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黒猫( 30代 ♀ PIbnnb )
13/01/25 00:49(更新日時)

『月夜の黒猫』でノンフィクションを書かせて貰いました
黒猫です🙇


今回は、『運命』ってものを題材に フィクションを書かせて頂きます。

気怠い少女が運命の人と出逢い、凜とした大人になっていく
そんな内容にと考えています。


誤字、脱字、解りにくい描写など、気をつけますが、あると思います💦すみません💦



お付き合い頂けると嬉しいです☺
よろしくお願いします☺✨



No.1721546 11/12/19 18:25(スレ作成日時)

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No.1 11/12/19 18:31
黒猫 ( 30代 ♀ PIbnnb )


~*~*~prologue~*~*~






隙間だらけの身体に
気付かないフリをして
アルコールと煙で満たす



ツマラナイ

クダラナイ

バカラシイ



そんな毎日を
ただ何となく繰り返して

辿り着いたのは
もっとクダラナイ生き方







友達は 多い
一度でも絡んだら もう友達でしょ?

次にまた会ったら
友情の握手して 笑って話して
笑ってまたねって 手を振るんだ



それだけで 十分

深入りなんてしなくていい


アタシの細部なんて
見せたくもない物ばかりが
詰め込まれてるから







フッと夜空を仰ぐ

高い空に輝く

丸い月を見上げる



昼間は太陽の光に呑み込まれて
見えなくなってしまうけど

確かに月は
ここに存在して居ると
うっすらと
その輪郭を見せている





まるで

アタシみたいだ





そして今日もまた
耳の中を埋め込むみたいに
ボリュームを上げて
隙間を埋めたフリをする







でも 月は

太陽の光が無ければ

輝く事は出来ない







アタシにも

いつか

見つかるのだろうか





太陽のような 存在が……







No.2 11/12/19 18:53
黒猫 ( 30代 ♀ PIbnnb )


時は深夜……
繁華街から路地裏に入った地下にあるCLUBに
その姿は在った



160cm で細身の身体は モデル体型と言うには小さいけど
整った顔立ちが人目を引く

モノトーンで統一された服に無造作に垂らされた
ロイヤルブルーのストールが栄える



琉那(ルナ)
今が遊び盛りの23歳





小さな丸いテーブルを囲む6人の男女の輪の中に
彼女は居た

CLUBの中は 親世代が迷い込んだら

「頭が痛くなる!!」

と金切り声を上げそうな音とボリュームが
室内を満たしていた





「あっヤバいじゃん!琉那もう終電なくね?」

ホストかと思うくらいに盛った髪を、カッチリキープしてる男
亮(リョウ)が耳に顔を近付けて言った

「あぁ、さっき気付いたんだけど、もぅいいやと思って。タクる事にしたぁ~」

パッチリの猫目を細めてグッドサインを突き出して笑う

「タク代勿体ないじゃ~ん
俺んち来ればいいじゃん!泊まってきなよ~」

「大丈夫~~!タクチケあるし、ここだってタダで入れてるしねっ」


如何にも軽々しそうに言う亮の目の前に、グッドサインをブイサインに変えて滑り込ませ、琉那は言った



内心……顔が近過ぎなんだけど。
その氷柱刺さるんだけど。
髪も下心もマジウザいし

と笑顔と裏腹に、見下した目が
その作り笑いの中にあった



No.3 11/12/19 21:24
黒猫 ( 30代 ♀ PIbnnb )


「俺また琉那にフラれちったよぉ~~~!ちぇ~~っ」

亮が唇を尖らせてテーブルに凭れて拗ねた様子を見せると
ナニナニ~~?と 女の子が面白がって亮をつつく


「うっせぇ~なぁ~~~っっ俺のハートは今傷ついちゃってんの~~!」

て笑いながらジタバタする男は
まるで発達途上の子供みたいだ
22歳には思えないその様子は
思春期の少年にすら追いつけてない



「どうせまた琉那をお持ち帰りしようとして、失敗したんでしょ~~?」

ケラケラと笑う2人の女の子は
麻美(アサミ)と莉央(リオ)




麻美がこのCLUBのオーナーと知り合いで、琉那も莉央もいつも無料で入らせて貰えていた

知り合いと言っても、身体の関係があるから
知り合い以上、恋人未満
友達以上、ではない
『友達』なんて関係は、フッ飛ばされている
そんな関係の人は麻美にとって
オーナー一人だけではない



でも、不思議と汚れて見えないのは
天真爛漫な彼女の性格だからなのかもしれない

麻美は 無邪気に 自分の欲望や利益に正直に従ってるだけ








亮は琉那を気に入ってる
いつもベタベタしようとして、誘いをかけては
するりとかわされていた



亮がアタシに求めてるのも、オーナーと同じだ
2人のように、面倒も後腐れもなく
愛情のない 楽でお互い様な関係



アタシは男に対して
麻美みたいに
楽しいだけの関係は望まない
好きな人じゃなければ
プラトニック希望



一時の快楽を求めて
真夜中に舞うの蝶のように
軽やかに華麗に舞えないし 舞いたくはない

そうゆう事が全くなかった訳じゃないけど



でも、時々羨ましくもなる
麻美は自分の欲望に忠実で
それに従う事を厭わない

麻美のライフスタイルはステップを踏むように
明るくて、楽しそうだった


勿論、そんな麻美にも、悩みや辛い事くらいあるけど





No.4 11/12/19 21:32
黒猫 ( 30代 ♀ PIbnnb )


まだグダグダ言いながらグラスを立ててアルコールを飲み干す亮に
亮の連れの男2人もちゃかしに入って
爆音の中に騒がしさが加わる

龍也(リュウヤ)と成人(ナリト)

だいたいいつもこの3人でここに来てる





彼らとは ここで知り合って
会えば一緒に飲んだり 踊ったりする事も多い
そんな感じ


メアドも番号も交換してるから 約束して落ち合う事もあるけど
それは殆どない


連絡は

「今居るの~?」
「今日行くの~?」

ってだけ、メールがくる方が多いくらいだ

彼らも、だいたい居るだろうと解ってる



それくらい頻繁に アタシと麻美と莉央は
このCLUBに来ていた



ここで一緒に過ごす仲間も
亮達以外にも いっぱい居たし
常連はみんな顔見知りだから、会えばいつも一緒にって訳でもない





適当にいこうよ

それがモットーだった

No.5 11/12/20 17:51
黒猫 ( 30代 ♀ PIbnnb )


その時、好きな曲がかかった
アタシは莉央と麻美に

「ちょっと踊って来るね~」

と耳元で言って、スピーカー近くのフロアの前の方に行く






音に集中して呑まれたい時は、一人がいい
周りに友達や仲間が居ると、気が散るから

それを知ってる2人は
敢えてついて来たりせずに
アタシに自由になる時間を与えてくれる







規則正しい重低音と
不規則なうねる音が混ざり合って
異質な音は不協和音のようなのに

螺旋を描きながら
空に向かって上昇して行く



音と光の洪水に引き込まれるように
身体が動くままにくねりながら踊る

VJの幾何学模様が一層
思考の無い世界へと誘う





少なくとも この音が終わるまでは

アタシは解放されて
自由になれるんだ

考えたくもない余分な事や
日々起こる煩わしい事は

思考しなくて済む








アタシは

目を閉じて

溢れる空間と溶け合って

一体となった





No.6 11/12/20 18:39
黒猫 ( 30代 ♀ PIbnnb )


やがて アタシを天高く押し上げる曲は
別の曲へと変わってしまった



それでも 満足だった
十分に集中して 放出出来たから


次にかかったその曲も なかなか良かった



テンションが上がったアタシは
満足はしていても
まだまだこの空間と感覚と
離れたくはなかった

右スピーカーの前を陣取ったまま
踊り続ける事にした





さっきよりは控えめに、ステップを踏んで踊る


すると、壁に凭れて身体全体でリズムをとっていた男が
こっちに近付いてきた



彼はアタシの右側に来た

チラッと横目で見ると目が合う

可愛い系の顔をしてる
けど
どこかクールさが漂う強い目が
印象的だった

このCLUBの客層にしては、ちょっとナチュラルめな服が
彼によく似合っていた





彼はアタシの耳に口を近付けて、話しかけてきた

「こんばんは。さっきの踊り方、凄くカッコよかったよ」

ニコッと笑った顔は幼さが残っていて
可愛らしい笑顔だった



「こんばんは。そう?ありがとう」

アタシも耳元で返す



「俺、CLUBってあんまり来ないんだ。
音を聞くのは好きなんだけど、どう踊ればいいのかイマイチわかんない」

「そんなの、簡単だよ!
音に集中して、ステージやVJだけを見る
形なんて、決まってないし
後は踊りたいように踊ればいい」

「その、踊りたいように、が難しくない?」

「リズムに合わせて自然に身体が動くでしょ?
それをベースにして、動いていけば
自然と気持ち良く音に乗れるよ」



いざ、『踊り方』を説明するとなると
意外と難しいものだなぁ

と思いながら、説明してみる
アタシは本当に自然に
自分の好きなように動いてるだけ

音とシンクロ出来る動きがあれば
それを繰り返したり……



「なんか、解ったような気がする!教えてくれてありがとう
俺、アサヒ。
難しい漢字の方の旭。よろしくね」



旭……太陽の名前
いい名前だなぁ

「アタシは、ルナ。琉球の琉に那覇の那で琉那。
よろしくね、旭」

「琉那かぁ。俺達、月と太陽だね」



無邪気に笑って旭が言った

それがやけに嬉しかった



アタシも 旭と
同じ事を考えていたから



No.7 11/12/21 18:35
黒猫 ( 30代 ♀ PIbnnb )


