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シバトラ( bvoXnb )
17/11/27 22:21(更新日時)



森の中はシーンとしている。



「…ここにしよう。」





No.2433864 17/02/15 21:18(スレ作成日時)

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No.1 17/02/15 21:19
シバトラ ( bvoXnb )

私は震える手でリュックから紐を取り出した。

No.2 17/02/15 21:54
シバトラ ( bvoXnb )

私は今からすることの為に、バイトを頑張ってお金を貯め、家からずっと離れた山奥に向かった。

電車から色んな景色が見れて少し心が高鳴ったけれど、目的の場所に着いた頃には夕日が沈みそうで、切ない気持ちになった。


「やっぱり私は一人ぼっち…。でもまぁ私には丁度いいか…」


友里は紐をきゅっと結ぶと呟いた。


でもどうやってこの木に紐を結べばいいかな?

友里が木に触れ眺めていると、ビュンと強い風が吹き、友里は乱れた髪を整えた。

「寒い…早くしよう…」


「お前は今から何するつもりなんだ?」



突然、後ろから声を掛けられた。

No.3 17/02/16 20:49
シバトラ ( bvoXnb )

振り向くと、後ろには大蛇がいた。


「ヒェッ?!」

友里は尻餅をついた。


「俺の住みかで死のうとしてないか?」



大蛇はシュルシュルと舌を出し入れしている。


「だっ大蛇…」


No.4 17/02/16 20:53
シバトラ ( bvoXnb )

友里は逃げようとしたが、腰を抜かしてしまい動けない。


「そうだなぁ…死のうと思ってるなら、俺が手伝ってやろうか?」



大蛇は少しずつ友里に近付いてくる。


「実に旨そうだ。ジュル…。」


「ッ!!」


たったすけて!!

「何か言いたそうな顔してるけど…もしかして痛みとか?それなら大丈夫。俺は人間と違って丸呑み派だから。じっくり時間かけて溶かしてあげるよ?」

No.5 17/02/16 21:09
シバトラ ( bvoXnb )

恐すぎて声が出ない…

大蛇は友里の手の届く距離まで来た。


「なんで泣きそうな顔をしているんだ?お前が持っている物で死ぬよかよっぽどラクだぞ?それに俺は、それで失敗した奴を沢山見てきた。そりゃ、上手く出来る奴もいるけどな。それに、死んだって嫌なことから逃げれる訳じゃないぞ?お前には見えないのか?」



「あっ…貴方に何が分かるのよ!!」


ヤバい…つい…もう食べられる…


「分からねぇ。それに分かりたくなんかない。」


と言うと、大蛇は霧に包まれた。


No.6 17/02/17 22:14
シバトラ ( bvoXnb )

なっなに…?

友里がキョロキョロと見渡していると、
ビューっと強い風が吹いた。


風が止むと、霧もなくなり大蛇の姿も跡形もなくなっていた。


えっ…幻?



でもやけに…


それより早くしなきゃ…もう家に帰るお金なんて持っていないんだから…。


はぁ…なんで生まれて来たんだろ。

『本当に生まなきゃよかったこんな失敗昨。』


私だって生まれたくなかったよ…


友里は鼻をすすりながら、紐を木に引っかけようと、何度も何度も紐を投げた。


なんで?なんでよっ!?なんで引っかからないのよぉぉっ!!

No.7 17/02/17 22:15
シバトラ ( bvoXnb )

友里は地べたに座り込み地面を叩きまくった。

『ねぇ…?何時までアナタの育児しなきゃなの?』


「もうやだ…もうやだよぉ…私がなにしたっていうのよぉ!!」


静かな森に淋しく響く友里の泣き声。



どのくらい経ったのだろうか…友里が泣き止んだ頃には辺りは真っ暗だった。

No.8 17/02/19 21:33
シバトラ ( bvoXnb )

寒い…もうやだ…

違う家に生まれていたら…

もし男に生まれていたら…


弟みたいに可愛いがられていたかな…


そしたら私は…心の底から笑えていたのかな…


私だけ弁当が無くたって、私の存在を隠されたってずっと頑張って笑顔を作ってたのに…


結局受け入れて貰えなかった。


だからこれしかないじゃん…


私が悪いんだもん。
生まれて来ちゃったから…

No.9 17/02/19 21:42
シバトラ ( bvoXnb )

