長編になりそうですが、よろしくお願いします(^^)★

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No.1977043 13/07/20 00:33(スレ作成日時)

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No.1 13/07/20 00:58
世奈♡•ﻌ•` ( 20代 ♀ gq9Rnb )



今日は奈々とショッピングセンターに買い物に来ていた。


「もう~本当金ない。
バイト増やそっかなー」


「え、奈々週4くらいで入ってるじゃん。」


「足りないよ。欲しい物たくさんあるし、学校終わってからだから5時間くらいだもん。」



バイトかあ…
私もしたいんだけどな。






『ねぇお母さん、バイトしたいんだけどさ』


『駄目です!毎月お小遣いあげてるじゃない。
卒業するまで勉強に専念してればいいのよ。』


高校入学後から始めようと思ってたバイト。


お小遣い要らないからバイトしたいと母に告げたけど、帰りが遅くなる事や、勉強が疎かになってしまうんじゃないかと心配する母はバイトをさせてくれなかった。



「あたしこれからバイトだからそろそろ行くね!
また明日学校で♪」

「うん、気を付けてね!」



奈々と別れた後、自宅近くのコンビニに寄った。


まだ新しく出来たばかりで徒歩3分掛からないくらいの場所。

No.2 13/07/20 01:13
世奈♡ ( 20代 ♀ gq9Rnb )



ジュースとお菓子を選びレジに並んだ。



「あれ?明里(あかり)じゃん。」


「世奈!?久しぶり~!」



明里は同じ中学でクラスが同じだったから、中学時代は仲が良かった。

高校は2年で中退。


ずっと疎遠だった明里とコンビニで再会。





これがきっかけの一つ。




「いつから働いてた?
あたし、ここしょっちゅう来てるよ。笑」


「近いもんねー!
まだ1週間だよ!笑」


「そうなんだ。ビックリ…!」


「世奈も来れば?まだ募集してるよ★
今週末も二人面接来るみたいだし楽しいよ。」


「ああ…うん。働きたいんだけどねー。」




コンビニは学生アルバイトも多いから働きやすそうだし、お母さんに駄目元で話してみよっかな。


No.3 13/07/20 01:30
世奈♡ ( 20代 ♀ gq9Rnb )



帰宅後、夕食の支度を手伝いながら話を振ってみた。


「今日さ、家の近くのセブン行ったら明里いたんだけど」


「へぇ~!久しぶりじゃない?」


「うん、ずっと会ってなかったからビックリした。
それでね、明里に募集してるよって言われて、バイトしたいなぁーって…」



「…」



何故か沈黙。


やっぱ駄目かぁ…



「駄目って言ってるでしょ」



あーやっぱり。


「みんな普通にバイトしてるよ?
だからって勉強してないわけじゃないし、あたしだって疎かにするつもりない。
あそこだったら近いし自分のお小遣いは自分で稼ぐ!」


すごい必死になってるあたし。


みんなが羨ましく思えて、一度もアルバイトを経験した事ないあたしはみんなと同じように働いてみたかった。

No.4 13/07/20 01:52
世奈♡ ( 20代 ♀ gq9Rnb )



「ねぇあなた、世奈がすぐそこのコンビニでアルバイトしたいって言うんだけど、何かと心配だしまだいいわよね?」


「アルバイトくらいやらせてやればいいんじゃないか?
社会人になる前にある程度学べる事もあるし、そんな難しく考える事でもないだろ。」




お父さん!

ありがとー!



心で叫んだ。



「えー里奈もバイトしたいなー」


妹も会話に入り込む。

高2の里奈もあたしと同じように反対されていたから、よく二人でバイトしたいよねって話していた。



「とりあえず1ヶ月だけならいいわ。
もしバイト始めた事で何らかの影響が出た場合にはすぐ辞める事。」


「お母さん!ありがとー」




妹も同じ条件で許可を貰う事が出来た。

お父さんのお陰だなー♪



そして、あたしは明里にメールをした。



『バイトしたいんだけど、まだ面接って受けれるかな?』



22時過ぎに返事が来て、店長に話をしてくれたとの事で、明日の夕方面接へ行く事になった。

No.5 13/07/20 02:14
世奈♡ ( 20代 ♀ gq9Rnb )



翌日。



「奈々~!バイト始めるかもー★」


「えっ!ママ許したの!?」


「お父さんが丁度いて、アルバイトくらいやらせてやればって言ってくれたから」


「よかったねー♪
ずっと反対されてたもんね」


「明里働いてた!
今日学校終わったら面接行ってくる♪」



あたしもやっとバイト出来る。

受かればの話だけど。





「へぇ、お前バイトすんの?」


同じクラスの隼人が声を掛けてきた。


「うん、やっとね!コンビニだけど」


「どこの?行こっかな~」


「いや、いいよ来なくて。」




学校生活も普通に満喫してる。


あと1年もしない内に卒業だもんなぁ。



もうすぐ夏休みだし、彼氏欲しい。


前の男と別れて半年。
特に出会いもなく、好きな人も今はいない。


漫画みたいな青春味わいたかったよ。


この学校には……
そんな事出来る人はいない。笑


No.6 13/07/20 02:29
世奈♡ ( 20代 ♀ gq9Rnb )



夕方17時。
バイトの面接の時間。



面接なんて受験以来だし不安…

何聞かれるのかな。

ちゃんと答えれるかな。





レジの女性に声を掛け、バックルームへ案内されると店長らしき人が待っていた。



「こんばんは。村内です。」


「あーどうぞ、座って。」


「よろしくお願いします。」



若そうな店長。


25歳くらいかな?