「ねぇ琉那。良かったら一緒に踊らない?
教えてもらったみたいに、踊ってみたい」

「いいよ。一緒に音に乗ろう」


爆音のスピーカー前は、顔を近づけても
大きな声を出さないとなかなか聞こえにくいから
話しをする為に壁際に寄っていた



アタシ達はフロアーに出る
さっきアタシが居たあたりに行った
そのスペースは空いたままだったから
スピーカーは2人の貸し切り状態になる

今夜は平日で 余り混んでいないから
ゆとりを持てるくらいのスペースが十分にあった





「まずは、さっきやってたみたいに、リズムを身体全体でとって
それから、動きたいように自然に任せて動きを足してけばいいよ」

「解った!」

「頭で考えないで
旭の全部で音を感じてね」

旭は笑って頷いた



なんか インストラクターみたいだなぁ
なんて思いながら
いつものように 音に身を任せていく





思ってたよりこっちに長居しているのが気になって
麻美達の方を見ると
他の友達にも会ったみたいで、人が増えてた



莉央がアタシの目線に気付いて手を振る
アタシも振り返す

『心配ないよ』のサインだ
何かヤバい時やイヤな時は手招きをするのが
ウチらの暗黙の了解サイン



安心して、また音に身を任せていく






チラッと隣の旭を見ると
いい感じにのれてるみたい

良かった
インストラクター気分のアタシは
自分の説明が伝わった事にホッとした





その時 音がピーク
いわゆるサビに入って
アタシのテンションもアゲに入る

加速する音速と高鳴る音域に
歓声を上げる人もいるくらいに
より一層フロアーの熱気は一気に上昇していった



No.8 11/12/21 23:37
黒猫 ( 30代 ♀ PIbnnb )


旭とアタシは顔を見合わせて 満面の笑みになる

すっかりコツを掴んだらしいその動きは
自然に音に乗れていると見て取れる



アタシのボルテージもMAXになって
ハイな音とシンクロする





全身でしなやかにトランス(陶酔)して
いつの間にか旭と向き合っていた



お互いに見つめ合ったまま踊る

旭もアタシの動きを真似するように
しなやかに揺れ動いていて

アタシ達は 自然にセッションしていた





不思議と 動きが合う

いつもは一人で踊るのが気持ち良いのに
旭とのセッションは
凄く心地良い感覚に包まれて



フィーリングが合うって
こうゆう事なのかなぁ……





旭は目を閉じて
自分の世界に入り込んでいく

アタシも目を閉じる





アタシの意識は
CLUBの天井を抜け出し、上階のビルも突き抜けて

夜空の彼方へ飛翔して行った





きっと 旭も 今
同じ夜空の中を浮遊しているんだ

一緒にこの感覚を共有出来ている
自然と そう思えた







今迄にないくらいの開放感を

身体全部で

脳内の全部で

アタシの全部で感じていた


No.9 11/12/22 15:31
黒猫 ( 30代 ♀ PIbnnb )


最高の陶酔が
アタシの奥深くまで浸透して

まるで エクスタシーに達したような気分だった



頬が火照っているのは

全身で踊ったせいだけじゃないような気がした



実際 ヘタクソなSexより

よっぽど気持ちイイし
満足出来る





曲が変わった時 旭が言った


「CLUBで踊る事がこんなに楽しいなんて、思わなかったよ
めちゃくちゃいい気分だ!」

「でしょ?音とシンクロするって、最高じゃない?」


アタシは旭が本気で楽しんでるって解って
凄く嬉しかった


「琉那と一緒だから、最高に踊れたんだよ」



なんだか ガラにもなく照れてしまって
ピースしながら歯を見せて笑った

踊る姿を褒められる事とか たまにあるけど
なんだか妙に嬉しかった





それからもう一曲踊って
流石に疲れてきていた

一休みしようよ、と耳打ちする






アタシ達は柔らかいソファーに身を沈めた



「ちょっと待ってて、飲み物買ってくるよ。」


旭はドリンクを買いに行ってくれた







ハンドタオルで汗を拭きながら 携帯を見ると
麻美からメールが入っていた


時間はもう深夜3時を過ぎていた


『ルナ~~~🎵かなり調子ィィじやん😉
イケメンみっけちゃったぁ⁉⤴

てか、ユウキが車で来たから送るって言ってくれてるんだけど🎵
ぅちら乗っけてもらぅけど
どうするぅ~~❓』



ヤバ!20分も前のメールだ;
フロアを見回したけど
2人の姿は見当たらない……

どうしようかと迷ったけど
今は 旭ともうちょっとゆっくりしたかったから



『今気付いた❗ごめんねぇ❗😣
今、一緒踊ったコがドリンク買い行ってくれてるし
アタシはタクるからぃぃょ👍ぁりがとぅね✨』


とメールを返した

すぐに返信が来た


『今ちょぉど🚻来てた
👍だょぉ😉
ぢゃウチらはこのまま帰っちゃうねぇ~~✋
楽しんでねっ🎵』





その時の状況で バラけたり 帰りが別になる事は度々あった

麻美はオーナーと途中で抜ける事も 時々あったし
ウチらは基本的に自由行動だ



No.10 11/12/22 15:41
黒猫 ( 30代 ♀ PIbnnb )


ミネラルウォーターとオレンジジュースを持って
旭が戻って来た



「この時間になるとお酒はもういいかなと思って
お酒の方が良かった?」

「ううん、こっちの方がいいよ」



どっちがいい?と差し出される

ありがとう、と オレンジジュースを受け取った



乾いた喉に甘い潤いが行き渡り
萎れた花にお水を与えたみたいに

潤いと共にパワーが戻ってくる







「琉那の友達は?大丈夫なの?
考えたら俺、かなり引き止めちゃってたよね」

「大丈夫だよ。さっき連絡したから
友達は他の友達が車で送ってくれるからって帰ったよ」

「先帰っちゃったの!?
なんか、悪かったなぁ~~……」


そう言いながら頭をかく


「よくある事だよ。
ウチらは基本自由だから、気にしないで」

「本当に?なら良かった
俺は友達と2人で来てたんだけど
連れが行き会った女友達と、イイ感じになってさ
抜けるゎとか言って行っちゃって~
マジかよぉ~~って感じだったんだ」


参ったって顔をして
くったくのない笑顔で彼は話す

「旭はその時帰ろうと思わなかったの?
あんまCLUB慣れてないって言ってたよね?」

「うん、めったに来ないから
なんか逆に勿体無いなって気がして
ゆっくりしてこうと思ったんだ」


CLUBに来た事自体、まだ5回目くらいだと言う
アタシは そうなんだぁ~、と頷く






「音を聴くのは好きなんだ
だけど、一人で慣れないとこって
なんか居心地悪いってゆうか……
どうしようかなと思いながら、暫く眺めてたんだよ

そしたらさ
一際目を引く、カッコよく、気持ち良さそうに踊る女の子が居てね」


笑いながら 旭はアタシを見る

「あんな風に、一人で心底楽しんで踊れるっていいなって
ガラにもなく、思わず声をかけちゃったってワケ」





ナンパをしそうな感じのない旭が
アタシに声をかけた理由に
妙に納得した



声をかけられたその後も
軽々しいような雰囲気や素振りは感じなかったし


だから アタシも安心して
一緒に楽しんで踊る事が出来たんだ



No.11 11/12/23 03:59
黒猫 ( 30代 ♀ PIbnnb )


アタシは 見た目こそ 軽そうに見える
自他共に認めるところだ

でも 中身は 意外と軽くない


ナンパなんて よくある事だけど
軽々しくナンパをするヤツは
信用出来ないと思ってる



たまたま居たアタシに

たまたま声をかけただけ



他にも何人にも しょっちゅう声をかけてるんだろう


そうゆうタイプは その場限りや ここに来た時に
テキトーに楽しんで過ごす事は出来ても
付き合うとかゆう対象にはならない


最も みんながみんな 軽いヤツとは限らないけど





亮も典型的にその類だった


亮に関しては
今はマジでアタシに惚れていて
他の女にも手を出してないらしかった



こないだ龍也が

「アイツマジだから。今迄とは違うよ」

そう言っていた けど

そんなの 本当かどうかも解らないのが実際だよ







アタシは なかなか人を信用しない所がある



過去 酷く裏切られた経験や
ちょっとした家庭の事情……

そんな事柄から
『心を開く』 
って事が 出来なくなっていた


薄い上澄みを掬うだけのような付き合いで
アタシには十分

深く潜れば潜って行く程
濁って行くんだ



相手も アタシもね



不透明に汚濁した心の中にも
ドロドロと纏わりつく人間関係にも

もう ウンザリだった







もし亮のそれが 本当だったとしても
アタシへの気持ちが 本物だったとしても

アタシが亮に惚れる事は
ないだろうなぁ~~~



No.12 11/12/27 03:43
黒猫 ( 30代 ♀ PIbnnb )


