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ひろ( OiFWnb )
16/08/22 13:05(更新日時)

10年前…

高三の夏、佐々木勇介は二度目の告白していた。

「俺、やっぱり美紀が好きなんだ
あと半年経てば卒業だろ
そしたら別々になる
俺、美紀の側にずっといたいんだ
だから俺と付き合ってほしい」

しばらく沈黙が続いた…

美紀が口を開いた
「ごめんなさい…
勇介の気持ちは凄く嬉しい
でも…でも付き合うことはできない
ほんとごめんなさい」

「なんでだよ、ちゃんと理由教えてくれよ。前も教えてくれなかったし
俺のこと嫌ならそう言ってくれれば
いいじゃん」

「違う…そうじゃない
話せる時が来たら話すからそれまで…」
美紀が話している途中に勇介が
「わかったよ、もういい」
そう言って勇介はその場から立ち去った

この日を境に勇介と美紀の距離は遠くなっていった。会話も少なくなっていき
気がつけば卒業の日を迎えていた
卒業式も終わり最後のホームルーム
そしてみんなとの別れ…
勇介の心は晴れていなかった
そう美紀こと…美紀への想いは何も変わっていなかった





No.2328341 16/05/02 08:21(スレ作成日時)

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No.1 16/05/02 09:39
ひろ ( OiFWnb )

全てが終わり勇介が一人で校門を
出た時だった
誰かが勇介の前に現れた
それが誰かは勇介にはすぐにわかった
そう美紀である

「とうとう卒業だな」勇介から話かけた

「うん…」

「どうした?」勇介が聞くと

「これ…」美紀が手紙を差し出した

「家に帰ったら読んで」

勇介がその手紙を受け取ると

「今までありがとう…元気でね」

そう言うと美紀は走って勇介の前から
離れていった。勇介はただ美紀の後ろ姿を見ていただけだった

家に着くと勇介はすぐに美紀からの
手紙を読み始めた
そこには勇介の気持ちに応えられない
理由が書かれていた
書かれている内容は驚きと共に
理解できるものではなく
勇介には納得できなかった…
でも、もうどうすることもできなかった







No.2 16/05/02 12:48
ひろ ( OiFWnb )

決断…

勇介は高校卒業後は地元で就職
美紀は東京の大学に進学していた

勇介はアパートを借りて一人暮らしをしていた。何も変化のない毎日を過ごしていた
ただ美紀への想いだけは変わらず、いや前よりも増して残っていた。

二年が経ったある晩のこと
勇介はふと美紀からの手紙を読み返していた
すると今まで気にも留めなかったある一行のあるフレーズに目がとまった
それと共にさっきまで見ていたテレビが頭に浮かんだ

「これだ!」勇介は閃いた
「これしかない」
すぐに決断した。

この閃きによって勇介の人生が大きく変わる事となる

一ヶ月後勇介は会社を辞め東京に向かった


No.3 16/05/02 17:08
ひろ ( OiFWnb )

出会い…

太陽と電車の音で美紀は目を覚ました
「いま何時かなぁ」
そう思い壁に目を向けた
しかしそこにあるはずの時計がない
いや、部屋の模様が違う…
それに電車の音…?
「えっ、ここはどこ」
そう思い美紀はベッドから体を起こした
再びビックリする
そして青ざめた
服を着ていない…下着姿だった

部屋を見回してみる
周りを見る限り女性の部屋と思われる
ベッド横の壁には美紀の服とスカートが掛けられていた
「ここはどこ…私になにが…」
そんなことを考えていると
玄関の開く音がして誰かが入ってくるのがわかった。
美紀は体に力を入れ身構えると恐る恐る足音の方へ目を向けた

そこに現れたのは細身で髪の長い綺麗な女性だった

No.4 16/05/04 22:51
ひろ ( OiFWnb )

「あっ、目が覚めたんだね
ちょっと買い物に行ってたの
今、コーヒーいれるね」
淡々と話す女性を美紀は返事もできずにただじっと見ていた
彼女がそれに気づいた

「あっ、私は誰って思ってるでしょ
昨日ちょっと話たんだけどね…
まあ、あれじゃあ覚えてないかな〜」
そう言って彼女は微笑んだ

美紀は昨夜のことを思い出そうとしたが、なかなか思い出せなかった

「私、冴木優子 よろしくね」

「私は…」美紀が話そうとすると

「青山美紀さんだよね」と優子

「はい…私どうしてここに…」美紀が聞いた





No.5 16/05/06 12:04
ひろ ( OiFWnb )

「昨日私が帰宅した時、アパートの前にしゃがみこんでいたの。すごく酔ってて、声かけたら立ち上がって歩き出したけどフラフラしてて、このままじゃ危ないって思ったから部屋へ連れて行ってたの。まあ、階段上がるのに苦労したけどね」
優子は笑いながら言った

美紀は思い出そうとしていた
「昨日は会社の飲み会だった…みんなと一緒にお店出て、そこで別れて私一人で帰途についたはず。それから…う〜ん覚えていない。
そんなに酔ってたかなぁ〜」

