離婚までの記録
まさか自分がと思っていた。
彼女に出会う前は愛するってことを知らなかった。
結婚して8年。好きな人が出来てしまった。
仮面夫婦で妻を好きではなかった。多分妻もそうだっただろう。だからと言って他に出会いなど求めてなかった。
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通勤電車の中、暇潰しに携帯ゲームを始めた。
時々日記も書いたりしてなかなかハマっていった。
サイトの中での雑談が何気なく気を使わずに本音が言えて楽しかった。同じ趣味の人も沢山いて色々な話をしていた。
そんな中で彼女と出会った。
お互い年も名前も顔も知らないが、好きな漫画の話で盛り上がった。
それがきっかけで友達になり、何気ない会話をサイト上で交わしていた。
その時はまだ普通に他のサイト上の友達となんら変わらなかった。
毎日仕事頑張ろうやお疲れ様など、挨拶程度の会話や趣味の話などをしていた。
彼女はちょっとドジだがマジメでだけど面白い女性だった。
彼女はサイト上でちょっとした人気者だった。日々のアクセス数はかなり多かった。
彼女の日記には自作の詩やその日の出来事が面白く綴られていて、その文章の表現個性的で沢山の人を惹き付けるのだろう。
彼女をサイト上でしか知らないが、みんなに優しく回りを笑顔にする女性だなと俺は思った。
彼女と出会って数週間した頃、だんだんと彼女に惹かれている自分に気づいた。
気づいたと言うか、その時にはもう好きになってしまっていた。
まさかこんなサイトで名前も知らない人を好きになるなんて、俺自身が一番信じられなかった。
何度も気のせいだと思おうとした。
しかし彼女の事が頭から離れない。
そんな自分が信じられなかった。
だが毎日彼女と会話をするのが楽しみで、彼女に会いたいと本気で思っている自分がいた。
彼女に会ってみたい。
だがそう俺が思っていても、口に出すことはなかなかできない。
このサイトはゲーム専門のサイト。勿論俺も出会いなど求めて始めたわけではない。当然彼女もそうだろう。
いくら仲良くなっていても、いきなりこんなことを言ってしまっては驚くはず。
それに俺は既婚者だ。彼女はそれを知らない。
そんな彼女に不倫なんかさせるわけにはいかない。
しかし俺の気持ちはもう引き返せない程に彼女を好きになってしまっていた。
最近妻は俺がおかしいと疑っている。
3ヶ月に一回程夫婦関係があったが、彼女と出会う前からもう半年以上もしていない。
仮面夫婦だが俺にも一応性欲がある。不倫や浮気をする気はないし、風俗にまで行きたくないから性欲を処理するために妻としていた。
しなくなったのは元々誘っても大半が断られるから俺も段々誘うのが嫌になったというのもあるが、彼女と出会ってからは触る気になれなかったからだ。
しかし妻は一旦は疑ったものの、直ぐに勘違いだと思い直したらしい。それはそうだろう。仕事が忙しくそんな暇がないのと、月1万しかない小遣いでは普通に考えて浮気など出来ない。
実際浮気はしていない。ただ俺が一方的に彼女を好きなだけだ。
最近彼女と話す事が前より多くなった。
彼女との他愛ない会話に癒される。
ある日彼女に自分の気持ちを言ってみることにした。
それでもう彼女と話せなくなってしまうかもしれないが、気持ちを押さえられなかった。
『最近俺君のことが気になるんだ。』
思い切って送信してみた。
しばらくして彼女から返信があった。
『実は私もきになってたんだ。』
彼女は、変だよね。名前も顔も知らないのにと続けた。
彼女もまさかゲームサイトで誰かを好きななるなんて思ってもいなかったと戸惑っていた。
それからとりあえず、本名を名前を聞きあった。
その日は本当に嬉しかった。お互い同じ気持ちだった。
お互いの気持ちがわかってから電話番号を交換した。
だが彼女も仕事をしているためかなか掛ける機会がない。
そんなとき、彼女が日記で風邪を引いて寝込んでいると書いていた。
俺は心配で電話をしてみることにした。受話器を握る手に力が入る。ボタンを押すと呼び出し音が聞こえる。
緊張してドキドキしている。こんな風な感情は初めてだ。
しばらくして彼女がでた。少し鼻声だが可愛い声をしていた。
熱が高いようなので大丈夫か尋ねた。彼女はとりあえず、薬も飲み大丈夫だと答えた。
その後ちょっとした会話をかわし、何だか恥ずかしいなと話した。
彼女も体調が悪いのでその日は直ぐに電話を切った。
彼女の声が耳に残っている。
本当に大丈夫だろうか。早くよくなってほしい。そんな事ばかりを考えていた。
家では相変わらず妻との会話は無い。
交わす言葉は業務連絡のような内容ばかりだ。
元々同棲した流れで結婚したような夫婦で式もあげなかった。仮面夫婦になるのは当たり前だったのかもしれない。
俺も仕事人間だったのもあるだろう。
子供二人居る。妻が欲しいと言ったから、夫婦なら作るものかと思って作った。そんなきっかけだが子供は可愛い。
結婚してすぐ何度か離婚話もしたことがある。しかし妻は毎回慰謝料出せ。出さないなら別れない。と性格の不一致にも関わらず慰謝料慰謝料としつこいくらいに言っていた。
それが面倒になりズルズル結婚生活を続けていた。子供が産まれてからは子供の為だけの夫婦だった。
子供が自立したらきっと別れるだろうと漠然と考えていた。
一度彼女に電話してからはほぼ毎日話すようになった。
彼女の仕事終わりの時間やお昼休みなどに合わせて電話する。夜も彼女の空いてる時間があれば話していた。
こんなに話していたら当然ながら携帯代がハネ上がる。
週末に妻にショップに連れていかれた。料金プランを変えるためだ。
きっと妻は気づいているのだろう。が何も言わない。
手続きが終わり、黙って家に帰った。
彼女と毎日話すことで更に彼女への想いが強くなっていった。
同時に、俺が既婚者だと言うことを何も知らない彼女への罪悪感も強くなった。
彼女の為にこのままでいいのか。
彼女に嘘はつきたくない。
妻と別れようか。
だがそれを知った彼女は自分自身のせいだと思い自分を責めるのではないか。
色々な思いが頭を駆け巡る。
彼女は何も知らずに俺を好きだといってくれる。
毎日サイトで彼女と話す。そこに行けば彼女に会える。それだけで気持ちが高まった。他愛ないやりとりで癒された。
そんな彼女を傷つけたくない。
俺が既婚者であることを知っても、離婚したとしてそれを知っても彼女は傷つくだろう。
今ならまだ間に合うかもしれない。
ある日俺は何も告げずにサイトを退会した。
彼女と出会ってから1ヶ月がたった頃だった。
サイトを退会した。
虚しさと心に穴が空いたような気持ちだ。
彼女はまだ気付いていないだろう。
気付いたらどう思うのか。それを考えると息がつまるほど苦しい。
仕事も手につかない。
こんなにも誰かを好きになったのは初めてだ。
彼女と話せないと思うと、脱け殻になったみたいだ。
このまま連絡することもなく終わってしまうのか。
自分から終わらせようとしたくせに気持ちがついていかない。
そんなことを考えていると携帯にショートメールが届いた。
彼女だった。
毎日話していたのに変な話だが、電話番号を知っていたのをすっかり忘れていた。
『急にやめちゃってどうしたの?何かあったの?メールしたら退会しましたって出たからビックリしちゃって…』
彼女はだいぶ慌てていた。それはそうだろう。普通に話していたのにいきなり退会したのだから。
やはりこのまま何も言わないでおくのはダメだ。俺は彼女に本当は既婚者だと言うことにした。
彼女がどう思うか。
言ってしまえば本当に最後になるかもしれない。
俺は意を決して彼女にメールを送った。
『実は俺…結婚して子供もいる。ずっと黙っていてごめん。騙すつもりはなかった。気付いたら凄く好きになってて、言うタイミングを逃してしまった。でも君がこんな俺とこのままでいたら、君が傷つくだろうと思ってやめたんだ。』
送信ボタンを押す。
彼女はどう思うだろう。怒っているだろう。返事は来ないかもしれない。
夜中に彼女からショートメールが届いた。
正直見るのが怖かった。
メールにはこうかかれていた。
『そうなんだ…全然気づかなかった。ずっと言えなくて辛かったの?だけどいってくれてありがとう。あのね…私も言わなきゃいけないことがあるんだ。実は…私も結婚してて子供が一人居る』
俺は驚いた。
まさか彼女も既婚者だったなんて全く気づかなかった。八歳も年下の彼女は当然独身だと思っていたからだ。
メールはまだ続いていた。
『私も騙すつもりなんてなかった。恋愛なんてする気も出会いを求める気もなかったのにこんなことになって…はじめは何回も間違いだって思おうとした。何度も何度も自分にこの気持ちは勘違いだと。だけどダメだった。そんなとき、あなたに気になるんだって言われてすごく嬉しくて、だけど本当の事言えなくなって…なのに益々あなたを好きになってしまってどうしようもなかった』
彼女からのメールはこれで終わっていた。
彼女も同じように戸惑い迷っていたのだ。
急いで彼女に返信した。
『そうなんだ。正直驚いた。だけど君もいってくれてありがとう。それでも俺が君を好きな気持ちは変わらない。』
お互い既婚者だったなんて知らずに惹かれていたなんて。
これからどうなるのかと言う不安と、彼女とは別れられない(会ったこともないのに付き合ってるかは微妙だが)思いが渦巻いていた。
『私もあなたを好きな気持ちは変わらないし、今更無かったことには出来ない。』
彼女はこう言った。
二人で色々話し、とりあえず今までのままでいることにした。
あれから前と変わらずに毎日電話やメールをしていた。
前より増えたかもしれない。前よりもお互いの気持ちが余計に強くなった気がする。
いつか絶対に一緒になろう。
二人でそう話していた。
ただそのいつかがいつになるのか、お互いにそれが怖くて聞けなかった。
そんなとき、彼女が親の仕事の都合で一緒に関東に来ることになった。
因みに彼女は九州に住んでいる。
もしかしたら会えるかもしれない。親の用事が済んだ後、関東に友達が居るから、友達の家に私だけ一泊すれば時間が作れる。
それを聞いて、俺は絶対時間作るから会おう。と即答していた。
彼女がこっちに来るのは半月後。
俺は嬉しくてその日に向けて仕事を終わらせるため、毎晩遅くまで残業した。
彼女と会えるまでの日々が凄く長く感じた。
とうとう彼女が来る日になった。
今から飛行機に乗る。親の仕事が終わるのが2時過ぎ頃だとメールがきた。
朝からそわそわしていた、無駄に会社に早く着いた。
時計と携帯ばかりが気になって仕方ない。
ずっとドキドキしていた。
2時半に彼女から終わったよ。○○駅って所で待ってるとメールが来た。
俺は急いで会社を出てそこに向かった。
○○駅に着くと辺りを見回し彼女を探した。
五分も探さないうちに彼女らしき女性が壁に持たれて携帯をいじっていた。
俺は緊張しながら彼女に声をかけた。
『Mだよね?俺。Kだよ』
彼女は振り向いて、『初めまして。になるのかな?』と言って可愛らしく笑った。
その瞬間俺は嬉しすぎて
『やっと会えた』
と言って彼女をぎゅっと抱き締めてしまった。
彼女は驚いた様子だったが、少しして彼女も抱き締め返してくれた。
『初めて会うのに、なんだかそんな気がしないな』
彼女は微笑みながら言った。
その後俺の車に乗り、色々な話をした。その間ずっと手を繋いでいた。
本当に初めて会う気がしない。ずっと電話やメールをしていたからか。
だがそういった感じではない。何だか懐かしいような一緒にいると信じられないくらい心が落ち着いた。
楽しい時間はあっという間に過ぎる。
彼女の携帯が鳴り、彼女の友達との待ち合わせの時間になったことに気づく。
たがお互いにさよならを言い出せずにいた。
繋いだ手に力が入る。
でも友達をあまり待たせるわけにもいかない。
『時間だね』
俺が言うと
『うん…』
彼女が頷き俺は続けた。
『また絶対会えるよ。何をしてでも俺も会いに行くし』
『そうだね。そうだよね。』
彼女は少し悲しそうに笑っていった。
車を降りて駅まで送る。きつく手を握りしめる。
駅についてお互いの顔をじっと見つめて、キスをした。
こんなにも誰かを好きだと思ったのは初めてだった。
ゆっくりと手を話す。
『またね。大好きだよ』
お互いにそう言いながら彼女はホームへ向かう。
何度も何度も振り返る彼女に、俺は泣きそうになるのを我慢して笑顔で手を振った。
彼女が見えなくなりしばらくボーッとして動けなかった。
車に戻ると彼女からメールがきていた。
『今日は本当に楽しかった。会えてよかった。もっともっと大好きになっちゃったし。ありがとう』
直ぐに俺も返信した。
『俺も楽しかった。もっと一緒にいたかった。大好きだよ。俺の方こそありがとう』
送信すると、俺は会社に戻った。
今日は家に帰る気になれない。
元々忙しい時期なのでその日は会社に泊まることにした。
彼女から数回メールがきて、友達と飲みに行って楽しそうだった。
そんな彼女がいとおしくてたまらなかった。
- << 50 家に帰る気にならない なるほどね ー 何でそんなに彼女んちに泊まるんだろ って不思議だったけど 好きだから、なんて単純な文字じゃなくて、帰る気にならない 訳ね! 今更なっとく 恋愛楽しそうだねー 楽しいよねえ 比べる奥さんが居るから尚更彼女が美化されてより勘違いに拍車かかるよね 私は彼氏居たら ずっと 彼氏のままにしておくな たまに宝箱あけて お気に入りの宝石眺めたいな ✨✨☺ うちの旦那は たまに宝石箱の中身が変わるよ どんなの入ってんだか興味ないけどね 妄想人生バンザイ
翌日、彼女から5時の飛行機で帰るとメールがきた。
俺は居てもたってもいられず、見送りに行くからと返信していた。
外回りの仕事だったので、一緒にいた同僚に頼んで空港まで向かった。
同僚は必死な俺に驚いていたが、深くは突っ込まないでいてくれた。
空港に着くと電話して彼女を探した。
直ぐに見付けられた。
俺は彼女をギュッと抱き寄せた。
離れたくない。離れたくない。離れたくない。離れたくない。
頭の中はそればかりだった。
搭乗までまだ時間がある。俺と彼女は手を繋いで肩を寄せて座った。
『もう…さよならだね』
彼女がポツンと呟いた。
『大丈夫。また絶対会えるよ。俺も会いに行くから』
俺は言いながら泣いてしまった。
この年になって…いや人生で初めて人前で泣いた。自分でも驚くほど涙が止まらない。
彼女はそっと俺の涙を拭いて
『Kが泣いたら私も悲しくなっちゃうじゃん。また会えるんでしょ?それならさよならじゃなくまたねだから、泣くことないよ。それに笑った顔のKを覚えていたいから』
と言った。
『そうだね。また会える。』
と言いながら俺は涙を流しながらも無理矢理笑った。
