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茨と愛と狂気の世界

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名無し
18/10/02 17:03(更新日時)

茨(いばら)節子は、月曜日の真っ昼間であるにも関わらず、公園のベンチに座っていた。
辺りに人影はなく、蝉の泣く音だけが辺り一面に響いている。

真夏の太陽はジリジリと節子の肌を焦がし、まだ20代前半である彼女の顔は真っ黒に日焼けし、偉く老けて見えた。

子供達が~ 空に向かい~♪

ほぼ無意識に鼻歌を口ずさみながら、彼女は、遠い、遠い昔の記憶を思い出そうとしていた。

昔はもっと世界が輝いていた。夢があった。希望があった。何よりも、毎日が楽しかった。具体的に説明しろと言われれば上手く説明出来ないけど、今よりも心が軽かった。

けれど、彼女がいくらそれを思い出そうとしても、無理だった。まるでそれは、体の何処かが痒いのに、一体何処が痒いのか分からない、あの歯がゆい気持ちに似ていた。

節子は、遠くにある杉木を見ながらため息をついた。

今年で23になる女がこんなことを思うなんて、私はまるで老人みたいね…

彼女はそう思うと悲しくなった。
それと同時に全てを忘れたくなった。

節子はベンチに横になると、なるべく直射日光が目に入らぬよう、首を横に向けた。そして、静かに目を閉じた。

辺り一面がオレンジ色になった。

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No.2704907 18/09/04 22:43(スレ作成日時)

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No.1 18/09/04 23:37
名無し0 

気付けば節子は、アメリカの西部劇を思い出させる町並みにいた。

彼女は、それが明晰夢であることを瞬時に悟った。

面白い夢を見る人は、現実にも面白い人で、逆につまらない夢を見る人は現実にもつまらない人だ、というのを聞いたことがある。

でも、それは間違いだと思った。
自分の場合は面白いのではなくただの変人で、世間からは嘲笑され馬鹿にされるだけの存在である。

夢の中でも自責の念を持たないといけないことについて、節子は少々腹が立った。

きっと寝起きは最悪だろうな、と考えていると、向こうの丘に絞首台があるのが見えた。

No.2 18/09/05 12:20
名無し 

>> 1 ふと節子が両手を動かそうとすると、手首に鈍い痛みが走った。

気付けば両手に木製の手錠がはめられてあった。

辺りを見渡すと、町の至る所で群衆に囲まれているのに気付いた。

年層は子供から老人まで幅広くいたが、皆目は虚ろで、生気がなかった。
口だけがニヤニヤと笑っていた。

「ああ、私はこれから絞首刑にされるのね。」

夢の中であることを自覚しているためか、昂揚よりも死ぬことはないという
安堵感が勝っていた。






No.3 18/09/05 17:24
名無し 

>> 2 「そうだ、これから御主は絞首刑に処されるのだ。」

ふと嗄れた低い声が聞こえた。振り替えると、傍らに浴衣姿の相撲取りがいた。

「あ…」

節子は思わず声をもらした。決して驚いたからではない。その顔には見覚えがあったからだ。

つぶらな瞳に高い鼻、太くて長い眉毛

ここまで相撲取りに似合わない顔はないな、と節子は思った。

この男が痩せたら、どんな顔になるんだろう…と考えながら、彼女は昔の記憶の断片を探り始めた。

No.5 18/09/07 21:53
名無し 

>> 4 バシッ…

その直後、節子は頬を打たれた。

一瞬、何が起きたのか理解できず、思考が停止した。相撲取りの険悪した表情を見て、やっと自分が打たれたことを自覚した。

「手前の顔は、天狗の使用したアーパードなのかーー!!!」

顔を真っ赤にしながら相撲取りが怒鳴った。

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