さよならの後に教えてもらったこと
今年1月に、タロット占いで自分のこれからの出会いについて鑑てもらいました。
というのも、もう7年になるかな…ずっと大切にしていた人がいて、出会ったことが私の人生の転機になり、また頼りになるしっかりしたあの人を心の支えにしてました。
心の支えといっても、もう姿もなく、声も聞くことはなく、ずっとずっと思い出の中のあの人をただ大切に想うだけです。
そんなことを4年以上…会うこともない人をです。
私は疲れてしまいました。
それで、これからの出会いを占ってもらいました。
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私も同じように小原さんが視線を流した方を見ると、敷地の外を買い物帰りなのか、子どもがシャボン玉を吹きながら歩いています。
楽しそうです。
きれいに光る大小のさまざまなシャボン玉が、ふわふわと5月のさわやかな風に舞い上がっていきます。
「あ、シャボン玉…」
私ではなく小原さんのセリフ。
それだけで私は癒されてしまいました。
雰囲気は十分、怖いのに、小原さんのふとした言葉や優しい心配りが誰にでもそうだなんて、ちょっと寂しい気もしました。
それからは遠くで姿を見かけたり、廊下であいさつ程度。
そして、私の勤務時間が変わってからは、もう小原さんにもほとんど会わなくなりました。
その頃の私は、あの人にメールをしても、返信はなく、あの“お元気で”が最後だったんだと理解するまでのたくさんの時間を費やしていました。
数ヶ月に1度のメールを2・3回 送り、それに対して返信が1度あるかどうかだったから、なかなか自分の中で踏ん切りがつかず…。
もう会うこともない人、それはあの人も小原さんも同じです。
私は今年度で仕事を辞めようと思っていたので、1月に占ってもらった時点であと2ヶ月程度の時間しか残っていません。
でも、3月の出会いはそうそう会うこともない最有力候補者・小原さん。
何だか笑ってしまいますよね。何も起きないでしょ…?
占いは占い…でも、佳いことがあればいいなぁ。
1月の終わり、たまたま廊下で
片足をかばいながら歩く小原さんを見かけました。
後ろ姿だったので、声はかけず、どこかにぶつけたのかな?くらいに思ってました。
それから、また数日して、今度はすれ違い。
足を引きずりながら、歩いています。
「足、どうされたのですか?」
職場のほとんどは小原さんの足のことを知っている様子で、その報告があったことすら知らない私に小原さんは少しびっくりした顔をしました。
「××(病名)で」
と言われたましたが、カタカナの聞き慣れないものでした。
「大丈夫ですか?お大事にしてください」
私はとっさに何を言えばいいのか分からない方が多くて…、機微な柔軟な言葉が見つからず、いつも後から後悔します。
ダメですよね…
基本、聞き役の受け身が多くて、、、話が盛り上がりません。
あんまりしゃべらないので、つまらない人間なんです。
その時もそれだけで終わりました。
2月の初め、今度はパイプ椅子を6脚、両脇に抱えて歩く小原さんを見かけました。
え?待って!
足、痛いんじゃないの!?
私は詳しいことは何も知らないのに、そう思い、そのまま階段を上がろうとする小原さんに
「椅子、持ちますよ」
と声をかけた。
小原さんはフェミニストなので、自分は男なのに女性に重たいものを…なんて考えられないらしく、
「いや、大丈夫です」
と断ってきた。
私は小原さんの痛めてる足の側のパイプ椅子を手で止め、
「ダメですよ、こっちだけでも持ちます」
と持つ。
「瀬田さん、仕事中だから大変でしょ(その場にいないと困るの意)」
「大丈夫です。今、落ち着いてるから」
しかも階上1階分、大した時間はかからないし…
「じゃ、お願いします」
私は一段分の後ろから、小原さんについて階段を上った。
「いや~、身体は鍛えてるんですけどね」
あ、そうなんですね。
いつもはこれぐらい、ヒョイとなんですね。
「でも、足に負荷がかかるとやっぱり痛くて」
“6脚いっぺんに”はやっぱり 負担になると思うし、運ぼうと思いませんよ(^_^;)
階上につくと、
「ありがとうございました」
と小原さんは、私の持つパイプ椅子を引き取りました。
指先が当たりました。
ちょっとドキッとしました。
でも、何でもないふりをしますよね~、こういうときって。
何でもない何でもない…
それから夕方近くになると、数名の人たちがパイプ椅子を1~2脚ずつ持って階段を下りてくる姿を見ました。
片付けはみんなでしたんだとちょっと安心…でも、考えてみると、今日みたいな場面はきっとたくさんあったと思いました。
私がたまたま手伝ったことは、今日だけのことで“足に負荷がかかると…”なんて話はみんなにしているのでしょう。
私自身、小原さんに惹かれているからなのか、それもよく分かりませんが……。
今日の場面が特別な出来事にはならないんだと後から思ったし、手伝わなくても、もしかしたら、両脇にパイプ椅子を持って上がった方がバランスが取れたのかもしれません。
小原さんは優しいから…逆に気を使ってくれたのかもしれません。
あー、私、面倒くさいな😔
すごいネガティブだし
“明るくオープンマインド”
佳いことがありますように
私が仕事を辞めるまで、あと1ヶ月をきっていました。
「小原さん、明日から入院だって」
遥さんが教えてくれました。
パイプ椅子のときから、また姿を見かけてません。
「手術入院ですか?」
「うん、2週間くらい」
私は休憩室のカレンダーを見ました。
今日は3月2日。
私が仕事を辞める日は22日。
じゃ、戻ってくるのは私が辞める週の19日あたり。
占い、残念!
