親友悪友
これは…私の友達の話…高校時代からの付き合い。
何でも言えたし、何でも言ってくれた…。親友だったよ
そう、最近までは…どうして、こうなっちゃったの?私にも分からない。
出会いは、高校…同じクラスになった時からだったね…
6月…夏服にもなり、みんな学校にも馴染んできて他の子達は、皆スカートを短くしてみたり先生にバレないように、マスカラを塗ったりと『女子高生』を楽しんでいた。
私と智恵を抜かしては…私達2人は、目立たないタイプで、どちらかと言うと根暗タイプだった…⤵スカートも校則通りの長さに、顔もスッピン…眉毛も当時は何もしてなかった💧
この頃からだろうか?私は、クラスの女子全員からシカトされるようになった…自分では、特に理由も分からず お昼を1人で食べる日が何ヶ月も続いた…
シカトされ続け、初めての学祭がやってきた…この時に、知り合ったのがクラスは違ったけど、仲良しになれた麻希(マキ)だった😃
学祭がキッカケで、それからはクラスを抜け、麻希とご飯を食べるようになる。昼休みに、カバンを持ってクラスを飛び出していく姿は、シカトをしてる皆からしても不思議に思えてたらしい(笑)
何のかんので、まだぎこちないにも皆と話をしていくことも出来てきた、一年生も終わり頃…私はアルバイトを始めた。
それが後に、今の職場になる。
二年生になり、私達には待ちに待った修学旅行があった。海外コースと、国内コース。勿論、女子皆と海外ロスコースに行けると思っていたが、智恵とあと一人…は国内の沖縄コースだった…⤵
海外なんて、産まれて初めて!飛行機すら初めての私は、ドッキドキ💓 飛行機で一夜を明かし、ロサンゼルスに着いた時は またお昼だった。そう…時差である。
ドジャース球場を見学するも、出てくる言葉は ただ1つ…『眠い』その日は、球場とレストランで昼食、ホテルで夕方まで次の日の段取りをして、夕食。当たり前だけど、右も左も金髪碧眼のホテルスタッフばかり…
ハリウッドスター並みの、美人さんやイケメンスタッフもいた😍
「あぁ…本当にアメリカ来たんだぁ」と、改めて実感していた。
本場のディズニーランドに、ユニバーサルスタジオ!聞こえてくるのは、英語ばかり。バイト先や友達へのお土産を買うのに夢中になってた私は、友達とはぐれてしまった。お土産の入った大きな袋を抱えたまま、ウロウロと不安げに歩いていると肩をポンポンされた。
(良かった~!見つけてくれたんだ)
振り向くと、そこには帽子をかぶったアメリカ男性が1人…
私「!!☆*£?★?」
あまりにビックリして、固まっていたら…
外人「オッハー✋」
私(°□°;) えっ…何? シンゴママ?」
ひきつるような笑顔をしていると、友達がようやく見つけてくれた。
友達「美香!」
私「……ごめん💦」
後ろを振り返ると、笑顔で外人の男性が手を振りながら…
外人「バーィ!」
イヤイヤ…貴方には、マジでビビりました💦こうして、私の修学旅行は終わった…みんなに話したら、かなり爆笑されました⤵
>> 10
もちろん智恵にも、お土産を買って帰ってきた。修学旅行が終わって初めての登校日に、みんなでお土産交換をした。
友達「智恵、これ少しだけど お土産~」
智恵「わー!ありがとう」
私「ウチも少しだけど、コレ~」
智恵「あっ…うん」
確かに、大した物は買えなかったけど、あからさまに嫌な顔をされたのは今でも覚えている。この頃、智恵の態度には起伏があり戸惑う事もしばしばあった。
2年生も半ばになると、進路の話もチラホラと出始めた。まだ、この頃は漠然と聞いていたけど…今思うと、あっという間に3年生になったな…
3年生…夏休みも近くなると、慌ただしくなった。進路か就職か?その前に私達、調理科には最後壁!国家試験が待っていた。夏休みも終わり、秋には学祭もあったが この時期の3年は就職試験で、いない生徒も多い。現に私も、学祭2日目に試験が重なり休んでいる。
そして、学祭が終わると冬はすぐに来た。冬休みは、バイトと休み明けに待っている国家試験の勉強の毎日だった…多分、受験よりも熱心だったと思う。
そして、冬休み明け…
ついに来た…!国家試験!
シン…とした教室内に、マークシートを塗り潰す鉛筆の音と、問題を捲る音だけ…
先生「はぃ!そこまで!お疲れさん。結果は、卒業後になるが各自に電話がいきます!」
大丈夫!あれだけ勉強したし、手応えはあった。でも国家試験となると、やり直しはきかない…ドキドキ感は増すだけだった…
国家試験も終わると、授業をまともに受けるのは、1ヶ月程度で後は卒業式の練習になった。各自、大学や就職先から内定を貰ってる者も多い。私も無事、内定を貰った。智恵は市内のホテルに調理スタッフとしての内定を貰っていた。
卒業式の練習だけの日も増え、真っ直ぐバイト先に行くことも多かった。
私「おはようございます😃」
社員「おっ!近々、社員になるヤツだ😁」
私「そうですよ~。お手柔らかに (笑)」
社員「ビシビシ、からかってやるよ (笑)」
最初は不安でイッパイだったのに…今は、楽しくてたまらない! 根暗な性格が、明るくなり始めたのも、バイトを始めたからだった。
そして、3月1日
私達は、高校を卒業した…
入学式の時とは違い、まだ風は冷たいが柔らかい日差しが差していた。
高校卒業と、新社会人としてのスタート。なかなか、会えなくなる皆とクラスで写真を撮った。
入社式までは、バイトも辞め家でのんびりと過ごす日々だった。そんな、ある日…
夕方に携帯が鳴った。見ると、担任の名前が光っている。
(試験結果だ!)
私「はい!もしもし!」
先生「おー!〇〇か?試験結果だけど……………」
私(ドキドキ…)
先生「………………………合格‼」
私「やったぁぁぁ!先生!本当⁉本当に合格?」
先生「本当だよ。一週間以内に、合格証取りに来いよ」
私「はい!分かりました!ありがとうございます!」
その日は、母が帰ってから真っ先に報告した。
次の日、久しぶりの高校の門をくぐる。制服ではなく、私服で…
進路室に入ると、何人か来ていた。
私「あー!久しぶり~」
「美香~!」
先生から合格証を受け取ると、久しぶりに再会した友達とご飯を食べ、家に帰った。
もう少しで、入社式だ。緊張が入り混じる気持ちで、その日を待った…
大学へ着くと、麻希の友達である優ちゃんが出迎えてくれた。優ちゃんの他にも、2人男の子が立っていた。
優ちゃん達がサークルで使っている部室で一通りお互いに自己紹介。その後、みんなと校内を見て歩いた。
歩いていると、お化け屋敷があった!
