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穂乃果は恥だが役に立つ……はず?

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流行作家
17/05/19 11:12(更新日時)

ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』をアニメ『ラブライブ!』に置き換えたパロディ。

あらすじ
某広告代理店につとめアイドルのために日々、奮闘する派遣社員の穂乃果はある日のこと解雇されてしまう。
なんとか自分をかつて音ノ木坂学院高校を救った自分を役に立てたいと思う高坂穂乃果。
穂乃果はかつての仲間のu’sと契約しながら自分を役に立てようとする。
それに振り回されることりや海未たちかつての面々たち。
しかし家や会社を行き来するなか彼女に恋する仲間たち。
はたして高坂穂乃果を射止め契約結婚から正式な結婚へとたどり着くのは誰か?

No.2415119 16/12/29 16:49(スレ作成日時)

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No.1 16/12/29 17:42
流行作家0 

あたし高坂穂乃果。
むかしは音ノ木坂学院を廃校から救った u’s のリーダーであり発起人。
だけどいまはしがない派遣社員。広告代理店でいまはアイドル“スクールクラッシュ”を売りだしの最中なんだけど……。

『情熱大陸』風

穂乃果 「そうですね。仕事はラクではないです。だけどあたしは派遣社員だけどいまのお仕事が好き。結婚?そうだね。穂むら、ああ実家の和菓子屋さんは妹が継いでくれたんだけど、結婚か……」

などと妄想に浸っていると派遣先の社員に呼ばれる穂乃果。

社員 「高坂さん高坂さんちょっと」

穂乃果 「はいはい」

社員 「あなた、これはどういうこと。スクールクラッシュさんたちが本当にクラッシュさせてどうするの?」

社員から叱責をくらう毎日に彼女は少々うんざり。だけど派遣社員のために文句は言えないのだが。

穂乃果 「ええ〜?スクールクラッシュだからクラッシュさせた方が演出した方がいいかなと」

スクールクラッシュ 「」コラ

社員 「とにかくこれだと赤字だし予算がないわよ。スクールクラッシュさんたちにあたまを下げなさい」

穂乃果 「ゴメンなさい」

スクールクラッシュ 「よくないけどいいわよ。がんばってね」

それを見た派遣先の上司は高坂穂乃果の業績を見ながらそろそろ契約解除かと考える。
数日後、そのまま穂乃果は契約先から契約を解除されてしまうのだった。

上司 「高坂くん。悪いんだが今月でキミの契約は解除される。次の派遣先でがんばってくれたまえ」

あまりに痛切な一言と契約解除の用紙を見つめながら u’s 時代のように現実はうまくいかないものだと感じていた。
契約解除のことを穂むらを継いだ妹に伝えると、雪穂はやれやれと困った顔を見せた。

雪穂 「まったく困った姉貴だ」

穂乃果 「ひどいよ雪穂。これでもがんばったんだよ」

雪穂 「お姉ちゃんの演出はお金がかかりすぎ。u’s の時は作詞は海未さん作曲は真姫さん衣装はことりさんだったんでしょう。だけど現実はお金もひともいるんだよ」

うう、と愛妹の言葉が穂乃果の胸に突き刺さる。
たしかに学生時代とちがうことは派遣社員になってから感じていた。
妹はさらに突き刺さる言葉を言う。

雪穂 「来月からどうするの」

No.2 16/12/30 05:56
流行作家 

そんなこんなで解雇された日の夜、穂乃果はことりと海未を呼んで飲み会をしてうさを晴らしていた。
乾杯、と^_^)/▼☆▼\(^_^)。

海未 「解雇されたのに乾杯とはなんですか」

ことり 「まあまあ海未ちゃん怒らないの」

穂乃果 「ほのかだって真剣なんだよ。だけど派遣だし軽く見られるしどうしたらいいんだろう」

海未 「次の派遣先を見つけるべきですね」

むっ、としながら海未の言うことはわかるが現実は厳しいのだ。
ちなみに穂乃果は派遣社員だが、海未は実家の道場を継いで弓道をはじめありとあらゆる道を極めながら地元の少年少女たちから慕われておりまたことりもアパレル会社に勤務しながら少しずつ実力を身につけいずれは自分のブランドを発表し独立するらしい。
それにくらべて自分は。

穂乃果 「あ〜あ、結婚でもしようかな」

海未 「ハレンチです」

ことり 「ほのかちゃんお嫁にくる?」

穂乃果 「いいの!?」(☆∀☆)

海未は穂乃果とことりの間につまみの焼き鳥の串を竹刀のように振るい空を切った。

ほのこと 「」キャーッ

海未 「破廉恥です。穂乃果はもう少し将来を考えてください」

穂乃果 「お嫁さんもひとつの将来だよ?」キョトン

相変わらず可愛い顔をしてはたらしな癖はむかしから変わらないようだ。ほんの少し海未のちいさなムネがきゅんと鳴った。

海未 「誰のムネがちいさいですか」

ほのこと 「言ってないよ」

海未 「おかしいですね」

穂乃果 「お嫁さんになれば家事くらい一日中できるし」

ことり 「間違いなく毎朝はパン食だ」

海未 「和食も食べてください」

穂乃果 「お嫁さんになったら、の話だよ」

誰かと契約結婚をしたらそんな毎日かもしれないと穂乃果は夢想していた。
いまや u’s のメンバーそれぞれはことりや海未に限らず八面六臂と活躍していた。
居酒屋のテレビには現役アイドルでありながらちいさい事務所を起こした矢澤にこ、実家の病院経営をしながら美人病院長の西木野真姫、スピリチュアル占い師の東條希、バレエ講師の絢瀬絵里。凛や花陽は健康料理スポーツコンビとなっていた。

穂乃果 「契約結婚でもしようかな」

彼女の一言にふたりの間に火花が散っていた。

No.3 16/12/30 09:30
流行作家 

翌朝、雪穂が二階の姉の部屋をたずねるとまだ寝ていた。

雪穂 「姉貴起きなさいてば。お姉ちゃん!」

ふんふんすんすんしながら寝息を立てながら布団のなかで穂乃果は可愛らしい表情をしていたが、一方では面倒くさい姉と雪穂は思った。あまりにおなじ寝相を繰り返すのでやわらかい耳を指でつまんで小さく深呼吸をするといっぺんに吐き出した。

雪穂 「ば〜か〜あ〜ね〜き〜!お〜き〜ろ〜!!起きなさい起きなさい!!」

二日酔いの頭に響くくらいに声を立てられようやく穂乃果は起きたかに見えたが。

穂乃果 「今日は学校はおやすみだよ……」

雪穂 「派遣を切られたとはいえ社会人でしょう!!!」

穂乃果 「ほえ?おはよう……」

雪穂の怒鳴り声でようやく本当に目覚めたらしい姉に着替えと朝食を命じた。
着替えて顔を洗った穂乃果は居間に朝食が湯気を立ちながらならべられていたのに食欲がよみがえり箸を手にした。

穂乃果 「いただきます」

雪穂 「やっと食べるか」

穂乃果 「あれ?雪穂は」

食べた、とだけ素っ気なく言う妹は店のおもてや工房を行き来していた。いまや看板娘兼穂むらのオーナーになっていた。

雪穂 「まったくお店を少し手伝ってくれたらお小遣いくらいはあげるけど」

穂乃果 「サラッと穂乃果のプライドを傷つける一言だよ。考えとくよ」

朝食を終えた穂乃果は洗い物をして少しだけお出かけ用に身なりを整えた。

雪穂 「出かけるの」

穂乃果 「ことりちゃんたちの顔を見てくる」

なんだかんだで親友ふたりにはお世話になっているのでお店の和菓子を適当に包み出ていった。
家賃から引いておこう、と雪穂は思った。
社会人になってから穂乃果は音ノ木坂をゆっくり歩くのは何年振りだろう。音ノ木坂学院高校はいまも健在だったのになぜか救われた気持ちになった。
u’s としての活躍はいまやほんの数年前になってしまった。

No.4 16/12/30 13:33
流行作家 

穂乃果は迷った。別に道に迷うという意味の迷子でもない。

穂乃果 「そんな子どもじゃないよ」

失礼、彼女は先にどちらをたずねるべきか迷った。
天使を絵に描いたようなことりちゃん、かたやありとあらゆる道を極めんばかりの平成や21世紀に生まれたとは思えない山頂アタックな海未ちゃん。
さて、どちらにします?ここから先の選び方しだいで彼女の人生が決まる……かもしれない。

穂乃果 「さりげなくびびらせるのはやめてよ。どちらにしようかな?神さまの♪いうとおり♪👉のことりちゃんだね!」

なんとなくあらかじめ決めていたような口振りの彼女は秋葉原にあることりの勤め先をたずねると、彼女はお客さんに笑みを見せながらもまだまだニ〜三年のキャリアの新人扱い。先輩たちにはあれこれとこき使われているのが見えた。

穂乃果 「ことりちゃん」(( ̄_|

ことり 「ほのかちゃ〜ん♪こんにちは!昨夜は久しぶりに飲めて楽しかったよ!」ギュウ

穂乃果 「こ、ことりちゃん!?は、はずかしいよ」

店先で親友が抱きつくのをさすがに恥ずかしがる。

ことり 「でも伝説のメイド“ミナリンスキー”だよ♪」

彼女も社会人になってから相変わらずかわりないのは喜ばしいが、こき使われている姿に自分がかぶってみえた。

穂乃果 「ことりちゃんはつらくない。いまのお仕事?」

ことり 「つらいこともあるけどいつかは自分のブランドを立ち上げて可愛い服を可愛い女の子に着けてほしいもの!」ガンバル!

穂乃果に足りないのはそんな強い夢を思う力かもしれない。

穂乃果 「また飲みにいこうね。おじゃましました」

ことり 「どこいくの?」

穂乃果 「ニ代目藤岡弘、を襲名しかねない海未ちゃんの道場だよ」コワイケド

ことり 「海未ちゃんの家は根っからの硬派な体育会系だよ?だいじょうぶ」

うん、とうなずきながらことりに手を振ると、彼女は先輩たちにまたこき使われていた。
どこもおなじなのかな、と思いながら昨夜はことりちゃんは元気づけてくれたのだ。
ありがとう、とちいさく礼を心から言った。
しばらく歩くと、園田家と彼女の名字と同じ道場が並ぶ家や古い道場が見えてきた。
海未ちゃんの家はいまもむかしも大きい。存在感がちがう。

No.5 16/12/30 15:02
流行作家 

海未の家まで来たのでたずねないわけにはいかないのでインターンホンを押すと、彼女の母が顔を出して招いてくれた。

海未母 「あらあら穂乃果ちゃん。こんにちは、お久しぶり」

穂乃果 「つまらないものですが、ウチの和菓子です」

実はことりにも渡した同じ和菓子を彼女の母に渡すとお茶をごちそうになった。

海未母 「いま娘は弓道場に剣道場、柔道場や茶道の茶室などいくつかの道場を見ているの。夕方には終わると思うから」

幼い頃から知っているが彼女の母や海未ちゃん本人はいくつ道を極めるのか疑問に思ってしまった。静かにお茶を飲んでいると海未の声や稽古中らしい声がそこかしこから聞こえてくる。

穂乃果 「ほぼ藤岡弘、だよね。海未ちゃん」

待たされた時間はおよそ二時間ほど。すでに夕方近くになっていた頃に彼女が姿を見せた。

海未 「お待たせして申し訳ありません穂乃果。とこれで新しいお仕事は見つかりましたか?」

穂乃果 「昨日の今日だよ!むちゃぶりしないでよ」

海未 「冗談です」

ニコっとした表情だが、学生時代ににこちゃんにバックダンサー呼ばわりされた時同様に目が座っていたように見えた。さりげなく話題を変えようとした。

穂乃果 「う、海未ちゃんの道場は相変わらず流行っているね」

海未 「いいえ、現代の子どもたちは弱すぎます。親の過保護に甘やかされて少々のことで音をあげてしまいます」

そうなんだ、と思っていると彼女は瞳に力を入れ語った。

海未 「しかし我が園田道場に入れば心身共に鍛えられ誰にも負けない優しくいたわりある人間になるでしょう」

いたわり?、泣く凛ちゃんをそのむかしに山頂アタックさせた過去は彼女の中ではなかったことになっているらしかった。

穂乃果 「そ、そうなんだ」

海未 「穂乃果。次のお仕事先はどうするつもりですか?」

穂乃果 「考えてるんだけどなかなかなくて」

そうですか、と海未はニコっとしていたがやはり目は座っていたように見えた。
早く次の就職先を見つけないとどんな目に遭わされるか、と背筋が寒く思えた。
早くおいとました方がいい、と本能が囁いていた。

穂乃果 「失礼するね。あまり海未ちゃんのところに長居したら雪穂が心配するから」

海未 「そうですか」

No.6 16/12/30 18:46
流行作家 

逃げるように穂乃果が実家の穂むらに帰ると、雪穂が呼んでいるのに気づいた。

雪穂 「お姉ちゃんお姉ちゃん」

穂乃果 「」ギュッ

雪穂 「」テレテレ ハッ

雪穂 「じゃなくてお姉ちゃんのパソコンにメールがあるってことりさんが昼間に来て伝えてだって」

穂乃果 「直接メールするか言えばいいのに」

なんだろ?、と思いながら二階の部屋に向かう。穂乃果の部屋は学生時代から少し大人向けの雑誌や書籍が増えたがあまり雰囲気は変わらない。
机に置いてあったパソコンを開きメールを見るとことりからとある誘いが書かれていたのが目に入った。

from ことり to 愛する穂乃果ちゃんへ

穂乃果 「to が“へ”なんだから二回言ってるよことりちゃん」

ことりちゃんのことだからわざとしていることにしていると思いながらメールの内容に目を通した。

穂乃果ちゃんはいまお仕事がないんだよね?
だったら時給1000円で朝9時から午後6時くらいまでおウチのことしてくれないかな。
料理に洗濯、掃除にごみ捨てとか家にいる時とたいしてかわりないけど週5日くらいで。ちなみに土日や祝日はいままで通りだよ❤。
考えてくれないかな?