何もないまま、終了だね
やっぱり、…そうだよね
こんなものだよね
私はちょっと寂しく感じました。
その日の仕事上がりのとき、偶然、小原さんに会いました。
また駐車場でです。
少し大きめのバックを肩から下げ、足をかばいながら歩いてました。
私は後ろから小原さんに
「今日はお帰りですか?」
とちょっと明るく声をかけました。
「あ、瀬田さん。明日から足の手術のために入院で」
「無事に終わるといいですね」
「ありがとうございます。でも、不安ですよ。自分の身体にメスなんて…」
不安って…こういうことって誰にでも話すんだろうな…
私自身は弱みや不安は隠してしまう方だから、何でも話すのはよほど信頼していて、甘えられる人くらいにならないとダメなんですよね。
ある意味、うらやましい…
「大丈夫ですよ、小原さんなら(^_^)」
…何か変な励まし方だわ😩
「はは…だけど入院中が退屈ですよね」
「足だから、すぐには歩けないんでしょう?」
「多分」
小原さんはまた視線を外す。
ちょっと沈黙もいつも通り。
私はいつも機転が利かないから、入院→退屈と聞いて、どんな言葉を返そうかその間に考えていました。
それから、あッ💡と…。
「そうだ💡。メールしますよ」
そう言ってしまってから、あッと私は固まってしまいました💦。
小原さんも困ったように笑っています。
いい考え!と思ったけれど、それは家族なり、友人なり、知人がすること…。
私、何も関係ないじゃん😭
「すいません💦ごめんなさい」
軽はずみに口にしてしまって、慌てて、謝りました。
「あー…」
いいアイデア💡と思ったのもつかの間で、私は下を向いてしょんぼり…。
リーディングしてくれた相性がいいってなんだろう?と思いつつ、バカだなぁ😢とちょっと苦笑い。
やっぱり何にも起きないー…のだ!
「すみません💦手術、頑張ってくださいね」
私は早足に自分の車に戻りました。
やっぱり、どこか期待してたのかな…
私はため息をついて、目を閉じました。
とにかく、2週間は小原さんは戻って来ません。
私は今月末、仕事を辞めます。
だから、気まずさも何もないんだと何度も自分にいい聞かせました。
私は慌てて、車から降りました。
「どうしたんですか?」
あ、足、痛いから車じゃないんだった…
そのことに気付いて、さらに慌ててしまいました。
「ごめんなさい💦、通り道だから駅まで送ります」
小原さんがぷっと笑いました。
私、変なこと言った?😢
「…いや、大丈夫ですよ。駅まで近いし、歩けます。瀬田さんにコレを渡そうと思って」
小原さんが小さな紙をくれました。
「ぼくのメアドです。時間があったら、メールしてください」
赤信号で止まるたび、助手席に置いた小さな紙を見て、顔がにやけてしまいます。
小原さんのくれたメアド…
何だかそれだけで嬉しくて、でも入院中の退屈しのぎ程度だからと自分に言い聞かせました。
だけど、顔がにやけて…しまいました。
明日から小原さんは入院です。来週、月曜日が手術。
退院までは経過が良ければ、入院日数は短いようです。
メール、いつ送ろうと考えていると、頭が混乱してきました。
やっぱり、メールするの変だよと思い、でも、私が言い出したんだし…メールするっていってもどんな感じで送るの?