でも……本当は死にたくない。

死にたくなんかない…


生きたい…

でも死ななきゃ…こんな暗くて誰もいない場所で…


もう…もうやだよぉ…

友里はまた泣き始めた。


「泣くな。五月蝿い。」

とため息をつく音が聞こえた。

No.10 17/02/19 22:10
シバトラ ( bvoXnb )

友里は気付いていないのか、反応しない。



「五月蝿いなぁ…。お前のこと、食べていいか?あぁ、それがいい。食べたら静かになるもんなぁ。女は特に柔らかくて旨いんだよなぁ。」


「えっ……だっだれ?」


友里はジュルジュルと鼻水を啜っている。


「誰かって?俺のこと?…ここの主かな。」


友里は涙を拭い耳を澄ませた。


「その声は…もしかして…?!」


「それよかもう泣くな。ていうか、そろそろ帰れ。」


「だから…私に構わないで。食べればいいじゃん。貴方は私のこと、食べたいんでしょ?私は死にたいから丁度いいよ。」


「てか俺、人間なんて食わねぇよ。」


というと、友里は頭をポンッと叩かれた。


「もうそれ以上泣くなよ…。なっ?」


…?!なんで?声は夕方会った大蛇の声なのに、頭を撫でてるのは人間の手の感覚…というか、大蛇なんているハズないよねぇあはは。

そろそろお迎えが来たのかな…


来世に期待しよ…

No.11 17/02/19 22:18
シバトラ ( bvoXnb )

「ってなんで横になるんだよ!!こんなとこで寝たら寒くて死ぬぞ?」


「あぁ…貴方は死神ね?そうだ。そうでしょ?貴方のお陰で少しだけ幸せな気持ちになれました。」


「は?」


「どうぞ連れていって下さい。抵抗なんてしないんで。」



「俺んちに?」


「どうぞどこでも。騒がないでちゃんと言うこと聞くんで。」


「…なんだ?こいつ…。」

No.12 17/02/20 10:51
シバトラ ( bvoXnb )

「私は友里です。」


「はぁ~友里さんですかぁ。って名前聞いてないからね。…仕方ないなぁ。ほら来いよ…。」


「えっ?歩いて行くの?もう私…寒くて足の感覚ないんです。ってそもそも死んだらお空にいくんですよね?早く浮かせて下さい。」


「はぁ?お前なんか色々と勘違いしてね?…ったく仕方ないなぁ。」


男は友里を軽々持ち上げ、お姫様抱っこをした。


ふぇっ?!

私、いっ今お姫様抱っこ…されてるぅぅ?!

「お前重いな…。」

No.13 17/02/21 20:40
シバトラ ( bvoXnb )

「すいません…。」


「なぁ、なんでお前死にたいの?」


「えっ…えっと…それはですね、私が不必要な人間だからです。」


「ふーん。不必要な人間ねぇ。」


「はい…。」


「不必要って誰が決めたの?」

「えっ…それは…」


「お前が決めたの?」

No.14 17/02/21 20:47
シバトラ ( bvoXnb )

「…だって私は…。」


「まぁ、皆に必要とされたら、それはそれで困るな。」


「分からない…」


「分からない?」


「…だって誰にも必要とされた時ないか
ら。」


No.15 17/02/21 21:01
シバトラ ( bvoXnb )

「誰にも必要とされた時ないって?笑える。」


男は声を出して笑い始めた。


「…だからいったじゃん。貴方には分からないよ…私の気持ちなんて…」


友里は泣きそうになる。

「ごめんごめん。つい笑ってしまった。お前さぁ、誰でも助けてぇ!!って誰かに言える人ばかりだと思ってる?お前を必要にしてる人、以外と近くにいるかもよ?俺とか。」


「俺とか…?」


「まぁ、あれだ。どっかにお前を必要としてる人は沢山いる。安心しろ。」


「えぇ…」


No.16 17/02/21 21:10
シバトラ ( bvoXnb )

「あぁ。いる。大丈夫。」


「ありがとう…って貴方は人間?!私…貴方の声に似たでっかい大蛇見たんだけど…頭の大きさが周りの木と同じ位だった。ってなわけないよね。…夢?それとも幻覚?だったのかな?でもとにかく大きかった。」