しばらくすると優子がまた話し始めた
「それでね、部屋に入ってお水一杯飲んで少しお話ししたの。そしたら急に服とスカート脱いでそのままベッドに入って寝ちゃったんだよ」

「えっ、あ、ごめんなさい。私凄く迷惑かけてる…ほんとごめんなさい」
美紀は謝るしかなかった。それに服を自分で脱いだことを知って恥ずかしくなった

「それに優子さんの寝るところまで占領しちゃって…」

「いいの、いいの私はそこのソファーに寝たから。よくあることだから気にしないで」

美紀は優子さんには悪いことしたなぁと思いつつベッドから起き上がると服を着た

No.6 16/05/06 16:07
ひろ ( OiFWnb )

ヤカンのお湯が沸いたころ優子は思い出したことを話し始めた
「そうそう、昨夜何回も携帯電話鳴ってたの
あまりにかかってくるから何か急用だったら困ると思い一回でちゃった…ごめんなさい。でも、私が出たら何も言わずに切れちゃってそれ以降はかかって来なかったの」

美紀は慌て携帯電話を確認した
電話が5回、メールが1通
「えっ、うそ…ヤバイ…」
確認して美紀の態度が急変した
「どうして勝手に電話にでたの、他人の電話なのに」美紀は大声で優子に言った

そしてメールの内容を確認すると、慌てて荷物を持つと何も言わずに部屋を飛び出して行った

No.7 16/05/09 11:46
ひろ ( OiFWnb )

二日後、美紀は優子のアパートを訪ねた

ピンポーン、

「はーい」インターホンから優子の声

「あっ、美紀です」

「あっ、いらっしゃい、いま開けるね」
ドアが開くとそこには笑顔の優子がいた

美紀は緊張していた
「先日は何も言わずに帰ってしまったのでこの前のお礼とお詫びをしたくて…」

「うん、とりあえず散らかってるけど中に入って」そう言って美紀を部屋に招き入れた

「ペットボトルだけど冷たいお茶でいい?」

「あっ、はい」

「今日は来てくれて良かった〜私も謝りたかったの。でも連絡先聞いてなかったからどうしようかと思ってた。勝手に電話出て本当にごめんなさい」優子が先に謝った

「いえいえそんな…謝るのは私の方です。お世話になったのにお礼も言わずに、しかも大声まであげて…私の方こそ本当にごめんなさい」美紀は深々と頭を下げた

「じゃあ、お互いもういいことにしましょう」優子が笑顔で言った

「でも大丈夫でした?電話でちゃって」

「あっ、うん、大丈夫ですよ。心配しないでください」

「あ〜なら良かった〜」
優子は大きく息を吐いた
「もうどうしようって、私悪いことしちゃったって心配でしょうがなかったの。大丈夫なら良かった〜でもその左手どうしたの?怪我?」

「あ〜これは昨日転んじゃって…大げさにみえるけど大した怪我じゃないの」

美紀の左手には包帯が巻かれていた








No.8 16/05/10 09:11
ひろ ( OiFWnb )

「美紀さんって何歳?」突然優子は聞いた

「私は28ですけど…」

「あ〜同じだ〜私も28なの。で、お仕事は何してるの?」

「この近くの会社で事務の仕事してます」

「OLさんか〜いいなぁ〜」優子が羨ましがっていると今度は美紀が聞いてきた
「優子さんのお仕事は?」
「私は夜の仕事。まあ昼もバイトしてるけどね」優子は答えた
「今日もこのあと21時から仕事なの」

「あっ、じゃあこんな長居しちゃって…ごめんなさい」

「いいのいいのまだ大丈夫だから」

「でも、やっぱりもう帰ります」そう言うと美紀は立ち上がった

「ねえ、じゃあ携帯番号とメアド教えて」
優子が言うと美紀は何かを考えているようだった…少し沈黙が続いた
優子が切り出す
「ん、ダメ?ダメならいいよ」
すると美紀が話し出した
「うぅん、ダメじゃないよ、いいよ。でも火、木、土の夜は電話もメールもしないで、それだけは約束して下さい」

「うん、火、木、土ね!了解」

そして番号とメアドを交換すると美紀は帰って行き、優子は仕事の支度を始めた







No.9 16/05/10 11:51
ひろ ( OiFWnb )

連絡先を交換してから何回かメールのやり取りがあり、少しず仲良くなっていった
もちろん火、木、土は連絡なし、このことに関して優子は何も聞かなかった

「今度家に遊びに来ない?」
そんなメールを優子は美紀に送った

美紀からすぐに返事がきた
「じゃあ、今週の金曜に行くね」

「了解。その日は夜の仕事休みにする。美紀ちゃん来るの待ってるよ」

金曜19時、美紀は約束通り優子のアパートにやって来た。手にはワインを持って…

「今日これ飲もう」持ってきたワインを優子に見せた
「いいね〜でもこれって高いワインじゃない?いいの」
「いいの、貰い物だし、一人じゃ飲みきれないしね。今夜はこれで乾杯しよ」

「じゃあ、ワインに合ったもの作るね」
そう言って優子はキッチンの前にいくと料理を作り始めた

しばらくしてテーブルに料理が並んだ

「さあ、席に着いて」そう言うと美紀はワインをあけた

「じゃあ、乾杯しよ」と美紀

「何に乾杯」優子が聞く

「う〜ん、私と優子ちゃん2人に!だってこんなに仲良くなれるなんて思わなかったし」

「そうだね」優子はニッコリと微笑んだ

カンパーイ!