それに小原さんは別にいらないよね?
頭の中がぐるぐる渦巻き状態…おたまじゃくしのおなかみたいになってしまいました。
やっぱり、メール無理😢
だけど、私、あの人とはメールしてたんだよね?
ああ、何でしてたんだっけ?
……そう、好きだったから
私、あの人のこと、好きだったんだよね
3~4ヶ月に1回ペースの私が送るメール…に対して2~3回に1度の返信。
全然、返信メール、来てないですね。それでも3年続いてたんですよ。
笑ってしまいますね…😢。
何でそんなに好きでいられたんでしょう?
メールの内容はお互い、近況でした。
ずっとずっと思い出にできなかったんです。
あの人は年1~2回くらいのメールで、私に対する感情は何もなかったのでしょうか?
それがいちばんの疑問です。
タロット占いで、私がお願いしたことは、
・大切に思ってる人がいるが、相手はどう思っているのか
・だけど、もう会うこともない人だから、先に進みたい。この先、もし私に出会いがあるなら、思い出として乗り越えていけるかもしれない
…でした。
リーディングの結果に、あの人は出てきませんでした。
私に縁のある方は数名、出てきましたが、あの人の一部もなく、ただ私が大切に想っていたという気持ちだけはリーディングできたそうです。
あの人とのつながりは全くもって、私の想いは一方通行……私の悪の循環(旦那のモラハラ)を断ち切るためだけに現れた人だったのでしょうか?
現在から未来を鑑てもらったから、あの人のことはもう過去だったのかもしれません。
大切に想う気持ちだけが残ったのでしょうか?
↑これは私の想像ですが、真実はあの人は何も思ってないから、カードに現れなかっただけなのかもしれませんね…。
小原さんにメールしました。
毎日は失礼だろうと思い、2、3日おきに…あいさつから簡単な日常のこと。
小原さんからは手術の無事成功と病院のベッドの上で退屈していること、陽子さんたちがお見舞いに来たことが送られてきました。
お見舞い…そうか!とも思ったけれど、陽子さんたちと一緒に行けたなら私も楽に行けたかもしれないけど、このところ、パートナーさんとしか話していて、姐さんには会っていませんでした。
私がどうしよう!?と思うよりも、メールしてみたら、それほどパニクることでもなかったなぁというのが感想です。
小原さんの退院は16日となり、土日は自宅で休み、19日から仕事復帰になりました。
私からのメールも16日の退院祝いの言葉を最後に終わりにしました。
1回につき1~2通程度のやり取りで、退屈しのぎになったのかは謎です(^_^;)。
何にしても、19日になれば小原さんが戻ってきます。
それは素直に嬉しかったです。
私の勤務日は(火)(木)(金)でした。
19日(月)から小原さんの復帰でしたが、(火)(木)と残念ながら、小原さんとはすれ違いも後ろ姿もなく、とうとう私の仕事が明日で最後になりました。
メールは送ってません。
入院のときのみと決めていたし、送らなくても上の階には小原さんはいます。
それだけで満足でした。
3月の出会いはこういうことだったのだろう…と小原さんと少しだけ仲良くなれたことに感謝しました。
とうてい、何も起こらないと思っていたのが、数十回ですが、小原さんとメールもできました。
こんな不思議な縁があるなんて、またタロットカードに出て、それをリーディングしてくれた占い師さんはすごいです。
当たった!ということですよね。
すごいなぁ☺✨。
私の仕事、最後の日…
私が仕事を辞めることは管理職とパートナーさんぐらいしか知りません。
来春も当然、だいたいの人たちがいると思われています。
そんな中の最後の日。
「寂しくなるわ」
パートナーさんが言いました。
この日は朝からバタバタしてました。みんな、忙しそう。
10時半過ぎから、偶然、小原さんたちと一緒の仕事になりました。
小原さんの復帰から初めて、小原さんに会いました。
足の痛みも取れ、普通に歩いています。良かった。
言葉は交わさず、会釈だけ。
元気な姿があって、それだけで安心しました。
ホールで今日は小原さんがピアノ伴奏するようです。
おおッ👀✨です(笑)。
最後の日に思わぬプレゼントをもらった気分でした。
ですが、ちょっとピアノの前に座って、少し弾くと落ち着かなそうに立っては、ピアノの周りを何やら探している様子…。
ホールから出たり入ったりとしています。
慌ただしい…。
パートナーさんも
「どうしたのかしら?」
と不服そう。
今日の日の準備を前からしていたし、小原さんにも頼んでいたみたいです。
私も小原さんのピアノが聴けるなら、落ち着いた雰囲気の中で聴きたい!
