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ドラマ相棒 〜穂乃果と八人の相棒たち〜 u’s

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小説大好き
18/06/27 07:41(更新日時)

ドラマ『相棒』と『ラブライブ!』のクロスオーバーSS。

穂乃果が右京役。
穂乃果以外が相棒役。
警視庁特命係とは別にあるもうひとつの窓際部署音乃木坂および秋葉原限定の特命係。

さて、今日の物語は……。

17/02/07 16:44 追記
とりあえず現時点での配役は以下の通り。

杉下右京=高坂穂乃果
亀山薫=園田海未
神戸尊=南ことり
三浦信輔=星空凛
米沢守=西木野真姫
矢澤にこ=内村完繭、中園照夫

花陽、希、絵里についてはまだ思案中。
あくまでパロディなので本気にしないでくださいm(__)m。

No.2397381 16/11/09 07:12(スレ作成日時)

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No.1 16/11/09 07:47
小説大好き0 

この日、警視庁捜査一課に所属している園田海未はあろうことかデパートの屋上で指名手配犯の人質になっていた。

「動くなよ!動くな動くなよ」

「動いてませんよ!」

「お前じゃねえ!警察だ」

屋上には警察やマスコミのヘリがばんばんと飛び交いヘリの音がよけい犯人を逆撫でしているようだ。
海未は思う。
なぜこんなことになったのか。
たまたまトイレに寄った際に男性用トイレから出てきた男に見覚えがあった。何年か前の強盗指名手配犯だった。
声をかけたまではよかったが、うかつなことに警察であるのに気づかれ屋上まで追いかけたはいいが市民の前で指名手配犯は拳銃を出して市民を恐怖に震えさせた。
犯人を刺激しないために人質になったはいいが彼は目が血走りながら動揺は見てとれた。
テレビが来ているのに格好悪いです、とマジメな自分から心の声が聞こえた時だった。
携帯が突然、鳴った。

「なんだなんだ」

「電話です。電話です」

「無視しろ!」

「でも一向に鳴り止みません!出た方が」

「わかった」

携帯に出るとなんともあほで能天気な明るい声が飛んできたのに驚いた。

『ヤッホー』

「な、なんですか!?」

『いやはや大変だね。いまあなたテレビに映っていますよ』

「く、だからなんだと言うんです」

『まあまあ落ち着いて。パーク刑事』

「パークじゃなくて園田です」

「なにごちゃごちゃ言っている!ぶち殺すぞ。それと逃走用の車やヘリ、何でもいいから用意しろ」

『そうとう感情が高ぶっています。あたしが気を逸らすからあなたは隙をみて反撃してください』

「聞こえてるぞ」

「のようです」

海未は犯人に携帯を渡した。くぅ、格好悪いです園田海未!
しかし、犯人と電話相手はなにか話をして長引いてようだ。

「はあ!?車やヘリで逃げれるし!」

『ですけどヘリはすぐに見つかるよ』

いまだ!と海未は幼少より合気道を使い犯人の腕を隙を見つけてはあ!と返して地面に叩きつけた。
確保!、と瞬間屋上を囲んでいた刑事や警官隊が犯人や自分を取り押さえていた。

「いたいです!いたい!私は犯人ではありません」

この後、海未は慣れ親しんだ捜査一課を離れることになるのだった。

No.2 16/11/09 08:19
小説大好き 

辞令 警視庁特命係に園田海未を拝命する

捜査一課に帰るやいなや犯人を捕らえたのに課長から一通の辞令を渡され海未はまじまじと見つめた。

「なんですか、これは」

「そのままの通りだ。早く行きたまえ」

課長はむっつりとしたまま海未の顔を見たくないといわんばかりに手で払った。
犬ですか、私は。
デスクの私物を整理し廊下を進んでいると嫌なヤツにあった。

「もと捜査一課の動物園だ刑事〜」

「伊・丹・さ・ん」

「まったく手をわずらわすんじゃねえよ!このアフリカ象!」

「誰がアフリカ象ですか」

「ならアオウミガメだ」

「カメは動物園にそんなにいません」

まあまあ、と伊丹と同じ捜査一課の刑事たちがとりなしたので事なきを得たがライバルの伊丹から嫌なことを耳にした。

「たしか特命係ってのは警視庁のお払い箱がいく部署って聞いたな。アハハ」

お払いです、とこの私が!?
苛々と伊丹たちの背中を見ながら鼻息荒くフンとしたまま特命係にむかった。
特命係があるのは生活安全課の奥らしかった。手を招いたのは角田という刑事だった。

「お!新入りか」

「は、はあ……」

そのままに奥に案内されると、少し暗い部屋から明るい声が聞こえた。

「あんこ飽きた〜!!」

「おい、新入りが来たぞ」

え、と振り向いたのは自分と同じくらいの少女があんこ入りのまんじゅうをくわえたまま振り向いた。

「え、え〜とあなたが新しく来た動物園だ海水浴さん?」

文字があってるのが『園 』と『海』しかない。わざとでしょうか。
しかし海未は気を取り直して敬礼し挨拶した。

「園田海未です!このたび辞令を受け取りここでお仕事することになりました」

「うん、よろしく。ちなみにあたしは高坂穂乃果。お茶菓子だすね」

穂乃果と名乗る人物はとてとてとお茶を淹れに背を向けながら言う。

「それにしてもさっきの事件はうかつでしたね」

「あ!あんたあの時の声」

「正解。ですがあなたがあの場で合気道で倒さなかったら狙撃班はあなたごと撃ってましたよ」

え!?と思い当たる。前後左右あらゆる方向から狙撃班が銃を構えていたのを思い出した。

「ちなみにあたしはあなたより犯人の命を尊重しましたから」

No.3 16/11/09 09:05
小説大好き 

「あの、それで特命係のお仕事というのは……?」

海未の質問をよそに穂乃果はお茶を淹れながら事も無げに説明してのほほんとしている。

「そうだね。音乃木坂や秋葉原で起こる事件の手伝いをしたり首を突っ込んだりだけど、ふだんはこうしてお茶をしているね。ウーロン茶でいいかな」

は?、と変な顔をしたまま変なところに来ちまったと思った。
しかし相手の穂乃果の方が階級が上であるのを知る。

「ちなみに園田くん、いや海未ちゃんの階級は?」

「巡査ですが」

「あたしは警部補だよ。つまりきみはあたしの部下。あたしは上司だよ」

くぅ、と喉が唸る。
こんな和菓子屋の娘みたいなのが上司なことになにかおもしろくないと悔しがる。
しかし、そんな時に事件がやってくる。角田刑事が伝えてきた。

「おい高坂、音乃木坂で事件だ」

「え〜、これから海未ちゃんとお茶菓子の時間なのに」

「なに言ってるんです。事件なら行きましょう!」

特命係を出た海未を追うようにやれやれ、元気だなとお茶を一口してから穂乃果は後を追った。
事件現場は音乃木のとある部室。
被害者の名前は矢澤にこ。アイドル部部室でひとり倒れていた。

「ちいせえな」

「ええ、被害者の身長はそんなに小学生とかわりありません」

鑑識の米田は伊丹たちに説明していると、海未と穂乃果がやってきた。

「現場はここですか!」

「ぎゃあ〜!?」

被害者の体から叫び声がしたことに伊丹や海未、米田たちは驚き穂乃果は見つめた。

「生きてます!?」

「生きてて悪い!私を誰だと思っているの宇宙No.1アイドルの矢澤にこよ」

「宇宙一ちいさい○リーザ」

「宇宙で地上げ屋はしてないわよ」

まあまあ、と穂乃果がとりなす。

「え〜と、矢島晶子さん?」

「オラ、ひろしとみさえとひまのこと好きだぞ。てなにやらせんのよ」

「え〜と、矢○真里さん?」

「ふん、あたしは悪くないから。バラエティでもなんでもやるから。じゃなくて!」

「矢澤にこちゃん。身長は25センチ?」

「そこまでちいさくない」

「すみません。話を脱線するのがあたしの悪いくせだよ」

「自覚ないのですか」

海未の言葉に納得する一同だった。

No.4 16/11/09 13:20
小説大好き 

「なにか取られたものはないですか、身長以外に?」

「もとからこの身長だし」

「アイドル部というのはあなた以外に部員は?」

「いないわよ。ひとりだし」

海未とにこの肩を無言で叩く穂乃果は吠え笑み見つめる。

「似た者同士だね」

「ちがうわよ(ちがいます!!)」

「警部殿、警部殿」

伊丹刑事は穂乃果に現場を振り回されさすがに呼びかける。

「ほ、穂乃果と呼んで。伊丹さん」

思わず頬を赤らめる伊丹刑事だがそこは捜査一課の刑事。気を取り直す。

「高坂警部補」

「わかったわかった。ジャマしないから。ね?」

わかりました、と穂乃果が部室を物色するのを忌々しく見ながらにこに事情を聞いた。

「まったく伊丹によく口を聞けますね」

「まあまあ、だけどアイドル部の部室だけあってアイドルグッズがいっぱいだよ」

「アイドルに興味はありません。て無視しないでください」

「これはアイドルの伝説のDVDボックス!『デンデンデン』ですか」

「触らないで。これは部活用かつ保存用!」

そうですか、と穂乃果はいつの間にか部室にあるお菓子をつまみながらうなずく。

「食べないの」

叱られながらふと彼女の背中を見るとあることに気づいた。

「ちょっと待ってにゃこちゃん」

「にこよ!刑事なら名前くらいおぼえてよ」

これは、とつぶやく穂乃果の目にはにこの背中に謎の足跡があるのに気づいた。

「これは、生徒の足跡ですか」

「ええ、たぶん。にゃんこちゃんは誰かに踏まれて気を失った」

「すぐに鑑識が見ます。脱いで」

米沢が言うと「脱がないわよ!」と反発する被害者にこ。

「安心してよ。海未ちゃんも胸がちいさいから」

「なんの話ですか!」

「お前ら出ていけ!!」

眉間にシワを寄せた伊丹刑事はさすがに穂乃果と海未を追い出した。

「やれやれ」

「困ったことになりましたね。捜査できませんよ」

「方法はいくらでもあります」

穂乃果の言ってることがわからず海未を目を白黒させた。

「お菓子食べる?」

「食べません。太りますよ」

なぜか海未を見てしくしくと泣く穂乃果だった。

No.5 16/11/09 18:28
小説大好き 

泣いた穂乃果だったが、校内を見てまわりませんかというので海未はしかたなく同行した。この間に伊丹たちがなにか手がかりを得ているかもしれないのに。

「立派な学校だね」

「そうですね。歴史ある由緒ある学校みたいです」

頷き耳にしたのは妙な生徒だった。

「ハイにゃ!」アクロバット!!

「凛ちゃんスゴい」パチパチ パチパチ

ふむ、と頷くと穂乃果はふたりの生徒に話しかけた。こんなことしてるヒマはないのにと海未はおもしろくない。

「これこれ、そこの女子生徒」

「凛に何か用かにゃ」

「実はあたしたちはこういう者なのです」

「け、毛胃察!?」

「警察です。凛ちゃんの誤字だと毛が胃の中にあって見るみたいです」

警察と知っていきなり凛はガタガタ震え始める。蛇に睨まれたカエルのように。

凛 「」ガタガタ

穂乃果 「どうかしましたか」

花陽 「えい」(゜o゜)\(-_-)

凛 「にゃ!?」

凛 「にゃんでもないです」

海未 「むかしのアナログ時代のテレビなみの精密さですか」

凛 「それで何を聞きたいのにゃ」

穂乃果 「実はアイドル部部室のたったひとりのにこちゃんが何者かに背中を踏まれて気絶したの。なにか知らない」

凛 「知らないにゃ!にこちゃんなんて背の低すぎな部長さんなんて」

花陽 「そうです!伝説のアイドルDVD『デンデンデン』なんて見たことも聞いたこともないです」

穂乃果 「そうですか。失礼しました。行きましょう」

海未 「え?ああ、はい」

穂乃果 「ああ、そこのリンリンランランさん」

凛 「凛はひとりっこにゃ!」

穂乃果 「あなたはどこかの部活動に所属していますか?」

凛 「してないにゃ。いまのところ迷っているにゃね」

花陽 「」ウンウン

穂乃果 「そうですか。行きましょううみみくん」

海未 「海未です」

なんの意味があるのか彼女にはなんのことかわからなかった。
高坂穂乃果が変わった上司というのは理解した。

No.6 16/11/10 07:19
小説大好き 

特命係に戻ってきた穂乃果と海未に情報を届けたのは鑑識の米沢。

「実はですね。伊丹刑事らの捜査によりますと伝説のアイドルDVD『デンデンデン』の中身がなかった、とのことです」

「やはりあの中はからっぽだったんだ」

「え」

「持った時にわかりました」

当たり前だな、と思う海未に穂乃果はある提案をする。

「え〜と、植物園だくん」

「園田です」

「園田くんにぜひ頼みたいことがあります。米沢くん例のモノを」

米沢がカバンから出したのは音ノ木坂高校の制服だった。

「キミには潜入捜査をしてもらいたい」

「は」

「は、じゃなくて潜入捜査です。犯人はあのなかにいます」

「な、何を言うんですか。たしかに私は美しいし可愛いらしいですがまだ警察学校を卒業して手柄を立ててノンキャリアながら捜査一課に配属になった一警察官!音ノ木坂の制服が似合うなんて」」