「ねえ、何かいいことあった?」
優子が聞いた

「何で?」

「なんか今日はご機嫌だなって思って」
優子の言うと美紀が話し始めた

「最近嫌なこと沢山あって、でもいつもは電話かメールだけど今日は優子ちゃんに会えると思ったら嬉しくなっちゃって…なんか優子ちゃんと話してると落ち着くに楽しい。居心地がいいっていうか、昔からの知り合いみたいな感じがするの」

「嬉しい〜私で良かったら何でも言って、相談とかものるから」

美紀と優子の距離がだんだん近づいていった

No.10 16/05/11 11:51
ひろ ( OiFWnb )

2人ほろ酔い気分で盛り上がってきていた

「ねぇ、美紀ちゃん彼氏は?」
優子が突然聞いた

「彼氏?いないよ」美紀はすぐに答えた

「また〜美紀ちゃん可愛いし、絶対モテるでしょ。告白とかされたでしょ」

「ないない、全然モテないよ。告白なんて高校の時にされたくらいだよ」

「そうなんだ〜で、その高校の時告白された彼はどうしたの?」

「別にどうもしないよ。付き合わなかったから…」少し美紀の声が小さくなった

「もう、私のことはいいよ〜優子ちゃんはどうなの彼氏は…?」

「私もいないよ。ずっと…」

「優子ちゃんこそ綺麗だし、料理もできるし、男の人がほっとかないでしょ」

「もう全然ないない」
優子は笑いながら大きく首を振った
そして急に真顔にもどると
「私ね、ずっと好きな人がいるんだ〜まあ、むくわれないけどね…」とポツリ
「あ〜ごめん、この話はもういい」
そう言って優子が笑顔を戻すと思い切って火、木、土の事を口にした

「私、美紀ちゃんと連絡出来ない火、木、土曜日って、てっきり彼氏と会っているんだと思ってた」

これを聞いた瞬間、美紀の動きが止まった
そして優子をじっと見つめた



No.11 16/05/14 11:40
ひろ ( OiFWnb )

告白…

美紀はしばらく優子を見つめていた
優子は「何かまずい事言っちゃったかな」と内心ドキドキしていた

どのくらい経っただろうか…ようやく美紀が口を開いた

「優子ちゃんには話そうかな、他に相談できる人もいないし」と美紀が切り出した

「何?、何でも言って」と優子

「私ね、いま付き合っている人がいるの」

「えっ、でもさっき彼氏いないって…」
優子が首をかしげると

「うん、ちょっと驚くかもしれないけど…」そう言って話を続けた

「実は私ね、同性が好きなの。つまり女性が好き。昔からのずっと好きになるのは女性ばかりだったの」ついに美紀は自分の秘密を告白した

話しを聞いた優子は全く驚くこともなく
「いいじゃない、好きになるのが女性なだけ、別に変な事ではないと思う」と笑顔で答えた

「驚かないの…」
美紀の方が逆にビックリした








No.12 16/05/15 02:30
ひろ ( OiFWnb )

「どんな人?今付き合っている人」
優子が聞いた

「私より2つ上で付き合ってもうすぐ3年になるの」そう言って携帯を取り出して相手の写真を優子に見せた

「綺麗な人だね、こんな人がタイプなんだ」優子は微笑んだ

「あっ」優子が何かを思い出した

「もしかしてあの時の電話…彼女?」
そう酔って優子のアパートに初めて泊まった日の夜に何度もかかってきていた電話である

「うん、そうだよ」美紀はうなずいた

「やっぱり電話出たのまずかったよね。もし私だったら誰なのかすごく気になるし…」

「実はね…これ」
美紀が1通のメールを優子に見せた

〈昨日電話に出た女性は誰。もしかして…そうだったら許さないよ〉

「えっ、怖い…誤解してるじゃん」優子は驚いたと同時にこれなら美紀ちゃんも怒るわけだとあの時の美紀の態度に納得した

「美紀ちゃん大丈夫だったって言ってたけどこれはどうみてもまずかったよね」優子か聞くと

「あの日、大ゲンカだった…ちゃんと説明したんだけど、なかなか納得してくれなかったの。もともと嫉妬深い人だから…」

「ごめんね、私のせいだよね。もしかしてあの時の左手の怪我って喧嘩でしたの?」

「突き飛ばされた時にちょっとね、ほらもう大丈夫。怪我の跡も残ってないし、だから優子ちゃんは気にしないで」
美紀は笑顔を見せたが最後にポツリとつぶやいた

「でも、最近上手くいってないんだよね…」






No.13 16/05/16 08:40
ひろ ( OiFWnb )

上手くいってない…それを聞いた瞬間、優子の中で何かのスイッチが入った

「3年も付き合っていればそんな事もあるんじゃない」

「う〜ん、まあそうなんだけど…」美紀は悩んでいた
「好きなんだけど、なんかお互い冷めてきたような気がして…前は喧嘩とかしても決して暴力はふるわなかったけど最近はすぐに手を挙げたり物投げてきたり…そんなにイライラさせてるのかなって、このまま付き合ってていいのかなって考えちゃう」美紀は今思っていることを口に出して言った