またピアノの辺りを見ている小原さんに
「何か探し物ですか?」
と声をかけました。
小原さんはいつもの落ち着いた様子はなく、ひどく慌てています。
もうすぐ催しが始まる時間…。
「ノートを探していて…今日のために楽譜を書き留めておいたのですが」
ノート…
ぱっと頭の中にイメージが浮かびました。
「青い五線譜ノートですね。準備室とか見てきます」
小原さんがびっくりした顔で私を見ました。
「?。探してきます」
私は階段を駆け上がり、小原さんの仕事場と準備室をのぞきました。
準備室にはプライベートなものが置いてあり、普段は絶対、入りません。
ごめんなさいと思いつつ、机の上や本棚を探させてもらいました。
椅子にはいつかの肩掛けバッグと上着。
小原さんの性格なのでしょう、私には真似ができないくらい、きれいに書類も私物も整理整頓されていました。
そんな中に書きかけの便せん、お昼のサンドイッチ、コーヒーのマグカップ…何だか見てはいけない小原さんのプライベートゾーンにドキドキしてしまいました。
じゃ、引き出し?と思いましたが、そこまではさすがに失礼なので、止めました。
準備室を出て、仕事場をもう一度ぐるりと見渡すと、観葉植物が置いてある出窓のところに空色のノートが目に止まりました。
あった!
中を確認すると、五線譜に音符♪が並んでいます。
私はまた走ってホールに戻ると、みんな椅子に座り、もう少しで始まりの時間でした。
入り口の扉を静かに閉め、小原さんにノートを見せました。
うんと頷いたので、そっとピアノに近づき、小原さんに渡しました。
「ありがとう」
それから間もなく、催しが始まり、小原さんも気持ちを整え、私もその場にいたみんなも聞きほれてしまうくらいの演奏をしてくれました。
バタバタはしましたが、やはり、私には最後のプレゼントになりました。
この日は私はお昼は食べずに帰る日なので、管理職とパートナーさんに最後のあいさつをしました。
「4年、ご苦労さま」
「いっぱい助けてもらったわ。ありがとう」
私も
「お世話になりました。ありがとうございました」
一礼をして、4年いた場所を見渡して…ほとんどの人はまだ忙しく動き回っているのでいません。
それから職場を後にしました。
これで終わりです。
それからは早めの休みをもらった感じで家でゴロゴロ…。
普段、忙しさにかまけて、サボっていたクローゼットの整理や部屋の片付けをして過ごしました。
子どもたちも春休みになり、早めに咲いた桜の咲く公園で遊んだりしてます。
どこかに行く予定は立てず、私は新たな就活活動を始めなければなりません。
この歳で転職…よく考えるとあまりにも無謀でした😭。
春の暖かな季節に合わせかのような小原さんとのちょっと嬉しかった出来事。
何も起きないと思っていた3月の出会いまたは佳いこと…ほんのりと幸せなものを運んでくれました。
あの人のことは…小原さんのことがあって、、、忘れて……
いっていいんだと……。
その日は何となく予感がありました。
ゆっくりと掃除機をかけながら、壁のカレンダーを見つめ、何度見ても変わらない、今日の日にちに少しため息が出ました。
ひと通りの家事を済ませ、携帯を持ち、ソファに座ります。
メール画面を出しては消し、なかなか思いが定まりません。
そうこうしているうちにお昼。
外に遊びに行っていた子どもが
「お腹すいたー」
と帰ってきました。
簡単にお昼を作りながら、
「お母さん、午後から買い物に出るね」
今日はちょっとだけ、時間をちょうだい
「いいよ。また遊びに行ってくるから。何時くらい?」
「うーん、出る時間にもよるけど5時くらいかな」
テーブルに炒飯とスープを出して、私も一緒に食べました。
後片付けを済ませ、ドアの閉まる音を聞きながら、私はまたソファに座りました。
メールを1件、送信。
ふぅと息を吐くと、あとは携帯を放り出し、テレビをつけました。
画面に映し出される映像が面白いわけでもなく、場面の切り替わる様子をぼんやり見てました。
私はコーヒーを淹れに立ち上がりました。
15時過ぎ、私はある駅前にいました。
誰かと待ち合わせなんて、久しぶりです。
特に話もなく、急な用事があるわけでもなかったのですが、何となくの予感があって…。
こうして、待ち合わせをした相手が来るのを待っています。
ちょっと元気な姿が見たくて…は言い訳でしょうか?