面接では動機やアルバイト経験の有無、希望出勤日数、土日出勤出来るか等、色々聞かれた。



「もし採用の場合一週間以内に連絡しますので。」


「はい!ありがとうございました!」



面接を終え、軽く買い物をしてそのまま帰宅した。


No.7 13/07/20 02:46
世奈♡ ( 20代 ♀ gq9Rnb )



『面接終わったー(>_<)
めちゃ緊張したし連絡来るまで不安だよ(T-T)』



奈々にメールをした。



『お疲れ様★
採用されるといいね(^^)

今隼人たちといるんだけど世奈来ない?』



奈々に誘われ、みんながいるファミレスに合流した。



「「お疲れ~」」



隼人、直樹、奈々、優香がいた。

みんな同じクラスのメンバー。



直樹と優香は高2の春から付き合っている。




「今日みんなバイト休みなの?」


そう言いながら奈々の隣に座った。


「あたし辞めたー!笑」


優香は飲食店でバイトしていて、先週辞めたらしい。


「ねぇー、夏休みみんなでどっか行こうよ♪
BBQとかしたいしー」


「いーねー★」




夏休みまであと2週間。


高校生最後の夏休み。




「俺んちでBBQする?」



8月に隼人の家でBBQする予定を立てた。

No.8 13/07/20 03:00
世奈♡ ( 20代 ♀ gq9Rnb )



「あたし土日はバイト入ってるから、平日がいいな。」


奈々は基本土日朝からバイトしている。

時給アップするためらしい。




「じゃあ6日の水曜とかどう?」

「今のとこ予定ないから空けとくー」

「OK~」




細かい事は後日という流れで解散をした。





「世奈もバイト始まったらあまり遊べなくなるね。」

「そうだね。でも奈々んちすぐだしお互いバイトしてても会えるじゃん♪」




奈々の家は徒歩5分程の距離。


小学生の頃は毎日一緒にいたっけ。


今もだけど。



奈々はあたしの一番の理解者で、中学の時クラスは別々だったけど、いつも側にいてくれた。



これから先もずっと、奈々とは一緒にいたい。

No.9 13/07/20 03:17
世奈♡ ( 20代 ♀ gq9Rnb )



ブーブーブー




土曜日の昼。


携帯が鳴った。





セブンだ!




「はい!もしもし!」


「セブンイレブン◯◯店の林ですが」



電話来た!


って事は採用!?




「来週から来ていただけますか?」




採用ー!




「はい!わかりました!
はい……はい…ありがとうございます!」





バイトは無事採用。



来週の火曜日の夕方からついに始まる!




あまりの嬉しさに枕を抱き締めた。




「お姉ちゃん採用されたんだ~♪」


「え!いつの間に!」


里奈が部屋のドアに立っていた。



「里奈の部屋まで声丸聞こえ。
あー採用されたっぽいなーって思って♪
おめでとう★」


「ありがとう!里奈は?」


「里奈も月曜日面接~♪」





丁度出掛ける様子の里奈。



デートかな?



いーな。


彼氏と順調そうだし羨まし!





彼氏ってどうやって作るの?


もう忘れちゃったよ。笑




とりあえず好きな人欲しいな~。











好きな人…。




あなたとの出会いを私はまだ知らない。







No.10 13/07/20 03:54
世奈♡ ( 20代 ♀ gq9Rnb )



明里に連絡をした。


きっと明里が働いてなければ、コンビニで働く事なかったかもしれない。



『よかったー♪
バイト被るといいな(^^)』





そして火曜日。



初のバイトへ向かった。


制服に着替え、バックルームにある物の配置を説明されレジ打ちからのスタート。





楽しいー!



人が多くなる時間は違う仕事を教わる。




明里は今日昼からで入れ替わりだったけど、同じ時間のアルバイトの子も気を使ってくれて、無事初日を終えた。



「金曜日からも新しい子入るから、村内さんも早く覚えてね!
分からない事あればすぐ聞いて」




夕勤で入っていたアルバイトが3名辞めてしまったらしく、明里もそのタイミングで面接を受けて、あたし以外にあと二人入る予定らしい。


明里はここ一本だから、人手が足りない時間に入るため、平日は昼からと夕方からとバラバラ。



夕方にあと二人入るらしいから、今後あたしは昼からになるかも。って明里が言っていた。


今週バイト入る予定は今日と明日と日曜。



新人ばかりだけど大丈夫かな。


今週3日間は研修のため、レジには元々いるアルバイトの二人とあたし(計3名)で、来週からは二人になるからと店長に言われた。



来週からは一人でレジに立つ。

どーしよー!



今は不安ばかりでマメにメモは取るようにした。


No.11 13/07/20 04:09
世奈♡ ( 20代 ♀ gq9Rnb )



翌週の火曜日。


バイトへ向かった。





「あ、世奈、今日は新人くんとみたいだよ。
店長も勿論いるけど。」


「え!!今日からレジ二人って言われたけど、新人と!?」




マジですか…



帰り掛けた明里とお菓子付近で少し話した。




あたしたちの後ろを通りかかった人をチラッと見ただけだった。





その時、ドキッと鼓動が早くなる。




店の制服を着ているから、一般客ではない。





「ね、ねぇ明里、あの子…」



「そうそう、あの子だよ。新人の若原裕太くん。」





なんだろう…


この感覚…




上手く表現出来ないけど、好きって思った…。






いや、ありえないよ。

今日会ったばっかじゃん。


彼の事何も知らないのに好きって……


No.12 13/07/20 04:20
世奈♡ ( 20代 ♀ gq9Rnb )



「同い年だって。良かったじゃん、話やすいでしょ」


「えっ?あ…うん、そうだね。」


「じゃあ、あたしは帰るね!お疲れ様★」




パソコンで出勤登録をし、制服に着替えた。








『世奈って一目惚れした事ある?』


『ないない!ありえないよ。』



この前奈々と話した事を思い出した。



一目惚れなんてありえない。




ありえないよ。





でもこの気持ちって何?


