雪女M
妖怪が登場する小説を書いてる人が、まだいないみたいなので、書いてみようと思います
エロ描写、少し含みます
だが、俺は責めるのを止めない
(巳之吉さんよ。あんた甘かったな?民話伝承じゃ、あんたはお雪さんがあの時の雪女って事に気付かずに、うっかり言っちまった事になってるが、本当はとっくに気付いてたんだろ?だが、殺される事を怖れて言えなかった。いや、本当は殺される以上に、お雪さんを失う事を怖れていた。だけど、あんたは確かめずにいられなかったんだ。自分が愛されてるかどうかを。築いてきた夫婦の絆を。もし、この事を言ってしまっても、お雪さんは今まで通り自分の妻で、そして子供達の母親でいてくれるかどうかを。でもあんたは重大な思い違いをしていた。確かにあんたは、お雪さんと愛し愛される夫婦関係を築いた。子供達にも恵まれた。相手が人間の女だったらそれで良かっただろう。俺の妻も雪女だ。そして俺は、この妻を愛している。絶対手放したくない。だけど雪女なんだ。人間の女と違い、普通の相思相愛関係じゃ駄目なんだ。完全に言いなりにしないと駄目なんだ。そうしないと、いつか別れる日が来るんだよ。そう、完全に言いなりにするんだ)
>> 16
昨夜は少し攻めすぎたようだ
あれから俺達は、ソファーの上で愛し合った
全てが終わると、俺はぐったりした妻を抱き抱えて、寝室に運んで、同じベッドで一緒に眠った
朝は俺の方が早く起きた
俺はソファーに座ると煙草に火を着けた
吸い終わると、俺はシャワーを浴びた
たまには会社に顔でも出すか
浴室から出ると、身体を拭いてトランクスを穿いて、ドライヤーをかけた
『疲れただろ?今日は1日休んでて良いから。家事もやらなくていい。苛め過ぎてごめんな』
俺は、そう書いたメモ用紙をテーブルの上に置いた
洋服ダンスから、黒いロンドン製のモッズ・スーツを取りだし、まずスラックスを穿いた
黒いYシャツにネクタイはせず、ジャケットを羽織って、玄関からマンションの通路に出てエレベーターのある方向に向かった
第一部 完
>> 18
要は作業現場に作業員を送り込む会社である
この会社は俺の親父が立ち上げた
昔は、現場作業員の手配なんか、普通にヤクザの仕事だった
だから俺は、生まれた時から、周りにヤクザがいる環境で育った
親父はヤクザじゃなかったが、ヤクザからも【くされ外道】と呼ばれた男だった
そんな親父も5年前、俺が27の時に肺癌で死んだ
酒、女、喧嘩、博打、この世の放蕩の限りを尽くした、55年の太く短い生涯だった
お袋はまだ健在だ
去年、俺の妹に子供が生まれた
妹は仕事をしている為、妹夫婦は共稼ぎの家庭だ
お袋は、孫の面倒を見る為に、他県にある妹夫婦の家に住んでいる
つまり、現在俺は、妻と二人で暮らしている
>> 20
『そういや酒竹の組員が、次々に3人も殺られてるもんな?犯人は未だに判らないそうだね?シゲさんが、いた組だもんな?やっぱり気になるかい?』
『いや、俺はもうカタギだ。気にしたってしょうがねえ。しかしよう、二代目まで、次は俺の番だってブルブル震えてんだから、情けねえや』
『て事は、樋川(2代目の名前)さんは、犯人が誰か薄々気付いてるって事なのかな?』
『ボンよ。まぁ座って話そうや』
俺とシゲさんは、事務所のソファーに向かい合って座った
『いや、犯人を知ってるんなら、とっくに組員に捕まって何処かに埋められてるだろ?(笑)そうじゃなくて、今回殺られた3人ってのは、去年、河合を殺した連中なんだよ。だから河合の祟りだ!祟りだ!って、大騒ぎしてんだってよ。情けねえ』
『本当かよ?でもそれじゃあ樋川さんは、次は自分の番だって思っても仕方ないよな』
『ああ、だけど元々二代目が全部悪いんだけどな?』
>> 21
シゲさんは、やるせ無さそうに呟いた
河合洋一、酒竹組若頭補佐だった
歳は俺の5つ上だった
十代の頃は暴走族でかなり名の知れた存在だった
そして、河合の入ってた暴走族チームに月々守代を払わせ、面倒を見てたのが酒竹組だった
よくある、ヤクザによる不良少年グループのケツ持ちって奴だ
俺もガキの頃誘われたチームだが、いわゆる【バックにヤクザが付いている】という枕詞が嫌いで、そういうグループには属さない事に決めていた
ヤクザが暴走族のケツ持ちをやるのは、金の為もあるが、それだけではない
若い構成員の確保という意味合いもある
河合は、暴走族からヤクザという極めてオーソドックスな流れで酒竹組に入った