穂乃果 「土日や祝日はいままで通りでハートはなんか意味深だよ。付き合ってもないのに?」

どうしようか、と穂乃果は考えて悩んだ。お茶菓子をつまみベッドに寝転び雪穂と夕食を共にしてお風呂に入り湯気を見つめながら……。

雪穂 「お姉ちゃんがおかしくなったかな?」

穂乃果 「なってないよ。考えごと!」

お風呂から上がりパジャマに着替えて漫画に目を通しながらパソコンのモニターにあることりからのメッセージを見た。
うん、やってみてもいいかなと思いことりに返事のメールをした。

from 穂乃果 to ことりちゃん

メールを見たよ。
明日は土曜日だから会えない?くわしく話を聞きたいので。
疲れていると思うので今夜はゆっくり寝てね。

穂乃果はことりにメールをするとそのままベッドに入りすやすや眠りについた。
その頃、メールが来たことりはガッツポーズをした。

ことり 「してないよ」

あらためてかつてのミナリンスキーの笑みをした。

ことり 「」(❤.❤)ハノケチュン!

No.7 16/12/30 20:29
流行作家 

翌日、ことりは穂乃果を行きつけの店に呼んで話をした。

ことり 「ということは穂乃果ちゃんはことりの恋人→ベッドでイチャイチャ→ケッコン→戸籍入れる→妻になる→あなたお帰りなさい❤、をしてくれるのかな?」

穂乃果 「可愛い顔してさらりとリアルなモノを求めすぎてないことりちゃん」コワイヨ

ことり 「じ、じょうだんだよ!!」アセアセ

昨夜、ことりは自分の妄想に浸りすぎたために妄想をありのままに幼なじみに向けてしまったので焦った。
しかし穂乃果の答えはというと。

穂乃果 「お手伝いだけならアリだよ。しばらくはお仕事はないしいまはスクールアイドルでもないんだから」

あまりに純真な穂乃果の笑顔に邪なことりのやわらかいムネに矢が刺さった思いがした。
ラブアローシュート?
まさか海未ちゃんが近くにいるのでは、と辺りを見回すがいないことに安心した。

穂乃果 「ことりちゃん?」

ことり 「」ナンデモナイノヨ!

海未 「(なんでもないわけないではありませんか!)」(( ̄_| ゴゴゴ

実は園田海未はことりの真後ろの席に座りお茶をしていた。手にした紅茶が海未の熱いオーラを受けてぐつぐつと煮たるようにカップが揺れていたのをふたりは知らない。

穂乃果 「(ん?向かいの席のひとから海未ちゃんに似たオーラが……気のせいだよね)」

ちなみに海未はこの時、lineでかつての u’s メンバーにことりの怪しい行動を伝えていた。それにより他のメンバーたちもひそかに穂乃果をモノにしようとしていたのが後にあきらかになるがまだこの時は知らない。
lineのメッセージを受け取った他六人が驚いたのは言うまでもない。

まきりんばなにこのぞえり 「なんですって!?」

穂乃果 「(なんだか背筋に寒気がしたような?気のせいだよね)」

ことり 「じゃあ穂乃果ちゃん、来週の月曜日から頼めるかな?」

いいよ、と穂乃果は天使すぎる笑顔で答えた。
だが、彼女は知らなかった。この時ことりの背後にいた海未があのダイエットの時のコワイ笑顔を見せていた。

ウェイター 「お、お客さま……どうかなさいましたか?」

海未 「いいえ、なんでもないですわ」(*^_^*)💢

No.8 16/12/31 04:51
流行作家 

一日置いて翌週、月曜日のこと穂乃果はこれからことりちゃんの家でお手伝いだと朝食を前にしながら意気込んでいた。
雪穂はそんな姉がちょっと心配だった。

雪穂 「お姉ちゃんにお手伝いができるの?」

穂乃果 「いちおうは家事全般くらいはできるよ。それよりお父さんとお母さんはよく雪穂にお店をまかせたよね?」

雪穂 「お姉ちゃんが継がないからでしょう」フン

朝食の後片付けをしながら穂乃果は自室で身なりを整えてよし、と気合いを入れる。
それを階下から見ていた雪穂は思う。
新垣結衣ではないのに。
穂乃果は階段を下りていってきますと出かけた。
心配だ、と思うが見送るしかできなかった。
穂乃果は10分もかからずいまことりが住んでいるマンションに向かうと、ことりが出迎えた。

ことり 「お帰りなさい穂乃果ちゃん」

穂乃果 「いやいやお仕事に来たんだよ?」

ことりのペースにはめられてはいけないと思った。このままでは契約書と称して婚姻届に知らずにサインをさせられるかもしれないのだ。
あらためて穂乃果は確認した。

穂乃果 「ことりちゃんがお仕事に行っている間、家事をすべてやっていればいいんだね」

うん、とにこやかにうなずくことりだが穂乃果にしてはガードが堅い。
しかし一週間のうち5日はここにいるのだ。チャンスはある。気づくと出勤時間である。

ことり 「じゃあいってくるね。頼んだよ」

穂乃果 「いってらっしゃい」

穂乃果に見送られながらことりはルンルン気分だった。
だが、彼女は知らない。
すでにことりと彼女が住む部屋はかつての仲間 u’s 6人に包囲されていた。

海未 「ことり抜け駆けをして」

絵里 「海未からのlineは本当だったのね」ハラショー

希 「ことりちゃんが穂乃果ちゃんをこうも狙うとは」

凛 「ひとりじめにゃ」

花陽 「みんなの穂乃果ちゃんという約束なのに」

にこ 「ふ、ふん!関係ないわよ」

真姫 「穂乃果がいればたしかに運がいくつも向くとか」

6人はことりを見送るとどうするか考えた。話し合いの末、交代で穂乃果を見張ることにした。

No.9 16/12/31 08:27
流行作家 

穂乃果はエプロンをつけて家事を始めた。
まずは掃除。

穂乃果 「ことりちゃんきれいにしてるけど掃除の仕方は雑だね」

敷居や角にあちこちゴミ屑があった。ほうきで掃いてちり取りで取って雑巾で拭いて意外に丁寧に掃除ができる。
それを屋根裏で覗いているのは海未と絵里だった。

海未 「穂乃果にしては丁寧ですね」

絵里 「ハラショー。まるでおしんみたいね」

おしん風

穂乃果母 「許しておくれ穂乃果〜!!」

穂乃果 「おっ母ぁ〜!!おっ母ぁ〜!!おら頑張るだ」

海未 「絵里、想像がふるくありませんか?」

絵里 「おばあ様が日本にいた頃のお話しだから」

穂乃果は隅から隅まで掃除をしました。ちゃんと最後に掃除機をかけました。よけいなことはしないようにことりちゃんの部屋には入らないようにしました。
しかし屋根裏から妙な気配がある感じがしました。

穂乃果 「ん?誰かに見られているような感じだよ」

ミシッ、と海未と絵里の体重で屋根裏がわずか軋んだ音がしました。

うみえり 「そこまで重くないわよ。希じゃないし」

穂乃果 「希ちゃんが屋根裏にいるわけないか」アハハ

希 「」ン?

次に穂乃果は洗濯を始めました。脱衣籠にはことりちゃんの衣服や下着がたんまりとありました。手にした穂乃果は少し頬を赤らめました。

穂乃果 「服はともかく下着はなんか色っぽくないことりちゃん?」

赤や青や黒、桃色、フリルにレースなど大人っぽいのもありましたがなかには鳥がプリントされた子どもぽいのもさりげなくありました。

海未 「破廉恥ですね」

絵里 「ひとの屋根裏に入って覗き行為は破廉恥ではないのかしら」

自分のことは棚に上げる園田海未であった。ちなみに他四人とは時間交代で穂乃果を見張るのだった。
洗濯を始める穂乃果はちゃんと下着はネットに入れ色ものなどもちゃんと分けて洗濯してました。
その間に冷蔵庫の中のモノを見て足りないモノを確認しメモを書いた。

穂乃果 「マヨネーズないね」

辺りを見るとキッチンにはことりがつくったらしいサンドイッチがあった。

穂乃果 「ほのかのためにつくってくれたんだ。ありがとうことりちゃん」

彼女の中でことりちゃんの順位が1ポイント加わる。

No.10 16/12/31 08:52
流行作家 

ちなみに穂乃果のなかでの順位はこうである。

ザ・ベストテン風

穂乃果 「ザ・ベストテン!今週の九位から四位までの順位だよ」

四位 花陽

五位 凛

六位 真姫

七位 希

八位 絵里

九位 にこ

にこ 「ぬわんでよ!」

ほのうみえり 「にこ(ちゃん)?」

二位 ことり

三位 海未

海未 「なんで私が三位なんですか」

絵里 「日頃のやさしさが順位にあらわれたのかしら」

海未 「八位に言われたくないです。でも一位は誰ですか。雪穂ですか亜里沙ですか」

穂乃果 「今週の第一位!」ダララララ♪ザンッ!

一位 穂乃果

うみえり 「(なに自分を一位にしてるんですか)」

穂乃果 「会社は解雇されたけどいまでも u’s で一位だよ!センター!」

とんだ自画自賛に海未と絵里はあきれながら穂乃果だからと我慢し許した。しかし海未にとってこの後に許せない事態が起きるのだった。
いそいそと穂乃果はことりの服や下着をベランダに干している時だった。

穂乃果 「お買い物している時に下着ドロが来たらまずいよね」

海未 「そういう時は男性の下着を干すのですよ」

絵里 「聞こえないのにアドバイスは意味ないわよ」

何かを思い付いたように別の鞄からあれモノを穂乃果は出した。
それは“園田”と極太で書かれたふんどしだった。

穂乃果 「ちいさい時に海未ちゃんの家にお泊まりした時にその時は何かわからなかったけどふんどしだったんだね。これを干したらことりちゃんに男性がいるように思うよ」

ベランダに干す穂乃果を見ながら海未はなんで持っているんですかと拳を震わせた。

絵里 「海未てふんどしつけてるの」

絵里 「つけてませんよ!」ミシッ!

さすがの穂乃果もベランダから妙な音が天井から聞こえているのに気づいた。

穂乃果 「ことりちゃんの家はきれいにしてるから虫とかいないよね?」

天井を見上げる穂乃果から気配を必死に消す海未と絵里だった。

うみえり 「」

穂乃果 「ちょっと棒で突っついてみるかな」ツンツン

うみえり 「」ヤメテヤメテ

少しお茶をして洗い物をして買い物に穂乃果が出たことにふたりはホッとした。

No.11 16/12/31 12:11
流行作家 

穂乃果 「たまご、大根、人参、玉ねぎ、ことりちゃんいつも何を食べてるのかな」

夕食は穂乃果ちゃんの好みでと言われたのでハンバーグにしようと挽き肉を手にした。
予算的にはちょっとだけ奮発した挽き肉である。
音ノ木坂のスーパーをとてとてと歩く彼女を尾行するのは小泉花陽と東條希である。

花陽 「穂乃果ちゃんふつうに買い物してますね」

希 「いやいや時おりお菓子コーナーが気になってとるみたいやで」

花陽はいまやラブライス!と呼ばれるちいさな米問屋になっていた。また問屋だけでなくお米を中心にした外食チェーン店ぱなよライスを秋葉原を中心に関東に少しずつ勢力を伸ばしていた。
また希もスピリチュアル占い師ノンたんとして占いをしながらテレビや講演、占い本、ネット占いなど幅を広げていた。

花陽 「幅を?」ジー

希 「横幅ちゃうで」

希の言うとおり穂乃果はある程度、買い物を済ますとお菓子コーナーでかれこれ一時間はいた。

希 「なまものがいたむで」

花陽 「ですよね」

とりあえず穂乃果はお菓子を選ぶとレジにならびながらゆっくり進んでレジで勘定を済ませた。

穂乃果 「ハンバーグでよかったよね。穂乃果特製手作りハンバーグ!」

希 「できるんやろか」

花陽 「料理したの見たことないです」

辛辣なかつての仲間の言葉に彼女は気づくわけもない。
穂乃果の妄想が入ってきた。

新婚さん風

穂乃果 「」ドキドキ ドキドキ💗💗

ことり 「ただいま。帰ったよ」

穂乃果 「ことりちゃんじゃなくつあなたお帰りなさい♪ご飯にする?お風呂にする?それとも……、あたし?💗💗」

ことり 「ほのかちゃんだよ💗💗💗」

ハッとあやうくことりの妄想に飲み込まれるところだったのに気づく。
お昼近くまで穂乃果は音ノ木坂を散歩した。
尾行チームはにこと凛に交代した。

凛 「ハンバーグにゃか」

にこ 「つくれたかしら」

No.12 16/12/31 15:53
流行作家 

凛 「ハンバーグ自体は美味しいはずですにゃ」

にこ 「つくるのは穂乃果よね」

和菓子屋の娘の穂乃果がつくることを考えたらふつう程度のハンバーグさえか疑わしい。
穂乃果は帰宅するとお昼ご飯を作りいったんごろごろしてテレビを見ていた。それをにこたちは天井裏から眺めていた。