仲良くなりたいとか、そんなレベルじゃないよ。








あたしは彼に "一目惚れ" してしまった───・・・



No.13 13/07/20 04:59
世奈♡ ( 20代 ♀ gq9Rnb )



どうしよう。



接客に対する不安や緊張のドキドキと、彼へのドキドキで心臓が破裂しそう。





あー店長助けてー!



「村内さん…でしたよね?」



「!」



お客さんがいなくなったと同時に彼から話し掛けられ戸惑う。


えー、顔に出そう!泣



駄目駄目!





「はい…!」


「若原って言います。よろしくお願いします。」




彼は微笑みながら自己紹介する。




「こちらこそ…」


「いくつですか?同い年くらいですよね。」


「18になりました」


「じゃあ同い年ですね!よかった。」




意外に口数が多い彼。


話してみると結構愛想はいいから、すぐ仲良くなれるかな。





22時にバイト終え、帰ろうとした時に彼に呼び止められ足を止める。


No.14 13/07/20 05:11
世奈♡ ( 20代 ♀ gq9Rnb )



「若原くん、お疲れ様です」


店の中では…と思い、外に出た。




「村内さん明日バイト入ってます?」


「はい、明日もです。」


「そうなんだ。明日は俺の友達入ってるんで、よろしくお願いします。笑」






えー!

また新人と!?



「友達と一緒に入ったんですね。
あたしも似てますけど。笑」


「家、この辺り?」


「3分くらいです!地元★笑
若原くんは?」


「俺◯◯町だよ!隣だね!」






まさかの隣町ー!



近いしあの辺りよくお母さんと行くし!






10分くらい喋って帰宅した。



送ってくって言われたけど、咄嗟に断ってしまった。





勿体無かったかな。




ご飯食べた後、奈々から電話が鳴った。


No.15 13/07/20 05:26
世奈♡ ( 20代 ♀ gq9Rnb )



『お疲れ~♪
バイト終わった頃だと思って電話してみた♪』


『奈々!きたよ!』


『え?』




興奮のあまり、奈々に報告した。




『一目惚れー!?
えー!どんな人!?』


『もうやばーい…。言葉に出来ないから今度見に来て。笑』


『そんなドスライクだったの?
彼女は?いるって?』


『いや、まだそこまで話せる仲になれてない!笑』








彼女…



全く考えてなかった。





彼女いるのかな…




いるよね。
あんなカッコいいもん。




いない方が不思議。




いないとしたら性格に問題有りとかでしょ。笑





え、そんな人なの?



まさかね。







頭の中で自問自答を繰り返して、奈々と電話を終えた後お風呂に浸かった。




「彼女…かぁ…」



何も知らないのに失恋した気分。







知りたい。




彼の事もっと知りたい…。



会いたい……。





No.16 13/07/20 20:50
世奈♡ ( 20代 ♀ gq9Rnb )



翌日。



「今日世奈バイトでしょ?彼いるの?」


ニコニコしながら奈々は聞く。


「ううん、今日は彼の友達と入るんだー。
だから会えない」


「残念。」




ほんと残念。


完全に上の空状態で机に頬をつける。




「はぁ…」


溜め息しか出ない。





「元気ねぇーじゃん。どうした?」


いつもと違う世奈の様子を見て、隼人が声を掛ける。


「世奈は恋をしたのっ!
一目惚れだって♪ね?」


「えっ…ひ、一目惚れ!?」


「シー!あんた声デカイ。」





奈々が発した言葉に隼人も驚いていた。





隼人は世奈が好きだった。


性格も明るくて見た目も悪くない。
寧ろモテる方の部類。



でも隼人は世奈との関係を悪くしたくない事で、自分の気持ちを伝える事が出来ないでいた。


世奈が自分に好意があると感じれていたなら、また違ったのかもしれない。


けれど隼人にはそんな自信がなく、振られた後の事ばかりを気にしてしまい、気まずい関係になってしまうなら今のままでいい、と自分の気持ちを誰にも言えずにいた。


No.17 13/07/20 20:56
世奈♡ ( 20代 ♀ gq9Rnb )



世奈が…一目惚れ?




誰に?


聞いても大丈夫か?




いや、待て。
不自然か?



でも誰か聞くぐらい別に普通だよな。






俺の知らない奴?



だとしたら尚更気になる。





知ってる奴だったら……?









何処の誰なんだ───?