皆がスルーしてるときに私だけ…
私「ねぇ…せっかくだから、入らない? 笑)」
一同「えー!(-o-)」
私「良いじゃん!入ろうよぉ~☺丁度、3対3で男女ペアになるしさぁ」
麻希「…じゃあ、入っちゃう?」
私「決定~」
ペアはどうやって決めたかは、忘れちゃったけど、私は優ちゃんとのペアだった。
中に入ると、薄暗く周りには何やら小道具が沢山ある。仕切りにキョロキョロしながら歩いていくと、横からゾンビが飛び出してきた!
「キャー!優ちゃん、怖い~」
なんて可愛い声なんて出せず…
私「ギャー‼なんなのアンタ!ついてくんなぁぁー!」
なんて、優ちゃんの腕にしがみついて叫んでたのを覚えている…言い出しっぺが、一番ビビってたのは言うまでもなかった…⤵
時間は、お昼を過ぎ1時になろうとしていた。
男子グループの提案により、大学近くの店に私達はお昼を食べに出た。
お昼を食べてから、みんなとカラオケに行った。男子グループの中に順一くんという男の子がいた。通称順ちゃん。
智恵は、順ちゃんに一目惚れをしたらしく、麻希にも『カッコイイね~』って何回も言ってたみたいだ。
カラオケで、智恵は順ちゃんとメルアド交換もしたらしく、上機嫌だった。しかし、後に智恵が私の事を悪く言ってたのを麻希から聞いた…
学祭に行った、一週間後だっただろうか?麻希から電話がきた。
麻希「もしもし?美香?今、大丈夫かな?」
私「うん。大丈夫よー😃この前、ありがとね~楽しかったよ」
麻希「その事なんだけどさ、美香…順ちゃんの事どう思ってる?」
私「うーん…優しくて、良い人☺」
麻希「それだけだよね?実は、順ちゃん…美香の事良いなぁ…って言ってたからさ」
私「マジで?アハハ~嬉しいね😁でも、何とも思えないし、友達ならいいよ。」
麻希「分かった。順ちゃんには伝えとく…後、智恵ちゃんの事なんだけど…」
私「??どしたの?」
麻希「…うん、智恵ちゃん順ちゃんの事、好きなんだって…だからだと思うんだけど…美香が順ちゃんに色目使ってるって私にボヤいててさ…私は見てて分かってたよ?美香は、素っ気ない態度だったし、全く気が無いって!ただ…智恵ちゃんが…」
聞いた時は、少しショックだった。確かに、自己紹介の時はブスッともしてられないし笑顔で挨拶もしたし、本当に楽しかったからハシャいでただけだったのに、色目って…
智恵の目には、そう見えたのだろか…?
そんなある日、智恵から電話がきた。
私「もしー😃どうしたん?」
智恵「もー、優嫌だ!嫌い!」
私「何したのさ?喧嘩でもしたの?💦」
智恵「そーじゃないけど…なかなか会えないし、寂しくなるし…」
私「うーん…智恵の気持ちも分かるけど、優ちゃんだって頑張ってるよ? まさか、仕事サボってまで遊べないでしょ?」
智恵「うん…」
別に優ちゃんの肩を持つ訳ではないけど…優ちゃんは、頑張っていたと私は思う。遊びに行けば、カラオケや食事代は全て出していたし、出来るだけ智恵との時間を作っていた。
智恵は、寂しがりやな方で毎日電話やメールをしたいタイプだった。 たまに、仕事の疲れで早く優ちゃんが寝てしまったり、連絡が取れない時は必ず私に電話がきた。
そして、会えない寂しさから智恵は第一の道を踏み外す…
私「…智恵と話……出来た?」
優「うん…」
私「今日…楽しかった?」
優「うん、やっぱり…楽しい…」
私「そっか‥戻れると良いね」
優ちゃんの笑顔を、久しぶりに見た。智恵と買い物してるとき、楽しそうだった。智恵も最初のギクシャク感もなく、お互い冗談すら交えての会話をするくらい打ち解けていた。
そして、その日の夜…智恵から電話がきた。
私「もしもーし」
智恵「……もしもし?今日、ビックリしたよ」
私「だけど、楽しかったでしょ?」
そう言うと、ちょっとイジワルそうに私はクスクス笑った。
智恵「……うん、楽しかった」
私「優ちゃん、戻りたいってさ…凄い凹んでたんだ…お節介、ごめんね。後は智恵の気持ちだけだからさ…」
智恵「うん…どうしたら‥良いんだろう」
私「優ちゃんのコト、大嫌い?」
智恵「それは、ないよ💦ただ…」
私「また、友達からスタートしてみたら?ダメかな…💦」
智恵「うん…だね。少し距離は置くけど、またメールとかしたい!」
私「分かった。優ちゃんに自分で言う?言いづらかったら、ウチ伝えてもいいよ?」
智恵「自分で言ってみる」
私「そっか!ガンバだよ智恵!」
優ちゃんと智恵の恋愛再スタート!
サイトを始めてしばらくして……
智恵と優ちゃんは別れた… 2人が連絡取り合うことは……二度となかった…。
この頃から、智恵から電話が頻繁に来るようになった。
智恵「この前会った人最悪ー!ヤったら、サッサと帰って行ったしー!