彼女の乗る飛行機のアナウンスが流れ、とうとう搭乗時刻になった。
二人とも顔を見合わせて時間だねと言った。
立ち上がるとまたギュッと抱き合ってキスをした。
繋いだ手と重ねた唇がなかなか離せない。
だがもう時間もない。
なにかに引き裂かれるように、ゆっくりと離れた。
彼女は笑顔でまたね、と言い何度も振り向きながら搭乗口へ去っていった。
俺は相変わらず泣きながらずっと彼女の背中を見つめていた。
そして彼女の乗る飛行機を見送って待ってもらっていた同僚の車に戻った。
その日の夜、飛行機から撮影したのだろう東京の夜景と共に彼女からメールが来ていた。
(本当に会えてよかった。嬉しかったし、楽しかった。仕事抜けてまで来てくれてありがとう。…実は空港で本当は私も凄く泣きそうだったんだ。だけど、Kの中で笑った私でいたいから我慢してたんだ。飛行機に乗った途端泣いちゃったから、シュツワーデスさんに大丈夫ですか?って言われちゃった💦)
そのメールを見て俺はまた目頭が熱くなってしまった。
そんな風に考えていてくれたなんて嬉しかった。
『こんな俺のためにそんな事考えてくれてありがとう。絶対にまた会えるよ。絶対にいつか一緒になろう』
俺はそう返信した。彼女から直ぐに返事がきた。
『うん。いつか一緒に…絶対だよ?じゃあ今日はお休みなさい』
『うん。絶対。ゆっくり休んで。お休みなさい』
そう返信して俺は仕事に戻った。
翌日からまた何時も通りの毎日が始まった。
彼女とも前と変わらずに昼休みや時間のあるときに電話していたが、あの日会ってからは寂しくてしょうがない。
彼女に会いたい、どうしたら会えるのかそればかり考えている。
彼女も同じことを言っていた。
だがお互い既婚。その上二人とも仕事もある。簡単に会えないのはわかりきっていた。
でも気持ちは膨らむばかりだった。
そんなある日彼女と話していると、彼女が仕事を辞めると言った。
ここ2ヶ月くらい体調を壊していて、会社でも何度か倒れたらしい。
余談だが彼女は精神的に弱い。
ずっとリストカットがやめられず、自殺未遂で病院に運ばれたことも何度かあるらしい。
普段は全くそんな感じではなく、明るく元気な彼女だが人の心の奥にある辛さや苦しみはわからないものだ。
体調を崩したのも精神的なものらしい。
もしかしたら俺との今の環境のせいかもしれないとも考えた。
こんなときに側に行くこともできず、何も出来ない自分がもどかしい。
そんな話をした次の日、彼女からのメールがパッタリ来なくなった。
電話もない。
忙しいのかもしれない。だが無性に心配になった。
彼女の都合もわからないのでいきなり電話は出来ない。
そして連絡が無いまま3日程たった。
もどかしくてしょうがない。
心配や不安でおかしくなりそうだった。
もしかしたら彼女は自殺したのかもしれない…
最悪な事ばかりが頭をよぎる。
俺は居てもたってもいられず、気付いたら自分の実家に来て母親に必死にお金を貸してくれと頼んでいた。
我も忘れてそんな願いをする程、必死な俺を始めてみた母親はかなり驚いていた。
とりあえず、落ち着きなさい。
母親はそう言った。
何があったか知らないけど、一度落ち着いて。落ち着いたら話を聞くから。と言われた。
今思うと、俺はおかしくなったのかと思うほどに、相当焦っていたのだろう。
しばらくして俺は母親に全てを話した。
母親は黙って最後まで聞いていた。
話を危機終わると母親はこう言った。
『あなたがこんなになるくらい、大切な人なのはよくわかった。あまり感情的にならないあなたがそこまで必死になるのだから余程なんだね。ただ、今あなたがその彼女の所に行ってどうするの?いきなりいって何ができる?向こうの旦那さんもいるし、あなただって…。
あなたも、もういい大人だし、自分の事は自分で責任を負える年だから口出しはしない。けれど、もう少し冷静になってよく考えて行動しなさい。落ち着いて考えて、明日まで待ってそれでも気持ちが変わらないなら、また来なさい。』
母親にそう言われ、少し冷静になった俺はとりあえず家に帰った。
その夜はずっと眠れず携帯ばかりをいじっていた。
そうしていると、四時頃だろうか。
彼女からメールが届いた。
俺は急いでメールを開いた。
『心配かけちゃってごめんね。メール何度もありがとう。返せなくてごめん。Kが言うとおり…また自殺未遂しちゃって病院にいた…本当にごめんね。Kの事こんなに愛してるのに、こんなことしてしまう自分が嫌になる』
そう書いてあった。
『いいんだよ。無事ならそれでよかった。Mが無事ならいいんだ。俺も愛してる。Mが辛いのに側に行ってあげられない俺の方こそごめんだよ』
俺はそう返信した。
すると彼女から電話がかかってきた。
俺は外に出て電話に出た。
電話越しに彼女の声を聞いてやっと安心した。
彼女の声は泣くのを我慢しているような声だった。
色々話した。親にお金を借りて彼女の家まで行こうとしたことも話した。
『行ったって、何処にいるのかもわからないし何も出来ないのに本当にバカだよな』
そう言った俺に彼女はこう言った。
『そこまで心配させちゃって本当にごめんね。でもそんなに思ってくれてありがとう。Kといつか一緒になるんだもんね。もうこんなことしない。またリスカしたくなったり死にたくなったらKに電話するね。Kの声を聞いたら大丈夫な気がする』
そんなふうに言ってもらえて俺は嬉しかった。
その後何時間も話し、その日は寝ないでそのまま仕事へ行った。
しばらくして彼女に仕事を辞めることにしたと言われた。
やはり精神的なものから体の不調になったのが原因らしい。
大好きな仕事だから本当は頑張りたかったのにと彼女は悔しそうだった。
因みに彼女は写真館でカメラマンをしていた。結婚式の写真やアルバム作りから小学校などの卒業アルバムまで作っているらしい。
皆の一生の思いでを、その時の気持ちを写真の中に形にして残すって言うとてもやりがいのある仕事だと言っていた。
きっとそんな仕事を辞める決意は相当なものだっただろう。
彼女は残り3ヶ月を悔いの無いように頑張ると言った。
そんな一生懸命な彼女を見て俺ももっと頑張らねばいけないなと思った。
そんな中もうすぐ正月がくる。
正月、俺は妻の実家に強制的に行かなければならない。
妻の実家は大阪にある。関東から大阪まで運転させられるためかなりの重労働だ。
毎回行きたくないと言うのだが、そんなことは妻が許さない。行きたくないと言うと、冷蔵庫を空にされ所持金全てを取られる。そうやって飲み食い出来ない状態で一週間過ごせるなら残れと言われる。
そして毎年無理矢理つれていかされる。
そう言えば彼女もこの年末で仕事を辞める。
今頃最後の仕事に取り組んでいるのだろう。
写真館には正月休みなどは無いと言っていたから、年末で仕事を辞める彼女にとって初めて仕事のない正月がくる。
一体どうやって過ごすのか聞いてみた。
彼女は子供と彼女の実家に帰ると言っていた。帰ると言っても同じ市内らしいが。彼女はサバサバしているので旦那には無理に来なくていいと言っているらしいが、彼女の旦那も一応一緒に行くらしい。
お互いそんな話をすると少し複雑な気持ちになる。
ただ、彼女がゆっくり休めそうでよかったと思った。
そして今年もとうとう地獄の正月がやってきた。
妻の実家に向かう長い時間、妻が隣に座っていることが苦痛でならない。
ほとんど妻は寝ているが、起きていても会話はない。
こんな状態なのに何故毎回一緒に行きたがるのか理解出来ない。
途中仮眠の為にパーキングによった。
俺はすぐに彼女に電話しに車を降りた。
数回呼び出し音が鳴ったが彼女は出なかった。急に掛けたのだから仕方ない。多分旦那が側にいるのだろう。それともちょっとドジな彼女はよく携帯を忘れて出掛けるのでそれかもしれない。
どちらなのか俺にはわからない。彼女が何してるかさえ知ることができない。そう考えたら胸がぎゅっと痛くなった。
仮眠しようと車に戻ったがなかなか寝付けない。
妻が吸っているタバコの煙が流れてきた。
昔なら俺も吸うところだが、タバコ嫌いな彼女の為にやめた。
車に戻ってからもう30分以上たつが寝ようとしても眠れない。
後部座席に寝ている子供を起こさないように静かに外へ出た。
その時丁度彼女から電話がきた。
『もしもし?昼間電話出られなくてごめんね。家に携帯忘れて実家に来てた』
それを聞いてちょっと安心した。旦那がいたからじゃなかったからだ。
『いいよ。こっちこそ連絡もしないで、いきなりかけちゃって迷惑だったよね。ごめん。』
『ううん。嬉しかった。ありがとう。もう奥さんの実家に着いたの?』
『いや、まだまだだよ。後五時間くらい』
『そっか、本当に大変だね。お疲れ様。子供さんもいるんだし疲れて事故しないように気をつけてね。大好きだよ。』
『ありがとう。気を付けるよ。俺も大好きだから。じゃあまたかけるね』
そう言って電話を切った。 心配してくれる言葉が嬉しかった。彼女の声を聞くだけで癒された。
余談だが、実は人に好きなんて言うのはかなり恥ずかしい。今までだってそんなこと言ったことはない。
だが、彼女が(思いはどんなに強く思っていても、自分で思ってるだけじゃ伝わらない。相手に伝わらない思いは、思っていないのと同じだから、意味がない。だから私はKを好きなことをちゃんと伝えたい)と言っていたので、俺も彼女にちゃんと自分の気持ちを言うことにした。
抵抗がないと言ったら嘘になるし、本当に顔から火をふくほど恥ずかしいが、彼女には俺の気持ちをちゃんと伝えたかったのでたどたどしくではあるがいつも好きだと言っていた。
彼女との電話を切ると車に戻り妻の実家へと出発した。
五時間後。やっと妻の実家についた。
もうヘトヘトに疲れていてすぐにでも横になりたかったがそうもいかない。
妻に早く荷物下ろしてと急かされ家族皆の荷物を運んだ。
その後は正月で集まってきている妻の親戚に誘われ酒を飲まされた。
ハッキリ言って毎年かなりの苦痛だった。妻は結婚してるんだから私の家族と過ごすのは当たり前だと言い張った。
じゃあ俺の家族はどうなんだよ!と喉まで出かかってやめる。もう何度も同じ事で言い争い答えはわかっているからだ。
疲れている上に無駄な水掛け論はしたくなかったし、妻ともこれ以上話していたくなかった。
俺はどうにか宴会の場を逃げ出して敷いてあった布団に横になった。
すぐにでも眠ってしまいそうだったが、長時間の運転を心配していた彼女にメールした。
『無事に着いたよ。今日は疲れたからもう寝るね。お休み。』
送信ボタンを押すと、彼女からの返信を待てずに寝落ちしてしまった。
次の日。
『本当にお疲れ様。無事に着いてよかった。ゆっくり体を休めてね。お休みなさい。』
昨夜の彼女からの返信だった。
メールを読むと布団から起き出した。妻は親戚や家族と楽しげに話している。子供達も騒いでいた。
俺が起きたのに気付くと、妻が子供達と出掛けようと思うんだけどと言ってきた。
行きたくない。真っ先にそう思った。疲れだってまだ取れていないのだから当然だ。
だが子供のためにわかった、と答えた。
水族館に行くことになり子供達ははしゃいでいた。それとは正反対に俺はぐったりしていた。
水族館に着き色々見て回った。俺は彼女はどうしてるかなと眠気ですっきりしない頭で考えていた。
こうやって家族で出掛けていても妻との会話はほぼ無い。あっても子供の事かご飯食べる?など業務連絡みたいなものばかりだ。
実家へ帰るとまた親戚との飲み会が待っていた。
だが今日は本当に疲れていたために断って横になった。
彼女はまだ仕事だろうか。そんなことを考えながら気付けば眠ってしまっていた。
翌日。今日は大晦日だ。
彼女は今日が最後の仕事だと言っていた。 今頃色々引き継ぎやらで忙しいだろう。
『今日で仕事最後だよね。今までお疲れ様。最後の1日頑張って』と彼女にメールした。
『ありがとう。なんだか辞めるとなると寂しいけど、悔いの無いように最後の1日頑張ります』
彼女からそう返信がきた。
俺はその後一人で散歩に行った。
彼女に会いたい。声が聞きたい。直接お疲れ様と言いたい。
そんなことばかりを考えながらぶらぶらしていた。
大晦日の夜。早めに布団に入り彼女とメールをしていた。
今は彼女も自分の実家に家族でいるらしい。
もうすぐ年が明ける。彼女がちょっとだけでも電話出来ないかな?と言ってきた。
いいよ。わかった。と返事をして俺はちょっとコンビニ行ってくると外に出た。
直ぐに彼女から電話がきた。
『もしもし?大丈夫?』
『大丈夫。コンビニ行くって言った』
『そっか。私も同じ』
そう言って二人で笑った。
話しているうちに12時になった。
『もう12時過ぎたね。明けましておめでとう。今年もよろしくね』
彼女がそう言って年が開けたことに気付いた。
『あっほんとだ。明けましておめでとう。こっちこそ今年もよろしく。』
『初めにKに言いたかったんだ』
彼女はちょっとはにかんだ声で言った。
『うん。最初に言えてよかった。ありがとう』
そう言ってお互い電話を切った。
妻の実家に帰ると直ぐに眠りについた。
正月休み中も暇を見つけては彼女とメールや電話をしていた。彼女は大晦日だけ実家に泊まり1日の夕方には家に帰ったらしい。
そして気付けば妻の実家から帰る日になった。
また何十キロも運転して帰らなければならない。
だが、もうここから帰れると思うと来るときよりは気持ち的に楽だ。
彼女からもう帰るんだよね?帰りも気をつけてね。とメールがきていた。
ありがとう。気を付けるよ。と返して出発した。
俺はまた何時も通りの生活が始まった。
彼女は仕事を辞めたので、体調が戻るまではしばらくなにもしないと言っていた。
彼女は正月にゆっくりするのは中学以来だから新鮮だったと言っていた。彼女は高校から専門学校の時まで六年間神社で巫女をしていたからだ。
仕事を初めてからも写真館は正月が意外に忙しいみたいで、休んだことがないらしい。
仕事を辞めた今は何もしないで日々を過ごすのが慣れないと言っていた。
勿論家事や育児はあるだろうが、いつも働いていたから空いた時間をどう使えばいいかわからないようだった。
そんな働き者な彼女はゆっくりすると言いながら、もう次の仕事を探してた方がいいかな?とも言っていた。
俺は休めるときに休んで、たまには何もしないでのんびりするのもいいと思うよと言った。
彼女はそっかそうだよねと言って笑った。
今月末にそっちに行けることになったよ。
1月も半ばになったころ彼女がそう言った。
友達がそっちにいるし、今は仕事もしていないから気分転換に遊びに行きたいって旦那に言ったら、ストレス発散にもなるしいいよって言ったんだ。ちょっと長く行けるよ。と嬉しそうに話してくれた。
この前会ってから4ヶ月。こんなに早くまた会えるなんて思ってもいなかった。しかも四泊でくるらしい。
本当に?子供は?大丈夫なの?