明日、てゆうか、今日
お互い仕事が休みとゆう事で
この際ゆっくり夜更かししようよって事で
ァタシ達は朝帰りする事をを決めて

上のフロアーにあるチルアウトスペースに移動した







そこには、幾つかのソファーとビーズクッションも置いてあって
まったりしやすいスペースになっている

音楽も、ヒーリング音楽のような静かめな曲
チルアウト、アンビエントのジャンルの音が流れていて
ゆっくり、ゆったりと、過ごせるようになっていた





私はハイになれるメインフロアーも勿論好きだけど
チルアウトスペースもかなり好きなんだ



このCLUBはチルアウトスペースにも力を入れていて
時々デコが変わって、飽きないで居られるし
季節に合わせて変わるルーム内が
ここに来る楽しみの一つになっていた



今は、星空をテーマにしている

「冬は空気が澄んで、星が綺麗だからね
クリスマスが近いから、イルミネーションみたいにしたいんだけど
前やったら、ピカピカして落ち着かないって言われちゃってさ~~」

オーナーがこのデコに変えた時に言ってた

ァタシ的には、このままでいい 今のデコが好き





満点の星の夜空を連想させるようなデコのライトや
飾りがぶら下がっていて

エアコンの風に静かに吹かれて
ゆらゆらと揺れながら、キラキラと煌めいてる



まったり感を増してくれるし、夜空のように
ずっと眺めていていられる気分になる



ブラックライトで演出される壁紙やライティングも
合わせて変えられていくから
頻繁に来ていても、飽きない感じになってる







私と旭は 一番奥のソファーに座り
私は ビーズクッションに身を預けて
ゆっくり沈み込んで リラックスモードに入る





「ん~~~!落ち着くねぇ~~~!」


旭がノビをしながら、ビーズクッションを背中に置いて、浅く寄りかかり
長い脚を更に長く出した



No.13 11/12/28 15:45
黒猫 ( 30代 ♀ PIbnnb )


アタシは煙草に火をつけて ひと息つく



「琉那も吸うんだね
あっ、煙草、同じだね」


旭もアタシも、SevenStarsのアラスカメンソールだった


「マジで?気が合うね♪
白いパッケージにひかれてさ
こないだまでは、SevenStarsブラックメンソールだったよ」


「マジで~~~!?オレもだよ!これ見つけてこないだ変えたんだ」



同じ事を 笑い合って 
喜べる 喜び合える

1時間たつかたたないか前に出会ったばかりだけど

それだけ旭は 親しみやすい





暫く いろんな話しをしていた
旭は 自分の事をいろいろ話してくれた





歳は23歳で タメだ
もうちょっと下かと思ってた


シルバーアクセサリーのショップで働いてる

言われて見てみると
凝った細工のシルバーリングと
ネックレスをしている

どっちにもターコイズが使われていて
彼によく似合ってた


革細工も趣味だと 自分で作った
ヒップバックや財布 キーケースを見せてくれる


どれもお世話ではなく
センスがいい カッコいい物だった





アタシはネイリストで
働いてるネイルショップと旭のショップは駅一つ分の距離で
意外と近いと知った



意外と近場で働いていて
お互い行く所も、同じお店があったりもする


「もしかしたら、今までも、何処かで会ってたのかもしれないね」


同じ時 同じ場所に 居たのかもしれない





すれ違い様に ぶつかって
「すみません」
と、頭を下げた人



ショップの友達と
帰りに寄ったファーストフードで
後ろに並んでた人



アタシがライターを落とした時隣のテーブルに居て

拾って渡してくれた人





そのどれかが 旭だったのかもしれない







旭と話しながら
気が合うな 似てるのかな
と思うところや

なんだか 他の人とは違う
と思った事が

実感に変わっていった




No.14 11/12/29 07:14
黒猫 ( 30代 ♀ PIbnnb )


何がどう って、ハッキリ言うのは難しいけど……





話しが合うから
考え方や感覚が似てるのかな?
って思うのもあるし


此処や日常で出会う人達とも
今までの友達とも
違うようなタイプの感じがした




水面を撫でるような
表面的な付き合いばかりのアタシが

曖昧にしたり 
流したりしない

誤魔化さないアタシ自身で
話せる安心感があって……





出会ったばかりなのにも関わらず

不思議と 素に近い感じで

リラックスして話せていた





旭には
警戒心を解く柔らかな雰囲気がある


旭自身が
真っ直ぐで素直なんだなぁ
と、思える人だからだろうなぁ……



No.15 11/12/29 07:19
黒猫 ( 30代 ♀ PIbnnb )


楽しむ事が 最優先

適当に 盛り上がればイイ



そんな場所で

そんな人ばっか集まる中で

そんなスタイルのアタシ





それが
こんな風に

すぐに息が合うセッションで踊れて
笑い合って話せる相手に


出逢うなんて


思ってもみなかった








「俺、本当は結構人見知りするし
ちゃんと話せたり仲良くなったり出来るまで
時間かかるタイプなんだよ

でも琉那は、話しやすいし、気が合うなって思うから
全然大丈夫で良かったよ」





旭もそう言ってくれたから
お互い合うなって思えてて

素直に嬉しかった



打ち解けるのに時間がかからなくて
アタシも良かったって思う





こんな気持ちになれるのは
女の子同士でだって
そうそうない



No.16 11/12/29 07:35
黒猫 ( 30代 ♀ PIbnnb )


話しが盛り上がっているうちに
電車の始発が出てる時間になっていた

アタシも旭も タクシーで帰るって話してたけど
電車で帰る事にした









もう 12月になった

冬の空は 始発の時間になっても
まだ暗く 星も見えるくらい





星って言っても


排気ガスに汚染された 空

ネオンで明るいままの 街


暗く鈍い光が あれは星だろうなって
解るくらいにしか
見えないんだけど……






今年はやけに暖かい気がするけど
明け方ともなると
白い息が立ち登って行くくらい冷えていて


コインロッカーに詰め込んでた
カーディガンとコートを着ても

暖房の効いたハコから出ると
かなり寒さを感じる







「サムイねぇ~~~」


「マジ、冬なんだねぇ~~~」

と、身をかがめ気味に2人で歩くけど

急ぎ足にはならない







ゆっくりと

駅までの 長くはない道のりを

アタシ達は

オシャベリしながら 歩いた







No.17 11/12/30 03:10
黒猫 ( 30代 ♀ PIbnnb )


ビルの合間から
うっすらと明るくなってる

朝日が登ってきていた





「旭……だね」


アタシは呟いた





この夜が明けていって
既に見えにくくなってる
数少ない星達も見えなくなっていく





照らす陽は 希望なのに

いつも 少し


寂しく感じるんだ







でも 今 この時は

旭が 隣を 歩いてる


太陽の 名を持つ 彼








「俺さ……思うんだ」


旭が 朝焼けを眺めながら言った


「ウチの親は
希望とか、光とかさ
明るいプラスな子になるようにって願って
昇る太陽の『旭』って名前
つけたんだよなって」


「うん。きっとそうだよね
いい名前だよね

旭って名前が似合ってる」



アタシは笑って答えて
旭の顔を見た けど……







その笑顔は

なんだか寂しそうで……



遠くの朝日を見つめたまま


旭は 唯 黙って



口角を上げて 作った笑顔の上に

切なそうに細めた瞳があった








アタシも
それ以上は 何も言わなかった

哀しそうな笑顔を見つめるのも
止めておいた







旭と同じように
朝焼けの空を眺めながら

少しづつ騒がしくなって来た道に響く
自分のブーツのヒールの音を聞いていた



コツ コツ コツ コツ



遅めのBTMを アタシのブーツが刻む





まばらな人の 話し声や 物音
カラスの鳴き声と 羽音が
時々 音を プラスする








柔らかな沈黙が 2人を包み込んで


アタシ達は ゆっくりと


ゆっくりと 歩き続けた




No.18 11/12/30 20:23
黒猫 ( 30代 ♀ PIbnnb )


目を覚ますと もう
オヤツの時間に近いくらいの時刻を
デジタル時計は示していた



遮光カーテンの室内は
時計を見なければ
何時なのかイマイチ解らない暗さを保っている





「ヤバ……寝過ぎ……
てゅうか……まぁ、いっか……」



アタシは 回らない頭で独り言を言ってから
リモコンに手を伸ばし エアコンを入れる



毛布にくるまり直してから
再び瞼を閉じた

ハロゲンヒーターをつけたままの室内は
そこまで寒くはなかったけど

毛布の肌触りが好きだから





瞼の裏側で 旭との別れ際を
思い出していた




No.19 11/12/31 23:06
黒猫 ( 30代 ♀ PIbnnb )


「琉那、今日は本当に楽しかったよ
ぁりがとう」


「アタシもスゴく楽しかったよ
こちらこそ、ぁりがとう」



アタシの乗る電車は別の電車だった
ホームまで送ってくれた旭と
握手をする







連絡先は 聞かれてなかった


どうするんだろう……
どうしよう……

笑顔の中のアタシは考えてた





「あそこには、結構行くんだよね?」


「うん、週半分くらい行く時もあるよ
astrayはウチらの遊び場って感じ」





『astray』(アストレイ)はあのCLUBの名前
道外れ とか、堕落 とか
そんな意味

あの自堕落なオーナーにピッタリな名前だ





「じゃぁ、また会えるかな?」

「うん。声かけてね!アタシもかけるよ」







アタシ達の手は 握手したままだった



「また行ったら、捜すよ
琉那の事……」

柔らかい笑顔で旭はそう言って

「じゃあ、気をつけてね」



と、ゆっくり 手を 離した



「ぁりがとう
旭も気をつけてね
じゃぁ、またね」



手を振って 旭は階段を降りて行った








メアドも番号も交換しなかった

だけど
astrayに行けばまた会える





また いつか

それは いつなんだろう……


もう既に 待ち遠しい気持ちになっていた


No.20 12/01/02 02:58
黒猫 ( 30代 ♀ PIbnnb )