優子は何も言えずにいた

「そんなん時に優子ちゃんと出会えて仲良くなれて…優子ちゃんといると凄く落ち着くの」美紀が笑顔で優子に向かって言った

これを聞いた優子は気持ちの高ぶりを抑えられなくなった

「離れてみれば」優子が切り出した

「でもきっと彼女は納得しないと思う…」

「そんなのわからないじゃない、美紀ちゃんがそんな悩むことないよ」

「でも…」美紀はうつむいた

「私が守ってあげる」優子が急に言った

「えっ…」美紀は優子言葉に驚いき、そして優子を見た


No.14 16/05/17 10:34
ひろ ( OiFWnb )

優子の告白…

「私が全力で守ってあげるから…だから」優子が話している途中だった

「だから何?別れろっていうの。アヤの事、いや私たちの事何も知らないのに簡単に言わないでよ」美紀が少し強い口調で言った

「知らないよ。2人の事は何も知らない。でも、でもね簡単になんて言っていない。だって、だってずっと前から美紀が好きだったんだから…」

「えっ何?ずっと前からって…前から私のこと知ってたの?」美紀はまた優子が言ったことに驚いた

「知ってたよ。
もう10年も前から…」

優子から10年前からとの返事に美紀は動揺した

「えっ、10年前ってどういうこと」

「まだ早いかなって思ってたけどもう話すね、いつかは話さなければと思っていたから…」そう言うと優子は深呼吸を1回大きくした

「美紀は全然気が付いていないけど、私いや僕、勇介だよ」
優子の口から衝撃的な告白がされた

「ゆ、ゆ、ゆうすけ…えっ?何、
うそ…」
美紀は驚きのあまり声を失った…

目の前にいる女性が勇介だなんて信じられるわけもない

「ホントに勇介なの?どういうこと…」

美紀の頭の中がパニックになっていた

「うん、勇介だよ」

そう言って勇介は立ち上がると隣の部屋へ行き1通の手紙を持って美紀のもとに戻ってきた

「これ」

勇介が美紀に手紙を差し出した

「これって…」

美紀はそれが何なのかすぐにわかった

そうこの手紙は高校の卒業式の日、美紀が勇介に渡した手紙だった


No.15 16/05/19 08:32
ひろ ( OiFWnb )

目の前にいるのは容姿はもちろん声までもが完璧な女性。美紀はどうしてもそれが勇介とは思えなかった

「この手紙が私の人生を変えたんだ」
勇介がポツリと言った

「でもこれはただ私の気持ちを勇介に伝えるための…」美紀が小さく呟いた

「そう美紀は何も悪くないよ。私が勝手にしたことだから…」そう言って勇介は美紀を見つめた

勇介をここまでさせた手紙とは…


勇介へ

いよいよ卒業だね
あの夏以来お互い話すことも減ってしまったね。でもその原因が私だってことわかってる
勇介にちゃん話してないもんね
やっぱり勇介には話さなければいけないと思ったから手紙を書くことにしました
勇介の気持ちに応えられなかった理由それは
実は私、同性が好きなの。女の子が好きってこと。昔からのいつも好きになるなのは女の子だった
でもね、勇介から告白された時は嬉しかった
そして悩んだの
人を好きになるなのに男も女も関係ないそう思って勇介の気持ち受け入れようって
でもやっぱり違った
勇介が女の子に生まれきていたら
女の子だったら良かったのに…
そうなふうに考えている自分がいて
何故女の子じゃなきゃダメなの、何故…
自分に聞いてみても答えたは出ない
ただ私の心が求めている、
求めているのが男性ではないとしか言えない
私はきっとこの先も男性ではなく女性を好きになると思う
これを読んで勇介が納得するかわからないけど、これが勇介の気持ちに応えられなかった理由です
この先必ず勇介には良い人が現れるよ
だから元気に頑張ってね
じゃあね 美紀


これが手紙の内容だった

そして勇介がこれまでの事を話し始めた…

No.16 16/05/21 08:37
ひろ ( OiFWnb )

「高校出てから2年は普通に働いていたんだ
美紀への想いは消えずにずっとあったよ
ある晩この手紙を読み返した時があって
その時にそれまで気にもしなかったある文章で気持ちが動いたんだ
<女の子に生まれきていたら、女の子だったら良かったのに…>
この一行
ちょうどテレビてニューハーフの方がでている番組をやっててそれを見たら
”女の子になればいいんだ”
単純にそう思った
動機としたら人からみたら信じられないことかもしれないけど、そう思ったらいてもたってもいられなかった
この先美紀に逢える保証もない、たとえ逢えたとしても受け入れてくれるかもわからない
そう思っても美紀への想いはが強すぎて止まらなかった
そして会社を辞めて東京へ来たの…
本当の女にはなれないけど、
近づけるように頑張ってきた
嫌な思いも辛い思いも沢山あった
でも自分で決めたことだから…
そして8年経って今やっとここまできたの」