No.18 13/07/21 02:29
世奈♡ ( 20代 ♀ gq9Rnb )



バイトの時間になり、バックルームに入ると若原くんの友達らしき人がいた。



「お疲れ様です。あ、村内さん?
初めまして!よろしくお願いします。」


「お疲れ様です。
えっと…」



まだ名前すら分からない。



「佐藤政樹って言います。
若原と同高でクラスも一緒なんス!」


「そうなんだ。
よろしくお願いします。」



出勤登録して、昼勤の方々と交代。



「あたしまだレジ不安で…」


「俺もだよ!
まだ4日目だし、今日は副店長いるし何とかなるっしょ!」



若原くんとはまた違ったタイプの男の子。


身長はあたしとあまり変わらないくらいかな。


若原くんは結構大きかったなぁ…





お客さんが並びやすい1レジには副店長が多めに入ってくれて、2レジにあたしと佐藤くん交互に入る感じで、今日はお菓子の品出しをメインにやっていた。


No.19 13/07/21 02:36
世奈♡ ( 20代 ♀ gq9Rnb )



22時になり、深夜の男の子二人が仲良さそうに入ってくる。



挨拶をして、あたしは佐藤くんと店を出た。




「じゃ、俺は40分掛けて帰りまーす!」


「そんな遠いんですか!?」


「遠いね。笑
でも若原んちもチャリで行くくらいだし慣れてるけど!
あーっ、てか俺ら同い年なんだよね?
別に敬語じゃなくて良くない?」



佐藤くんって喋り出すと止まらないタイプなのかな。




でも話しやすくて仲良くなれそう。





「連絡先教えてよ。」



帰ろうとした時、佐藤くんに連絡先を聞かれお互い連絡先を交換した。


No.20 13/07/21 02:51
世奈♡ ( 20代 ♀ gq9Rnb )



帰宅し、夕食を済ませ勉強を始めて間もなく携帯が鳴る。




【佐藤です★
今日はありがと!
また被った日はよろしく(^^)】



【お疲れ様です♪
無事帰れたかな?
こちらこそありがとうございました★】




5分置きくらいに佐藤くんはメールをくれた。





次のバイトは金曜日。



金曜日はまた違うアルバイトの子だった。





若原くんは明日だったっけ。




勉強していても頭の中は彼の事ばかり。




【世奈って呼んでいい?
高校どこ?(^ω^)】



【うん、いいよ★
あたしは西だよ♪
佐藤くんは?(^^)】




【政樹でいいよ(^-^)/

俺は北高だよ(^∇^)
西だったら結構近いね!】






北高!?



学ランだったからそっち系かなとは思ったけど。




若原くんも佐藤くんも頭良いんだ……。






No.21 13/07/21 03:00
世奈♡ ( 20代 ♀ gq9Rnb )



翌日の昼休み。




「世奈♪
今日はバイト?」



奈々がお弁当を持って隣の席に座る。



「今日は休み★
でも若原くんいるんだ」


「えー!
ちょ、見に行こ!笑」




テンション高い奈々。




「休みなのに行ったら怪しまれるよ絶対…」


「家近いんだしいいじゃん♪」





「俺も行こっかな~」





隼人が話題に入り込む。




「な、何で隼人が来るの!」


「だって俺、今日暇人だから♪」







嘘。


世奈の一目惚れした相手が気になるだけだ。


自然に言えたよな?


No.22 13/07/21 03:04
世奈♡ ( 20代 ♀ gq9Rnb )



「とか言って~!
隼人も世奈の好きな人がどんな人か気になるだけでしょ!」





ギクッ!


さすが奈々。


鋭い!





「分かるよ分かるよ。
友達の好きな人って気になるよねー♪」




そっちで捉えてくれて助かった!




夕方、三人で2時間だけカラオケして、19時バイト先へと向かった。


No.23 13/07/21 03:12
世奈♡ ( 20代 ♀ gq9Rnb )



恐る恐る、入り口(ゴミ箱付近)から中を覗く。



「ちょ、世奈どこ?
あのレジの子?ではないよね。」





レジには佐藤くんがいた。

若原くんの姿が見当たらない。




「あれ…?いない……」


「本当に今日いるのか?
店長みたいな人とレジのちっせー男しかいねーじゃん。」


「昨日シフト表見たもん。」





三人で探しているとバックルームの扉が開き、身長高めのイケメンが出てきた。




「あっ…」


「キター!あの子!?」



奈々は若原くんが出てきたタイミングで店の中へ入っていく。


「奈々っ!」


「俺も~」




二人の後を追うようにあたしも店の中へ。


No.24 13/07/21 03:20
世奈♡ ( 20代 ♀ gq9Rnb )



「いらっしゃ……あ、村内さん。
学校帰り?」


「あ、はい。
友達と遊んでて…」


「そうなんだ。制服初めて見た。」




笑顔で話掛けてくれる若原くん。



カッコ良すぎてキュン死しそう………






奈々と隼人はドリンクを選ぶフリをしながらこっちをガン見。




レジの方へ歩いて行く彼。



佐藤くんもあたしの存在に気付いた。





三人でレジに並ぶ。




若原くんのレジにあたしと隼人。

奈々は佐藤くんのレジでお会計を済ませ、手を振って店を出た。


No.25 13/07/21 03:40
世奈♡ ( 20代 ♀ gq9Rnb )



「普通にカッコいいー!
…にしても隼人、ガン見しすぎ!笑」


「はぁ…///」


「あいつはチャラいね!
俺はそう感じる。」




買ったジュースを飲みながら、裏付近で語った。




「えー、チャラいとか言わないでよ。
へこむ…」





まあ隼人の言う事も分からなくもない。



でも今は片思いだし、そんな人じゃないって信じたい!