柔らかな毛布にくるまりながら
まどろんでいる


この心地良い時間が大好き





二度寝も気持ち良いけど

夢と現の狭間のような
ゆったりとした 揺り籠に揺られてるような心地良さは

常日頃 せわしくて
目眩い生活をしてるアタシにとって
癒やしの時間だった







最も ワザと忙しいくらいに
仕事のシフトを入れたり
遊びに出掛けたりしてるとこもあるんだけどね……







ヘタに時間があると

考えたくもない 余分な事まで
考えてしまうから……







だから このまどろみの時には
いつもは なるべく何も考えない



だけど 今は 唯ぼ~~っとするよりも
旭の事を 考えていたかった








記憶や感覚が薄れて行く前に


脳内から追い出されてしまう前に



思い出して

思い出に変換されないように

留めて置きたいんだ







こんな気持ちになったのは
久しぶりだった



誰かの事を
こんな風に考えたり
思い出したくなったりするのは
いつぶりだろう……



元彼とかにも
こうゆう気持ちには
なかなかならなかったなぁ……


No.21 12/01/02 23:34
黒猫 ( 30代 ♀ PIbnnb )


それから 頭の中で

旭と踊った時の感覚を思い出す






振動して鼓動と呼応する音と

全身でシンクロする一体感



重ね合わせたかのように

シンクロする2人のリズム








そのうちに アタシ達は

astrayを飛び出して飛翔し

夜空を一緒に浮遊する





セッションしてた時に
空中で踊ってるのを想像していたように



あの時は 旭も同じ感じなんだって思ったけど
一人での想像だったから



今度は旭と 同じ夜空の中を浮遊してみる






頭の中のアタシと旭は

スカイダイビングしてるみたいに

両手を繋いで宙に浮いている







アメジストやガーネットよりも美しい

煌めく満天の星達の中



どんなに精巧で綺麗な照明も適わない

凜と光り輝く満月の真下







ゆっくりと お互いを


手繰り寄せながら近付いて


間近で じっと 見つめ合う








引き寄せられ合うように



キスを した……



No.22 12/01/02 23:56
黒猫 ( 30代 ♀ PIbnnb )


アタシは ハッとして
正に我に返ったような気持ちになった



何を妄想してるんだろぅ;;;




思い出してるつもりが
いつの間にか
想像になっていた



キスとか 最早、妄想だろう





一人暮らしの部屋の中は
誰に観られてる訳でもないけど
妙に恥ずかしくなって

「ぅゎぁ~~~っ;」

っと、ベッドの上をコロコロと転がって
毛布を身体に巻き付けて
枕に顔を沈めた








アタシは 旭とキスを

したかったのかな……?







したかったんだ きっと





キスを と言うよりも



触れたかったんだ



その 身体の何処かに



何処でもいい



触れてみたかった








でも いつもみたいに
CLUBや友達の友達で仲良くなって
ノリでするような感じでは



軽々しく 触れられない感じがしたし

軽々しく 触れたくはなかった






旭自身が そうゆうノリの雰囲気を
持ってなかったってゆうのもあるし



何がどうとか 説明するみたいなのは
難しいんだけど





唯 なんとなく……







勿論 取っつきにくいとか 壁を感じたとか
そうゆう事じゃない



むしろ かなり親しみやすかったし
警戒せずに 気持ちよく 本当に楽しく
一緒に踊れたし 話しも出来たし





唯 なんとなく……







そこがまた 旭が

他の人とは違う

と 感じた理由の一つ






No.23 12/01/03 02:46
黒猫 ( 30代 ♀ PIbnnb )

  ○皆●既●月●食○





月がね 隠れんぼ するんだって


暗く赤く 変わるんだよ





黄金に輝く 柔らかく明るい光は
その輝きを弱めて
まん丸の満月夜だけど 

夜空は仄暗くなるから



いつもは視えないような
控えめな暗い星も

観えるようになるんだって



都心でも沢山の星が
観れるようになるくらいに







たった30分程の
完全な非日常的な現象



雲に邪魔されずに観れたら
奇跡のような時間






キミも 何処かで

同じ月を 同じ星を

見上げるのかなぁ……









No.24 12/01/03 02:51
黒猫 ( 30代 ♀ PIbnnb )


今年は 暖かい秋の流れで
そんなに寒くはないように思う


でも 今夜は夜中まで外に居る予定だから

暖かなニットワンピに、ショートパンツ、厚手のタイツ

その上に ふんわりとした
白いポンチョを被った



ニーハイブーツで脚を覆って
ラビットファーの帽子を被る

防寒対策は万全







アタシは 白が好き

純粋そうに映るから



本当は薄汚く汚れた灰色の自分
腹ン中は漆黒に蠢いてる



それを隠すかのように

白を被せては 覆い隠した





……誰も 触らないで
アタシの中身を 覗かないで
暴かないで……



脅えて膝を抱えながら
小さく丸くなって 震える
頭から毛布を被ってたい



それが 本当の アタシ……





時には、戦闘服を身に纏って
マシンガンを撃ち放つ


近寄るなって牽制する言葉なら
幾つもの舌の裏側に転がしてある





丸くて甘い飴玉

辛いタブレット

粘着質なフーセンガム



どれが転がり出るかは 気分次第



どうぞ お気をつけ下さいね



No.25 12/01/03 03:29
黒猫 ( 30代 ♀ PIbnnb )


皆既月食を観る為に連休をとっていた琉那は
実家に帰って来ていた

地元の広い公園の芝生の広場
その真ん中に
琉那は 男と2人で 空を見上げていた





白いポンチョとブーツ
ベージュのニット帽子に覆われた琉那は

白猫を連想させた



元々 猫目なのと
自由奔放で 伸びやかな性格を見せている琉那は

猫っぽいとよく言われている





自分を『黒』だと思っている琉那は

琉那の周りの多くの人達には

『白』に視えていた








白猫の手袋をした前脚は
黒のトレンチコートを着た男の手に 握られた


強引だけど 無理やりではない……



空を見上げてた白猫は

「そうゆうのはダメ」

って笑って言いながら
直ぐに 笑顔を作るのを やめた


男の顔を 真っ直ぐ刺す
猫の瞳







「琉那……やっぱり、俺じゃダメなのか?」


「アタシ達は友達だよ
コウとは、そうゆう風にはなれない」


「俺は、前からオマエの事が
好きだったよ
いつかは言おうと思ってた」


「……マジですか」





コウ と呼ばれた男は 
28歳で 琉那より5歳年上だ
20代後半の割には 若い服装と見た目をしてる

それでも 年齢に相応しいような
しっかりした男らしい雰囲気がある



琉那の地元の友達の先輩で
学生の頃から 仲良くなって

一人暮らしのコウのアパートで
みんなで宅飲みをよくしてたし
みんな流れで適当に寝て泊まって行ったり

気心の知れた仲間内の一人だ



琉那が地元を離れて一人暮らしを始めてからも
実家に帰った時とかたまに遊んでいる


コウは それなりに長い付き合いの友達だった



No.26 12/01/04 01:01
黒猫 ( 30代 ♀ PIbnnb )


……マジか……



正直 予想してなかった

コウの気持ちには 気付いていなかった



アタシは
人の事や気持ちには敏感な割には
自分の事には 時々非常に鈍かったりする







地元に戻るから、ってコウに連絡をして
皆既月食を観ると言ったら
一緒に観ようってなって……



別に 普段遊ぶのと同じような感じにしか
思ってなかった

誰と観るって まだ決めてなかったし



他の友人が 都合が悪いからとか
寒い中頑張る程興味が無いとか


他の誰も誘いに乗らなかった理由は
これだったのかと

アタシはこの時解ったんだ



多分 みんな気を遣ったか……
コウが頼んだのか……

どちらにしても
2人きりにする って状況なんだから


コウが告白をしたって事は
仲間内のみんなは知ってるんだろうな……



コウとなら
邪魔にもならず
つまらなくもならず

眺められると思ってたのに……


参ったなぁ~~~……



No.27 12/01/05 02:16
黒猫 ( 30代 ♀ PIbnnb )


頭上では もう
部分皆既月食が始まっていて
見慣れた月は ゆっくりと 
その姿を変えて行っていた


あと1時間もすれば
完全皆既月食になる時刻だった







「俺、ずっと琉那の事、気になってたよ
でも、お前は彼氏が居る時も多かったし
今の友達の関係が壊れるのも嫌で……言い出せなかった」







琉那は彼氏が出来ても 数ヶ月で別れて
またそのうち彼氏が出来て……
と言う付き合いが殆どだった



相手が深く踏み込もうとすると
自分自身の詳しい話しをする事を避けて居るから
本当の自分をさらけ出す事が出来ず

もう一歩、と 琉那の核に踏み入れられる前に
別れてしまうのだ







「お前が地元離れて、俺も彼女が出来たりもして
諦めようと思ったし
諦めたと思った時もあった

いや、諦めたくて、彼女作った
だけど、会うとやっぱり
まだ気持ちがあるんだって
毎回思ったんだ」


「ありがとう
でも、アタシにとって
コウはコウ兄って感じだから
そうゆう風には 見れないよ……」


「うん、そうだよなぁ……

解ってたんだけどな
言っておきたかったんだ」


「ごめん……」


「いや、こっちこそ、ごめん
お前天体観測好きなのに、こんな時に

ま、こうゆう時だから言いたかったんだけどな」


「ううん
コウの気持ちは、嬉しいよ
長い間 気付かなくてごめんね
アタシ、無神経なコト
言ったりしたり してたよね、きっと」


「ンなコトねぇ~よ」



コウが琉那の頭を ポン と軽く叩く
くしゅっと軽く握る



「あっ……!ごめんな、ついクセで……」


「ゃ、大丈夫だよ」




No.28 12/01/05 02:38
黒猫 ( 30代 ♀ PIbnnb )