俺はとっさにこう言っていた。
『大丈夫。仕事またするからまだ保育園入ってるし、旦那がいるから』
『そうか。じゃあ安心だね。会えるの嘘みたいだ。だけど本当に嬉しいよ』
『本当に楽しみだね。あのね、友達とこに泊まるけど、一泊だけはKと過ごしたいな。どうかな?』
『大丈夫!わかった。なにがなんでも会社休むよ。』
そうして彼女と二度目の会う約束をした。
嬉しすぎてその日が待ち遠しくて、約束の日まで1日が終わるのがものすごく長く感じた。
とうとう約束の日になった。
俺は車で彼女を迎えに行った。
到着ゲートを見ながら待っていると、俺に気づいて手を振りながら笑顔でこっちへきた。
彼女がゲートを潜ると俺は小走りに近づいてぎゅっと抱き締めた。
どうしたの?
そう言いながら彼女も抱き締め返してくれた。
会いたくてたまらなかった彼女が今自分の手の中にいる。それだけで嬉しくて涙が出てきた。
自分がこんなにカッコ悪い奴だったなんて初めて知った。
彼女は俺の涙に気づいて優しくキスをして大好きだよと言って笑った。
その後二人で車に乗るとデートしたいなと彼女が言った。
じゃあどこに行きたい?と聞くと、カラオケっと楽しそうに答えた。
そんな彼女が愛しくてたまらなかった。
運転中も二人はずっとお互いの手を握りしめていた。
カラオケに着くと彼女はちょっと恥ずかしいと言いながらも直ぐに曲を入れていた。話していると全然感じないが、選曲をみて今更ながら年の差を感じた。(彼女は23、俺は31だ) 彼女は年のわりにしっかりしている。
俺はカラオケなんていつぶりか思い出せないくらい前に来たので何を入れていいかなかなか決まらなかった。
そんな俺の横で彼女は楽しそうに歌っている。歌もうまい。歌っている間もやはり手は繋いだままだ。
カラオケの後はご飯を食べに行った。
女性がどんなところがいいのかわからなかったからデパートに行った。
ドリアとか食べたいなKは?と彼女が言ったので、洋食系のレストランに入った。
席について注文すると、彼女が
『本当に楽しい。今すごく幸せだよ。』
と言ったので。
『俺もだよ』
と答えた。
食事の後はデパートでぶらぶらウィンドウショッピングをした。
子供みたいにはしゃいでいる彼女は本当に可愛かった。
それに時々
『K疲れてない?楽しい?』
と気遣ってくれるのが嬉しかった。
その後は彼女が行ってみたいと言っていた東京タワーに行った。
生憎の雪で遠くまでは見えなかったが、彼女はすごく嬉しそうだった。
楽しい時間はあっという間に過ぎるもので、気付けば辺りは真っ暗になっていた。
俺たちは今夜泊まるホテルに向かった。
俺は会社に泊まると言ってあった。忙しい時期なので会社に泊まることは珍しくなく、妻は何も疑っていなかった。
ホテルに着くと
『何か頼もうか?お腹空いたでしょ?』
と彼女が言った。
『そうだね。ピザとか頼もうか?』
と言いながらルームサービスを頼んだ。
その時、彼女の携帯が鳴った。旦那からだった。彼女は携帯を持って違う部屋へ行った。
何を話しているのか気になってしょうがない。
10分後、彼女が戻ってきた。なんだって?と聞くと 、ちゃんと着いたかご飯食べたのかって心配だったみたい。と言った。
彼女の旦那は彼女が好きなんだなと思った。
そう考えるとモヤモヤして彼女を抱き締めたくなった。強く抱き締めていっぱいキスをした。
放したくない。ずっとこうやっていたい。
愛してる。妻にも一度も感じたことの無い感情が込み上げてきて彼女にそう言った。彼女は私もといってくれた。
そして肌を重ね合わせ、何度も何度も彼女の名前を呼び愛してると言いながら二人で愛し合った。
こんなにも衝動的に誰かを求めて、誰かを愛しいと思い愛してると言ったのは初めてだった。
見つめあっては微笑んだ。愛してると言ってはキスをした。その夜、二人でずっと抱き合って眠った。
彼女が愛しくてたまらない。
『絶対に一緒になろう』
『うん。絶対だよ。』
彼女は眠そうな声で答えた。
翌朝目が覚めると、彼女の寝顔がそこにあった。
なんだかそれだけで幸せだった。
しばらく眺めていると彼女が目を覚ました。
少し眠たげにそしてはにかみながらおはようと言った。
彼女がとてもいとおしかった。
おはようと言いながらぎゅっと抱き締めてキスをした。
彼女と居られるのは今日のお昼までだ。
お昼からは彼女は友達と待ち合わせこれから二泊するらしい。
それまでずっと二人で抱き合いながらお互いの色々な話をした。
ホテルを出る際に彼女が子供の事心配だから電話してくるね。と言ってちょっと離れた場所で電話し出した。
子供の事だから仕方ない。旦那に電話するのは少々嫌だが、子供の母親である彼女からしたら当たり前だと思った。
一度写真で見せてもらったことがあるが、彼女の子供は彼女に瓜二つで本当に可愛かった。もうすぐ二歳になるからお土産たくさん買わなきゃと嬉しそうだった。
そんな子供の事を嬉しそうに話す彼女が俺は微笑ましかった。
電話が終わり彼女がこちらに駆けてきた。
このまま離したくはないが、彼女は友達との約束もあるのでそうもいかない。
待ち合わせ場所まで送る車の中で、やっぱり二人はきつく手を握りあっていた。
待ち合わせ場所に着くと、まだ友達は来ていないみたいだった。
俺は彼女の友達と鉢合わせしたらマズイと思い帰ろうとすると彼女はどうしたの?
と聞いてきたので理由を言った。
彼女は笑って、大丈夫。友達も知ってるから。と言った。
少し驚いたが、俺を隠さずに居てくれたことへの嬉しさもあった。(実は前に彼女が来た際、空港に見送りに行った時に俺も会社の同僚に話したのだが)
しばらく待つと男の子二人と女の子が一人来た。
彼女の専門学校時代の友人らしい。
俺は軽く挨拶をしたがなんだか照れ臭かった。
彼女は本当に楽しかった。ありがとうと言うと、ぎゅっと抱き締めてまたねと言いなが友達と去っていった。
彼女の姿が見えなくなると急に喪失感に襲われた。
ずっと一緒にはいられない現実に無理矢理引き戻されたようだった。
会社に今日も休みをとっていた俺はぶらぶらと時間を潰した。その間彼女は豆に何処にいるよ~とメールをくれた。
夜になってきて家に帰るのが益々いやになっていた。
だが今日は帰らなければならない。
はぁっっと深いため息をついて俺は家路についた。
家に帰っても彼女の事ばかり気になってしまう。
時々くるメールに返事をしながら会いたい気持ちでいっぱいだった。
家の中では相変わらず妻との会話もなく、子供達はもう眠っていた。
もうだいぶ前から我が家はこんな感じだ。
夫婦の会話と言えば子供の事か業務連絡のような内容のみ。すっかり冷めきっていた。
だがきっと夫婦仲がよかったとしても、彼女に出会ったら好きになっていたと間違いなく言える。
夫婦仲がよかろうが悪かろうが、俺は絶対に彼女を愛しただろう。
理由はないが何故かそう確信できた。
遅い夕食を食べ終わると妻が片付ける。
俺はそのまま携帯を持って風呂に入った。
何だか彼女といた時間がものすごく遠く感じる。今頃友達と楽しく飲みにでも行っているのだろう。
風呂から上がると妻と子供が寝ている部屋に行き俺も横になった。
寝室では俺だけ別に寝ている。元々性欲処理のために月一しか妻を誘うことはなかったが、彼女と出会う前と合わせて、もう8ヶ月は誘っていない。
妻はどう思っているのだろうか。妻が断る事もあるので俺が諦めたと思っているのか、仕事が忙しいからだと思っているのか。
何も言わないが、もしかしたら気付いているのかもしれない。
彼女と出会ってからは彼女の事で頭が一杯で色々不審な行動もあっただろう。タバコを辞めたのも不思議に思っていたと思う。
疑っている可能性は高い。
もし妻にばれたら…
その方が楽かもしれない。その方が自分で言うより早い。
ばれなくても近い内に言おうとは思っているが。
ただ、俺が離婚すると彼女が困るかもしれないと言う不安もある。
責任を感じてしまったり、彼女も離婚を無理に考えるのではと思うと妻に言うタイミングが見つからない。
俺の離婚のせいで彼女の意思に反して離婚するような事になってはいけない。
彼女は俺と一緒になりたいと言ってくれているが、実際に彼女がどうしたいのかは怖くて聞けずにいる。本気だといってくれている言葉を信じるが、子供もいるわけだし今すぐではないと思う。
それに例え俺が離婚しても彼女の責任ではない。彼女がいなくても俺達夫婦は別れていただろう。
直ぐではなくとも子供が高校を卒業した後くらいに離婚すると思っていたからだ。子供が居ない家に妻と二人で暮らすなんて考えただけでも耐えられない。
そんな未来がちょっと早まっただけだと考えればいい。
ただ彼女にそれをいってもきっと自分を責めるだろう。
俺は彼女に自分をせめてほしくない。
そんなことを考えながら気付けば眠りに落ちていた。
翌朝目が覚めると彼女からメールが数件届いていた。
昨日はオールでカラオケにいたらしく、今すごく眠いよと書いてあった。眠いと言いながらも、今日もそのまま遊ぶらしい。
流石に二十代は若いなと思った。
楽しげな彼女のメールを見ているとこっちまで楽しい気持ちになる。
楽しそうだね。短い時間だし友達とたくさん遊べたらいいね。今日も楽しんで。
通勤電車の中で彼女に返信するとすぐに返事が来た。
うん。お土産Kにもたくさん買うから。またメールするね~。
俺は会社が休みなら彼女と居られるのになと考えながら仕事に就いた。
昼休みの時間になると彼女から電話がきた。
友達と遊んでいたので電話はこないと思っていたから驚いた。
『お仕事お疲れ様。今ね浅草に来てるよ~浅草行きたいって言ったらマニアックって言われた(笑)すごく楽しいけどKの声が聞きたくなっちゃったんだ』
受話器越しに楽しげな彼女の声が聞こえる。
『そっか。楽しんでるみたいでよかった浅草もいいよね。電話くれてありがとう。俺も声聞きたかったけど邪魔しちゃ悪いと思ってかけられなかった』
『そうなの?邪魔なんかじゃないよ。いつだってKと話したいんだから。気にしないで電話してね。友達もわかってくれてるから』
(いつでも話したいから気にしないで電話して)彼女にそう言われて本当に嬉しかった。
『わかったよ。そうする。ありがとう。大好きだよ。』
『私も大好き。お昼からもお仕事頑張ってね。じゃあまたね』
そう言って電話が切れた。
やはり彼女の声を聞くと落ち着く。
ずっと聞いていたくなる声だ。
電話を切ると俺は早めに仕事に戻った。
明日は彼女の帰る日。また空港に見送りに行くために明日の分まである程度の仕事は終わらせなければならない。
その日俺は終電ギリギリまで仕事をした。
次の日、今日は彼女が帰る日だ。
何時の飛行機で帰る?
