妻として嫁として、そして母として・・
『結婚しよう・・』
紆余曲折ありながらも3年付き合ってきた彼からのプロポーズ。 断る理由は無かった・・自然な流れ。
結婚て、タイミング。 あの時思い切ってなければ、違う人生あったのかな・・
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結婚が決まり、準備に追われた数ヶ月・・
仕事で忙しい彼に代わり、新居となるアパート探し。
彼の実家と私の実家の中間辺りで、運良く新築で家賃も手頃な物件があり、彼と相談して決めた。
彼は私より10歳年上。趣味を通じて知り合い、当時20代前半のまだまだ世間知らずの私にとって、大人な魅力を感じさせる相手だった。
挙式を1週間後に控え、諸事情もあり、婚姻届を早目に出す事にした。 互いの両親も了承済み。
私が先に書いた。ドキドキした。これから始まる新婚生活を想像したり、幸せな気持ちで一杯だった。
凄く神聖な事の様に感じた。
あの日までは・・・
新居へ少しずつ荷物を運び整理をしていた時、お義母さんがやって来た
「これ、預かってきたよ~」
婚姻届だった
見ると、どう見ても彼の字ではない
「あぁそれ? あの子ったら何回言っても書かないから、間に合わないと思って私が書いたのよ~♪ 今日優ちゃんに渡す約束してたんでしょ?」
あまりのショックに言葉が出なかった
人それぞれだとは思うが、私にとっては神聖な意味のある一枚の用紙
私は義母と結婚すんのか?彼は何故婚姻届の記入ぐらい自分でしてくれない?!義母よ、何故そこでアナタが出しゃばる?!
義母の前で必死で涙をこらえた
彼に聞いてみた
「どうしてお義母さんが婚姻届書いてきたの?」
「ああ、あれ?後で書くからって置いといたら、お袋が勝手に書いたみたいやな~ 笑」
何とも思っていない様だ
もしかして、この人マザコン?!
結婚止めようかと本気で悩んだ
だが既に挙式・披露宴の準備は全て整い、何より此処は閉鎖的な田舎町
世間体が・・・
今更キャンセルする勇気は私には無かった・・・
無事に式を終え、私達の新婚生活が始まった
私は彼の意向もあり、結婚を期に会社を寿退社していたので専業主婦となった
夫はもともと仕事が忙しい人だったので、毎晩帰りが遅い事や休日出勤で出かける事も、さほど気にならなかった
半年ぐらい二人の生活を楽しんでから子作り開始
避妊を止めてから3カ月・・初めての妊娠
孫を心待ちにしていた互いの両親も、それはそれは喜んでくれ私も嬉しかった
お腹の赤ちゃんも順調で、そろそろ性別が分かるかな?という頃、義母が何だか言い辛そうに口を開いた
「あのね、カナのとこも赤ちゃんが出来たらしくてね、上の子も居るし、里帰りすると思うのね」
カナさんは夫の2つ違いのお姉さん
他県に嫁いで3歳になる女の子がいる
「あら♪それはそれは、良かったじゃないですか~♪」 私は能天気に応えた
「それでね、家の改築の件、ちょっと考え直さないといけないの・・」
そうだった!それがあったんだ?!
