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花火22話

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小説家
16/06/26 23:54(更新日時)

俺は、数日後に、マンディロンの3rd
シングルのレコーディングを控えて、一人悩んでいた。

裕太の"夏songじゃないんだね！"という言葉と、柳之助に言われた、
"ホライズンとマンディロンのイメージは、対称的か？"という言葉。

初めに、ホライズンの柊木健太さんに、
デビュー曲の評価をもらった時、
マンディロンらしくて良いって言われて。
少し複雑だったのを、今も覚えている。

そこで、俺は、何曲か夏songを作ってみて、それを、裕太と柳之助に提示することにした。
マンディロンらしさは、模索中だが、思いのままに作れたとは思うから。

ハワイアンブルー
　　　　　　作詞長谷川圭介
　　　　　　作曲長谷川圭介

常夏の楽園なんて行ったことがなくて
ロシアンブルーの濃い青が
僕の好きな青だけど
あんな透き通るほどの青は
見たことがなかった

ハワイアンブルー
かき氷と海風が僕の夏の始まりで
夏の地平線はどこまでも澄んでいて
青の青さに消されてしまうよ

オーシャンビューの絶景に心まで
青に染められて
鼻先を海風がかすめていく
おいでよ！誘われるままに僕は
海辺の道路を急いで渡り
砂浜を転がっていくよ

ハワイアンブルー
太陽の光も雲の白さも
今日は絵の具の色から抜き取って
180度のパノラマを全部青で描いていくのさ

今日１日はすべてを忘れて
ハワイアンブルーで消してみようか
ハワイアンブルーで先の先まで見えないくらいに
明日のこともついでに忘れてみませんか？

陽気なラテンmusicに心踊らせ
アロハーな空気に心癒され
ハワイアンブルーが僕に問いかけるんだ

人生って不思議だよね？

｢俺は、このハワイアンブルーでいきたいけどな。少し、ベースも、ギターもアレンジしてみて。これ、ウクレレとか、なんか他の楽器加えたいな。｣

柳之助は、腹一杯食った後に、まだ、マックのポテトを口にして言った。

俺は、裕太の方を見ると、なんだか申し訳なさそうに

｢俺が、うっかり口にしたばかりにゴメン。でもでも、このハワイアンブルーって曲、すっごく気に入っている。マラカスとかコンゴとか、そっち系の打楽器だよね。
リズムは、あんまり早くないほうが良いかな？モノクロと違って。｣

裕太は、話していくほどに嬉しそうだった。

片桐さんも、３rdシングルは、これでいこうというので、まぁ、正式決定ということになった。

片桐さんから、そのうち、ホライズンのようにマンディロンも、CMsongじゃないか？って言われて。
ホライズンのようにかって、苦笑い。

｢なぁ。圭介。こういう歌詞って、どこで思いつくんだよ。長谷川ワールドだよな！
圭介。マンディロンをヒットさせてくれよ、な!？｣

柳之助は、バンバンと痛いくらいに背中を叩いた。
それを、裕太は微笑ましく見ている。

マンディロンらしく
そんなことを気にしているうちは、ダメなのだろう。
ホライズンの柊木健太さんの言っていた、
孤独というものが、最近、チラッと姿を見せてきた。

｢圭介くん。ホライズンというものが、
一人歩きを始めて、バンドというものを
もう一度考える時がくる｣

俺は、ふざけて笑点の真似をしている、
裕太と柳之助を見て、大爆笑していた。