メールで聞いてみた。
おはよー。飛行機は5時の便だよ。
すぐに返事がきた。
俺は今回も見送りに行きたいと思ってと返した。
本当!?仕事は大丈夫なの?嬉しい。もう会えないかと思ってたから。Kが来てくれるなら友達と早めにわかれて空港に向かうよ。
そんなやり取りをして空港には3時に待ち合わせる事にした。
俺は前回事情を話した同僚にまた頼み込んだ。
同僚は本当に好きなんだなと言って引き受けてくれた。
2:50分。空港に着いた。彼女は電車で来ると言っていたので駅で待っていた。
電車が入ってきて人が下車し始める。
俺は人混みに目を凝らし彼女を探した。
『K~』
俺が見つけるより早く、彼女が俺を見つけて手を振りながら駆け寄ってきて直ぐに俺に抱き付いた。
『会いたかった』
そう言って顔を上げた彼女に俺はキスをした。
その後は彼女のお土産選びに少し付き合って後は空港のベンチで腰掛け話をした。
友達と遊んだことを彼女は楽しそうに話してくれた。
話している間も二人は寄り添い手をきつく繋いでいた。
笑いながら話しているがきっと二人の心の中は同じだ。
離れたくない。もっとずっと一緒にいたい。
だけどそれを言ってしまうと泣いてしまいそうで、お互い言わないでいたんだと思う。
楽しい時間は本当にあっという間で、もう搭乗を告げるアナウンスが聞こえた。
繋いでいた手を更に強く痛いくらいに握りしめた。
今度こそは泣かないつもりだったのに、気付けば涙が溢れていた。
『酷いなぁ。笑ってるKの顔を覚えていたいんだから。ほらっ笑ってよ?』
彼女は俺の涙を拭いながら少し震えた声で言った。
彼女も必死に涙を堪えて笑ってくれてるのに、俺はまた情けなくなった。
『ごめん。我慢したんだけど。頑張って笑うよ』
そう言って無理に笑った俺の顔は、多分とても変な顔だったと思う。
そうしている内に、搭乗する方は急いで手続きを済ませて下さいと言うアナウンスが流れた。
二人は立ち上がりぎゅっと抱き締めあって何度もキスをした。
だがもう時間だ。
『また絶対会えるよ。サヨナラじゃないから。またね』
彼女が言う。
『うん。サヨナラじゃない。また会うんだから。』
俺が言うと二人はゆっくりと体を離し彼女は何度も振り返りながら搭乗口に向かった。
彼女はゲートに入った後もずっと手を降り続けていたが、とうとう見えなくなってしまった。
我慢していた涙がどっと溢れた。
絶対にまた会える。いや、絶対にまた会うんだ。
そう自分に言い聞かせながら、俺は同僚の待つ車に戻った。
その日の夜に彼女から無事に家に着いたよ。とメールがきた。お疲れ様。ゆっくり休んでと返したが、その後返信が無かったのをみるときっと疲れて寝てしまったのだろう。
俺もいつも通りに家に帰った。
こうしていると、彼女が来て一緒に過ごしたなんてなんだか夢だったんじゃないかと言う気がする。
だが夢じゃない。Kにお土産だよと空港でくれたストラップが現実だったことを証明している。
もう彼女に会いたくてたまらない。
次はいつ会えるだろうか。そもそも次はあるんだろうか。
考えるほど不安ばかりが込み上げてくる。
俺は布団に潜ってどうしたらまた彼女に会えるか考えてみた。がその日はそのまま眠ってしまった。
翌日からはまたいつもの日時に戻った。
彼女は仕事をやめたので気ままな専業主婦になった~人生でこんなに何もなくゆっくりするのは初めてだよっ。とおどけていた。
昼休みにいつものように電話をすると彼女が眠たげな声でおはよーと言った。
旅行で疲れて今まで眠っていたらしい。
疲れてるならまた今度にしようか?と尋ねると、ダメっ!やだ。話したいもん。と受話器越しに叫ばれた。
彼女のそんなところが可愛くてしょうがない。
改めて旅行中の話を色々聞いた。
話を聞きながら、何故だか段々切なくなってきた。
こんなにも彼女の声を近くに感じるのに、会うこともできないほど遠くにいる。
声を聞いていると会いたくてたまらなくなる。
次の約束も出来ない関係がもどかしい。
昼休みが終わる時間になり、俺はまた夜かけるからと言った。
だが彼女は少し気まずそうに
今日はちょっと…私が旅行行ってたから、今日は旦那が早く帰ってくるみたいなんだ。
と言った。
そっか。じゃあ仕方ないね。また今度だね。
平然と答えたが心の中はざわついていた。 わかっていることとはいえ、現実を突き付けられると苦しい。
彼女は本当にごめんね。と何度も謝りながら電話を切った。
仕方ない。仕方ない。
俺はそう自分に言い聞かせながら、嫌なことを忘れるためにがむしゃらに仕事に取り組んだ。
その夜は彼女の事が気になってしょうがなかった。
今頃旦那と過ごしていると思うと泣きたくなってくる。
何をしているのか。知りたいが知りたくない。
夜中になっても眠れずにいると、彼女から電話がかかってきた。
旦那がいるのになんで…と思いながらもすぐ電話に出た。
『もしもし?今日は無理じゃなかった?何かあった?』
彼女の返事はない。
『もしもし?聞こえてる?どうかした?』
やはり彼女は何も言わない。
携帯を耳から離し、通話になっているか確認したがちゃんとなっていた。
俺はもう一度声をかけた。
『おーい。もしもし?何かあった?ちゃんと聞こえてる?』
すると小さな声で
『聞こえてる』
と答えた。
『よかった。こんな夜中にどうした?旦那は?』
『うん…ちょっと…』
答えた彼女の声がなんだかおかしい。
『………泣いてる?』
彼女に聞いたが、彼女は何も答えない。遠くで少し鼻をすする音が聞こえる。
彼女は受話器越しに泣いていた。
『どうした?何があった?旦那と何があった?』
彼女は小さな声で
『Kには言えない…言えないよ…』
と言った。
その言葉に俺は少し察しがついた。
『俺には言えないって………大丈夫。俺は大丈夫だから。何があったかちゃんと話して』
そう言うと彼女はゆっくり話始めた。
『今日はね…旦那が早く帰ってきて…………私が何日もいなかったから寂しかったって………それで……………それで……子供が寝た後にテレビ見てたのね…………そしたら旦那が……嫌だって言ったのに…………』
彼女は嗚咽を堪えながら続けようとしたが、それを俺が遮った。
『わかった。わかったからもういいよ。無理しないで』
『ごめんね。ごめんね……嫌だって言ったのに……そんな人じゃないんだけど、なんでかな……本当にごめんね。K怒る……よね……?ごめんね』
彼女は何度も何度も俺に謝った。
『わかった。もうわかったから大丈夫。謝らなくていいよ。俺は怒ったりしないよ。Mが悪い訳じゃないから。本当に俺は大丈夫。』
そう言いながら俺も涙がこぼれていた。
その後は暫く二人とも何も話さずにお互い泣いていた。
一時間程して彼女がKも明日仕事だしそろそろ帰らなきゃと言った。
帰って大丈夫?帰れる?俺が聞くと彼女は、大丈夫…じゃないけど帰らないと。彼女はそう答えた。
じゃあまたね。
そう言うとお互いに電話を切った。
俺は怒りと悲しさとやるせない思いで一杯だった。
彼女が辛い思いをしてるのに俺は側に行ってあげることも出来ない。
彼女の旦那が許せないが口を出すこともできない。
彼女があんなに俺を思って謝って苦しんでるのに、大丈夫だってうまく伝えることさえ出来ない。
こんな自分が悔しくてたまらない。
今すぐ彼女の元へ行ってしまおうか。
でもそれは余計彼女を苦しめるかもしれない。
あれこれ考えて意気地のない自分に腹が立つ。
彼女はちゃんと家に帰れただろうか。
帰って大丈夫だっただろうか。
その日はそのまま朝まで眠ることはできなかった。
結局一睡もできぬまま気付けば空がしらみ始めていた。
仕事に行く気にならないがそんなわけにもいかない。
仕方なく準備をして出勤した。
昼の時間になって彼女に電話するかどうか迷っていた。
今日はやめておこうと思った時に丁度携帯が鳴った。
彼女からだった。
『K?お仕事お疲れ様。昨日は夜中にごめんね。今朝はちゃんと起きられた?』
『大丈夫だよ。Mこそ……あの後ちゃんと帰れた?』
『うん……』
何を話せばよいかわからず、暫く沈黙が続いた。
『あのさ…』
彼女が沈黙を破って話始めた。
『私、Kの事が大好きだよ。本当に愛してる。それが言いたかったんだ』
彼女はそう言った。
『うん。俺もだよ。何があってもそれは変わらないから』
俺がそう言うと彼女は『うん』と何度もうなずいた。
電話を切ると俺はため息をついた。
きっと彼女は辛いだろう。
その夜彼女からメールが届いた。
『旦那が帰ってきて昨日の事を謝ってくれたよ。無理矢理ごめんって。なんだか不安だったからって言われた。もしかしたら薄々気づいてるのかもしれないな…』
『そっか…他には何も言われなかった?』
『他は…愛してるって言われたかな。でも返せなかった。もう嘘つくのは辛い。旦那にもこのまま隠しておくのは悪いから。ただ、私がもし離婚ってなったときにKに負担かけたくない。私が別れたからってKも別れなくていいんだからね?子供さんもいるんだし、一番に考えてあげてね』
彼女はそう言った。
『俺も同じこと考えてた。もし俺が離婚してMが自分のせいだって思ったらどうしようって。俺達同じこと考えて悩んでたんだね』
『そうなんだ。なんだか二人して笑っちゃうね』
そんなやりとりをした。
まだ会社にいたので、メールのやり取りが終わると残っていた仕事を片付け家路についた。
家に入ると、リビングのダイニングテーブルに妻が腰かけていた。
『ただいま』
いつものように顔を合わせないまま言った。
妻は下を向いたまま黙っている。
『何かあったか?』
そう聞くと妻は口を開いた。
『なにか私に言うことがあるんじゃない?』
もしかしたら彼女の事がバレたのかとドキッとした。
『別に何もないけど』
そう答えると妻は叫ぶように言った。
『別に無いわけ無いでしょっ!あなた浮気してるでしょっ』
あぁ、やっぱりバレたのかと思った。
『あなた女がいるんでしょ。わかってるのよ。正直に言ってみなさいよ。』
妻が捲し立てるように言う。
『その通りだ。』
俺は認めた。バレてしまったならもう隠す必要はない。
『最低!どうせエッチしたかったんでしようセックスレスだから。その女に会わせなさいよ!!』
『エッチが目的じゃない。浮気じゃなく本気だから。彼女には絶対に会わせられない。』
『何でよ。本気ってバカじゃないの?そんなことあるわけないじゃない。なんでその女に会わせられないのよ。じゃあ電話番号教えなさいよ。』
『彼女とは別れられないし、会わせられない。番号も教えられない。彼女を傷付けたくないから』
俺がそう言うと、妻は泣きながらひたすら俺を罵っていた。
妻にバレた。だが意外と動揺はしていない。卑怯かもしれないが、自分から言わなくて良くなったことに少しホットしていた部分があった。
昨日彼女が旦那と色々あったばかりのこのタイミングでバレるとはなんだか見計らったかのようだと思った。
妻は何度も同じことを繰り返し言ってくる。
『遊びなんでしょ?子供はどうするの?別れるんだよね?離婚はしないからね。相手の女に絶対会わせてもらうから。あなたは最低。酷い。』
『彼女には会わせられないし別れることもできない。』
俺も同じことを繰り返し返していた。
二時間ほどして流石に疲れたのか妻は何も言わなくなった。
何も言わずにただ俺を睨んで泣いていた。
『ごめん。』
俺がそう言うと
『謝ってほしくなんかない。』
妻はそう言って寝室へと入っていった。
その夜俺はリビングのソファーで寝た。
次の日の朝、俺の出勤時間に妻は起きてこなかった。
当然だ。俺も顔を合わせなくていいことにほっとした。
仕事に向かう電車の中で彼女に言うべきか考えた。
彼女はどう思うだろうか。きっと凄く心配するだろう。
無駄に心配かけたくい。俺は彼女には言わないことにした。
その日の昼もいつものように電話で話した。
女性の勘は鋭いとは本当で、彼女は俺の様子が変だと感じたのか何度も何かあったの?と尋ねた。
何でもないよ。ちょっと疲れてるんだよと何とか誤魔化した。
今日は仕事に集中出来なかった。
帰ったらきっと妻がまた待ってるだろう。
どう話せばいいか色々と考えたが答えは見つからない。
そんなことを考えている内に、気付けばあっという間に帰宅する時間になっていた。
家路に向かう足が重い。家には帰りたくないのが本音だが逃げるわけにもいかない。
彼女のためでもあるんだと言い聞かせながらなんとか家に向かった。
家に帰るとやはり妻が待っていた。
俺の顔を見るなり罵り始めた。
『稼ぎも少ないくせに女なんか作ってバカじゃないの?女に金かけるな。あなたなんかエッチしたいだけの最低な奴。何にもしないくせに。女と早く別れなさいよ。どうせその女もろくな人間じゃないのよ。早く別れて。』
他にも色々言っていた。俺は何も言わず黙って聞いていたが、それがまた気にさわったようだ。
『なんで黙ってるのよ。何かいったらどうなの?別れるって言いなさいよ!』
そう言いながら妻が側にあったテレビのリモコンを投げつけ、それが俺の頭に当たったが妻は構わずに続けた。
『早く何かいったらどうなのよ!言い訳くらいしたらどう?』
『彼女とは別れない。お前と離婚するつもりだ』
俺がそう答えると、妻はすぐには意味が呑み込めなかったようでしばらく沈黙が続いた。
『はっ…?今何て言ったの?』
妻は面食らったような表情で聞いてきた。
俺はさっきと同じ言葉を繰り返した。
『彼女とは別れない。お前と離婚するつも……』
『何考えてるの!?離婚って?嘘でしょ?』
俺が言い終わるか終わらないかの間際に妻が遮った。
『女と別れずに私と別れるって言うの?女を選んで家族を捨てるの?』
『……そうだ』
『は?嘘でしょ?』
『嘘じゃない。本気だ。彼女を愛してるんだ』
『愛してるって…そんなわけない。離婚?絶対にしないからね!!もし離婚するって言い張るなら慰謝料請求してやるから。子供達が可愛くないの?』
『お前が別れないって言うなら調停になってもいい。もう一緒にはいられない。子供達は可愛いが仕方ない。』
『バカじゃないの!最低!調停?離婚なんて同意しないからね。無理矢理離婚になっても慰謝料たくさん貰うから。子供にも絶対に会わせないわよ。それでも私と別れるなんて言うの?』