「似合うと思いますよ、米沢くん。ねえ」

ええ、と頷く米沢を睨み海未は一言。

「破廉恥です!」

「まあまあ、穂乃果でもいいけどほのかは顔を知られているし」

「私も捜査に行ったから知られているのでは?」

「たぶんだいじょうぶです。明日からお願いしますが、いまここで着てみる?」

米沢を追い出しながら特命係の一室で音ノ木坂の制服に着替える海未。

「は、恥ずかしいです」

「うんうん、似合いますね。期待してます、いちおう」

妙な言い含みを気にしながら海未は再び私服に着替えて音ノ木坂の制服はそのまま持ってていいと言われ警視庁を後にした。
自宅に帰ると同棲相手の美和子がいた。

「お帰り、うみみちゃん」

「うみみではなく海未です」

「聞いたけど特命係に配属なったんだって」

うん、と頷き座りながら今日一日は疲れたものだ。

「なんでも特命係て警視庁のお払い箱になった人がいくらしいんなんだってね」

「お払い箱になってません!」

ビクッと美和子がびっくりするのを見てゴメンと謝る。

「なんでもみんなあの高坂穂乃果という変わり者にこき使われるとか」

「そうですか」

さっそくこき使われているなんて言えなかった。
明日から潜入捜査におもむくのだ。

No.7 16/11/10 07:38
小説大好き 

音ノ木坂高坂の門の前までやって来た高坂穂乃果と制服の海未。

「あの、本当にだいじょうぶなんですか?」

たぶん、と微笑む謎めいた顔に不安しかない。なんでも理事長から職員室に話は伝わっているらしく職員室に向かうように言われた。

「おう!キミが転校生の園田海未さんか」

「あ、はあ」

「保護者の高坂穂乃果です。うちの娘をよろしくお願いします」

いつの間に保護者ですか、という突っ込みを心でしながら海未は担任に一年生の教室につれていかれ穂乃果はどこかへ行ってしまった。
一年生の教室はひとつしか使われていなかった。そこに昨日見た星空凛と小泉花陽がいた。

「転校生を紹介する。桜大門高校からやって来た園田海未さんだ」

なんですか、その名前は!?警視庁とバレますから!!

「そ、園田海未です。よろしくお願いします」

りんぱな 「」キャキャ

凛 「転校生にゃ」

花陽 「いい子だといいね」

真姫 「ふたりともちゃんとしてよね」

ふむ、凛と花陽は仲がいいようですがつり目な子は一匹オオカミみたいですねと思う海未。
しかしなぜ気づかないですかね。
凛と花陽の側の席になったがやはり気づかない様子だった。

No.8 16/11/10 09:51
小説大好き 

なぜ気づかれないのでしょう、と思いながらもなんともほんわかしたクラスであった。
見たところ凛は元気はつらつ、花陽はやや内気ながらも健気、あと西木野真姫という生徒はちょっとツンデレ気味。でもどこか寂しそう。
やれやれ、潜入捜査というものの穂乃果から具体的な指示はなく一日が過ぎてしまった。
歩いていると弓道場らしいのが目に入り弓と矢を手慣れた生徒たち。
なつかしい、そのむかし私も弓道部の部員でした。
しばらく見つめていると、部長らしき生徒が声をかけてきた。

「あなた一年生のクラスに入った転校生?」

「は、はあ」

「だけど転校したばかりだけど知ってる?この学校は廃校になるらしいの。一年生が一クラスだけだから」

なるほど、廃校になるのですか。つまりは凛や花陽、真姫たちは最後の学年になるんでしょうか。
部長から手を引かれ道場に誘われた。

「やってみない?いいでしょう」

「え、え!?」

なんだかんだで弓矢を持ってしまい構える海未。
じ〜ん。
なんでしょう、とてもいいです……。
弓のしなり具合、矢を持った時の気合い。なんだかあの穂乃果のゆるゆるした雰囲気とはちがいすぎます。
思わず彼女は的に当ててしまった。
一回二回、とほぼ円の内にあて部長や部員からほめられた。

「凄いわ。才能あるわね」

「そ、そうでしょうか」

「あなた弓道部に入らない」

これまた返答に困るのだった。自分は潜入捜査に入っているのに。
部長や部員たちが帰った後に海未はひとり道場に残った。なつかしい雰囲気に浸りたかった。
そして鏡の前に落ち着いた表情から一転にこり♪

「ふむ、海未ちゃんでもそんな顔をするんだ」

「うわあああっ!?」

いつの間にか上司の高坂穂乃果が側にいることに道場に声が伝わった。

No.9 16/11/10 13:44
小説大好き 

「いつの間にいたんですか!?」

「はて?私は校内を散策してたらあなたが弓道場に入るのを見たので……」

妙な沈黙をする穂乃果から急にはしゃぐ声がしたのはその時だ。

「すご〜い!海未ちゃん。弓道ができるんだね」

「は、はあ」

「う〜ん、なんでこんなに弓道できるのに人質になるかな」

「関係ないでしょう!日常的に弓矢を持つのはむかしの武士や狩人くらいです!」

バカにされているのではと思いながらも相手は上司。面と向かっては言えないが軽くチクりと言う。

「校内を散策してたとおっしゃいましたが、変質者に間違われますよ」

「ほ、ほのかはへんたいさんじゃないよ」ウルウル

「わ、わかりましたから。泣かないでください」

扱いに困る上司は昨日の矢澤にこの部室を訪ねるという。
あほなのかマメなのかよくわからない。

「失礼。いいですかエヴァ25号機さん」

「誰が汎用人型決戦兵器よ!!」

「失礼、小沢さん」

「矢澤よ!やざわ」

海未が間にとりなしてなんとか場を落ち着かせる。海未はそういえば、と思い出したように聞く。

「そういえば矢澤さんは一年生の教室にいませんでしたね」

「三年だからあたりまえでしょう!三年!ついでに部長!!」

え、とふたりしてさすがに驚きの顔をする。にこは悪い?みたいな表情で見つめる。

「り、留年してもそんなちいさいままなの」

「してないわよ!入学した時もいまもこのまま!!なんなのよ、こいつ」

「変人みたいですから」

海未はにこをなだめていると保護者のような気持ちを抱いた。

「それよりにこちゃん大魔王」

「ふつうのにこちゃん。なに?」

「『デンデンデン』のDVDの中身が抜き取られたようですが、その時のことを詳しく聞かせてください」

「あの刑事さんたちにも話したわよ」

もう一度お願い、とうるうると瞳に涙を潤ましながらくっつく。
この上司はやっかいですね、と思わざるえない海未だった。

No.10 16/11/10 15:27
小説大好き 

まったくめんどくさいわね、とつぶやきながらもにこはあの日部室になにがあったか話はじめた。

「あの日あたしは放課後、ひとりで部室に入ろうとしたの」

「ひとりで?」

「そうよ。なにが悪い」フン

「海未ちゃんはひとりで人質になったんだよ」

「いま言わなくていいです!!」

話を進めていい?、と断る矢澤にこの話に耳を傾ける穂乃果と海未。

「鍵を開けて扉を開けようとした時だった。部室からにゃあにゃあ言う変な声が聞こえてコソっと開けたら『何々ちゃん!人が来たよ!』『にゃあ!!』と背中を踏まれてそのまま気絶したの。何々ちゃんが誰かはわからないけど」

「なるほど、部室に置いてあるお菓子食べていい?」モグモグ

「なに食べてるんですか!!」

にこ 「本当に警察官?」

警察手帳をあらためて見せる穂乃果、ついでに海未。

「にゃあにゃあですか」

「海未ちゃんはにゃあとは言わない?」

「言いませんよ」

穂乃果は空になったDVDボックスの箱を見つめた。

「穂乃果?なにか」

「からっぽ」

「あなたの頭がですか」

「失礼だよ!海未ちゃん」

他人に失礼なことをしているのに自分に言われると逆ギレする上司に頭がいたくなりそうだった。

No.11 16/11/10 16:13
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海未は穂乃果との捜査に頭を抱えていると部室の外に人影がいるのを見て捕まえた。

「あなた、二十世紀真姫?」

「西木野!」

「え……と、錦絵さん?」

「西木野、に・し・き・の・!なにやってたの園田さん」

じーんと感動した。やっとふつうに名前を呼ばれた。しかしそれを知らない真姫は離れようとするが逃げられなかった。

「」イミワカンナイ

「すみません、言い忘れましたが私はこういう者です」

「警視庁の特命係?聞いたことないけど」

「なんで矢島の、じゃなくて矢口の、え〜とヤジロベーの」

「矢澤よ!や・ざ・わ・!」

部室から顔を出したにこは真姫と顔を合わした。

「新入部員?」

「侵入部員?」

「穂乃果」

「ハイハイ、おとなしくお茶菓子いただきます」

食べない、と海未は上司を見張りにこと真姫はどういうわけか話が進まない。

「新入部員でしょう」

「ち、ちがうわ」ツン

「そうよね。あたしみたいに……」

「ちいさくてそのうち宇宙No.1アイドルの矢澤にこちゃん。またの名をにこちゃんダイオーになって」

「こら!誤解を招くでしょう!」

お茶菓子をいただきながらも本当に捜査をしているのかふしぎで仕方がない。

No.12 16/11/11 06:05
小説大好き 

本庁に戻り制服から着替えた海未は角田刑事と米沢に見られていた。

「ハレンチです!見ないでください」

「まあまあ、海未ちゃんでも見られるんだよ」

「見られたくありません!お先に失礼します」

肩を掴まれて泣き顔になる穂乃果は飲みにいきませんか、と誘ってきた。

「なんで私が!」

「ほ、穂乃果は飲み友だちが角田さんと米沢さんしかいないの」

「いるじゃないですか!?」

「女の子と飲みに行きたいの」

しかたなく美和子に電話して今夜は上司と飲みにいくのを伝えると「気をつけて」とだけ言われた。連れていかれたのは秋葉原の側にある“穂むら・雪穂”と書かれた居酒屋だった

「ここですか」

「うん。まあまあ入って、行きつけだから」

入るといきなり店主は自分たちよりちょっとだけ幼くどこか穂乃果に似ていた女性が一言。いらっしゃいせではなく……。

「バカ姉貴。また来たの。あれ、そちらは?」

「バカじゃないもん。こっちは新しく特命係に入った海田園未ちゃん」

「ん?園田海未です。あのふたりはどんな関係です。バカとかアホとか」

「バカ姉貴って言われるくらい親しい関係だよ。雪穂なにかつくって」

フン、としながらも店主を呼び捨てにしてるのを見ながら美味しい匂いが漂いビールが出された。

「ご苦労さま、潜入捜査」

「は、はあ……」

「特命係はどうですか」

「捜査一課に戻りたいです……」

「ほ、ほのかの何がいけないの」

「高坂さんは、その、悪くないです」

いやいや悪いから、と雪穂はつまみを出しながら見つめた。
また新しい部下が来たんだ、と思った。

No.13 16/11/11 07:44
小説大好き 

料理はちいさくまとまりながらもなかなかの味だった。
しかしふたりの関係も気になり聞いてしまう海未だった。

「なかなかイケます」

「ありがとう」

「つかぬことをお聞きしますが、おふたりの関係は?」

「妹の従姉妹のまた従姉妹で……」

ほぼ無関係ではないかと思った時に穂乃果が一言。

「ひどい!妹じゃないの」

「和菓子屋を継ぐのがいやで刑事になったのに特命部補佐てなによ!窓際姉貴!」

え、とふたつ驚いた。ひとつはふたりが姉妹だったこと。もうひとつは辞令をあらためてよく見ると“補佐”の文字があった。

「姉妹なんですか」

「そうだよ。高坂雪穂、表通りある和菓子屋を継いだ出来た妹」

「補佐てなんですか!?」

ふつうに説明する穂乃果に食いつくように海未は聞くと、さらに驚いた。

「あのね、特命部というのは変人の杉下右京さんが毎回変わる相棒と組んでなんやかんや事件を解決するの」

「知ってます!亀山先輩がいたのを耳にしましたから」

「うん。だけど捜査一課や他の課、そして特命さえ捜査しないのを捜査するのが特命補佐なんだよ」

つまりは超窓際に配属されたとショックを隠しきれなかった。

「なんなんですか!それは!?ああ優秀な私の将来がこんなへんちくりんに左右されるなんて……」

「へんちくりんじゃないよ!」

「こういう姉貴のもとがいやで特命補佐を辞めたひとたちは数知れないとか」

ビールを片手にしながらやってられますか、とグラスをあおる。

「ほ、ほのかわるくないもん!」

「そうなの姉貴」

とんだところに配属されたと思いながら飲み終えて店を出た。
配属祝いということで穂乃果のおごりと思ったら妹にツケにしていた。なんて上司だ。

「ごちそうさまでした」

「いやいやいつでもツケにしていいよ」

こら、と雪穂の声が扉の向こうから聞こえた。

「失礼します」

「え〜、帰っちゃうの。ほのかん家にお泊まりしないの?」

「しません。仮にも上司と部下です」

失礼しました、と帰ろうとすると穂乃果は足にしがみついてにぱあと笑みをした。

「海未ちゃんはいつまでも穂乃果の部下だよ」

変人にまとわりつかれたと思い家路に着いた。

No.14 16/11/11 10:15
小説大好き 

翌日、警視庁にいくと前から伊丹たち三人がやって来た。言うまでもなく嫌味だった。

「よぉ、もと捜査一課の zoo sea 刑事」

zooは動物園、seaは海。
動物園だ海と言いたいらしい。

「」フン

「おやおや特命補佐になった途端に無視ですか。ツンデレ?」

「ちがいます!イヤミ刑事」

「シェーッ!て誰がイヤミだ」

イヤミのポーズをしてる伊丹を見ながらほくそ笑みながら特命補佐に向かった。

「あんのヤロー、亀そっくりだ」

ふたりの刑事がなだめながら伊丹は捜査一課に向かい海未はあらためて見ると生活安全課の奥に『特命係』とありさらにその隣にちいさく『特命係補佐』とあるのに気づいた。
角田刑事が「お、来たかと挨拶したので挨拶を返した。