にこ 「穂乃果よりこういうことができる海未の方が問題あるように思えてきたわ」

凛 「にゃ」

穂乃果 「ねこ?」キョトン

にこはこう見えてもいまや現役アイドルでありちいさな事務所をおこした社長なのは以前に書いたが、これではまるでむしろ芸能記者のようだ。
凛は花陽と共同で健康ラーメンライス会社をやりながらお米とラーメンの親善大使になっている。が、穂乃果をめぐることについては花陽といえどライバルであった。

にこ 「ほのほの娘。は天然だから局からNGがない程度に撮ってもらいなさい」📬

凛 「なにしてるにゃ」

にこ 「直接しゃべったら下の穂乃果にバレるからマネージャーにメールしたの。三時から収録じゃない。うみうみ娘。と……ていうか凛と花陽の共演じゃない」

凛 「こう見えてもりんはいまや健康スポーツタレントだにゃ」

にゃあにゃあ言うラーメン娘かと思ったにこだが、口には出さなかった。
穂乃果は三時には洗濯物を入れてアイロンをかけてひとつひとつたたみながら合間にご飯のスイッチを入れ洗濯がしまい終わる頃にハンバーグの準備をしていた。
しかし、ベランダに“園田”と大きくあったふんどしはしまい忘れていてそれを見た真姫は驚きの声を上げた。

真姫 「ヴェェ、なんでふんどし!?」

穂乃果 「真姫ちゃんぽい悲鳴が聞こえたような」

真姫 「」><

海未 「真姫ひとりだとあぶないから来てみれば」

希 「ワシワシすんで?」

真姫 「」ヤメテヨ!

再び天井裏に入る海未と希、しかし真姫は戸惑う。
穂乃果はハンバーグやキャベツ、味噌汁などそこそこ手際よくつくる。ちょっとハンバーグの形はややゆがんでいたが。

希 「てっきりあんこくらいはハンバーグに入れると思うのに」

うみまき 「」

穂乃果 「」ジー

フライパンで焼いている間、しきりに穂乃果は天井を見ていた。

穂乃果 「」ハア

No.13 16/12/31 16:31
流行作家 

穂乃果 「このままことりちゃんのお嫁さんになるのもありかな」

吐息まじりの穂乃果のつぶやきに海未は天井裏から怒りのオーラを沸々と放っていた。
あまりのオーラの強さに希はカードでおとなしくさせ真姫は安心しながらもこわいと思った。
しばらくしてことりが帰ってきた。

ことり 「ただいま」

穂乃果 「お帰り。今日はハンバーグだよ!」

ちょっと形の悪いハンバーグではあったが部屋は綺麗にされ洗濯物も丁寧にしまわれていた。幼馴染みに下着を見られるようにしたのはアプローチだったが、ベランダに気づく。

ことり 「これ海未ちゃん家のふんどしだよ!やめてよ、ベランダがよけい目立つよ」

海未 「」ゴゴゴ💢

穂乃果 「お、男避けだよ!ほら、言うでしょう?男性の下着をベランダに下げてると男が寄ってこないて」

まきのぞ 「(海未(ちゃん)のふんどしは魔除け?)」

海未 「」ゴゴゴ💢

海未の怒りを鎮めるために他の三人も天井裏に集まりなんとかなだめた。

海未 「怒りがおさまりませんよ!なんでことりばかりいつもいい目にあうんですか!」

にこ 「ん?だったらあたしたちも穂乃果に家のことをやってもらったらどう?」

それだ、と五人が一斉に叫んだときだった六人の重みで今日一日天井裏が重みに耐えきれずに破れそのまま六人人は食卓にならぶハンバーグやキャベツ、味噌汁の上に落ちてきた。

ほのこと 「!?」

うみまきりんぱなにこのぞえり 「」キャーッ

穂乃果 「う、うみみみみみみみちゃん!?」

海未 「」

ことり 「その他六人」

まきりんぱなにこのぞえり「誰がその他六人よ!」

食卓の上のハンバーグは見るも無惨な姿になっていて穂乃果は海未の顔を睨むように見つめた。

穂乃果 「なんで海未ちゃんたちが屋根から降ってくるの」

海未 「そ、それはですね」

希 「いまの穂乃果ちゃんは怒りがMAXや」

絵里 「ふだん怒ることはないからそのストレスかしら」

真姫 「穂乃果の場合は単に怒るほどのことが少ないから。一期二期や映画も」

りんぱなにこ 「たしかに」

穂乃果 「ハンバーグさんぼろぼろ」

あまりに重たい空気に海未たち六人はさすがに悪いことをした。

No.14 16/12/31 18:17
流行作家 

とりあえず七人は穂乃果に謝ることをした。

うみまきりんぱなにこのぞえり 「ごめんなさい」

ことり 「ことりには?」

海未 「抜け駆けをしたあなたに謝る必要はないと思いますが」

ことり 「」ムッ

穂乃果 「まあまあことりちゃん。ハンバーグは他にも四日分作ってたからまだあるからね」

にこ 「毎日ハンバーグて栄養偏るわよ?」

穂乃果 「そこは考えてるよ?豆腐ハンバーグや野菜ハンバーグなどにしてるから」ホラ!

冷蔵庫に保存されていたハンバーグの中身をひとつひとつ見ると具材は意外なくらいに工夫されている。
数年とはいえいちおう家事については技術はかなり身についていて穂乃果とは思えないショックが皆にあった。

凛 「ラーメンのハンバーグは?」

穂乃果 「ないよ」

花陽 「お米のハンバーグは?」

穂乃果 「どこまで穂乃果にハンバーグを求めるの!」ムッ

これ以上怒らせてはさすがの穂乃果も本気以上に怒らせかねないので七人は話題をすぐさま変えた。

にこ 「ことり!穂乃果を独り占めする気なの」

ことり 「!?」ピイッ!?

希 「せやな。あたしたちが卒業する時に穂乃果ちゃん以外で約束したはずや。抜け駆けは許さないて」

穂乃果 「忍たま乱太郎の食堂のおばちゃんみたい」

希 「お残しは許しまへんで〜……てなにやらせるんや!」

絵里 「ともかく穂乃果はこれから毎日交代であたしたちの家のこともしてもらうわ」

穂乃果 「ほのかの意思を無視しないの!」

ことうみまきりんぱなにこのぞえり 「」ハイ!

穂乃果 「土日は休むから。他の月から金はみんなで話し合って!」

土日はしっかり休みたい姿勢はあるらしかった。
ここに『真田丸』のように戦国武将が穂乃果という天下統一を成し遂げるために八人の戦国乙女たちが刃を交えるのだった……。

真田丸イメージ。

時に202X年。
ここは東京音ノ木坂を舞台に穂乃果という天下統一のために八人の乙女が集った。
全ての道を極めんとする、海未
笑みのなかに幼馴染みを手中におさめんすることり
同盟を組むりんぱな
策士、西木野真姫
小粒勢力、にこ
ロシアからの舞姫の絵里
謎の力を持つ希

穂乃果 「はたしてどうなる」

No.15 16/12/31 19:57
流行作家 

八人はじゃんけんをして勝ったのは今週の火曜は引き続きことり、水曜は海未、木曜は凛、金曜は希となった。
真姫たちは来週の勝負におあずけとなった。
とりあえず事がおさまったうちに穂乃果は帰る準備をしながらこれは本格的な契約概略が彼女たちな必要とおもった。そうしないと……。
既成事実をつくられたり恋愛関係を持たれたりいろいろ大人な関係になってしまうと考えた。ちなみにこの時すでにことりは会社で同じようなモノを作成していたが、海未たちにより阻まれていた。
後片付けを手早く済ますと、穂乃果は八人に頭を下げて逃げるように去っていった。

穂乃果 「じゃあ、みんなまたね!!」

八人 「あ!」

ことり 「せっかくのほのかちゃんとのハッピータイムが」ウルウル

海未 「抜け駆けは許さないと言ったでしょう」

真姫 「そうよ」

凛 「ご飯がもったいないのでかよちんといただくにゃ」

花陽 「ごちそうさまでした」

ことり 「炊飯器からっぽ!」

希 「ことりちゃんええか?こんど抜け駆けしたら南十字星になるで」

絵里 「サザンクロスなことり。聖闘士みたいね」

聖闘士星矢風

ことりがキグナス氷河みたいに華麗な舞いをして冷気を持つ拳を放つ!

ことり 「ダイヤモンドダスト〜!!」

ことり 「なにやらせるのよ!!」

海未 「本格的な勝負は明日からです。ことりの運の強さはやはり穂乃果によるようです」

希 「ま、たまたまと思うけど」

にこ 「穂乃果の頭のなかではあたしは小粒勢力なあつかいなのね」

りんぱな 「身長は似たり寄ったりだよ?」

にこ 「気にしてることを言わないでよ!」

八人がまだ揉めていた頃、穂むらにようやく穂乃果は帰ってきた。

雪穂 「お姉ちゃんお帰り。どうしたの?」

穂乃果はことりのマンションであったことを話すと雪穂はとりあえず慰めた。

雪穂 「学生の時に誰かに決めてたらいまみたいに揉めなかったのに。よしよし」

穂乃果 「とりあえずみんなに負けないために契約書を作成するよ」

雪穂 「自分の身を守るためだね」

一見、お馬鹿に見えながらも u’s 時代から社会人に至った経験が姉を大人に成長させたようだ。

No.16 17/01/01 07:10
流行作家 

穂乃果 「とりあえず貞操の危機だけは守らないと」φ(..)

雪穂 「どれだけ u’s の人たちから狙われてんのよ」

穂乃果は一晩中あれこれと自分が有利になるような契約書を作成しました。
結局、この日の睡眠はほんの数時間でした。翌朝、なんとか準備をしながら穂むらにあるコピー機で人数分をコピーしました。

穂乃果 「よし。これでいいはず」

雪穂 「できた?」

穂乃果 「ほのかの身はほのかが守るから」

もう一枚コピーして雪穂に渡すと、彼女は感心したように目を見張った。
たとえばこのように書いてあった。
『就業時間は基本的に九時から五時遅くても原則六時、またシェアするものは折半とする』
『ちなみに高坂穂乃果は人間なのでみんなで折半はできません』などとあった。

雪穂 「お姉ちゃんは折半できない対象なんだね」

穂乃果 「家事全般はするし貰う分のお仕事はするよ」

『愛情の搾取は個人の意思を尊重すること。無理強いをしたら激辛饅頭スーパー穂むまんを食べさせるよ』

雪穂 「スーパー穂むまん?あったっけ」

穂乃果 「みんなへ罰ゲームだよ。こんどつくるから」

我ながら恐ろしい姉だった。
しかしそうこうしているうちに再びことりの家へ行かなくてはならなかった。
いってきます、と穂乃果は出ていった。

ことり 「ほのかちゃんおはよう」

穂乃果 「ことりちゃん元気ないね?昨日はどうだった」

彼女が言うにはあれから八人での話し合いは徹底的におこなわれたらしかった。穂乃果は額に手をやり熱をはかりそのまま顔を掴んだ。

ことり 「ほ、ほのかちゃん!?」ハノケチェン!?ドキドキ

これを見ていた他七人はまたいやらしいことをしているか見ていた。

真姫 「早朝なのに」

にこ 「ハレンチね」

そう思っていたら穂乃果はことりの疲れた瞳に目薬を一滴二滴と落とした。

ことり 「」

うみまきりんぱなにこのぞえり 「まぎらわしい!!」

穂乃果は覗いていた七人の方を見て言う。

穂乃果 「ハイ、ことりちゃんもみんなも整列!」

ことうみまきりんぱなにこのぞえり 「?」

穂乃果は昨夜に作成した契約書をみんなに配った。
皆はきょとんとした。

No.17 17/01/01 07:40
流行作家 

目を通すと八人は穂乃果をシェアすることはいちおうは認める契約書ではあったが、肉体関係云々についてはここでは書けないようなことが詳細に記されていた。

海未 「穂乃果の貞操は私が守るはずなのに」

ことまきりんぱなにこのぞえり 「あたしたちはケモノか」

穂乃果 「こほん、ほのかにもプライベートはあるんだよ。もし貞操をおびやかそうとしたら許さないよ」

普段はあまり怒らない穂乃果だけに可愛い瞳のなかに静かな怒りが八人には見えていた。
どうでもいいが早朝のマンションの通路でする話ではない。

穂乃果 「明日は海未ちゃんの家に行くからね」

海未 「穂乃果すみません」

ちゃんと謝る海未であった。しかし明日は穂乃果が来るのだった。叱られるくらいなんでもなかった。

花陽 「(反省してないよね海未ちゃん)」

凛 「(むかしはアホな山頂アタックに付き合わされたにゃ)」

希 「(ウチが止めんかったらあたしと凛ちゃん遭難してたで)」

凛と希にはさりげなく苦い過去が脳裏によみがえっていたのを海未は知らない。

穂乃果 「はい、みんなもお仕事に行ってね」

ことうみまきりんぱなにこのぞえり 「」ハーイ

意外に穂乃果がしっかりしているので八人は退散しながら契約書にどこか隙がないか各々あたまを巡らしていた。
八人が姿を消すと、穂乃果はことりの家で昨日と同じことを繰り返した。
しかし八人で飲み会をしながらしたのか可愛いことりちゃんの家らしくない雰囲気でアルコールの匂いがした。