今日の人は、ホテル代ないからって車でヤったんだよー!しかも、迎えに来てとか言うし!」
内容は、とにかく男の話と下半身の話…高校時代の内気な智恵は、もういなかった…
智恵「こんな話、美香にしか出来ないからさぁ(笑) ごめんねー」
私「別に良いけど…サイト止めたら?ただ、ヤらされてるだけじゃん」
智恵「エッチ嫌いじゃないし(笑)」
私「避妊は?妊娠、病気 怖くないの?…智恵の生活だから、あまり口出しはしたくないけど…」
智恵「……でも、彼氏欲しいし」
智恵は、サイトの男達にとっては最高の『女』だったに違いない…。
智恵は結婚に凄い憧れを持っていた。私だって、同じ頃は智恵と同じく憧れを抱いていた。
しかし、まだ20そこそこの2人…彼氏の方は、結婚を意識などしていなかった。行く行くは、結婚も考えてはいたみたいだけど、智恵ほど深くはといった感じで一方、智恵は付き合い始めてすぐで早いとは思いながらも、かなり期待をしていたみたいだ。
そして、一年…二年と付き合いを重ね智恵は幾度と結婚話を彼氏に切り出すようになっていった。
彼氏は、仕事には就いていたが契約社員で正社員ではなかったため、自分の中でまだ結婚は早いと思っていたらしい…そんな時に、智恵から急かされるように何度も言われるのは、苦痛だったのかもしれない…
結婚の事で、智恵達は衝突が絶えなかった…でも、喧嘩をしては彼氏が宥めて仲直りの繰り返しをしていた。この頃、智恵からくる電話は常にこの話題だった…
智恵「本当に結婚考えてるのかな!全然 大ちゃん(彼)の方から言ってこないし!」
私「彼氏さんには、考えあるんじゃないの?まだ、契約社員ってのもあるだろうし…やっぱり、結婚ってなれば それなりに貯金も必要じゃない?」
この頃彼氏は、車がないと不便だ!と智恵に言われてたらしく、日産のエクスト〇イルを買ったばかりで、ローンが山のように残っているのを智恵から聞いていた。
私「車だって、買ったし彼氏さん頑張ってんじゃん😃
智恵は、結婚式だってしたいんでしょ?」
智恵「うん。したいなー☺」
私「だったら、智恵も頑張って貯金しなきゃね😁幸せ貯金(笑)」
智恵「だねー、でもストレス発散のパチンコ止めれねー💦」
そう。智恵のストレス発散方はパチンコだった…よく、何万負けた!とか聞くこともあって、ギャンブルをやらない私には、到底理解出来ない話だった…
結婚…智恵は、どんな風に思っていたんだろう…
智恵の家は、母親と智恵と妹の3人暮らし…お父さんは、訳あって高校の時に離婚したらしく、いなかった。
智恵のお母さんは、介護系の仕事をしていて、妹はこの頃 高校生だった。私の家も同じく高校の時に両親が離婚しているから分かるのだが、家計はキリキリだった…バイト時代は、小遣いに5千円貰い残りは全て家に入れたくらいだった……
智恵の家の事情は、分からないが働き手は母だけなのに頻繁にパチンコに出かけていて、智恵だけでなく お母さんのストレス発散もパチンコだったのだ…
しかし、無職の智恵の持ち金は すぐに底をつき私から遊びの誘いをしても、断られる時が続いた。
そんな時、智恵の家から少し遠いが新しく うどん屋がオープンする事になり、面接の結果 智恵は受かった!仕事も見つかり、彼氏もいて何も問題ないかのように見えたのだが……
智恵が、また爆弾発言をしてしまう…
この頃、智恵は車もあって通勤には何も不自由なかったのだが、職場までの道のりが少しあることと北国で雪道が心配だ!と言い出し、新しい車が欲しい!と言い出したのだ…
この時乗ってた車は、軽のFF(前輪駆動)確かに、私達のような北国では軽でも4WDの方が、便利なのは確かだったが通勤程度の道のりは別に問題などなかった。
智恵は1人で買う気満々で、ダイハツのタ〇トがお気に入りで私も中古車センターに一緒に行ったのを覚えている。
しかし、中古とはいえ みんな百万近いモノばかり…諸費用を含むと、新車となんら変わらないような金額だ。
もちろん家族からは猛反対され、泣く泣くタ〇トは夢へと消えた…これで、今の車を乗るのかと思っていた矢先、智恵は車を買い換えた!
それは、智恵からの電話で知った…
♪♪♪~~~
私「はい。もしもし」
智恵「美香ー😃今、大丈夫?」
私「おー、いいよー」
智恵「あのさー😃車買った!」
私……(°□°;)
「はっ?今、なんて?だって皆に反対されてたよね?」
智恵「うん。だから、タ〇トではないよ😁」
私「じゃあ、何?」
智恵「今日、叔父さんの知り合いがいる三菱に行ったらさ、安いの見つけてさぁ😃しかも、四駆!」
私「…安いのは良いけどさ、何年落ちの走行距離は?」
智恵「平成15年式で、78000キロ…」
私「………値段は?」
智恵「50万ちょっと…」
私「あんたバカじゃないの?軽で7万も走ってたら、すぐに駄目になっちゃうの分かるでしょ!!しかも、50万って…ドブに金捨てる気か!?」
智恵「だって、四駆欲しいしぃ~💦」
私「まさか、契約してきたんじゃないよね?」
智恵「しちゃった❤」
私………( ̄○ ̄;)
私「金、どーすんの?」
智恵「うん。30万まで下げてくれてさ~😃 」
次の瞬間、私は耳を疑った……
智恵「あー!マジでムカつくんだって!〇〇って女さぁ!店長も、コイツには甘いし!」
耳がキンキンするくらいのボリュームで、智恵が電話越しに愚痴を言っている。
サービス業なのもあって、全員シフト制で早番と遅番があるみたいだった。智恵は、それにも文句があるらしく声のボリュームが一層大きくなった。
聞くと、男の子2人と女の子が2人の内1人は智恵。智恵は、自分ばかり遅番が多くて嫌だ!と愚痴っていたのだ。なんでも、遅番担当になると閉店後に次の日の仕込みがあるらしく、すんなりと帰れないらしい…
私「……ねぇ、一度店長さんに相談したら?」
智恵「したよ!けど、ウチばっかり遅番になるし!たまには、あの女も遅番やらせれば良いのにさ!」
私「でも、せっかく決まった仕事だし頑張って😃車も新しいの来たんだしさ!
