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花火17話

レス0 HIT数 986 あ+ あ-

作家
16/04/03 02:04(更新日時)

俺が、その日、裕太のアパートに戻り、
部屋のノブに手をかけようとすると、
俺らのマネージャーの片桐さんが、出てくるところだった。危うく正面衝突するところだった。
俺は、二言、三言、片桐さんと会話して、
アパートの部屋の中へと入った。

「ただいま。」

「圭介。お帰り。」

裕太が、居間から顔を出して言った。
柳之助はというと、まだ、ホライズンに俺だけ、声をかけられた件を、根にもって怒っているみたいだった。

居間にいた裕太は、なんだか、すみませんという顔で、こっちを見ていた。

俺には、ちょっとした秘策があった。

「柳之助。ゴメン。それでというわけではないけれど、これ、良かったら受け取ってもらえないかな?」

柳之助が、少しだけ振り向いた。

「スゲーなあ。おい!柳之助。圭介がホライズンの柊木健太さんのサイン色紙を、もらってきてくれてるぞ!大葛柳之助様へだって。」

俺と裕太は、笑いを堪えるのに必死だった。危うく、爆笑するところだった。

「何だって?%#!?」

柳之助が、勢いよく振り向いた。俺は、色紙を手渡した。

「あぁ!本当だ。感激で、泣きそう。」

柳之助が、色紙に見とれている間、俺と裕太は、先程のマネージャーの片桐さんの用事について、話しをしていた。

どうやら、デビュー曲のプロモーションについてらしかった。風来坊舎は、あまり、
メディアに露出することを好まず、効果的なメディア戦略を考えているようだった。

「圭介。今夜は、裕太がカレー作るってよ♪俺さー。お前は、こういう風に俺のことを考えてくれているってことは、分かっていた。あ~。ホライズンの柊木健太さんに会って、直接、お礼を言いたいかな。」

裕太は、和食も、洋食も、中華も手際よく作る。それに、美味い。
本人も、ブログに手料理をたまに、載せている。俺も、ブログをやるが、音楽やら、風景写真やらを載せている。
柳之助は、そういうのは面倒くさいと言って、全くやらない。

「なぁ。圭介。健太さんと一体、どんな風に話しをしたんだよ。」

「俺たちの音楽を聴いてくれていた。良い曲だって。」

柳之助は、それを聞いて、ますます、ご満悦だった。

裕太が、俺に小さく

「柳之助は、瞬間湯沸し器で、単純明快男だな♪」

と、言った。

俺も、全くの同感だった。

俺は、柊木健太さんのサインで、子供のようにハシャグ、柳之助を見て、今後、自分は、どう、健太さんと付き合っていけば良いのかと、悩んだりした。

裕太は、立ち上がり、キッチンへと行った。

俺は、マンディロンらしいと言ってくれた柊木健太さんの言葉と、なるようにしかならない。なんとかなるときは、なんとかなるという言葉を、思い返していた。

いつか、誰かが、自分たちの、マンディロンの曲で、笑顔になってくれたら、自分たちの音楽で救われると言ってもらえたら、その時、初めて、マンディロンをやってて良かったって思えるのかもしれない。

キッチンから、カレーの薫りが漂い始めると、俺のお腹が小さく鳴った。

No.2318715 16/04/03 02:04(スレ作成日時)

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