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雪女M

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旅人( ♂ )
13/03/06 18:25(更新日時)

妖怪が登場する小説を書いてる人が、まだいないみたいなので、書いてみようと思います

エロ描写、少し含みます

No.1917319 13/02/20 08:08(スレ作成日時)

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No.1 13/02/20 08:23
旅人0 ( ♂ )

夕食が終わり、妻は台所で食器を洗っている

結婚してもうすぐ7年になるが、俺は前から妻に言おうと思っていた事があった

それを今日言おうと思う

俺は妻が洗い物を終えるのを、長いソファーに座って待っていた

妻がリビングに入って来て、俺の隣に座った

『テレビ何見よっか?』

テレビのリモコン・コントローラを手に取る妻の手を抑え、俺は言った

『お前、雪女だろ?』

No.2 13/02/20 08:28
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妻の美しく優しい顔が、みるみる凄まじい形相に変わった

長い髪が逆立ち、目と眉はつり上がり、そのまま宙に浮き上がり、恐ろしい目で俺を見下ろすように睨み付けた

だが、凄まじい形相になっても、美しい事には変わりなかった

No.3 13/02/20 08:35
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妻はトレーナーとデニムのスカートだった筈だが、形相が変わったと同時に、白い着物姿になっていた

俺は、形相が変わっても美しい妻の顔を見上げながら思った

(あの時と同じだ)

No.4 13/02/20 09:00
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>> 3 大学4年の冬、テレビでやってた高倉健主演の【八甲田山】を観て感化された俺は、友人である柔道部の田之倉を誘って雪山に登った

途中まで登った所に、小さな山小屋があったので、俺達は休憩する事にした

ドアは鍵が掛かってなかった

中に入ると、エアコンが設置してあった

そしてテーブルと、テーブルを挟んで向かい合うように、長椅子が置いてあった

田之倉は『寒い寒い』と言いながらエアコンのスイッチを付けた

ふとテーブルを見ると、置き手紙があった

『管理人は3時頃に帰ってきます。出る時は、エアコンのスイッチを消して出て下さい。タバコを吸った場合は火の始末も忘れずにお願いします』

No.5 13/02/20 10:56
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>> 4 疲れてたので、俺達は寝る事にした

俺と田之倉は、テーブルを挟んで置いてある、それぞれのソファーに横になった

100㎏を越える田之倉の身体は、完全にソファーからはみ出していた

暫くしたら、田之倉はイビキをかき出した

デブは寝るのが早い

No.6 13/02/20 11:08
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だが、俺は寝付けなかった

田之倉のイビキのせいだ

取り敢えず目をつむって、睡眠を試みた

眠れなくてイライラしてる所に、若い女の声が聞こえた

『何?この男。デブでキモい。臭いし。殺しちゃえ😄』

No.7 13/02/20 11:33
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>> 6 俺は飛び起きて、田之倉の方を見た

白い着物を着た女が、寝ている田之倉に息を吹き掛けていた

田之倉の顔は急に蒼白になり、身体が一瞬ピクっと動いたと思ったら、そのまま動かなくなった

俺は恐怖で固まった

そして女は俺の方を向いた

No.8 13/02/20 11:56
旅人0 ( ♂ )

>> 7 俺は恐怖に震えた

友人に危害を加えたこの女に対する怒りより、恐怖の方が先に立った

女は、上半身のみ起き上がり震えている俺に近付いてきた

俺の恐怖は最高潮に達した

女は俺の顔まで10㎝ほどまで、自分の顔を近付けてこう言った

『カッコいい❗😄殺すの勿体ないなー?』

No.9 13/02/20 12:25
旅人0 ( ♂ )

>> 8 そう言った後、女は宙に浮いた

髪の毛は逆立ち、凄まじい形相に変わりながらも、美しさを保ったまま

そして女は俺を見下ろしこう言った

『お前は命を助けてやる。だけど、この事は誰にも言うな。もし誰か1人にでも喋ったらお前の命は無いと思え』

No.10 13/02/20 13:14
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>> 9 俺は頷くのがやっとだった

女は俺をしばらく見つめた後、すうっと消えた

(雪女・・・?)

俺は茫然して、しばらく動けなくなった

まるで、民話伝承のままだ

あの話は実話だったのか?

