乳~転落~
初小説です
未成年の方は×ね
ちょいエロ表現あるので
褒められて伸びるタイプです。誹謗中傷は出来ればご遠慮頂けたら。。筆が止まちゃうかも
新しいレスの受付は終了しました
風呂場から 楽しそうな親子の声が聞こえる。
「ダディの負けでしょ?」
「そうかぁ?」
大きな水シブキと笑い声
「きゃあ はっはっはっ」
「やったなあ」
きっと、娘がいつものどっちにはいってるかゲームに勝って、夫にお風呂のお湯を顔にでもかけたのだろう。
幸せな音だ。
いいえ、音だった。
今は、泣き声が漏れ聞こえないよう口を押さえる左手が、オエツを辛うじて、幸せな笑い声を壊さない壁になっている。
その壁が、ブルブルと震えて崩れそうだ。
衣服を下ろさず、トイレの蓋の上に座り、右手に握った、夫の携帯電話に映し出された映像に、急に周囲が白く濁り、小百合は、自分がいる場所と時間を失っていった。
チュル ジュバ ヂュルッ
マナーモードでなければ、絶対にそんなヒワイな音が聞こえているに違いない。
先に緩かなパーマがかかったロングヘアの女が、時折髪をかきあげ、顔を見せながら、肌色のとがったモノを口に含み上下している。
上目遣いで画面を見上げた。
その瞳の奥に何処か小悪魔的な物があるのを小百合の女の直感が伝えた。
あまりの生々しさに、小百合は急に吐気をもよおし、急いで便座を上げて、オエッと何度も繰り返した。
ただ、胃液は逆流しているのに、何も出て来なかった。
涙と鼻水が、便器の中に垂れて汚物を受け入れる便器と小百合とを繋いだ。
小百合は、自分が何か汚い部類に属してしまったように感じて、ペーパーで拭う事ができなかった。
自分でも、こんな姿になった事などない、女としても酷い姿だ。
開いた口からは、ヨダレと胃液が垂れ、丸めた背を擦る者はなく、止まらない涙だか鼻水だかわからない流動物も、便器に次から滴り落ちて、私と繋いで行く。
「ママー、上がりましたー」
突然、聞き慣れた可愛いらしい声が飛び込み、小百合は我にかえった。
「はーい、ちょっと待っててねー」
そう応えながら、携帯の停止ボタンを押し、待受に戻ったのを確認し、そっと閉じた。
母性の反応なのか、顔は、ぐちゃぐちゃなのに、元気でいつもと変わらない返事を冷静にした事に、小百合自身も驚いていた。
顔をペーパーで拭い、トイレから出ると、汗や脂の跡がつく程強く握っていた、あの映像を抱えた夫の携帯電話を、そっと玄関横のいつもの定位置に戻すと、急いで用意しておいたバスタオルを胸に、風呂場へ向かった。
いつもは心地良い太陽の匂いを放つバスタオルが、突然胸やけがするドブの匂いに変わったように感じた。
C4(ぐちゃぐちゃですみません。チャプターつけました)
色白でぽっちゃりした3歳の娘の体を拭きながら、小百合は激しく後悔した。
家族を裏切り、あんな行為をしていた夫と、娘を一緒に、しかも二人きりでお風呂に入れてしまっていた。
今まで、娘は変な事をされなかっただろうか。
ビデオの録画日はちょうど1年程前。
何回お風呂で二人きりにしてしまっただろう。
したくない妄想と、先ほどの吐気がする映像と娘の柔らかな白肌が三重にオーバーラップする。
何とかその幻影を振り払おうと、視線を娘の髪に移した。
女なら憧れる、ちょうど良いかかり具合の緩いウェーブが天然でかかっている。
濡れて輝く肩までの薄い髪をタオルで挟みこみ、一気に揉むようにタオルドライした。
「痛いよ、ママー」
はっとして、娘の顔を見下ろすと、怒ってヘの字に曲がった得意の眉が、小百合の顔を見た途端、驚きと悲しみが混在する形に横へ滑り落ちた。
C5
「どうしたの?泣いてるの?」
「えっ、、、アクビがね、たくさん出た。宙音(そらね)ちゃん、眠くない?もう9時よ」
「ぜ~んぜんっ」
こんな嘘がまかり通るのも3歳児だからか。
比較的、歩き始めるのも、言葉も早かった宙音(そらね)は、時々、真理をつくような台詞を吐き、周囲を驚かせる事がある。
彼女にだけは悟られないように注意しなきゃ。
いつものようにはしゃぐ娘を追い掛けながらパジャマを着せ、歯磨きやトイレ、寝る前の仕事を一通りこなしていたが、輝く娘の笑顔の手前に、透けて揺れるスクリーンに、あの女の目と、吐気のする光景が繰り返し映し出されたまま消えてくれない。
C6
1時間かけて、寝かしつけた娘の頭の下に伸ばした左腕をそぅっと抜き、体を半回転して、ベッドから音を立てずに滑り降りた。
もう9月が終わる。
フローリングの床が、今日初めて冷たく感じた。
頭では何も考えられないのに、妙に感覚だけが澄まされている。
廊下に出ると、リビングから、テレビの音が聞こえて来た。