駅からその人が出てきて、私を見つけて、優しく笑う…それだけで私はもう満足でした。
もうほとんどの私の気持ちの目的を達したようなものなので、その後、どこかに行く予定はありませんでした。
「え、と…コーヒーでも飲みませんか?」
美味しい珈琲を掲げた看板がその人の後ろに見え、私はお誘いしました。
落ち着いた雰囲気の店内と座ると身体が沈んでしまうような一人掛け椅子に腰かけて、2人ともオリジナルコーヒーを頼みました。
「元気そうで、良かったです」
何となくソワソワして、つい口調が早くなりました。
「病院、どうでしたか?」
いい香りのコーヒーが運ばれてきて、私は砂糖とミルクを入れました。
甘々が好きならカフェオレでも良かったけれど、ね。
「術後の経過も順調で、もう運動してもいいって言われました…入院中のメール、ありがとうございました」
小原さんがゆっくりコーヒーを飲み、静かに置いて、
「仕事、辞められたのですね。知らなかった」
小原さんにまっすぐに見られると、私は目をそらしてしまいました。
私は照れか恥ずかしさか気まずさか…小原さんは視線を外します。
「何も言わないですみません」
私は頭を少し、下げました。
「まだまだ一緒に仕事ができると思っていたから、残念です」
小原さんにそう言われて、私はぽわんと身体が熱くなりました。私も続けられたらと思ったけれど、事情があり、、、小原さんもそれを分かってのセリフ。
だけど心が揺れます。
私はそれを隠すように甘いコーヒーをまたひと口と飲みました。
「あの、瀬田さんに聞きたいことがあります」
私がコーヒーカップを置くと、小原さんは尋ねてきました。
「ノートを探してもらったときどうして“青い”ノートだと分かったのですか?」
え?
私は質問の意味が分からず、首をかしげました。
「あのノート、退院した後に買いました。それでずっと自宅にあって、あの日に初めて持っていったものなんです。
あそこでは誰も見せてなくて…だから、瀬田さんがすぐに青いノートと言ったとき、びっくりしました。
どうして分かったのですか?」
青いノート…
「ああ!
あのときはイメージがぱっと浮かんで見えたんですよ」
「そういうこと、よくあるんです」
私は笑って答えました。
小原さんも笑っているのかと思っていたら、少し押し黙って、考え込んでいる様子。
変なことを言っちゃったかな?
そっとコーヒーに口をつけて、私は静かに小原さんを待ちました。
小原さんもひと口。
ゆっくりコーヒーカップを戻すと、おもむろに話をし出しました。
「変なことを言うかもしれないけど、引かないでください」
小さな咳をして、
「どうして、ぼくの思うことが分かるんですか?」
小原さんのあの見透かされてるような目に、私は背中がゾクゾクッとしました。
「え?ありますよね。
ほら、夜に食べたいなぁと思ってたら晩ご飯に出たとか…そんな感じですよ」
私はちょっと笑ってみたり…。
「青いノートのこと以外でも、足を痛めていたときのパイプ椅子や入院中のメール、今日のメールも…ぼくが願ったことをまるで心の声を聞いたみたいに」
「えと…」
だけど、ホントに偶然なんだけど、どれも小原さんは願ったことなの?
私は困って、黙ってしまいました。
困る?
戸惑う?
私からメールしたのに?
元気な姿と少し話ができたら…とそれだけだったんだけど
「瀬田さん、今日は嬉しかったです。そのことも聞きたかったけれど、もう少し話がしたかったので」
小原さんはさっきまでとは違い、優しく笑ってくれました。
私は小原さんに惹かれたところがあったのは確かだと思います。
だけど、それはあの人を想う気持ちとは違いました。
小原さんとこうして2人で仕事以外で話していると、何とも落ち着きません。そわそわしてしまいます。
何かのきっかけがあれば、胸のざわつきもなく話せるのでしょうか?
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