ことり 「忘れてた!」

穂乃果 「荒れたね。これは……」

自分が原因と思いながらも穂乃果は妄想に耽った。

ニュース23風

穂乃果 「朝だけどこんばんは」

つくしんぼテツヤ 「こんばんは」

穂乃果 「今日のテーマは『高坂穂乃果をシェアできるか』です」

つくしんぼテツヤ 「まあひとりの人間をシェアはむずかしいですが、契約結婚もしくは事実婚するのは可能です」

穂乃果 「それがむずかしい」

テーブルを見ると、ことりからメモがあった。
毎日、ハンバーグはいやとあった。

穂乃果 「サルでもできる反省します」\(__)

No.18 17/01/01 09:57
流行作家 

この日も穂乃果は家事をそこそここなし適度にごろごろしながら一日をことりのマンションで過ごした。
ちなみに夕食はハンバーグばかりは反省したのでカレーにした。
しかし疑問に思うこともあった。買い物中にやたら u’s の仲間と会ったのだ。
穂乃果はつぶやく。

穂乃果 「ストーカーだよね……」

皆なにかと偶然をよそおいながら穂乃果に触れていた。
うう、お手伝いさんを自分から言い出した手前かんたんにやめると言ったら真面目堅物の海未がなんと言うか想像できた。

海未 「軟弱者っ!それでもオトコですか」

『鉄血○オルフ○ンズ』の某CMみたいにきっと投げ飛ばされちゃうよみたいに怯えた。
世の中に海未ちゃんほどにこわいものがあるのは学生時代の赤点、雪穂、ダイエットなどだ。

海未 「わたしはそんなにこわいでしょうか」

こわいよ、とあたまの中にいる想像の海未に言う。自覚がないのが海未ちゃんの欠点だ。
明日は海未の家に行くのが期待ニ:不安八であった。
早めにことりちゃんのマンションを出ようと後片付けや火元、お風呂などを見て出ようとした時だった。
タタタとことりが走ってきて抱きついてきた。

ことり 「」ハノケチュン!!(´ 3`)

穂乃果 「どさくさにまぎれつの口づけはダメ!」

ことり 「会いたくて早めに帰ってきたんだよ」

甘々な彼女の可愛いらしい表情にちょっとキュンと胸がなった。
マカロンをおみやげに買ったから帰って食べてと言われた。
ことりのポイントが2ポイント上がった。
それでもさすがに皆に咎められたのか手出しはしなかった。
まだまだ高坂穂乃果争奪戦は始まったばかりだ。

穂乃果 「ことりちゃんがんばって!またね」

失業した穂乃果に慰められるとはことりは思わなかった。
しかし契約結婚にまでこじつけるくらいはしようと誓った。

ことり 「負けないよ。特に海未ちゃんには!」

No.19 17/01/01 13:38
流行作家 

翌朝、穂乃果はいつもより二時間早く目覚めてしまった。
海未ちゃんの家か……。
こわいよ!、とちいさな声で叫ぶと工房から雪穂が顔を出した。

雪穂 「海未さんそんなにこわいの?」

穂乃果 「ぜったいに『ラブライブ!』に藤岡弘、さんがアニメキャラになったらきっと海未ちゃんだよ!」

海未 「(なんですって!?)」

朝の稽古中に通りがかり勝手口から聞いていた海未はいますぐ殴りかかりたい衝動をこらえた。
耐えなさい私、ことりたちみたいなぽんこつが七人も具現化したような奴等は穂乃果は渡せない。

ことまきりんぱなのぞ 「絵里だけがぽんこつ!」

絵里 「ん?」

穂乃果は渡しません、と聞かなかったことにするくらいの優しさはあった。
帰りましょう、と海未は静かに気配を殺し帰った。
穂乃果はあまりに早く起きたために早い朝食のあとにしばし寝ぼけていた。
気づく、と九時が近づいていた。

雪穂 「お姉ちゃん、そろそろ時間だよ」

穂乃果 「ほ〜い」

気軽に答えたものの海未ちゃんの家に向かうのに足音が重かった。
気づくと彼女の家が見えてインターフォンを鳴らすとまた彼女の母親が出てきて迎えた。

海未母 「家のお手伝いしてくれるの。ありがとう穂乃果ちゃん」

いえ、と穂乃果はあらためて園田家を見た。
弓道場、茶道室、柔道場など行き先を示す名札があった。
広いよ広すぎるよ、とここは旅館なの?と思うあたまを必死に正常に戻した。
まず穂乃果が頼まれたのは園田家、つまりは家の方のお仕事だった。
ちょっと安心した自分がいた。

穂乃果 「海未ちゃん家はふつうだった……」

と思いたい。
いつものように掃除をして朝食の後片付け、洗濯、これについては各道場のお弟子さんの分だけあってかなり多かった。

穂乃果 「お弟子さんのなかに男がいたら海未ちゃん、破廉恥とかわめきそうだよね」

回転する洗濯機を見ながらぽつりとつぶやく。すると、背後から禍々しいオーラを持つ少女が姿を見せた。

海未 「私です。園田海未です!誰が禍々しいオーラがあるんですか」

キャーと穂乃果の悲鳴が秋葉原から東京湾や奥多摩にまで響いた。

穂乃果 「」ン、ンミチャ!? コ コワイヨ

海未 「おはようございます穂乃果」

No.20 17/01/01 16:37
流行作家 

海未 「誰がこわいのですか」ニコッ♪

その笑顔はダイエットの時の笑顔だよと思ったが言うほど穂乃果とてバカではない。
アハハ、と適当に笑ってごまかしそのままさらに話題を変えた。

穂乃果 「せ、洗濯物がいっぱいだね。これお弟子さんたちのかな」

海未 「そうです。我が園田道場は代々、音ノ木坂を守ってきた家系なのです。そして弓道をはじめあらゆるところに格闘家や茶道の先生などを輩出しています」

穂乃果 「そ、そうなの」

無邪気な穂乃果はキラキラと目を輝かせた。本気で感心し尊敬していた。しかしその言葉は次の言葉は裏切られた。

海未 「誤解のないように言いますが男子の弟子を取るのは小学四年生までとしています。女性は幼稚園児くらいから全年齢対象です。穂乃果も含め」

…………。
どれだけ男嫌いなの、と言葉が出なかった。世界の半分はいちおう男だよと言いたかったがやめた。

海未 「どうかしましたか?」

穂乃果 「ううん、それよりあたしは家事だけをやればいいかな?」

海未 「午前中は構いませんが午後は私の手伝いをしていただこうかと思います」

お父さんお母さん雪穂、ことりちゃん他みんな……。穂乃果はたぶん今日力尽きると思うよ。
さようなら……。

海未 「何を考えてるか知りませんが、私とて穂乃果が武芸や茶道などにおいては素人なので無理強いはさせませんから」

でも凛ちゃんと希ちゃんにそのむかし山頂アタックさせたんだよ、と言うのをこらえた。

穂乃果 「そ、そう。お昼は何がいいかな?」

海未 「炭酸を入れた飲料水以外であれば比較的なんでも構いません」

穂乃果 「うん、じゃなくてわかったよ」

その言葉にわずかに瞳に涙を潤ませて感動した。

海未 「大人になりましたね。穂乃果」

穂乃果 「返事しただけでほめられるなんて。むしろバカにされてるような……」

海未 「とにかく大人になりましたね。私はまだ弟子を見ないとならないので失礼します」

背中を見せる海未は道場の方に向かったようだ。彼女のあたまのなかで穂乃果はどの程度子どもなのか考えた。
洗濯物を干しているとお昼前の時間であった。お昼ご飯を作らないと。

No.21 17/01/02 05:06
流行作家 

お昼ご飯をつくっている間にも各道場のお弟子さんたちも昼前には帰るようだ。
包丁をまな板の上で鳴らし味噌汁をつくり卵焼きを焼きながら思う。
道場破りとか来ないのかな。もちろん現実には来ないのはわかるけど。

柔道一直線ぽいの。

海未 「」ピアノ〜♪

穂乃果 「た、たいへんだよ!?道場破りが来ちゃったのよ」

海未 「」ピアノ〜♪♪

穂乃果 「聞いているの海未ちゃん!?」

海未 「」ジャンプ!

穂乃果 「えっ?」

海未 「」ネコフンジャッタ♪ネコフンジャッタ♪

穂乃果 「和風な海未ちゃんにピアノはないよね」ナイナイ

海未母 「相変わらず穂乃果ちゃんはおもしろい子ね」

妄想しているのを海未母に見られ穂乃果はなにも言えずに恥ずかしかった。妄想は社会人になってからの癖であった。
つまりは『逃げ恥』のみくりと同じなのだ。
そうこうしているうちに海未はお風呂に入っていたのか私服に着替えて台所に顔を出した。湯気がオーラのように映る。

海未 「お母様、穂乃果なにか手伝うことはありませんか」

海未母 「穂乃果ちゃんが手伝ってくれたから待ってなさい」

海未の目には台所で働く穂乃果を見てじーんと感動していた。
あの甘えん坊の甘々でスイートな穂乃果が大人になりましたね……。

穂乃果 「…ちゃん、海未ちゃん。海未ちゃんの想像のなかであたしをいいようにしないで」

気づくと穂乃果が食卓に食事を並べて見つめているのに気づいた。

海未 「ち、ちがいます」カア

穂乃果 「お昼ご飯を食べたらお風呂掃除もする?」

海未 「お、お願いします」

u’s のリーダーであり発起人である穂乃果だけに意外にしっかりする成長が目に入った。
むかしはひとを引っ張るものの他は仲間頼みだったのに。
白いご飯に味噌汁、黄色い卵焼きやサラダに納豆。さすがにパンがないのはほんの少し拍子抜けした。

海未 「穂乃果パンはどうしたのですか」

穂乃果 「今朝食べてきたもん」( ̄^ ̄)

なぜ威張るのかわかりませんが、三人揃ってお昼ご飯をいただいた。
こんなに美味しい食事は久しぶりな雰囲気が園田海未にしていた。

No.22 17/01/02 08:32
流行作家 

食事を終えるとちょっとお茶をしてから黙々と穂乃果はお風呂掃除に向かう。
穂乃果は思う。
ひのきのお風呂だ、。
海未ちゃんの家は来るたびに立派と思うしかない。もちろん穂むらも立派だけどなにか格がちがう気がした。
海未ちゃんの家は戦国時代や幕末、昭和史、果てはきっと『日本むかしばなし』に記載されているだろう……。

漫画『日本むかしばなし』風
語り:市原悦子

むかしむかしあるところという表現はなんなので江戸のなかにある音ノ木坂というちいさな村に園田海未という豪族がおったそうな……。
少々、性格はお堅いものの武芸百般茶道などありとあらゆる道を極めし乙女たるや、それは日の国に園田ありと言わしたそうだ……。

穂乃果 「むかしの日本にいてもふしぎじゃないよね……」

お風呂掃除を拭いたり磨いたりしながら穂乃果は妄想していた。

向かいには和菓子屋を営む穂むら、さらに隣三軒には南という可愛らしいが愛された地主がおったそうじゃ……。
穂むらには穂乃果と雪穂という姉妹、地主の家にはことりというお嬢様、そして園田海には海未という武芸なんでもござれの娘がいたそうじゃ……。
めでたしめでたし……。

穂乃果 「あ、終わらせちゃった。また今度だね」

海未 「なにがですか」

ひょっこり海未がお風呂場に顔を出したことに穂乃果は気づいてごまかした。

穂乃果 「豪族の海未ちゃん!?」

海未 「誰が豪族ですか。へんな穂乃果ですね」

お風呂掃除を終わらせると再びお茶をすると海未の母がお買い物にふたりで行ってきなさいと誘われた。

海未 「穂乃果とのお買い物は久しぶりですね」

穂乃果 「そ、そうかな」

派遣会社に入ったものの日々、あちこちの会社にいっては契約が切れてはまた次の会社の繰り返しだったから幼馴染みや仲間とは疎遠になっていたのだった。
ちょっと見ると海未ちゃんの性格は以前よりまるくなったように見えた。
気のせいにしといた方がいいと思った。うかつに安易に都合のいいように思ってはいけない。
買い物は秋葉原にあるスーパーをはじめ生鮮食品を扱う専門店などだ。
まずはスーパーである程度買うことにした。

穂乃果 「夕食はなにがいいの」

海未 「健康によければなんでもかまいません」

No.23 17/01/02 10:42
流行作家 

そんな買い物しているふたりを尾行するのは凛と花陽。

凛 「おのれ穂乃果ちゃんをひとりじめするなんて」

花陽 「明日になれば穂乃果ちゃんはあたしたちのモノだから」

がまん、とつぶやくもう一組の幼馴染みコンビ。
しかし凛の野生はいまひとつ我慢ができないようだった。

凛 「」(`□´)