夫は、私に隠れて必ず日本酒の700mlパックを一つ呑んでから寝る。
夜中にテレビの音に気付いてリビングへ行く度、電気、エアコンはかかったまま、何も掛けずに、ソファで大イビキをかいている。
夫と寝室を別にして何年だろう。
風呂に入らず布団に潜り込む癖のある夫は、鼻が効く小百合には、辛かった。
つわり中に、炊飯器をベランダに出したエピソードは笑い話になっていた。
が、夫の臭いとイビキは、つわりが酷かった小百合に、寝室を別にする以外の選択肢を思い浮かばせなかった。
この寝室を別にした事が、あんな事に繋がるなんて、その時の小百合には昼メロの中の出来事でしかなかった。
C7
感想スレを立てさせて頂きました。
どうぞ よろしくお願い致します🙇
🌱🌱🌱🌱🌱
いつもなら、
「起きて!」
「全部つけっぱなしでもったいないでしょ!」
「またお風呂入らないで寝ちゃうつもり!」
「どうして、お風呂入る前にお酒飲んじゃうのよ!」
とヒステリックに叫んでいる。
しかし、今夜だけは、出来る限り音を立てずに注意していた。
娘の寝息だけが存在する真っ暗な寝室へ戻り、手探りで、クローゼットの中から、ジーンズとジャケットを引っ張り出した。
暗闇の中で、ベルトを閉めるカチャカチャとした音にさえビクつき気を遣った。
もう一度、リビングを覗き、夫が寝ているのを確かめると、バッグに夫の携帯を忍ばせ、音を立てないよう、いつもより10倍は時間をかけて、玄関のドアを開閉し、外へ出た。
C8
携帯を開き時間を確認した。
10時20分
生温かい夜風が全身を包んだ。
都内でも有数の高級住宅街。
日曜日だからなのか、ひっそりと、一つの人影もない。
子供を産んで、こんな時間に外出するなんて初めてじゃないだろうか?
空音は、夜中によく目を覚ました。
3歳になって、やっと1回には減ったが、それまでは平均5回は夜泣きをした。
だっこやおっぱいで騙し騙し寝かしつけては、気付けば朝という毎日だった。
しかし、一人の時間を満喫する余裕は、今の小百合にはない。
子乗せシートが前についたママチャリをそっと押して、〈起きないでいてね、空音ちゃん〉と心で呟き、真夜中の街に漕ぎ出した。
C9
小百合は、じめっとした夜をひたすら走り続けた。
行き先なんて決めていない。
ただ、見られたくないという心理からか、駅とは反対方向へ、ひたすらペダルを踏んでいた。
重い。
漕げば漕ぐほど、動けば沈む底無し沼のように、ペダルは一足毎に重くなって行く。
知っている道はここだけだ。
娘のプレスクールのあるバス通り。
人には見られたくない。
でも、全く人通りのない道は怖い。
小百合は東京へ出てきて18年になっていたが、まだ一人でカフェにも入った事がなかった。
何だか気恥ずかしいのだ。
好奇心旺盛だが、基本、他人の目をかなり気にする臆病で、自信のない田舎者。
小百合は誰にも言わないが、自分をそう分析していた。
どこへ行こう?
この先には大きな公園がある。しかし、一人にはなれるが、夜中に女一人がいるには危険過ぎる場所。
昼間の顔しか知らない。
子供といつも行動を供にしていると、思い付く場所にも限りがあった。
この時間に私が安心していられる場所、、、
あぁっ、この先のビデオレンタル!
あそこなら!
そう思った時、50m程先にぽっかりと空いた暗闇を見つけた。
ここ。。。
C10
ここがいい。。。
瞬間的にそう思って、バス通り沿いの駐輪場に自転車を停めた。
高級住宅街の真ん中に、最近出現した100円ショップ。
元々は、主に高級住宅街にしか店舗を置かない高級スーパーだった。
何度も名前は変わっていたが、入れ替わりでブランドスーパーが入っては消えて行った。しかし、今年になって、対極の安さが売りの100円ショップに生まれ変わったのだ。
閉店した店舗に灯りはなく、ぽっかりとそこにだけ、大きな暗闇を作っていた。
今の自分は、明るい蛍光灯の下なんて不似合い、この暗闇位がしっくりくると感じていた。
とにかく、もう一度、早く携帯の中身を確認しなくては。
目の前のバス通りを走る車からは顔を確認出来ないだろう暗さの所まで建物に近付き一層の暗闇に身を置いた。
ちょうど駐輪場の植え込みの煉瓦があり、そこへ腰を下ろした。
メール、メール!
メールを確認しなくちゃ。
C11
[受信トレイ]
見つけた!
上から順に開いていった
これは、会社の人
これは、レンタルビデオのメルマガ・・・
ん?
アルファベットの羅列メアド
==========
おはようございます。
昨日は寝てしまってました・・・
私が思ってたのが正常位じゃなかったんですか?正常位はまた違うの?