「おはようございます。あれが特命係ですか」

「やっと気づいたか。人材の墓場は杉下右京、人材の墓場もどきの高坂穂乃果なんだな。これが」

もどきとはなんですか、と聞くになれなかった。『補佐』の中を見ると昨日、穂乃果が食い散らかしたままであり本人はまだ来てないと思った途端に姿を現した。

「セーフ!間に合った」

「上司が部下より遅いとはなんですか!昨夜はあのあと何をしてたんですか」

ガミガミと海未に朝早くに叱られながら『特命係補佐』に入っていくふたりを杉下右京が紅茶片手に見ていたのを知らない。

「ひ〜ん、海未ちゃん。わたしは上司だよ」

「どこが上司ですか!昨日、わたしは警視庁のデータベースにアクセスしたら年齢はいっしょ!ほぼ同期ではないですか」

「ほえ、同い年」

「それに人材の墓場もどきというあだ名を角田さんから聞きましたよ」

「もどき?穂乃果はパチものでも偽者でもないよ」

そういう問題ではないが“人材の墓場もどき”とは何なのか。疑問しかなかった。
それはともかく音ノ木坂高校の事件の捜査をするのだった。

No.15 16/11/11 11:20
小説大好き 

「実はわたしには容疑者の疑いがある者が二名います」

オオッ、と穂乃果はハイハイと手を挙げた。ここは教室ですか。

「ハイ、高坂穂乃果さん」

「ほ、ほのかと呼んで」テレテレ

「ほ、穂乃果……」

「実はわたしも容疑者の目星はついてるんだよ」

思わずむっとにらみたくなる。こんなアホ乃果になにができるかむしろ聞きたくなった。
答えてみてください、とつい答えをうながしたのがいけなかった。

「私はまずあやしいのは海未ちゃん」

「は?」

「私の推理はこうだよ。海未ちゃんが警視庁の屋上からにこちゃんの後頭部を矢であて気絶。そして『デンデンデン』の中身だけ抜き取り逃げた」ドヤ

「ちなみに犯行時間に私はあなたのそばにいました」

そうだった、とすっとぼける穂乃果は次の推理を言い出した。まだあるんですか。

「あやしいのは西木野真姫ちゃん」

「は?」

「真姫ちゃんはにこちゃんが好きでたまらないので気を引こうとして『デンデンデン』をとったんだよ」

「……ありえません」

「海未ちゃんこわい」

穂乃果の推理は的はずれすぎてむしろこわいものがあった。こわいのはあなたです、穂乃果と思う。

「私の推理を聞いてください」

「寝ちゃダメ?」

「あなたの話を聞いたから私の話を聞いてください」

うんうん、とうなずく穂乃果はお茶菓子を用意しながら聞く準備はできたようだ。

「私の分は?」

「海未ちゃんほしいの?」

「上司だからて。まあいいでしょう。先に推理を発表します」

「いただきます」

「私の推理はこうです。犯人はふたり組です。ひとりは運動神経抜群、ひとりはアイドル好きの生徒。アイドル好きが運動神経抜群を籠絡したか言いくるめたかはわかりませんが、にこが部室に入ろうとした時に運動神経抜群の生徒が背中を踏んで気絶させたと思います。そしてアイドル好きがその隙に『デンデンデン』を奪い逃走……」

「その容疑者の名前は?」

「星空凛、小泉花陽です。わかりましたか」ドヤ

海未の推理を聞いた穂乃果は食べて満足して居眠りしてました。

「起きなさい!」

「起きたよ」

No.16 16/11/11 13:07
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「とにかく逮捕礼状を取りにいきますよ」

「待ってよ」

穂乃果と海未が特命係補佐室を出たところを杉下右京が声をかけた。

「園田海未さんですね」

「ああ、はい。園田海未です!熱中○代に刑○貴族、地方記者立○○介です!?」

「ん?海未ちゃんあたまだいじょうぶ」

「私は杉下右京です」

「ほのかだよ」

「知っています。いつも私が解決できない事件を解決していただき高坂穂乃果さんには感謝しています」

なんですと!?、あの杉下右京がこのアホ乃果に感謝してるなんてありえません!なにかの間違いです!
海未の気持ちをよそにさらに右京は意外なことを言い出した。

「先ほど隣からあなた方の推理をうかがっていましたが、園田海未さん」

「ハイ」

「高坂穂乃果さんの推理を甘くみてはいけません。今度、お茶を飲みにきてください」

失礼、と右京はカップを手にしたま隣の特命係に姿を消した。
あまりな発言に海未は穂乃果をキッとにらんだ。

「た、逮捕礼状取りにいくんだよの」コワイヨ

「行きますよ」

裁判所に逮捕礼状を取りに行き再び音ノ木坂高校に入る。
果たして事件の真相は?

No.17 16/11/12 06:04
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音ノ木坂高校アイドル部部室に集められたの被害者にこ、容疑者星空凛と小泉花陽そしてなぜか呼ばれた西木野真姫。

「西木野さんは関係ないんじゃないの」

「まあまあ穂乃果にまかせなさい」

「なんと園田さんが刑事だったにゃ!?」

「あわわ、ど、どうしましょう!」

「おもいっきり動揺しています」

「な、なんなの。関係ないのに」

アイドル部部室は一躍、学校内で注目を集めることになった。

「さて、にこまんじゅうさん」

「にこね。まんじゅうはなしで」

「にこさん。あなたは部室に入ろうとしたところを」

「穂乃果、そこからは私の推理です。取らないでください」

はーい、と返事はいい。海未は自分の推理を語る。

「にこが部室に入ろうとしたところをにこは何者かに背中を踏まれ気絶。そしてふたりの生徒の声


「し、知らないにゃあ」

「凛ちゃんシー!」

「ふふふ、すでに自分で犯行を認めましたね凛に花陽」

「な、なにを言うんです!あたしも凛ちゃんも『デンデンデン』のDVDは知りません」

「あなたたちは私と穂乃果が聞いた時に『デンデンデン』のことはなにも言っていないのにすでに知っていました」

「あ……」

そう、すでにあの時に凛と花陽は自分たちでしゃべっていたのです。

「あんたたちが犯人だったのね!返しなさい『デンデンデン』!」

「にゃ!にゃあ!」

「凛ちゃんは知らないにゃあと言っています。実はあたしたちはたしかにDVDは盗りました。だけど気づいたらDVDはあたしたちの手元からなくなってました」

「本当ですか?」

「本当です」

「よし、ふたりの家を角田さんと米田さんに見てもらおう」

「なぜあのふたりを行かせるのですか!おっさんふたりが女子高生の自宅を……ハレンチです」

しばらくして電話がかかり角田刑事と米田からの連絡によると『デンデンデン』はなかったという。


「帰っていいかしら」

「まあまあマッキントッシュちゃん」

「真姫よ」

「どういうことですか。ふたりの自宅からはDVDがないなんて」

「穂乃果の推理の見せどころだよ」

にこに出されたお茶菓子を頬張る穂乃果は自信があるようだった。

No.18 16/11/12 07:12
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ふふふ、と穂乃果は微笑みながら推理を語る。

「凛ちゃんとぱなよちゃんはたしかににこちゃんを気絶させ『デンデンデン』の中身を奪った」

「花陽です。ぱなよではなく」

「ふたりはDVDの中身を奪ったまではよかった。しかしなにかアクシデントがあったのではないですか」

「そ、そうにゃ。奪ったんだけど途中でお腹が空いて」

「ラーメン屋さんとゴハン屋さんに寄っていたらいつの間にかDVDはなかったの」

真姫はフンとしながら腕を組んでいた。なんとあの穂乃果の推理が当たっていたなんて、いやまだわかりませんと思う海未は耳を傾けた。

「どこやったのよ」

「まあまあ八嶋にこちゃん」

「矢澤!」

「凛ちゃんと花陽ちゃんはDVDをたぶん教室のどちらかの机に置いたのでしょう。しかしそれをニシンの真姫ちゃんは見ていた」

「ニシンでもないし」

「真姫ちゃんはそれが『デンデンデン』というのを知っていたのです。しかし鞄や机のなかに入れてはバレてしまいます。持ち物検査があったら先生に取り上げられると思ったのです」

「なるほど。西木野真姫逮捕です」

待ちなさい、と海未を制する穂乃果。にこは真姫を見つめる。
穂乃果は驚くべき推理を続ける。

「ふたりが食べている間に彼女は思いつきました。よしお腹に入れちゃえ、と。ということでDVDは彼女のお腹にあるのです」

「な、なに言ってるのよ。イミワカンナイ」

ふふふ、と笑みする穂乃果はさらにとんでもないことを言う。

「西木野さん、あなたの家は総合病院でしたね」

「な、なによ」

「実は私はあなたが夜の睡眠中にご両親に断りあなたを画像診断させていました。いまごろは伊丹刑事たちが診断書を取りに行っているでしょう」

穂乃果の言う通り伊丹刑事たちが診断書を持ってきた。

「高坂警部殿、我々は忙しいんですよ。診断書はこれです」

「おお!ありがとう。イタミン」

「イタミン言うな!」

診断書と画像のコピーを見せると、真姫の腹部には円形の物体が三枚あるらしいだった。

にこぱな 「『デンデンデン』のDVDが……」

凛「すごいにゃ」

「で、でも動機はなんですか、穂乃果?」

推理を語りすぎたのか穂乃果は寝ていた。

No.19 16/11/12 07:51
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「起きなさい(起きろ)!!」

「ね、寝てた!?ほのかは推理しすぎると寝ちゃうんだよ」

「なんなんですか。それより真姫の動機はなんですか?」

穂乃果はお茶を口に入れるっあまりに渋すぎて海未に吹いた。

「なにするんですか!?」💢

「お、お茶が渋すぎてつい……」シクシク

「とにかく動機を語ってください」

「煮汁の真姫ちゃん」

「西木野!」

「真姫ちゃんは実はちいさい先輩のにこちゃんが好きで好きでたまらない。だけどツンツンな性格が災いして友だちができず悩んでいた。だけどたまたまアイドル部の部長がひとりなのを知って恋をした。でも仲間に入りたいけど入れない。そんな時に凛と花陽ちゃんの犯行を知ったんだよ。そしてにこちゃんの匂いが染み付いたDVDをお腹に入れることでにこちゃんと一緒でいたいと思ったんだよ」

「……」ツン!

「そうですよね西木野さん」

「そ、そうよ!にこちゃんとお友だちになりたくて思わずしてしまったの!」

「スゴい、あたりました」

「星空凛、小泉花陽、西木野真姫を窃盗の容疑で逮捕する」

「伊丹さん、なに横取りしてるんですか」

まあまあ、と穂乃果は海未をなだめる。せっかくの手柄が横取りされると思った時だった。真姫がお腹を抱えて痛がった。

「真姫ちゃん!」

「い、いたい……」

「う、産まれるの!?真姫ちゃんとにこちゃんのこどもが」

『なんでよ!!』

海未は手早く西木野総合病院の救急車を呼んで手術を頼んだ。
手術は比較的かんたんに終わり真姫のお腹からDVD三枚出てきた。

「う、産まれたんだ。サンコンちゃん、ヨンコンちゃん、ゴコンちゃん」ジーン

「勝手にDVDに名前をつけないでよ!」

「にこちゃん」

「なによ」

「真姫ちゃんが罪を償ったらお友だちになってあげてね」

う、うんとうなずくにこを見て花陽はいいなと呟く。

「か、かよちんも罪をを償ったらお友だちに、いいえアイドル部に入れてあげてほしいにゃ」

「り、凛ちゃん」

「かよちんはアイドルが好きだにゃ。きっとにこちゃんをチャイドルに扱うにゃ」

「」オイ

まきりんぱなの三人は罪を償うと約束してにこの前から去っていった。

No.20 16/11/12 11:15
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納得しない風な表情をしながらも高坂穂乃果の推理はみごとだった。

「」ホメテホメテ

「甘えないでください」

「ほのかがかわいいから?」ウルウル

「どういう理屈ですか」

警視庁に戻り特命係補佐に入るところを杉下右京とその相棒らしき男性が見ていた。

「今度、お茶をいただきに参ります」ケイレイ!ペコリ

「まじめだな海未ちゃん」

「あなたが不真面目なのです」

そんな会話をよそに特命係補佐に入ると、米田がにやにやしていた。

「穂乃果くん穂乃果くん」

「なんだい米田さん。嫁に逃げられて今度は海未ちゃんを嫁さんにしようとするつもりかい?」

なんですと!?、海未は心の内で驚愕した。鑑識の仕事は立派と思いますが中年の鑑識のお嫁さんになるつもりはまったくないのに。
ところが彼は海未が今回の潜入捜査で使った音ノ木坂の制服を手にして言う。

「いえいえそれはもちろんですが、園田くんが使用した制服をください」

「ハレンチです!」

海未が手にした弓がしなり矢が飛び米田をかすめた。あまりのことに米田は恐怖に震え少し顔を赤くしながら逃げていった。

「う〜ん、あれは海未ちゃんに惚れたね」

「な、なんでですか!?」

「それより矢で壁に突き刺さった穴の修理費はキミの給料から引いておきますね」

「え」

「え、じゃありません。我々特命係補佐も警官です。国民の血税でまかなわれているのですよ」

「わ、わかりました」

「報告書を書いてから帰ろうね。海未ちゃん」

「くぅ〜」

「あ、そうそう凛ちゃん、花陽ちゃん、真姫ちゃんは罪を償ったらアイドル部に入るんだったね。どんなアイドルになるのかな」

「知りません」

「堅物」

なんともぎくしゃくしながら特命係補佐の最初の事件は終わった。
高坂穂乃果、和菓子屋の長女ながら警視庁特命係補佐という変わった部署にいる彼女。
報告書を書きながら海未は刑事の勘が無意識に働いていた。

「も、もしかしてほのかに惚れた?」

「報告書を書いてください!」

隣では杉下右京と相棒が笑みをこぼし角田刑事たちも興味ありげに見ていた。
次回、どうなる特命係補佐!?

