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ドラゴンクエスト 〜カニィの大冒険〜

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名太( ♂ Rm4Unb )
16/02/14 13:23(更新日時)

この小説はドラゴンクエストという引きこもりの男が魔王を倒すゲームの二次創作小説です。実際のゲームとは全く関係ありません。予めご了承くださいませ。

16/02/02 13:28 追記
悲報
カニィ氏がドラクエを知らないようで、何のこっちゃと言ってました。つまりドラクエを知らなくてもわかるように書けということです。

ドラクエ基本情報
ターン制のRPGで、プレイヤーと魔物で交互に行動をして、魔物の体力を空にして倒す。基本的に主人公は学校に行かず、村や街で遊んでる。そこから運命に導かれるように、些細な事件解決から、世界を救う戦いになる。
この小説はドラクエ4の世界です。

16/02/14 13:23 追記
未完成ですが、この小説は閉鎖します。応援ありがとうございました。メイタ先生の次回作にご期待ください。

No.2298440 16/02/01 20:22(スレ作成日時)

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No.1 16/02/01 20:58
名太 ( ♂ Rm4Unb )

「やぁボク、カニィ!今は魔物だけど人間になるのが夢なんだ」
声がよく響く、砂と岩で固められた小さな洞窟で、魔物のぐんたいガニは声を出した。
この世界には魔物と呼ばれる、人間達に危害を加える異形をした怪物達が無数に存在している。
このぐんたいガニもその魔物のはしくれだった。
本来なら群れで行動をしているが、このぐんたいガニは、たまたま近くを通ったホイミスライムというクラゲ型の魔物に目を奪われ、その間にはぐれてしまった。
そのぐんたいガニの名はカニィと言う。
彼等に名前という記号をつける習性は無かったが、たまたまカニィの親が気紛れに呼んでから、カニィと名乗るようになった。
カニィはギョロっとした真ん丸の目を動かし、先程誤って気絶させてしまったホイミスライムに目をやった。
カニィに限らず、ぐんたいガニはカニの形をしている。
声をかけた弾みで、はさみで切りつけてしまったのだ。
今まで群れで行動をしてきたカニィは所謂コミュニケーション不足なので、それは仕方ないことだったのかもしれない。
そしてこのホイミスライムは、話し掛ける前にぶつぶつと呟いていた。それがこれだ。
「やぁボク、ホイミン!今は魔物だけど人間になるのが夢なんだ!」
クラゲが人間なんて、おこがましいにも程があるが、今はそこは重要では無い。
誰もいないところで呟いていた、この台詞。
もしかしたらこのホイミスライムは今から人間達が通ることをわかってるのかもしれない。
本番直前のリハーサルに声を出していたのかもしれない。
そうなった場合、単体で行動をしてるカニィは窮地に立たされる。
ぐんたいガニ唯一の取り柄はスクルトと呼ばれる防御力を上げる魔法にある。
それを集団でやるからこそ意味があるのだ。
単体ではスクルトを唱えてる最中に死んでしまうかもしれない。
急いで、ホイミスライムを始末し、先程の台詞を繰り返すカニィ。
ホイミスライムとは骨格も体格も何もかも全て異なるが、やらないよりはマシだろうと判断した。
もしかしたら、来るかもしれない誰かも、ホイミスライムと勘違いをするかもしれないからだ。



http://imepic.jp/20160201/753740

No.2 16/02/02 01:26
名太 ( ♂ Rm4Unb )

ホイミスライムの真似をしてる最中に、何やら音が聞こえてきた。
何か硬いものが当たってるのか、こつこつとした音だった。
カニィには知る由も無いが、この洞窟の近くにはバトランドと呼ばれる、世界でも恐らくただ一人である、経験値を直に与える妖術を使う王が納めている国がある。
バトランドには優秀な兵士たちがたくさんおり、個々の戦闘力が高いことで知られる。
魔法は一切使えないが、鉄の甲冑を纏ったその身体の防御力の高さと、研きぬいた斬激の切れ味は脅威である。
そんな兵士達がたくさんいるバトランドだが、付近の小さい村で、最近幼い子供だけがいなくなる誘拐事件が多発しており、親達が捜索願いを出したのだった。
暇をもて余していた王はそれを快諾し、その村とバトランドを繋ぐ、唯一の経路であるカニィが今いる洞窟に、何人もの兵士達が来ていた。
カニィが聴いた音は、兵士の甲冑のものだった。