『そうだ。もう何を言われても俺の考えは変わらない』
俺がそう言うと妻は真っ赤な顔でこちらを睨み付けた後、バンッとドアを激しく閉めてリビングを出ていった。
俺はハァッーとため息をついてソファーに横になった。
二階から妻がバンッと寝室のドアを閉める音が聞こえた。
かなり怒っているようだが当然だろう。
だがどれだけ話合おうがもう俺の気持ちは変わる事はない。
慰謝料を支払うことになっても子供達と会えなくなってもそれだけは言える。
例え彼女と一緒になることができなくても、俺はもうこの家族を続けていくことは出来ない。
静かになったリビングの天井をソファーに寝転んで見上げながらいつもと変わらずに彼女にメールを送った。
妻にバレたことは言わない。彼女のせいではないから気を使わせたくなかった。
しばらくメールのやり取りをした後風呂に入って今夜はソファーで寝ることにした。
多分このまま寝室で妻や子供達と寝ることはないだろう。そんな事を考えながら眠りについた。
次の日の朝もやはり妻は起きてこなかった。
いっそのこと夜も先に寝てくれたらとも考えてしまうが、それでは話が先に進まない。
とりあえず、仕事中は何も考えずに仕事の事だけに集中することにした。
昼休みには相変わらず彼女に電話をする。
毎日の事だがこの時が一番安らげる時間だ。
だが今日はちょっと違った。
女の勘は鋭いとはよく言ったものだ。
彼女は妻にバレた日からずっと何かあったの?と聞いてきていたが、今日はいつめよりしつこく聞いてきた。
『ねえ。何かあったよね?絶対変だもん。この前からなんかいつもと違う』
『そんなことないって。普通だよ』
『怪しい。もしかしてさ……奥さんにバレたとか…?』
『……えっ!?バレてないよ。なんで!?』
とっさに答えたが声が多少裏返ってしまった。
『やっぱり……』
彼女は俺の声が裏返ったのを聞き逃さなかった。
もうこれ以上は嘘を突き通せないと思い、仕方なく全てを彼女に話した。
彼女は黙って俺の話を聞いていたが、全てを聞き終わると口を開いた。
『やっぱりバレちゃったんだね。だけど、なんで嘘ついて隠してたの?』
俺は素直に答えた。
『Mに気を使わせたくなかったんだよ。Mはきっと自分のせいだと思うだろうと思ったから言いたくなかった。だってもしMがいなくても、遅かれ早かれ俺はあいつと離婚してただろうから』
俺はそのまま続けた。
『それに、俺が離婚することでMが自分も離婚しなきゃって強制みたいになるのが嫌だった。MにはMの家庭があるわけだから。』
しばらく沈黙が続いた後彼女が話始めた。
『でも…今離婚の話が出てるのは私のせいなのは事実だよ。私と会ったことがバレたから離婚の話になったんでしょ?それに、何にも知らないでKと話してたなんて何だか寂しいよ。何でも言ってよ。気を使ったりしないで。こんなに愛してるんだから全部ちゃんと話してほしい』
彼女はそう言いながら声が少し涙ぐんでいるようだった。
『ごめんよ。Mが自分のせいだってM自身を責めてほしくなかったんだ。結果的に傷つけてしまってごめん。もう何も隠さないから。全部話すから。だけど、自分を責めないでほしい。俺の家庭はMに会う前から壊れてたんだから。だからMは自分を責めないで』
『私こそごめん。今大変なのはKなのに感情的になっちゃって。私のせいじゃないって思うのは無理だけど、責めたりはしないようにする。』
『わかったよ。じゃあもう時間だから』
そう言って電話を切った。
そのすぐ後に彼女からメールが届いた。
『奥さんは何て言ってるの?Kは大丈夫?私が言うのも変なんだけど、子供さんもいるんだから子供さんを一番に考えて後悔しないようにね』
俺は直ぐに返信した。
『あいつは怒って今のところ話し合いは出来ない感じだよ。俺は離婚するって言ってる。子供の事はあるけど、もう家族は続けられないから。』
送信すると俺は仕事に戻った。
夜になり携帯を見てみるとまた彼女からのメールがきていた。
『離婚するの?本気?別れたらきっと子供には会えないんだよ?それでもいいの?すぐに答え出していいの?よく考えて』
それを読んでなんだか彼女は俺が離婚するのが困るのかなと考えてしまった。
『ちゃんと考えて出した答えだよ。Mは俺が離婚すると困るの?なんだかそんな言い方だから…』
送信するとすぐに彼女から返信がきた。
『困るとかじゃないよ…Kは子供さんの事大好きでしょ?だから後悔してほしくないだけ。私も子供いるからさ…だから子供さんを一番によく考えてほしいだけだよ』
『わかった。ただ、多分俺の考えは変わらないと思う』
俺が返信すると
『そっか。それでももう一度よく考えてね。私はKがどんな結論を出してもKを愛してるのは変わらないから』
そう返事がきた。
『うん俺もMを愛してる。Mの言う通り、もう一度よく考えてみるよ。またメールする』
そうメールをすると俺はそのまま家に帰った。
家に帰るとやはり妻が待っていた。
リビングに入った途端に色々愚痴や文句を言われた。
俺はずっと黙って聞いていた。
それでも構わず妻は俺を罵り続けている。
『不細工の癖に不倫なんて最低男。最低な父親よ。死ねばいい。女もあなたも。いい加減に女と話をさせなさいよ!番号教えなさい!』
『それだけは絶対に出来ない。』
そう言うとますます妻は怒りを増した。
『女にも慰謝料請求するわよ!いいの?お金請求されたら女は逃げるかもよ?』
『彼女はそんな人じゃない。それに彼女の分まで俺が払う!』
この一言に妻はブチキレた。
聞き取れない程に何かをわめきながら側にあるものを片っ端から投げつけてくる。
しばらくして投げるものが無くなったら妻は座り込んで泣き出した。
『どうして?どうしてなの?』
そう呟きながら泣いていた。
『ごめん』
俺はそう謝る事しかできなかった。
一時間ほどしただろうか、妻は立ち上がり寝室へと出ていった。
俺は妻の投げたものを拾って片付けた。
その日はそのまま風呂も入らずに寝てしまった。
家に帰っては喧嘩する。そんな日が続いた。
そして妻にバレてから一週間たった頃だった。
何時ものように家に帰ると今日は妻がいなかった。
先に子供達と寝たようだ。
少しほっとしてふとテーブルを見ると、そこには白紙だが離婚届が置いてあった。
俺は妻が離婚に同意したんだと思い、離婚届に名前を書いて判を押した。
そしてテーブルの上に置いたまま次の日出勤した。
その夜、家に帰るとまた妻が待っていた。
そして俺の名前が書き込まれた離婚届を持って怒鳴り始めた。
『なんて判まで押してあるの?本気で離婚する気なの!?』
『置いてあったから同意したんじゃないのか?そう思って書いたんだ』
『違うわよ!一応貰ってきただけ。本気で書くなんてあなた最低よ!そんなに別れたいなら別れてやるわよ!最低男。女も死ねばいい。』
妻はそのまま俺と彼女を罵り始めた。
ずっと黙って聞いてきたが、俺もつい言い返してしまった。
『お前だって悪いだろ!休みも全然休ませてくれないし、セックスだってずっと断り続けるし。会話だって子供の事以外無かっただろ?それで夫婦なんて言えるのか?お前もいつだって自分の事ばかりで俺を責めるだけじゃないか。』
言った後に後悔した。これじゃまるで妻と不仲だから不倫したみたいになってしまう。
不倫になったことと妻との事は関係ないのに、毎晩罵られ彼女まで色々言われカッとなって妻に言い返してしまった。
案の定妻はこう返してきた。
『私が悪かったからあなたは不倫たって言うの?相手が嫌になったら不倫してもいいっていうの!?』
『違う!ついカッとなって言ったがそれと彼女とは関係ない。お前になんの非もなくて夫婦仲がよくても俺は彼女を好きになった』
そう言ったが今更意味がない。
『はっ?意味わからないわよ!』
そのまま二人で言い合いになってしまった。
そしてとうとう俺は我慢しきれなくなって家を飛び出してしまった。
俺の実家は近い場所にあるので、歩くには遠いが俺は実家に向かった。
俺の母親は前に彼女に会いに行くとお金を借りに行ったときに全てを話してあるので察して、とりあえず家に入れてくれた。
そしてそのまま俺は実家に泊まった。
その日から俺は家に帰らなくなった。
逃げているのはわかっている。
だがどうしても妻と顔を合わせたくなかった。
ふとあの離婚届はどうしただろうと思い出した。出しただろうか…
そんなことを実家のベッドの上で考えていると携帯が鳴った。
俺は彼女からだと思いすぐに出たが電話の相手は妻だった。
『帰ってこない気なの?』
『ああ。もう疲れた』
『疲れたってなによ!あなたが悪いんじゃない。逃げるの!?』
『どう思ってもらっても構わない。お前と顔を合わせたくない。それに離婚届も書いたしな』
『あんな離婚届出さないわよ。絶対に別れないから。あなた子供達の事は何とも思わないの?』
『お前がどう思おうともう戻れない。子供達には会いたいし寂しい思いをさせて悪いが、どうしてもお前に会いたくない』
『……やっぱり最低ね。』
そう言うとブツッと電話が切れた。
その直後だった。また携帯が鳴った。
また妻かと表示を見ると今度は彼女からだった。
電話が彼女からだと分かり急いで取った。
『もしもし?K?』
何時もの彼女の声が聞こえる。
『もしもし?こんばんは。急にどうした?』
『どうもしないけど、声が聞きたくて…何かないと電話しちゃダメ?なんちゃって(笑)あっもしかして家だった?大丈夫?』
その言葉にハッとした。まだ家を出たことを彼女に言っていなかった。
『何もなくてもかけてきていいよ。俺も嬉しいから。あのさ、実は俺………』
俺は彼女に家を出たことを説明した。
『えぇっ!?でも実家って…親とかは?それに子供さん達はいいの?』
『まあ親には一度言ってあったから。もう毎晩言い合うのに疲れてしまったんだ。子供には本当にすまないと思ってる』
『そっか…辛いね。ごめんね…私のせいだよね』
彼女は暗い声で言った。何となく泣いているような声だった。
『Mが謝ることないよ。俺が悪いんだから。俺が逃げたんだよ。Mは何も悪くない』
『でも……もし私に会わなかったらこんなことにはならなかったよね…Kも苦しまなくてすんだのに…そう思ってしまうよ。実際そうだし。』
『バカなこと言うなよ!』
彼女の言葉に俺は怒鳴っていた。
『そんな悲しいことこと言うなよ!会わなかったらなんて一度も考えたことない。Mのせいで辛いなんてそんなことあるわけないだろ!Mと会えて本当に人を好きになる気持ちがどんなものかわかったのにっ!……そんなこと言うなよ…』
気付けば俺は泣いてしまっていた。
『ごめんね。会わなかったらよかったなんて、そんなつもりで言ったんじゃないよ。ごめんね…ごめんね…Kに会えて幸せだよ』
彼女も泣いていた。
そのまま二人とも泣いていた。
彼女はきっとまた自分を責めるだろうと考えると胸が痛んだ。
しばらくして『もうそろそろ寝ようか』と言った。
『うん…』
彼女は小さく返事をしてまたねと言って電話を切った。
俺はそのまま直ぐに眠ってしまった。
それから毎晩妻から電話がきた。
だいたい内容は同じだ。
『あの女と早く別れて。離婚なら慰謝料たくさん貰うからね。子供にも二度と会わせない。』
だいたいそんな感じだった。
そして俺も毎回
『彼女とは何があっても別れない。慰謝料も払うし子供達に会えなくなる覚悟も出来てる。最低で構わない』
そういったやり取りを毎日続けていた。
彼女はと言うといつも俺を心配していた。子供に会えなくて辛いんじゃないか、このまま離婚になるんじゃないか、本当に後悔しないようによく考えてねと言っていた。
そんな日が 3ヶ月程続いた頃だった。
彼女がまた働くことになった。
パートだが、彼女の好きな雑貨屋さんで働けるらしく彼女は喜んでいた。
仕事が決まった日に電話で
『お金貯めてまたKに会いたいな』
そういってくれて俺は凄く嬉しかった。
俺も彼女に会いに行くためにお金を貯めていたが、小遣いだけではなかなか貯まらない。
だが彼女に早く会いたい。彼女もそう思ってくれている。
俺は仕事が終わった後に深夜のバイトをすることにした。
勿論会社にバレるとやばい。
だが彼女に会いに行くためにはしないと無理だ。
俺は意を決してバイトを始めた。
仕事の後に深夜のバイトをして、寝る時間もなくまた仕事に行く毎日が始まった。
かなりキツかったが彼女の為だと思うと頑張れた。
彼女は俺の体の心配ばかりしていた。
そんな優しさがまた嬉しかった。
そんなある日、何時もの妻から電話がきた。
また同じように文句ばかりだと思っていたが違った。
『今度の休みに子供達と会って』
そう言ってきた。どうやら子供達が俺に会いたいと言ったようだ。
『わかった』
俺はそう言って直ぐに電話を切った。
子供達に会えるのは嬉しい。だがあの家に行くのは複雑な気持ちだった。
とりあえず、彼女にも子供達と会うことを伝えた。
彼女は嬉しそうに
『会えるの!?本当によかったね!久々だもんね。いっぱい遊んであげてね。』
と言った。なんだか俺より嬉しそうにしている彼女が可愛かった。
日曜日、子供達と動物園に出かけた。
妻からはお父さんは仕事だと聞いているみたいだった。
その日はいっぱい遊んだ。久々会う子供達は可愛かった。
無邪気にはしゃいでいる子供達を写メで撮った。
あっという間に時間は過ぎ、家に帰る時間になった。
気は向かないが、子供達を帰さなければいけないから仕方ない。
家につくと子供達を妻が迎えた。
俺はついでに着替えなどを取りにいこうと家にはいった。
寝室で服を詰めていると妻が入ってきた。
『また実家に行くの?本当にもう戻らないつもりなの?』
『そうだ』
『私達もう一度どうにかやり直さない?』
妻の意外な言葉に驚いた。
『はっ?今何て言った?』
『だから私達やり直さない?子供達のためにも』
妻がそんなことを言うなんて驚いたが、俺はそんな気持ちは微塵も無かったので正直に答えた
『それは無理だ。出来ない。彼女とは別れられないし、例え彼女と別れたとしてもお前とは絶対にやり直せない』
俺がそう言うと妻は黙って部屋を出ていった。
そのまま顔を会わすことなく俺は実家へ帰った。
その日の夜彼女と電話した。
彼女は今日子供達と遊べてよかったね。どうだった?何したの?