ちょうどポイントにハマると、とても感度が増す・・・というのはGスポットの事?これも良く意味がわかりませんが・・・
完全無料XXXで遊ぼ
==========
何これ?
出会い系って事?
何の話?
C12
次・・・は・・・
暫く会社絡みの堅いメールが続いた。
やっぱり出会い系から、かなり来てる。こんなに色んな女と?メールするわけ?
ポイントって何?
次の
nekotomoって?
==========
今着きました✨
母の🏠の猫に餌あげに寄っていました😉
昨日話せて逢う事が出来て良かったです・・・
やっぱり眠いね💦祐一郎も早く寝てまた一週間頑張ってね(*^_^*)
==========
この女!
泊ってる!
絵文字の多いメール、
祐一郎って呼び捨てにして
小百合の女の直感が、頭に響く鈍い鐘を鳴らせた。
知らずに、いつもの上品な口調も口汚くなっていた。
いつよ?
8月21日って、、、あの日!
事前に主人も顔馴染みにしておいた、私の友人家族が一緒に夏休みをって旅行した日じゃない!
あちらのご主人は、男同志で飲むのを楽しみにしてるから、って伝えてあった。夫も楽しみにしていたのに。
何よりお酒が好きなあの人が、急に仕事だからって、東京へ戻って行った。
子連れの海水浴も、私一人に任せて。
あの日、あの人はこの女と・・・
C13
小百合の中で疑惑が確信に変わった。
湯気で曇った鏡を、タオルで拭った時のように、はっきりと視界が・・・焦点が合い始めた。
しかし、見え始めた鏡に映っていたのは、清楚で色白、いつも微笑みをたたえた上品な小百合ではなく、同じ髪型、同じ化粧だが、眉は吊り上がり、鬼のような形相で、鼻に皺を寄せ、涙をいっぱいに溜めた赤黒い顔をした見たことのない女だった。
また
nekotomoからだ
============
はい 待ってるね
==========
どんな女なの?
動画で、夫のモノをクワえていた女なの?
C14
鬼が出た!
前のバス通りを走る車からは、きっとそう思われただろう。
携帯を睨みつけ、凝固していた。
画面から発する鈍い明かりが、自分の顔にスポットライトを当てているなど思いもよらなかった。
やっと探した暗闇が、逆に、ハッキリと顔を浮かばせる事まで、今の小百合には気が回らなかった。
必死で、夫の携帯の受信フォルダから、裏切りの証拠を探した。
違う、違う、これは?
これは?
2時間前
夫が娘とお風呂に入っている間、畳んだ洗濯物を抱え、軽いハナ唄を歌いながら通った玄関。
今まで気にした事もなかった夫の携帯にふと、目がとまった。
誠実で優しそう
周囲から、口を揃えて言われる夫の印象は、お正月に集まる夫の親戚の中でも、皆がそう思っているのだと肌で感じた。
夫の親族は、代々、皆が教師という家系。
どこか世間とズレているというか、小百合は、初めて夫家族と顔合わせにレストランへ出向いた時に、その違和感に触れた。
C15
「はじめまして。」
その瞬間に、合わないと感じた。
これから、義理の家族となる人達の放つ空気が、今まで自分が付き合ってきた人間とは異質のものだった。
学校を出て、社会には出ない。すぐに学校へ戻る。
今度は教師として。
学生が、すぐに先生と呼ばれる事で生じる歪みなんだろうか。どうしても小百合にはしっくり来なかった。
教職は取ったが、一般社会を知らずに生徒に何を伝えられるんだろうと、元来の反骨精神から、小百合は企業へ勤めた人間だった。
夫は、何故か教師にはならず、教職さえとらなかったらしい。
しかし、そこは世間並の感覚が身につくわと、逆に好印象になった。
C16
周囲が揃って、従兄弟までが教員の中、教師にならなかったにも関わらず、夫は、親族トップの厳しい祖母に、特別可愛がられていた。
[優しくてまじめな良い子]だと。
子供が産まれてみて、よくわかった。
とても外ヅラが良いのだ。
特に親族や家族に対して。
しかし、根は悪い事は絶対に出来ない。
妻や家族を裏切る不誠実さとは対極にいる人だと信じきっていた。
そう、ほんの数時間前までは。
だから、携帯も今まで見た事はないし、興味もなかった。
不安なんて想像した事もなかった。
娘から、公園でビデオを撮ったと聞き、その動画が観たくて、夫の携帯を覗いただけだったのだ。
それが、目に飛込んで来たのは、私が観た事も、した事もないような、夫と見知らぬ女が、裸で乱舞する、激しい肉の臭いがしてきそうな、行為中の動く画だった。
C17
==========
お久しぶりですm(__)m連絡ありがとうございます。なんとか、元気にしていますよ☆覚えていてくれたのですかぁ↓連絡なんて思ってもなかったので、メール入ってきたのでびっくりしました。
==========
サイトから?