……アタシは 正直 戸惑っていた



大丈夫と言いながらも
今までなら何とも思わないような
そんないつもの仕草にも
お互い過剰に反応しちゃってる





本気じゃないんだろうなと思うような
軽く言ってくる相手だったら
軽く流しておくし

知り合って間もないような相手だったら
真面目に言ってくれても
断りつつ 逸らしたりする





だけど 今目の前に居る相手は コウで
空言とはとても思えない



誠意を持って 答えを伝えたかった








「皆既月食見ながら告白なんて
俺って意外とロマンチストだろ?」



コウは 綺麗に並んだ白い歯を見せて笑った



アタシは 複雑で 俯いてしまったけど

ちゃんとしようと思った



意識的に息を吸ってから 言った





「コウ」


「ん?」



コウは 月を眺めたまま
小さく返事をした



「なんかさ、断っちゃって ごめんね
でもこれからも、コウとは今迄みたいに
いい友達で、楽しい仲間で、居たいと思ってる」


「ありがとう
良かったぁ~~っ!
なんか、この雰囲気じゃもう
友達で居るのも微妙なんじゃねぇかと思ったよ」


「アタシだって、コウとの関係は 壊したくないよ

……でも、今このまま一緒に居たら
微妙になる気がするから
今日はもぅ バイバイしよう」




これ以上気まずくなって
ぐちゃぐちゃするのは避けたくて
アタシは言った

これからもコウといい友達で居る為に
その方がいいと思ったから


今 変わらずに笑って話すとか
流すようなコト

コウには出来ない……したくない





「そっか……まぁ、確かにな……」


「ウン……今はお互い普通になんて、無理だよね
せっかくコウが想ってくれて、言ってくれたコト
今すぐ何もなかったみたいにしたくないし」


「ありがとう
お前やっぱり優しいわ」


「そんなコトないよ」



アタシは 少し 泣きそうになる


コウの横顔を見ると
その眼はやけに 濡れたように
 光って見えた……



きっと 泣きたいのは コウの方だよね




No.29 12/01/05 20:52
黒猫 ( 30代 ♀ PIbnnb )


「誰かに迎えに来てもらうから 大丈夫」


と、コウとバイバイする








琉那は 人工岩で造られた洞窟に向かう

その洞窟は滝のように水が流れているけど
夜は止まっている

その洞窟の岩の上に登る

立ち入り出来ないように張ってあるロープを越えて
枯れ木を避け 岩の端っこまで行き
足をぶら下げて座った





さっきまで居た芝生や小さな丘には皆既月食観測に来た人が
何人か居たけど
岩の上には 誰も居なかった







……人が居なくて良かった 静かに観れる……





こんな時間に女が一人で公園に居るのだから
警戒するし 危険も感じる


一応 近所に住む男友達の番号をすぐかけられるように表示したまま
ポケットに入れた携帯を握っておく







見上げれば 月にはもう
いつも観ている明る部分は 弓張りの三日月程になっていて

殆どが 皆既月食独特の
仄暗く 赤味がかった姿になっていた








……アタシは コウの事を考える



もしも コウを好きになって 付き合ったら……

きっと 楽しいし 大切にしてくれるんだろう

それなりに幸せに付き合っていけるんだろう



でも それは
太陽に照らされるような幸せではなくて

夕日に照らされるような
気を抜いて 胡座をかいた幸せに
なるんだと思う



心の底から コウに何かを求めて
この深淵の底を見せたいと
思えるコトはないだろうなぁ



No.30 12/01/06 17:16
黒猫 ( 30代 ♀ PIbnnb )


そんなコトを考えてながら
公園内や 景色を見渡す





ここからの眺めは なかなかいい
少し高い位置に居るから
疎らながらの近い夜景も それなりに綺麗に観える



アタシの地元は
都会ではないけど 田舎って程でもない
普通って感じの よくある街だ







再び空を眺めて居ると……



足音が一つ こっちに近づいて来た



カサカサ…… パキンッ

枯れ木の枝を踏む音がする




枯れ木の音ってコトは
ロープを越えて来たんだ!
まさか……この辺に来るの!?




一人きりの静寂を破られて
ガッカリするのと同時に
変なヒトだったら……と 心臓の辺りに不安が広がる



単純に 皆既月食を観に来ただけだろうけど
用心して損は無い




アタシはポケットから携帯を取り出して
いざとなったら すぐに友達に電話をかけられる準備をして


すぐに立ち上がれるように
投げ出した脚を体育座りみたいに折り曲げた体制に変えて

警戒態勢で 足音の主を待ち構える





ガサッ という音と共に
足音の主は 姿を現した



No.31 12/01/08 00:41
黒猫 ( 30代 ♀ PIbnnb )



……!?







そこに立っていたのは

旭だった……





アタシも 振り返って見上げてるアタシを見た旭も

正にその言葉の通り
眼を丸くして お互いを見詰めていた







「……っえっ?琉那?……だよね?」


「うん……旭」





突然の 思いもよらない この場所での

旭との再会



たった数日前に出逢って

また逢いたいと 密かに願っていたヒトが

今 眼の前に居た








「マジで!?えっ?何でここに居るの?」


「ぁ、アタシ、地元こっちなんだよね
実家がこのへんで。

皆既月食観に来てたんだ
この公園なら観やすいかなって。それで、居たみたいな……」


「そうなんだ!?
俺も皆既月食観にここ来たんだよ
友達がこの辺住んでるんだ
いいとこあるからってここ連れて来て貰ってさ

てか、今夜こんな時間にこんなとこ居たら、皆既月食か変態かのどっちかだよねぇっ」





あの くったくのない顔で 旭が笑う


アタシも その笑顔を見て 同じように笑う



「ホントだよねぇ~~~っ!」







嬉しかった


旭に逢えたコトが



嬉しかった


旭の笑顔を見れたコトが



嬉しかった


奇跡のような偶然が

必然のような気がした



No.32 12/01/08 20:33
黒猫 ( 30代 ♀ PIbnnb )


旭は オジャマシマス と
アタシの隣に座って
夜空を見上げた





「うゎあ~~~!よく観えるね!」





今夜の星と同じくらいに
キラキラ煌めいた眼で
少年みたいな表情をしてる



アタシはその横顔を見つめて

自分の脈拍が上がる音を聞いた



その音が 旭に聞こえてしまうんじゃないかと
動揺しそうになり 余計に鼓動が響いてしまう

それを誤魔化すように アタシは聞いた





「てか、友達は?」


「あそこら辺で観てるよ」





と、公園内に流れる川にかかってる橋を指差す
この岩に流れる水と繋がってる川だ

その辺りには琉那が居た芝生の広場のように
何組かの人が集まっていて 賑やかそうだった





「旭だけ、こっちに来たの?」

「うん。こうゆうのってさ、静かに眺めてたくて……
この岩の上なら空いてそうだし、眺め良さそうだと思って
俺ちょっと散策してくるゎ~~とか言って来ちゃった」


「特等席だよね。ここ
アタシも穴場だと思ったんだ」


「そしたら、琉那が居るんだもんなぁ~~~
マジビックリだよ!
琉那の地元がこの辺なんて知らなかったしさ

めちゃくちゃ特等席じゃんっ!」





『めちゃくちゃ特等席』
と言う言葉に 
琉那は思わず照れ笑いする





「アタシも、こんなとこで再会するなんて
思いもしなかったよ」


「凄い偶然だよね!
しかもこんな誰も居ないとこでさ

てかさ、琉那は一人で来たの?
こんな時間に公園に女の子が一人なんて
いくら今日は人が多いからって
危ないんじゃないの?」





旭は気がついたように
心配そうな表情になる





「ん~~~、友達と来てたんだけど
一人で観たくなって……
さっきバイバイしたんだょね」




No.33 12/01/08 20:53
黒猫 ( 30代 ♀ PIbnnb )


……アタシは 友達に告白されちゃって……
と言うか言わないか ちょっと迷って
言わなかった



話したら どう思うんだろう……
と考えたら 躊躇ったんだ





『友達は恋愛対象にはならない』
と思われたら
アタシ達は 友達なんだから
『俺もナイんだな』
と思われたくないし……



てか 友達 なのかな?
一回会って 一緒に踊って 数時間話しただけだけど……



じゃぁ 友達か
今まで 挨拶交わしただけで
もう友達ぃ~~~
みたいなノリだもんね



でも 旭には
何だかいろいろ考えちゃうみたい

普通なら気にしないようなコトも
気になっちゃうみたい







「その友達は、帰っちゃったの?
俺みたいに来て、友達はどっかで観てるの?」


「うん。帰ったよ
アタシは地元だから、頼めば誰か迎え来てくれる子居るし」


「友達、大丈夫だったの?
何かあったの?
皆既月食観に来たんでしょ?