「よし、これだけ訓練すれば大丈夫だろう」
三、四回の復唱でホイミスライムの台詞を暗記したカニィは得意気に言った。

人間になる気は一切無いが、誰かが来たら適当にやり過ごして逃げるつもりのカニィ。
それに今現在カニィがいる場所は、洞窟の中でも隅っこで、近くには小さい池もある。
話し掛けるにはぐるっと道を回り込む必要があった。
行方不明の子供の捜索という名目で洞窟に来ている以上、得体の知れないカニの怪物に話し掛ける人間はいないかもしれない。
しかし、今、運命の糸は繋がろうとしていた。

No.3 16/02/02 01:53
名太 ( ♂ Rm4Unb )

そんな矢先に、カニィのぎょろっとした目はある姿を捉えることになる。
自分と同じ魔物ならば良かった。
基本的に種族は違っても特別なことを除いて、魔物同士での争いは少ない。
それは魔物達を束ねるボスの意向に背くことになる。
カニィは拝見したことは無かったが、ボスは人間の根絶をスローガンに掲げていた。
魔物同士で争えば、それだけ人間にチャンスを与えることになる。
最も魔物の力は一般の人間よりも遥かに高い。
戦闘経験の少ないカニィでも、並の人間ならば倒すこともできた。

しかし、その姿は魔物のそれでは無かった。
兜に鎧、更には足のサポーターまでもがピンク色の、正直センスを疑う髭男だった。
ピンク男はカニィを見やると同時に涎を垂らし、持っていた剣を構えた。
間違いなく、カニィを食べるつもりである。
今まで人間に喰われた仲間達は大抵が、ゆでガニとなったが、自分は剣で斬られて刺身にされるようだった。
大丈夫、リハーサルはばっちりだと自分に言い聞かせ、震えながらも声を絞り出すカニィ。
「や、やぁボクホイミン!今は魔物だけど人間になるのが夢なんだ!」
練習時とは多少違いもあったが及第点では無いだろうか。
いつか人間になるのが夢だと言うことで、自分に敵意は無いということを表している。
失敗したのは自分の名前のカニィではなく、先程始末したホイミスライムの名前を言ってしまったことだ。
だが、このピンク男に自分の名前などわからないだろう。そんなことはどうでも良かった。
流れる沈黙。一分が一時間にも感じられる。
ピンク男は剣を収め、呟いた。
それは頼みでも何でもなく、命令だ。
命は助けてやるから、俺の後ろでスクルトを唱え続けろというものだ。
否応なしに承諾するカニィ。隙があった時に逃げるか、寝首をとってやれば良い。
こうしてホイミンと名乗ってしまったカニィは、ピンク男の仲間になったのだった。


http://imepic.jp/20160202/067620

No.4 16/02/02 13:53
名太 ( ♂ Rm4Unb )