文末に出会い系と思えるサイト名があった。
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次は、また、あのnekotomoからだ
==========
毎日遅くまで仕事大変だね😣お疲れ様でしたm(__)m
今日は、仕事から帰ってから体調が悪くて寝てたよ💤💦ここずっと風邪気味だから…
21:00からDVDを返しに行きがてら友達と少しだけ茶していまさっき帰宅したばかりよ🏠
メールの事は了解です😉
私もメール出来ない時は出来ないんだから気にしなくていいよ😃
毎日、蒸し暑いけどバテないようにね⚠
==========
この女は、夫に好意を持っている。
同姓だから解る相手を思いやる言い回し。
絵文字やデコメを使った事がない小百合は、この女の自分を可愛く見せようとする文面が大っ嫌いだ。
さっきから負の感情に支配されていた。
しかし、さらに大きな暗闇が小百合を呑み込もうと口を開けて待っている事には、気付くはずもなかった。
C18
また別の女?
別の出会い系?
メアドが見た事ないドメイン
===========
13:10には間に合わないかもしれないので、13:30にしてもらえますか?
ワガママでゴメンなさい
m(__)m
あと、少し風邪気味なので咳が出てます。御了承下さいネm(__)m
良かったら直メしませんか?
==========
待ち合わせ?
この女とも会ったの?
次も・・・この女だ
==========
良かった(^^ゞ
八王子駅の南口でいいですか?
出来ればサマーランドでお願いしますm(__)m明日は平日なのでそんなに遅くはなれないので(^^ゞ
==========
もう麻痺して来た。
サマーランドなんて行った事ないよ。
家族でだって出掛けた事ないのに。
結婚してから、遊園地なんて行った事ない・・・・
まともなデートさえ・・・
そんな思考の中、右手の親指だけが、受信トレイの中を探して、せわしなくスクロールして動いていた。
これ以上見るより、夫が、この女達にどんな返事をしたのか。
どんな顔を見せているのか知りたい。
そう思った。
C19[送信トレイ]
あった。。。
出会い系ドメインのアドレス
==========
返信が遅くなってごめんなさい!
帰ってきたよ。
今日は夕方に突然、割り込みの仕事が入ってきて、その対応をしていたから全然メール出来なくてごめんね。
夜も暑い。
今日はキンキンにエアコンさんに頑張ってもらうのだ(笑)
肩に脚を掛けるのは屈曲位という体位です。これについてはまたのちほど。
質問の膝を立てて開いた状態では、ということだけど挿入はできますよ。
微妙なニュアンスがわからないけど、この体制だとあまり男性は奥まで挿入しにくいかもね。
正常位みたくすれば、普通にできるとゆかさんはこの体制だと気持ちいいのかな?
C20
さっきの屈曲位だけど、最初はビックリするかもね。そもそも体位というのは、二人が気持ちよく、かつ刺激的になれる形のこと。
だけど相手のことを思いやってしないと、返って苦痛になったり、ぎこちなくなって、せっかく盛り上がっていても、覚めてしまったりするから、普通の体位から始めたほうがいいかもね。
屈曲位は正常位と比べても、おち○ち○が、女性のアソコに奥深く入りやすい体制だから、女性も気持ちよくなりやすいはずなんだけど、男性が上手くリードできないと、女性にかかる体重が増すからデリケートにしないといけないんだ。
ちょうどお互いのポイントにはまると、とても感度が増すと思います。ゆかさんには少しきつい体制だったのかもね。
==========
何これ・・・・・気持ち悪い。
私でさえイカせた事のない下手くそな男が、エッチの指導?
上から目線で、わかった口きいて、勘違いな事を偉そうに。
しかも、相手はさっき受信にあったエッチ初心者っぽいGスポットがどうとかって言ってたあの子だ。ゆかっていうの?
あの子、多分きっと、まだ10代。。。最低。。。
C21
また出会い系?
===========
まなみさん、こんばんは
はじめまして、ユウです。
渋谷区に住んでいる35歳171cm66kgです。
IT関係の仕事をしています。
最初なのでサブアドでごめんなさい。でも
冷やかしではないですよ。
まなみさんの書いている通り、仕事と家の往復は時にむなしくなりますよね。
まなみさんとお話してみたいですね。私は日本橋で仕事をしていて、今終わったところです。
楽しくメールしましょう。
お返事楽しみにしています。
==========
馬鹿だ 私って
こんな人を信じてた。
こうやって、毎日女を探してたの?
C22
プレイ?
また・・別の・・・
出会い系へ
送ってる
==========
私のプレイとは… 例えば…
その1
亀甲縛りにして、その上に白のブラウス、ミニスカで外出。男に視姦してもらいます。男性店員のいる書店でS&Mスナイパーを購入させます。スタバのソファーで股を開きながらS&Mスナイパーを読ませます。部屋に戻って来たら股の具合をチェックします。ロープがイヤラシク濡れていたら、更にお仕置きします。
その2
ホテルの部屋で、目隠ししたままてソファーに放置。TVのアダルトチャンネルで音声だけ聴かせます。その後、女性を目隠ししたまま立たせて、私の手で服を一枚ずつ脱がせます。目隠しを取り、ソファーに座らせ女性の足首と太腿を縛り、M字にさせ、私の見ている前で、強制オナ○ー。イクことは禁じる。
その3
裸の女性の下半身をTバック状に縛り、目隠ししたままベッドに四つん這いにさせ、敏感な部分にローターを挿入し、放置。その後、無理矢理、口に私のモノを咥えさせ…
スパンキングとかローソクは全然興味無いので、例えばこんな感じです。
貴女には物足りないかもしれないけど。
===========
C23
もう・・言葉が・・・吸い取られたように・・・
めくっても めくっても
白紙・・・白紙の・・辞書
知らない言葉
亀甲羅縛り?
