注目の話題
親が会社に挨拶、、
母親の誕生日プレゼント何が良い?
彼氏と分かり合えない。納得できない

言ってはいけない。

レス20 HIT数 1731 あ+ あ-

自由人
16/10/15 23:55(更新日時)

あいしてる

何度でも言います。

わたしは

あなたをあいしてる

でも、あなたはそれを言ってはいけない。



No.2388552 16/10/15 22:05(スレ作成日時)

投稿順
新着順
主のみ
付箋

No.1 16/10/15 22:07
自由人0 

あなたと初めて会ったのは

こんな秋の明るい夕暮れ

わたしは高校生

あなたは社会人

No.2 16/10/15 22:09
自由人 

ススキの穂が夕陽に照らされて
黄金色に輝いるのに
心を奪われて

ただただ一心に見いっていたら

「どうかしましたか?」

スーツ姿のあなたが声をかけてくれました。

No.3 16/10/15 22:44
自由人 

「ススキが・・・・・」

と指差すと、それを見て合点がいったかのようにうなずいてくれました。

「日に透けて金色ですね」

にっこりとするあなたの微笑みは、その背に受けた夕陽よりもまぶしく感じました。

No.4 16/10/15 22:49
自由人 

「その制服はK高校でしょう?」

「はい、そうです」

ススキが風に揺れた。

私の髪も。

あなたのネクタイも。

No.5 16/10/15 22:53
自由人 

あなたは私より五歳年上の23歳で、同じK高校の卒業生と教えてくれて

夕方からのバイトに遅れると慌てるわたしを自分の車に乗せてくれましたね。

どうにか時間に間に合って、バイト先のコンビニ前でおろしてもらう時。

「名前は?」

初めて訊かれました。



No.6 16/10/15 22:57
自由人 

「楓です。きへんにかぜの一文字で、かえで」

「楓ちゃん、秋らしい名前だね」

「誕生日が、秋なので」

礼を言って車のドアを閉めようとしたら

「また、会えるかな?」

あの秋の夕陽のような眩しい笑顔。


No.7 16/10/15 23:01
自由人 

「お店に、私のバイト先のコンビニに、缶コーヒーでも買いに来てください」

私も笑顔で答えてドアを閉めました。

再度、あなたに呼び止められて振り返ると、車の窓から名刺を一枚渡されたのです。





No.8 16/10/15 23:13
自由人 

あなたの名前は

たちばな こうへい

漢字で書くと

立花 耕平

初めて会った日からしばらくたって

「漢字二文字の立花さんで良かった。
漢字一文字の橘じゃなくて良かった。
だって結婚したら
橘 楓になっちゃうもの。
立花 楓の方がバランスがいいでしょ。」

なんて私が言ったら、あなたは涙が出るほど笑ってましたね。




No.9 16/10/15 23:16
自由人 

高校生と社会人。

言うほど付き合いは簡単ではなく、私たちはあっさり別れましたね。

あなたは地方に転勤になり、私も進学で地元を離れたのです。




No.10 16/10/15 23:21
自由人 

さよならを言ったのも、このススキが揺れる河川敷。

「N県に異動と辞令が出たんだ」

「じゃあ、メールもLINEもいっぱいするね」

「ありがとう。でももう連絡するのは止めよう」


No.11 16/10/15 23:24
自由人 

「どうしてっ?」

大きな声を出してしまう。

秋の青い空がうらめしい。


No.12 16/10/15 23:27
自由人 

「N県には、妻がいる。あと子どももいるんだ。」

「えっ?」

「黙っていてすまなかった」

「・・・・・うそ」

「うそじゃない」

そんな事言いながら、わたしを抱きしめる。

あなたの温かさは本物なのに
唇からは嘘ばかりがあふれていたのを
初めて知った。


No.13 16/10/15 23:33
自由人 

秋の日の悪夢だった。

落雷に打たれたような衝撃だ。

落雷には雷神ではなく、悪魔が入っていて、

その悪魔がわたしに乗り移る。



「じゃあ、奥さんとわかれて」



悪魔がわたしの唇と舌を、勝手に使った。

そして、そのままあなたに強引にキスをした。


No.14 16/10/15 23:36
自由人 

あなたが私を離そうとする。

「ごめん。」

そう言いながら、体を引きはなそうとする。

私はそれを許さない。

強引に、激しく、舌も入れて、胸をあなたに押し付けて、全身全霊であなたを誘惑した。


No.15 16/10/15 23:39
自由人 

抵抗しながらも、あなたは私に堕ちていく。

両腕をあなたの首に回し、歯があたるほど激しく唇を押し当てて、あなたの脚の間に私の太ももをねじ込んだ。

抵抗する力が弱くなり、あなたは私に籠絡された。


No.16 16/10/15 23:41
自由人 

あなたの息が荒くなり、私の体を抱きしめた。

「あ、ああ、楓・・・・・」

その声でもう、私は十分だった。


No.17 16/10/15 23:43
自由人 

「今までありがとう」

そっとあなたにささやく。

「え・・・・?」

「今日で終わりにしに来たのでしょう?」

「・・・・・・・・・。」


No.18 16/10/15 23:49
自由人 

「いいよ。別れてあげる」

「せっかく、推薦で大学決まったし、私もちゃんと行かなきゃ。」

あなたの頬に軽くキスをしてから、素早く体を離した。
あなたの腕が虚空をかくのを、悲しく見つめる。

「楓。おれ、本当にあいして・・・・・」


「言わないで!」

私はあなたの言葉を激しく遮った。

「言ってはいけない」








No.19 16/10/15 23:50
自由人 

あいしてる

何度でも言います。

わたしは

あなたをあいしてる

でも、あなたはそれを言ってはいけない。




No.20 16/10/15 23:55
自由人 

だって、あなたは待つひとがいるから。

さよなら。

17で始まって、18で終わった思い。

さよなら。

スーツが似合う素敵なひと。

さよなら。

秋の風と一緒に吹き抜けていった恋。

さよなら。

綺麗なわたし。

こんにちは。

悪魔なわたし。


秋の日差しに照らされた
黄金色に輝くススキを見るたび
私は、今日を思い出す。



あいしてる

何度でも言います。

わたしは

あなたをあいしてる

でも、あなたはそれを言ってはいけない。


ーFINー






投稿順
新着順
主のみ
付箋
このスレに返信する

小説・エッセイ掲示板のスレ一覧

ウェブ小説家デビューをしてみませんか? 私小説やエッセイから、本格派の小説など、自分の作品をミクルで公開してみよう。※時に未完で終わってしまうことはありますが、読者のためにも、できる限り完結させるようにしましょう。

  • レス新
  • 人気
  • スレ新
  • レス少
新しくスレを作成する

サブ掲示板

注目の話題

カテゴリ一覧