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雨が降っていた2

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以前「雨が降っていた」を投稿していた者です。


こちらの都合で中途半端になってしまっていました。読んでくださっていた方がいたらごめんなさい。

新たにこちらで続きを書きます。
どうか引き続きよろしくお願い致します。

17/08/21 00:20(スレ作成日時) [RSS]

  • No: 21パンダっ子(FWvYnb)スレ主更新時刻17/09/10 10:36

    シャワーを浴びて部屋に戻ると、友香はベッドに入って待っていた。
    私が裸になって隣に滑り込むと、待ちきれないとばかりに抱きついてきた。

    友香が私の手を取って自分の亀裂に誘った。
    「ねぇ、早く・・」
    友香のそこは暖かく湿っている。私はすぐに指を離した。友香が明らかにがっかりした顔になった。

    「友香、手を縛っていい?痛くしないから、それだけは約束する。」
    友香は訳が分からないというように首を傾げて、『えっ⁈』と短く言った。
    私は『大丈夫大丈夫』と言いながら隠していた紐を取り出し、友香を後ろ手に縛った。

    私は友香の胸にむしゃぶりついた。両手の自由を奪われた友香はたまらなくセクシーだった。
    「可愛いわ、大好きよ。」
    身体中をさする。腰のくびれや太腿の白さを、ここぞとばかりに堪能する。友香の意思など関係なく、私の思うがままの行為がこんなに興奮するなんて。私の言いなりになっている友香にもいつも以上の愛しさを感じた。

    「琴乃・・・もう許して・・・」
    友香の声がかすれている。
    「いいわ、どこをどうして欲しい?」
    私の声は気味が悪い程優しい。なのにその言葉は全く優しくなかった。

    「私の・・・アソコを指で弄って・・・舌でイかせて欲しい。」
    友香の羞恥心も薄れてきたようだ。
    私はにやにや笑いが止まらない。楽しくてたまらない。

    「それと、手を解いて・・・琴乃を抱きしめたい。」
    「それはだめよ。でもそれ以外ならしてあげるわ。」
    私は足下から徐々に手を滑らせ、ついに友香のそこに触れた。そこはもう愛液でヌメっていて、私の指を難なく呑み込んだ。

  • No: 22パンダっ子(FWvYnb)スレ主更新時刻17/09/12 00:37

    静かに指を滑らせるだけで、友香は甘い吐息を洩らした。
    「気持ちいいの?」
    聞かなくてもいい事を敢えて聞く。友香がコクンとうなづいた。
    「もう、イきそう・・・」

    「じゃあ、イって。」
    私は指の動きを早めた。友香の弱い部分を重点的に責めると、友香はいとも簡単に達した。声だけはかろうじて抑えた。

    「友香のイく時の顔、凄くエロい。ますます好きになっちゃう。」
    私は指を動かすのを止めなかった。イった後のそこがどんなに敏感になっているか知っていて、敢えて止めなかった。

    友香は脚を閉じようとしたが、私はそれを許さなかった。
    「こんな目に遭わされても、私を愛してる?」
    友香の目を覗き込むように、私は囁いた。

    「愛して・・いる・・・わ」
    友香が切れぎれの声で答える。友香も私の目を見続けていた。
    「嫌いに・・なれるの・・なら・・・なりた・・いのに・・・どうし・・ても・・・できない・・」
    友香の目から遂に涙が溢れた。

    私は指を離し、友香の手首の紐を解いた。もういい。私こそ、友香に謝らなくてはいけない。
    友香が私にした行為より、遥かに酷い事を私はしてしまった。

    手が自由になった友香は、私をきつく抱いた。
    「友香・・・ごめんね。私は・・・友香を許していないふりをした。あなたを、私の思うがままに抱いてみたくて、それに夢中になりすぎた。もう二度としない。許して。」

    友香は無言で私を押し倒した。
    そして私にキスをして、唇を下に移していった。
    私の熱く濡れた亀裂に友香の唇が吸い付いた。愛撫もされていないのに
    、私のそこは太腿に伝う程濡れていた。