勇介は話し続けていた
美紀はそれをただ黙って
聞いているだけだった







No.17 16/05/24 18:53
ひろ ( OiFWnb )

勇介は美紀を見つめながら話を続けた
「自分が優子へとかわっていくにつれ
後は美紀にどうしたら逢えるか
そればかり考えていたよ
そしてあの日…信じられない出来事が起きた
そう美紀と出会えたんだ」

「えっ、私がこの街に住んでいるの知ってたからここに来たんじゃないの」美紀が聞いた

ううん、勇介は首を振った

「今の仕事がこの街だから1年位前に前に引っ越してきたの、だからあの日アパートの前にいる女性に声を掛けて顔を見た瞬間ビックリした。すぐに美紀だってわかったんだもの…ホントに偶然だった…神様っているんだと思ったよ」

美紀には信じられる話ではなかったが勇介の真剣な顔を見ていると嘘をついているようにも見えなかった

「嬉しかった…嬉しくて、嬉しくて、あの日は一晩中眠れなかった。そして今日ついに変わった自分を美紀に告白できた。驚かせてしまったかもしれないけど、1つだけ言わせて」勇介は美紀の目の前にいき言った

「あの頃に負けないくらい今でも美紀の事が好きなんだ」





No.18 16/05/26 17:25
ひろ ( OiFWnb )

勇介のすべての発言に美紀は困惑していた
「こんなことあるの…ここまでするの…いま起きていることが現実なの」
美紀は心の中で問いかけた
だから今、告白されたところで何を言っていいのか答えたられるわけもなかった

「ちょっと待って」美紀が話始めた

「今、すべてを理解することはできないよ、少し時間が欲しい…」
そういいながもただひとつだけ
美紀には思うことがあった
それは優子といる時に感じたことだった
昔からの知り合いだったような感覚
そして何故か一緒にいると落ち着けたこと
それが優子=勇介だったからなんだということ

「そうだね、ごめんね。昔の同級生がこんな風に変わってるんだもんね」
穏やかな表情に戻った勇介、いやもう優子へと変わっていた



No.19 16/06/02 13:11
ひろ ( OiFWnb )

「もう帰るね」そう言って
美紀はアパートを出ていった

ひとりになった優子は今日のことを
振り返っていた

いつかは話そうと思っていた
でも早すぎたんじゃないかな…
もう少し時間をかけてゆっくり話していったほうが良かったんじゃないか
そう思っても今更もう遅い
感情に流されて勢いで言ってしまったのだ
美紀はどう思ったのだろう
こんな私を受け入れてくれるのか
これからも会うことができるのか
それを考えると怖かった
優子は少しだけ後悔していた…

気がつくと外はもう明るくなりかけていた

とりあえず美紀にメールはした
返事は来なかった…


あれから一週間、
いつもの日常に戻っていた
ただ美紀からの連絡は何もない
優子の気持ちは沈んでいた
''しょうがない”
何度も自分に言い聞かせた


No.20 16/06/03 13:22
ひろ ( OiFWnb )

美紀から連絡がないまま
10日が経っていた

優子は憂鬱な毎日を過ごしていた
この日もいつも通り仕事へ行く
支度を始めたときだった

ピンポーン

突然インターホンが鳴った
誰だろう…
優子はそう思いながら玄関へと向かった
「はーい、どちらさんですか」
問いかけたが返事がこない
「ん…?」恐々ドアののぞき穴から
外を確認した
「あっ…」
優子は慌ててドアを開けた

そこに立っていたのは美紀だった

「美紀…」話かけようとした時だった
優子は美紀が泣いていることに気付いた
「とりあえず中に入って」
美紀を中にいれると奥の部屋まで連れて行った

「ちょっとそこに座って待ってて」
そう言うと携帯を手にすると何処かに電話をかけた

「もしもし、あ、優子です。あの今日ちょっと体調が良くないので休ませてもらいます。すみません」

そう美紀が来たことでもう仕事どころではなくなっていた

「仕事休んじゃった」優子は笑って言った

「あ、ごめんなさい。仕事休ませちゃって…」美紀が小さな声で呟いた

「いいの、いいの、そんなに忙しくないし私の代わりはちゃんといるから大丈夫だよ」

優子は美紀に会えたことが嬉しかった

「どうしたの…」優子が聞いたが
美紀は黙ったままだった

優子はなんとなく察していた
彼女と何かあったんだと…
だからその後は何も聞かずに
そっと美紀を抱きしめた

美紀の目から大粒の涙が流れ落ちた



No.21 16/06/07 09:16
ひろ ( OiFWnb )

美紀は優子の腕の中で泣いていた

どれくらい経っただろう
美紀は泣き止むと同時に小さな声で言葉を発した
「守ってくれる…」

「ん、何?」優子はうまく聞き取れなかったので聞き直した

「私のこと守ってくれる」

今度ははっきり聞こえた

「もちろん、でもどうした?何かあった?」

優子は聞いた

美紀が話始めた
「アヤの態度が変わったのは1年前くらいからだった。なんとなく冷たくなって暴力を振るうようになったのは半年前。ずっと悩んだけど私は好きだったから、嫌われたくなかったから…でも、この前勇介に言われてもう一度考えてた。どこかでもうダメかもって気持ちもあったんだと…誰かに背中を押して欲しかったんだと…それがこの前の勇介だった。だから今日アヤに聞いたの、私のことどう思ってるの?今の私はアヤにとって必要なの?なぜ暴力を振るうの?他に好きな人ができたの…色々思っていたこと全部ぶつけた」