信じられない

だが俺はこの怪現象に直面してしまった

この目で見た以上、信じるしかない

No.11 13/02/20 13:28
旅人0 ( ♂ )

俺はそこまでを思い出しながら、変化した妻をじっと見ていた

『誰かにしゃべったら殺すと言ったわよね?でも貴方を殺す事なんか出来ない。でも知られてしまった以上もう傍にはいれない』

妻は俺を睨み付けながら、悲しそうに言った

俺は妻を見上げて、落ち着いて言った

『お前が人に言うなって言ったのは、山小屋の件での詳細だろ?俺はお前に、雪女だろ?って聞いただけだぜ』

『あっ❗私ったら・・・』

『いいから座れ』

俺はさっきまで妻が座っていた辺りを顔で促して、妻を座らせた

No.12 13/02/20 14:48
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>> 11 妻は俺の横に座った

『いつから気付いてたの?』

『最初から』

俺は当然のように答えた

『じゃあずっと私を騙して・・・』

『おいおい・・・別に嘘ついてた訳じゃないだろ?言わなかっただけだ。聞かれりゃ正直に気付いてるって答えたさ』

妻は黙って下を向いた

『ところで』

そう言うと、俺は妻の肩を抱き寄せた

『お前、俺からいなくなろうとしてたのか?』

『だって、正体を知られたら・・・』

『そんな規則でもあんのか?お前らの世界は?』

『そうじゃないけど、お約束って言うか・・・』

そこまで言った所で、俺は強引に妻の唇を奪った

No.13 13/02/20 15:19
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>> 12 『うっう~ん』

妻は、感じてるのか苦しいのか判らないような呻き声をあげた

俺はしばらくしたら、押し付けた唇を離して言った

『俺から逃げようとするなんて、悪い子だね?お仕置きが必要だな?』

『え⁉あなた・・・許して💦リビングじゃ嫌・・・お客さんが来たら・・・恥ずかしい』

『駄目だ・・・許さない。こんな時間に誰が来るんだよ?』

No.14 13/02/20 15:54
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>> 13 俺はそう言うと、妻の着物の襟を左右に大きく開き、胸を露出させた

『い・・・嫌・・』

妻はそう言ったが、俺は構わず右手で乳房を荒々しく掴んだ

そして、左手を着物の帯の下から入れ、内腿を膝から秘部に向かって沿うように、指で撫でた

『や・・・止めて・・・』

No.15 13/02/20 16:38
旅人0 ( ♂ )

俺の指は、内腿を撫で上げて秘部に到着した

俺は指の先を、女の大事な所へ押し込んだ

『あ・・あん』

妻は溜め息のような声を上げた

さらに深く指を入れる

『嫌・・・許して』

妻は、俺のジャージの袖を強く握りしめた

No.16 13/02/20 16:57
旅人0 ( ♂ )

だが、俺は責めるのを止めない

(巳之吉さんよ。あんた甘かったな?民話伝承じゃ、あんたはお雪さんがあの時の雪女って事に気付かずに、うっかり言っちまった事になってるが、本当はとっくに気付いてたんだろ?だが、殺される事を怖れて言えなかった。いや、本当は殺される以上に、お雪さんを失う事を怖れていた。だけど、あんたは確かめずにいられなかったんだ。自分が愛されてるかどうかを。築いてきた夫婦の絆を。もし、この事を言ってしまっても、お雪さんは今まで通り自分の妻で、そして子供達の母親でいてくれるかどうかを。でもあんたは重大な思い違いをしていた。確かにあんたは、お雪さんと愛し愛される夫婦関係を築いた。子供達にも恵まれた。相手が人間の女だったらそれで良かっただろう。俺の妻も雪女だ。そして俺は、この妻を愛している。絶対手放したくない。だけど雪女なんだ。人間の女と違い、普通の相思相愛関係じゃ駄目なんだ。完全に言いなりにしないと駄目なんだ。そうしないと、いつか別れる日が来るんだよ。そう、完全に言いなりにするんだ)

No.17 13/02/20 18:37
旅人0 ( ♂ )