No.21 16/11/18 15:59
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その日、もと捜査一課に所属しいまは特命係補佐に所属している園田海未は早朝3時からジョギングをしていた。
彼女はその気になれば遠くは奥多摩、時には23区までまわってから出勤するのだった。恋人の美和子は別れることをしばしば考えていた。
この日も海未は汗をかきながら路上を走っていると、すれ違ったひと共に倒れているひとを見かけた。

「きみ、きみですよ」

「わ、私ですか」

妙に上から目線な若い母親と同い年くらいの女性に呼び止められ海未はそばにひとが倒れているのに気づいた。

「これは警察に通報した方がいいです」

「は、はあ……」

「だけど私が側を通ったことは言わないでください。ややこしいことになるかもしれませんから」

え、とつぶやく間に女性の姿は路上から消えていた。しかし本庁に連絡しないわけにはいかなかった。
よく見ると倒れていたのはこの前の事件の被害者矢澤にこのようであった。

「ためしにつついてみましょう」

「…」

「なぜ動かないのでしょう」

「……」

「ちいさいからでしょうか」

「」💢

そんなにこの様子をよそに捜査一課のトリオたちと鑑識の米田たちがやってきた。

「特命係の堅物園田。なにしてんだ」

「わ、私が第一発見者なんですよ」

「つまりは早朝ジョギングをしてたら被害者を見つけたと」

異常に理解が早い米田であることに海未は軽く引いた。ハレンチです、とちいさく呟いた。

「おい、このガイシャはこのまえのちいさいのじゃないか」

「あ、アイドル部の女の子」

若い三浦刑事はちょっと興味があるようだった。

「死んでるのか」

「わかりません。だから呼んだんです」

伊丹たちはためしににこの身体をこそばしてみた。するとぴくぴくと動き出してついに喚いた。

「ぬわにすんのよ!」

「やはり生きてましたか」

「ですが、仮死状態や冬眠をしてた可能性もあります」

驚く海未に米田はさりげなく仮説を立てていた。伊丹たちは事情を聞いた。

「なんで道端に倒れていた?」

「う〜ん、おぼえてないわ」

「まったく役に立たないガイシャです」

「しかたないでしょう!おぼえてないんだから」

にこをよそに穂乃果が歩いてきた。

No.22 16/11/18 17:47
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「園田くん、園田さん、園田ちゃん、海未くん、海未さん、海未ちゃん、うみみくん」

「なんですか!ひとの名前で遊ばないでください」

「ほ、穂乃果は海未ちゃんと親しくなりたくて考えた呼び名なのに」ウルウル ウルウル

本当に面倒くさい上司だな、と海未は早朝のなか思った。

「す、好きなように呼んでくださっていいですから」

「ツンデレだろ、こういうの。三浦」

「ええ」

ちがいます、と海未は伊丹たちを見ながら何故か事件現場より彼女を撮影する米沢を睨みつけた。

「じゃあ海未ちゃんで」

「ちょっとあたしのことはどうなったの!」

穂乃果はいま気づいたようににこに目をやり名前を口にする。

「家探しにこちゃん」

「家を探してる迷子か」

「やぶさかにこちゃん?」

「や・ざ・わ・!やぶさかなのはあんたでしょう!」

にこも海未と同じでこの変な刑事が苦手であった。すると、穂乃果はあることに気づいてにこの頭に触れた。

「いたっ!?なにすんのよ」

「米沢さん、にこちゃんの頭にたんこぶがふたつほどあります」

どれどれ、と米沢がにこの頭に触れるとたしかにふたつほどたんこぶがあった。伊丹たちが勇んで聞く。

「誰にやられた!?」

「知らないわよ!気づいたら頭を叩かれてみたいだし」

「役にたちませんね」

「あんたが言うな」

にこは穂乃果を睨みつける。思い出したように海未は穂乃果に聞く。

「こんな早朝になにをしてたんですか」

「ほ、穂乃果は夜眠れなくてコンビニでジ○ンプやサン○ー、マ○ジン、コロ○ロ、なか○しとか立ち読みしてたの。え、えっちな本の棚にはいってないからね!」

「なんの話をしてるんですか!!」

一晩中、秋葉原界隈のコンビニで立ち読みしている特命係補佐の高坂穂乃果の新たな一面を知って清々しい朝ににこは発見するわ伊丹たちや米沢、そして穂乃果に囲まれうんざりする。

「米沢くんにこちゃんを鑑識に」

「警部殿、事情聴取が先です」

「勝手に鑑識に持っていかれるとこだったわ」

にこはとりあえずパトカーのなかで事情を聞かれた。
穂乃果はにこが倒れた現場で犬のようにしゃがんでなにかしていた。

「犬ですか。このひと」

No.23 16/11/18 21:38
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「いやいやこうしてたらにこちゃんの気持ちがわかると思って」

「わかりましたか?」

「わかりません!」

犬のように寝転がっていた穂乃果はきっぱりと言う。あまりのあほさにこの人がなぜ自分の上司かわからない。

「相変わらずアホなのね」

「アホじゃないもん」

事情聴取を終えたにこに子どものように言い返す穂乃果にあきれる。

「それよりにこちゃん」

「なによ?」

「出勤時間までほのかを家で居眠りさせてくれない」

「アホですか!仮にも警官なんですから」

「ほ、ほのか眠たいの」シクシク シクシク

「わかりました!私の家、いや納屋、いえ物置でよかったら」

「も〜の〜お〜き〜!?」

穂乃果のわがままな声が早朝の音ノ木坂に響くので海未はやむなく引っ張って帰っていった。

「やれやれ、警部殿には困ったものだ」

「可愛いですよ。高坂警部補」

三浦、と怒鳴る伊丹であった。
にこはついでに米沢に鑑識で見てもらうことになった。

「なんでよ!?」

「高坂警部補殿に頼まれましたので」

「これから朝ごはんを作らないといけないの!」

「なら、その後で」

米沢がニヤニヤしながら言うのが嫌だったが警察の捜査に協力しないとならない。
いったん家に戻り弟妹たちに朝ごはんをつくり団欒をした後、学校に断り警視庁の鑑識課に向かった。

「ロリコン、米沢さん?」

「ちがいます!私は園田刑事が好きなのです」

鑑識課でたんこぶにある犯人の痕跡を分析する米沢をアブナイとにこは思った。
その頃、穂乃果は園田家で布団を貸してもらい仮眠していた。

「なぜ、私の家で警部補が寝ることになってるのか」

頭を再び抱える海未であった。

No.24 16/11/19 07:05
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美和子と穂乃果のとのことでひと悶着を起こしながらようやく本庁へ出勤した穂乃果と海未を角田刑事が見つけ声をかける。

「おはよう、暇か」

「貧乏暇なしです。このあほ乃果のせいで」

「あほじゃないもん!」

ぐっすり寝たのか穂乃果はやけにはっきり声に出す。角田は思い出したように彼女たちの特命係補佐を指に示す。

「そういえばお前さんたちにお客さんが待っているぞ」

お客さん、とふたりは目を合わしながら向かうとそこには頭にとさかのような髪型をした少女がいていきなり穂乃果に抱きついた。

「ほのかちゃ〜ん♪」

「こ、ことりちゃん!?」

ふたりは旧知の仲のようで海未は戸惑いながら見つめていると、穂乃果は説明した。

「こ、こっちは幼馴染みの南ことりちゃん。たしかことりちゃんは官僚になったんじゃないの?」

「うん、いまは大臣官房府所属だよ」

な、なんと大臣官房府という肩書きに海未は再び清々しい朝から寝覚めが悪い気分になりかけた。

「それよりことりちゃんはなんでここにいるの?」

ことりはもじもじとしながら事情を口にした。言ってはならないことを。

「あのね、穂乃果ちゃんたち特命係補佐の調査をするように言われたの。それと穂乃果ちゃんの素性や経歴とかを」

「それは言ってはいけないのでは?」

思わず口を挟む海未。するとことりは紹介して、と穂乃果の袖を掴む。

「あ、忘れてた。こっちは捜査一課を干された園田海未ちゃん」

「干されてません!」

よろしくね、と海未とことりは握手した。
それにしても海未は穂乃果が官僚から調査をされる存在なのか疑問に思った。
その頃、にこはまだ米沢からたんこぶにあるかもしれない犯人の痕跡を辿られていた。

「海未刑事と親しくなるにはどうしたらいいでしょうか」

「知らないわよ」

「やはり穂乃果くんみたいにあほになる以外ないでしょうか」

「まああほだけど。ていうか、たんこぶでしょう!いつまで触るのよ!いたいのよ!」

「いま伊丹刑事たちが捜査をしていますから」

伊丹たちが容疑者を上げたのは朝の九時頃だった。

No.25 16/11/19 08:16
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伊丹たちは会議室で容疑者の名前を挙げていた。

「容疑者はこの二名。絢瀬絵里と東條希」

「が、外人の女子高生か」

「いやハーフらしいぞ。てなにを聞いてるんだ。ん?」

なるほど、とメモをしていた穂乃果と海未、そして見慣れないとさか型の髪型をした少女がいるのに気づいた。

「警部殿警部殿」

「ほのかと呼んでイタミン♪」

「呼ぶか!また捜査会議にまぎれやがって。それより海未はともかくそちらは?」

「南ことりです!大臣官房付所属の官僚だよ」

官僚の言葉に捜査一課トリオや他の者たちはおののいた。

「ほのかは?」

「相手されてませんね」

「むっ」

「まあとりあえず情報は手に入ったからいきましょう」

ハイ、とことりがやけに素直すぎなことに海未は訝しい思いがした。
素直すぎ?ただアホの穂乃果が好きなだけ?
そもそもこんなアホ乃果が官僚から調査を受けるのがあやしいと思った。もしかして自分がにこを発見したもうひとりの発見者を探しているのでしょうか?
るんるん気分で穂乃果は米沢のもとをおとずれた。

「にゃこちゃんあたまだいじょうぶ?」

「にこよ!あんたの方があたまどうかしてるの」

「こ、こわいよ」

「なにかわかりましたか?」

米沢の説明によるとたんこぶの痕跡は主にふたつ。それぞれ異なる鈍器のようなもので叩かれたらしいと言う。ことりを見つけた米沢は即座にアブナイことを口に出す。

「ケッコンしてください」

「え!?ええ」

「なんなの、これ」

「さあ」

海未とにこはなげやりになるような表情のままあきれた。
しかし、ことりは穂乃果を見て言う。

「ほ、穂乃果ちゃんが好きだから!ごめんなさい!」

あっさりフラレた米沢は瞳に涙をためながら海未を見つめて言う。

「じゃあ園田刑事で」

「じゃあてなんですか!?じゃあて!」

ヒステリックになる海未ににこだけは同情の瞳で見ていた。
穂乃果はにことの結婚にひとりドキドキしていた。

「ほ、穂乃果ケッコン?」

「うん」

「あほですか!!それより捜査ですよ」

鑑識課から海未の声が響いた。

No.26 16/11/19 14:15
小説大好き 

「また潜入捜査ですか」

穂乃果、海未、ことりの三人は音乃木坂高校にいた。穂乃果と海未は二度目、ことりはまじまじと見つめ聞いた。

「潜入捜査?」

「この前、海未ちゃんを潜入捜査させて捜査したんだよ。そしたら見事に穂乃果が事件を解決したの」ホメテ

「うわ〜!すごいさすが穂乃果ちゃん」

「(ほめることですか?私は無駄なことをやらされたんですよ)」

つぶやく海未をよそに穂乃果とことりは学校に入っていき海未もついていった。
向かったのは生徒会室。容疑者は生徒会長と副会長であるらしく扉から声が聞こえてきた。

「認められないわ。書類に記載事項が抜けているからやり直し」

「まあくじけずにがんばるや」

そんな声が聞こえながら扉が開いて女子生徒が吐息を落としてすれ違う。よろしいですか、と穂乃果ははじめは礼儀正しいのだが今後は不安になる海未であった。

「あのあなたは?」

「警視庁特命係補佐の高坂穂乃果」

「おなじく園田海未」

「南ことりだよ!」

「特命係補佐?聞いたことないわ」

グサッ、と三人のか弱い胸に容赦ない矢が刺さる。ムカつきますね、と海未はこめかみを震わす。そこへ側にいる副会長がまあまあとなだめる。

「警視庁特命係補佐か。ウチらになんか用なん?」

穂乃果はここの女子生徒の矢澤にこが何者かに殴打され気絶した事件のなかアリバイのないが絵里、希であると説明した。

「深夜十二時から三時まであなたはなにをしてましたか」

「寝てたと思うけど」

「ウチもや」

たしかに学生だから深夜に眠るのは当たり前だ、と思う海未。
しかし、穂乃果はしつこい。

「まずは絢瀬さん、どんな布団もしくはベッドで寝てましたか」

「え〜と、花柄の羽毛かしら」

「次に希さん」

「スピリチュアルな柄かな」

「なんの質問をしてるんですか!!ひとの寝る布団やベッドを聞いてどうするんですか」

すぐに海未はキレた。事情聴取をしてるのに、と穂乃果は言い訳じみてるようだ。

「じゃあ気を取り直して。ふたりの寝巻き姿は」

「あたしはふつうにパジャマかしら」

「ウチはネグリジェかな。ちょっとかわいいねん」

「そうなの」

これではガールズトークである。

No.27 16/11/19 15:31
小説大好き 

「なにガールズトークしてるんですか!?」

「ま、待ってよ。これからが本番だよ」

「頑張って」ハノケチェン!