愚痴なら、また聞くから」
智恵「ありがとー💦」
私「なんの なんの!ウチも聞いてもらってるしさ」
この頃、私は市内から離れ市街地の支店にいた。実家から通える距離でもなくアパートで1人暮らしだった。
智恵は、大ちゃんと続いていたが この頃からチョクチョク母親への口実で、私の名前を出すようになっていった…
しかし、まだ私へ許可を得てからだったし、高校時代は私も智恵に助けて貰った事もあって、私も快く引き受けていた。
しかし、この行為が徐々にエスカレートしていく……
智恵の家では、夏になると岩手県にある『ケン〇ワールド』に行くのが恒例になっていたのだが、智恵の職業上 夏休みの客で店がごった返すのは、容易く予想できた…
しかし、そんな時に智恵は……
智恵「もしもし?美香? ウチ、来週から岩手に行ってくるー」
私「おっ!良いねぇ😃でも、お仕事は?」
智恵「5日間休みもらった😁でさ、大ちゃんの車で オカンと妹も一緒にケン〇ワールドに行くんだぁ」
私「…へぇー」
智恵「こうしないと、大ちゃんとも遊びに行けないもん!」
私「うん…まぁね」
智恵「やっぱり、駄目だったかなぁ?」
私「いや…お店でOK出したんだから、いーんじゃないの?」
智恵「だよね♪」
正直、忙しい時期にワザワザ休みをもらってまで、遊びに行くのは どーなの?とも思ったが、智恵には言わなかった。
そして、この休暇が後に仇となる。
智恵が旅行に行って、3日目くらいの夜に電話がきた。
♪♪♪~~
私「もしもし~」
智恵「やほー!こんばんは⤴」
私「楽しんでる?今は、ホテルかな?みんなの声が聞こえるね」
電話の向こうでは、智恵の妹の声と時折、彼氏の声も聞こえてきていた。
智恵「ううん。今、大ちゃんの車の中だよ😃」
私「…へっ?だって、もう22時だよ?」
智恵「うん。金ないからホテルは取らないで、車で寝るんだよー」
彼氏、智恵、妹、お母さん…
頭の中で確かめながら、指を折っていった。4人…だよね?
私「4人…だよね?寝れるの?」
智恵「狭いけど、なんとか寝るしかないよねー」
そう言いながら、智恵は電話越しでケタケタと笑っていた。
私「まぁ、お楽しみのところ あまり電話してると悪いからさ💦楽しんできてね😃」
智恵「ありがとう~。またねー」
そう言って、電話を切る。
実は、時間ある時に一緒に行こうと誘われた時もあったのだが……
今の電話で、一気に行く気が失せた私だった…。
そして、5日間の旅行を終え会社に出社した智恵だったが、待っていたのは同僚達の冷ややかな目線だった…普通に考えれば当然であろう。繁忙期に5日も1人で休みを取ってしまったのだから…しかし、その夜に智恵から怒りの電話がまたきた…
智恵「何なの?マジむかつくんだけどっ!」
私「…やっぱり忙しかったんじゃない?今、夏休み期間だしさ…?」
智恵「だったらさ!最初からダメって言えば良くない?オッケー出したの会社じゃん!だから、お土産も買って持って行ったのに!」
私(いやいや…お土産一つで、許されないでしょ…)
私「しばらく、シフトがキツくても頑張れば、元に戻るって💦」
それでも納得出来ないのか、電話の向こうのピリピリした雰囲気が伝わってくる。
それからしばらくは、遅番が続く日があっても、何も言わず真面目に仕事をしていた。
仕事はひとまず、落ち着いた智恵だったが…恋愛の方は、雲行きが怪しくなっていた…
大ちゃんと付き合い始めて、数年が経っていた。幾度と別れの危機があったが、それでも何とか今まで続いてきた2人…しかし、彼の方は限界だったのかもしれない…
智恵は、また結婚話をほのめかすようになっていた。高校の同級生が1人…また1人と結婚をし、出産をするのを見て焦っていたのだろうか…?
ついに、彼の方から別れを告げられた………
その夜…
♪♪♪~~~
私「はぃよ!」
智恵「……大ちゃんと…別れた…」
私「えっ!何で?またいつもの勢いで喧嘩しちゃったの?」
智恵「……違うよ。今度は、本当に別れた…。やっぱり、結婚、結婚言ったのが重かったみたい…」
私「…だから言ってたのに😥あんまり言うと、プレッシャーになるよって…」
智恵「だって!だって…子供だって欲しかったんだもん…」
智恵は、小さな子が好きで、自分も早く子供が欲しいと前々からよく言っていた。
私「彼氏さん、きっと将来的には考えていたと思うよ?」
智恵「分かってる…だけど、いつまで待てば良かったの?正社員じゃないし、待って待ってばかりでさ…嫌だよ…」
私「彼氏さんは…なんか言ってた?」
智恵「友達に戻ろうって…連絡は、頻繁には困るけど…たまにだったら、してきていいって…」
私「そっか…でもさ、最後まで優しいじゃない。落ち着いたら、連絡してみなよ」
智恵「……うん」
この後、智恵はとんでもない事をやってしまう……
しばらく、別れたショックだったのか智恵から連絡が来ることはなかった。私も、落ち着いたら自然と連絡が来ると思って気にもとめていなかった…
しかし、ある晩……
確か、遅い時間だったと思う。布団に潜り携帯を触っていたら、智恵からメールが入った。
『今まで友達でいてくれて、ありがとう。さようなら』
見た瞬間に、智恵の携帯を鳴らすが出てくれなかった。幸いにも、智恵のお母さん、家の電話番号も知ってるのもあって、家電にかけるが又誰も出ない…
最後は、智恵のお母さんの携帯にかけた。何回かの呼び出し音が鳴り、智恵のお母さんが眠そうな声で出た。
智母「…はぃ?もしもし?」
私「夜分遅くにすみません!私、美香です!今、智恵さんから……」
息が上がりながら、智恵のお母さんに話した。話し終わる頃には、智恵のお母さんの眠気は完全に飛んでいた…
智母「美香ちゃん、ありがとう!また後で連絡するから、悪いけど起きててもらえるかしら?」
私「分かりました」
それから、30分くらいしてから智恵のお母さんから、電話がきた……
♪♪♪~~~
私「はい!もしもし!」
智母「…もしもし?美香ちゃん?今…病院。美香ちゃんが早く教えてくれて…良かった。あの子…………眠剤を大量に飲んでてね…
私が行ったとき、意識が朦朧と…して‥て…今は胃の中を洗浄して、横になってるの…命を落とす量では無かったみたいだけど……美香ちゃん、ごめんなさいね。しばらく、智恵は入院すると思うから…また私から連絡するわね」
電話を終えてから、しばらく何も出来なかった…智恵が自殺を図った…?自分の同級生が?