長男である夫はゆくゆくは実家を二世帯に改築して両親と一緒に住むつもりでいた
結婚前から聞いていたし、同居家庭で育った私も、差程の抵抗は無かった むしろ、お姑さんと仲良くやっていきたいな~なんて安易に考えていた
子供が生まれて少し落ち着いたら、改築に向けて準備する予定だった
依頼する業者は夫の友人が2代目を務める工務店に決まっていたが、それ以外はまだ白紙
私達は時間を掛けて綿密に計画を立てるつもりだった
それがカナさんの妊娠で予定が大幅に狂う事になったのだ
改築を予定していた時期と、カナさんの出産時期が重なってしまい、予定通りに改築を行うとカナさんが里帰りする家が無くなってしまうと言うのだ
改築の間、義両親は近くのアパートに仮住まいする訳だし、住む所が無い訳ではないのだが、狭いアパートに子連れで里帰り出産はどうもカナさんも義両親も嫌だったらしく、改築の時期をズラして欲しいと言われた
経済学部卒の夫の頭の中では、先々金利が上がりそうな当時の社会情勢や30代半ばにさしかかる自分の年齢、年収などからローンを組む時期を決めていた様で、改築時期を遅らせる選択はあり得ない様だった
「時期を早めるしかないな」 夫の一言に義母が言った
「え~!? お正月を狭いアパートで過ごすのなんて嫌だし、急にバタバタするのも疲れるわぁ~」
その言葉に夫がキレた
「何言ってんだよ!! 文句があんなら、こっちの予定知りながら無計画に妊娠なんかしやがった姉貴に言いやがれ!!!」
『この人、何言ってんの??』
正直、カナさんの妊娠は本当に予定外だったみたいで(本人が笑いながら言ってた)、義母も戸惑いがあったみたいだが、それにしても可哀想なのはカナさんのお腹の赤ちゃん💧
手放しで祝福して貰えてないなんて・・
私は大きくなった自分のお腹をなでながら、夫や夫の家族への不信感を黙って飲み込んでいた
妊娠も後期にさしかかり、私は軽い妊娠中毒症が出ていた
もともと貧血気味だったのだが、妊娠した事で更に悪化していた
そんな中、新居の打ち合わせで夫の実家へ何度も通い、家の内装を決めていく・・
新居は玄関だけ一緒で、後は完全に別々の二世帯住宅だったので、私達の住む2階は私の好みで決められたので良かったが、クロスの色やタイプ、ドアをどれにするかなど、細かい事は気にしない~の夫に全て任せられてしまったので、カタログと睨めっこの毎日だった
正直、身体がしんどかった・・・
夏も終わりに近づく頃、新居の工事が始まった
工事期間中は義母とカーテンや内装で必要な物を選びにいったり、ベビー用品を買いに行ったりする以外はのんびりと穏やかな生活だった
体調がすぐれなかった私は予定より早く里帰りしていた為、毎日仕事帰りに夫が寄り、ご飯を食べて夫婦の時間を過ごした
夫は私のお腹に手を当て、「お!今、蹴ったな~♪」と嬉しそうに目配せする
愛されてる・・・そう実感できるのが嬉しかった
程なく私は元気な男の子を出産、夫の名前からひと文字使い、『祐貴』と名付けた
夫にソックリなユウキに義両親はメロメロ(笑)
二人が無類の子供好きだと判明するまでそう時間はかからなかった
のちに私はこの子供好きっぷりに悩まされる事となる・・・
産後二日目、まだ母乳が少ししか出ていなかったにも関わらず、3時間ごとの授乳 ・・授乳の為に起こさなければならなかったが、新生児はとにかく寝る寝る・・の寝てばかりで、一時間かけて起こしてやっと母乳を吸わせて・・の繰り返しで自分が休む暇など無かった
初めての育児で、『やらなければ』と言う気持ちが強かった
私の元々の性格もあるのだろうが・・
そんな時、カナさん一家が弟の初の子供を見る為に、県外から駆け付けてきてくれた