「うん、そうなんだけどね……」





旭の悪気ない質問に
コウに告白されて 今は一緒に居るのは……と
バイバイしたコトを 言わずに話すのが

だんだん難しく 噛み合わない感じになってしまう





誤魔化すようなコトでもナイよね
そう思い直して

実はね……
と やっぱり さっきの出来事を
正直に 旭に話した



No.34 12/01/09 01:05
黒猫 ( 30代 ♀ PIbnnb )



旭は アタシの話しを
頷きながら 静かに聞いてくれた

話し終わってから 旭は言った




「そっかぁ。
長い間友達だったって、難しいよね
俺はそうゆうコトないけど、複雑なんだろうなぁ
そんな長くはない友達に告白してもらったコトはあるけど」





『告白してもらった』
って言い方に 謙虚さを感じるとゆうか
旭の人柄を感じる

やっぱり 優しいヒトなんだろうな

『告られて困った』
なんて思うアタシとは
やっぱり 違うんだなぁ……





「友達に告白された時、どぉしたの?」


「俺も、その子のコトは、友達としか思ってなかったから
断ったよ
悪いとは思ったけど
好きじゃないのに付き合う方が
もっと悪いコトしちゃうから

それは、琉那と同じ考えだね」


「でもアタシは、今回は
ありがたいけど困ったなって感じだけど
どうでもぃぃヤツとか、軽い感じにとか告られたら
迷惑とか普通に思うよ

全然、イヤなヤツだよ」


「しつこいとか軽いとか、迷惑な告白だったら
そう思ってもしょうがないよ

でも、どんくらいかわかんなくても
自分をイイと思ってくれたってコトは
ありがたいと思わない?
その気持ちには、俺は感謝するよ」


「感謝……感謝かぁ

旭は、思い遣りがあるんだね
誠実ってゅぅか……スゴい」


「全然だよ!
告白なんて、めったにしてもらえないし
俺なんかを気に入ってくれたんなら
そりゃ感謝もするよ」


「俺なんかってコトなぃよ
まだ知り合って間もなくて まだ知らないコトだらけだけど
アタシは旭がヒトに好かれるの 解るよ

女の子に恋愛とかだけじゃなくて
男友達にも好かれてそうだなって」


「そんなコト言われるとなんか照れる……

あっ!!観て!」





旭は空を指差した

No.35 12/01/09 01:25
黒猫 ( 30代 ♀ PIbnnb )


見上げると もう殆ど完全皆既に近い状態で
細い線くらいにしか
明るく光る部分が残っていなかった

アタシは待ち遠しいような
名残惜しいような気持ちで 言う





「もうすぐ 完全皆既月食だね
話してて気づかなかったよ」


「うん。うっかり見逃さなくて良かったね
琉那と話してると
なんか、時間がたつの忘れちゃう」


「アタシも!楽しいよね
まぁ今のは楽しい話しではないかもだけどね」





まぁそんな時もあるよねぇ~~~
と、笑い合って

こうやって笑い合えるのも
イイなって思った





「てか、こんなに晴れて雲がない中に観れるなんて思ってなかったよ」


「スゴいよね。
ちょ~~~綺麗!!ココで観るの選んで正解だったし
今夜は恵まれてるんだねぇ」


「俺、晴れた夜にこんなに星がいっぱい観れるなんて
今まで知らなかったよ」


「ホント、綺麗だね
皆既月食ってスゴいよねぇ」


「ぁっ……消えた……かな?」

「うん……完全皆既月食ってヤツだね」





アタシ達は 仄明るい月を見上げながら
静かに話していたけど

完全皆既月食になって
どちらともなく 話すのをやめた





それは
この間と同じように
気まずい無言なんかじゃなくて

今 この空間に或るのは 
心地良い静寂だった







少しの静寂の後

旭は ポツリと言った





「琉那は、イヤなヤツなんかじゃない」






アタシは少し驚いて 旭を見た
穏やかな笑顔で 言ってくれた




「全然イヤなヤツなんかじゃないよ」





No.36 12/01/09 13:29
黒猫 ( 30代 ♀ PIbnnb )


アタシは


「ぁりがとう」


とだけ 静かに言って

再び 月を 星を 眺めた







今 この時に 

楽しみにしていた皆既月食を
一緒に見上げてるのが

旭で良かったと

心底思った







普段はぼんやりとしか見えない
小さくて 弱い光の星も
しっかりと瞬いて
この眼にその光を届けてくれる


晴れていたら
月の明るさに紛れて 
地球上のアタシ達には
なかなか姿を観るコトが出来ない

そのおびただしい程の星達の瞬きは

とても 貴重に思えた







少し離れて でも隣に 
旭が居る



もっと 近づきたい でも
それはダメ







時間をかけずに急接近するような恋愛が多かったから
もどかしいようなむず痒い感じがする



でも もどかしい気持ちと共に
その距離感に心地よさも感じる




ゆっくりと 仲良くなって行きたい


ゆっくりと 近づいて行きたい







アタシは 旭が好きなんだと

この時 自覚した



胸の真ん中が暖かくなるのを

ハッキリと 感じていた

No.37 12/01/09 22:14
黒猫 ( 30代 ♀ PIbnnb )


携帯のバイブ音が控えめに響く


「ぁっごめんね、ちょっと電話するね」



旭はポケットから携帯を取り出して
電話に出る




「もしもし……観てるよ。
うん、たまたま友達に会って、一緒に……
うん、女の子
えっ?違うよ~~ホント偶然だって!
何言ってんだよ~~」





アタシの耳元にに小声で

「すぐに戻るね」

と言って 立ち上がって行った




友達のとこに一旦戻るんだろうな と思った







少しして 戻って来た
意外と早かった



「ハィ、寒いからあったかいの買って来た」



とホットティーを差し出してくれる


「ぁりがとう
これ買いに行ってくれてたの?
一緒に来た友達のとこに行ったんだと思った」


「違うよ。まだこっちに居るからって言ったよ」


「友達、大丈夫なの?」


「うん全然。5人で来てるし
俺は、琉那と居たいから」


「マジで?ぁりがとう」


「マジです。」





そう言いながら座った

さっきより 近い位置


身動きをとったら

触れそうな 距離







ヤバい……ドキドキする……!!!





『一緒に居たい』 って言ってくれたのも
内心かなり嬉しかったし


すぐ隣に座ったコトに
さっき 『ゆっくり』 と思ったばかりなのに

何だか期待しちゃう自分も居たけど



旭がすぐ近くに居る
それだけで 満たされた気持ちになった





アタシの心臓は

全力疾走したり 
深呼吸したり

かなり忙しいみたい





No.38 12/01/10 03:42
黒猫 ( 30代 ♀ PIbnnb )


「あと、車2台で来てるんだけど
一台は俺の車だから、琉那のコト送って行くよ」


「えっ?いいの?友達にも迷惑じゃない?」


「大丈夫だよ。それもさっき言っておいたから
もう誰かに頼んじゃった?」


「ううん、まだ。助かったょ~~。ぁりがとう!」


「いいんだよ」





旭は優しい笑顔で 言ってくれる



無邪気な笑顔も

穏やかな笑顔も

どっちも好きな表情







「もうそろそろ、完全皆既も終わるね」



デジタルの腕時計で時間を確認しながら言う







旭と2人 脚をぶら下げながら
特別な夜空を見上げてると


まるで この地球上に
2人きりのような気分になった






赤い月は 幻想的で 美しく
妖しい光を称えながら
その存在の大きさを

アタシ達地球上の人間に
まるで 示してるかの様だった




でも それは
決して 傲慢に感じる様なものではなくて

月とゆうものの存在が
如何に偉大なのか
アタシ達が感じ取ってるんだろう







この心地良い静かな時間が

もっと長く続けばいいのに……







やがて 月は 徐々に
明るさを取り戻していった



暗く浮かぶ妖しい月から
静かに 煌めくように 
月明かりりが露出する



その姿も 時間も寒さも忘れるくらい
感動的なものだった

No.39 12/01/11 11:19
黒猫 ( 30代 ♀ PIbnnb )


それから少しして
旭の友達達と合流した

友達は5人
男の子が3人 女の子が2人

カップルの2人だけここが地元で住んでるらしく
他中で1コ上だったから

『もしかして知り合いがいるかも!?』

と思っていたけど
それはなかった





「こんばんは~初めまして。琉那です」


「こんばんは~~琉那ちゃん」

「待ってたょ~~よろしくね」


みんな、明るく挨拶してくれて
話しかけてくれた

そのウェルカムムードに安心した






「ホントは約束してたんじゃないの~?」


「いつ知り合ったの~?」



とか 旭がみんなに茶化されてる
アタシも どうなの~? と
半ば質問攻め状態(笑)



「そんなんじゃないって~~!マジ偶然だょ!
番号もメアドも知らないモン」

「うそ~~~!?」





じゃれあうように茶化し合いをする旭は
みんなに好かれてるんだなぁって感じがして
何だか嬉しかった







みんなに言われたからなのかは解らないけど

この時初めて番号とメアドの交換をした



「えっと、連絡先教えて貰ってイイデスカ?」



照れたようにはにかんで 携帯を差し出す旭は
カワイかった!!!