花陽 「ベビースターラーメンでがまんするの」

凛 「」( ̄З ̄)パリポリパリポリ

ん?、と振り返る穂乃果から慌て身を隠すふたり。

海未 「どうかしましたか」

穂乃果 「なにも」

そうは言うものの昨日の今日だ。誰かが尾行しているくらいは察した。
まるで刑事ドラマの犯人役だよ、と思いながらいまそばにいる海未ちゃんは共犯者なのかと妙な納得した。

ドラマ『相棒』イメージ

穂乃果 「警視庁特命係?なにそれ」

海未 「警視庁では陸の孤島と言われている部署ですが、頭が冴える杉下花陽と熱血漢の亀山凛がいるとんでもない部署なのです」

穂乃果 「た、タイホされちゃうよ」

海未 「穂乃果は私が守ります」

りんぱな 「『相棒』にされたし」

海未 「どうかしましたか」

穂乃果 「ううん」

スーパーに入りお肉やお魚などを一見、適当なように見えながら栄養バランスは考えていた。野菜は海未ちゃんの家が自家製栽培をしているのであまり買わなくてよかった。

穂乃果 「海未ちゃん家は農家と武家だよね」

海未 「はい?」

穂乃果 「なんでもないよ」

いちおうお昼から来るお弟子さんのためにも余分に買って作らないとならない。人手はいるわけだ。

海未 「穂乃果」

穂乃果 「なに?」

海未 「好きなお菓子を買っていいですよ。ひとつだけなら」

キラキラと瞳を輝かしながら心のなかではこれは本当にあの海未ちゃんなの?と疑問があった。

海未 「私は私です」

穂乃果 「だよね」

穂乃果がお菓子を買う姿を見てりんぱなは思う。
穂乃果ちゃんには甘々だ、と。
しかし尾行はふたりともいつまでも続けていられない。健康インストラクターだからお仕事がある。

りんぱな 「穂乃果ちゃ〜ん」

穂乃果はまた誰かの気配がしてまた消えた。

No.24 17/01/02 13:36
流行作家 

しかし結局のところ穂乃果はスーパーでお菓子を買わなかった。
海未にはふしぎには思えた。遠慮しているのでしょうか。
穂乃果は海未の家に戻ると、彼女の母と共にすぐに家事をはじめた。

海未 「少しは私の相手をしてほしいですね」ハア

吐息をつきながら海未は弓道着に着替えた。穂乃果とむかしより親しくなりたいのになかなかなれない大人同士の付き合いのむずかしさに悩んだ。
弓と矢を持ち構えると、矢は放たれたが中心からどれも外れるばかりだった……。

穂乃果 「海未ちゃんに一度甘えるとほのかは調子に乗るから。気をつけないと」

海未母 「なに?」

いえ、と穂乃果は海未母が疑問ありげに見られながらもいそいそと家事をした。肉野菜炒めやお魚を少々、例により野菜をサラダにして色とりどりにはした。
海未ちゃんの部屋の掃除を忘れていたのに気づいて彼女の母に断り入れてもらい掃除すると、音ノ木坂学院時代のアルバムや写真があった。

穂乃果 「うわぁ、修学旅行の時や遠足、u’sの時のだ」

ぱらぱらとめくると、あの頃は廃校だアイドルするだの揉めたりことりちゃんが留学だのラブライブがもう一度あるだの紆余曲折があったものだ。
机の上にあるノートに目をやるといまだに作詞は続けているようでちょっと赤面した。

穂乃果 「見ちゃいけないのに見ちゃったよ」

あわわ、と慌てるがさいわい海未は道場にいるので気づかれなかったようだ。

三年B組金八先生風

金八 「三年B組〜!」

u’s 「金八先生〜っ!!」

金八 「いいですか、ひとのモノを勝手に覗いたり見たりしてはいけませ〜ん!」

穂乃果 「以後、気をつけます!」

金八 「この!バカち〜んが!」ビンタ!

穂乃果 「いたいよ!」

妄想なのに痛がる穂乃果はまた反省しながら掃除を続けた。妄想のビンタなのにやけに痛い気がした。
海未はどうしたら穂乃果を手に入れられるか思考を巡らせていたので弟子たちへの稽古はいつもよりユルくなった。
しかし穂乃果にあることを手伝ってもらうことを思い出した。穂乃果のもとへ向かった。

海未 「穂乃果」

呼ぶと、穂乃果は彼女の母から羊羮をごちそうになっていた。
お母様に穂乃果を取られるのではと気持ちがよぎった。

No.25 17/01/02 15:22
流行作家 

うう、これは着物だよね。しかも茶道の時に着るものだよ。
海未の着物より地味な柄だが正直、胸や腰がキツいしいたい。

穂乃果 「う、海未ちゃんちょっといたい……」

海未 「ですが帯を緩めると着物がはだけてしまいます」

志村けんのバカ殿さま風

志村けん 「なんていう名だ?」

穂乃果 「ほ……」

ことり 「」ハノケチェン!

志村けん 「ハノケチェンというのか?」

穂乃果 「ほのかだよ!」

うみまきりんぱなにこのぞえり 「」ウンウン

志村けん 「穂乃果というのか。よろしくな。よしあそぶぞ」

u’s 「わ〜い」

志村けん 「捕まえたぞ穂乃果ちゃ〜ん」

穂乃果 「」キャー

しかしもしも帯がユルかったらどうなる?

志村けん 「待て待て」オビ クルクル♪クルクル♪

穂乃果 「」キャー

海未 「お、帯が……」

ことり 「」キャー!?

にこ 「脱げるわよ」

穂乃果 「」ハッ

穂乃果 「」//////セキメン!?

志村けん 「脱がしちゃったら放送コードにひっかかるよ。やり直しだ」

u’s 「」エーッ!?

穂乃果 「ご、ごめんなさい!」ペコリ!

穂乃果 「なるほど。こまるね」

海未 「はい?」

午後は主に茶道や着物教室などもしているようだった。
海未ちゃんの家はいろいろやっていてむしろ大変なのが伝わる。

海未 「穂乃果も茶道はいかがですか?」

穂乃果 「考えとくよ」

茶道教室の生徒は小学生から大人の女性と年齢が多彩だった。
ちょっと音ノ木坂学院を思い出した。
でも正座で足が痺れていた。

海未 「終わりましたよ穂乃果」

穂乃果 「う、うごけない……」タスケテ!

海未 「ああ!?」

夕食を食べるまで穂乃果の足のマッサージをすることになった。
これでは逆に海未が世話をすることになった。

海未 「すみません」

穂乃果 「いいよ。慣れないことをしたから」

揉まれていると気持ちよく少し旅館気分な穂乃果だった。

No.26 17/01/02 18:07
流行作家 

夕食を園田母娘は美味しくいただいたがこの後に園田海未は自ら失敗するのを知らない。

海未 「美味しくいただきました。ありがとう」

穂乃果 「そんなことないよ。いまはあたりまえにしてるだけだもん」( ̄^ ̄)

なぜ威張るのかわからない。威張るのは他の者の家に行った時も威張るのか疑問だった。
しかし海未はこの時に口にしてはいけない一言を言ってしまう。

海未 「あの穂乃果」

穂乃果 「はい?」

海未 「できましたらこのあとにお風呂に入ってから帰りませんか」

瞬間、穂乃果の顔からサーっと血の気が引いてあることを忘れていたのに気づく。鞄から昨夜作成した契約書のコピーを渡してそそくさと帰っていった。

海未 「ほ、穂乃果っ!?まだ一時間あるのに!なんですか。これは?」

“高坂穂乃果によるお手伝いさん契約書概略だよ”と紙の上にそう書いてあった。しかもホッチキスで止めてありニ十枚くらいの用紙に事細かにありとあらゆることが記してあった。
一例を挙げると、“その五、高坂穂乃果とお風呂に入ることは契約前に記すこと。これを守らないとほのかの貞操が危なくなるから!”などである。
これを見た海未は眉間にシワを寄せて指先を震わせていた。

海未 「ほ、穂乃果にたいへんな失敗をしてしまいました……」

とは言いながらも事前に契約書があるなら今朝のうちに渡しておいて欲しかったとも思う。
それは家路に着く穂乃果も同じだった。うっかり忘れていたのだ。

穂乃果 「あぶなかったよ。海未ちゃんがあんな大胆に誘うなんて」

一期や二期でみんなとお風呂に入ったことを高坂穂乃果は忘れていた。
しかし頭は妄想していた。もし海未ちゃんとお風呂に入っていたらきっと水戸黄門みたいになっていたに違いない。

水戸黄門風の入浴場面

海未 「気持ちいいですね。穂乃果」♨

穂乃果 「うん。でもご隠居さまはどこに行ったのかな」♨

助さん 「ふたりとも聞こえるか」

穂乃果 「す、助さん!?」

海未 「なんで外から声をかけるんですか」

格さん 「俺もいるぞ」

ほのうみ 「なんでいるんですか!?」

助さん 「いいものを見せてもらった。ご隠居からの手紙だ」

ほのうみ 「旅館の女将にあずけてよ!」

No.27 17/01/03 06:59
流行作家 

ほんと海未ちゃんは時代劇むけだよ、と思いながら家路に着いた。
一時間早く帰ってきたことに雪穂は目を丸くしていた。

雪穂 「は、はやいね」

穂乃果 「海未ちゃんにお風呂を誘われたからこわくて」

雪穂 「ようやく大人として恥じらいを持つようになったわけね」

よしよし、と慰めはするが姉の精神的たらしにひっかかった者は数知れない。ただし生き残ったのはかつての u’s メンバーだけはしぶとく姉に言い寄るのだ。
お風呂に入って休んだら、と家に上げた。

穂乃果 「雪穂ありがとう」

その様子を見ていた者がいた。南ことりである。

ことり 「海未ちゃんに先を越されないもん」

とは言うものの、穂乃果が契約書などというものを持っているのは思わなかった。
一筋縄ではいかない。
その頃、穂乃果は湯船に入っていた。

穂乃果 「いい湯だな〜♪ほののん♪いい湯だな〜♪穂乃果〜♪」

のんきに歌うがやはり海未の強引な誘いに恥じらいがあった。
学生時代には真姫の別荘で露天風呂で立ち上がったのをあたまによぎり照れた。

穂乃果 「もう、あんなことしないもん!」

姉の軽い叫びが雪穂の耳に届いた。
次の日はりんぱな組だ。ことりや海未にくらべればたぶん安心なはずだった。
あのふたりはおさないし可愛いし凛はかつておなじ赤点トリオのひとりだし花陽はダイエットを共にした仲だ。

穂乃果 「いってきま〜す♪」

気をつけてね、と雪穂は姉の姿を見送った。
凛と花陽はたがいにマンションの一室をシェアしながら住んでいた。インターホンを押すと、ふたりが出てきた。

凛 「穂乃果ちゃんいらっしゃいにゃあ」

花陽 「わざわざ来てくれてありがとう」

こほん、と咳払いして表情をキリッとさせ鞄から契約書を出し挨拶した。

穂乃果 「本日は高坂穂乃果をお手伝いに使っていただきありがとうございます。この契約書に目を通しサインをください」

凛 「文字がいっぱいにゃあ」

花陽 「ど、どうしちゃったの穂乃果ちゃん」

ふたりは穂乃果を招きお茶をしながら契約書に目を通してやむなくサインをした。
契約書の内容によれば穂乃果を手にするにはいくつも難関があった。
よし、このふたりは懐柔したと思った。

No.28 17/01/03 09:56
流行作家 

花陽 「契約書によると一緒に入浴するには事前申請がいるんだね」

凛 「はいるにゃ!はいるにゃ!」

穂乃果 「ではこの『混浴入浴契約書』にサインをお願いしますね」

りんぱな 「」エッ

しぶしぶふたりは『混浴入浴契約書』に目を通してサインをした。いまの穂乃果ちゃんは手強い、間違いなくラ王いやラオウな穂乃果ちゃんだった。

凛 「ちなみにことりちゃんたちところに行ったんだよね。振り込みはあったにゃあ?」

穂乃果 「まだ見てないよ」

花陽 「ちなみに凛ちゃんの暗証番号は874……」

凛 「なに言うにゃあ!かよちんだって暗証番号は512……」

穂乃果 「ふたりともなに言ってんの!!めっ!」

めずらしく穂乃果に叱られシュンとなるふたりだが午前中は花陽が、午後からは凛が一緒になる。

凛 「いい?かよちん。いまの穂乃果ちゃんは強敵にゃ。気をつけるにゃよ!あたしはラーメンインストラクターとしてお仕事にいくにゃ」

穂乃果 「ラーメンインストラクター?」

花陽 「いってらっしゃい凛ちゃん」ニコッ!