穂乃果はふたりを見据えるように見つめて聞いた。

「ふたりのご趣味や特技は?」

「バレエかしら。途中で挫折したけどUTX学園のA-RISEはあたしからしたらまだまだだけど」

「キツいなえりち。ウチはスピリチュアルなカード占いや!」

「おお!?バレエに占い」スゴイ!

どう見てもにこを殴打するにはバレエやカード占いでは不可能ではと思うのだが。
穂乃果の質問は続く。

「ちなみにふたりのスリーサイズは?」

「なにを聞いてるんですか!帰りますよ」

「ま、待って!海未ちゃん!ちなみににこちゃんの身長はこれくらいでしょうか?」

穂乃果が親指と人差し指でまるでつまむようにした。それではにこはアリくらいである。

「いえ、もう少し身長はあったかしら。小学生くらいはあるわよ」

「いやいや中学生くらいはあるわよ」

なるほど、とうなずく穂乃果を海未はあきれことりはまじまじと見つめる。

「あともうひとつ」

「もう帰りますよ!穂乃果」

「ガールズトークをする時はまぜてね」

なんですか、と海未はブチギレ寸前になりながら穂乃果を生徒会室から引っ張り出しことりは慌てついてゆく。

「なんなんですか!?あなたは真面目に捜査してますか」

「してるよ」

「さすがは穂乃果ちゃんの捜査はスキがないよ!」

「なにほめてるんですか!」

ブチギレている海未の側を捜査一課の伊丹たちが嫌味たらしく見つめている。

「なに勝手に捜査してるんですか」

「伊丹さん」ウルウル

「泣いてもダメです。我々が来る前に捜査して」

「もう終わりましたから」ニコッ

やれやれ、と伊丹たちは生徒会室に入っていき海未に一言こぼす。

「かたぶつの海未、上司の面倒くらいちゃんと見ろよ」

バタン、と扉が閉まるなか私だって好きでしているんじゃありませんと言うのを堪えた。

「ほのかちゃんお茶していく?」

「その前にもう一回にこちゃんに話を聞きたいかな」

むっとしながらもにこがいるはずのアイドル部部室に向かった。

No.28 16/11/20 10:01
小説大好き 

「にこちゃんいる?」

いるわよ!、と扉の向こうから声がして入る三人。キョロキョロする穂乃果さらにことり。

「いないよ」ナデナデ

「いたっ!」

「にこちゃんさん」ナデナデ

「いたいいたい」タンコブ!

「声はするのににこちゃんが見えないよ」

「本当だね」

「います!ちゃんと部室の椅子にいますよ!」

海未の声でようやく部室の上座にあたるところにいるのに気がつく。

「ひとのたんこぶにぬわにすんのよ!」イタイシ!

すると穂乃果は何かを思いついたように指を立てる。

「いまのことから察するににこちゃんは何者か、つまりは二回叩かれたか複数の容疑者にやられたと思うよ」

「さすが穂乃果ちゃん」

「わかりますよ。それくらい」

海未の生意気な口に穂乃果は頬を膨らましておもしろくなさそう。にこが口を挟む。

「何しにきたの?たんこぶを触りに?」

「それもあるけど。アイドル部は相変わらずひとりなんだね」

「ほっといてよ」

「凛ちゃん花陽ちゃん真姫ちゃんはいまは罪を償っているから」

「どんな?」

ことりは興味ありげに穂乃果を見つめる。

「凛ちゃんはラーメンだけ食べて世界一周、花陽ちゃんもお米だけ食べて世界一周」

「」ラーメンニャ

「」ゴハンデスヨ

「ふたりはいっしょ!!」

「真姫ちゃんだけは毎日、男性芸人の健康診断チェック。ちなみにはじめは梅宮辰夫の物まねのロバート秋山さん」

「梅宮辰夫です!」

「ヴェェ!なんであたしだけ毎日、オトコばかりなのよ!イミワカンナイ!」

「なにをやらせてるんですか」

にこはあきれてものが言えなかった。

No.29 16/11/20 12:42
小説大好き 

「にこちゃん」

「なによ」

「乗り物料金は子ども料金なの?」

「なあんんんの話よ!!」💢

さすがに海未は間に入り止めるしかなかった。

「穂乃果、ちゃんと捜査をしてください」

「してるよ」ブツブツ ブツブツ

穂乃果の捜査は行き当たりばったりか思いつきでしてるしか見えなく不安しか感じさせない。

「仮にも警官なんですから」

「穂乃果ちゃんに惚れるひとはいくらでもいるよ」

「いませんよ」

肯定と否定のことりと海未である。にことしては後者であった。

「なんの捜査をしてるのよ」

「あ、それそれ。にゃんこちゃんは……」

「にこ!宇宙No.1のにこ!」

「ギネスブックに載るくらいのにこちゃんは生徒会長さんと副会長さんは知ってるかな?」

知ってるわよ、と意味なく胸を張るにこであった。なんかかわいい。

「どんな感じかな。にこちゃんは」

「そうね、絢瀬絵里は生徒会長で堅物で融通が利かない」

「ふむふむ」

「副会長の希はなんかスピリチュアルがどうのこうのとか。あとムネがむやみに大きい!」

納得、と三人はそろって頷いた。あんなおムネはそうそうない。

「にこちゃんはふたりに恨みはない?」

「ないわよ!」ガアア!!

怒り猛るにこのオーラは部室から黒いものが出ていた。
う〜ん、と穂乃果は推理をしていた。
海未は不安だが、ことりはにこにこしていた。

「ぬわんなのよ!」

「にこちゃんは恨みを買いそうなのに」

ドキッ、とにこのちいさいちいさいちいさいムネの奥にある鼓動が激しくなった。

「何回ちいさいを繰り返すのよ!!」

「まあまあ」

なんとなく穂乃果だけでなくにこの保護者にもなった海未である。

No.30 16/11/20 16:18
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「にこちゃんお菓子ない?」

「あるけどあんたにはあげないわよ!!」ガアア!!

「穂乃果、にこは被害者なのですよ。穏便にしないといけません」

わかったよ、と不満をつぶやく穂乃果をみてことりがバッグからマカロンを出す。

「これでよかったら?」

「おお!?マカロンだ。ありがとう!美味しい」

「なんで穂乃果を甘やかすのですか」

ことりはキョトンとしながら海未やことりにもマカロンをあげた。

「ありがとうございます」

「れ、礼なんて言わないからね」

もぐもぐと食べなから穂乃果はにこに笑みを見せる。

「ぬわんなのよ!」

「にこちゃん、ほんとあのふたりから恨み買ってない?」

「穂乃果!」

海未の叱る声に室内は沈黙する。仮にもにこは被害者なのだ。
あたまにあるたんこぶはそれを物語っているのだ。
帰りますよ、と海未は穂乃果の手を引いた時だ。にこはぽつりと告白をした。

「ま、待って!」

「屋島のにこ、拙者に何か用か?」

「時代劇ですか」

イライラと海未に募りながらとっさにことりは海未とにこにマカロンを再び与える。穂乃果ちゃんたら、とことりは甘えるようにつぶやく。

「実は絵里と希に嫌がらせをしたことあるの」

「なぜ言わないんですか」

まあまあと穂乃果が微笑む。これでは前回の事件と逆である。

「どんな嫌がらせ?絵里ちゃんのお弁当を日の丸弁当にしたり希ちゃんの体操着をわざとサイズをちいさいものにしたり?」

「あほですか」

「まあそんなものね。正しくは絵里にわざとわかんない難しい日本語を教科書にいたずら書きしたり希には吉本興業か松竹芸能の紹介状を机に置いたり」

「それはいいことなんじゃないかな?」

あの希という少女は芸人体質であるようにことりには見えた。
穂乃果は事情を聞く。

「なぜそんなことしたの?八嶋智人と高橋克実とタモリのトリビアの泉」

「誰がトリビアの泉よ!」

穂乃果はいちいち話題を脱線させる困り者だ。

「実はアイドル部に部員が入らないのはあのふたりに一度二度三度と勧誘したのに無視されたからよ」

「しつこいにこだったんですね」

海未の言葉に穂乃果ことりも頷く。納得するには充分だった。

No.31 16/11/22 19:52
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穂乃果、海未、ことりは特命係補佐に戻ってきた。

「しかしあのふたりにはアリバイありますよ穂乃果」

「有田哲平?」

「くりぃむしちゅーですか!!」

ことりが間に入ってふたりをなだめる。

「穂乃果ちゃんはふざけているように見えて真剣なんだよ」

「どこがですか」

う〜ん、と唸る穂乃果は悩んでいるようだ。そこへ捜査一課から伊丹たちが顔を出した。

「警部殿、我々の前に捜査をするからやりにくいでありませんか」

「ほ、ほのかと呼んで」

「こ、ことりと呼んで♪」」

「ことりさん僕と付き合ってください!」

「三浦っ〜!!」

真っ先に三浦刑事はことりにアプローチしたことに伊丹は憤慨した。そこへ鑑識から米沢もやってきた。

「ことりさんと付き合うのはボクです!」

「なんの話をしてるんだ貴様ら」

「そうだよ!イタミンは顔は怖いけどやさしい刑事さんだよ」

「なんの話をしてるんですか!!」

伊丹と海未が珍しく意見があった。

「米沢くん、なにかわかったかね」

「矢澤にこのたんこぶを詳しく診たところ大中小と三つのたんこぶがありました。つまりは」

「三回叩かれたか、複数の容疑者に叩かれたか」

ご名答、と米沢はことりを見ながら答えた。

「ほのかはこっちだよ」

「なんなんですか、ここは」

「とにかく高坂穂乃果警部、一課の邪魔をしないでください」

「ほのかと呼んで♪」

呼ぶか、と伊丹たち三人は出ていくが三浦刑事は宣言した。

「南ことりさんをデートに誘う!」

「」ピイッ!?

ことりのちいさな悲鳴が特命係補佐から飛び上がった。この状況に海未はあたまがいたくなった。

「海未ちゃん風邪?横になる?それとも何かあたしたちに黙っていることあるの」

どきっ!?と海未のちいさな胸の奥にある動悸が激しくなった。

「な、なにを言うんですか」

あたふたする彼女の顔を穂乃果は純真な瞳で見ていた。
なんていう瞳をするんですかと慌てる自分が彼女の中にいた。

「ボクは海未さんとことりさん両方を彼女にします!」

米沢が退出してゆく言葉に海未は弓から矢を放った!

「壁の修理費が増えて給料が減るよ、海未ちゃん」

No.32 16/11/23 15:54
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海未はことりを見つめた。すかさず穂乃果は口を挟む。

「ことりちゃんに惚れたの?ほのかがいるのに」

「ややこしいこと言わないでください!誤解を招きます」

「な、なんなの?え…と、捜査一課から左遷された海未さん?」

「よけいな肩書きはつけないでください」

海未は実は事件現場にことりに似た女性を見たことを穂乃果に話した。

「ことりちゃんに似た女性か」

「こ、ことりは犯人じゃないよ!!」ハノケチェン!