『遠いところを、わざわざ有難いな・・』
素直に感謝した
病院に来てくれた時タイミング悪く、ユウキを起こし始めて悪戦苦闘していた
看護師さんにも手伝ってもらいながら、何とかおっぱいをくわえさせ、半分寝てる状態のユウキに授乳させ様と必死だった
半泣きになりそうな時、別の看護師さんが部屋に来た
『あのぅ、ご親戚の方がみえてまして、赤ちゃんまだ見れないのか・・と仰ってまして~・・授乳中だとはお伝えしたんですが・・・』
私は更に焦った
スムーズに授乳出来ない焦りと、病室の外で人を待たせている焦り・・
看護師さんにお願いして、一旦授乳を休憩し、ユウキを抱っこして待合室に出た
待合室では義母とカナさん一家が首を長くして待っていた
「あ~、やっと来た~♪ もぉ、今日は諦めて帰ろうかと思ってたよ~ おっぱい中って聞いてたけど、15分も待ったよ~ 何でこんなに時間かかるの~?」
顔を見るなり真っ先に言われた言葉
「すみません・・・慣れなくて・・・」
やっとで返した言葉も聞こえていない様子のカナさんは、私の腕の中でスヤスヤ眠るユウキを半ば強引にむしり取った
「うわぁちっちゃい! こんなちっちゃくって大丈夫なの!? おっぱいも時間掛かってるみたいだし、あんまり飲まないとか?! ウチの子ん時はそんな事無かったよ~? 大丈夫? 優チャン おっぱい大きいのに、中身なかったの~? 笑」
・・・産んで二日目の初産婦に言う言葉だろうか・・
母乳は、赤ちゃんにどんどん吸ってもらって出る様になるものだからこれから増えると看護師さんは言っていた・・
それにカナさんよ、上の子ん時、確か完ミだと言ってなかったか・・?
赤ちゃんがちっちゃいのは当たり前でしょ・・・
なんかムカついた
「まあまあ、優ちゃん、出産おめでとう。元気な男の子で良かったね。」
カナさんの旦那さんの雅人さんがお祝いの言葉をかけてくれた
雅人さんとは数える程しか会った事なかったが、いつも穏やかな感じで優しいパパさんて印象だった
「有難うございます。遠いところをわざわざ来て頂いて・・」
カナさんの暴走を遮ってくれた事への感謝の気持ちも込めて、私は深々と頭を下げた・・
退院してから実家に帰った私は、ユウキに合わせて寝て起きて・・の生活だった
少しずつでも動きたかったが産後の体調も思わしくなく目眩が酷かった
義母は毎日の様に実家に訪れては寝ているユウキをお構いなしに抱き上げ、自分の気が済むまで赤ちゃんの匂いを堪能していた
「ユウキちゃん♪ばぁばですよ~♪ ほんとユウキちゃんは貴嗣にソックリね~♪ ウチの子!だわね~♪」
義母は何かにつけ「ウチの子」を連発していた・・私の両親の前で・・
私の母は複雑な表情で黙って聞いていた
「ごめんねお母さん、お父さんとお母さんにとっても血の繋がった孫なのに・・」
義母が帰った後申し訳なさそうに言った私に母は、「何言ってんの。あなたは嫁に出したんだから・・それに良かったじゃない?ユウキの事、大事にしてくれて。」
確かにそうだが若い私には義母の独占欲がどうにも受け入れ難かった
夫も毎日仕事帰りにユウキに会いにきてくれた
まだ寝てばかりのユウキの姿を、珍しそうに側でジィっと見てたり、タイミング良く起きてる時に出くわすと「おっ♪」と嬉しそうに目を輝かせたり・・意外と子供好きな面を覗かせていた
実家での生活が1カ月もした頃、「そろそろアパートに帰ってこないか?」 夫が聞いてきた
もともと私も長くても1カ月ぐらいのつもりだったのだが、予想外に産後のひだちが悪く、まだ家事・育児を一人でこなせる自信がなかった
日頃の様子を見ていた母も心配して、「もう少し様子をみたら?」と勧めてくれたが、どうやら夫は仕事帰りに実家に寄ってからアパートに帰る生活がそろそろ嫌になってきた様だった
