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レス11 HIT数 1401 あ+ あ-

名無し
16/08/29 17:42(更新日時)

時々、覗いてみる。

No.2370732 16/08/27 21:45(スレ作成日時)

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No.1 16/08/27 21:48
名無し0 

ぐいんぐいんと、頭の奥を押されてるような痛み。
あ、きたな、と、私は思う。

初めての時は、5年前だったか、暑い日だった。
区役所に用があって、帰ってくるなり頭痛と吐き気がして、熱中症かなと思った。
ベッドに横になると天井が回って、めまいが〜とか思いながら、頭痛や吐き気がましになってきたから、その浮遊感を楽しんでた。

ら。

No.2 16/08/27 22:00
名無し 

いきなりそっと背中を押されてハッとする。
私は建物の前に立っていて、その中へ促すように、隣に立つ夫が背中を押したのだった。

なんか、これから辛い思いをする私を励ますような、自分も辛いけどお前の方が辛いだろうから俺は微笑むよ、みたいな顔してる。

夫なんだけど…なんか…ちょっと細い。
あ、うちの夫少し太ってるから。

スーツも、黒っぽい布地にサテンみたいな光沢のある太い深緑色のストライプが入ったやつで、襟元がなんかごばごばして変な感じ。

でも、私も同じような黒に赤黒いストライプのワンピース着てた。
なんだろ、ハイジのロッテンマイヤーさんが着てるみたいなやつ。

なんだかすごくお金持ちっぽかった。

No.3 16/08/27 22:14
名無し 

私は「なんだここ、変な服」って思ってるんだけど、身体の方はこの世界を受け入れてるみたいで、夫とわけ知り顔で頷きあったりしてる。

夢を見てる私の脳内から、冷静な私が見てる、みたいな感じだった。

というか夢かもしれないけどね。

だから周りをよく見たわけじゃないけど、その街は全体的にセピア色っぽい空気をしてて、ごみごみしてて、重苦しかった。

とても高い建物ばかりで、でも都会で見る高層ビルみたいのではなく、うーん…
ビルとビルの隙間に、古くて細長いビルが挟まってる光景って見たことある?
ああいう、古くて、細長くて、耐震アウトだろうなみたいな建物を、やったらめったら高く建てちゃったみたいな。
そしてそんな建物ばかりが密集してる。
道も狭くて細く、車は走れないし見当たらない。

そして私たちが入ろうとしてる建物は、白っぽくなんか病院みたいな感じで、押しても引いても開くような両開きのドアがある。

No.4 16/08/27 22:22
名無し 

すると、そのドアが空いて中からベビーカーらしきものを押した女性が出てきた。

それはホームセンターにあるような大きい手押しカゴみたいなサイズで、ブリキのような金属の楕円形の箱のようなところに、白い毛布に包まれて赤ちゃんが乗ってた。

赤ちゃんと言っても、幼児くらいかな。

ニコニコ笑って可愛い男の子だった。

私たちは道を譲りながらその子に微笑みかけ、母親にも会釈した。
おそらく同じ用件でここに来たんだと思う。

私は夫に優しく腰を押されながら中に入った。

その時私はお腹を抑えていて、ああ、妊娠してるんだなってわかった。

No.5 16/08/27 22:35
名無し 

中はすごい狭くて、窓には茶色い木製のブラインドがかかってて、でも電気の明かりもなく、そのブラインドから差し込む黄濁した光だけだった。
ても、多分私の身体はその世界に慣れてるのか、それで十分見えた。

入ってすぐ黒檀のような黒い受付台があり、クッキーのパッケージにいそうな太った赤髪のおばさんが、真っ黒なナース服みたいなのを着て立ってた。

夫が前に出て受付をしてる間、私はドアのすぐ脇にある小さな腰掛けに座って待ってた。
このとき私は(私の身体は)落ち着かなげにキョロキョロして、ガラスを見て自分の顔をチェックしたりしてた。

そして私はこのとき、私が帽子をかぶっていることを知る。
髪は長くて、ハーフアップみたいな髪型に小さなレース付きの黒い帽子を載せてた。
口紅がものっそい濃かった(笑)