彼女がいなければ…



嬉しいんだけどな。


No.26 13/07/21 05:21
世奈♡ ( 20代 ♀ gq9Rnb )



30分程語ってから奈々と隼人と解散した。




「お姉ちゃん、採用された~★」


帰宅と同時に里奈が喜びの声をあげ、場所は自宅から自転車で10分くらいの飲食店らしい。



「おめでとう♪良かったね!」


「翼とたくさんデートしたいなー♪」


「デート…
あたしもしたい。」


「お姉ちゃんはまず好きな人作らなくちゃー!笑
翔くんと別れて以来全然じゃん!」


「好きな人出来たの!聞いてよ里奈!」






思わず里奈の手を引っ張り、自分の部屋へと向かう。
里奈にも若原くんの事を全部打ち明けた。





「えー!翔くんよりカッコいい?」


「比べ物にならない。
あんな奴と比べたら若原くんに失礼だわ。」


「ふぅん~♪
そんなイケメンなんだ。早く告白しちゃいなよ」


「無理無理!彼女いるか分かんないし、しかもまだ数回しか会ってない!」





告白とか無理ー!



「その政樹?って人に聞いてみたらいいじゃん。
感付かれるのが嫌だったら、二人は彼女いるの?みたいな★」





なるほど!!




それいいかもー!




ごく普通のやりとりで聞いてみる事に決めたあたしは、佐藤くんにメールをした。


No.27 13/07/21 05:33
世奈♡ ( 20代 ♀ gq9Rnb )



【バイトお疲れ様★
今日入ってたんだね!
家近いから普通に寄っちゃった(^^)】






送信。





若原くんに会うためだったんだけどね!w





22時半頃、電話が鳴り手に取ると相手は佐藤くんだった。



え!?まさかの電話!?




『もしもし?』


『あ、お疲れ様~♪
今終わって帰るとこなんだけどさ、距離あるから暇潰しに電話してみたー★笑』


『そうなんだ!佐藤くん…』


『政樹でいいって♪』


『ま、政樹…』





なんか変!!w



違和感有りすぎる!



『てか暇潰しにって…彼女に掛ければいいじゃん。』





この振り方どう!?


でも普通そう思うよね?

彼女いるなら彼女にって思うよね?





『俺彼女いないし!笑
いたら彼女に掛けてるわ!
あー寂しっ!』



どうしよう。


聞く?


このタイミングで若原くんの事……




No.28 13/07/21 05:47
世奈♡ ( 20代 ♀ gq9Rnb )



『彼女いないんだ。若原くんも?』






あ、聞いてしまった。



この聞き方だともう好意持ってる事バレバレだよね…。






『あ~。若原はいるよ。同じクラス』





やっぱり彼女……いたんだ……





『そ、そうなんだ!いーなー!
あたしも彼氏いないから若原くん羨ましいなー』





失恋。






彼女がいるなら仕方ないよね…



諦めなくちゃ……








政樹が話をする中で、あたしは今にも涙が出そうで堪えるのに必死だった…。


No.29 13/07/21 12:00
世奈♡ ( 20代 ♀ gq9Rnb )



彼女いるかも…とは思っていたけど、いざ聞くとやっぱりショックはデカい。


彼女が羨ましい…


すごい可愛いんだろうな…。






『彼女とは結構長いの…?』


『えーっと…多分半年…も経ってないくらいじゃないかな。』




半年くらい……




まだそんな長いわけじゃないんだ。




でも手繋いだりとか、キスとか……してるよね…



同じクラスだったら毎日一緒に居れる…






『あいつの事気になる?』


『………』




政樹の質問に答えられない。


別に違うと嘘付くつもりもない。




『世奈、若原の事好きなんだ。』



無言のあたしに政樹は気付いたようだった。



『二番になるのは……無理なのかな。』


No.30 13/07/21 12:08
世奈♡ ( 20代 ♀ gq9Rnb )



咄嗟に出てしまった言葉。



『え?それって……』


『ううん、ごめん、何でもない!
そういうつもりじゃなくて……ごめんね。』




電話を切った。







最低だね。



二番になるという事はつまり浮気相手になると言う事。



政樹もそうと悟ったはず。







本当は一番になりたい。





きっと無理だよね。




でもね…若原くん。



一番になれないなら、二番でもいい。



そう思っちゃったんだ……。


No.31 13/07/21 12:35
世奈♡ ( 20代 ♀ gq9Rnb )



しばらくして政樹からメールが来た。


【浮気相手でいいなんて思うなよ。
どうせ狙うなら一番になれるように頑張ろうぜ★】





彼女の事、政樹も知ってるのに、何で諦めろとか言わないんだろう。



表向きだけかもしれないけど、優しいんだなって感じた。




【ありがとう。】



その一言だけ送った。





彼女になりたいよ。


けど自分に自信持てない。




こんな臆病だったっけ…




当たって砕ける?




告白するくらいなら許される?




もう分からない。




「ごめん。」って言われるのが怖い。



でも自分の気持ち伝えたい……。





No.32 13/07/21 14:44
世奈♡ ( 20代 ♀ gq9Rnb )


「奈々、若原くん彼女いるんだって…。」


「うそー。聞いたん?」


「友達の政樹からね。」




奈々ならどうする?

諦める?