不安はあったが、妻として夫にいつまでも不自由させてはおけない気がして、3日後の週末、夫の休みの日にアパートに帰る事にした
アパートに帰って、何とか家事・育児をこなしていたが、ある日夕飯の支度にてこずり結婚してから初めてスーパーで買ってきたお惣菜をおかずの中で一品出した
「は?何これ? 俺、出来合いって、あり得ないんだけど・・」
「!?!?・・ごめんね、今日はユウキの機嫌悪くて大変だったんだ・・」
自慢じゃないが私は料理は得意な方で作るのも好きだ・・調理師の学校を出て免許も持っている・・結婚してから色々と夫に振る舞ってきた
それに慣れた夫はたった一品のお惣菜に我慢が出来なかった様だ
「だ~か~ら~、ユウキは関係ないだろ! お前が作るの手抜きしただけだろ?!子供が出来たからって、俺の事疎かにしていい訳?」
子供は子供、自分は自分で分けて対処しなければいけないらしい・・
「そんな事言ったって、おんぶしながらご飯作ってたけど泣き止まないし、外に連れ出して歩いたりしたけど・・・」
言い掛けの私の言葉を遮る様に
「だからそれが何だっての? 飯もまともに作れん言い訳になると思ってんの?」
「ごめんなさい・・・」
突然の言われ様に返す言葉も無かった
そこで終われば今後私が気を付ければいい話で済んだだろうが、夫は余程気にくわなかったのか、更に続けた・・
「大体さ~、子供が生まれたからって、1ヶ月も我慢してお前の実家に通ったんだぜ? 仕事帰りにわざわざ寄るのって、どんだけしんどいか分かる? お前の親の手前、毎日子供の顔見に寄ったけどさ~ やっと帰ったかと思ったら、手抜き料理食わされる羽目になるとはな~・・」
『この人、何言ってんの?! 私が体調悪いのもユウキに手が掛かるのも知ってるじゃん?!』
喉まで出掛かった時、やっとで寝かしつけたユウキが大泣きし始めて慌てて抱っこした
「ふん!」
夫は仕方がない様子でお惣菜のポテトサラダだけ除けて夕食を食べ始めた
今まで、こんな風に言われた事なんて無かった・・
夫の意外な一面を見て、その時はただ戸惑うだけだった・・・
生後2・3週間の頃から、ユウキは顔や頭に湿疹が出来ていた
1ヶ月検診では乳児湿疹と言われ、軽い軟膏を渡されたが湿疹は日をおうごとに悪化していた
心配で受診したがやはり乳児湿疹と言われ、様子を見る様に言われた
この頃から昼夜問わず、ユウキはグズる様になった
ユウキ、生後2カ月・・
新居が完成した・・・
義両親は先に引っ越しを済ませ、私達はアパートの契約の都合で翌月の月末に引っ越す事にしていた
新年を迎え、お正月を綺麗な新居で迎える事となった義母は上機嫌
カナさんも子供を連れて里帰りしていた
「明けましておめでとうございます」
挨拶もそこそこに、上機嫌の義母は娘と談笑・・
「お腹、大きくなったわね~♪2人目だし、今度は余裕もあるでしょ♪」
「そんな事ないよ~、やっぱお腹おっきいと動き辛いし上がいるからね~、最近は旦那のご飯も手抜きしまくりっ(笑) デパ地下の惣菜コーナー御用達よっ(笑)」
夫は笑っていた
「ま~仕方ね~よな~。姉ちゃん元から料理あんま得意やねぇやん? 笑 オフクロに似て~ 笑」
「失礼ね~ (笑) ま、お母さんも作るの嫌いで出来合いとか多かったもんね~。 雅人も何にも言わないし、い~んでない?(笑)ミユキもベビーフードばっかだったけどちゃんと育ってるもんね~(笑)」
カナさんは更に続けた
「そ~言えば優チャン、ユウキの湿疹酷くなってるけど、母乳でしょ?優チャンちゃんとした栄養のあるもの食べてる~?」
何だこの会話?! 今の今までレトルト万歳な話じゃなかったか?!