その時はシゲさんはまだ現役だった
>> 24
出所してすぐ、河合は妻の絵美子が待つマンションへ帰った
そして、逮捕前と同じように暮らしていた
出所したばかりの時に、シゲさんの所に、河合から電話があったという
『一応叔父貴(シゲさんの事)にも報告入れようと思ってさ』
『んな、気い使うこたぁねえよ。俺はもうカタギで、ただのジジィだぜ』
『いやぁ、俺にとっちゃ例えカタギになっても世話になった叔父貴だよ』
『ハハハ・・・喜んで良いのか悪いのか判らねえが、取り敢えずありがとうよ』
『本当に叔父貴が二代目取りゃ良かったのにさ』
『おいおい、あんまり滅多な事言うもんじゃねえぞ。今のオメエの親分は二代目(樋川)だろ?』
『そうなんだけどさ、俺はあいつのせいで、懲役行ったってのに、あの野郎、出て来たら何でも面倒見るとか言ってたくせに、実際は俺の顔を見て御苦労って言っただけだぜ』
『いいか洋一。親分の為に懲役行くとか、親分の為に警察で自供しないなんて、ヤクザやってりゃ当たり前の事だろ?当たり前の事やっただけなんだから、そんなに期待しちゃいけない』
そう電話で言ったシゲさんも、本当は、短気の河合が暴走しない為に諌めたらしく、実はシゲさん自身も樋川に対しては、この時かなり、強い不信感を持ったらしい
>> 25
ある日、河合は妻の絵美子を連れて、スーパーに買い物に来ていた
そこに偶然、東友会と友好関係にある、飯田連合の直系組織である桑名組の幹部、西田に会った
『お❗東友会の酒竹さんとこの河合さんじゃねえか⁉』
『え⁉ああ、あんたは、桑名さんとこの ・・・久しぶりだな?』
河合と西田は特別親しいわけでもなかったが、所属してる団体が友好組織という事もあり、お互い挨拶程度は交わすくらいの間柄ではあった
西田は、河合と絵美子が、まるで夫婦のように寄り添うのを見て、少し訝しげな顔をして、辺りを見渡して小声で言った
『河合さんよぉ。いくら樋川さんの為にムショに潜ってたって言ったって、親分の女とあんまりイチャついてんのはうまくねえんじゃねえか?ここだって誰が見てるか判んねえぜ』
その途端に絵美子が逃げようとした
河合はその腕を掴んで、絵美子を引き寄せた
『絵美子‼てめえ、どういう事だ⁉説明しろや❗』
『ご・・・ごめんなさい』
河合は力任せに絵美子の頬をひっ叩いた
事情を察した西田は、余計な事を言ってしまったと思ったのだろう
『俺、今日、月の定例会で事務所に顔出さなくちゃいけねえから、けぇるわ』
とそそくさに、この場から消えた
>> 26
シゲさんはこの話を河合本人から聞いていたが、俺も人から伝え聞き知っていた
『しかし河合もシゲさんにせっかく電話で諭されたのに、すぐ後からこんな話が出てきたんじゃなぁ?』
『案の定、また野郎から、電話が掛かってきやがってな。叔父貴には悪いけど、あの外道だけは絶てぇ許さねえ‼って、すげえ剣幕でよ』
『まぁ、そうだろうなぁ』
『絵美子はあれからマンションに帰った後、河合からボコボコにされて追い出されてな。次の日顔腫らして、酒竹の事務所に行って樋川に泣き付きやがったらしい。それで、未だに愛人関係続けてるってんだから、良いタマだよなぁ?』
『全く、挙げ句の果てに殺られたんだから、河合も浮かばれないよな?』
『確かに洋一もあんな事しでかしちまったんだから、タダ済むわけはねえんだが』
『だけど、俺も河合の立場ならああしたかも知れねえな?』
『まぁボンも、あの狂犬病の息子だからな(笑)』
シゲさんは懐かしそうに、そう言った
シゲさんの言った【あんな事】の内容はこうである
頭に血が登った河合は、絵美子を追い出した次の日の夜、自宅から出てベンツに乗った樋川を追跡した
ベンツの助手席には、顔中に絆創膏やガーゼを貼った絵美子が乗っていた
河合は、二人が乗ったベンツを自分の車で追跡した
ベンツは、人通りのない湖畔のラブホテルの敷地内に入った
河合は敷地内まで追わず、樋川の位置からは、フェンスに隠れて見えない場所に路駐して、車から降りた
そのホテルは部屋ごとに個別に車庫があり、車庫から直接部屋に入れるタイプのもので、その車庫のシャッターが開いてるというのが、その部屋が空いてるという目印だった
樋川はシャッターの開いてる車庫の中の1つに、車を突っ込んだ
そして暫くすると、機械音が鳴り、シャッターが降り始めた
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