S&Mスナイパー?
スパンキング?
でも、文脈から、だいたいは推測出来る。
SM
知らなかった夫の性癖・・・
こんな事がしたかったの?
こういう事に興奮するの?
でも、したいと告げたのは、他の女にだ。大勢の他の女に。
私だって、昔の彼に、側にあったタオルで目隠しされて、興奮した。
上に乗せられ、手を後ろ手に縛られて、いつもより声があがった。
後ろから突かれたまま、カーテンを開けられて、恥ずかしさに濡れた。
でも、今の夫から、そんな匂いも、感覚も、感じた事がなかった。
いつも、同じパターン。
全然気持ち良くない。
私の反応ばかり気にして。
イク演技ばかり上手くなった。
私が、イケなかった原因は、わかってたけれど・・・
言えない。
言ってはいけない事だった。
C24
もう疑いはない。
これ以上見なくても、浮気は確実だ。
後は、写真・・・
見つけた。
[写真フォルダ]には、愛らしい娘の笑顔の間に、裸の女の局部のアップがあった。
アソコには毛がない。
セミロングの目がパッチリした女の顔のアップ。
そんな写真の間に公園の木の枝に立っている娘。
そして、、、キス写真。
夫と女。
アップで自分達を撮ったのだろうか。
どこまで、私を。。。
小百合は夫のキスが嫌いだった。
ムードがないというか、唇を尖らせて向かって来る。
そんな夫のダサいキスでも、満足そうな二人の表情。
さっきの写真とはまた違う女。
夫の裸の写真。
アソコを反り立たせている。
何だか、また、気持ちが悪くなって来た。
C25
生臭い気持ち悪さ
一旦、夫の白い携帯を閉じた。
人生には、一度に色んな事が起こる日がある。
でも、そんなの映画の中だけで、自分には起こらない事だと信じていた。
出会い系。
エッチ指導。
SM趣味。
撮影趣味。
何人と、いつから、何回に渡るかもしれない浮気。
胃の辺りがギュウっと締め付けられた。
助けて・・・ 助けて・・・
誰か・・・助けて・・・
た す け て
膝をついて、倒れこむように、大きな口をあけながら、声にならない声をあげた。
携帯を両手で抱えて。
同時に、涙が、涙が 大きく流れ落ちた。
助けて 誰か
助けて 神様
携帯の光がなくなり、再び訪れた暗闇に、小さくうずくまり、泣き叫ぶ小百合を、それ以上の暗闇が包み始めた。
C26
このまま独りで抱えていたら、自分は壊れてしまう。
心の危うさを、震える両腕で感じていた。
23:07
もう寝てるよね・・・
この状態で、心を吐き出せる人
小百合には、母しか思い浮かばなかった。
お願い、ママだけ起きていて。
今日は何かパパ達が観るような映画は、やってたかしら?
NHKとニュース、野球、その位しかテレビを認めない。
時代錯誤な父。
最近やっと映画位は観るようになったと母から聞いていた。
仕事以外では、毎日22時には布団に入る父も、母と映画を観る時は遅くまで起きていた。
厳しい父の元、夜9時以降の電話は相手に失礼だと教えこまれて来た。
例え他人でも、非常識だろう!と電話口で怒鳴る人だった。
不幸にも、たまたま父しかいない時に、21時過ぎにかけて来た男友達は、いきなり怒鳴りつけられ、翌日から、私を避けるようになったほどだ。
きっと、灯りの消えた実家の広い玄関で、電話のベルが鳴っている。
5回。
6回。
きっと怒られる!