>> 16 昨夜は少し攻めすぎたようだ

あれから俺達は、ソファーの上で愛し合った

全てが終わると、俺はぐったりした妻を抱き抱えて、寝室に運んで、同じベッドで一緒に眠った

朝は俺の方が早く起きた

俺はソファーに座ると煙草に火を着けた

吸い終わると、俺はシャワーを浴びた

たまには会社に顔でも出すか

浴室から出ると、身体を拭いてトランクスを穿いて、ドライヤーをかけた

『疲れただろ?今日は1日休んでて良いから。家事もやらなくていい。苛め過ぎてごめんな』

俺は、そう書いたメモ用紙をテーブルの上に置いた


洋服ダンスから、黒いロンドン製のモッズ・スーツを取りだし、まずスラックスを穿いた

黒いYシャツにネクタイはせず、ジャケットを羽織って、玄関からマンションの通路に出てエレベーターのある方向に向かった


第一部 完

No.18 13/02/23 00:40
旅人0 ( ♂ )

第二部 【姑獲鳥(うぶめ)】

エレベーターで1階まで降りると、マンションの駐車場へ行って、黒いセダンに乗り会社へ向かった




『あっ社長。おはようございます』

経理の女子社員が、驚いたように俺に挨拶した

【(株)村丘労働支援事務所】

これが俺の会社の名前

そして社長が俺、村丘友也だ

業種は人材派遣業

取引先の企業は、ほとんどが土木建築の業者だ

No.19 13/02/23 17:08
旅人0 ( ♂ )

>> 18 要は作業現場に作業員を送り込む会社である

この会社は俺の親父が立ち上げた

昔は、現場作業員の手配なんか、普通にヤクザの仕事だった

だから俺は、生まれた時から、周りにヤクザがいる環境で育った

親父はヤクザじゃなかったが、ヤクザからも【くされ外道】と呼ばれた男だった

そんな親父も5年前、俺が27の時に肺癌で死んだ

酒、女、喧嘩、博打、この世の放蕩の限りを尽くした、55年の太く短い生涯だった

お袋はまだ健在だ

去年、俺の妹に子供が生まれた

妹は仕事をしている為、妹夫婦は共稼ぎの家庭だ

お袋は、孫の面倒を見る為に、他県にある妹夫婦の家に住んでいる

つまり、現在俺は、妻と二人で暮らしている

No.20 13/02/23 17:33
旅人0 ( ♂ )

>> 19 事務所のドアが開いて、初老の男が入って来た

親父の代から、作業員の管理を任されているシゲさんだった

『おう❗ボンじゃねえか⁉珍しいな?ここ(事務所)に顔出すなんて』

俺をガキの頃から知ってるシゲさんは、俺をボンと呼ぶ

今は穏やかな物腰だが、かつては、東友会田島連合酒竹組の若頭だった

親父の仕事を手伝うようになった時は、まだ現役の組員だったが、かねてからの暴対法と労働基準法の一部改正により、当局にうちの会社が目を付けられ始めたのをきっかけに、カタギになった

『ボンよ。酒竹はもう駄目かもな?』

シゲさんは、唐突に言った

No.21 13/02/23 18:10
旅人0 ( ♂ )

>> 20 『そういや酒竹の組員が、次々に3人も殺られてるもんな?犯人は未だに判らないそうだね?シゲさんが、いた組だもんな?やっぱり気になるかい?』

『いや、俺はもうカタギだ。気にしたってしょうがねえ。しかしよう、二代目まで、次は俺の番だってブルブル震えてんだから、情けねえや』

『て事は、樋川(2代目の名前)さんは、犯人が誰か薄々気付いてるって事なのかな?』

『ボンよ。まぁ座って話そうや』

俺とシゲさんは、事務所のソファーに向かい合って座った

『いや、犯人を知ってるんなら、とっくに組員に捕まって何処かに埋められてるだろ?(笑)そうじゃなくて、今回殺られた3人ってのは、去年、河合を殺した連中なんだよ。だから河合の祟りだ!祟りだ!って、大騒ぎしてんだってよ。情けねえ』

『本当かよ?でもそれじゃあ樋川さんは、次は自分の番だって思っても仕方ないよな』

『ああ、だけど元々二代目が全部悪いんだけどな?』

No.22 13/02/23 20:12
旅人0 ( ♂ )