凛は見送られいやいやお仕事に向かった。といってもマンションの一階にあるスポーツジムとラーメン屋なので三分もかからないのだ。
やっとふたりきりになれた花陽はしあわせだった。

花陽 「ではお願いしますね」

穂乃果 「あの、部屋をキレイにしてるよね」

しまった、と花陽は呟いた。日頃な習慣で室内のあちこちはキレイに掃除していたのだ。
いや、これはチャンスなのだ。お昼に凛ちゃんが戻るまでイチャイチャできるのだ。

花陽 「これはあたしが作ったご飯煎餅だけど食べる?」

穂乃果 「たべるよ!」

お茶を淹れながら穂乃果はほのぼのした。お手伝いさんの仕事は家事だけではないのだ。
その頃の凛はというと。

凛 「ワンツーにゃあ!ワンツーにゃあ!」

三年生が引退卒業した後はリーダーとして自覚を持ったおかげでインストラクターとしての職につけてなおかつ美味なラーメンも作れるようになっていた。

凛 「身体を動かした後は美味なダイエットラーメンにゃあ!」

穂乃果 「痩せては太らせているんじゃないかな?」

花陽は笑ってごまかしたがしあわせなひとときである。

No.29 17/01/03 11:20
流行作家 

花陽 「あ、あの穂乃果ちゃん。あたしお仕事にいくまえにお風呂に入りたいんだけど」

穂乃果 「事前申請があったからいいよ。だけど」

花陽 「触れるのはダメなんだよね」

花陽は喜んでいいのか悲しいのか妙に複雑だった。学生の頃はタダで穂乃果の身体を拝めたのに。とはいえ入らないわけにはいかない。
お風呂はすでに沸かしてありいそいそと風呂場で脱いで入ったが、あることで裏切られるのを知らない。

花陽 「まだかなまだかな」

穂乃果 「はいるよ」

キターッ!と花陽の育ったムネの高鳴りが鳴った時だった。風呂場の扉が開いて穂乃果が入る……。

花陽 「あ、あれ……穂乃果ちゃん水着?」

なんとあろうことか穂乃果はワンピースの水着だったのだ。日本人ならお風呂は裸のはずである。
しかし穂乃果はさりげなく言う。

穂乃果 「『混浴入浴契約書』には水着、裸の二択があるんだよ」ホラ

ビニールに入れた『混浴入浴契約書』には事細かにそう書かれてあり読み落としがあるのに気づいた。

花陽 「」ミズギナシダヨー

穂乃果 「もう遅いよ?」

入浴タイムは三十分から一時間が基本である。
花陽は血の涙ならずお湯の涙を流していた。

穂乃果 「泣くほど嬉しいのかな」

花陽 「」クヤシイノ!

それでもおそらくはことりたちがしてないことをしたのだ。
花陽のなかで穂乃果の好感度が上がった。

穂乃果:ごはんおかわり!二杯目だよ!

穂乃果 「吉野家に通ってるみたいだね」

笑って誤魔化しながらも花陽はとにかく八人のなかで一歩リードした。
穂乃果の頭のなかに『時間ですよ!』があった。

穂乃果 「あわわ、大変だよ」

石橋貴明 「なにやってんだよ」

木梨憲武 「穂乃果ちゃんかわいいな」

穂乃果 「お風呂沸かしてないよ」

とんねるず 「おかみさ〜んっ!時間ですよ〜!!」

穂乃果 「はじまりっ!」

妄想ははじまりで終わっていたが現実の入浴タイムも終わっていた。

花陽 「もうおしまいなの?」

穂乃果 「時間厳守だよ。お昼からは凛ちゃんの相手をしないとならないし。夕食はなにがいい?」

ご飯、とだけさびしく答えた花陽は湯船に身を癒した。

No.30 17/01/03 15:52
流行作家 

午後になり入れ替わりに凛が戻ってきた。

凛 「ただいまにゃあ〜♪穂乃果ちゃん♪かよちん♪あれ……?」

玄関を開けると花陽がめずらしく落ち込んだ表情と吐息を漏らしていた。

凛 「どうしたにゃ?かよちん」

花陽 「いまの穂乃果ちゃんは手強いんだよ。お風呂に入る時は気をつけて……」

穂乃果 「花陽ちゃん。これ間食に食べて」

花陽 「これは?」

穂乃果 「お弁当。有り合わせだけど」

穂乃果が渡したのは可愛い巾着袋のちいさなお弁当だった。花陽の嗅覚はご飯と感じていた。
ああ、穂乃果ちゃんのご飯!
あのGOHAN屋の日々が脳裏によみがえった。

花陽『男女七人夏物語』あらため『ほのぱな七繕秋物語スタート!』

花陽 「ああ、GOHAN屋さんのご飯に定食は美味です」

穂乃果 「だよね♪安い早い美味いの三拍子だよ♪」

花陽 「いくらでも入ります!!」

凛 「入るんじゃなくてお仕事にいくにゃあ!!」

凛の声に現実に戻った花陽は一階にあるスポーツジムを挟んで『HANAYOラブライス🍚』に入っていった。
凛と花陽はスポーツジムを挟んでラーメン屋、ジム、ご飯屋の三つを共同経営していた。たまに取材も来る。
凛はやっとふたりきりになれたことに安心した。

凛 「お昼を食べないで帰ってきたにゃあよ」

穂乃果 「花陽ちゃんはご飯がメインだけど凛ちゃんはラーメンだね」

凛 「お腹ぺこぺこだよ」

穂乃果はキッチンに向かうとものの数秒で塩ラーメンを出した。

凛 「にゃあ!?」

穂乃果 「まずはあっさり塩ラーメンで疲れをほぐすといいよ」

口につけると、あっさり塩味が口内に広がり塩の白銀の世界が凛の脳内を覆った!!

アニメ『ミスター味っ子』イメージ

凛 「ああ……、塩味のあっさり感にもやしやお汁がからだに溶け込むにゃあ……」

味王 「甘いわ!!」ドーン!!

凛 「あ、味王さまっ!?にゃあ!!」

味王 「高坂穂乃果がつくりこの塩ラーメンをその程度とは貴様の下はなめくじか。見よ!塩と出汁を上手に絡め緬はあっさり極細っ!その他諸々云々……。いつまでもネコみたいに鳴いておれ!」

凛 「にゃあ〜!?」(/≧◇≦\)

凛は味王さまの幻を見た気がした。

No.31 17/01/03 20:04
流行作家 

穂乃果 「……ちゃん、凛ちゃん!凛ちゃん!」

凛 「りんはいまラーメンの味皇さまに出会ったにゃ……」

はい?、と穂乃果はふつうに塩ラーメンを作って出しただけなのだ。正気に戻った凛はキラリと瞳を輝かせて塩ラーメンを口一杯に食した。

凛 「ごちそうさまにゃ」

穂乃果 「相変わらずラーメンが好きなんだね。冷蔵庫には醤油やとんこつ、ちゃんぽんもあるよ」

凛 「明日から食べるにゃ。それよりアレをしてほしいにゃ」

アレ?、と聞き返すと新婚さんごっこをしてほしいようだった。
しかたない。今日残り半日の契約なのだ。

穂乃果 「凛ちゃん♪お帰りなさい♪お風呂にする?食事にする?それともあたし……?」

凛 「もう少ししたら穂乃果ちゃんとお風呂に入るにゃあ〜♪」\(^-^)/

お風呂の契約については今後は見直そうと早くも穂乃果は考えた。

Nスタ ニュースワイド風

堀尾正明 「こんばんはNスタ ニュースワイドの時間です」

穂乃果 「こんばんは高坂穂乃果です」

堀尾正明 「さて今日の話題は高坂穂乃果と入浴はアリかナシか」

森田正光 「明日の天気は全国的に晴れです」

穂乃果 「天気に関係なく穂乃果は入浴するよ」

堀尾正明 「同性とはいえ入浴はためらいますか」

穂乃果 「みんなのどれだけ穂乃果依存症が高まっているかこわいよ」

堀尾正明 「明日のテーマですね」

結局、花陽に続いて凛とお風呂に入ってしまった。ふやけるよね。

凛 「気持ちいいにゃ」

穂乃果 「うん(のぼせないようにしないとね)」

りんぱなの共同生活はけっこう精神力が必要不可欠なことに気づいた。

凛 「かよちんとのお風呂も気持ちいいけど穂乃果ちゃんのお風呂も気持ちいいにゃ」

穂乃果 「(あたしは二度目なんだけど)」

請求書はちょっとだけ割り増しにしてもいいよね、とわずかにお風呂の湯気を見ながら穂乃果はそのままのぼせた。
…………♨。
ほのかちゃ〜ん!、と呼ぶ凛の声がお風呂場に響いた。
彼女が気づいたのはしばらくしてからだった。

りんぱな 「ほのかちゃ〜ん!!」

穂乃果 「ン……」

目を開けると自分がベッドに横になっていた。

No.32 17/01/04 07:00
流行作家 

気づくと、穂乃果は知らない天井とりんぱなを見ていた。

凛 「穂乃果ちゃん」

花陽 「だいじょうぶ」

顔をのぞくようなふたりからお風呂でのぼせたらしかった。
穂乃果は水を口にしながらふたりに頭を下げた。ごめんなさい、と。

穂乃果 「二回もお風呂に入ったからむりしたんだね。えへへ」

はにかむ穂乃果にふたりはキュン♪❤とした。この人はいまも変わらない。ちょっとお馬鹿だけど。

花陽 「迎えに雪穂さんを呼びましたからすぐ来ると思います」

凛 「あたしが穂乃果ちゃんを家まで送りたかったにゃあ」

め、と花陽は叱る。
のぼせた時にふたりして穂乃果を介抱したという。身体に触れたのはやむ無くだ。

穂乃果 「えっちなことしてない?」

りんぱな 「してません!!」

花陽のパジャマを着せられていてこれは可愛らしかった。
ほどなく雪穂が迎えに来たが、さらにあとからことりや海未まで押しかけた。

雪穂 「お姉っ!?」

ことうみ 「ほのか(ちゃん)!!」

穂乃果 「なんでふたりまでいるの!?」

ことうみ 「穂むらの前で帰るのを見張っていました」

ストーカーだね、と穂乃果は心のなかでメモしといた。
穂むらに帰ったが早めに寝ることにした。
ことりと海未は外から穂乃果の部屋を見上げていた。
互いに負けません、と決意していた。
しかし翌朝、穂乃果はさらにたいへんな目に遭うのをまだ知らない。

No.33 17/01/04 12:14
流行作家 

翌朝、すやすやと寝息を立てていた穂乃果は夢を見ていた。

夢穂乃果 「あたたかい。もふもふ♪ふわふわだよ♪」

お母さん……、と口から呟きが漏れる。やけにあたたかい、というか頭か顔にふくよかななにかが自分を包んでいるようだった。
アルバカかな、と思った。
ちゃうちゃう、となぜか関西弁が聞こえた。
たこ焼き?、とこたえてみた。

? 「ちゃうちゃう、ウチや。ウチウチ」

夢穂乃果 「ここは穂乃果の家だよ……」

するとムネをなぜか触れられた。
キャ、と悲鳴が口からちいさく出た。さわさわでもちょんちょんでもなくわしわしだった。
ワシワシ?
穂乃果の頭になかにワシワシするひとはひとりだけだった。パチリ、と目を開けると希がうふふと笑みしていた。
瞬間的に穂乃果は固まってしまった。

穂乃果 「!?」

希 「おはようさん穂乃果ちゃん♪」

うわぁ、と叫び声が上がり雪穂が部屋を勢いよく開けたのが見えた。

雪穂 「姉貴っ!」

穂乃果 「な、なんで希ちゃんがいるの!?」

希 「安心しいや。雪穂ちゃんに入れてもろうたさかい」

言えなかった。
実は雪穂は運がよくなるスピリチュアルなお守りを希にもらった代わりに寝てる姉の部屋に入れるのを許可した。
ごめん姉貴。
でも穂乃果はあわあわと慌てていた。

穂乃果 「ワシワシしたでしょう!ワシワシ!」

希 「したで!」

いっそのこと痴漢として突きだそうかと考えた。

ドラマ『踊る大捜査線』風

和久 「みゅ〜ず?みゅ〜ずの高坂穂乃果てなんだ」

真下 「アイドルです。スクールアイドル」

室井 「ふむ」

恩田 「わかってないでしょう?あんた」

雪乃 「調査したら犯人はムネをワシワシするそうです」

青島 「事件は会議室で起きてるんじゃない!穂むらの二階で起きてるんだ!」

穂乃果 「タイホして!」

希 「え〜っ!?」

現実に戻った穂乃果は希を指差した。

希 「シャレにならんやん」

穂乃果 「はっ!?というかなんでいるの」

希 「穂乃果ちゃんを昨夜から待ちきれなくてな」

とりあえず穂乃果は110番にTELしようとしたら必死に希に止められた。

No.34 17/01/04 16:19
流行作家 

希 「しまいに警察につきだされたらあかんやん」

穂乃果 「寝てる時のワシワシは禁止」φ(..)