それから 旭の白いミニバンで
柚香ちゃんてゆう旭の友達と一緒に
実家まで送って貰った



白い車が旭らしい
似合うなと思った

車内も整理されて綺麗で
静かめに Jazzが流れていた








実家まではこの公園から
車で10分もかからない



実家に着くまでの車内では
ほとんど柚香ちゃんがしゃべっていた





No.40 12/01/11 17:32
黒猫 ( 30代 ♀ PIbnnb )


柚香ちゃんは
どうやら 旭のコトを

好きらしかった





話し方や 話しの端々に
それは 見え隠れ……程度ではない


むしろ アタシに解るように
まるで 示すように
彼女は現していた



「でも、ビックリしちゃったぁ~~~!
旭が女の子を友達って連れてくるなンてっ!
珍しいよねぇ~~?」


「まぁ、俺、女友達少ないしね」





オーバーリアクション
と言いたくなるくらいの
ブリッ子ギリギリな感じで
柚香ちゃんは 探るようなコトばかりを言う



そしてそれは アタシに対する自慢のようになる



専門からの友達で
しょっちゅう連んでたとか

就職してからも
月1は必ず遊んでるとか

2人で遊ぶ時もあるとか





「旭って、モテるんだょぉ
柚、専門の時も、何人かに彼女なの?って聞かれたしぃ

でも、なかなか彼女も作ンないの
何でかなぁ~~~?」



助手席から 運転する旭の顔を覗き込むように
如何にもカワィく見えるような顔を作ってる



「いい子がいてお互い好きになれれば、付き合うよ
なかなか機会がないだけ」





そうなんだぁ~~~
彼女 居ないんだぁ

てか あんま居たコトも無いんだ



ホッとする反面

ブリッ子がキライなアタシは
イラッとする(笑)

仲良し自慢話しも
だからナンだ マジウザィ……!

と思いながらも 
内心気になってるアタシ……





旭は 柚香ちゃんの気持ちに
気付いてるのか いないのか
イマイチ解らないってゆうか

あまり気にしてる様子もなく
普通に前を見て
運転しながら 話してる

そんな風に見えた





No.41 12/01/12 01:10
黒猫 ( 30代 ♀ PIbnnb )


「今日柚と旭は、さっき同棲してるって言ってた子ンちに一緒にお泊まりするんだょぉ」



わざとらしい満面の笑顔で
アタシを見てから



「ねぇ~~旭ぃ~~」



と如何にも嬉しいデスって声と身振りで言った



「うんそうなんだ。
アイツんち、リビングと寝室2部屋あるから
たまに泊まらせて貰うんだ

今日は柚が居るから俺はソファーだね」


「ぇえ~~~!?一緒に寝ようよぉ~~~」


「ぁははっ
まぁた、何言ってんだよ
いくら長い付き合いでも、一応それは、ダメっしょ」





あからさまに誘ってる……
てか 人前でよく……

て まぁ よく見る光景なんだけどね



旭にこのブリッコ女が言うのは

イラッとを通り越して
ムカついてくるけど


それよりも 旭が断ったコトが
嬉しかった





「ぁっ、てゅぅかぁ~~、聞いてない?
今リビングにマットレスあってぁの2人寝てるんだよ~
だから、ぅちらは元寝室で寝るンだょぉ?」


「えっ!?ナニソレ!?聞いてないよ!
寝室どぉなってんの?」



マジ ナニソレですけど!?



「なんか、物が増えたから物置&クロゼ部屋にしてあるんだって
でも前使ってたマットレスもあるから
心配ナィよっ」




「心配ないって……
まぁ、いいや。俺床で寝るし
毛布一枚くらいはくれるだろ」

「ぇぇ~~~!?ナニソレぇ~~~」





マジ ナニソレ~~は こっちが言いたいってば

アタシは思わず



「旭はマジちゃんとしてるんだね
そうゅうとこも旭の良さで
人に好かれるんだろぅねぇ」


と ニコちゃん顔で口を挟む





柚香ちゃんは
残念~~ 寂しいなぁ~~
と 変わらずあからさまな感じだけど

旭は意外と 動じない様子で


こうゆう子なんだろうなぁ……
て思った




No.42 12/01/12 12:51
黒猫 ( 30代 ♀ PIbnnb )


お気に入りなオトコにはこうゆう感じ
なのか

旭が好きだからこうゆう感じ
なのか は解らないけど



リビングのソファーが使えないなら
同じベットで寝るコトになるかもしれない……



幸い 旭にその気はナイみたいだから
そうはならなそう!
だけど 同じベットじゃないにしても 
同じ部屋だ



柚香ちゃんのこの勢い……

気になるに決まってる……





今までもこんな感じだったのかな?
今までは何かあったのかな?

いろいろ考えてしまう





でも アタシがいくら気にしても
しょうがないコトだ





No.43 12/01/12 13:08
黒猫 ( 30代 ♀ PIbnnb )


そんな話しをしてるうちに 家に着いた





「えっ!?ここ家なの?スゴくない!?お金持ちぃ~~!!」


また大袈裟に柚香ちゃんが言う
と思ってたら 旭も言った



「マジで!?豪邸じゃん!」


「ゃ、大したコトないよ~~
芸能人んちとか、もっと凄いじゃん?
この辺土地安いし」



アタシは弁解するように言う







ウチは 確かに 大きい
そんな 豪邸って程じゃないけど
家とゆうより 邸って感じ


高い塀に囲まれていて
大きなガレージがあって
広い庭には噴水もある


玄関から門まで 徒歩1分
意外と面倒だし 時間がナイ時はマジで煩わしい





人からはよく
『恵まれてるね』
って言われるけど
実際 そうでもないんだ





マンションと飲食店を経営してるパパ

そのサポートをしてる経理兼秘書のママ


仕事で忙しい中
アタシのお世話は
ベビーシッターに始まり
ホームヘルパーに任せきり

産みの親と育ての親が 違う状態


親の愛情は お金で示されてきた





だから逆に
『普通の暖かい家庭』
に憧れている

正直 寂しい幼少期と 思春期を過ごした



そう思うコト自体 贅沢だ

と言われれば
正にその通りなのかもしれないけど……



まぁ でも
放任で それなりのお金を自由に使わせて貰って
遊んだりしてたから
それがイイ環境
って思った時期もあるし

別に 親を恨んでる訳じゃない






だけど アタシの
心の奥底に 抜けたような穴は

この家庭が 最初の原因だった



アタシの中の

暗く 深い

深淵を作った場所……





No.44 12/01/12 13:24
黒猫 ( 30代 ♀ PIbnnb )


一通り柚香ちゃんの

親の仕事についてとか
部屋が何部屋だとか
車は何を何台だとか

よくされる質問に答えて
アタシはちょっとウンザリしてた



それよりも 旭の反応が気になってた



「俺んちはちょ~~普通だし
俺のアパートも普通に1LDKだよ
あの辺の1人暮らしにしてはマシな方だと思ってたけどなぁ~~」





アタシのマンションは 広めの2LDK
家賃は親が出してくれてる

そうしたいって言ってくれたコトに甘えてる

ダメな社会人かもしれない



けど 親は アタシに
そうゆうコトで 罪滅ぼしをしたいみたいだし

『ちゃんと親やってます』
て気分になりたい
自分達の周りに示したい
ってゆうのを 感じていたから

利害が一致する ってコトで
ご好意に甘えさせて頂いてる







家や 親の仕事を知られて
よくある反応は

単純に羨ましがるヒト

タカる気出して目を光らせる最低なヤツ

何でか世界が違うみたく引くヒト



旭は 一体 どうなんだろう……



多分 羨ましい って感じかな……







お礼を言って 車を降りると
旭が 窓を開けて言った



「琉那、今日はありがとう。楽しかったよ
メール してもいい?」

「アタシも楽しかった!旭に偶然会えてよかったょ!
ぅん!モチロン!アタシもするね」





ちょっと不安になってたアタシは
ちょっとだけ 安心した



白い車が 闇に消えて見えなくなるまで
そのまま 見送っていた

No.45 12/01/12 16:40
黒猫 ( 30代 ♀ PIbnnb )


リモコンキーのボタンを押して
門を開いて 家に入る



アタシの部屋は2階の角にある

実家から出て行ってからも
部屋はそのままにしてあって
ヘルパーさんが掃除してくれてるお陰で
いつ帰って来ても綺麗になってる



エアコンと床暖房をつけてから とりあえず
二階のお風呂に入りに行く


洗面所と浴室は 気を効かせてくれたのだろう
ヒーターと浴室暖房がついたままになっていた



ちょっと久しぶりの 大きな浴槽に ゆったりと浸かる

せっかくだから ミストサウナもやろう





なんて 贅沢なんだろうね

確かに 贅沢なんだよね



だからって 物と便利に囲まれたら

満たされるって訳じゃ ない







マッタリとベットに横たわると
旭からメールが来た!



『初メールだね😃
🌙も⭐もマジで綺麗だった
琉那にあんなとこで再会するなんて
マジビックリだったよ😲
楽しかった🎵ありがとう✨
ゆっくり休んでね』



アタシはすぐに返信をした

メールの中で



『柚がイロ2言って、微妙なとこあったと思うけどごめんね😣
彼氏にフラれて不安だったり寂しかったりしてるみたいだからさ💧
気にしないで』



って内容もあった



そぅなのか……


でも 旭に気持ちがあるのは 間違いないだろうな……

寂しいだけだとしても
変な焼き餅を焼いたんだとしても

誰でもイイって訳じゃないと思う



『大丈夫だょ😃気を遣ってくれてありがとぅ✨
でも柚香ちゃんは、旭のコト好きみたいだね💕』



現状と旭の気持ちを探るような返信をした



『柚は、別れたり彼氏居ない時は、あんな感じによくなるんだよ💦
身近なとこにたまたま俺が居ただけだよ😁

俺は、好きじゃないと、付き合うとか嫌だって言ったじゃん❓』


『じゃぁ、ぁぁゅぅ感じももぅ慣れてるんだね😁(笑)
ぅん😃言ってたね✨』


『そうだよ。だから一緒に寝たりもしないよ✋』





アタシにそう言ってくれたのが嬉しくて
なんか うっかり期待なんてしちゃう……!