    友香が舌の動きを速めると、私はいつも通り、短く声を洩らして絶頂に達した。

  • No: 23パンダっ子(FWvYnb)スレ主更新時刻17/09/14 01:21

    全身が痙攣するみたいにヒクヒクしている。友香はそんな私を再び抱き締めて、耳元で囁いた。
    「琴乃は詰めが甘いわね。」

    私は訳が分からないまま、友香の背に腕を回した。
    「私が泣いたのはね、気持ち良かったからよ。あなたの表情も言葉も、
    愛撫も全てが良すぎて、恥ずかしい筈なのに感じ過ぎて、涙が出たのよ。」

    友香の囁きは止まらない。
    「私を思うようにしたいなら、いつでもして良いのよ。だって私はあなたの虜なんだもの。使役するように、私を弄んでも構わないの。だって、私もそれに喜びを感じてしまったのだから。」

    「そんな・・・」
    そんな事は出来ないと言えなかった。
    「琴乃だって、愛撫もされていないのに凄く濡れてた。私を縛って、恥ずかしい格好をさせて、エッチな言葉を言って、それが快感だったんでしょう?あなた、楽しくて仕方がないって顔してた。私の事、好きとか綺麗とか言ってくれた。だから、こういうプレイがしたくなったらいつでもしてくれて構わないのよ。」

    私は友香をきつく抱いた。恥ずかしさで友香の顔が見られない。

    「だから、私の弱みにつけ込んだなんて思わなくていいの。あなたは私に酷い事をした訳じゃない。私達は新しいセックスの形を試みただけ。そしてそれが思った以上に良かっただけ。私が泣いちゃうくらい。」

    私達はゆっくり目を合わせた。そして二人同時に照れ笑いを浮かべた。
    「良かった。友香を泣かせてしまったと思った。自分の欲求だけを優先して、友香を傷付けたと思った。」

    「だから、琴乃は詰めが甘いって。優しいのよ、結局。私はもっと激しくされても平気だよ。痛く無ければね。」
    友香は私のおでこにキスをした。
    「でも、そんな優しいあなたが大好きよ。」

    私達はもう一度抱き合った。
    いつの間にか年が明けていた。新年を祝う花火が上がって、雲のない冬の夜空を明るく染めた。
    抱き合ったまま、私達は花火を見た。そして時々見つめ合った。

    好きな人と過ごす初めての新年を、私はこうして迎えた。

  • No: 24パンダっ子(FWvYnb)スレ主更新時刻17/09/17 10:31

    純さんの家で過ごすお正月はあっと言う間に過ぎて、いよいよ明日は帰るという夜、私と友香は純さんの書斎に呼ばれた。

    書斎は古書に囲まれていて、重厚な造りの机や古くてかつ豪華な調度品がまるで古い洋画のセットのようだった。今にも部屋のドアが開いてパイプを咥えた探偵が入って来そうだ。

    ゆったりとしたソファに友香と並んで座ると、その向かい側に純さんが座った。
    「二人共お正月を一緒に過ごしてくれてありがとうね。今日呼び出したのはどうしても聞いて欲しい話があったからなの。」

    聞いて欲しい話、という純さんの言葉に僅かに緊張が緩んだ。もしかしたら私と友香の付き合いについて何か聞かれるのではないかと思っていたからだ。

    「この話は先代の辻岡しか知らない話よ。家族の誰にも話していないの。・・・いえ、出来ないの。だからこれは私達だけの秘密よ。」
    私達は黙ってうなづいた。純さんは私達に一通のエアメールを渡した。受取人は純さん、そして差し出し人は『Shiori Kathuragi』となっている。日付は今から、20年前だ。

    「葛城史織は私の親友。その手紙は私が最後に受け取ったものよ。」
    「おばあちゃん、これ、読んでいいの?」
    純さんは微笑んでうなづいた。優しい目をしていたけど、何か寂しげな眼差しだった。
    「琴ちゃんも読んでちょうだい。」
    私達は身体を寄せて手紙を読んだ。

