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秘密の穴

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匿名
18/02/07 16:48(更新日時)

秘密の穴

よろしくお願いします。

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No.2597917 18/02/05 08:55(スレ作成日時)

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No.1 18/02/05 09:00
匿名0 

僕は何もかもに疲れていた。

仕事も辞め、誰も自分を知らない土地で新たに仕事を探し住みかを探し新しい生活を始めた。

男の一人暮らしだ。ボロだろうとなんだろうと安きゃいいと決めたアパート。

少ない荷物を整理して俺は安いギシギシうるさいベッドに寝っころがる。

壁が薄いせいなのか隣からの声もはっきりと聞き取れる。どうやら隣は男と女の二人らしい。

ん?壁に穴があいている。

まさか見えないだろうと穴を覗く。

……………思った以上にしっかり向こうが見えた。

No.2 18/02/05 17:30
匿名 

男は40過ぎだろうか?やけに目がでかく気の強そうな顔だ。

女は…………

はぁ。思わず口からため息が。

デフだし可愛くもない女だ。ため息つくなんて失礼なことと思いながらもがっかりしてしまった。

やはり俺も男。美人なら覗きがいがあったものの。

女はリコ。男はシノブ。というらしい。

女は男の話にニコニコしながら頷き話を聞いている。俺はそんな光景に何だかほっこりしてしまい、覗き穴をガムテープで止めた。

お幸せに。

心のなかでつぶやいた。

No.3 18/02/05 17:37
匿名 

次の日は土曜日で仕事は休み。テキトーなテレビを見ながらテキトーな昼飯を作って食っていた。

お隣のリコさんならきっと旨そうな飯を作るだろうか?など考えた。

すると…

ふざけな!人として終わってる!最低な女だな!!と怒鳴り声が聞こえてきた。

俺は味噌汁を吹き出しそうになりむせた。リコさんらしき声の女はひたすらごめんなさいごめんなさいごめんなさいと泣きながら謝っている。

昨日のほっこりとはうって変わって、今日は何やらとんでもないことでもあったのだろうか。

俺は昨日封印したばかりのガムテープを剥がした。

No.4 18/02/07 09:00
匿名 

リコさんは土下座してる。

頭を床にすり付けごめんなさいをひたすら連呼。

男は目を見開いて殺しをするのでは?と思うほどの形相。

もしやリコさんの浮気とか?など勝手な想像をしてると…

☆連絡が遅れてごめんなさい!10分くらいならいいと思ったの。帰るのが遅くなってごめんなさい!

リコさんのセリフからすると、仕事から帰ってくるのが10分遅れた。そして連絡を忘れたと言うことらしい。

男の頭の中を切り開いてみてみたい。たかがこんなことで女に土下座させるのか?

自分にはない感覚なのであまりの違和感にポカーンとしてしまった。

リコさんは大きな体を小さく縮めて必死に許しを求めてるのに…

しばらくすると男は外に出かけると扉をおもいっきり締めた。リコさんは悲鳴に近い声でその扉にごめんなさい!と叫んだ。

男はそれを無視し外に出かけた。

リコさんはテッシュで鼻をかむと、テーブルに頭をつけたまま動かなくなった。

俺はその姿があまりにも悲しくてあまりにもあまりにも………愛しく見えた。

可哀想という同情から愛しく見えるのかもしれない。保護してあげたい。泣かなくていいと抱きしめてあげたくなった。

もちろん穴を覗いてることがバレたら大変だし、下手に接触してはいけないと思うのだけれど、どうにもそばに行って抱きしめたい。

僕はその悶々とした気持ちを胸に眠れない夜を過ごした。

No.5 18/02/07 16:42
匿名 

次の日からは男の無視が始まった。

リコさんは必死に機嫌を取ろうと話しかける。

男の好物なのか唐揚げやらハンバーグやら大量に。

男は一口二口食べると体調が悪いからこんな油もの食べれないと言い出した。

そして、寝るわと一言言うと別の部屋にこもってしまった。

リコさんは大量の料理を前に呆然としてる。

僕は衝動にかられるまま、外に飛び出し、隣の部屋のインターホンを押した。

★すみません急に!隣に引っ越してきたものです!ご挨拶遅れました。

あっ…おまけに手ぶらですみません。佐倉といいます!

衝動のままに行動したので手ぶらで来てしまった…僕は顔が赤やら青になりながらも必死に挨拶をした。

☆どうも。三國と言います。こちらこそお願いします。

リコさんは疲れきった顔で目にはかすかに涙がたまっていた。

★良い匂いですね!夕食中でしたか?良いなぁ。僕は一人もんなのでいつもコンビニかカップ麺ばかりなんですよ!こういう匂いは本当に羨ましい気持ちになっちゃうな!

僕はまるで何かくれと言ってるかのようなわざとらしい演技で内心恥ずかしくてこの場から逃げたいほどだった。

☆あの、あまり美味しくないかもしれないですが、大量に作ったのでもしよかったら食べて頂けますか?

僕はコクンコクンと頷き、是非!とお願いした。

リコさんはタッパーに唐揚げとデミグラスソースのハンバーグ、それとポテトサラダを入れてくれた。

僕はその暖かいタッパーを胸に抱え、自分の部屋に戻ってきた。

No.6 18/02/07 16:48
匿名 

元々人見知りの自分がまさかこんなことをしたことが自分でも信じられず、胸がバクンバクンいっている。

僕はタッパーをテーブルに置き、深呼吸をした。

とりあえずリコさんの料理はもらった。俺になんてもらって欲しいとは思ってないだろうけどゴミになるよりは良いだろう。

僕は覗き穴から隣を覗く。

リコさんは少なくなった料理を今から食べるとこらしい。

僕は小さな声でいただきますと言い、隣のリコさんと一緒に食べ始めた。もちろん壁を挟んだこちら側で。

久しぶりの人との食事。壁を挟んでだけどなぜかほっこりした。

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