「わかってますよ」

海未はことりと別人らしいのはわかっているが、穂乃果はめずらしく黙っている。

「穂乃果?」

「ほのかちゃん?」

「ああ、ふたりとも今日は帰っていいですよ。私は穂むらで飲んでいきますから」

「妹さんのツケで、ですか?」

うん、という穂乃果を海未はガミガミと怒鳴り付ける。

「な、なんなの!?」

「どこに妹さんのツケで飲みにいく警官がいますか!!」

「ここに」

ガミガミと海未はまた怒鳴り付けた。ふたりが帰ろうとすると、穂乃果は携帯を取りだしどこかにかけていた。

「あ、しもしも?」

「あんたはどこかのお笑い芸人ですか!!」

ブーメランのように戻ってきた海未はまた穂乃果を叱った。
ことりは海未に帰ろうと促しようやくふたりが姿を消した後、穂乃果は呟いた。

「やれやれ、あの人と海未ちゃんが関わっていたとはやっかいだよ」

穂乃果のその呟きを隣の特命係の右京と相棒、そして角田刑事たち数人は聞いていた。
辺りを見回して海未とことりがいないのを確認すると、穂乃果は実家の居酒屋兼和菓子屋の穂むらにむかった。
しかし、それを海未とことりは見ていた。

No.33 16/11/23 18:40
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「こちらHMKゼロワン、HMUゼロツー異常ないか」ボソボソ」

「こ、こちらHMUゼロツー異常ありません。あ、あのことりさん?」ボソボソ

「ことりじゃないよ。HMKゼロワンだよ」ボソボソ

「(なにやってるんだろう?海未さんに久しぶりに会ったことりさん。久しぶりに会ったのにいきなり厨房に入られたし)」

実は居酒屋穂むらの厨房の雪穂の左右にしゃがんだ海未とことりがなんと糸でんわで会話をしていた。

「しかもなんで糸でんわなんですか。HMKゼロワン」

「ほのかちゃんはハイテクで盗聴すると気づかれるの。HMUゼロツー」

そこへ穂乃果が穂むらがやってきた。

「あれ?まだ来てないか」

「いらっしゃい。てなんだお姉ちゃんか」

「ひま?」

「よけいなお世話!ひまでも忙しくないし。それに……!?な、なんでもない(ことりさんたら)」イタイ

妹との側に海未とことりがいるのも気づかずに穂乃果はいつものようにビールを注文する。

「ビールちょうだい」

「その前にたまったツケを払ってよ」

ほら、と穂乃果はこの前に解決した事件で金一封を頂きそこから札を数枚出して一枚だけ渡した。

「千円て子どものこづかいか」

「もう、これでいい?」

封筒を見せるとなぜか千円札だらけだった。まるで枚数だけ増やして喜ぶ子どものようである。

「(おかしいです。前のにこの事件の時に金一封をもらったなんて)」

「(海未ちゃんはもらわなかったの?)」

糸でんわを通して会話する海未に疑問しか残らなかった。
それよりなぜ盗聴機を仕掛けないのかも謎だった。

「(なぜ穂乃果に盗聴しないんですか)」

「(うんとね、むかし盗聴機を仕掛けたんだけど気づかれたの。ついでに今日も仕掛けたんだよ)」

「(なんですと!?)」

「(実は昼間のマカロンに仕掛けたの。気づくはずだけど)」

「(そういえば穂乃果はマカロンを丸飲みしようとしてましたね)」

「そうそう、特命係補佐に南ことりちゃんが配属されたんだよ」

「そう(知ってるし)」

雪穂はなぜこんな馬鹿な姉に部下が配属されるかふしぎだった。

No.34 16/11/23 19:10
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「(穂乃果のお腹に盗聴機が入っているのですね)」

「(うん。盗聴してるよ。これこれ)」イヤホン!

お腹に盗聴機が入っているらしくお腹からの声が直接聞こえるらしかかった。聞いてみる、とことりがもうひとつイヤホンを貸す。すると穂乃果の声がやたら大きく聞こえた。

「あ〜の〜ね〜!マカロン〜ひと飲み〜しちゃった〜!!」

「う…!(うるさいですよ!!)」

慌てイヤホンを耳から離す海未だったが、ことりは平気なようでぽわんぽわんとした表情で萌えていた。
しかし穂乃果に異常が起きたのは次の瞬間である。

「雪穂、下剤ちょうだい!」

「お店の品みたいに言わないでよ!ほら」

またあれをやるのか、と雪穂は側にいることりを見ると彼女は先ほどとちがいまた失敗かとがっかりした。
穂乃果は下剤と水を飲んで奥のトイレに駆け込んだ。
するとしばらくして穂乃果のはしゃぐ声と痛がる悲鳴ふたつした。

「やった〜!お尻が痛いよ!!」

「こら!店の外に聞こえるでしょう!」

「見て見て!ことりちゃんがあたしに仕掛けた盗聴機だよ!」

袋に包んであるもののそれは一度はトイレに落ちた盗聴機である。しかも掌に乗るくらいのそれなりに大きい。それを我が姉はマカロンごと飲んだらしかった。

「見せないの!」

「は〜い。まったくことりちゃんにも困ったものだよ。マカロンに盗聴機を仕掛けるなんて」

「(失敗しちゃった)」

「(失敗したどうこうよりマカロンに盗聴機ある時点で言えばいいのではありませんか)」

海未には穂乃果とことりの関係がわからなかった。

「盗聴機がマカロンにあったらその時に言えばいいんじゃないの」

もっともな疑問を雪穂は口にする。

「だってことりちゃんの前で気づいたら傷つくしそれにはじめて会った時からことりちゃんは盗聴機を仕掛けられたし」

「(てへ!)」

「(てへ!じゃないし。なにやってるんですか)」

そんな海未の精神的な喧騒をよそにどうやら穂むらに穂乃果のお客さんが来たようだった。

No.35 16/11/24 10:25
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いらっしゃい、と雪穂が声をかけたのはなんとなく雰囲気がことりに似た大人びた女性だった。
それはを見たことりはぴぃぴぃとちいさく喚いた。

「(し、静かにしてください。気づかれます)」

「(お、お母さんっ!?)」

なんと相手はことりの母親でもありかつて杉下右京の同僚でもあり特命係の指揮をしていた小野田公顕の下でいまは働いている南おやどり(仮)だった。

「待った?穂乃果ちゃん」

「いえ。ですがさっそくことりちゃんに盗聴機を仕掛けられました」

盗聴機を見せる穂乃果におやどりはぺこり、と頭を下げたのちに無差別格闘流スーパーイナズマキックと叫んで盗聴機を粉々にした!

「(ぴぃっ!?)」

「(し、静かにバレますよ)」

なぜ、この状況でバレないのか雪穂だけはふつうに思った。
穂乃果はおやどりにビールを注いで適当に鶏料理を注文する。あきらかに嫌がらせぽい。

「鶏料理ばかりね」

「なぜ、ことりちゃんをウチに派遣したの?」

「娘の希望よ」

意外にあっさりと言うおやどり(仮)であった。
穂乃果は鶏料理をばくばくと食べまくる。

「(どんだけ食べるのですか)」

海未の怒りを知らないまま穂乃果は事件の経緯を聞く。

「なぜ、あの場所にいたことをほのかに言わなかったの?」

「ややこしくなるから。というより現にややこしくなってるから」

「だから娘さんを派遣してほのかを見張ろうとしたんだね」

どきどきと厨房の向こう側でうずくまることり。

「海未ちゃんと一緒になって発見したにこちゃん」

「どう?解決しそう」

もちろん、と穂乃果はなぜか海未のいる方向にムネを張る。嫌みですか、と拳を握る海未。

「穂乃果ちゃん、あたしはこっちよ」

「わかってるよ」

どうやら南ことりが特命係補佐に来たのは本人の希望そしておやどりは特命係補佐を監視したい意味があったようだ。

No.36 16/11/24 12:46
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翌日、音ノ木坂高校アイドル部部室に三人の容疑者が招かれた。
綺瀬絵里、東條希、南おやどり(仮)である。しかし呼び出した本人の特命係補佐の穂乃果は食べてばかりである。

「いつまで食べているんですか!太りますよ」

「ほ、穂乃果は太らないもん」

「認められないわ。仮にも生徒会長である私が容疑者だなんて」

「そうやそうや。ウチらがにこっちを気絶させた犯人やない!」

絵里と希は頑として否定していた。にこはふたりを睨みつけていた。

「とっとと推理しなさいよ穂乃果!」

穂乃果は食べることに満足したのか爪楊枝を手にしてことりが淹れたお茶を口にしてくつろぎ言う。

「でも今回はにこちゃんも悪いんだよ?希ちゃんを音ノ木坂のドラえ○んと吹聴したり絵里ちゃんの下着を売ろうとしたり」

「ぬ!?ぬわんでそれを知ってるのよ!?」

「あたしが一緒になって調べたの!」

どうやら穂乃果とことりは今回の事件の裏付けをしてたようであり海未は驚く。
しかしおやどり(仮)がここにいる意味は何なのか。
やはり犯人?
そこへ他の捜査をしていた伊丹たちが面倒そうにやって来た。

「高坂穂乃果、来てやったぞ」

「おお!?伊丹刑事、ほのかの愛人になってくれるの!?」

「そんな意味じゃねえ!とっとと始めろ」

事件の解明を始めろと伊丹はこわい顔をしながら全員を見回し三浦刑事はことりと絵里を口説こうとしていた。

「三浦さん!ほのかは?」

「遠慮します!」

「いいから、とっとと始めろ!!」

穂乃果は米田以外いることを確認しそのまま口を開いた。

「まずこの事件はにこちゃんが絵里ちゃんと希ちゃんから恨みを買ったことに始まるんだよ」

なに、と伊丹たち三刑事はにこを睨みつけ彼女はさらに背を低くした。穂乃果は続ける。

「にこちゃんのアイドル部は創設当初はそれなりに部員はいたらしいの。だけど自称部長のにこちゃんのやり方に部長はついていけずやめていまの状態になった」

「自称部長じゃなくて本当の部長!」

にこを無視して穂乃果は話を続けた。

「ひとりになってもにこちゃんは部員勧誘を懸命にしつこいくらい続けた。絵里ちゃんや希ちゃんにも」

絵里と希は名前を出されたことに少しどきとした。

No.37 16/11/24 17:17
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「まず25個ちゃん」

「にこね」

「にこちゃんはなぜあんな道端に倒れていたか。にこちゃんあなたはあの日なにをしてましたか」

「部活が終わって夕食の買い物に行こうとしたらいきなりやられたのよ」

なるほど、と顎に指をやりながら納得する穂乃果。そのまま続ける。

「にこちゃんにはこころちゃんここあちゃん虎太郎くんという妹弟がいますね」

「な!?」

「驚かないでください。そこにいる警視庁一課トリオ、イタミンズが調べてくれました」

「勝手なあだ名をつけないでください」

穂乃果はさらに続ける。

「おそらくにこちゃんが誰かに殴られたのは夕方六時から七時くらい。米沢さんのたんこぶに鑑識です」

気絶したにしても夕方六時から半日近く気絶するんですか?秋葉原の近くなのに!?と海未が疑問に思ったことを穂乃果は察したように口にする。

「おそらくにこちゃんは最初のふたつのダメージが大きかったのです。一撃二撃はとてつもなく大きく意識が回復するまで時間がかかったのです」

穂乃果の淡々としたしゃべりに絵里と希は落ち着きがなくなる。

「次に海未ちゃん、あなたに聞きます」

「なんですか」

「あなたが走るあのランニングコース。人通りはありますか」

「そういえばあまりないです」

「実はあそこはうみにこロードと呼ばれ通っているのは調べた限り海未ちゃんとにこちゃんしか使っていません。あと通るのは変質者くらいです」

『なんてあぶない道路なのよ!?』

「ちなみに巡回の警官はあそこの道は外れています。だからにこちゃんが見つかるまで時間がかかったのです」

海未とにこの驚きをよそに穂乃果はアイドル部の黒板に地図や時間を示す。

「き、凶器はなんなのよ!」

「えりち!」

焦った絵里は思わず声を漏らし希にたしなめられる。
ふむ、と穂乃果は頷く。

「そういえば凶器はなかったな」

イタミンズも頷く。
しかし穂乃果は言う。

「凶器はあります。それも隠されていなく堂々と学校内にあります」

穂乃果は皆を連れて向かったのは三年生の玄関。靴を履き替える場でありそこにいたのは米沢が変質者のようにいた。

「高坂警部!なぜ私に知らせないんですか」

「来ると思いました」

No.38 16/11/24 17:34
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「おお!?女子高生がふたりと被害者の幼女ですか」

「ここの学生!にこよ」

ムキになるにこの頭を穂乃果は掴みながらたんこぶにある跡を示す。いち、に、さんと。

「にこちゃんのたんこぶには三つの足跡、正確には靴の跡ですが。これに該当するのが絢瀬絵里さん東條希さんのスニーカーです」

「な、なななななにを言うのよ!?」

「思いっきり取り乱しておわりや」

靴箱から穂乃果は絵里と希のスニーカーを取り出して米沢からの鑑識結果と比べる。

「ほら、一致しました」

「なななななにをいいい言うのよ!?」

「そやそや(たぶんむりやな)」

「ふむ、絵里さんあなたはにこちゃんを小学生くらいの大きさそして希さんは中学生くらいと言いましたね」

並んでください、とにこ希絵里の順番に立たせる。

「あ!絵里からはにこは小学生!希からは中学生の大きさにしか見えません!」

「そこまでちいさくないわよ」

海未の声ににこは声をあげる。そして穂乃果はふたりのスニーカーを順番ににこの頭に乗せる。

「ここからは私の推測です。なにか否定したいなら言ってください」

「あの日、にこちゃんは部活を終え妹弟たちのためにうみにこロードを使いました。しかし運の悪いことにあそこは海未ちゃんにこちゃんしか使っていません。にこちゃんはひとりです。ひとりでいるのを絵里ちゃん希ちゃんに見つかりました。ふたりはにこがアイドル部を頑張っているのを知っていました。しかしにこちゃんに悪戯もされました。ふたりはバッタリ出会いました」

「えりち!?」

「希っ!?」

「ふたりはにこに謝ろうと思いましたが悪戯されたことを思い出し感情に走りました。そしてまずはじめに絵里ちゃんはバレエのチュチュドレスを着てトゥシューズでにこちゃんの頭に蹴りをいれるはずがシューズはなかったのでスニーカーでまず一撃!」

「」エイッ!

「!?」

「次に希ちゃんは得意のワシワシマックスをしたかったのですがワシワシは猥褻罪です。しかたがないのでにこちゃんが歩いているなか絵里ちゃんが蹴りを入れた直後に電柱から真下に飛び降りたのです。垂直落下」

「」ジャンプ!