智恵が数年前から、軽い鬱病で病院から薬を処方されていたのは、知っていた。その中に、夜寝れないからと眠剤があるのも聞いていた…
まさか、自殺行為なんて…
私………お見舞いに行きたいけど、なんて声かけたら?
布団に横たわり、思考回路がぐちゃぐちゃの頭で考えているウチに、気が付くと朝になっていた。
ひとまず、智恵が無事なことに安心したのか、いつの間にか眠っていたみたいだった…
次の日、どことなくボーっとしたまま出社をし、ミスはしないものの上の空状態には変わりなかった…
事件から何日かして、智恵のお母さんから連絡が来た。
智母「もしもし、美香ちゃん?智恵だけどね…今、〇〇病院の精神科に入院してるの…もし良かったら顔出してあげて…」
私「………あの、私行っても…大丈夫でしょうか?」
どんな意味で大丈夫と聞いたのか、自分でも分からない…多分、いろんな意味での大丈夫か?と聞いたんだと思う…。
智母「…あの子ね、大ちゃんと別れてから、おかしくなっちゃってね。かなり、ショックだったと思うの…だからって今回の事は、許されない行為だと私も思ってる…」
私「………………」
智母「まだ感情の起伏が激しかったりするけど、美香ちゃん…行ってみてあげて…」
私「分かりました。近いうちに、行ってみます。連絡ありがとうございました」
この時、私は正直行こうか、行かないか迷っていた…
連絡をもらって、何日か経っていた…私は、雑貨屋さんで小さな ぬいぐるみを買って車を走らせていた。 迷った末に、病院へ行くことにしたのだ。
病院に着いて、受付で見舞いに来たことを告げると、エレベーターで三階へ行くよう案内された。
三階へついて、エレベーターから降りると、そこは普通の病棟とは明らかに雰囲気が違った…すんなり面会は出来ず、ガラス張りの壁の向こうで看護師と患者さんが何やら、やっているのが見えた。
側にあったインターホンを鳴らすと、男の人が出た。
看「はい」
私「あの…お見舞いに来たんですけど…💦」
看「どなたのでしょうか?」
私「〇〇さんのです」
看「分かりました。横の面会室でお待ち下さい」
横を見ると、空港や病院の一角によくある喫煙室くらいの部屋があった。窓は、全部開けられず更に鉄格子がはまっていた。少し開いた窓から、冷たい風が入ってくる…
ガチャ…
ドアが開く音がして、振り向くと そこには少しやつれた智恵が立っていた。
私「智恵! 大丈夫?」
智恵「……うん。美香…ごめんね」
私「なに言ってんのさ!無事で何よりだよ………けど、もう絶対やらないでね?」
智恵「……うん、お母さんにも言われたし、妹も泣いちゃって」
わざと明るい声で話していたが、智恵の表情は暗くウロっとした顔つきだった。私は、買ってきた ぬいぐるみを手渡した。智恵が前にほしがってたブサカワ犬の『わさお』のぬいぐるみ…
私「はい!コレで少しは元気出して」
智恵「?? あっ!わさお」
袋から取り出した『わさお』を見て、智恵がクスッと笑った。
私「毎日抱いて寝なさい (笑)」
智恵「ありがとう、そうする」
そう言うと、またニコッと笑った。
すると、1人の看護師さんが入ってきた。
看「すみません、そろそろ面談時間終わりですので…」
私「あっ…分かりました。じゃあ、またね。退院決まったら教えてね」
智恵「分かった。それじゃ、またね…今日ありがとう」
こうして、私は病院を後にした…
私が病院に行った数日後に、智恵は退院した。退院して、しばらくした頃に智恵から電話が来た…。
智恵「美香…?智恵だけど、元気?」
私「うん、元気だよ。智恵は?」
智恵「…うん、まだ情緒不安定な時もあるけど…なんとか」
私「そっか…無理しないで、ゆっくりいこうよ」
智恵「……うん、でも…大ちゃんの事思うと…死んでいなくなりたいって思っちゃう」
私「ダメ!ウチらまだ20代なんだよ?…確かに彼氏さんは、良い人だったと思う…けど、また良い人が現れるかもしれないじゃん!
智恵は、ウチを絶対に結婚式に呼ぶこと!(笑)」
そう言うと、智恵はクスッと弱く笑った。
私は、将来的にお互いの結婚式に行って、母親になっても仲良くしていけると思ってた…
あの事件があるまでは…
彼との泊まりがけデートは、いきなり決まったらしく彼の方からも いきなりだし、無理なら今度にしよう…と言われたみたいなのだが、会いたくてパタパタしていた智恵はお母さんに嘘を言って、家を飛び出した…。
『美香が彼氏と喧嘩して、泣きながら電話きたから行ってくる!』
そう…これがお母さんに言った口実…
もちろん、当時彼氏などいない私は何も知らずに、家でノホホンとテレビを見ていた。 智恵は、家を出てから私に連絡をしてきた。
智恵「もしもし?美香?今からアパート行っても良いかな?」
私「良いけど、どうしたの?」
智恵「ごめん!着いたら話すから」
そして、10分位して智恵がアパートに来た…
ピンポーン!