笑って聞き流そうとした横から、今がチャンスとばかりに夫が口を挟んだ
「いやぁこの前さ~、ユウキがグズったか何だか知らね~けどスーパーのポテトサラダが出てきてさ~、オフクロの飯で食い飽きたっちゅ~の!(笑)」
「キャハハ♪そぅそぅ(笑)お母さんの定番だったよね~、スーパーのポテサラ(笑)」
「優チャン駄目だよぉ、貴嗣は家庭料理に憧れて結婚したんだからさぁ (笑) ユウキがグズったら、ミルクにしたらいいんじゃない?ミルクの方が良く寝るって言うよ? 」
待ってましたとばかりに義母が言った
「そうよそうよ♪ ミルクだったら私があげれるし、優ちゃんもその間手が空くから楽になるわよ~」
「いや・・あの・・ 幸いおっぱいも溢れて絞るぐらい出てますし、経済的にも母乳の方が・・(苦笑)・・お気遣い有り難うございます・・」
姑、小姑に詰め寄られ、言葉を選びながら返答したつもりだったが夫は気にいらなかった様だ
「い~じゃん見てくれるっつ~んだから見て貰えば!ホントお前は可愛げね~よな~。それに何?経済的にって。俺の稼ぎが少ないとでも思ってる訳?!」
どうしてそんな風にとらえるんだろう・・
義父はこんな時、決まってだんまりを決め込む
女2人の口達者には適わないと分かっているからだ
その日は何とかなだめて仕出しの御節を囲んでアパートに帰った・・・
翌月、私達の新居への引っ越し・・
引っ越しは、少しでも料金を節約したかったので自分で梱包して運び出して貰うタイプのプランにしていた
乳飲み子を抱えての引っ越し準備は大変だった
相変わらず仕事が忙しく帰って食べて寝るだけの夫は当たり前の様に全て私任せ
日に日に増えていく段ボールを横目で見ては、「ふ~ん・・」 だけだった
当日はユウキは義両親に見て貰う事になっていた
この頃には母乳とミルクの混合になっていた
引っ越すまでの数ヶ月、昼夜問わず義母は突然やって来て、見ててあげるからと私を買い物に行かせ、その隙にミルクをあげて自分の思う様に育児していた
おっぱいが張っていてもお腹いっぱいのユウキは当然飲まない・・の繰り返しで、すっかりペースも狂い、赤ちゃんに吸って貰えないおっぱいは次第に張らなくなっていた・・
勿論、私も言われるがまま、されるがままで済ませてきた訳ではない
可愛い自分の子供・・自分で面倒見たいに決まってる!
何度かやんわりと断ったのだが、60を過ぎた口達者な義母にかなうはずもなく、同居を考え衝突したくなかった私は仕方なく義母に預けていた
今思えば、たとえ喧嘩になろうとも自分の育児を貫くべきだった・・
弱い母親だった・・・
何とか引っ越しも終わり、新居での初日・・
「これから宜しくお願いします」
「はいはい宜しくね♪ユウキは面倒見るから、遠慮なく言ってね?」
「はい・・」
正直、気が重かった
ユウキはもう外に連れ出せる月齢だ
買い物にも連れて行ける・・
近くの公園や育児サークル・・一緒に行くのが楽しみだった・・
『世の中には孫に無関心な姑も居るって言うし、私は恵まれてるよな・・』 そう思い込んだ・・・
「ふやぁ~ ふやぁぁ~」
目が覚めたユウキが泣く・・
「おっぱいだね~、ヨシヨシ、お腹空いたね~」
シャツをめくり上げ、乳房をあらわにした瞬間、一気に階段を上ってくる足音!?