>> 21 シゲさんは、やるせ無さそうに呟いた

河合洋一、酒竹組若頭補佐だった

歳は俺の5つ上だった

十代の頃は暴走族でかなり名の知れた存在だった

そして、河合の入ってた暴走族チームに月々守代を払わせ、面倒を見てたのが酒竹組だった

よくある、ヤクザによる不良少年グループのケツ持ちって奴だ

俺もガキの頃誘われたチームだが、いわゆる【バックにヤクザが付いている】という枕詞が嫌いで、そういうグループには属さない事に決めていた

ヤクザが暴走族のケツ持ちをやるのは、金の為もあるが、それだけではない

若い構成員の確保という意味合いもある

河合は、暴走族からヤクザという極めてオーソドックスな流れで酒竹組に入った

その時はシゲさんはまだ現役だった

No.23 13/02/23 20:52
旅人0 ( ♂ )

>> 22 そして河合は、30歳で若頭補佐となった

推薦したのは当時若頭だったシゲさんだ

しかし、4年前に河合の人生を暗転させる事件が起きた

河合は組長の樋川の命令で、風俗店のオーナーを脅した

いきさつは、県警の暴力団追放月間に伴い、当局が風俗・飲食店に対してミカジメ料を払うなと通達した事で、この風俗店オーナーが酒竹組と縁を切りたいと言った事が要因だ

2、3発殴っただけだったが、ヤクザ3割増と言われる司法の価値観のせいで、執行猶予なしの1年実刑となった

警察は教唆した樋川組長逮捕までいきたかったが、河合はガンとして口を割らず、樋川はこの件に関しては逮捕されなかった

No.24 13/02/24 15:29
旅人0 ( ♂ )

>> 23 この頃はシゲさんはすでに引退していたから、この件に関与する事はなかった

しかしこの時ばかりは、シゲさんはカタギになった事を酷く後悔したという

そして本当の悲劇の始まりは1年後、河合の出所後に起きた

No.25 13/02/26 00:57
旅人0 ( ♂ )

>> 24 出所してすぐ、河合は妻の絵美子が待つマンションへ帰った

そして、逮捕前と同じように暮らしていた

出所したばかりの時に、シゲさんの所に、河合から電話があったという

『一応叔父貴(シゲさんの事)にも報告入れようと思ってさ』

『んな、気い使うこたぁねえよ。俺はもうカタギで、ただのジジィだぜ』

『いやぁ、俺にとっちゃ例えカタギになっても世話になった叔父貴だよ』

『ハハハ・・・喜んで良いのか悪いのか判らねえが、取り敢えずありがとうよ』

『本当に叔父貴が二代目取りゃ良かったのにさ』

『おいおい、あんまり滅多な事言うもんじゃねえぞ。今のオメエの親分は二代目(樋川)だろ?』

『そうなんだけどさ、俺はあいつのせいで、懲役行ったってのに、あの野郎、出て来たら何でも面倒見るとか言ってたくせに、実際は俺の顔を見て御苦労って言っただけだぜ』

『いいか洋一。親分の為に懲役行くとか、親分の為に警察で自供しないなんて、ヤクザやってりゃ当たり前の事だろ?当たり前の事やっただけなんだから、そんなに期待しちゃいけない』

そう電話で言ったシゲさんも、本当は、短気の河合が暴走しない為に諌めたらしく、実はシゲさん自身も樋川に対しては、この時かなり、強い不信感を持ったらしい

No.26 13/02/26 15:52
旅人0 ( ♂ )

>> 25 ある日、河合は妻の絵美子を連れて、スーパーに買い物に来ていた

そこに偶然、東友会と友好関係にある、飯田連合の直系組織である桑名組の幹部、西田に会った

『お❗東友会の酒竹さんとこの河合さんじゃねえか⁉』

『え⁉ああ、あんたは、桑名さんとこの ・・・久しぶりだな?』

河合と西田は特別親しいわけでもなかったが、所属してる団体が友好組織という事もあり、お互い挨拶程度は交わすくらいの間柄ではあった

西田は、河合と絵美子が、まるで夫婦のように寄り添うのを見て、少し訝しげな顔をして、辺りを見渡して小声で言った

『河合さんよぉ。いくら樋川さんの為にムショに潜ってたって言ったって、親分の女とあんまりイチャついてんのはうまくねえんじゃねえか?ここだって誰が見てるか判んねえぜ』

その途端に絵美子が逃げようとした

河合はその腕を掴んで、絵美子を引き寄せた

『絵美子‼てめえ、どういう事だ⁉説明しろや❗』

『ご・・・ごめんなさい』

河合は力任せに絵美子の頬をひっ叩いた


事情を察した西田は、余計な事を言ってしまったと思ったのだろう
『俺、今日、月の定例会で事務所に顔出さなくちゃいけねえから、けぇるわ』
とそそくさに、この場から消えた