アパートのチャイムが鳴った。時間は21時を過ぎていたと思う。智恵を入れて、私は智恵から理由を聞いた。
智恵「泊まりデート、滅多に出来ないからさ(>_<)お願い!美香の名前貸して!」
私「いーけど、よく家出て来れたね💦お母さん居たんでしょ?」
智恵「あのね…美香が彼氏と喧嘩して、泣きながら電話きたから止めに行ってくる!って言っちゃった」
私「はぃ?彼氏?いないし(笑) ちょっと待ってよ…」
そうした矢先、智恵のお母さんからメールが来た。
智母『今智恵が、美香ちゃんの喧嘩止めるって出て行ったけど、智恵が行って どうにかなるの?』といった内容だった…
私(えー💦彼氏なんていないし、喧嘩してないし…)
そう思いながらも、久しぶりの泊まりデートでホクホクしてる智恵の為に一芝居した…
私✉『すみません。感情的になって、智恵さんに連絡したら心配して、来てくれました』
すると、すぐに お母さんから返事が…
智母『良いのよ。あの子 天気も悪いし止めたのに出て行ったの!もう家に帰ってこなくて良いから!って、美香ちゃんから伝えてちょうだい』
あー、何かややこしくなってきた…なんて思いながらも、最後のメールを打った。
私✉『本当にすみませんでした。今日は、時間も遅いので私のアパートに泊まってもらっても大丈夫でしょうか?』送信…
ここからは、智恵の携帯に連絡が入っていたので詳しい事は分かりませんが、かなり言い争う声は聞こえていた…
智恵が、お母さんに嘘まで言って私の所に来たのには、もう一つ理由があったのだ…
智恵は、お母さんからの電話を終えると申し訳無さそうに、私に言ってきた。
智恵「あのさ…美香…3千円くらい貸してもらえないかな?」
私「えっ?お金ないの?」
智恵「うん…この前パチンコで負けちゃって…」
私「どーするつもりだったのさ!? しかも、今日は(ラブ)ホテルに泊まるんでしょ?3千円くらいで足りるわけ?」
智恵「…後は、彼に…」
私「当てに出来るの?」
智恵「……………」
ハァ……軽く溜め息をつきながら、お財布を見ると1万5千円入っていた。少し考えた末に、1万円を取り出すと四つ折りにして、智恵に手渡した。
私「…今回だけだからね! あと、クリスマスとか年末近いから…早めにね…」
智恵は、お金をお財布にしまうと、何度も『ありがとう』と言いながらアパートを後にした。
次の日…
私も仕事が休みで、天気も悪く家でテレビを見ていた。時間は、お昼になろうとしていた。その時、智恵からメールが入った…。
智恵『まだホテル…相手が起きてくれない』
えっ…?ドコにも行かないで、まだホテル…⤵ すると、智恵から電話がかかってきた。
私「もしもし?」
智恵「もしもし?ちょっと!チョーつまんない! 寝てるだけで、ウチ暇だからテレビ見るしかないし…」
智恵は、彼氏に聞こえないように、声を潜めて電話してきた。
私「もうお昼じゃん。ご飯食べたい!とか言って、起きてもらいなよ😥」
智恵「わかった😭」
電話を終えて、約一時間後に 智恵からメールが…
智恵『今ようやく起きた… ご飯食べに行ってくるね』
延長しまくって、いくら かかったんだろう…そんな事を思いながら、このメールに返事は送らなかった…
お泊まりデートから数日経ったある日…智恵から電話がきた。
智恵「もしもし、美香? この前はありがとう」
私「いーよ。楽しかった?」
智恵「ウーン…起きるまでに時間かかったけど、あれからご飯行ったよ♪」
私「良かったじゃん😃 お金足りた?」
智恵「うん!半分くらい残ったよ」
私「あっ!じゃあ、悪いけど残った分返してもらえる?残りは、今度でいいから」
智恵「…ごめん、ない」
私「えっ?今…残ったって…」
智恵「うん…残りね…滞納してた携帯代払っちゃって…」
私「‼‼‼‼⁉ ちょっと、何やってんの?」
智恵「ごめん…」
あれば使うタイプ…それは、智恵みたいな子を言うのだろうか…そんな事を思いつつ、開いた口が塞がらなかった…
12月24日
今日はクリスマスイヴだ…智恵からの連絡はない…いつもより客の人数も多く、朝から晩まで予約のケーキやら寿司やらの会計に追われ、夜の8時に帰宅した。
カバンから携帯を取り出してみると、着信を知らせる光が点滅していた。智恵からだった…
『ごめんね。今帰宅したからね~』送信…
メールを送り終わると、買ってきたお弁当を取り出しテレビを見ながら食べ始めた。すると、携帯が鳴った…
もちろん、智恵からだった。
私「はぁい…モグモグ」
智恵「あっ、美香? あの…お金なんだけど…」
私「うん、郵便局の通帳に入れてもらえるかな?」
智恵「……あの、分割にしてもらえるかな…?」
私「いくらで?」
智恵「5千円だと、助かる…」
私「……分かった」
もうすぐ、お正月…智恵はどう過ごすのだろうか…
初売りの忙しさも終え、通常の勤務に戻りホッとしたころ智恵から、連絡がきた…
残りのお金の事かと思いきや…まだ1月だと言うのに、来月のバレンタインの話だった…
智恵「ねー、ねー、美香! バレンタインなんだけどさ♪ 手作りのマフラーあげようと思うんだけど、どうかな?」
私「早いね💦 良いんじゃない?😃」
智恵「編んだことないから、早めに作ろうと思ってさ
それでね…先月の残り…待ってもらえないよね?」
私「…材料買いたいんでしょ?」
智恵「…うん‥」
私「いいよ…でも絶対返してね?」
智恵「うん!約束する!ありがとう美香!」
友達だから…智恵にも助けられた時もあった。 そう思って、智恵の力になってきた私は…やはり甘かったのかもしれない……
一人暮らしの彼の家に行っては、ご飯を作ったり掃除をしたりと、とにかく智恵は好きな相手には尽くす子だった。
しかし…
もう少しでホワイトデーを迎える頃だったと思う。 智恵から、電話がきた…
智恵「美香ぁ…フられた……」
私「えっ! 今の話?」
智恵「うん…なんか今日ね、話あるから 会いたい。って言われたの…なんとなく嫌な予感したんだけど、もしかしたらって思ってもみたりしたんだ…。だけどさ、智恵の事は嫌いじゃないけど恋愛の対象で見れないって言われた…」
私「………」
智恵「はー…、もう恋愛なんてしなくていいや…」
私「……智恵…あの…元気出して…」
智恵「大丈夫!元気だよ😃ただ、悔しいだけ」
智恵は、恋愛体質なんだろうか…誰か側にいないと安心出来ないとは、前に聞いた事があった。
恋愛なんてしなくていい…
この言葉とは裏腹に、智恵はまた次の男性と付き合い始める…
デリヘル…正直よく知らなかった。いかがわしい内容だということだけ…
智恵は、ネットカフェの面接を取りやめて、誘われていたデリヘルの方に行ったのだった…。
しばらくした頃、智恵から連絡がきた。
智恵「もしもし?意外とハードだよー」
私「…大丈夫なの?」
智恵「大丈夫…かな?疲れるけど、1日に2人位相手するんだ💦」
私「あのさ…デリヘルって、何となくしか分かんないんだけど、本番ってナシなんだよね?」
智恵「えっ?あるよ😃」
私「うそ! 妊娠とか怖くないの?仕事とはいえ、不特定多数の人だよ?」
智恵「うん…ゴム付けてくれない人もいる。後は、外出し…とか」
智恵…なんでこうなったの?