  • No: 25パンダっ子(FWvYnb)スレ主更新時刻17/09/17 22:14

    『拝啓 純さん

    お元気ですか?季節はすっかり夏ですね。純ちゃんは初めての孫が生まれるのを今から楽しみにしているでしょうね。あなたの嬉しそうな顔が目に浮かびます。

    純ちゃん。突然ですが、これは私の別れの挨拶になります。

    私は癌に侵されてしまいました。今は入院中です。抗がん剤治療をしてもらっていますが、あと二か月くらいだそうです。

    あと二か月で、私は死にます。

    その前にどうしても伝えたい事があって、ペンを取りました。あなたは驚くでしょうね。

    純ちゃん。私は、あなたが好きです。

    学生寮で同室だったあの頃から、ずっとずっと、一人の女性としてあなたを愛していました。

    今まで黙っていたのは、あなたを失いたくなかったから。親友だったら、ずっと繋がりを持っていられるからです。

    23年前に嫁ぎ、夫と一緒に海外に来てしまえばあなたを忘れられると思っていたけれど、私が甘かったわ。あなたを忘れた日なんて、一日たりともなかった。

    あなたの好きなもの、嫌いなもの、少しでも目につくと、いつもあなたを思い出した。あなたが送ってくれる手紙や写真が、あなたの幸せな生活を物語っていたから、私はあなたが幸せならば、それでいいと自分に言い聞かせて毎日を過ごしていました。

    だからといって、私が不幸だった訳ではないの。私の夫は、何一つ文句の付けようもない人でした。私は夫に愛されていたし、私も夫を信頼していました。この人と結婚して良かったと、感謝していると、何度も思いました。

    だから、きっとこれで良かったと思うの。あなたの幸せを祈る時、あなたの幸せを確認できた時、私はとても嬉しかったから。

    私はもういなくなってしまうけれど、これからも変わらずあなたの幸せを祈ります。
    何も変わらない、ただ祈る場所が変わるだけです。

    今まで仲良くしてくれて、本当にありがとうございます。
    もし最後の最後に、あなたに不快な思いをさせたなら謝ります。この手紙はご家族の目につかないうちに、破り捨ててください。

    今度生まれる時は、振られてもいいからあなたと違う性に生まれたい。だって私はきっと、来世でもあなたを愛してしまうだろうから。

    それでは、さようなら。どうか、ご家族を大切になさってください。

    敬具 』

  • No: 26パンダっ子(FWvYnb)スレ主更新時刻17/09/18 07:45

    「おばあちゃん、これは・・・?」
    友香の声が震えていた。
    「驚いたでしょう。私もそうだった。」
    純さんは友香を労わるように言った。

    「おばあちゃん、返事を書いたの?」
    純さんは静かに首を振った。
    「いいえ。」
    「そんな・・・この人は死期を悟って勇気を出したのよ。もう二度と会えないなら、返事くらい・・・」
    「待って、友香。」

    私は純さんにくってかかる友香を止めた。
    「今は純さんの話を最後まで聞きましょう。純さんは差し出し人が捨ててもいいと言った手紙を大切に取っていたのよ。何か理由があるのよ。」

    純さんはありがとうというように私を見た。
    「私はね、友香。この手紙を受け取ってすぐ、史織の所へ行ったの。・・・私も史織を、愛していたから。」

    純さんは・・・この人を・・・?
    「私も愛していると言いたくて、何より病気で苦しんでいる史織を何とかしてあげたくて、私は身重の娘も主人も放って史織のもとへ行った。主人は黙って行かせてくれた。英語の堪能な辻岡も付けてくれた。ありがたかったわ。」

    「史織さんは喜んだでしょうね。」
    黙ってしまった友香の代わりに私が聞いた。それはそうだろう。祖母に祖父より好きな人がいたのだ。複雑な気分になって当然だ。

    「・・・間に合わなかった。史織は私が着くより早く、死んでしまったの。」
    「「そんな・・・」」
    私と友香は同時に声を発した。
    「多分この手紙は時間をかけて書いたのでしょうね。それと人に託したのが遅かったのよ。私が着いたのは彼女の葬儀の翌日だった。
    真っ先に病院に行って、そこで史織が亡くなったのを知った。でも史織に手紙を出すのを頼まれた看護士に会えたの。史織は容態が悪くなってからその看護士に手紙を渡したみたいだった。」