アヤから帰ってきた言葉は…

「何、何なの、私に逆らうの、あんたは私のペットなんだからペットは言うこと聞いてればいいの」

「酷い…」優子は思わず声がでた

美紀はまた涙を流しながら
「もう悲しくて、悔しくて…、もう私に対する愛情はないんだってわかったの」

優子はギュッと美紀を抱きしめると

「私が美紀を守る」

優子の目からも涙が流れて落ちた


No.22 16/06/09 08:29
ひろ ( OiFWnb )

「彼女がどんな人かわかったでしょ、だからもう別れたら…」
優子が優しく言った

「うん」美紀は小さく頷いた

安心したのか、今までの疲れなのか…
いつの間にか美紀は優子の胸の中で寝ていた
優子はその寝顔をずっと見つめた

しばらくして美紀が目を覚ました

「はっ、ごめん寝ちゃった…あ〜もうこんな時間なんだ〜」
時計は23時を回っていた
「今日はこのまま泊まっていく?」

「ううん、ありがとう、でも明日朝早いから帰るよ」

「うん、わかった」

「今日は突然ごめんね、気が付いたらここに来てたの。すごく自分勝手で都合のいいこと言ってるのはわかってる。でも誰かに頼りたかったの…」

「ううん、勝手とか都合がいいとかそんなこと私にはどうでもいい、私はどんな形でも美紀のそばにいたいの。できれば好きになって欲しいし、付き合いたい…」
優子は今の気持ちを話したがあることに気づいた
「あっ、また勢いで話してしまった…私の方こそ調子にのって自分の気持ち押し付けてる。今のは忘れて、今はそこまでは求めないから…私のことどう思うかは美紀が決めることだもんね。ホントごめんなさい」
優子は慌てて謝った

「いいの、勇介の気持ちはもう十分わかっているから謝らなくていいよ」
そう言って美紀は優しく微笑んだ


No.23 16/06/10 08:44
ひろ ( OiFWnb )

美紀の言葉が優子には嬉しかった

「本当にもう大丈夫?」

「勇介のお陰で元気になれたよ」

「も〜う、勇介じゃなくて優子でお願い」笑いながら優子が言った

「じゃあ、今から勇介は封印ね」
「うん、うんお願い」
話しをしながら玄関へと

「もう遅いから近くまで送ろうか?外見はこうでも中身は男だからいざという時には役に立つよ…たぶんね」
「たぶん…?たぶんじゃあダメじゃん」美紀が笑った
「ありがとう、1人で大丈夫だよ」
美紀が話を続けた
「話はかわるけど…優子、胸あるね」
「胸?あ〜これね」
そう言って優子は自分の胸を手で押さえ
「これ半分作り物だよ。美紀大きいもんね〜柔らかそうだし、私負けてるね」
「当たり前でしょ、私のは天然なんだから」2人は大笑いした
「それに優子すごくいい匂いがした。あと話し方や仕草を見ていてホント女の子だね」
「そうだよ!頑張ったんだから、それに…」
優子が何かを言いかけて止めた
「それにって何?」美紀が聞く
「ううん、ごめん何でもない」
「何、気になるなぁ〜まぁでもいいや、じゃあ帰るね、今日は本当にありがとう」

晴れやかな顔で美紀は帰って行った
優子も幸せな気分になって自然と笑顔になっていた

No.24 16/06/14 10:04
ひろ ( OiFWnb )

美紀がアパートを出てから15分くらいたったころ優子の携帯にメールが届いた

無事に家に着いたよ
今日はホントごめんね、
仕事も休ませちゃったし…
でもね、優子のお陰で元気でたよ
ありがとう
まだこれから色々とあると思うけど
私頑張るよ。
だって私には優子がいるもんね!
じゃあまたね、おやすみ

メールを読んで優子の顔は
自然と微笑んでいた
そしてすぐに返信をした

無事に着いたなら良かった
今日のことは気にしないで
私いつでも美紀の力になるよ
また遊びにきてね!
じゃあ、おやすみ

美紀が私を頼りにしてくれる、美紀のもとに近づいていると実感できていることがたまらなく嬉しかった

そしてやっと想いが報われる…
そんな思いが優子の中に出てきていた

また普段の日常がはじまる
先週までとは全く違っていた
優子には毎日が楽しかった
あれから頻繁に美紀と連絡が取れるようになっていた

そして土曜日の朝
美紀からメールが入った

今日の夕方優子の所へ行っていい?
話があるの。
そんなに時間はとらないから
優子も仕事だしね。

う〜ん、話って何だろう、
そう思いながら返信をした

うん、いいよ。
でも改めて話しって何?
もしなんなら仕事休むよ。

美紀からすぐに返事が来た

話は会った時に話す
それに夜は私も用事があるから…
仕事は休まなくていいよ
じゃあ、夕方行く前に連絡入れるね

うん、わかった
待ってるね

優子は少し不安を感じていた…


No.25 16/06/16 14:41
ひろ ( OiFWnb )

