ヘヴィメタルが嫌いな俺が、浜田麻里のコピーバンドをやった話

うん、あの声は天性のものだね

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『これが本当に最後の曲だからな！』

ヴォーカルのキミトが叫ぶと、客席から歓声が上がる

ドラムの４カウントで、俺がＡマイナーを鳴らして、ドラムとベースが同時に入る

演奏が終わると、虚無感が襲った

俺がギターを担当したprimeが、解散した瞬間だった

理由は、メンバーが進学や就職の為

俺以外は全員高３、俺は高２だった

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>> 2 『格好いいバンドだったのに勿体ねえな。大学行ったらまたバンドやれよ』

帰り際、ライヴハウスの店長に言われたキミトは
『もちろんやりますよ。その時はまたお願いします』
と言って頭を下げた

打ち上げの帰りに
『恭也はこれからどうするんだ？』
とキミトに言われる

『何にも考えてないです。適当にメンバー探しますよ』
本当に何も考えてなかった

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>> 3 俺の名前は、神城恭也

中学の時に見たNHKのヤングミュージックショーで、ザ・クラッシュを知る

それから俺の頭の中はクラッシュ一色

そして、そこから洋楽のロックに嵌まりだす

いつしか仲間を集め、バンドを始め、結成、解散を繰り返した

そして違う高校に通ってた中学の先輩に、ギターで加入しないか？と誘われた

それが、たった今解散したprimeだった

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>> 4 そろそろ解散かな？とは思ってはいたが、いざ本当に打ち込んできたものが無くなると、心に穴が開いたような気分になる

それから何日か経った日の朝、目が覚めた俺は、ふと壁に貼ってあるブライアン・セッツァーのポスターを見た

(今日は久し振りに、リーゼント決めようかな)

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>> 5 『恭也、バンド解散したんだってな？』

教室で幸弘が声をかけてきた
『ああ、まぁ最初から解ってた事だけどな』

『またメンバー探すのか？』

『いや、しばらくはやらない。ずっとバンド一色だったから、バンド以外の事も考えてみるのも良いかと思ってな』

『そう言えばお前、由奈ちゃんと別れたばかりだよな』

『もう、１ヶ月以上経つよ』

俺には中学時代付き合っていた由奈という彼女がいたが、１ヶ月ほど前に別れを告げられた

理由は、俺が全然構ってくれないからだそうだ

突然、別れを告げられた
『私を本当に好きでいてくれる人と付き合いたい』
これが最後の台詞だった

要は男が出来ただけだ

『あっそう、達者でな』

それ以来会っていない

確かにアイツの事が、そんなに好きだったのかどうか聞かれると、そうでも無かったような気がする

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