「でも諦めれないんでしょ?彼の事」



俯いたままで、奈々の問いに小さく頷いた。



「まず一目惚れだもんね。好きなとこは顔。
彼以上のイケメンがいない限り諦められないだろうね。」






彼女がいると分かった以上、諦めるべきなのかもしれない。


"バイト仲間" のままでいた方がいいのかな。



迷惑と思われたくないし……



もし同じ高校で早く出会えてたら…





あたしに北高なんて無理だったけど、もっと早く出会いたかった。




どうしようもない事に悔やむ。


No.33 13/07/21 15:10
世奈♡ ( 20代 ♀ gq9Rnb )



多分若原くんを前にしてしまえば、きっと抑えれなくなる気がする。



そんな思いで迎えた日曜日の夕方。



この日のバイトは若原くんと一緒だった。



バイト中は特に私語はなく、終わって二人で従業員が置く自転車置き場まで歩いた。




「若原くん、連絡先って聞いたら迷惑…?」


「え、別にいいよ?
なんか元気ないね。大丈夫?」




彼は赤外線を向け、あたしも携帯を取り出し連絡を交換した。




よかった…。




「てか何て呼んだらいい?」


「世奈で…いいよ///」


「じゃあ登録も世奈でしとくよ♪
俺の事は好きに呼んでくれていいから★」






好きに……?





『裕太』はきっと彼女もそう呼んでるよね。



対抗するわけじゃないけど、同じ呼び方は嫌だな…。





それにいきなり『裕太』は馴れ馴れしいよね。






彼女と同じは嫌だ……。



No.34 13/07/22 01:57
世奈♡ ( 20代 ♀ gq9Rnb )



彼女が呼び捨てで呼んでるかなんて分からないけど、あたしは呼び捨ては敢えて辞めようと思った。




【裕ちゃんって呼んでもいい?】




彼女が『裕ちゃん』って呼んでたりしてね。




【全然いいよ(^^)
ちゃん付けなんてされた事ないから違和感!笑】





そんなんだ…。


でも何か嬉しいな。





裕ちゃん。



あたしも男友達にすらちゃん付けした事ないから変な感じ。




今日は深夜のバイトの男の子があたし達に話し掛けてくれた。


彼の名は棚橋剛くん。

1つ年上で正直見た目はオタクに近い感じの男の子。



でも優しそうな先輩。




あたしが働くコンビニは、若い子が多かった。



学生がほとんどかな。



棚橋くんは22時から02時まで入っていたり、大学が休みの前日は朝06時まで勤務しているらしい。



【今度みんなで遊びたいね(^^)】




裕ちゃんがそう言ってくれた。




【うん!遊ぼーっ★】



楽しみだなぁ♪





高校生生活最後の夏休みが始まる…。



No.35 13/07/22 02:12
世奈♡ ( 20代 ♀ gq9Rnb )



裕ちゃんは早速みんなに声を掛けていた。


声を掛けたのは政樹と棚橋くん。


あたしは昼勤の明里に声を掛けた。




シフト表を確認しつつ、27日の夜からに決まった。


棚橋くんが休みで、明里と政樹はバイトだったけど、政樹が終わる22時過ぎに集合となった。




【俺車出すから、カラオケでも行こう♪】




カラオケ!


早く27日になって欲しいなあ…。



来月は隼人んちでBBQもあるし、楽しい夏休みになりそう★


No.36 13/07/22 02:21
世奈♡ ( 20代 ♀ gq9Rnb )



【奈々~♪
今月裕ちゃんと27日遊ぶ事になった★
二人きりじゃないけど、バイトのみんなで(^^)】


【よかったじゃん(^ω^)
のろけ話待ってる(*^^*)笑】




嬉しい事があるとすぐ奈々に報告してしまう。


昔からお互いそんな感じだったね。





裕ちゃんとは毎日メールしていた。


中々返事がない時もあったけど、きっと彼女と居るから。

そう思ってあたしはひたすら待つだけ。




今以上の関係を望んではいけない…。




頭では分かってる。




分かってるんだけど、日に日に増す彼への想いが私を変える………。


No.37 13/07/22 02:31
世奈♡ ( 20代 ♀ gq9Rnb )



ある日の夜。



あたしはこの日高1の女の子とバイトに入っていて、そろそろ終わるという頃に、政樹と裕ちゃんが店に入ってきた。



「お疲れ様」


二人声を揃えてあたし達に声を掛けた後、漫画の立ち読みを始める。



22時を回り退勤登録しにバックルームへ入る。


「世奈さんお疲れ様でした★」


「あ、美紀ちゃん、お疲れ様♪」



美紀ちゃんはそのまま店を出ていく。




「今日どうしたの?」


漫画コーナーの二人に声を掛けた。


「今日若原と遊んでて、その帰り♪」


「そうなんだ。」



政樹は漫画を置くと店を出ていってしまった。




え!!



何処行くの!?




何となく気まずくて走って政樹を追った。


No.38 13/07/22 02:41
世奈♡ ( 20代 ♀ gq9Rnb )



「えっ!?帰るの!?」


「いや、二人にさせてあげようと思って♪」



政樹はあたしの気持ちを知っているから、からかうような感じであたしを見て笑った。



「そんな、店の中とか気まずいし……」


「まあでも俺はそろそろ帰るよ。
若原もそのつもりだろうし。
あ、噂をすれば出てきた」




振り返ると裕ちゃんが買い物をして出てきた。




「じゃあ若原、俺帰るわ!」


「気を付けてな。」



手を振って政樹は自転車に乗り帰ってしまった。







二人きり!?