今しがたそこで出会ったピンク髭のオヤジは名をライアンといい、消えた子供達の捜索に来ていると知った。。
名前なんざカニィは興味は無かったが、これから命懸けで守ることになる主君の名を覚えておけとライアンに言われた。
既に盾扱いするつもりなのが見え見えである。
カニィはカニなので横歩きしかできない。
横歩きというのは不便なもので、当然だが正面が見にくい。
先程ライアンから自信満々に、
「私はバトランドの兵士である。」
と言われた。
バトランドという国をカニィは知らなかったが、兵士ならば話は別だ。
人間は貧弱なのが大多数を占めるが、魔法と呼ばれる不思議な力を使う魔法使い、鍛えぬいた自身の肉体を武器とする武闘家、研きぬいた強靭な身体に甲冑を纏う兵士や戦士。
彼等は脆弱な人間とは訳が違う。
酷いのになると、一騎当千のような怪物人間までいる。
このピンク色の髭オヤジが兵士だと言うならば、隙を見て逃げ出すのも、寝首をとるのも上手くいかないかもしれない。
これならば復唱練習などせずに、さっさと洞窟から抜け出していれば良かったのだが、群れからはぐれたカニィとしては、はぐれた場所からあまり遠くに移動をしたくなかった。
自分の行動でますます窮地に立たされていくことに、カニィは頭を悩ませていた。
「さて、飯にするか。」
不意に腰を下ろすライアン。当然のようにカニィに渡される食料は無かった。
食事が自分で無かっただけ、まだマシだったかもしれないが。
しかしいざとなればたくさんある自分の足でも切り落として食べれば良い。
茹でるとなかなかウマイことを知っている。

ライアンは外見のセンスは悪いが、腕は良い。
道中で他の魔物と遭遇したが、全て切り伏せていた。
カニィのスクルト支援も相まってか、傷さえ負わない。
弱ればライアンを始末する難度も下がるのだが、こう強くてはチャンスが訪れない。
それからまた少し歩いて、やっと太陽の明るい光が射し込む場所までやってきた。
洞窟の出口は目の前だ。

No.5 16/02/05 18:00
名太 ( ♂ Rm4Unb )

洞窟から微かに光が差し込んでいる。出口だとわかったカニィは瞳を動かし、前方を歩いてるライアンを見る。
ライアンは世話しなく周囲を見渡して、気を配っていた。
外が近付けば、安堵から隙が生じるのではないかとも思ったが、相変わらず隙が無い。
またもや逃げる機会は無いかと深い溜め息をついた直後、わらわらと雨のように大型のカニが降ってきた。
ぎょろっと大きい目に、赤い皮膚、普通のカニを大きくしたような外見のそれは、少し前にカニィとはぐれた仲間達のぐんたいガニだった。
洞窟の近くに隠れていたのかもしれない。
ぐんたいガニ達は迅速に動き、ライアンを包囲した。
まるで全て知ってたかのように統率された動きだ。
「カーニカニカニ。そのカニを渡してもらおうか!」
ぐんたいガニのリーダーが声を張り上げる。
カーニカニカニとはリーダーの笑い声で、ぐんたいガニの多くが同じ笑い方をする。
そのカニとは勿論カニィのことだ。
仲間達が助けに来てくれたのだと瞳に涙を浮かべるカニィ。しかしこの先はカニィが思っていたのと違う展開になる。
「その裏切りものは俺達で処刑する!」
「え?」
思わず疑問符を出すカニィ。
裏切り者とは何のことだかさっぱりわからないといった感じで困惑する。
もしかして先日、プリンをリーダーの分まで奪ったことを指してるのだろうか。いや、そんなバカな。

No.6 16/02/05 18:00
名太 ( ♂ Rm4Unb )