No.27 13/02/26 19:16
旅人0 ( ♂ )

>> 26 シゲさんはこの話を河合本人から聞いていたが、俺も人から伝え聞き知っていた

『しかし河合もシゲさんにせっかく電話で諭されたのに、すぐ後からこんな話が出てきたんじゃなぁ?』

『案の定、また野郎から、電話が掛かってきやがってな。叔父貴には悪いけど、あの外道だけは絶てぇ許さねえ‼って、すげえ剣幕でよ』

『まぁ、そうだろうなぁ』

『絵美子はあれからマンションに帰った後、河合からボコボコにされて追い出されてな。次の日顔腫らして、酒竹の事務所に行って樋川に泣き付きやがったらしい。それで、未だに愛人関係続けてるってんだから、良いタマだよなぁ?』

『全く、挙げ句の果てに殺られたんだから、河合も浮かばれないよな?』

『確かに洋一もあんな事しでかしちまったんだから、タダ済むわけはねえんだが』

『だけど、俺も河合の立場ならああしたかも知れねえな?』

『まぁボンも、あの狂犬病の息子だからな(笑)』

シゲさんは懐かしそうに、そう言った

シゲさんの言った【あんな事】の内容はこうである

頭に血が登った河合は、絵美子を追い出した次の日の夜、自宅から出てベンツに乗った樋川を追跡した

ベンツの助手席には、顔中に絆創膏やガーゼを貼った絵美子が乗っていた

河合は、二人が乗ったベンツを自分の車で追跡した


ベンツは、人通りのない湖畔のラブホテルの敷地内に入った

河合は敷地内まで追わず、樋川の位置からは、フェンスに隠れて見えない場所に路駐して、車から降りた

そのホテルは部屋ごとに個別に車庫があり、車庫から直接部屋に入れるタイプのもので、その車庫のシャッターが開いてるというのが、その部屋が空いてるという目印だった

樋川はシャッターの開いてる車庫の中の1つに、車を突っ込んだ

そして暫くすると、機械音が鳴り、シャッターが降り始めた

No.28 13/02/26 19:58
旅人0 ( ♂ )

>> 27 それを見た河合は全速力で走り、閉まり始めたシャッターを掻い潜って車庫に飛び込んだ

そして、シャッターボタンの前にいた樋川を、出刃包丁で刺した

樋川はすぐに河合だと判った

『よ・・洋一・・・て・・てめえ・・』

『キャー❗』
絵美子が悲鳴を上げた

洋一は絵美子を睨み付けた

絵美子はガタガタ震えている

しかし、河合は絵美子には構わず、すでに半分以上閉まっているシャッターの下を、身を屈めて潜って外に出た

外に出ると間もなく、完全にシャッターは閉まった

河合は車に飛び乗り、そのまま逃走した

No.29 13/02/28 22:31
旅人0 ( ♂ )

>> 28 樋川のケガは大した事はなく、全治2週間ほどだったらしい

しかし樋川の怒りは激しく、当然の事ながら、次の日から酒竹組による河合の捜索が始まった

ホテルの従業員には、樋川が固く口止めをした

もともと酒竹組の息がかかってるラブホだから、その辺は容易かったようだ

ラブホで子分に刺されたなんて噂が広まったら、大恥である

警察には知らせず、酒竹組だけで探す必要があった


しかし、捜索は難航を極めた

先代の酒竹組長時代から、高利貸しを主な凌ぎにしていた酒竹組は、人の捜索は得意としていた組だった

しかし1年過ぎても、全く河合の手掛かりは掴めなかった

No.30 13/03/06 18:25
旅人0 ( ♂ )

>> 29 しかし去年の秋頃、中年の男が二人、警察に自主してきた

二人は取り調べに素直に応じ、遺棄した場所も簡単に吐いた

供述通り、山中を捜索した所、河合の死体が発見された

手の爪は全て剥がされ、歯は全部折れ、身体中が骨折し、両耳は切断されていた

最後に逆さ吊りで射撃の的にされた時に、頭をブチ抜かれたのが直接の死因だった

頭の他にも、身体中数ヵ所に38口径で撃ち抜かれた穴が開いていた

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