一緒にバイト入った日は「お疲れ様」と自然な感じで居れたけど、今日は凄い緊張する…



No.39 13/07/22 02:51
世奈♡ ( 20代 ♀ gq9Rnb )



「飲む?」


袋から取り出したジュースを差し出す裕ちゃん。



「えっ…いいよ、裕ちゃん飲みなよ」


「俺は俺で買ったから。はい、お疲れ様★」



わざわざ買ってきてくれたのかな。



「ありがとう……」




どうしよう。


こんな帰りづらい空気初めて。笑



本当は一緒にいたいけど、心臓が爆発しそうで消えたい思い。




裏の自転車まで歩き、裕ちゃんはしゃがみ込む。



「帰らないの?」


何となく尋ねた。


「帰るよ。もう少ししたら。」




あたしも裕ちゃんの隣にしゃがみ込む。




裕ちゃん、どうしてそんなカッコいいの?



紙パックジュースを飲む裕ちゃんの横顔に見とれてしまう。



もうダメだ……。





触れたい……


No.40 13/07/22 03:04
世奈♡ ( 20代 ♀ gq9Rnb )



ごめんなさい。裕ちゃんの彼女さん。



あたしも裕ちゃんが好きです…。






隣に座る裕ちゃんの肩に寄り掛かってしまった。





「……世奈?」


「……」




あたしの行動に驚いた裕ちゃんはあたしの名前を呼ぶ。



裕ちゃんが困ってる。



頬に伝わる裕ちゃんの体温。




微かに香る裕ちゃんの匂い。




このまま眠りたい……。






「世奈、大丈…」


「裕ちゃん…。あたし二番でもいい…」




被せるように発した言葉。





『彼女になりたい』


その我が儘は言えなかった。




本当は言いたかった。





でもこの時そう言って振られるべきだったのかな…。



No.41 13/07/22 08:54
世奈♡ ( 20代 ♀ gq9Rnb )



ブーブーブー…


裕ちゃんの携帯が鳴る。




「……彼女?」


「うん、ちょっとごめんね。」



裕ちゃんは立ち上がって少し離れた場所で電話をし始めた。



彼女……か。


いいな。


電話とか当たり前だよね。




夏休み、デートだって普通にするよね。




"彼女" って特別だもん。




会いたい時に会えて、我が儘も言えて、好きって想われて…。


どんな時でも"一番" でいられる。




裕ちゃんから告白したのかな…。



裕ちゃんのタイプの女性ってどんな人なんだろう…





サラーっとした綺麗な長い髪で、見た目は清楚系で綺麗な人がタイプだったりするのかな。


あたしは髪が短くて見た目もギャルに近くて、勉強苦手だし不釣り合いだよね。



本当叶わぬ恋って感じ…。




「はぁ……」



自然と溜め息が出る。


No.42 13/07/22 09:21
世奈♡ ( 20代 ♀ gq9Rnb )



電話を終えた裕ちゃんが再びあたしの隣に座る。




「ごめんね。」


「いいよ。彼女だもん。」




沈黙。


そりゃそうだよね。


あんな事言っちゃった後だし、気まずくて当然だよね。




「ねぇ、今の彼女と付き合う時って裕ちゃんから告白したの?」


「いや、あっちから。」


「どうして付き合ったの?好きだったから?」


「うーん。よく覚えてないけど、勢いもあったかな。」




勢い?

告白されたから付き合ってみたって感覚って事?





「でも誰でもいいってわけじゃないよね?」


「まあ…多少は気にするけど…。
俺ショートヘアー好きで、極端に短い子ってあんまいないじゃん。
彼女、世奈より短いよ。ベリーショート…かな。」




えっ…!


まさかのショートヘアー好き!?




意外!




あたしも短い方だけど、これより短いって相当短いよね。

裕ちゃんより短いじゃん。




無意識に髪を触る。



「へぇ…裕ちゃんってショートが好きなんだ…。」




嬉しいような…嬉しくないような…。


No.43 13/07/22 09:41
世奈♡ ( 20代 ♀ gq9Rnb )



気付けばもう23時になる頃。



「そろそろ帰ろっか。遅いから送ってくよ。」



裕ちゃんが立ち上がる。



「ありがとう。」



お互い自転車を引きながら家へと歩き始める。




「めっちゃ近いね。」


「うん。笑
いつも徒歩で行こうか迷うくらい。」



あたしは車庫に自転車を停め、裕ちゃんを見送るため少し離れた場所まで移動する。



「じゃあ、またね。」


裕ちゃんが自転車に乗りかける。





「裕ちゃん……!」



裕ちゃんの背中に抱き付いた。



「…!?世奈」



鼓動が早くなる。


裕ちゃんにも伝わってるかもしれない。




好き………



「ごめんね。送ってくれてありがとう。」




裕ちゃんから離れ、小さく手を振る。




「家着いたらメールするね。」


優しく微笑みながら、裕ちゃんは自転車に乗り帰って行った。






裕ちゃん…。


あたしの事、思いっきり突き放して……。


自分では止められないの。





裕ちゃんが欲しくなる……。



No.44 13/07/22 09:42
みにら ( yeDsnb )

はじめまして。主さん、テンポよくて、どんどん追っかけてます✨楽しみです!更新、頑張ってください。

No.45 13/07/22 09:52
世奈♡ ( 20代 ♀ gq9Rnb )

>> 44 初めまして★
レスありがとうございます♡

文才もないし、読み易いよう方言使わないようにしてますが、伝わりにくかったらすみません(´;ω;`)

励みになります///

更新頑張ります(*´˘`*)

No.46 13/07/22 10:16
世奈♡ ( 20代 ♀ gq9Rnb )



「遅い!何してたの!」


玄関のドアを開けたと同時にお母さんが怒鳴る。


「バイトの子と話してたら遅くなっちゃった。」


「電話も出ないし心配するでしょ!遅くなるなら連絡くらいしなさい。」




電話…?