美紀から連絡がきたのは18時を過ぎた頃だった
遅くなってごめん、あと10分くらいで着くよ

了解、待ってるよ

そして美紀が到着
「ごめんね、買い物行ってて…なかなか決まらなくて遅くなっちゃった。優子このあと仕事だよね、ごめん」

「ううん、まだ大丈夫だよ。それに少し遅れるかもって連絡してあるから」

優子は正直心配していたが今日の美紀を見て自分の思い過ごしだったと思った

「早速だけどね、話って言うのは…」
美紀が話し始めた

「今日このあとアヤと会うの。それでね、別れを言おうと思ってる。あれからずっと考えて出した答え。一緒にいても同じ事繰り返すだけだもん。もうアヤとはやっていけないよ」

優子は話ている美紀の顔をずっと見ていた
そして美紀は決心したんだと…

「美紀が決めたならいいじゃん。私はいつでも美紀の味方だよ」
優子は微笑みながら言った

「それでね…」美紀の話は続く

「それでね、別れたら優子のところに来たいの。ホント身勝手で都合がいいのはわかってる…でも、いま私のことわかってくれるの優子だし、気がつくと優子こと考えてる。側にいたいの…ダメかな…」

美紀の言葉に優子は驚いたと同時に嬉しさがたまらなく込み上げてきた

「美紀ホントなの?私なの?ダメなわけないじゃん。こんな嬉しいことないよ」

優子には断る理由なんて何もかなった。長いこと待ち続けた瞬間がきたから…身体中が熱くなり、幸せな感情に包まれた


No.26 16/06/21 10:49
ひろ ( OiFWnb )

「じゃあ、優子のところに来ていいの」
美紀の問いかけに

「もちろん」
優子は満面の笑みで返事をした

「良かった〜」
美紀はホッとした顔を見せバックから何かを取り出すと優子に差し出した
「ん?何」
「私からのプレゼント、気に入ってくれるかわからないけど…このブレスレッドとお揃いなの」そう言って左手を見せた
「素敵〜ありがとう、でもいいの?」
「いいよ。優子には本当に助けられたしね、それにこれからもよろしくってことで!」
「うん、ありがとう大事にするよ」

「あの…私」急に優子の顔つきが変わった
真剣な顔で話し出した
「美紀、私も1つだけ大事な話があるの」
「何?」
「あのね、私、来月手術受けるの」
「えっ、何処か悪いの」美紀は驚いた
「ううん、病気とかじゃなくて…」
少し沈黙の時間が流れた
「下取っちゃうの」小さな声で優子は言った
「何?下?」美紀はわからなかった
「性転換…する」
「えっ、ホントに…」美紀は再び驚いた
「そこまでするの」
「中途半端は嫌だから。女になるって決めた時から全部と思っていたの」
美紀は一瞬固まった
「ちょっとビックリなんだけど…でも、もう決めたんだよね。後悔しないんだよね」
美紀の問いかけに優子ははっきりと
「うん」と返事をした
「だったら何もいわないよ。優子が決めたことだから応援する」
そう言って美紀は微笑んだ

「もうそろそろ行かないと、21時に約束してるの。最後くらいはしっかりしないとね」
美紀はそう言って立ち上がると玄関へと向かった。
優子も一緒に…
美紀は靴を履くと振り返り優子を抱きしめ
「私の為にありがとう」
小さな声で囁いた
優子の目から自然と涙がこぼれ落ちた

「さあ、じゃあ行ってくるね」
「無理しないでね。何かあったらすぐに連絡して」
「うん、でも大丈夫だよ」

最後にこんなやりとりをして美紀は笑顔で出て行った。





No.27 16/06/23 09:01
ひろ ( OiFWnb )

美紀が出て行ったあと優子も仕事へ行く支度を始めた

優子の仕事…水商売である
優子の今の立場上なかなか普通の仕事につくのは難しいかった
でも優子自身今の生活には満足していた

出勤時間を少し超えて店に着いた
土曜日の為、そこそこ混んでいる

「遅れてすみません」

「あっ、優ちゃんやっと来た〜こっち来て」

奈々が優子を呼んだ

奈々は年下だけど優子よりこの店は長かった

優子が呼ばれたボックスへ行くとそこには3人の男性がいた
「えっと、彼女は優子ちゃん。私は優ちゃんて呼んでるけど…綺麗でしょ〜」
奈々が優子を紹介
「初めまして、優子です」軽く挨拶をした
奈々が今度は男性陣を紹介し始める
左が江口さん、真ん中が武本さんで右が佐藤さん…優ちゃん江口さんの隣座って」
この席には優子と奈々、そして新人の未来がついていた