「はい、南条でございます。」
少し眠そうな声
「ママ、ゴメンね、寝てた?」
「小百合ちゃん?どうしたの?」
C27
「ママ・・・」
それ以上、言葉が出てこなかった。
涙が声をブロックしてしまう。
「どうしたの?」
「ちょっと、どうしたの?」
鼻をハンカチですすり、やっと絞り出した。
「祐ちゃんがね、浮気してた」
「えっ?」
「携帯にね、泊まってるのがわかるメールがあった。」
「祐一郎さんには確認したの?」
「ううん」
「今、独りで自転車で出てきたから」
「それだけじゃ、」
「違うの、他にも、写真とか。。。写真てキスしてるのとか。。。裸のも」
「・・・動画がね。。。動画って、ビデオみたいな、携帯で出来る、ビデオ。。。祐ちゃんが他の人として。。た。。」
伝える為とはいえ、恥ずかしかった。
小百合は、母とは買い物もあまりした事もなかった。
かなりのお嬢さんで育って来た割に、仕事もして、さっぱりとした男っぽい性格の母。
女同士の話も、恋の話もしてこなかった。
ましてや、男と女の行為など論外だった。
言い難い。
恥ずかしい。
「そう。でも、小百合ちゃんにも悪いところがあったんじゃない?」
「え?」
「あなた・・・そんな体型じゃ 男の人もね」
愕然とした
主です。
待って下さった方、本当にありがとうございます🙇
弱っていた主には、とても力になりました。
感想の別スレには、現状を記したのですが、主の個人的事情で、混乱させてしまい、申し訳ありませんでした。
ハナ様、誘導ありがとうございました。
離婚てエネルギーがいりますね。
少し落ち着いて来たので、約2週間振りの更新になってしまいましたが、心機一転、頑張ります💪
今後ともよろしくお願い致します🙇
また、主も、今後は、ストーリー以外の事は、感想スレに投稿致しますので、ご理解の程、どうぞよろしくお願い致します。
🌱🌱🌱🌱🌱🌱🌱🌱🌱🌱🌱🌱🌱🌱
C28
『そう、辛かったわね』
その一言が欲しくてかけた命綱の電話
私のライフライン
すがりついたクモの糸が、
登り始めて、すぐに切れた。
背中から落ちて行く。
深い奈落に・・・
再び・・・
祐一郎と結婚して、最初の1年で13㎏太った。
男心をくすぐる愛くるしい容姿は崩れきってしまった。
それは事実。
原因は自分でも、わかっていた。
でも、、、今は 今だけは
心が受け止めきれない衝撃を和らげて欲しい。
それだけだった。
なのに。。。
声にならない泣き声
鼻をすする音だけが携帯の送話口から伝わった。
「もう いいよ!」
これ以上 傷つきたくない。
心が防衛本能で叫んだ。
さすがに まずいと思ったのか、母は急に優しい口調に変わった。
「ショックなのはわかるわよ。とにかく、明日、話しましょう。パパは仕事でいないから。」
「もう いいよ!」
「もういいっ!」
通話終了ボタンを押していた。
すぐに携帯が鳴った。
C29
この場、この気持ちに不似合いな着信音。
携帯に、はじめから備わっていた聞きなれた穏やかなクラッシック。
元来、流行の音楽やポップスが大好きな小百合は、着信音を既製のクラッシックなんかにしたくなかった。
でも、家計の事を考えて、とにかく余計な娯楽は節約して来た。
華やかな独身時代とは、かけ離れた質素な生活。
余計な楽しみは全て我慢して来たつもり。
着メロのダウンロードなんて出来る訳がない、雑誌も一冊も買った事がない、CD1枚さえ。。。
もちろん、パケット代がかかるサイトの閲覧なんて論外で、携帯は、ほとんど受け通話専用になっていた。
なのに、あの人は、自由に携帯を使い、出会い系までして、女と遊んでいた!
会社から支給された携帯だから、代金は小百合の知る所ではなかったが、よくそんなモラルのない事が出来たと、全てがそこに辿り着く思考に支配され始めていた。
不本意なメロディを止める為に、小百合は電話に出た。
無言で
C30
「・・・」
「小百合ちゃん、気持ちはわかったから、そんなに怒らないで。ね?ママが悪かったわ。明日、ママがそっちに行く?」
いつもそうだ。
悪いのは誰でもない場合でも、その場を収める為に 母は謝る。
『私に免じて許してやってちょうだい』と 両方に頭を下げ、ケンカをしている本人達の矛をとりあえず引っ込めさせ収拾させる。
何の根本的解決にもならないのに。
そのやり方を知っている者からは、最終的になめられ、キレられてまう。
「いいからっ もうっ!明日電話する。携帯のデータチェックするから、もうかけないで」
そう 母に言い放って 携帯を閉じた。
私が悪いの?
浮気って される方が悪いの?
そんな事ない 絶対にない!
自分が災いの源なら、存在そのものを否定されて私は消えてしまう。
違うっ 私じゃない!
悪いのは、悪い事をした人よ!