携帯を取り出して着歴見るとお母さんからの不在着信3件。



………気付かなかった。←




「っもう…ご飯食べなさいよ。おやすみ。」


「うん、ありがとう」




おかずを温めて夕飯を済ませる。




食器を洗っているとメールの着信音が鳴り、相手は裕ちゃんだった。



【ただいま★
俺は明日朝からバイトだ(+_+)】


【お帰り♪
そうなんだ(;o;)
夏休みだもんね~(^ω^)】




パートの方たちは夏休み期間中休みのため、政樹や裕ちゃんは朝から入る日もたまにあるみたい。


あたしは昼からか夕方からだけど。




0時過ぎまでやりとりをした後裕ちゃんは寝たっぽい。



シャワーを浴びて髪を乾かした後そのまま布団に入る。




眠れない……





目を瞑って裕ちゃんとデートする光景を想像しながら夢の中へ……

No.47 13/07/22 10:57
世奈♡ ( 20代 ♀ gq9Rnb )



目を覚ますと時間は10時過ぎ。



8時半過ぎに裕ちゃんからメールが届いていた。




部屋を出て洗面所で顔を洗い歯磨きする。




「あ、お姉ちゃん、今日暇?」


「夕方から予定あるけど、それまでは特に。」


「来週翼の誕生日なんだけど、何あげようか迷ってて…
買い物付き合って欲しいな~♪なんて…★」


「別にいいけど…」


「じゃあ待ってる★」





化粧30分。


アイロンで髪セット5分。




自転車に乗って里奈と買い物に出掛けた。



色々見て回った結果、服をあげる事に決めた里奈。



「社会人になったら、もっと予算も増えていい物あげれるのになぁ…」


ここ数ヶ月、里奈は彼氏の誕プレのために欲しい物は我慢していた。


「高ければいいってもんじゃないでしょ。喜んでくれるって♪」



食料品コーナーでケーキの材料を選ぶ里奈。
彼氏のために我慢してきた事や、彼氏のためにケーキを作る。

里奈を見てると羨ましく思えて、あたしもいつか裕ちゃんのために…と裕ちゃんとの未来を思い描いていた。


No.48 13/07/22 11:28
世奈♡ ( 20代 ♀ gq9Rnb )



夕方。

地元のメンバーで遊ぶ予定のあたしは、奈々と一緒に待ち合わせ場所へと向かう。


高校生になってから奈々以外の子とは会う機会も減って、数ヶ月ぶりの再会だった。


仲が良かった女子4人でファミレス。



車の免許取れたら行動範囲広がるのに。



中学時代の懐かしい話から誰かの噂話。

恋バナや彼氏の愚痴。



みんな久しぶりの再会となると止まる事なく喋り続ける。




解散をし、奈々はそのままあたしの家に泊まる。





「お邪魔しまーす。」


部屋に入り、話題は早速裕ちゃん。笑




「で?あれから彼とどうなの?♪」


昨日の出来事を照れながら奈々に話す。



「あーあ。それ完全やっちゃダメなパターン…」


ダメ!?


「だって、例えば今この状況で彼が世奈と浮気をしました。
それで仮に向こうが彼女と別れる事があって世奈と付き合ったとします。
彼、同じ事するよ?」



奈々の言う通り…。


それは分かってた。


簡単に浮気する人って、いつか付き合えたとしても自分にした事を他の女にする可能性高いよね…。


No.49 13/07/22 11:48
世奈♡ ( 20代 ♀ gq9Rnb )



「とりあえず今は世奈の暴走で止まってるけど、キスしたりそれ以上の事したら…ただのチャラ男!」


「う、うん……。頭では奈々が言ってる事分かってるんだけど…。
裕ちゃんが近くにいると抑えれなくなって…」


「ただの浮気相手でもいいの?」




奈々の質問にあたしは首を横に振る。




「でも。……ごめん奈々、彼女になれないならそれでもいいって…正直思っちゃう…」



奈々には本音を言える。



「相当だね。今までの世奈にはありえない発想。
まあ…あたしは世奈の過去の男全員知ってるけど、ここまで世奈が本気になる相手って今まで居なかったよね。」




そう。


いつもそうだった。


当時は相手に好きって感情はあっても、自分から好きになって付き合うって経験がなくて、心から好きになれていないのに相手に想われる事で、自分も好きだと錯覚してたんじゃないかと今では思ってしまう。


だから裕ちゃんへの想いは特別に大きくて……


No.50 13/07/22 21:40
世奈♡ ( 20代 ♀ gq9Rnb )



「浮気関係になる前に彼が彼女と別れてくれるのが一番いいんだけどね…。」


「…あたしもそうなってくれたら嬉しいけどさ……」




流石に『別れてほしい』なんて言えないけど。


彼女よりも自分の事を好きになってくれれば…





そんな自信ない…。




「みんなで遊ぶの27日だっけ?
なんか起こる気がする。」


「えっ…あたしと裕ちゃんが?」


「うん。彼は世奈の事意識するようになったと思う。
誰でも自分に好意ある人の事は意識しちゃうじゃん?
世奈があんな事した後特に避ける事もないんだから、嫌ではなかったんでしょ。」


「うん…。避けられたら本当終わり…」


「向こうから連絡ある内は大丈夫だって。
迷惑とか思ってたら自分から連絡なんてしないし、寧ろ好かれて嬉しいんじゃない?」



裕ちゃんはそういうの慣れてそうだし、来るもの拒まずタイプかな…。


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