希にはさらに特注な契約書が渡された。五頁に渡るワシワシ禁止項目がいくつもあった。

希 「かんにんや穂乃果ちゃん」

めっ、とだけ穂乃果は叱る。雪穂はこんな姉が結婚できないのは当然だな、と思う。
というかu’sの誰に嫁にいくのよ、と言いたくなるが我慢しながら店に下りていった。
穂乃果はあることに気づいた。

穂乃果 「あ!希ちゃん家にいかないといけなかったのに」

希 「いまふつうに気づいた」

穂乃果 「だってお風呂でのぼせたし凛ちゃんや花陽ちゃんに悪いことしたし」

希 「安心しいや。今日はふたりとも忙しいはずやから」

その頃、凛と花陽は忙しく動きまわっていた。なぜか凛のラーメン屋、花陽のライス屋にお客さんが大勢来ていた。

凛 「いまやってるにゃあ」

花陽 「待ってください」

店内はひとが入りきれないくれない列が多くできていた。
なんでも凛と花陽で食事をすると運気が上がると今朝方に各テレビ局で報道された。

希(テレビ)「運気をあげたいひとは星空凛と小泉花陽のお店にいって美味しいモノを食べるんや」

りんぱな 「おのれ!希ちゃ〜ん!!」

知らぬは穂乃果ばかり。

No.35 17/01/05 06:33
流行作家 

穂乃果は契約書に新たな項目を書き込んでいた。

希 「なにしとんの」

穂乃果 「ハグやワシワシの日は……火曜日限定……。ちなみに穂乃果からハグはいつでもアリ」φ(..)

穂乃果から渡された契約書にまた一頁加わった。しかもさりげなく希たちに不利な項目だった。

希 「そ、そんな火曜日以外に」ハグもワシワシもでけへんなんて」

穂乃果はつい最近見たドラマを再生し希に見せた。

穂乃果 「みくりさんを見習ったもん!」

希 「こ、これは『逃げるは恥だが役に立つ』やんか!?」

穂乃果 「穂乃果はみくりさんみたいにデキる女性になりたいの」

それで契約書をつくっては渡すんだな、と希は思った。
これはとてつもなく手強い、こんなの穂乃果ちゃんじゃあらへん。

穂乃果 「いやいや穂乃果だよ?」

希 「ひとの気持ちを呼んだらあかんやん」

穂乃果は妄想する。

ドラマ『世にも奇妙な物語』風

穂乃果 「もしもあなたのそばにスピリチュアルなお友だちがいたらどうしますか?宝くじがあたるのに利用しますか。恋愛運を高めますか。それとも……」

穂乃果 「タモさんだね。これ」

希 「穂乃果ちゃんかんにんや」

ダメ、と頑として穂乃果はかたくない。
しかたなく希は契約書に目を通しながらなんとか週末の金曜に穂乃果をモノにしないとならない。その頃、りんぱなのもとにある目立つお客さんがひとりいるのに気づいた。

凛 「あのお客さんどこかで見たことあるような」

花陽 「あのバレバレな変装は……」


りんぱな 「にこちゃん!!」

にこ 「ぬわんであんたたちがいんのよ!」

りんぱな 「ここあたしたちのお店」

にこ 「そうだった」

いまやにこは現役アイドルをしながらちいさい事務所経営しアイドル育成していた。
別名、“第二の太田光代”と呼ばれていた。

にこ 「芸人育成はしてないわよ」

凛 「本人が芸人体質だからにゃ」

花陽 「一期二期映画とごくろうさまでした」

にこ 「ありがとう、じゃないわよ!」

お客A 「おい矢澤にこだ」

お客B 「こんなところに来るんだ」

にこ 「」ニコッ!!

なんだかんだでこの日りんぱなの売り上げは上がった。

No.36 17/01/05 07:06
流行作家 

希 「ハグもワシワシも出来んかったらウチはどうしたらいいの」

穂乃果 「フツウでいいよ」

希 「一期では真姫ちゃんをはじめほのりんにこにワシワシして」

穂乃果 「アニメだからいいけど現実ならけいさつよばれるよ」

希 「ワシワシできないんやったら」

穂乃果 「お帰りは階段を下りて玄関だよ」

希 「」(`□´)

穂乃果 「じょうだんだよ」

この日は穂乃果と希は一日中、穂乃果の部屋で遊んだりほのぼのした一日を送りました。
それを刑事のように向かい側の建物から張り込むふたり。ことりと海未である。

ことり 「ほのかちゃん」

海未 「あの希がワシワシできないなんて」

ことうみ 「『逃げ恥』を見て勉強しないと!」

そこを通りかかる絵里。

絵里 「ことりに海未、なにしてるの!?」

そそくさと逃げるふたりだった。どちらかが落とした双眼鏡を拾うのだった。

絵里 「ん?」

絵里は相変わらず天然だった。

亜里沙 「お姉さん、いくら欲求不満でものぞきはいけません」

絵里 「してないわよ」

No.37 17/01/05 11:44
流行作家 

あの希でさえ穂乃果にワシワシやハグができないのはいまの穂乃果は強敵だった。
当の穂乃果はそのつもりはまったくなく土曜の朝を満喫していた。

穂乃果 「雪穂のお茶は美味だね」

雪穂 「お姉ちゃんたら」

海未たちは集まり『高坂穂乃果をモノにする会』を開いた。

アニメ『新世紀エヴァンゲリオン』ゼーレの会議風

UMI 「いまの穂乃果は強敵のようです」

ERI 「そのようね。あの希でさえ手出しができないんだから」

KOTORI 「あれは穂乃果ちゃんであって穂乃果ちゃんじゃないよ」

RIN 「いやほのかちゃんにゃ」

HANAYO 「そう、高坂穂乃果はさらなる高みに達している」

NIKO 「我々は勝てるのだろうか」

NOZOMI 「穂乃果人類補完計画、まずは妹の雪穂から落とす必要ある」

希 「ってなんでエヴァなんや!」

ことり 「ふんいき♪ふんいき♪」

真姫 「えう゛ぁ?」

真姫は『新世紀エヴァンゲリオン』を知らないようだった。ちなみに彼女だけ台詞を言ってない。

MAKI 「なんで言わなきゃいけないのよ」イミワカンナイ!

彼女たちは穂乃果の観察をすることにした。

再び『踊る大捜査線』風

海未 「穂乃果を張り込むなんて思いませんでした」

ことり 「だけどいまのほのかちゃんはガードがかたい」

凛 「信じられないにゃ」

花陽 「差し入れです。コンビニのカレー、天津丼、チャーハン、鶏飯です」

にこ 「ごはんものじゃない!張り込むはあんパンと牛乳でしょう」

穂乃果 「!?」キョロキョロ

穂乃果 「せっかくの土曜なのに誰かに見張られている気がするよ」

見張られているのは気づくが誰かまでとは気づかない高坂穂乃果だった。

穂乃果 「そうだ、コンビニにいこう」

八人 「旅じゃないのね」

No.38 17/01/05 19:19
流行作家 

高坂穂乃果の一日はコンビニのランチパックめぐりから始まる……。

穂乃果 「どれにしようかな」

棚にはタマゴ、カツ、モンブラン、イモ味など様々ならんでいる。
タマゴハムに穂乃果はした。そしてまた次のコンビニへまた次のコンビニへ。

花陽 「まさにパン好きの鑑です……!?」><

凛 「静かにするにゃ」

凛と花陽は朝の穂乃果を追っていた。しかし本人はまったく気づかない。
ちなみに来週は月曜は真姫、水曜は絵里、木曜は海未、金曜はりんぱな。火曜はなんとにこだった。

凛 「にこちゃんがハグされるにゃか」

花陽 「蚊みたいにぷちっとなればいいのに」

にこ 「ぬわんでよ!」

穂乃果 「ん?」

りんぱなにこ 「」

穂乃果 「気のせいだよね」

にこ 「気づかれそうになったじゃない」

花陽 「にこちゃんのせいだよ」

穂乃果の秋葉原コンビニめぐりはニ十店舗まわり買ったのはニ十個以上のパンだった。

にこ 「小遣いとぶわよ」

りんぱなはそそくさと帰り入れ替わりに海未がやって来た。

海未 「いいえ太ります。ダイエットですね」

にこ 「こわい」

穂むらに戻り穂乃果は土曜朝のテレビ番組を見ながらパンを食べていた。

にこ 「能天気ね」

海未 「太ります」

ことり 「ほのかちゃんまたパンめぐりしてたんだね」

うみにこ 「ことり!?」
昼までにパンは半分に減っていたのに驚いた。

海未 「確実に太ります」

ことにこ 「うん」

にこ 「なに?うんうん。エリエリ46のひとりが怪我した?収録に出れないの。私がでるわ」📱

にこは仕事に戻っていった。

穂乃果 「スカパーでにこちゃんの事務所タレントのスペシャルあるんだ」

ことうみ 「出世しましたねにこ(ちゃん)」

穂乃果 「パン♪パンパン♪」

ことうみ 「まだ食べるんですか」

希 「」ハア

ことり 「元気ないね」

希 「ワシワシさせてえな。海未ちゃん」ワシワシ ワシワシ!!

海未 「」キャー

穂乃果 「ん?」ガバッ!

ことうみのぞ 「」

穂乃果 「気のせいか」

海未 「(なぜ気づかないのですか)」

鈍感な穂乃果である。

No.39 17/01/17 12:29
流行作家 

八人は休日の穂乃果を見て全員一致の結論が出た。

八人『スキルアップはしたが穂乃果(ちゃん)の中身はなにも変わっていない!』

にこ 「つまりは能力や技術は身に付いたけど逆に派遣社員として使われるのに慣れた。だけど中身は変わらないから使われるまま。そしていまにいたる」

凛 「にこちゃんひどいにゃ」

にこ 「あたしじゃないわよ」

絵里 「つまり穂乃果の甘々な性格はほぼそのまま」

希 「スキルアップしてもおおざっぱでいいかげん」

ことうみ 「むかしから変わりませんから」

花陽 「幼馴染みのふたりが言うから間違いない」

ドラマ『真田丸』風

海未 『こうして高坂穂乃果への布陣は少しずつ少しずつ固まっていった。本人はまったく知らず……』(演、三森すず子)

にこ 「月曜は真姫からよ!気を引き締めていきなさい」

真姫 「私を誰だと思っているの。西木野真姫よ」

ことうみりんぱなにこのぞえり 「大丈夫?」

真姫 「信用ないのね」

ことうみまきりんぱなにこのぞ 「うん」

海未 「わ、私は信用してますよ!」

真姫 「」フン

りんぱなにこ 「いじける真姫ちゃん」

こうして月曜日の朝に穂乃果は西木野家を訪れた。なにも知らずに。

穂乃果 「真姫ちゃん。穂乃果だよ」ピンポーン

真姫 「いらっしゃい。さっそくだけど穂乃果にはあたしには病院に来てもらうわ」

穂乃果 「ほ、ほのかどこも悪くないよ!?」

真姫 「ちがうわよ。家事はママやメイドにしてもらうから穂乃果に秘書というより私の手伝いしてもらうわ」

真姫に促されるまま西木野総合病院を見つめた穂乃果は一言。

穂乃果 「ドラマの『白い大根』みたいだ」

真姫 「『白い巨塔』ね!大根のような形した病院て見たことないし」

病院にひとたび入るや医者や看護師、職員たちは一様に真姫に会釈をし私室に連れられた。

穂乃果 「ほえ」

真姫 「穂乃果はお手伝いだからいちおう病院の構造をおぼえて」

穂乃果は病院の略図を見ておぼえた。

真姫 「小児科はどこ」

穂乃果 「一階正面玄関から右に入ったところ」

記憶力はいいようだが派遣社員ではいまいち使われなかったようだった。

No.40 17/01/17 13:41
流行作家 

ドラマ 『白い巨塔』風

真姫 「高坂くん。この書類を事務長に届けてくれたまえ」

穂乃果 「わかりました。人望のない真姫夫人」

真姫 「あるわよ!夫人てなに!ケッコンしてないし」

ヤバい、と思った穂乃果は素早く私室を後にし真姫はふてくされた。

真姫 「使えるのか使えないのか」

穂乃果は事務長室に書類を届けたが、事務長は不在のようで書類を置いたがあまりに乱雑なので気をよくした彼女は整理し軽く掃除をして後にした。

真姫 「遅かったわね」

穂乃果 「ちょっとね」

そこへ事務長から真姫に電話がかかる。

事務長 「真姫くん。書類は届いたが私の部屋が綺麗になっていたんだが」

真姫 「ヴェェ!?」

事務長 「書類を分別してくれて仕事がやりやすいよ。ありがとうお嬢様」

真姫 「(ほめられた?)」

穂乃果 「どうしたの?つわり」

真姫 「なんでつわりなのよ!穂乃果、あんた事務長の部屋を掃除したわね!

ヒイイ!?、と穂乃果は怯えたがあまりの可愛さに真姫はあっさり許した。

真姫 「許すわ。はい、もしもし小児科病棟ね。わかったわ。見に行くわ」

穂乃果 「ほえ?」

ついてきて、という真姫に穂乃果もついていく。小児科病棟である。
真姫は小児科病棟の子どもたちに怖がられているようでもある。

子どもA 「ツンデレだ」

子どもB 「ヴェェだ」

真姫 「誰がよ」

穂乃果は閃いた!
鬼ごっこしようと遊び始めた。真姫がオニである。

ほの子どもAB 「逃げろ〜B」

真姫 「な、鬼ごっこしにきたんじゃないわよ!!」

三十分ほど遊んだことに小児科病棟の看護師たちはあきれて見ていた。

看護師 「お嬢様。はしたないです」

看護師 「ほらほら。みんなお昼ですよ」

穂乃果 「はーい」

真姫 「穂乃果は患者ないでしょう」

穂乃果はどうやらあちこちの病棟や医師、医者、患者たちを感化するふしぎな力があるようであった。

事務長 「高坂穂乃果くんか。秘書にほしいね」

穂乃果 「ほ、ほのかはムリだよ」

真姫 「そういうことだから事務長あきらめて」

No.41 17/01/17 15:54
流行作家 

真姫はこれで穂乃果に学生時代に感化もしくは籠絡されたかとあらためて思った。

バラエティ 『クイズ100人に聞きました』風 穂乃果編

真姫 「はい。今週も始まりました。穂乃果編です」

観客 「」ワー

真姫 「穂乃果のどこが好きですか。堅物リーダーチームのの海未」

海未 「誰が堅物ですか。そうですね、やさしいところですか」

真姫 「やさしいところ!あるのかないのか」

BGM パネル出る!