「そうだよ。」


「えっ…?」


「俺はここの主。お前は俺の顔すら見えないだろ?変じゃないか?なのに俺は暗い森の中を躓きもせず歩けるなんてさ。」


「えっ…?ちょっとまって?」

No.17 17/02/21 21:18
シバトラ ( bvoXnb )

「今は人間の姿になってるけど。」


「…えっ?でも…そんな事って?!やっぱり丸呑み?丸呑みするんですか?ってなんで大蛇がいるの?それに人間になってる?えっえぇ?!」


「まぁ、世の中広いって事だな。」


「ちょっ…。えっ?なんで?どうして?食べるの?私を?!」


「おいっ、あんまりバタバタするな。お前それでも重いんだから。女ってもっとこう…なんていうか、柔らかくて軽いイメージが…」


「私…丸呑み?蛇って時間かけて胃液で溶かすんだよね?えっ?でも人間だよ?なんで?どうして?!」


「五月蝿いなぁ。お前なんか食わねぇよ。不味そう。」

No.18 17/02/22 21:31
シバトラ ( bvoXnb )

「私もしかして息出来なくなって死ぬパターン?馬鹿な私でもなんとなく死に方、想像出来るんですが…」


「取り敢えず落ち着け。」


「息出来ないって辛いよね…?ほらっ鼻詰まりながらご飯頬張ってる時みたいな…。」



「えっ…?もう好き想像してろ。ほらっ着いたぞ。」


友里は地面に優しく置かれた。


…あっ。っていうかいつの間にか身体も温かくなってる。


でも…暗すぎてなにも見えない…


「あっちょっと動くなよ?」

No.19 17/02/28 20:50
シバトラ ( bvoXnb )

「あっはい…。」


何かを擦る音がしたかと思うと、部屋は明るく照らされた。


「ふえっ?!」


イケメン…!!だっ大蛇がイケメン?!
蛇が…イケメン!!


「あっ?どうした?」


「いっ…イケメン!!」


「えっ…イエメン?なにそれ?家でラーメン食いたいの略?」


やっ…たっタイプ!!

「ん?どうした?顔赤いよ?熱でたの?うーん。少し熱いかな?」


ふぇっ?!顔を近いよぉ!イケメンだよ?!

No.20 17/04/05 22:21
シバトラ ( bvoXnb )

「あれ?もっと赤くなったぞ?大丈夫か?」


わたっ…私のおでこに…少しゴツいイケメンの手が…私のおでこに…大事な事なので3回言います。私のおでこにイケメンの手がソフトなタッチで突撃していますぅ!!



「なんか息も荒くね?大丈夫か?」


「わた…私の…」


「ん?どうした?」


「わた…私の心の…心の臓が…」


「えっ?心の臓がどうした?!」


「いつも以上に…」

ヤバい凄い近い…かお…顔がぁぁ!!


「おいっ!大丈夫か?」


「わたっ私の心の臓がぁぁ!!みゃくを…!脈を打っております!じょうかぁぁん!!」


「…え。」

No.21 17/04/05 22:32
シバトラ ( bvoXnb )

「なっなんでもないです。早く食べて下さい。私…もう未練とかないので。」


「早く食べて貰いたいのか?俺に?」


食べる…?

っ!?ま…まさか食べるイコール○○○?!

いやいや…なに考えてるの?私…

「お前って顔のわりにすげぇ積極的なんだな。」



No.22 17/04/05 22:50
シバトラ ( bvoXnb )

「安心しろ。俺、そういう奴好きだ。準備するから風呂入って来いよ。」


えっ…準備?アレの?!

どっどうしよ?!

好きだってなに?どういう事?

冴えない私と超絶イケメンが?!


ってそんな…


頬…頬叩かなきゃ

えっ?でも…私…心の準備が全然って…それに胸だって、下着だって…ましてやファーストキスだってまだだし…





No.23 17/04/06 07:42
シバトラ ( bvoXnb )

ってなんで?違うかも知れないのに恥ずかしい…。


そうだ!!そうだよ?!
最近のマンガは少しというか、エロ過ぎる。だから…だからこんな妄想を…


私は変態じゃないぃぃ!!


No.24 17/04/12 21:42
シバトラ ( bvoXnb )

くんくんっ…!!良い匂いがする…まさか…料理作ってくれてる?