「!!?」

「このふたつのそれぞれの一撃がすごくにこちゃんは気絶したのです」

No.39 16/11/24 17:50
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「ちなみににこちゃんの顔だけほんの一瞬だけサバンナの八木さんとブラジルの人たちに目撃されていました。確認済みです」

いつ穂乃果は確かめたと驚いていたらことりとブラジルまで捜査しに行ったようだった。

「これでもまだ否認しますか。絵里さん希さん」

「ご、ごめんなさい」

「だ、だけどにこっちかて悪いねんで!ウチらが入部しないからて嫌がらせやネットオークションに出したり」

「わ、悪かったわよ。ごめん」

にこの口から謝罪の言葉が漏れた。
伊丹たちは絵里と希の手を引くなかにこは声をかける。

「罪を償ったらアイドル部に入れてあげるわよ」

「にこっち」

「わかったわ」

絵里と希は伊丹たちに連れていかれ米沢はふたりの靴を嗅いでいた。

「いつまでやっているんですか!?それより三人目の足跡は」

「かんたんです」

穂乃果はにこの頭をまた掴む。

「海未ちゃんがにこちゃんを発見した状況です。あの時、海未ちゃんはおやどりさんと共ににこちゃんを見つけました。先に見つけたのはおやどりさん」

「はい」

「先にあの場を去ったのはおやどりさん。あなたがヒールでにこちゃんの頭を踏んだのですね」

「はい」

そんな!?と娘のことりは涙した。それを見て穂乃果は言う。

「おやどりさんはたまたま踏みつけただけですから罪になりませんよ」

「なりますよ!傷害くらいになりますから。なにきれいにまとめてるんですか」

海未は米沢にまとわりつかれながらも懸命に訴えるが無視される始末。
穂乃果は最後に言う。

「あのうみにこロードは利用率が少ないのでおやどりさん国交省に圧力をお願いします」

「なに勝手に決めてるんですか」

「わかったわ」

母であるおやどりが罪にとがめられないことにことりはほっとした。
さすがほのかちゃんと思い心から感謝した。
こうして第二の事件『うみにこバッタリ』は解決した。

「なんですか!その言葉は!?私は関わっただけですよ」

事件はエピローグを迎えていた。

No.40 16/11/25 05:22
小説大好き 

穂乃果、海未、ことり、おやどりは小料理屋穂むらで飲んでいた。

「だいたい今回の事件はにこが加害者ではありませんか」

「え〜!にこちゃんは被害者だよ」

「今回の事件は、です。過去の嫌がらせはにこが悪いです」

「愛情の裏返しかも」

ことりは少しだけにこを庇う風に口を尖らす。

「やれやれ、仲良くやってね。ことり、穂乃果さんをよろしくね」

「帰っちゃうの?」

「そ、そんな!?ほのか、ことりちゃんにお婿さんにいくの?」

「なんの話をしてるんですか!?」

おやどりは娘ことりに頷いて勘定を雪穂に払い消えていった。
海未は早く捜査一課に戻りたいと願うのだった。

「なんなの、この人たち」

雪穂のあきれた呟きに同感です、と思うのは海未だけであった。

「あ!海未ちゃんほのかに惚れちゃうの?」

「惚れませんよ」

ことりはメモする。

【特命係補佐に関する報告書】

1、高坂穂乃果(ちゃん)は可愛い。いまも可愛い。

2、その可愛い外見に違わず見事な推理力。捜査一課から干された園田海未さんがなんの役に立っているかわかりません。

3、今回の事件の被害者矢澤にこを庇う風に見せているものなぜ彼女のまわりで事件が起きて特命係補佐にまわるのか。
なぞだよ。

以上、とメモを胸ポケットに入れたのを海未は見逃さなかった。

「なにここで報告書を書いてるんですか」

「ぴいっ!?」ンミチャ

「」ナンデモナイノヨ ナンデモナイノヨ

この時、穂乃果は食べ疲れて口からよだれを垂らして寝ていた。
雪穂はまたとあきれながら世話を焼いていた。

「」ナンデモナイノヨ ナンデモナイノヨ ナンデモナイノヨ

「動揺しすぎです」

次回予告

特命係補佐に現れる三人の女性。捜査一課に復帰できるのか園田海未!?

No.41 16/11/26 11:25
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その日、特命係補佐を海未が入るといきなり目の前が暗くなった!?
な、なんですか!?これは!?

「ほ、穂乃果のイタズラですか!出てきなさいアホ乃果!」

しかし声はちがう方向から聞こえてきたのだ。

「やれやれ、海未くん。キミはいまの状況がわかってませんね」

「紅茶やお菓子の匂い?また太りますよ」

「またてなに!?まだ事件はキミが来てから二回しか解決してないのに!」

「それより目の前のコレはなんですか」

てっきり穂乃果が肩車のように抱きついているかと思ったがちがうようだ。すると聞き覚えのある声が抱きついてきた者から聞こえてきた。

「かよちんいないにゃあ?これはかよちんとちがうにゃ?」

「その声は星空凛ですか!」

「正解にゃ!世界中のラーメンを食べつくし罪を償い新たに特命係補佐に入る星空凛にゃあ」

ようやく海未の頭から離れた凛だが手にはカップ麺が熱く湯気を立てていた。
あやうく頭の上でカップ麺をこぼされなくてよかったと安堵したと思った時である。凛はキョロキョロとして箸を海未の頭に乗せてなるとを口に入れた。

「なるとがあったにゃあ」

「なにひとの頭の上でなるとを落としてるんですか!」

まあまあと穂乃果がなだめるが怒りが朝からおさまるはずがない。
事情を聞くと罪を償った後に国家試験を受けて一度は警視庁交通機動隊に配属されたが、花陽がいないのを知って自ら特命係補佐に志願したという。

「あの?凛、ここは人材の墓場の本来の特命係よりひどいところですよ」

「海未ちゃんひどい!」

「でもなんかほのぼのしていいにゃ」

「いやいや海未ちゃんが来てからぎすぎすしてるよ」

「あなたにそれを言う資格がありますか!」

紅茶はともかくお菓子やカップ麺の匂いがしてまるで高校の部活のようである。
しかしあのおやどりがこの特命係補佐を守っているようでありそうかんたんに潰れまいと思った。そういえばことりがいないことに気づいた。

「ことりは?」

「さあ」

「ことり?誰にゃ」

凛はともかく仮にも穂乃果は旧知の仲というのに知らないという。

No.42 16/11/26 13:34
小説大好き 

その頃、ことりは特命係補佐に向かう途中で一課の三浦と鑑識の米沢に口説かれていた。

「ことりさんデートしましょう」

「いやいや鑑識のこの米沢ですよ」

ふたりは彼女の迷惑をかえりみずにナンパしておりことりはなんとか通り抜けようとしていた。

「通してくださいよ」

そこへ一課の伊丹とはもうひとりちがう刑事の芹沢がことりと似た年頃の女の子を連れていた。

「あれ?芹沢さんのお子さんですか」

「ちがう。なんでも特命係補佐に用があるらしいんだ」

ことりが見るとその女の子はおどおどしていた。そこへ伊丹がやってきた。

「伊丹さん」

「む、三浦に米沢。自分たちの仕事をしろ」

「世界を破壊するんですね伊丹さん」

「そりゃデ●ケイドの話だ!」

ことりは芹沢が連れていた女の子の手を引いて特命係補佐に逃げるように走っていった。
特命係補佐は生活安全課の奥そして杉下右京らがいる特命係の隣にある。生活安全課の角田がことりと見覚えのある少女に気づく。

「お、ことりちゃん遅刻かい?それに」

「ちがいます!三浦さんと米沢さんに口説かれていたんです!」

「こ、ことりちゃん。三浦さんと米沢さんとデートしてたの」ウルウル

「なぜデートに飛躍するのか。穂乃果の理解力がわかりません。あ!」

ことりが手を引いている少女に凛と角田は同時に声を出した。

「かよちん!(小泉花陽ちゃん)」

「にゃ?」

角田は事情を話した。世界一周ごはん食いで罪を償った花陽もまた国家試験を受けて警視庁生活安全課に一度は所属していた。その後は主に所轄の食堂で働いていたがある時に特命係補佐の存在を思い出して配属転換を願ったという。

「かよちん!」

「りんちゃん!」

感動の再会はいいのですが釈然としない海未。仮にもこのふたりはあの矢澤にこを倒したもと容疑者。なぜ特命係補佐に来て学校はどうしたのか。

「ああ、このふたりの学校なら私が休学扱いということにしました」

「なんですか!?ていうかひとの心を読まないでください!」

「ンミチャ、ウミチャ、海未ちゃん。ほのかちゃんは海未ちゃんの顔を読んだんじゃないかな」

なぜかひとの名前を呼び直すことりの説明を聞いてこれまた納得しない顔をした。

No.43 16/11/29 15:55
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しかしそんなのんびりしている時に事件は起きる!通報が特命係補佐に届く!!

『緊急通報!緊急通報、音ノ木坂にて誘拐事件発生!特命係補佐は至急、現場に向かえ!』

「誘拐事件ですか!?」

「誘惑事件?ことりが穂乃果ちゃんを誘惑しちゃうの!」

「夕食はラーメンにゃ」

「夕食はご飯にカレーライスです」

「もう!ふざけてないでいくよ」

え!?、と海未は驚く!?あの穂乃果がことりはともかく凛や花陽のおふざけに乗らなかったのだ。

「あ〜ん、待ってよ」

「待つにゃ」

「誰かタスケテ」

「誘拐事件の被害者がその気持ちですよ」

誘拐事件の被害者はまたも矢澤にこだった。穂乃果たちはそれぞれ変装して矢澤邸に入っていった。

「ラーメンの出前にゃ」

「定食屋の出前です」

「誘拐されているのに食べる余裕があるお宅みたいですね」

「じゃあことりはフライドチキン屋さんのデリバリーで」

「駄目です」

穂乃果、海未、ことりは電気屋さんの変装して入っていった。
被害者の矢澤にこは目の前に並べられた定食やラーメンの匂いがやけに鼻についていた。

「ぬわんなのよ!しかもなんで凛と花陽がいるのよ」

「罪を償っていまは休学して警官にゃ」

「婦警とも言います。父兄ではないですよ」

「まじめにしてください」

「海未ちゃんを怒らすとこわいよ」

穂乃果は誘拐されたのは誰かを家族であるにこに聞いた。

「にこちゃん、誘拐されたのは誰なの」

「む、こころにここあに虎太郎。次女に三女に長男よ。これが三人の顔よ」

穂乃果にしてはめずらしくふざけていないことににこはちゃんと対応したと思った時だった。

「え〜と、にこちゃん?クローン人間をつくっちゃいけないのは知ってる?」

そこへ思わぬところから穂乃果にチョップというツッコミが入った!

「ンミチャ!?いたいよ」

「私ではありません!あなたは……」

そこにいたのは鑑識課の制服を身に付けた西木野真姫だった。
にこは驚いた。
凛は驚いた!ラーメンになるとがたくさんだったから!

「おのれ、良純!」

花陽も驚いた!ご飯がすべておにぎりだった。

「お寿司にしなくてよかったです」

No.44 16/11/29 16:16
小説大好き 

「な、なんで真姫ちゃんがここに……」

「な、なんで、小錦になるはずだった真姫ちゃんがここに……!?」チョップ!!

穂乃果の顔面に真姫のチョップが容赦なく決まる!海未はよくやりました、と心のなかで称えた。

「いたいよ!」

「あたり前よ!何が罪を償うために男性お笑い芸人限定であたしが身体検査や人間ドッグをしたのよ!」イミワカンナイ!