二位 38人 やさしいところ!

真姫 「やさしさが穂乃果のいいところですね」

穂乃果 「」テレテレ

真姫 「いつ観客席にまぎれたの?イミワカンナイ」

真姫 「コホン、続いてはふんわりやわらかチームのリーダー、南ことりさん」

ことり 「ことりだよ!」

真姫 「名前言ったから。二位は堅物の海未が取ったわよ。一位狙い?」

ことり 「ここは十位狙いで」

穂乃果 「一位だよ一位!」

真姫 「クイズのお題になってる人が言わないの!」

ことり 「やさしいが二位か。u’sの発起人かな?」

真姫 「u’sの発起人!果たして一位かランクインしてるか」

BGM パネル出る!

一位 u’sの発起人

穂乃果 「わ〜い」

ことり 「ハノケチェン!」

真姫 「観客がよろこびすぎ!u’sの発起人だからが一位。廃校から救った張本人ですからね」

海未 「悔しい」

真姫 「ちなみに三位からの答えはパンばかり食べる、どこでも寝る、数学が苦手で赤点候補など」

穂乃果 「あとがひどいよ!」

現実

真姫 「なんで穂乃果がモテるのかしらね」

穂乃果 「真姫ちゃんひどいよ!」

穂乃果は看護師たちに真姫の評判を耳にした。
飛行機はファーストクラスかビジネスクラス、電車は特別一等室。お弁当は銀座のお弁当屋。

穂乃果 「食べたい」

真姫 「なにお手伝いさんがねだるのよ」

穂乃果 「」ウルウル

真姫 「わかったわよ。銀座のお弁当屋ね」

看護師たちは思う。
今日のお嬢様はいつもよりツンデレではない、と。

真姫 「あたしの基本はツンデレなわけ」

穂乃果 「」ヤッタ

No.42 17/01/18 06:05
流行作家 

真姫 「(なにあたし妄想してんの!?)」

穂乃果 「銀座の高級お弁当美味しいね」モグモグ

真姫 「ていうか秘書が雇用主より先に食べないの!」

穂乃果にはハグはできないわ高級お弁当を用意しないとならないわ。ちょっと散々だったが、穂乃果ひとりいることで総合病院の雰囲気は少しずつ変わったようだった。
夕方になるとさすがの真姫も笑みするようになった。

穂乃果 「真姫ちゃんたのしそう」

真姫 「そ、そんなことないから!」

穂乃果 「でもほのかなんの役にも立てなかったかな」

真姫 「ううん。ここ最近、病院内からぎすぎすしてたから助かったわ」

お嬢様や後継者として扱われる真姫にはひとに言えないことがあるんだな、と実感した。
穂乃果看護師な自分を想像しようとしたがやめた。

穂乃果 「看護師には向かないかも」

真姫 「?」

真姫 「明日はにこちゃんのところにいくの?」

穂乃果 「そうだけど」

真姫はにこちゃんにハグの日を取られたのを悔しいと思いながらもいまや矢澤にこはテレビにひっぱりだこの人気者なのだ。テレビをつけるとにこが映っていた。

にこ 『アイドルは可愛いのがいちばんなの〜♪にこっ〜♪』

真姫 「」イミワカンナイ

穂乃果 「テレビに映っても相変わらずちいさいままだ」

にこ 『どういう意味!?』

ほのまき 「」ビクッ!

穂乃果はまた病院に来てくださいと事務長や医者、看護師からも言われ頭を下げた。
真姫はちょっとざんねんそうだったが少しは人間関係が改善されたみたいである。
穂乃果は病院は肩が凝るなと肩を鳴らしながら穂むらに帰っていった。

雪穂 「お帰り。真姫さんのところどうだった?」

穂乃果 「肩が凝ったよ」

雪穂に小児科の子どもたちや看護師たちの話をして真姫から高級焼肉弁当をごちそうになった話をした。

雪穂 「手伝いにいってるのにごちそうになっちゃだめじゃん」

穂乃果 「だって」

雪穂 「焼肉か」

穂乃果 「こんど食べにいこうね」

雪穂は姉のタラシがまた始まらないか不安もあったが口に出すことはしなかった。
翌日はにこがなんと穂乃果を迎えにきた。

No.43 17/01/18 20:17
流行作家 

にこには考えがあった。
なんでみんな穂乃果が家に来るのを待つのか。待つのではなくこちらから行けば穂乃果をモノにできるではないか。
インターホンを押して少し待つと足音が聞こえ玄関が開いた。

穂乃果 「は〜い。あれ?いないよ」ジトッ

にこ 「」

穂乃果 「雪穂!誰もいないよ」

にこ 「」オイ

穂乃果はそのまま戻っていってしまい再びインターホンを鳴らした。

穂乃果 「は〜い。誰?さっきから」ジトッ

にこ 「」ココ!ココ!

穂乃果 「もう朝ごはんの途中なのに」クルッ!

にこ 「待ちなさい!この宇宙ナンバー1アイドルが目に入らないの!!」

穂乃果 「にこちゃん!?いつからいたの!」

にこ 「さっきからいたのに二回見たでしょう!気づいてたでしょう!見たよね」

うん、と穂乃果の反応はいやにあっさりだった。

にこ 「今日はあたしの仕事に付き合ってもらうから」

穂乃果 「真姫ちゃんところは秘書だったけどにこちゃんは付き人?」

にこ 「いちおうマネージャーにしてあげるわ」( ̄^ ̄)

まあまあ上がって、とにこを上がらせてお茶を淹れた。

にこ 「ねえねえ」

穂乃果 「なあに」

にこ 「は、ハグは?いつするの?いまでしょう!」

穂乃果はチラッと時計を見て答えた。時間はまだ九時前。

穂乃果 「九時になってからね。九時からお仕事モードだから」

にこ 「ぬわんでよ!」

穂乃果 「そういう契約になってなかった?」

あらためて契約書をパラパラめくるとたしかにそう書いてあった。
見落としたのか。
たしかに穂乃果は強敵になったかもしれない。しかし頭の中身はむかしとそう変わらないはずである。
にこは九時まで我慢した。
穂乃果はもし花陽がそばにいたら羨ましがるくらいにご飯をたいらげた。

にこ 「花陽がいたらよだれ垂らすし海未がいたら学生の時みたいにダイエットよ」

穂乃果 「ごちそうさまでした」

にこ 「話を聞きなさい」

No.44 17/01/19 06:22
流行作家 

にこのクルマに乗せられて驚いた。

穂乃果 「これ、リムジンだよね」

にこ 「穂乃果でも知ってるのね。そうよ。まあ何台かあるうちの一台だけど」

穂乃果 「成金のひとが乗るんだよね」

手にしたカップをこぼしそうになりながらにこはムキになる。

にこ 「だれが成金よ!大学で演技を学んで舞台に立ってまた演劇学校に通ってテレビでようやくしたっぱや雛壇タレントになりそれからバラエティで血ヘドを吐くような撮影をこなしようやくバラドルになり歌を出しアイドルになりちいさいながら事務所を設立した宇宙ナンバー1にこちゃんなのよ!!」

穂乃果 「す、すごいね……」

にこちゃん怒ると怖いのはむかしと変わらないと思うのだった。
はじめに来たテレビ局はテレビ西京である。番組は『アイスタ!』。
声優の山神社狭一がかつての声優番組から引き継いだ放送歴が意外に長い番組である。
にこはこの番組では自ら出演すれことはまれでありむしろ育成したアイドル候補たちを出演させている。

山神社 「おはよう!にこちゃん」

にこ 「山神社さんおはようございます!今日もよろしくお願いします」

山神社 「そっちの子は」

山神社に穂乃果は気づかれどきりとした。テレビで見たことあるよ!ラジオで聞いたことあるよ。アニメで見たよと興奮していた。

にこ 「今日のあたしのマネージャーよ!よかったら出演させてもいいから」

ええ〜!?いいよ、と口をパクパクさせた。しかし穂乃果の目には積み上げられたお弁当にいってしまった。

にこ 「お弁当はあと。いくわよ」

楽屋に入ったにこは若いアイドル候補の子達と厳しいくらいに話し合いをしていた。
穂乃果には u’s の頃と変わっていないことに心底感動した。

にこ 「いい!滑ろうが噛もうが笑いをとりなさい」

アイドル候補たちはハイ、と叫び頭を下げて出ていった。
ちいさい事務所ながらアイドルへの情熱を持つにこ熱かった。

穂乃果 「にこちゃん」

にこ 「どう?」

穂乃果 「お弁当食べたいな」

にこ 「なにを見てたのよ!朝ごはん食べたんでしょう」

穂乃果 「食べたい」

しかたなく楽屋にあるお弁当を分けた。ハグできないのにと悔しがった。

No.45 17/01/19 07:12
流行作家 

収録の時間になりスタジオに向かうとそこでは山神社をはじめとし出演者やスタッフが右へ左へと走ったり声がしていた。
u’s の頃を思い出すようにちょっと身体が疼くように思えた。

にこ 「ふふん、テレビに出たいの?」

にこの言葉に穂乃果は妄想した。

ご長寿早押しクイズ風

アナウンサー 「さて今日出演していただいたのは音ノ木坂にお住まいの矢澤にこさん、高坂穂乃果さん、東條希さんの三名です」


にこ 「にこは百歳、百歳でもにこに〜♪にこに〜♪」

シーン

にこ 「ぬわんでよ!?」

穂乃果 「和菓子屋穂むら、ほのかのお店だよ。あんこ食べる?」

アナウンサー 「アハハ」

にこ 「そこ受けるところ!?」

希 「なんでウチ?まあいいか。穂むらの和菓子はスピリチュアルやで。そこにいるえりちはポンコツスピリチュアルや」

絵里 「え」

アナウンサー 「アハハ」

にこ 「ぬわんで受けるのよ!」

アナウンサー 「問題!明石家○○○、この芸人さんの下につく名前はなんでしょう」

にこ 「はい!シャケ!」ぶっぶー❌

希 「タイ食べたいな。ネプチューンの名倉さんちゃうで。あれはタイ人や」

観客 「」ワハハ

穂乃果 「堀内健!ことりちゃんが好きな芸人だよね」

観客 「(爆笑)」

にこ 「ぬわんで爆笑なのよ!」

アナウンサー 「正解はさんまでした」

希 「そっちか」

にこ 「どっちよ」

穂乃果 「穂むまん食べる?」

アナウンサー 「勝手にものをあげないでください」

さんま 「あの穂乃果ちゃんむてきやんか」

穂乃果は現実に戻る。

穂乃果 「いやいやいまの穂乃果はフツウだよ」

にこ 「どこがよ」

収録が始まった。

No.46 17/01/24 06:47
流行作家 

収録が始まるとにこと共に見守る穂乃果。
テレビの収録はu’s時代にも少し経験したがあの頃を思い出させるようでもあった。
そこへ穂乃果の肩をちょんちょんしたのはことりだった。

穂乃果 「ことりちゃん!?」

にこ 「なんでいるのよ」

シー、とスタッフから注意されるなかことりはさらりと言う。

ことり 「にこちゃん忘れたの。あたしは番組の衣装コーディネーターだよ」

そうだった、とにこはぷいと頬を膨らませた。
いまや業界にはにこ、真姫、ことり、絵里、希はテレビに引っ張りだこであった。ことりはファッションコーディネーターとして裏方ではあるが取材に取り上げられるのもしばしばある。

ことり 「なんだかむかしを思い出すね」

穂乃果 「うん」

にこ 「ふん」

穂乃果 「にこちゃん」ツンツン

頬をつんつんされて声には出さないが表情で噛みつくにこである(`□´)。

穂乃果 「アイドルか」

彼女の切ないつぶやきににことことりは自然と見つめていた。
アイドルをやりたいのだろうか、と複雑な感じがしないでもなかった。
収録はさいわい意外なくらいなにごともなく進み穂乃果はにこと共にまた移動した。しかし移動した先でもことりもまたいた。

にこ 「ぬわんでいるのよ!!」

ことり 「お仕事だもん♪」

スケジュールを把握されていたなと思うが行く先々でことりが十中八九いるのには弱った。
穂乃果が喜ぶのはいいが南ことりは腹黒い。
また別の収録先ではことりだけでなく真姫や絵里もいるのだった。

穂乃果 「絵里ちゃん!?」

絵里 「ハラショー!穂乃果」

わざとらしくハグしようとする絵里の前ににこは無理やり間に割り込んだ。

絵里 「あら?にこ」

にこ 「気づいてやったでしょう」

穂乃果 「?」

にこはあたまの上に絵里の柔らかい胸があることの複雑さに怒りと嫉妬があるが頬を膨らませるだけにした。

真姫 「にこちゃんはたいへんね」

真姫の一言が語っていた。

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