夫が戻ってきて微笑みながら頬を撫でてきて、(あ、これは実際普通にやるので違和感なく笑)私もうん、みたいに頷く。

すぐに名前を呼ばれる。

「サイトウさんどうぞ」

あっサイトウなんだ(笑)と思った。
実際は藤はつくけど別の名前。

No.6 16/08/27 23:14
名無し6 ( ♀ )

ありがとうございます
素晴らしい小説でした

特にラストで恋人がマックポテトを半分こしあうシーンは涙無しには見られなかったです

素敵な作品を本当にありがとうございました

No.7 16/08/28 07:36
名無し 

>> 6 酷いです。

No.8 16/08/28 15:38
トムとジェリー ( 50代 ♂ ym9Gnb )

腹減るワールド(笑)

No.9 16/08/29 17:20
名無し 

狭い階段は茶色い、銅板のような金属製で、ガンガンと音がした。
なんども折り返しながら続いていて、6階くらいまで登った。
でもやっぱり、私の身体はこの環境に慣れているらしく、お腹を気遣いはしたが疲れるほどのことはなかった。

黒っぽい木製のドアがあって、ガラス窓のところには内側から黄色っぽいカーテンが引かれ、カタカナに似た字で何か書かれてた。

海外ドラマの探偵の事務所っぽい、というのが私の印象。

私たちはノックせずにドアの前に立ち、やがてドアが開いて初老の男性が迎え入れてくれた。

「やあどうも」
みたいな、気さくな感じだった。
白衣を着ててその下にはサスペンダーのついた、やはりストライプのズボンを履いているのだけど、胸の下あたりまで股上があって、オーバーオールみたいになってて、変なズボンだった。

中はやはり薄暗く、ブラインドが降ろされていた。
部屋の真ん中に、壁から伸びるカウンターのようなテーブルがあり、ドアを開けてくれた人と、もう一人メガネの若い男性が向こう側に座り、私たちは扉に近いところに座った。

左の壁には光る掲示板みたいな、病院でレントゲン見せてもらう時のやつがあって、透明のシートに文字やグラフが書かれたものがベタベタ貼られていた。
でも、何が書いてあるのかはわからなかった。

No.10 16/08/29 17:33
名無し 

私たちは向かいの2人にペコペコとお辞儀をした。
「体調はどうですか?」といった、妊娠の状況に対する質問をいくつかされ、私は恐ろしいほど社交的に「はい、おかげさまでどうのこうの〜」と流暢に喋った。
(こっちでは上がり症でテンパるのに)

「さっそくですけれども、」
やがて初老の男性が言った。
「赤ちゃんは男の子です。それで、やはりAPナントカ(ここはよくわからなかった)の兆候が見られます」

私は覚悟していたらしく、何度か小さく頷いた。
夫も、そうか、仕方ないな、程度の頷きを見せる。
どうやら、障害の一種らしい。

すると、若い眼鏡の男が脇の棚から1メートル四方ほどのブリキ製のような金属の箱を取り出してカウンターに乗せた。

初老の男性は私たちに説明を続ける。
「まぁそれ自体は、生活に支障が出ることはありません。ただ、やはり顔に特徴が出る障害ですからね。そこが、この障害の大きいところなんです」
言いながら箱の蓋を開けた。
なんかボタンを押して捻って押す、みたいな複雑な鍵がついてた。

箱の中には、青白い、男の子の顔が6つ入っていた。

No.11 16/08/29 17:42
名無し 

顔というのか、お面というのか。
箱の中は硬いゼリー状のようなものに満たされていて、その中に6つの顔がある。

目も口も閉じているその顔は、それぞれ違ってはいるんだけど、あまり個性のない顔をしていた。

「まぁしかし、今はこういった一般的なお顔を移植することで、ほぼ解決ですわ。どうです、なかなかイケメンでしょ?お好きな顔をお選びいただいて、手術も簡単なものですよ」
ちょっと軽い口調で初老の男性が言う。

「わぁすごいですね…」と夫が言った。

だけど私は、その当たり前のように手術すればオッケー、という流れに疑問を抱いているようだった。

「ねえ、手術しないといけないのかな」
と夫に言った。
夫は私を見て、すぐに色々と察したのか、うーんと口をつぐんだ。

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