それを証明しなくっちゃ。
泣いてなんかいられない。
小百合は、初めて、鞄からハンカチを取りだし、頬を拭った。
証拠を保存しなくちゃ。
悲しみの池に、怒りと冷静さという小石が投げ込まれ、徐々にその轍が広がり始めた。
C31
「いらっしゃいませ~」
「何名様ですかぁ?」
明るい声
可愛いエプロン姿の女性が、店の扉が閉まるのを待たずに、もう声をかけて来た。
お決まりの台詞らしいが、小百合には新鮮だった。
高級住宅街にある唯一のファミリーレストラン。
ファミレス自体にあまり縁のない生活をして来た小百合は、ただでさえ、一人で入れない場所に、こんな時間に目を腫らしている自分が恥ずかしかった。
さっき鞄を探った時、帽子が入っているのに気付いた。
いつも、子供をプレスクールからお迎えすると、たまにママ友達から、公園でお弁当を食べながら遊ばない?と誘われるのだ。
いつそう言われても良いように、ツバの広い、折り畳み帽子を入れていた。
深夜には似合わない日除け帽を目深に被って、黙って左手で人差し指を立てた。
一人です。
そう心の中で呟いた。
誰かに見られたら、絶対に変に思われる。
宙音ちゃんの所、何かあったらしいわよ。
そんな噂は、この土地、小さな幼稚園社会では致命的だ。
C32
ビクビクしながら、禁煙席に案内されると、いつもは誰にでも目を合わせてニッコリと微笑む小百合は、店員からも客からも顔を見られないように、うつ向きながら席に着いた。
出来るだけ長くいたい。
しかし、持ち合わせもあまりなかった。
いつものお迎え用バッグで飛び出したからだわ。
大人になって珈琲が飲めなくなった。
小百合は、悲しい事があると、甘いものが食べたくなる。
それは、結婚して、特に顕著になった。
こんな時まで・・・
そう思いながら、デザートのページを眺め、小さなイチゴパフェを注文した。
夫の携帯を開くと、端から自分のPCアドレスへ転送した。
パフェが来た。
イチゴなんだか、チョコなんだか、味なんてわからなかった。
うつ向きながら、ただ、スプーンを口に運んだ。
冷たい物体が、舌から喉を滑り落ちて行く。
200件以上ひとつひとつ転送しては、送信履歴を消していった。
途中から、あまりにヒワイで、怒りがこみあげる内容のメールは、ccで自分の携帯にも送るようにした。
写真も添付した。
キス、下半身や胸のアップ、夫の裸体、
C33
動画はファイルが大き過ぎて送れなかった。
帰宅して、PCにバックアップする案も、すぐに消えた。
そもそもパソコンは、会社が主人に貸し出しているもので、今まで何も隠し事なく生きて来た小百合には、PCを共有しても、何ら不自由さがなかったのである。
こんな事態は想定していなかった。
もし、バックアップして隠したとしても、現役SEの夫が、私の作った隠しフォルダを簡単に見つけてしまう事は明らかだった。
社会から離れて6年、小百合も現役時代はシステムに精通していたが、メモリーカードやUSBという発想自体が浮かばない程、育児は世の中から小百合を遠ざけていた。
そうこうしている内に、夫の携帯のバッテリーが切れてしまった。
もちろん充電器なんて持って来ていない。
コンビニで買おうかとも思った。
自分の携帯で時間を確認する。
1時12分
宙音が泣いているかもしれない。
その時、私がいない事に気付かれたら・・・
今までしなかった、深夜の外出、泣き腫らした目
夫が証拠を隠してしまうのは、明らかだった。
今日は帰ろう。
そう思って、初めて、周りを見渡した。
C34
深夜の客は、一人が多い事に驚いた。
考え事をしながらペンを走らせる男性。
黙々と料理を口に運ぶ作業着の男性。
遠く離れた喫煙席に、女子高生くらいの子が二人、向かい合って、暇を持て余し気味に携帯をいじりながら、時折談笑していた。
女一人は小百合だけだった。
やっぱり今日は帰ろう。
明日また、宙音が寝た所で出て来れば良い・・・
残りは、その時に転送しよう
証拠が残らないように。
クレジット派の小百合は、久しぶりに現金で会計をした。
何だか自分の方が卑しい事をしているような嫌な気分になった。
C35
そっとマンションのドアを開けると、リビングからの灯りが、仕切りのドアのガラス部分から洩れていた。
まだ夫のイビキも響いている。
良かった。
気付いていない。
宙音は・・・
そっと寝室を覗くと、無意識に私を探したのか、ベッドの端まで来ていたが、起きた形跡はなかった。
ほっと胸をなでおろし、急いでパジャマに着替え直すと、宙音をベッド中央にそっと戻した。
一瞬ムニャムニャと体を動かしたが、直ぐに眠りに戻っていってくれた。
そらねちゃん・・・
こんな可愛い子を裏切って。
宙音の寝顔を見ながら、小百合は母として戦う意思を強くした。
廊下に出て、夫の携帯の充電器を探した。
いつもの廊下に置いた電話台の引き出しにはなかった。
会社の鞄の中かしら?
C36
去年、誕生日に買ってあげた黒のビジネスバッグ。
荷物が多い夫の肩が凝らないようビニール製の軽い物を選んだ。
鞄のジッパー音が夫に聞こえないように、そっと洗面所まで運び、開いた。
目指す白いコードはパッと見、見当たらない。
書類と、煙草の箱、ビニールのパッケージ、どこで呑んで来るのか少し残った日本酒の紙パック、何が必要で何がゴミなのか、わからない程グチャグチャだ。
性格がわかる。
夫が独身時代に住んでいたゴミ部屋そっくりだ。
一番上の茶色い紙袋、これもきっとゴミね?
ガサゴソと中を覗いて 息が止まった。
煙草の箱二つ分の大きさの透明なパッケージが出てきた。
そこに入っていた物体。
ブルーのゴム製の物が被っている、人指し指位の長さのずんぐりとした楕円形の物体。
白いコードの先に、ダイヤル式の青いコントローラー。
後ろに電池が透けて見える。
なに。。。コレ。。。??