友達が、デリヘル…
正直、嫌だった…
智恵「あのさ…ちょっと今いいかな?」
私「うん。どうした?」
頭痛と寝起きで、頭が働かない…
智恵「あのさ…さっきデリヘルの仕事で客に会ったんだけど、お金貰えないでヤリ逃げされたのさ…
んで、運転手のお兄ちゃんにレイプ事件だって言って警察に通報したら良いよ。って言われたから、警察に電話したのね…」
私「…うん。それで?」
智恵「それでね…場所がショッピングモールの立駐だったから、警察の人に『何でそこに居たの?』って言われたから友達と待ち合わせしてました。って言ったから…」
私「まさか、私の名前出したの?」
智恵「………うん。ゴメン…あの、だから美香にも警察から電話…行くかも…」
私「はぁ⁉えっ?何でよ!」
私の頭痛が一気に吹っ飛んだ一瞬だった…
そして、智恵の電話から何時間か過ぎ時刻は午後8時になろうとしていた。
その時…
私の携帯が鳴った!画面には、見覚えのない番号が光っている。
私(もしかして…)
私の脳裏に嫌な予感が走った。
しばらく鳴った携帯の通話ボタンを恐る恐る押した。
私「……もしもし」
男「もしもし?美香さんですか?」
電話の向こうから、優しげな男性の声が聞こえてきた。しかし、私の心臓は今にも身体から突き破らんばかりに動いている。
私「はい。そうですけど…」
男「私、青森警察署の〇〇と言いますが、△△智恵さんをご存知ですか?」
キターーーーーー‼
まさか、まさかと思ってた警察から電話が来てしまったのだ。 しかも、本署から…
心臓が一段と早く動き出すのが、分かった。
警察「どこで待ち合わせしてたんですか?」
私「〇〇ショッピングモールです…」
警察「何時に約束してました?」
私「お昼近くです…」
会う約束もしてないのだから、明確な時間など言えるハズもない…
警察「どうやって、事件に巻き込まれたのを知りました?」
私「待ち合わせ時間を過ぎても、来ないので立駐から車を出して外の駐車場に移動したんです。そこで携帯触って待ってました…
そしたら、智恵から電話来たんです」
警察「その時の智恵さんの様子は、どうでした?」
私「……泣いていて、何を言ってるのか分からない位でした…」
徐々に、警察に答えるのもしどろもどろになってきていた。
それでも、頭をフル回転させて警察の質問に答えていた。
全部、嘘の証言を…
警察「そうですかー…それじゃあ、大分落ち着いてから聞いたんですね?」
私「はい…」
警察「ところで、車を移動させたと言う事ですが、どの辺に移動させました?あの辺りは広いですから」
私「えっと…トイザ〇ス辺りです」
警察「分かりました。一応、美香さんの車種とナンバー聞いておきたいのでご協力お願いします。 それでは、車種は?」
私「スバルR2です。ナンバーは〇〇△△…」
警察「色は?」
私「水色です…」
警察「分かりました。夜遅くにどうもすみませんでした。
でもねぇ、お友達が強姦って驚いたでしょう? 許されない事件なのでねぇ。 また何か思い出したらご連絡下さい。 それでは、失礼します」
私「はい…失礼します…」
時間にしてみれば、10分弱だっただろか…
私は、何時間にも及ぶ取り調べをされてた気分だった。
しばらく、携帯を握ったまま動けずにいた…
でも、次第に思うのは警察に嘘の証言をしたということ…怖くなった…。
しばらく考えた末に、私は友達のマキに電話をした…。
携帯のボタンを押す手がカタカタと震える。
プルルルル…プルルルル…
マキ「はい。もしもし」
私「マキ…アタシ美香だけど、聞いて欲しい事があって…
実は、たった今ね…」
事の全てをマキに話した。
マキ「美香、今すぐ警察に電話した方が良いよ。 だって、言ってるのが全部嘘だもん! って言うか、それを友達に頼む智恵ちゃんが考えられない!」
私「どうしよう…私、何か罪に問われたりするのかな😢怖い…」
マキ「大丈夫!アタシも起きてるから!一回終わって、すぐ電話しなよ!」
私「分かった。ありがとう😢」
私は、警察に嘘の証言をした…27年生きてきて、初めての経験で初めての大罪…
意を決して、警察に電話をした。
電話を持つ手は汗ばみ、カタカタと小刻みに震えていた…
プルルルル…プルルルル……ガチャ!
『はい。青森警察署です』
私「あの……友達の強姦事件で、電話をもらった〇〇です…」
警察「あー!分かりました。少し待って下さいね」
電話の向こうから、ガヤガヤと声が聞こえる…
しばらくすると、電話をくれた警察官の人が電話に出た。
警察「お待たせしました。〇〇です。いかがなされました?」
私「あの…さっきの話なんですけど…
あの…実は、友達から頼まれて会ってた事にしてほしいって…だから、今日は会ってなかったんです…」
警察「うん。本当はね、気付いてたよ」
私「‼‼‼」
警察「何となく、お友達の証言と食い違ってたからね」
私「あの…ヒック!ヒッック…すみませんでした…アタシ、嘘言いました。怖くなって、怖くて…
ウッ…ク!ヒッック…」
緊張の糸が切れ、私は泣き出してしまった。
警察「大丈夫。泣かなくても大丈夫だから、本当の事を言ってくるてありがとう。 このおかげで、事件も進展するんだよ?だから大丈夫だから」
私「はい…😭 あの…私……何かの罪になりますか? 偽証罪とか…」
警察「大丈夫だよ。今日のうちに正直に言ってくれたよ。だから、心配しないで」
私「はい…ありがとうございます」
警察「それじゃ、また何か思い出したら電話下さい。失礼します」
電話を終えてから、大きな溜め息が出た。
終わった…。これで良かったんだ。智恵には可哀想だとは思ったけど、そのせいで私まで罪に問われるのは困る…。
これで、私とこの事件は終わったものだと思っていた…
しかし、本番はこれからだったのだ。
智恵の嘘証言から、しばらく経ったある日の昼。
部屋の掃除をしていると、携帯が鳴った…見ると また見覚えのない番号が光っている。本署の番号は既に携帯に登録してある。
留守電に切り替わるまで携帯は鳴っていて、私は怖くて出れなかった…
携帯は、留守電の応答画面に切り替わっている。しばらくして、待ち受け画面に戻った…『メッセージ一件』の表示を残して……
携帯を手に取って、メッセージ再生ボタンを押してみた。
ピーーーッ!