嬉しくてしょうがないというように彼女は忙しく聞いてきた。
そんな彼女を俺はますます好きになっていった。
彼女の為にも早く離婚したい。だが今日の妻の言葉を思い出すと相当な時間がかかりそうだ。
これからどう進んでいくのか、全く先が見えなくて不安だった。
あまり言わないがきっと彼女もそれは同じだろう。
俺がしっかりしなければいけない。
彼女に今日の事を話ながら俺はそんなことを考えていた。
それからなんの変化もないまま一月ほどたった頃、俺はバイトの金が貯まったので彼女に会いに行くことにした。1ヶ月後に休みを取り、飛行機を予約した。彼女も喜んで職場に休暇願いを出してくれた。
そんなときだった。後半月程で彼女に会えるという頃、彼女が慌てた様子で電話してきた。
『あのさ、今大丈夫?ゆっくり話したいことがあるんだけど』
『どうした?大丈夫だよ。時間あるから。何かあった?』
『実は……実は私の旦那に話しちゃった。まあ薄々バレてるだろうなとは思ってたんだけど、今日旦那が正直に話してほしいって土下座してきたから…だから話しちゃった。』
俺は彼女の言葉に驚いた。が以前から彼女にきっと旦那は気づいてると思う。と聞いていたのでとうとうか、と言う気持ちもあった。
『で、旦那さんはなんて?』
俺がいうと彼女は少し気まずそうに
『それがね…Kが離婚もしてないってことに怒ってて。会って話をしたいって言ってる』
まあそうだろう。自分の妻が他の男を好きだと言ってる上に、その男が離婚もせずに付き合っているとなったら誰でも怒るだろう。
俺の返事を待たずに彼女は続けた
『実はね、半月後に会うことも話しちゃったんだ。で、当然旦那は会うなって言ったんだけど、私絶対に会いに行くって言っちゃったんだ』
それには俺も驚いた。
『そんなこと行って大丈夫?旦那さんもっと怒ったんじゃない?』
すると彼女は
『そりゃあ怒ったよ。でも、その時に旦那はKに会うって言ってる。』
『そっか。分かった。俺もちゃんと旦那さんと話がしたいから会うよ』
『本当に!?大丈夫?修羅場になるよ?』
『大丈夫。Mの為にもちゃんと話し合わないといけないから。旦那さんにはきちんと会いますって言っといて。それと、それまでには俺の方もどうにかするよ。じゃないと旦那さんに何言っても意味ないだろうから』
『それって奥さんとの離婚?でも奥さんしないっていってるんでしょ?』
『あいつにはちゃんと話に行くよ。今度こそ逃げないで話そうと思う』
『そっか。じゃあ私も旦那に言っておくね。Kありがとう。大変なのに…旦那にあってくれるって言ってくれて。』
『いずれはそうなると思ってたから俺は大丈夫だよ。Mも旦那に俺が好きだってハッキリ言うのは大変だったんじゃないか?』
『ううん。旦那はわかってるから。私が軽い気持ちで浮気なんかしないって。もしする事がなら本気だって。だから旦那は正直に言ってくれって言ったんだと思う』
『そうか……。』
その後電話を切ると俺は妻に電話した。
『もしもし何か用?』
『遅くに悪い。実は明日話があるからそっちに行こうと思うんだけど大丈夫か?』
『……話って離婚届の事?出せって事でしょ?』
『まあそうだ。ちゃんと話し合おうと思ったから』
『別に来なくてもいいわよ。あれなら今日出してきたから』
俺はいきなりの展開に驚いた。
『出したって、あんなに離婚しないと言っていたのに何で?』
『もう疲れたのよ。別れたくないとは思ってたけど、だけどあれを見る度に離婚を拒んでる自分が惨めで。子供達にもずっとは誤魔化せないし。そのかわり、慰謝料300万下さいね。後は養育費もきちんと払って貰うから。』
『そうか。分かった。慰謝料も養育費もちゃんと払う』
『私は子供達と実家に戻ります。家具とかも全部持っていくから。車も売る。子供達にはもう二度と会わせないから。電話も手紙もさせない。当たり前よね』
『…分かった。好きなようにしてくれ』
俺がそう言うと妻は電話を切った。
多分妻はずっと離婚後の動きを考えていたのだろう。
何だか示し合わせたようなタイミングだが、こういうものは重なるときは重なるものだ。
俺は彼女に妻とのやり取りを連絡した。急なことで彼女は驚いていた。
こうして俺の離婚が成立した。
その週末。
俺は300万を用意して妻の口座に振り込んだ。俺の給料は全てを妻が管理していたので、慰謝料は俺の母親に借りた。 養育費は子供二人で月7万子供の口座に振り込むと決めた。
妻と子供達は翌月に妻の実家に引っ越すらしい。
妻に会いたくないからなにもしなくていいと言われていたので、俺がすることは何一つない。そしてもう二度と会うこともないだろう。
子供達を思うと寂しい気持ちもあるが、妻に対しては何も感じなかった。
そんなことがありバタバタしてる間に、とうとう彼女の所へ行く日が着た。
彼女に会える。そう考えただけで嬉しかった。だが、彼女の旦那にも会わなければならない。俺は少し緊張しながら空港へと向かった。
飛行機に乗り、その後電車に乗って彼女の住む町に着くと彼女が迎えに来ていた。
顔を見たとたん駆け寄るとギュッときつく抱き合った。
『会いたかった』
しばらくそうした後に、彼女が言った。
『近くのファミレスで旦那が待ってるんだ』
彼女は少し気まずそうに言った。
『じゃあ行こう』
俺がいうと、二人で車に乗り、彼女の旦那の元へ向かった。
車の中ではずっと手を握っていた。彼女は俺の心配ばかりして何度も『大丈夫?』と聞いていた。
しばらくしてスグにファミレスに着いた。
二人で入り、彼女の旦那が待つテーブルへと向かう。
『ここだよ』
テーブルに辿り着くと彼女が言った。
俺と彼女の旦那の目があった。
『どうも。』
とりあえず、お互い軽く会釈をして席に座った。
気まずい空気が流れる。
『何か食べる?』
そう言いながら彼女は一生懸命この重たい空気をどうにかしようとしていた。
その時、
『初めまして。Mの夫の○○です』
いきなり旦那が声をかけてきた。俺は慌てないように
『初めまして。○○○○○と言います』
そう答えた。
『本題に入るけど、○○さんは本気でMと一緒になりたいって考えてるのか?』
旦那が聞いてきた。 俺より年下だがタメ口だ。立場からすると当たり前だが。
『そうです。俺の方は離婚しました。本気でなければここまできません』
『だよな。で、これからどうしようと考えてるんだ?』
『どうしようと言うと?』
『この先に決まってるだろ?子供の父親になる覚悟もあるのか?ちゃんとMと子供を守っていけるのか?給料もそれなりにあるのか?』
『それは勿論ある。二人ともちゃんと守っていけるしそれなりの経済力もあります。』
『俺もMと子供を愛してる。だが、Mの気持ちを思うから○○さんに会ってるんだ。Mは浮気するような奴じゃない。本当に本気だってわかるから今日ここにきたんだ。』
旦那は辛そうに続けた。
『他の誰かを愛してるというMと離婚しないのはMにとって幸せじゃないだろう。それにMが辛いと子供もきっと幸せじゃない。だから俺は物凄く悩んだが別れることにした。』
俺は返す言葉が見つからず黙っていた。
彼女もこの時はずっと黙っていた。
旦那は更に続けた。
『Mの為に会っているが、本当はすごく腹が立っているのも事実だ。今すぐあんたを殴りたい。人の妻に手を出しながらこの間まで離婚もしてなかったんだからな。それなのにのこのこよくこれたよな。まあいい。もう今更どうしようもないのは俺が一番わかってる。所で、○○さんは奥さんとちゃんとしたんだよな?』
『はい。ちゃんと離婚しました』
『違う。離婚は当たり前だが、慰謝料なんかの話し合いはちゃんとしたのかってことだよ。』
『それはもう支払いました』
『支払ったのはいいが、それ以上請求されないように書面に残したのか?財産分与だって後から請求されるかもしれないだろ?』
『いや書面にはしてないです。でもそんなことはしないと思うので大丈夫です。』
俺が言うと旦那は呆れたように言った。
『本当にそう思ってんの?あんたは自分の元嫁だから信じてるのかもしれないが、俺はそうは思えない。元嫁がMに慰謝料請求してきたらどうするんだ?財産分与も追加請求きたらどうするんだ?』
『本当にそこは大丈夫です。Mの分も俺が支払いました』
『だが元嫁はまた請求するかもしれない。考えが甘くないか?俺はそんな危険があるうちは離婚出来ない。』
旦那は少し声を荒げて言った。
そのまま一時間程、慰謝料や色々な金銭的なことを話し合った。
彼女はその間中心配そうに二人を見ていた。
なんとか旦那との話はついたが、完全に納得している感じではなかった。
旦那はM達に極力苦労をさせたくないようだった。
その後も俺の親はどうなのかなど話し合い、三時間くらいした所で解散することになった。
旦那は離婚するとは最後まで言わなかった。
ファミレスから出ると、Mが旦那に
『私はKと行くから』
と言った。
旦那は
『分かった』
と言って車に乗り行ってしまった。
『よかったの?』
俺が聞くと
『だってKアシないじゃん』
と笑っていった。
その後はホテルに戻るのも早いねと言ってしばらく二人でいた。
手を繋いでぶらぶら近くの公園を歩いた。
『変だけど、なんか幸せだな』
そう言うと彼女はギュッと抱きついてきた。
俺も彼女を抱きしめ返した。 こうしてるとさっきまで彼女の旦那はと話していたのが嘘のようだ。
夕方になり俺はホテルへ向かった。明日までいる予定だ。
彼女は明日も会えるなんて嬉しいなと喜んでいた。
翌日は飛行機に間に合うように空港の側にいようと彼女が言ったので、空港のある市内まで車で向かった。
飛行機の時間は夕方なのでまだだいぶ時間がある。
その間は彼女と一緒に観光地を回った。
彼女はここまで来てくれて、旦那とも話してくれてありがとうと言った。
楽しい時間はあっという間にすぎて、直ぐに飛行機の時間が近づいた。
空港までは電車で行くので彼女に駅まで送ってもらった。
『もうさよならだね』
彼女は寂しそうにそう言った。
『大丈夫。これからは一緒になれるんだから。ちょっとの間我慢するだけだから。旦那さんと話がついたら、Mと○○君をスグに迎えに来るよ。』
俺がそう言うと彼女は
『そうだね。さよならじゃなくて、またね、だもんね』
と笑っていった。
あれから数日、彼女は離婚した。
彼女は旦那を毎日毎日、俺の所に来ても苦労しない。元嫁の事も覚悟しているからと説得し続け、そこまで言われ旦那は折れたらしい。
彼女には言わなかったが離婚届を出した後、旦那から俺に電話があった。
『先日離婚届を出した。本気でMと○○を幸せにしろよ。俺はずっと見てるからな。もう俺じゃあ幸せにできない。だから頼んだ。もし苦労させたら許さないからな』
旦那は辛そうに、だがそれを隠すように言った。
俺はただ
『分かった』
とだけ答えた。
彼女は離婚したが今すぐに一緒になるというわけにもいかなかった。
彼女も新しい仕事をしていたし、俺の方もまだ元嫁達が家にいた。
元嫁達は子供達の夏休み中に引越し予定らしく、だいたい後二週間ほどで家を出て実家に行くらしい。もうこの先に子供達と会うことはないと思うと寂しさはあったが俺がそんなことを思える立場ではないのは十分にわかっていた。
後は彼女の仕事の事や、色々準備も必要だろうと話し合い3ヶ月後くらいに彼女達を迎えにいくことにした。
その期間は彼女も自分の実家に戻るらしい。ただ、3ヶ月後に俺と一緒になることは彼女の親にはまだ言っていなかった。
彼女の家は母子家庭で母親と祖母と三人で暮らしていた。彼女は一人っ子だが同じ敷地内に彼女の母親の姉(叔母)が住んでおり、その子供(いとこ)と仲がよく姉妹のように育ったらしい。
彼女の母親は離婚の事はもう仕方ないと納得していたが、よく知りもしない男と一緒になって彼女が苦労するはめになるはずだ、再婚とはそんな簡単なものではないと反対していた。
だから彼女は母親には先の事は黙って実家に戻った。
だが、ずっと黙っているわけではない。俺が向こうに行ったときに二人できちんと話し合うつもりでいた。
いよいよ俺の元嫁達が家を出ていった。
いつ引越しかは知らなかったが、元嫁から
『引越したから。もうあうこともないでしょう』