「どうした?!泣いとるな?! 」 義父だった・・
「あ、お義父さん、大丈夫ですよ、お腹が空いたみたいで、今からおっぱいあげますんで・・」
「ほうか、ほうか、ユウキは腹ペコかぁ~(笑) 可哀想になぁ~(笑)」
・・と、言いながらユウキを抱き上げあやし始めた
流石に義父の前でおっぱい出して授乳するのは恥ずかしい・・
どんなにあやして貰っても、お腹が空いた赤ちゃんの機嫌が直る訳がない・・
空気が読めない義父に、授乳したいので下に行っててと言える度胸がその時の私にはまだ無かった・・
同居翌日から、義両親の「大丈夫?」攻撃が始まった
ユウキが泣き始めるや否や、すかさず2階に上がってきては「大丈夫?」
聞き耳でもたててるのかと思う程、2階の様子を熟知していた
私は気が休まる時が無かった
少しでもユウキが泣こうものなら、義両親のどちらかが上がって来る
思う様に育児が出来ない・・・オチオチ昼寝もしてられない・・部屋をきちんとしとかなきゃ・・洗い物、たまってないよな・・あ、洗濯カゴ、出しっぱなしだったかも!?
毎日がこんな感じで、ユウキの夜泣きで睡眠不足な上に昼間も育児以外で神経尖らせていなければならなかった私は、次第に壊れていった・・・
引っ越して二週間・・そろそろ落ち着いた頃を見計らって、親戚が集まり新築祝いがあった
料理が苦手な義母は接待するのも苦手らしく、近くのホテルでの会食となった
「ほら、ウチで食事するって言っても、みんなで集まると狭いからね~」
義母の鶴の一声でそう決まった
私の方は両親だけしか呼ばず、夫の親戚は義両親の兄弟その子供(夫の従兄弟)まで招待していた
親戚が集まりひと通り家の中を見て回り、会場をホテルへと移した
夫の親戚と言っても、私達の結婚式の折に顔合わせして挨拶した程度の方がほとんどだったし、初対面の方もいた
そんな中、会食が始まった・・・
宴席が始まってすぐ、義母に言われた・・
「こっちの親戚皆、お酒呑まない人ばっかりだから、呑むの、優ちゃんのお父さんと貴嗣とウチの姉の旦那だけだから、宜しくね」
何を宜しくかその時は分からなかったが、すぐに判明した
義母は、なぁ~んにもしなかった
私の中では招待した側が来てくれたお客さんをおもてなしする・・ぐらいはあったので、お茶を配ったり大皿の料理を取り分けたり・・と、座る間もなくとにかく動いた・・
夫はいい感じに酔ってご機嫌だった
私の両親は居心地悪い思いをしていた・・
私の様子を心配して、自分達は早目に引きあげるから・・と言ってくれたが折角だからと居て貰っていた
宴席の間、義両親はユウキにベッタリだった
孫の面倒onlyと言っても過言ではない程、親戚そっちのけで・・
私の父が、「ユウキ、ちょっと見ない間に大きくなったな~♪」 と抱き上げた
母も嬉しそうに抱っこした・・
「大きくなったでしょ~♪」
やっと両親のそばに座れたや否や・・・私の目の前で・・私の両親の腕から孫をむしり取ったあの顔を・・・今でも忘れない・・・
一瞬だったので多分父も母も気付いてなかったとは思うが・・
「あらぁ、お父さんもお母さんも、ユックリ召し上がって下さい~♪ ユウキは大丈夫ですからぁ~♪」
そんな風に言われたら、両親も「すいません、頂いてます・・」 としか言い様がない・・
義母は話もそこそこに、自分の姉達に孫を見せびらかしに席を離れて行った・・
「また今度、ゆっくりそっち帰るから・・ごめんね・・」
「おぅ!あんまり帰って来られても困るけどのぉ(笑)」・・私の心中を察してくれた父が笑いながら言った・・
終始ご機嫌だった夫はそんなやり取りに気付くはずもなく、いい感じに酔っ払って家に帰るなり高イビキだった
翌朝・・・
仕事が休みの夫は昼までご就寝