『もしもし私、南佃交番の○○と言いますが、○○美香さんでしょうか?また、後ほど電話致します。失礼します』
といった内容が、女性の声で残されていた。
聞いた瞬間に目の前が真っ暗になった…。
また……またなのか?
携帯を片手に、しばらく見覚えのない番号を見つめていた。
心臓がドクン、ドクン!と大きく動くのが分かる…手の平にはジワリと汗が滲む…
私は、着信履歴から発信をした。
プルルル…プルルル……ガチャ!
『はい。青森南佃交番です』
私「……あの…私、先ほど電話を貰った○○ですが…」
『あっ!わざわざすみません。私、境(仮名)と言います』
電話の向こうから、パキパキッとした物言いの女の人の声がする。
私「あの…」
私が言いかけた時、向こうから、はっきりと言われた。
境「お電話をしたのは、智恵さんの事件の事です」
私「はい。あの…でも、事件の事は本署の方に全部言いました…」
まるで、刑事ドラマに出てくる目撃者証言のようだ…
境「はい。こちらにも、事件に関しての書類は来ていますが、改めて美香さんにもお聴きしたいので都合よろしい日に、来てもらってもよろしいですか?」
私「えっ⁉」
境「調書を作りたいので」
私「わ……分かりました。それじゃ、今週の金曜日でも大丈夫…ですか?」
境「はい!大丈夫ですよ。10時位までに来れますか?」
私「大丈夫…だと思います」
境「分かりました。それでは、金曜日お待ちしてます。失礼します」
丁寧な挨拶の後、電話は切られた…。
調書? 調書ってなに? 金曜日やられるのは、事情聴取ってやつなの…?
夏が近づく6月の昼過ぎ…暑い部屋にも関わらず、私の手足は冷たく 背中にはジトッとした嫌な汗をかいていた。
仕事が休みの金曜日をとっさに言ったが、カレンダーを見ると3日後だった。
クラリと目眩がするような気がした…
私…とんでもない出来事に、巻き込まれたのではないだろうか……そう思わずにはいられなかった。
この事件の事は、実家の母も知っていた。私が、それとなく伝えたのだ。母が激怒したのを今でも覚えている。
話しただけでも、そうだったのに今度は、娘が事情聴取されるのだ…ただでは済まないのは予測済みだ…だけど、黙ってる訳にはいかず母に電話をした。
電話を鳴らすと、何回かのコールの後 母が出た…。
母「おー!美香、どうした」
明るい母の声を聞くと、余計に切り出しづらい…
私「うん……あのさー、今週の金曜日なんだけど…この前の事件あったじゃない?」
母「この前って、智恵ちゃんの?」
私「そう…。それでね、今佃交番から電話来たのね…」
母「なんて?」
私「…私にも詳しい話聞きたいから、来て欲しいって……」
母「だって!アンタ、会ってなかったんでしょ?」
私「だけど、名前が出た以上、関係者なんだって…」
母「アンタ……この事が片付いたら、智恵と縁切りなさい!」
私「はい…」
声のトーンが低い。母の機嫌が悪いのは、すぐに分かった…
そして迎えた金曜日…朝から出るのは、溜め息ばかりだ。
朝食も喉を通らない…チラリと時計を見ると、8時半を過ぎている。バッグに携帯と財布を入れ、私は車に乗り込んだ。
当時、市内から1時間ばかり離れた支店に勤務をしていた私。 通りなれた道を走り、市内に向かう…
空もドンヨリとした曇り空で、ハンドルを握る私もまた溜め息ばかりだ…
10時5分前…私は、約束の交番の駐車場にいた。心臓がドクドクと速まるのがわかる。
私(大丈夫…私、無関係だもん!)
そう自分に言い聞かせ、交番の中へ入った。
私「こんにちはー…」
中に入ると、男性の警官が2人書類を書いていた。
警官「はい。どうしました?」
私「今日、友達の強姦事件の事で話を聞きたい。って事だったんですけど…」
警官「あぁ~、今 境が来ますので お掛けになってお待ち下さい」
軽く会釈をして、側にあったパイプイスに腰をおろした。無線からは、パトロール中の警官からの声が聞こえてくる。
壁には、無数の犯罪者の似顔絵や顔写真が貼られていた。
オドオドと周りを見回していると、電話をくれた女性警官『境さん』が入ってきた。
境「どうも~。ご足労おかけしまして 二階の方でお話伺いますので、どうぞ」
私「は、はい」
私は、境さんの後に続いて二階へと行った。
私はてっきり、ドラマでよく見るような真ん中にライトが置いてある、小さな机に向かい合っての事かと思っていたが、通されたのは少し広い会議室のような部屋だった。白いテーブルが2つ並べてあり、周りには椅子が置かれてある。
境「どうぞ、お掛け下さい」
私「はい…」
境「えっとー、それでは お話を聞いていきますね。 本署の方からの書類によると、高校の同級生という事ですが間違いないですか?」
私「はい。間違いありません」
境「分かりました。智恵さんは、高校時代どんな感じの………」
智恵の事に関して、沢山の事を聞かれた。高校時代、交友関係、男性関係…質問の一つ一つに答えていった。
時間は、お昼になろうとしていた。
境「お昼ですね。休憩しましょっか😃コンビニか、近くのスーパーにお買い物行ってきても良いですよ。 休憩挟んで、午後一時半から再開しましょう」
そう…この日私は、1日の大半を交番で過ごしたのだ…
境「お待たせしましたー、ゆっくり出来ましたか?」
私「はぁ…少しは」
境「それではー…、智恵さんって高校時代、どんな感じでした?」
私「どちらかと言うと、暗い方でした。目立たないタイプです」
境「いつ頃からですか?そのー、雰囲気が違うなって感じてきたのは?」
私「…やっぱり、卒業してからです…仕事も一つの会社で長続きしなくて、転々としてました…。私が記憶にあるのは、最初辺りの二人目位までの彼氏の名前しか、記憶にありません」
境「その二人目までは、普通でしたか?」
私「はい。普通でした…でも、智恵は極端に寂しがり屋で…それが原因での別れは多いです」
智恵の性格、付き合ってきた人数…事細かに聞かれ、それに私は素直に答えた。
ただ一つの質問を抜かしては………………
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