美味しそうな匂いを嗅いでると、キュルルルル~とお腹がなり始めた。



…もしかして!!私の為に料理を?
あっでも期待しちゃだめだよね?違ったら傷つくの私だし…でもお腹減ったなぁ…

…お風呂入ろ。

No.25 17/04/12 21:55
シバトラ ( bvoXnb )

友里はため息をつきながら扉を開けると、立派な露天風呂が現れた。


「…えっ?凄い!!旅館みたい!!行ったときないけど…でもテレビで見た旅館より凄い綺麗…これってドッキリ?それとも夢…?」



カタンッと桶の音が響く。


でもあの人は一体何者なんだろう…

ザァァァ

友里は頭を洗いながら過去の自分を思い出した。




No.26 17/08/07 23:04
シバトラ ( bvoXnb )

…はっ!!だめだめ。


落ち込んじゃう!

せっかくこんな素敵な温泉楽しまなきゃ!!

湯加減も丁度いい…。



友里は川のせせらぎと虫の鳴き声に耳を傾けながら、ちゃぷんと音をたて、お湯をすくい顔にかけた。


現実だよね…?


それに抱っこされたときのあの温もりも…


心臓の音も凄く心地よかった。

No.27 17/08/09 08:12
シバトラ ( bvoXnb )

温かいんだ。人って。


温かいんだね。

とっても。

No.28 17/08/09 08:35
シバトラ ( bvoXnb )

知ってた。知ってたよ?


でも…裏切られたら辛いじゃん。


あの人はどうなの?
てかそもそも人…なの?

でも…あぁ…なんなの?

No.29 17/08/09 13:07
シバトラ ( bvoXnb )

そろそろ上がろ…。


あれ?すっごくいい匂いがする…。



「あの…お風呂ありがとうございました。」


「おぅ。ほら腹減ってるだろ?食えよ。」


「えっ…はい。」


友里は食べてるあいだ、何回か話し掛けようとしたが、話し掛けられず無言のまま食べ終わった。

No.30 17/08/09 13:13
シバトラ ( bvoXnb )

「ご馳走さまでした。」


男は片付けようとする友里の腕を掴むと外に出た。



「なぁ。お前は俺のこと、どうおもう?怖いか?」


「えっ?急にどうして?まだよく貴方のこと知らないし…。」


また霧が出てくると大蛇が姿を現した。

「怖いだろ…?」


友里は震えながらも、自分の意思とは裏腹に大蛇に触れていた。

No.31 17/08/09 13:20
シバトラ ( bvoXnb )

「あれ?案外ひんやりしててゴムホースに触ってるみたい。」


「ゴムホース??」



大蛇が大きな声で笑いながら人間の姿に戻った。


「うん。なんか不思議。初めて触ったけど、水やりに使うホースみたいな感触でつい…」

No.32 17/08/09 13:24
シバトラ ( bvoXnb )

「そっかぁ。」


「うん。」


「ここ気に入った?」


「うん。」


「ゴムホースか」


というと、男はまたゲラゲラと笑い始めた。


No.33 17/08/10 23:11
シバトラ ( bvoXnb )

「すっすいません。蛇なんて触る機会なくて…。」



「謝るなよ。俺も人に触られたの初めてだからなんか不思議な感じだった。案外撫でられるのって悪くないな。」


「でも…すいません。」


「なぁ。蛇嫌い?」


「うーん。分からないです。」


「そっか。まぁ、いいや。明日森の中探検するか?」


友里はコクンと頷いた。


…やっぱり良い蛇?

No.34 17/11/27 22:21
シバトラ ( bvoXnb )

死ぬために森に来たはずが、イケメンに出逢い、旅館みたいなお風呂…それに、どれも凄く美味しい料理。

で、今は、ふかふかの布団の中。

もしかして夢なんじゃ…。

それとも…本当は死んじゃってて、天国に来たとか??


夢なら覚めないで欲しいな…。

友里は、枕をぎゅっと抱き締め何回も寝返りをうった。

目が覚めたら、あの辛いことしかなかった生活に戻ってしまうかもと思ったり、ずっとここで夢のような生活が出来るかもと思うとなかなか眠ることが出来ず、一睡も出来ず朝を迎えた。

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