一方、年寄りは朝が早い
一階の掃除機の音で目が覚め、時計を見ると6時だった
夕べの外出で興奮していたのかユウキは夜中いつもよりグズり、私も寝不足だった
ドアの開け閉めや何の音か分からない音でとにかく煩い
ユウキも起きてしまったのでそのまま起床し、顔を洗っていると下から呼ぶ声がした
「お早うございます。」
寝癖の付いた髪を慌てて1つにまとめ、できるだけシャキっとした顔で降りた
「お早う。昨日ね、優ちゃんのお父さんから新築祝い頂いたんだけど、凄いわねぇ、20万も入ってたわぁ♪」
新築祝いの相場は地域によっても違うのだろうが、冠婚葬祭をいくつも経験してきた父の事だ、妥当な金額なのだろう
「新築と言っても改築だし、ウチの兄弟なんて1万ずつよ~(笑)まぁ、私がそれでいいって言っておいたんだけどね~。優ちゃんのお父さん、気を遣って上と下とで2軒分くれたのね~♪」
「はぁ、そうですか・・」
「それでね、折半するのがホントなんだけど・・」
義母は、何が言いたいのか分かってない私の顔をチラッと見てから目線を反らして続けた
「ほら、車庫の屋根はお父さんがする事になってるじゃない?材料の木材とか色々、買わなきゃいけなくてね ・・あと、昨日の会食もウチが出したし・・」
そこまで言われたら私も分かった
要するに全額よこせと言いたいんだろ?
「お義母さんに、お任せします。」
そうとしか言い様がなかった
車庫の改築は、日曜大工が趣味の義父が皆の反対を押し切って決めたものだ
業者に頼めば時間もコストも節約できた出来たものなのに
義母は、お金が絡む話は決して息子にはしない
同居したばかりで嫁が遠慮しがちなのをよんでいる
「あらぁ♪そう言ってくれるなら、優ちゃんとこのお祝いは、車庫に使わせて貰うわね~」
義母の勝ち誇った顔をまともに見る事が出来なかった
・・・朝起きると同時に大泣きのユウキ・・・
と、同時に階段を上ってくる足音・・・
毎日毎日がこんな繰り返しで、いい加減ウンザリしていた
それでも顔に出さない様、努力はしたつもりだ
私のストレスは次第にユウキに向けられる様になった
『ユウキが泣くから親が来る・・ユウキが泣くと親が・・親が・・』
何の罪もない赤ちゃんのユウキ・・
頭で分かっててもどうにも出来ない感情が生まれる
ユウキが泣く・・・
何がそんなに悲しいのか・・・
ミルクもあんまり飲まないし、あやしても抱っこしてもおんぶしても泣き止まない
気分転換にと外に連れ出しても泣く・泣く・泣く・・
たまらない様に義母が「かしてみなさい!?」
ほんの10分ぐらいで、「何でこんなに泣くの!?赤ちゃんは泣くものだけど、こんなに泣き止まないのは普通じゃないわよっ!?」
「私じゃダメみたいだから、ママに返すわね~」
義母はそそくさと下に降りて行った
義母が投げた後も、私はひたすら泣き止まない我が子をあやしながら、何とも言えない感情に襲われた
「何で!?何でそんなに泣くの!?あんたが泣くから親が来るんだ!?泣くな!!」
『ぷぎゃあ~!? あぁ~!あぁ~!あぁぁぁぁ~・・・』
ユウキの悲痛な泣き声に、ハッと我に返った
いたいけな我が子のお尻を、思い切りひっぱたいてしまった・・・
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小説・エッセイ掲示板のスレ一覧
ウェブ小説家デビューをしてみませんか? 私小説やエッセイから、本格派の小説など、自分の作品をミクルで公開してみよう。※時に未完で終わってしまうことはありますが、読者のためにも、できる限り完結させるようにしましょう。
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