とメールが届いた。
俺は『分かった』とだけ返信した。
そして久々に家に戻った。
元嫁達の荷物がなくなりすっきりして広々としていた。家具はテレビ以外持っていかなかったらしい。
家の中は綺麗に掃除してあり、カードなどには何がいつどのカードで引き落とされるかなど詳しくメモが貼られていた。
子供達の声の聞こえない家の中は流石に寂しかった。
だが後悔はしていない。
子供達よりも彼女を大切だと思った気持ちに嘘はないのだから。後悔したらそれも嘘になってしまう。
とりあえず俺は彼女達がこちらに来たさいに嫌な思いをしないよう、家の中に残っている元嫁達の私物を片付け始めた。
細々と片付けだしたら結構たくさんでてきた。子供達の写真もあった。だいぶ迷ったが写真も捨てることにした。
ある程度の片付けが終わると彼女に電話をかけた。
『もしもし?実は元嫁達が引越して家に戻ってきたんだ』
『えっ!?そうなの?もう実家に帰ったんだ。子供達には会わなかったの?』
『今更会うわけ無いよ。』
『そっか…どう?家に戻るの久々でしょ?』
『まあちょっと静かだな。そう言えばテレビ持っていかれたよ(笑)だから余計に静かだ。あっ、Mはテレビ大好きだからテレビないと困るんじゃないか?』
『バレてた?(笑)テレビっ子だからね』
彼女は笑いながら言った。
『じゃあMの為に次の休みに買いにいかないと。デッカイの買っておくよ』
『本当に?いいのに。無理はしないでね。なきゃないで平気…多分平気だから』
彼女と話しているとさっきまで寂しいと思っていたことなど一瞬で吹き飛び温かい気持ちになれた。
それからしばらく何気ない話をして二人でたくさん笑った。
元嫁達が出ていったその週末に俺は一人で買い物に出掛けた。
とりあえず、テレビを購入する予定だ。
家電売り場に行くとテレビコーナーへ行った。
色々みたが、テレビ好きなMのために奮発して一番いいやつを買った。一緒にDVDデッキも買うことにした。
家に帰ってからテレビを置いてみると、前にあったやつよりもかなり大きかった。俺は早速配線を繋いだ。
配線は簡単なのですぐにできた。設置が終わったテレビを写メに撮り彼女にメールした。
彼女は『かなりでっかいね!最新のじゃんすごい!』とはしゃいでいた。
これを彼女達と見られるのはまだまだ先の話だ。
その日が待ち遠しかった。
そのまま特に変わったこともなく1ヶ月が過ぎようとしていた頃だった。
彼女の元旦那から電話がきた。どうやら彼女が実家でお母さんと何かあったらしい。
彼女のお母さんはかなり厳しく恐いらしい。彼女はビクビクしていた。仲が悪いわけではないが、彼女はお母さんを怒らせないようにいつも気を使っていた。
だが彼女も長年我慢してきた事をお母さんにぶつけてしまったらしい。
しかしお母さんは強く彼女の意見を一切認めない。
昔からそうだったみたいだ。そのせいもあり彼女はリストカットを始めたのだが、彼女のお母さんは彼女の傷を見ても弱いからそんなことするんだと言っていたらしい。
今回お母さんと言い争いになり彼女はお母さんの目の前で自殺しようとし、それを元旦那と警察に彼女のお母さんが連絡して元旦那が彼女を止めたらしい。
その後彼女は急な過呼吸になり倒れ救急車で運ばれた。
それで元旦那が俺に連絡した。
元旦那が言うには彼女の精神状態はかなり不安定になっていると言っていた。
離婚の事、この先の事、色々不安で考えているときにお母さんとの生活が彼女にはかなり負担だったようだ。
俺と元旦那は彼女がお母さんと一緒に暮らすのはもう無理だろうと、この先彼女と子供の為にどうすればいいかを二人で話し合った。
端から見れば本当におかしな話かもしれない。元旦那とその元旦那から妻と子供を奪う事になった俺が彼女と子供の為に話し合っているんだから。
だがその時は俺も元旦那も、そんなこと考えられる状況ではなかった。
彼女は病院で処置を受けたあと過度の疲労と貧血などもあったので点滴を打ち寝ているようだ。彼女の子供はまだ保育園の時間だ。
元旦那はこのまま彼女達を彼女のお母さんと暮らすのは無理だろうから俺が早めに彼女達を迎えにこれないかと言ってきた。
勿論俺の方は大丈夫だと答えた。
元旦那と詳細を話し合い今月末には彼女達を迎えに行くことにした。その間元旦那と暮らしていたアパートに彼女達は戻る事になった。元旦那は自分の実家に住む。
彼女にもちゃんとどうしたいか聞かないと決められないが、とりあえずはこの方向でいくことにした。
病院からそのまま彼女達はアパートに戻った。彼女のお母さんはかなり反対したが、元旦那がなんとか説得したようだ。
電話で彼女に俺と元旦那とが話した内容を話した、彼女もそうしたいと言った。
『仕事先と保育園には明日すぐ言うよ、でもお母さんには何て言おう』
『そっか…お母さんきっと反対するだろうね』
『うん。絶対に許さないと思う。でも黙って行くのは…一応二人で報告したいと思うんだけど、でもKは色々酷いこと言われちゃうかもしれない』
『俺なら大丈夫だよ。気にしないで。一緒にお母さんに挨拶しよう』
『うん。ありがとう』
『飛行機とか取れて日にちが決まったら連絡するよ。不安もあるだろうけど、俺がついてるから。もうすぐ側にいってあげるから』
『そうだね。もう…すぐだよね。それまで頑張る。色々心配や迷惑かけてごめんね。ありがとう』
そう言うと電話を切った。
俺はすぐに航空券の予約サイトで予約した。仕事の都合もあるので二週間後になった。
彼女にはメールで知らせた。
元旦那にも一応伝えた。
いきなり急展開したが、彼女達と一緒になれる日が早まり嬉しい気持ちもあった。
会社にも4日ほど休みをお願いした。
迎えに行くための休みと、こっちに来てから生活に必要なお店など案内するために4日にした。
実は会社の社長には全てを話してあった。
離婚話の際に色々もめたりすることもあるだろうと思い、不倫の事もクビを覚悟で話したのだ。
幸いクビにはならず社長からは、家庭内の事だから口は出さない。だが仕事に支障をきたさないように早く解決しなさいと言われたのだった。
なので理由を話すとすぐに休みを取らせてくれた。
そして俺の親にも一応伝えておいた。
親も全ての事情を知っているので多少心配はしていたが、もうあなたも大人だしそこまで真剣なのは始めてみた。本当に本気なんだろうから私は口出しはしないよ。しっかりしてきなさい、と言われた。
彼女達を迎えに行くまで後数日になっていた。
とうとう彼女達を迎えにいく日が来た。
心なしか緊張していたが、彼女に会える嬉しさでいっぱいだった。
彼女にメールで今から出発することを伝えると、気をつけてね。と彼女は言った。
飛行機や電車を乗り継ぎやっと彼女の待つ駅へ着いた。
彼女は車で待っていた。
『K!こっちだよ。長い時間お疲れ様』
彼女が車の中から笑顔で手を振っていた。
俺は直ぐに向かい車に乗り込んだ。
そして彼女をぎゅっと抱きしめキスをした。
『M。会いたかった。病院に運ばれたこと聞いてずっと心配だったんだからな。俺はすぐに行ってやれないし、今日までどんなにいたたまれなかったか』
『ごめんね。本当にごめんなさい』
彼女もぎゅっと俺を抱きしめた。
『いやいいんだ。Mが元気ならそれで』
その後俺達は元旦那が待つ彼女のアパートに向かった。
子供は今日まで保育園に預けることになっているらしい。
アパートに着くと元旦那が待っていた。
車から降りると、どうも、と挨拶をした。
今日は彼女達の荷物をまとめて俺の家に宅配する予定だ。
元旦那もまだアパートに自分の荷物があるので次いでに手伝うと言った。
粗方荷物はまとまっていたので車に詰め込むだけだった。
だがその間元旦那はやたらと彼女に絡んでいた。
まるで俺に当て付けるように。
きっと元旦那はまだ彼女を好きなのだろう。
俺は気にせずに作業を続けた。
その時彼女が
『実は実家にも荷物があるんだよね』
と言った。
お母さんが居ると荷物は運び出せない。
どうしようかと話した結果、お母さんが夜パートに出ている間に取りに行くことにした。
その後、元旦那はちょっと仕事があるからと会社に戻った。
彼女が子供を迎えに行くと言ったので一緒に行くことにした。
彼女の子供に会うのは初めてだ。
彼女の子供はどう思うのだろうか。
保育園に着くと俺は車の中で待つことにした。
今日で最後なので彼女は色々先生と話しているようだった。
しばらくして彼女と彼女の子供(以後A君とする)が二人で手を繋いでこちらへ来た。
A君は俺を見ると
『こんにちは。誰?お友達?』
と少したどたどしいしゃべり方で聞いてきた。
『こんにちは。そうお友達かな』
と答えると、嬉しそうに、遊ぼうっ遊ぼうっと沢山話しかけてきた。
『じゃあA君のお家に帰ってからな』
と話すと
『ママっ早く帰ろう』
と彼女を急かしていた。
彼女は笑いながら
『は~い!出発しま~す』
と言って車を出した。
アパートに着くとA君は俺の手を引きオモチャを出してきた。
一生懸命にあれは何だよ、これは怪獣と説明してくれた。
A君は彼女に似ている。と言うか瓜二つだ。
なんだかやたらと気に入られたようで俺の側からずっと離れなかった。彼女もそれを嬉しそうに見ていた。
それから一時間ほどA君と遊んでいると、元旦那が帰ってきた。
A君は『パパお帰り~』と駆けていった。
元旦那は ただいまと言いながらA君を抱っこしてこっちにきた。
『Mのお母さんの仕事までまだ時間もあるし、とりあえず、ご飯とか食べないか?A君もお腹空いてるだろうし』
元旦那は俺とMを見ていった。
『ん~そうだね。でもこの四人でって…気まずくないの?』
彼女は俺と元旦那を交互に見ながらいった。
『俺は別に気にしないよ』
俺がそう言うと
『俺も気にしない。まだ話しておきたいこともあるし』
と元旦那が言った。
『じゃあ変な感じだけど皆で食べに行こう!私は○○に食べにいきたい』
と彼女が言った。
A君はKも行くの!?わーい。と喜んでいた。
変な組み合わせだが、こうして俺達四人は食事に行くことにした。
Mの車には俺とA君、元旦那は自分の車で出発した。
目的地に着くと、オシャレな感じの建物が見えた。
隠れ家的な雰囲気の居酒屋だった。
居酒屋と言っても内装やメニューを見ると、家族連れでも大丈夫そうな店だった。
A君はメニューを見て、あれがいいこれがいいとはしゃいでいた。
食事をしながら、元旦那は色々話してきた。
『もうそっちの事はちゃんと片付いた?』
『まあ、一応きちんとした』
『A君やMをちゃんと幸せにする約束だからな。もし二人が泣くようなことがあったら許さない、すぐに俺がいく』
『大丈夫。絶対に幸せにする』
『それと今日であの二人に会えるのは最後だから…俺はあのアパートに泊まろうと思う。それはいいか?勿論Mにはなにもしない。最後にA君と寝たいんだ。Mは離婚したらキッパリしたい、だからもう二度と会わない、A君にも悪いけど会わせる気はないと言われてるからさ。俺もA君の為には会わない方がいいって納得してるからさ』
元旦那は少し寂しそうに言った。
『わかりました。俺もホテルだし、MとA君二人よりは安心だから』
『ありがとう。まあとりあえず、ご飯食べよう』
そんな俺達のやり取りをA君にご飯を食べさせながら、Mが心配そうに見ていた。
食事が終わると丁度Mのお母さんの仕事の時間にになっていた。
俺達はMの実家にそのまま行くことにした。
- << 123 彼女の実家に向かう車の中で彼女が聞いてきた。 『さっきあの人と何話してたの?もしかしてなにか言われた…?』 『いや、向こうに行ってからの確認みたいなことを話しただけだよ。』 そう言うと 『そっか。ならいいんだけど。二人で離れて話してたからなんだか気になっちゃって』 と彼女が言った。 そんな会話をしてるうちに、すぐ彼女の実家に着いた。 道路脇に車を止めて、彼女がお母さんが居るか居ないか見に行った。 『もう仕事に行ったみたい』 そう言うと彼女は自宅に車を移動した。元旦那もすぐに来た。 A君は車から降りて彼女の実家にいる犬と遊び出した。 俺達は急いで二人の荷物を彼女に確認し、車に積み込んだ。 結構量はあったが、元旦那もいたので思ったよりスグに片付いた。 荷物の積み込みも終わったので帰ろうとしたときだった。 『あのさ、お母さんの仕事10時には終わるから、K会わない?』 『えっ?今日?いいけど、まだ8時だよ。』 『とりあえず、A君も寝せないといけないからさ、一度帰ってからまた二人で来たらどうかなって。明日じゃバタバタするかなと思ってさ』 『そっか。Mが言うなら俺は構わないよ。お母さんには会うつもりだったし』 すると元旦那も 『だね。お母さんには挨拶しといたほうがいいだろうね』 と言った。 とりあえず、一度アパートに帰ることにした。