真姫の抗議に同情や共感したのは海未とにこだけだった。
ことりや凛、花陽はそんなおもしろいことしてたんだと見つめていた。
にこは真姫の手を握りかつての彼女の過ちを許す。

「真姫ちゃんつらかったわね」

一瞬、ふたりの間に甘々な雰囲気が宿るがツンデレな彼女はそれをあえて壊す。

「ふ、フン。にこちゃんのためじゃないからね」

そして真姫の上司になった米沢が他の鑑識を連れて姿を現す。

「高坂警部」

「米沢くん」

「高坂警部、ようやく私も結婚のめどがつきました。相手はこの西木野くんです」

「ちがうわよ!とっとと鑑識の仕事するわよ」

米沢たち男の鑑識課職員は涙を流しながら仕事をした。

「ほ、ほのかの相手は?」

「そんなことよりにこから聞くことがあります」

「そうだよ!にこちゃんがつくったクローンがどうやって誘拐されたか」

「クローンにしないで!実の妹や弟!」

「もう!穂乃果は黙ってて!」

鑑識のくせに警部である穂乃果の捜査の邪魔をする真姫に米沢らは拍手する。

「もう!ほのかはまじめだよ」

「そうだよ」

「ラーメンは熱いうちに食べるべしにゃ」

「ご飯は白いままがいちばん、なまの味」

「凛と花陽を追い出していいかしら?穂乃果もいらないし」

ひどい!とほのりんぱなの悲鳴が矢澤邸から近所迷惑なくらい響いた。
海未と真姫が率先して指揮を取ることになった。

No.45 16/11/29 18:57
小説大好き 

そこへ伊丹たち捜査一課トリオも応援にあらわれ穂乃果は甘える。

「イタミン聞いてよ!海未ちゃんと真姫ちゃんがほのかにいじわるするの!」

「イタミン言うな。特命係補佐の海未に鑑識課に新たに入った」

「西木野真姫よ」

この時、伊丹刑事の胸に動悸が高鳴るようになった……。彼は西木野真姫に惚れたのだ。刑事ではなく男として。

「警部殿、なに勝手にひとの気持ちを語っているんですか!」

「ほ、ほのかはイタミンに振り向いてもらいたくて」ウルウル

「ことりがいるよ」

「凛もいるにゃ」

「花陽はごはんさえあればいいです」

頭を抱えながら海未、真姫、にこそして伊丹たちと米沢は犯人からの電話を待つ。
その間に穂乃果たちは独自に捜査する。

「うわ〜、可愛いね。にこちゃんのクローンじゃなくて妹に弟」

「そっくりです」

「穂乃果ちゃんとあたしとの間に子どもができたら……」

ことりの妄想

「あなた、あたしたちの赤ちゃんほとりです」

「わ〜い。ほとりちゃんかわいい」

真剣な捜査現場でにやけることりを海未は鬼のように睨みつける。

「」ナンデモナイノヨ

「真剣にやってください」

「小学生くらいみたいだね」

「小学生といえば給食ですね」

「特命係補佐の園田うみみ」

「海未です」

「警部殿はまあ構わないがあとの三人をなんとかしろ」

伊丹の言うことはことり凛花陽の三人を追い出せというのか。しかし特命係補佐に新たに加わった仲間と呼ぶべきか部下か、それを追い出せというのか。

「まあ捜査の邪魔にならないでしょう」

真姫の言うことに一課トリオにすでに仕事が終わったはずの米沢たち鑑識の面々もうなずく。
にこは真姫を頼りありげに見つめていた。

No.46 16/11/29 20:47
小説大好き 

「にこちゃんにこちゃん」

「なに」

「今日の夕ごはんはなんだったのかな」

「ハンバーグよ」

「穂乃果」

海未に睨まれ穂乃果はわかってるよと口を尖らす。いつ犯人から電話がかかってくるかわからず緊迫感が宿っている。

「りんはラーメンかにゃ」

「あたしはごはんものならなんでも」

「ことりは穂乃果ちゃんといっしょ」

「ことり、ちょっと」

今度はことりを睨みつけて彼女を呼んで小声で言う。

「あなたは穂乃果を監視するために来たはずですよね?」

「うん」

「監視してますか」

「だけど穂乃果ちゃんがなにもしないことには監視しようもないよ?」

むう、と海未は納得しない表情をしながらもういいですと彼女を離す。
きょとんとしたことりは穂乃果たちとキャピキャピしていた。

「犯人からかかってきませんね」

「あせるな三浦」

捜査一課トリオは真剣な表情で電話を待つ。米沢と鑑識の面々は真姫だけを現場に残して去っていき穂乃果はぽつりとつぶやく。

「オトコのなかに真姫ちゃんひとりか」

「むっ」

「特命係補佐を希望しなかったにゃ?」

ぷい、と真姫は穂乃果たちとけっして目を合わさない毅然とした表情。
その表情に伊丹の胸を貫く痛みが走った。伊丹はこれが恋なのか、しかし相手は鑑識果である。職場の違いは恋愛の障害……。

「警部殿!」

「ほのかと呼んでイタミン!」

「いま真剣なんですから」

「ほのかも真剣なんだよ!」

海未はやむなく穂乃果をなだめるように言う。

「おとなしくしてください。穂乃果だけでなくことり、凛、花陽も」

「海未ちゃんはどっちの味方なの!」

「私は法律の味方です」

その言葉ににこは真姫以外に頼れるのは海未と伊丹たちと確信していた。
しかし穂乃果たちはこころたちの写真から手がかりらしいのを見つける。

「にこちゃん」

「なによ」

「こころちゃんはしっかりしてるみたいね」

「まあ言葉遣いや礼儀は家族のなかでできるから」

「ということは知らない人についていかない?」

「たぶん……」

穂乃果は写真を見つめてお茶を口に入れる。ちょっと猫舌気味で海未に吹いてしまった。

No.47 16/11/30 05:15
小説大好き 

お茶をかけられた海未が怒ると同時に電話がかかり伊丹はうるさいぞと怒鳴りつけられた。
なにするんですか!とちいさく抗議する海未に熱いお茶は苦手と言う穂乃果にあきれる。いつも熱い紅茶を飲んでいるのに。
しかしそんなことよりも受話器から誘拐犯らしい声が聞こえてきた。

『矢澤にこはいるか?』

「い、いるわよ」

『お前の妹や弟は預かった。返してほしければお前が持っているアイドルDVD『デンデンデン保存用』をよこせ』

「わ、わかったわよ。それよりこころやここあ、虎太郎は!!」

「お姉さまっ!」

「こころ!」

「わかったか。いまは無事だ。また電話する」

そこで電話は切れ逆探知はできたようだ。真姫が言うには都内しかも秋葉原以内という。
そこへ穂乃果が凛たちに言う。

「凛ちゃん花陽ちゃんいまこそ力を見せるときだ!」

「はいにゃ。いくよかよちん」

待ちなさい、と海未が止めたにも関わらずりんぱなコンビは出ていった。どこへいくというのか。
しかし穂乃果の表情は真剣だ。またことりは見守るように見つめていた。
だが、真姫はそんな穂乃果をじゃまな存在のように見つめ返していた。
視線は交錯しているなか伊丹たちは苛立つ。

「『デンデンデン』保存用とはなんだ」

「こ、これよ」

にこは妹弟と同じくらいに大事にしているアイドルDVDボックスを伊丹たちの前に差し出した。
それにしても妙だった。犯人は警察が矢澤にこ宅に来ているのはわかっているはずだった。

「にこちゃん、妹や弟は私が助けるわ」

「真姫ちゃん」

ふたりの間に甘い雰囲気が宿り三浦はことりにアプローチしかけるが芹沢に止められた。
誰も鑑識課の真姫がいることに咎めない。あの伊丹でさえも。

「う〜ん」

穂乃果は唸る。ためしに海未は言ってみる。

「にこ、トイレはどちらに?穂乃果は便秘みたいなので」

「ちがうよ!考えていたの」

なにを、と思った時に秋葉原中を駆け巡っていたりんぱなコンビはなんの手がかりもなしに戻ってきた。

「ダメだったにゃ」

「犯人はどこにいるかわかりません」

「わかってました」

「わかってたならやらせるにゃ!」

りんぱなコンビから抗議が穂乃果に飛んでいた。

No.48 16/11/30 14:10
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穂乃果 「ちょっと待ってください。先ほどの会話を再生してみてください」

真姫 「わかっ……」

米沢 「その役目はわたくし米沢がしましょう」

伊丹 「お前帰ったんじゃ……」

米沢 「鑑識課はわたくしが仕切っております。南ことりくん西木野真姫くんそして園田海未くんはわたくしのものです」

ことうみまき 「」チガウチガウ

先ほどの会話を再生する米沢に穂乃果は音声に耳を傾ける。凛と花陽は走り疲れ互いに寝てしまう。

にこ 「ここは私の家のはずよね?」

りんぱな 「」(+.+)(-.-)(__)..zzZZ(+.+)(-.-)(__)..zzZZ

そんななか穂乃果はあることに気づき指を立てる。

穂乃果「これ、にこちゃんの声以外はテープじゃないかな」

伊丹 「なんだと!?米沢」

米沢 「再生します」

カセットから流れているのはたしかにあらかじめ録音されたかのような不自然がありよく聞くと機械的な音声いわば台本が用意されているようだった。

ことり 「さすが穂乃果ちゃん」

凛 「なんかあったにゃ」

花陽 「穂乃果さんが推理したんだよ」

伊丹 「鑑識!くわしく鑑識しろ!」

米沢 「は!真姫くんとともに一晩いや一生添い遂げてでもします」

真姫 「一生はしないわよ」

真姫は口を尖らしながら米沢と共に帰ろうとする。しかしにこは不安げに見つめ送っていった。
伊丹たちも聞き込みをした後に本庁に戻るらしかった。

にこ 「であんたたちは?」

穂乃果 「にこちゃんさえよかったら一晩いや衣食住すべて世話してくれるならいてもいいよ!」

海未 「帰りますよ!」

海未は穂乃果の首根っこを掴み立ち上がる。しかし穂乃果は凛と花陽に言う。

穂乃果 「凛ちゃんと花陽ちゃん、にこちゃんを見守っててあげて」

りんぱな 「了解した(にゃ)!!」ケイレイ!

にこがむすっとする様子をしながら凛と花陽はそのまま座り直した。
穂乃果は海未とことりを連れて出ていった。

にこ 「ぬわんなの?」

凛 「上司からの命令です」

花陽 「安心してください。ご飯は経費からですから」

にこはじっとふたりを見つめた。

にこ 「いちゃつかないでよ」

No.49 16/11/30 18:16
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穂乃果、ことり、海未もまた聞き込み捜査をしていた。はじめはまともな聞き込みかと思ったが、穂乃果はにこの行きつけのスーパーや精肉店、鮮魚店、八百屋、農協などをたずねてはこう漏らしていた。

穂乃果 「いいな。毎日ハンバーグやカレー、オムレツオムライス」

海未 「何を聞いているのですか」

ことり 「でもでもちゃんと妹や弟の食わず嫌いを直すために工夫してるらしいよともお店の人たちは言ってたよね」

そうだよね、と穂乃果はことりにはにっこりしながら海未にも聞く。

穂乃果 「海未ちゃんの嫌いな食べ物ある?」

海未 「言いません」

そう言った時に穂乃果は懐から彼女の履歴書を見て呟く。

穂乃果 「苦手なものは炭酸、自販機だよ」ゴー!

海未 「待ちなさい!ことりも止めなさい」

ことり 「だって止めたら穂乃果ちゃんの報告書が書けなくなるし」

自販機の前に来た穂乃果は十円玉を一枚ずつ入れてようやく販売機の表示が輝くのを見てどれにしようか迷っていた。

穂乃果 「どの炭酸がいいの?」

海未 「なんですかそれ!炭酸なんてどれも苦手です」

ポチッ、とことりがすかさずコーラを押して穂乃果に渡した。ふたりはワクワクした顔をしながらプルトップを開けて渡した。

ほのこと 「飲んで♪」

海未 「なんで飲まないとならないんですか!いやです」

穂乃果 「ほのかが十円硬貨を一枚ずつ自販機に入れて買ったんだよ」

海未 「理屈がわかりません」

穂乃果 「この前の金一封からの十円硬貨だよ」

くっ、と海未は少し歯痒かった。なぜ穂乃果に金一封が出たのか意味がわからない。

穂乃果 「飲んでみて」

海未 「どうなっても知りませんよ」ゴクッ!

手にして一口飲んだだけ穂乃果とことりに向けて吹いてしまった。あわてふたりに頭を下げた。

海未 「すみません穂乃果、ことり」

穂乃果 「海未ちゃんは炭酸が苦手。忘れないようにしよう」フキフキ

ことり 「炭酸が飲めないのに特命係補佐にいる園田海未さん。穂乃果ちゃんがなぜ部下にしたのか。なぞ」

ことりの言葉は海未本人の疑問であった。
穂乃果の捜査はまだ続くようであった。

No.50 16/12/01 06:51
小説大好き 

穂乃果は捜査の途中で再び音ノ木坂学院の門の前に立ちしばし見上げていた。

海未 「穂乃果?」

ことり 「ほのかちゃん」

穂乃果 「いえ、にこちゃんはひとりスクールアイドルとして活動してると思うと。なんでもないですから」

その頃、にこは凛と花陽の世話を見ていた。

凛 「醤油取ってにゃ」

にこ 「」ハイ

花陽 「ソースお願いします」

にこ 「」ハイ

にこ 「ここはあたしの家のはずなのに。この幼女みたいな警官の世話してるし」

中を凛と花陽にまかせながら外では三浦刑事が見張りながらことりか真姫か悩んでいた。
そこに現れたのは……。
その頃、穂乃果たちも警視庁に戻り鑑識課をたずねていた。

穂乃果 「なにかわかりましたか」

米沢 「はい、西木野真姫くんは使えます」

穂乃果 「真姫ちゃんじゃなくて捜査だよ!」

米沢 「やはりテープであったようです。あと逆探知の形跡から都内、秋葉原あたりかと」

むぅ、と穂乃果はみんなして真姫に夢中になるのに頬を膨らました。

海未 「その真姫はいませんね」

米沢 「仕事を終えて帰りました。三浦刑事と私が真姫くんを奪い合っていました」

海未 「破廉恥です」

米沢 「安心してください。真姫くんことりちゃんにフラレたら海未くんにアタックしますから」

破廉恥です!と海未は鑑識課に広がるくらい響いた。
穂乃果は何やら推理しているようだった。すかさずことりは頭のなかでメモ書きする。

ことり (穂乃果ちゃんは推理していた。とても真剣)

海未 「(声が漏れているような感じですね)」

ことり 「」チュン!?

三人は特命係補佐に戻り穂乃果はお茶をふたりに淹れた。

海未 「いったい犯人はだれでしょう」

ことり 「わからないね」

穂乃果 「また海未ちゃん、音ノ木坂に潜入する?」

海未 「しませんよ!恥ずかしいです」

ことりは穂乃果を見つめる。穂乃果はいいかげんな捜査をしているようにみえるがその言動や行動に無駄は多い。が、無駄のなかに彼女の捜査があると言われている。

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