メールだけど 旭とオヤスミを言えるようになった
それだけでも 嬉しかった



その夜 アタシは
ちょっと幸せな気分で
眠りについた





No.46 12/01/13 17:32
黒猫 ( 30代 ♀ PIbnnb )


遅めの朝に目覚めた 

リビングに行くと 両親は勿論もう出社していた



兄弟は兄が1人 4歳年上 
名前は空斗 くうちゃんって呼んでる
くうちゃんも親の会社で働いてるから もう居ない



幼い頃から後継ぎに成るべく 
いろんな習い事や勉強をさせられてきたくうちゃんとは
仲良しだったけど
あまり遊んだりは出来なかった

多分 普通の家庭の兄弟よりも
かなり少ないと思う



アタシの相手は ベビーシッターとヘルパーが居れば十分

琉那の相手をする暇があれば 一問でも多く計算問題を解きなさい

そうゆう母親だからね





ママは くうちゃんに教育熱心で
英才教育をしながら仕事熱心に打ち込む中で

『アタシってゆう赤ちゃんを作った』のは 
理由があってのコトだった……







ホームヘルパーの中居さんが清々しい笑顔で言う


「おはようございます。
朝食はもうご用意して宜しいですか?」


「はい、お願いします」



アタシの 仕事はどうか 1人暮らしに不便はないか とか
最近のニュースとか
他愛もない世間話をする





中居さんは アタシが専門に通ってる時に
前のヘルパーさんと交代で来て
以来 ずっとこの家で働いてる




それなりに仲良く話したりはするけど
まぁ 所詮は他人
中居さんにとっては 従仕関係

いいカオして いいコト言って 当然の関係性だ


No.47 12/01/15 04:08
黒猫 ( 30代 ♀ PIbnnb )


朝食を済ませて
お昼から 約束してた地元の友達
美里と遊びに出かける


美里とは小学校からの親友で
幼なじみだ





アタシを一番 知っていて理解してくれてる

アタシが一番 本音を話せる唯一本物の親友







ランチをしながら お互いの近況報告
って言っても 電話もメールもよくしてるから
詳しい話しをするってカンジ

だから 旭に出逢って ィィナって思ってる
ってコトは話していた





「で、どうなのよ。その、太陽みたいなコ?」

「太陽って(笑)アサヒだょ、旭
それがさ、昨日皆既月食観に行った公園で、偶然会って!
マジかってカンジだょ~~っ!」



旭との再会と柚香ちゃんのコトも話した


コウに告白されたコトも話す

美里は コウ達と連む仲間内ではないけど
何度か一緒に遊んでたから面識もある



「ぇえ~でもさぁ、なんか、旭くんは琉那の地元がここだって知らなかったんでしょ?」


「うん、せっかくだから、都心の方より、綺麗に観えるとこのがィィって思って
こっちの友達んトコ来たんだって」


「コウくんの告白がなければ琉那は1人になんなかったんだし
2人しかいない洞窟の上とかさぁ
偶然に偶然が重ならなきゃなんないし
なんか、呼び寄せられたみたぃなカンジ?

それって、運命っぽくない!?」





内心 密かに思っていたコトを
美里に言われて
なんか気恥ずかしくなる


ケド やっぱそんなカンジにも思える再会だょね?
って 嬉しくもなる





「思う思う~~~!つきあっちゃえばィィのに~~~!」


「ゃ、でもなんか、草食系?ってゅぅか……ガツガツしたカンジしなぃし
アタシのコトどぅ思ってんのかも
イマイチわかんないってゅうか……」





なんか 実際 すぐにどうこうなりたいって訳でもナィんだょね……


ゆっくり 時間をかけて 仲良くなりたい

そう思ったのは ホントの気持ちだし



No.48 12/01/16 21:52
黒猫 ( 30代 ♀ PIbnnb )



2人でガールズトークしながら
スイーツも食べてのんびりしてると もう夕方近くになってた

美里は夕方から彼氏と会う予定だから そのうちバイバイになるねと話してた時
アタシの携帯が鳴る



旭からの着信……!!



美里に着信画面を見せて
ぉお~~~!? と
ちょっとはしゃいでから 電話に出た





「もしもし、何してた?」


「今友達とカフェでのんびりおしゃべりしてたよ
旭は?」


「そうなんだ。俺もう友達んち出たんだ。、
琉那も今夜帰るって言ってたから、良かったらご飯でも食べて送ってこうかなと……
方向同じじゃん?そんなにアパート遠くなさそうだし」


「マジで?送って貰ってぃぃの?夕ご飯は実家で食べようと思ってたから
全然ィィょぉ~~一緒に食べょっ」



美里がニコニコ……てゅぅより ニヤニヤしながら見てる(笑)


アタシは旭とカフェの前で待ち合わせをして
電話を切った





「やったじゃぁ~~~ん!
昨日の今日でお誘いなんて、やっぱぁっちもィィ感じなんじゃん?」


「マジでそうならィィんだけどねぇ~~~!」





美里は 旭を見てみたい~~! と言って
彼氏と会うまでまだ時間に余裕もあったし
旭が迎えに来てくれるのを
そのまま一緒に待つコトになった



アタシも美里に旭と会ってみて欲しいかもって思った

好きになった浮かれた勢いで
カンチガイしてたらィャだし
親友に冷静に見て欲しいってのもあった




No.49 12/01/17 03:13
黒猫 ( 30代 ♀ PIbnnb )


「はじめまして~~~!琉那の親友の美里です」


「はじめまして!琉那の友達になりたての旭です(笑)
遊んでたのに、ごめんね?」


「全然大丈夫!
夕飯は約束ぁるからそろそろ帰るくらぃの時間だから
気にしないで連れてっちゃって~~♪」



カフェの駐車場でちょっと話してから
旭の助手席に乗る
こないだは後部座席だったから
助手席に乗るのは初めてだった


「じゃぁね!
旭クン、琉那のコト、お願いねっ」


「ぁっ、ハイ!」



意味深なカンジの
『お願いね』 に
『ハイ』 って言ってくれたコトに
密かに喜ぶアタシは 深読みしすぎだ(笑)







「ご飯、どうしようか?
この辺でいいとこあれば、教えて?」


「まずこっちで食べるか向こうで食べるかだよね~~
なかなか機会ナィだろうから
食べてっちゃおうか」


「うん。琉那のおススメの店、行ってみたい」



相変わらずの くったくない笑顔が嬉しい……♪





行き先は
アタシのお気に入りのエスニック料理屋に決まった



柔らかいオレンジの照明と
カワイイアジアン雑貨がたくさん飾ってあって
どの席も 凝った造りになってる

一席毎に仕切りや壁があって
隣合う席がないようになってる造りは
半個室状態になってる

落ち着いてゆっくり過ごしやすい
カップルにも人気のお店





「お洒落なお店だね!俺、こうゆうアジアンな雰囲気好きだよ」



旭も気に入ってくれたみたいでよかった!


早めに来たおかげか、普段は混んでる店内も
それ程混み合ってなかったし
ゆっくり出来そうだ



No.50 12/01/17 12:59
黒猫 ( 30代 ♀ PIbnnb )


昨日 メールでも言ってたけど
旭はリビングからソファーを引っ張って来て
柚ちゃんとは別々で寝たみたい


「琉那が帰った後は
あれ程一緒に寝るとかは言ってなかったよ

柚は、なんてゆうか
負けず嫌いってゆうか
変に対抗心とか競争心があるからさ」


「そうなんだぁ。
酔った勢いで襲われちゃうんじゃなぃかと思ったょ(笑)」


「口で言ってる程、柚も軽いヤツじゃないよ」


「……っ そっか、そぅだょね、ごめんね」



アタシは 旭の友達なのに
悪く言っちゃったかな……?とちょっと焦った
イヤなカンジに思われちゃったかな!?



「いや、謝る事じゃないよ!
なんてゆうか、心配しなくていいよって
言いたかったってゆうか……

いや、琉那がそんな事心配なんてしないか!
何言ってんだ?俺!」



焦ったように身じろぎしながら


「ぁあ~~~もう!気にしないで!」



って言う旭は 照れてるように見える

少し 顔が赤くなってる



「心配……したよ?」





ちょっとだけ考えてから
アタシは 素直な気持ちを言った

胸の真ん中で 脈が速くなるのを
感じていた





「マジか」


旭はちょっと真顔になって言った


「マジだ」


アタシも真顔で言った後
照れ隠しに笑った






「マジ、なんもないからさ」


「ウン、解ったょ
てか、何もなかったんだろうなって
思ってたよ」


「じゃぁ、良かった……!

てか、柚はお昼くらいに
デートに行くとか言って帰ってったしさ」


「そぉなんだ?
柚香ちゃん、デートするヒトいたんだ」





落ち着かない様子で
旭はタバコに火を点ける

アタシもつられて タバコに火を点けた



同じタバコ アラスカメンソール

アタシはペア物とかお揃いが好きじゃない方だけど

旭と同じなのは 嬉しい



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