>> 121
目的地に着くと、オシャレな感じの建物が見えた。
隠れ家的な雰囲気の居酒屋だった。
居酒屋と言っても内装やメニューを見ると、家族連…
彼女の実家に向かう車の中で彼女が聞いてきた。
『さっきあの人と何話してたの?もしかしてなにか言われた…?』
『いや、向こうに行ってからの確認みたいなことを話しただけだよ。』
そう言うと
『そっか。ならいいんだけど。二人で離れて話してたからなんだか気になっちゃって』
と彼女が言った。
そんな会話をしてるうちに、すぐ彼女の実家に着いた。
道路脇に車を止めて、彼女がお母さんが居るか居ないか見に行った。
『もう仕事に行ったみたい』
そう言うと彼女は自宅に車を移動した。元旦那もすぐに来た。
A君は車から降りて彼女の実家にいる犬と遊び出した。
俺達は急いで二人の荷物を彼女に確認し、車に積み込んだ。
結構量はあったが、元旦那もいたので思ったよりスグに片付いた。
荷物の積み込みも終わったので帰ろうとしたときだった。
『あのさ、お母さんの仕事10時には終わるから、K会わない?』
『えっ?今日?いいけど、まだ8時だよ。』
『とりあえず、A君も寝せないといけないからさ、一度帰ってからまた二人で来たらどうかなって。明日じゃバタバタするかなと思ってさ』
『そっか。Mが言うなら俺は構わないよ。お母さんには会うつもりだったし』
すると元旦那も
『だね。お母さんには挨拶しといたほうがいいだろうね』
と言った。
とりあえず、一度アパートに帰ることにした。
アパートに着くと、元旦那はちょっと仕事が残ってるから少しだけ行ってくると出ていった。
彼女はA君をお風呂に入れて寝かしつけた。
『A君楽しくていっぱいはしゃいだからすぐ寝ちゃったよ』
そう言いながら彼女がコーヒーをいれてくれた。
『そっか楽しかったならよかった。あのさ…M…本当に大丈夫?』
『?。何が大丈夫?』
『いや、今更だけどさ、A君の事とか、地元を離れることとか、本当は心配で不安なんじゃないかと思って』
俺がそういうと彼女は笑いながら答えた。
『そりゃあすっごくすっごく不安だよ。』
『…だよね』
『だけど、Kがいるじゃん。だからきっと大丈夫だって思う。向こうに行って絶対後悔しないかって言われたら、それは言い切れないしわかんない。でも、行かない方が後悔するってそう思うんだ。私やA君が辛かったり苦しかったりそんなこともあるかもしれない。だけどそれはこっちに居ても同じ。先に何が起こるか何てわかんない。今私達がこうなっちゃってるみたいに。だから、辛い事や苦しいこと、どうせ色々あるならKと一緒にいる方がいいと思ってる。それに……』
いいながら彼女が俺をジッと見つめた
『それにKが私達を守ってくれるからね』
そう言って彼女はニコッと笑った。
俺は彼女をぎゅっと抱き締めて言った。
『そうだ。守るよ。俺が二人を守って絶対に幸せにするから』
俺は彼女の言葉が嬉しかった。
こんな俺を信じてくれる。俺は彼女達を何がなんでも幸せにしようと思った。
暫くすると元旦那が帰ってきた。
『こんなときまで仕事でごめんな。A君はみておくから、お母さん所に今のうちに行っておけば?』
元旦那は彼女に言った。
『そうだね。じゃあ今から行ってくるよ』
彼女はそう言うと俺に軽く合図をして立ち上がった。
俺達が玄関を出ようとしたときに元旦那がこっちに来た。
『Mのお母さんは結構キツい人だけど、何を言われても、Mの為に、思ってることはちゃんと言った方がいいよ』
そう俺に言った。
俺は少し頷いて玄関を出た。
そして二人で彼女の実家に向かった。
彼女の実家に着くと、もうお母さんは帰宅していた。
彼女はかなり緊張していた。
『K…多分…きっとお母さんめちゃくちゃ怒るしかなりきついこと言うと思うけど…大丈夫?』
心配そうに俺に言った。
『大丈夫だよ。反対されるのも怒られるのも当然だし覚悟してるから。ちゃんと俺の気持ちを言うよ』
そう言って彼女を抱き締め車を降りた。
二人で家にはいるとお母さんが険しい顔でこっちを見た。
物凄い圧力を感じた。
彼女は顔がひきつっていたが、振り絞るように話だした。
『お母さん…あのさ…前にも言ったけど、私の好きな人で一緒になろうと思ってる人を連れてきた。怒ってるだろうけど、話だけでも聞いてほしい』
彼女の声は震えていた。
お母さんは黙ってこっちを睨んでいた。
10分くらい重い沈黙が続いたが、お母さんが口を開いた。
『何考えてる?A君はどうした。どこに連れていった?荷物はどうした?』
低い声で聞いてきた。彼女は黙ってうつむいていた。
『あんた達何なの?離婚する前から好きだなんだって。お前ものこのこ来てなんのつもりだよ』
そう言うとお母さんは俺を見た。
『本当にすみませんでした。でも二人の気持ちは変わらないんです。非常識なのもわかってます。本当にすみませんでした。ですが、Mさんの旦那さんとももう話し合って、俺と一緒にMさんとA君も行くことになりました』
俺がそう言うとお母さんはバンッと机を叩いた。
『許さないよそんなこと。絶対に許さんから。勝手に決めてバカにしてるのか!?話しもしないで荷物も運んで…』
そういったところで彼女が口を挟んだ。
『話しもしないでって言うけど、いつもお母さんは私の話しなんか聞いてくれないじゃん。理由も聞かずに怒るだけで。昔からそうだよ。お母さんは怒鳴って叩いて否定するだけ…だから私はお母さんに何にも言えなかった。怖くて従うだけだった。だけど私はお母さんの所有物でも人形でもない。確かに今回離婚になったり色々私が悪いけど、これは譲れない。私はKと行くって決めたんだから。』
彼女は泣きながら叫んだ。
『あんたの気持ちなんか知らん。何て言おうと許さないよ。行かせないから。あんたもその年で…娘を諭す立場でしょうがっ!』
お母さんは俺に怒鳴った。
『確かに諭して話し合わせるのが筋かもしれません。ですが、もう彼女は限界です。彼女もA君も絶対に幸せにします。それにこのままお母さんの側にいると彼女は益々…』
そこまで話すとお母さんが遮った。
『あんたの母親じゃない。お母さん何て言われる筋合いはない。何?お前は私のせいで娘がどうにかなるって言いたいの?何様だよ。』
俺が返そうとしたら彼女が言った。
『お母さんは何も知らないくせに。知ろうともしないくせに。お母さんと一緒にいると毎日気を使って怒らせないようにって。弱音をはいたらダメだって。離婚の話しもしたくても出来なかった。怖くて怖くて仕方ないから。お母さんといると死にたくなるんだよ。産まれてこなければよかったって思いながら私は生きてきたんだよ。今日はお母さんの許可を貰いに来た訳じゃない。ただいっておきたかっただけ。言わずに行ってKを悪く言われたくないから。お母さんにわかってもらおうなんて思ってない。今までわかってくれたことないんだから。』
泣きながらそう言うと彼女は俺の腕をつかんで立ち上がり玄関へ向かった。
俺はお母さんに頭を下げて玄関を出た。
後ろから『絶対に許さないよ』と言うお母さんの声が聞こえてきた。
彼女は急いで車を出した。
少し行ったところに公園があり彼女はそこに車を止めた。
そして声を殺して泣いていた。
『Mは頑張ったよ。』
俺はそう言って抱き締めることしかできなかった。
暫くして彼女も落ち着いてきた。
『なんか…ごめんね。もっとちゃんとお母さんと話したかったんだけど…』
『うん。わかってるから。俺もちゃんと話せなくてごめん。』
その後二人で彼女のアパートに戻った。
彼女の元旦那にあらかた話をした。
元旦那は『まあMのお母さんはね…』と言った。
そして元旦那は実家に帰り、俺は彼女にまた明日と言ってホテルへと戻った。
次の日元旦那も仕事を休んで残りの荷物を車に積む手伝いをしてくれた。
心なしか表情は暗い。
A君は相変わらず楽しそうだった。今から飛行機に乗るんだよ、と彼女が言うと、A君は大喜びして早く早くと彼女を急かした。
荷物も全て積み終わりお昼になった。
また四人で近くのレストランに食べにいくことにした。
元旦那はずっとA君と彼女を眺めていた。その眼差しはとても愛しいものを見る目だった。
食べ終わると、俺と彼女とA君はそのまま発つことにした。荷物も宅配の手続きをしなければならないからだ。
元旦那は彼女と少しだけ話したいと言って二人で先に駐車場に向かった。
俺はA君にデザートを頼んであげ、お子様ランチについていたオモチャで遊びながら二人を待った。
だいたい15分程で二人は戻ってきた。
会計を済ませ外に出る。
彼女とA君が俺の車に乗り込む。
無邪気なA君は状況もあまりわかっていないので
『パパばいば~い』
とまだたどたどしい喋りで小さな手を振る。
彼女は窓越しに
『本当にごめんね…。今まで…ありがとう。体調に気を付けてね。いつも言ってるけど、一人で頑張りすぎて無理しないでね。』
元旦那は
『そっちも元気で。幸せに……出来なくて…ごめん。だけどMと結婚できてよかった。いつも人のことばかり心配して気遣って…自分は倒れたりするから、そっちこそ…これからは…ちゃんと彼に頼るんだよ。今までありがとう』
元旦那は泣いていた。
俺は
『じゃあもう出発するから…』
と言ってゆっくり車を出した。
元旦那はずっと見えなくなるまでこちらを見ていた。
A君は楽しそうに手を振っていた。
彼女は複雑な顔をしていたが、俺の手をぎゅっと握りしめて笑った。
A君ははしゃいで疲れたのかすぐに寝てしまった。
彼女はずっと俺の手を握りしめて『絶対に幸せになろうね』と言った。
これから先のこと色々不安もあるだろう。元旦那の事も決して全然平気と言うわけではないと思う。
だが周りを傷付けてまで選んだ道だから、彼女はそう言ったんだろうと思った。
暫くすると彼女がさっき駐車場で元旦那と話したことを話始めた。
『さっき元旦那と駐車場で話したんだけど、何かあったら助けるからって。困った時は連絡してってさ。後は養育費を払わせてくれって。いいって言ったけど、どうしてもって。Kも養育費払うからそれで生活大変になるかもしれないからって。私達が苦労するのは嫌だからって。それと…必ず幸せになれって…』
『そっか…』
俺は言葉が見つからなかった。
空港に着くとA君は起きた。飛行機を見に一緒にデッキに行った。
A君はひこうちーと喜んでいる 。
すぐに時間になり飛行機に搭乗した。
離陸時の凄い音にA君は少し怖がっていたが、上空にあがり下が見えてくると、わぁーと楽しそうだった。
飛んでいる間A君はずっと俺の膝の上ではしゃいでいた。
Mは疲れたのか気付いたら眠っていた。
羽田空港に着いて車に乗り 家へと向かった。
少し渋滞していたので一時間40分程かかった。
家は俺が前の家族と住んでいた家。
この頃の俺は、この家に住むことで彼女がどんな気持ちになるか…そこまで考えが及ばなかった。 彼女もまた初めはそこまで気にしていなかった…。
家に着くと買ってきたご飯を食べ、皆でお風呂に入った。
A君は、お風呂が大好きらしく長く入っていた。
流石にこの日は皆疲れていたのですぐに眠りについた。
こうして俺と彼女とA君の三人の生活が始まった。
※この後どんなことがあり、今どうなっているのか書くか迷っています。
仕事もありすぐに更新は出来ないので。 もし書くとしたら新たにスレ立てします。
とりあえず一区切りここまで読んでくださりありがとうございました。
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