    私には史織さんの気持ちが分かるような気がした。最後まで親友のままでいようかと、葛藤があったのだろう。この手紙は告白でありながら、純さんへの気遣いで溢れていた。純さんの気持ちを考えて、出すか出すまいか迷ったのだ。

    「私は呆然と彼女の埋葬された墓地へ行った。辻岡がせめて墓参りをしてはどうかと言ってくれたから・・・私一人だったら頭が回らなかったでしょうね。」

  • No: 27パンダっ子(FWvYnb)スレ主更新時刻17/09/18 10:45

    「墓地へ行ってみると、そこには葛城さんが居たわ。連絡もしていない私が現れて、彼は驚いていたようだった。私が手紙を受け取った事を伝えると、彼はただ『そうですか』と言ったきり黙ってしまった。私、何だか妙な気持ちになってしまってね。史織について沢山聞きたい事があるのに、葛城さんにはどうしても聞けないの。打ちのめされた彼の姿が、史織をどんなに愛していたのかを明確に表していたからね。史織が伴侶として選んだ人と、どんな顔をして彼女の話をすればいいのかわからなくなって、花を手向けてお別れをして、すぐに立ち去った。だけど、その場を離れようとした時、葛城さんがぽつんと言った。『妻は、ずっと誰かを待っていたような気がしたけど、きっとあなたを待っていたんですね。』って。」

    純さんは目尻を拭った。
    「今でも涙が出るわ。ああ、この人はどこかで気づいていたのかと思った。だから、咄嗟に嘘をついてしまった。『私達、親友でしたから。』
    そう言って、私はその場を離れた。
    あれが優しさなのか、残酷なのか、あれからずいぶん経ったけれど、今でもわからない。」

    純さんはまた涙を拭いて話を続けた。
    「私はずっと、葛城さんが羨ましかった。史織を手に入れた彼に、ずっと嫉妬していた。だけど、彼の一言で彼を羨ましく思っていたのが間違いだったと気づいたの。彼は彼なりに苦しんだのかもしれないと。」

    「私は帰る飛行機の中で、ずっと黙ってついていてくれた辻岡に全てを話した。話し終えると、辻岡は一言だけ言った。『皆さん、お優しいですね。本当に、お優しい。』私は辻岡だって相当優しいと思った。そして私は帰国して、史織の願い通りに家族を大切にしようと誓った。史織を失った悲しみを癒してくれたのが家族だった。特に友香、あなたの存在が、私には救いだったわ。」

    純さんは友香を優しく見つめた。

  • No: 28パンダっ子(FWvYnb)スレ主更新時刻17/09/18 18:09

    「おばあちゃん・・・私は色々聞きたい。おばあちゃんがおじいちゃんとどんな風に結婚したとか、どんな生活をしていたのかとか、史織さんの事とかを聞きたい。」
    友香は真っ直ぐ純さんを向いた。

    「いいわ・・・どんな質問にも答える。私にはそうする義務があるもの。」
    純さんも友香を真っ直ぐに見つめた。

    「史織さんとは学生寮で一緒だったのね。」
    「そうよ。私も史織も女子大の寮生だったの。史織は東北の裕福な医者の娘で、地方出身なのに訛りが全然ない子だった。控えめな性格で優しくて、いつもおろしたての石鹸みたいな匂いがしていた。」

    純さんは机の引き出しの奥から一冊のアルバムを取り出した。
    そのアルバムは予想通り、純さんと史織さんが写っていた。
    純さんが華やかな美人なのに比べて、史織さんのイメージは一言で言うと清純だった。肩の上で切り揃えられた真っ直ぐな髪が真面目な印象を与えていた。ページをめくるたびに髪形が変わる純さんとは違い、彼女はいつも同じ。それが彼女をより若く見せていた。