C37
バイブ。。。。だ。。。
初めて見た。
実物
もう一つの透明な箱は。。。
これは、もう、あからさまに、男のあの型になっていた。
力が抜けた。
きゃっと短い悲鳴をあげ、箱と袋を放り出し、その場にへたりこんだ。
放り出された茶色い紙袋からは、最後にビニールに入って束ねてある、真っ白いロープが二袋、顔を出した。
もう苦手な虫にでも触るかのように、そっとその袋を引き出すと、裸の女がいやらしく顔を歪め、顎を上げて背中を反らせ、赤いロープが胸に食い込んでいる写真のパッケージが目に飛込んで来た。
【拘束縄】と太字で印刷されていた。
C38
急いで全てを袋に戻して、鞄のジッパーを閉め、玄関に戻した。
手を洗った。
何度も
何度も
何度も
汚い
汚い
キタナイ!
泣きながら、爪で掌を擦りながら 泡を擦りつけた。
無意識に力が強くなっていった。
痛っ
自分の爪で手の甲を削った。
すぅっと流れた血が、石鹸の泡をピンク色に染めた。
綺麗・・・
自然と微笑みが浮かんだ。
あまりに美しく、キタナイ世界に舞い降りた、無垢な妖精がそこにいるような気がした。
今日の出来事は
小百合が耐えられる
心の限界を
軽く越えてしまった
ふわりと。。軽く。。。
ふふっ はははっ
流水で、ピンク色の泡を流しながら、笑う自分の姿が洗面鏡の向こうにいた。
しかし、小百合は、まるで他人がそこにいるかのように微笑み、見つめ合い、時に笑いあっていた。
C39
「ママ~」
ハッっとした。
今・・・何時?
目が開かない。
声は・・・左から?
瞼が重い。
感覚を頭で考えている。
考えている。。。
という意識をハッキリと自覚出来るほど、時間をかけてゆっくりと、声の主を探した。
右を下に横向きに寝ていた。
左半身が重い。
背中側から、こちらの肩あたりに、顎を乗せて密着する可愛い小さな顔。
コンタクトをしていなくても、この至近距離なら表情まで読み取れる。
「おはよー」
一重だが、パッチリとした澄んだ瞳がまっすぐこちらに向いている。
時折、鼻息をかけながら、私の様子を伺って。
いったい昨日は何が起こったんだろう。
娘の方に向き直りながら、小柄な娘を抱き締めた。
嬉しそうに、にやけた表情を隠そうとしながらも、抱き締め返してくる暖かな体温。
左手の甲に鈍い痛みが走った。
その痛みが、少しずつ、記憶を呼び覚ましに小百合の脳へ駆けて行った。
C40
いつ、どうやって布団に入ったのか
全く記憶がなかった。
小百合は、お酒は得意ではないが、酒量を心得ているというか記憶がなくなる程飲んだ事などもなかった。
記憶が無い。
多分、人生で、初めての出来事。
「ママー痛い?」
宙音は、急いでベッドから跳び降りると、電話台の抽き出しあたりを探るゴソゴソという音を出し始めた。
手の傷口を凝視した為に、宙音が気付いたらしい。
どんな物に擦ったら、こんなに腫れて赤くなるんだろう。
小百合の白い小さな左手の甲は、赤いボールペンで何本もランダムに描きなぐった画用紙のようだった。
ミミズ腫れという名は浮かばなかった。
《流星群》
盛り上がった放射線状の赤い線を眺めながら、漆黒の夜空に走る、流星群を思い出した。
確か・・・しし座だったかな?
「流星群、見に行かない?」
祐一郎にメールでそう誘われた。
正直、夜に誘い出す文句にしてはベタだなぁと心では舌を出していた。
漆黒の空に、放射線状に何度も何本も明るい光の線が描かれては消えた夜。
C41
狭いオープンカーの2シーター。
タイプではない祐一郎と、ロマンチックな雰囲気になるのを避けたくて、ひたすら話し続け、ムードを壊し続けた記憶。
でも、流れ星には、ウブな少女のように、たくさん願い事を込めた。
次から次へと現れる流れ星に、節操もなくいくつもいくつも願った。
あの時の願い事は・・・ひとつは叶ったかもしれない。
《結婚》
相手は、祐一郎と特定しなかったけど。。。
《結婚するなら、好きな人より、愛してくれる人の方が幸せになれる》
都市伝説じゃないけれど、どこかで聞いてインプットされてしまっていた。
祐一郎の事は、好きではないが、とにかく私を一番にして、愛してくれる。
誠実で、裏切りからは一番遠い所にいる。
そう確信して結婚した。
昨夜まで、揺るぎようのない信頼だった。
知ってしまった裏切りは、小百合の人生感を完全降伏させ、生まれながらの正義感は、現実という黒い塊に、ひれ伏してしまった。
手の甲を眺めながら、一瞬で回想した思考を閉じると、ベッドから体を起こして端に座った。
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