楽しい時間を過ごしながも優子は美紀のことが気になって仕方なかった
しばらくすると江口が優子に話しかけた
「占いとか好き?」
「占い?好きですよ。でもいい事だけ信じますけど…」優子は笑って言った
すると武本が「あ〜でた、江口が女口説くときの手口」とツッコミをいれてきた
佐藤も「そうそう」とうなづいていた
「でも、当たるんだよなぁ〜江口の占い、優子ちゃんみてもらったら」武本が言う
それを聞いた奈々が「私もみて〜」と騒ぎ始めた
優子が返事をする前に江口はすでに優子の手を取り手相を見ていた
「う〜ん、今迄苦労してるね。でも今がとてもいい、今幸せでしょ!」
奈々が「優ちゃん、そうなの?彼氏とかできた?」と聞いてきた
「ううん、彼氏はいないよ〜でも嬉しい事はあったし、今は幸せな気分だよ」
「いいなぁ〜」羨ましがる奈々の言葉のあとに江口が続けた
「でも、この運気長く続かないかなぁ〜何か大事なモノはなくすかも…」
「手相でそんなことまでわかるんですか?」未来が口を開いた
するとまた武本が話し出した
「江口は霊感なのか、なんか特殊能力もあるんだよ」
「え〜そうなの」奈々と未来は興味深々だった
優子だけは何か不安を感じていた
「私はもういいから次奈々ちゃん見てあげて」そう言うと
「ちょっと失礼します」席を立った










No.28 16/07/02 08:20
ひろ ( OiFWnb )

席を立った優子は奥の部屋で携帯を確認した
美紀からの連絡は入っていない
こっちからメールを送ろうとして途中で止めた
美紀からくるのを待とう…そう決めた

優子が席に戻るとみんな盛り上がっていた
「ごめんなさい」そう言って席に着くと
「ねえ、聞いて〜」奈々が優子に話しかけた
「未来ちゃん今年相手見つかるんだって、私は5年後なんだって〜ズルくない」半分膨れ顏の奈々
「5年後って私はいくつになるのよ、じゃあ今好きな人とはダメってことでしょ」

「えっ、奈々ちゃん好きな人いるの…それショックだなぁ〜」
佐藤が言うと、そこから武本、佐藤、奈々、未来の4人が一段と盛り上がる
優子はそれを微笑んで見ていた

江口だけは優子を見ていた
「さっきは何か気に触ること言っちゃったみたいでごめんね」江口が優子に話しかけた
「ううん、全然大丈夫ですよ。さっきも言ったけど私はいい事しか信じないから…それよりも奈々ちゃんショック受けてるから何か良い事言ってあげて」

「そうだね」江口が笑った
そして奈々に向かって話しかけた

「奈々ちゃん、さっきのは嘘だよ。盛り上げる為に言っただけで、本当は今年運気すごくいいよ。その好きな人に想い伝えてごらん。きっとうまくいくよ」

「えっ、ホントに…」
奈々の態度がさっきまでとは変っていく
膨れ顏が見る見る笑顔になった

「何それ〜もっとショックじゃん」
佐藤がまた騒いだ

優子は笑いながらその光景を見ていたが、頭の中は美紀のことでいっぱいだった

24時になる前に江口達は帰った

帰り際、江口は優子に言葉をかけた
「人の命も自分の命も同じ、命は大事にしろ。感情に流されるなよ」

何故、江口がこんな言葉をかけたのか
優子にはわからなかった

時計は24時を回っていた
美紀からの連絡はまだない




No.29 16/07/15 08:31
ひろ ( OiFWnb )

優子が家に着いたのは2時を過ぎていた
依然、美紀からの連絡はない
心配ではあったが流石にもう寝ているだろうと思い優子も寝ることにした
とはいえ、美紀の事を考えるとなかなか眠れずにいた…やっと眠りにつけたのは4時頃だった

携帯が鳴った
その音で目が覚めた
「美紀…」
急いで携帯を手に取り確認
ん?非通知…誰
まだ鳴っている
「もしもし」優子は電話にでた
でた瞬間、プッときれた
何となく胸騒ぎがした
メールを確認するが美紀からは来ていない
美紀どうしたんだろう…
もう我慢出来ずに優子からメールをした
「美紀大丈夫?連絡欲しいよ」

時刻は11時を回っていた

返事が来ることを信じて
とりあえずシャワーを浴びることにした

シャワーから出るとすぐに携帯を確認
返事は来ていない…

ほんとどうしたんだろう…
何かあったんだろうか
今度は電話をしてみる
でも、すぐに留守電になった
不安な気持ちが押し寄せてきた

気を紛らす為にテレビをつけた
が、そのテレビを見て優子は愕然とした







No.30 16/08/22 13:05
ひろ ( OiFWnb )

今朝、都内の公園で人が倒れているとの通報があり、警察官が駆けつけたところ若い女性が倒れておりすでに死亡していたとのことです。亡くなっていたのは持ち物から都内に住む青山美紀さん28歳と判明。身体にアザがあることから警察は事件、事故の両面から捜査するとのことです。では次のニュースです…

優子はその場に崩れ落ちた
「うそ、うそだよ。何で…何かの間違いだよ…美紀が死んだなんて」
信じられるわけがない、
いや信じたくなかった…
体のチカラが抜け呆然と座り込んでいた
もう何も考えられなかった

どのくらい時間が経ったのだろう

家のチャイムが鳴った
その音で優子はハッと我に返った



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