    「素敵な二人ですね。」
    私は率直な感想を言った。写真の中の二人は笑顔が輝いていたし、何よりも二人共美しかった。

    「ありがとう。あなたたちも素敵よ。」
    「あっ・・ありがとうございます。」
    私は思わずぺこりと頭を下げた。純さんがうふふと笑った。

    友香が咳払いをした。
    「あっ、ごめん。」
    私は話が逸れてしまった事を謝り、純さんの話の続きを待った。

  • No: 29パンダっ子(FWvYnb)スレ主更新時刻17/09/19 02:19

    「史織さんを好きだって気付いたのはいつからなの?」
    「史織と同室になって、仲良くなった私達は何でも話したけれど、不思議と男の子の話はしなかったの。ある時その事に気がついて考えてみたんだけど、二人で居るのが本当に楽しくて、どうせ年頃になったらお見合い結婚をするんだから、今恋をしたって仕方ないと思っていたの。きっと彼女もそうだろうと思っていたわ。」

    「・・・あれは、入寮して半年経ったある秋の夜だった。大きな台風が来て、雷が酷くて・・・私は小さい頃から雷が苦手で、怖くて怖くて耳を塞いでガタガタ震えていた。そのうち停電もあって、あの頃は頻繁に停電していたの。・・・その時だった。史織が私を抱きしめて、『大丈夫、私がここにいるから』って言ってくれたの。二人で頬を寄せて、固く抱き合って、いつもよりずっと強く石鹸の香りがした。胸が圧迫されて、私の鼓動が史織に聞こえているかもしれないと思った。時々青白く光る稲妻が私達を照らして、その時だけ史織の顔が見えた。彼女は私をずっと見ていてくれたわ。とても優しい、美しい表情をしていた。大嫌いな雷が、永遠に鳴り止まなければいいとさえ思った。私は・・その時から史織を意識するようになったの。」

    「おばあちゃん、雷が怖くてドキドキしていただけとは考えなかったの?」
    「もちろん考えたわよ。何度も何度も。あれは史織の優しさであって、恋愛感情を抱く私がおかしいのだと。史織はああやって震えていたのが私じゃなくても、きっと同じようにするのだと自分に言い聞かせた。だけどね、何度考えても、あの夜の史織の肌の感触も、香りも、私が感じた胸の高鳴りも、全てが素敵に思えた。」



  • No: 30パンダっ子(FWvYnb)スレ主更新時刻17/09/21 10:04

    「あれはきっと恋だと、今でも言い切れる。私の生涯において、たった一度の真実の恋。」

    純さんは淡々と語った。史織さんと離れたくなくて、四年間寮に住み続けた事、就職後も結婚後も、親友として交友関係を続けた事、史織さんがアメリカに行ってしまってからは、一度も会えないままだった事・・・

    「亡くなった主人には、感謝しているわ。私に娘を・・・家族を与えてくれたし、なに不自由ない生活をさせてくれた。だから、私の生き方が不幸だったとは決して思わない。」

    「世の中には愛し合って伴侶になった夫婦も、もちろんいると思うけれど、それはほんの一握りの人達なの。大抵は打算なり諦めなり、妥協なりが働いて結婚に到るものよ。愛さえあれば、なんてのは通用しない。こと結婚に関しては。」

    純さんは5歳年上のご主人が、どうして自分を結婚相手に選んだのか、結局分からなかったと言った。聞いたことさえなかったという。自分が史織さんとの恋を諦めて結婚は条件のみで決めたのだから、ご主人がどんな理由で結婚しようが構わなかった、と純さんは言い切った。

    ご主人との結婚生活は、純さんが史織さんを忘れることができなかったせいでどこか一線を引いたままだったという。いつまでも自分に心を開かない純さんに、ご主人は業を煮やしたらしい。浮気をするようになってしまった。

    それでも純さんはご主人に嫉妬したりしなかった。娘も産まれ子育ても忙しかったし、なんなら夜の生活から開放されると不謹慎にも少しほっとしたらしい。

    浮気をしていても、ご主人の態度は紳士だった。子供も可愛がっていた。常に家族と仕事を第一に考えていたから、浮気相手には割り切って付き合える女しか選ばなかった。

    それだけでもありがたいと純さんは静かに笑った。自分のせいで浮気をさせてしまったのだから、家庭を壊さないだけでも立派だと妙な褒め方をした。

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