元々賢くないのか、ライアンはカニィ以上に困惑しており、スケジュールの予定表まで見て現実逃避をしている。
そんなライアンに構わず更にリーダーは続けた。
「知らないと思ったか?洞窟でそこのピンク騎士に媚を売ってただろうが!」
それは先程の事故のことだ。
誤って気絶させたホイミスライムに成り済まして、隙を見て逃げるつもりだっただけなのだが、リーダー達仲間は勿論そんな事情など知らない。
慌てて経緯を話そうとするも、リーダー達の怒りは収まらず、次々とカニィカニィとカニィの名前を挙げながら、自慢のはさみを鳴らす。
ようやくカニィが狙われてると理解したライアンは、十近くもいるぐんたいガニに剣を向け身構えた。
しかし、ライアンは集団で出現するぐんたいガニの恐ろしさを知らない。
この魔物の厄介なところは、ただでさえ硬い甲羅をもつのに加えて、スクルトという魔法を唱えるとこにある。
スクルトは仲間達全員の守備力を高める魔法で、これを限界までされると、ほとんどダメージが通らなくなる。
集団でぐんたいガニがいる今、ライアンが一回行動するこの時点で、限界まで防御力が上がるだろう。
それはつまり、一体のカニを倒すだけで長い時間を使うことになってしまう。
しかも包囲されてる以上、逃げ出すのも困難だ。
「た、頼む!助けてくれ!」
藁にもすがる想いで、先程殺す気満々だった男にしがみつくカニィ。プライドなどとうに捨てている。
今はこの場を何とかするのが先決である。
「…私に名案がある。」
そう呟いたのはライアンだ。
カニィは知らなかった。この後に待ち受ける試練の数々に−−−。

No.7 16/02/07 17:32
名太 ( ♂ Rm4Unb )

「今だ!ライアンシールド!」
ダサすぎるネーミングセンスと同時に味方のカニィを持ち上げるライアン。
カニィの悲痛な叫びが聞こえたが、見事にぐんたいガニのハサミ攻撃を防ぐことに成功した。
ライアンが自分で言った名案はこうだ。
自分さえ助かれば他はどうなっても構わないという強い精神のライアンは、カニィを持ち上げて盾のように使う作戦を思い付いたのだった。
この作戦にカニィの許可はとっていない。
そんなことより後方でスクルト支援をさせたほうが良かった気もするが、死んでも教会で蘇らせれば良いのだ。
この世界の国々には教会という施設が点在しており、神父さんに金を貢げば死んだ仲間は生き返らせてもらえる。金さえあれば。
魔物のカニィがその類に入るかは知らないが、いざとなれば見捨てれば良い。
そんなことは全く知らないカニィは激しく咳き込み、抵抗した。
「こら!暴れるな!」という声さえ届かない。
味方を盾に使う凶行に走ったライアンを、敵のぐんたいガニ達から卑劣だと言われたが、まずはこの場を切り抜けることが最優先事項だった。
しかし、身を守るだけでは事態は好転しない。
ので、カニィを砲丸のようにぐんたいガニ達に投げ飛ばした。
重さと勢いで、体勢が大きく崩れたぐんたいガニ達の上を、勢いよく走り抜けていく外道ライアン。
そんな扱いをされたカニィは元、仲間であるぐんたいガニ達に捕縛されてしまったのだった。

No.8 16/02/09 16:53
自由人8 

続きは?

No.9 16/02/09 17:24
名太 ( ♂ Rm4Unb )

>> 8 ご意見ありがとうございます。スレ主都合により、執筆が難しい状況にございますが、ゆっくり書いておりますので、今暫くお待ちくださいませ。お話はここで終わりではなく、泥沼から這い上がるようにカニィが主役のようになっていきます。

No.10 16/02/09 20:18
名太 ( ♂ Rm4Unb )

ぐんたいガニ達に運ばれてる最中、カニィは考えた。
何故自分がこんな目にあうのかという不条理な世の中について。
カニィは自分を捕縛した、元仲間達と初めて出会ったのは数年前のことだ。
猿に落としてもらった腐ったりんごを嬉しそうに頬張っていたところにぐんたいガニ達が通りがかった。
その頃のカニィは名前こそ、ぐんたいガニだったが、一匹でいることが多かった。
仲間がいなかったわけではないが、元々所属していたグループとは折り合いが悪く、カニのくせに人語が流暢で、しかも強いカニィは疎まれていたのだ。

ぐんたいガニ達の当時ののリーダーは腐ったりんごを頬張るカニィを見かねて、猿にこう言った。
「猿さん、猿さん。ちゃんとしたりんごをくださいな。」
そう言うのも無理はない。猿はちゃんとしたりんごを食べていたのだから。
その言葉に対して逆ギレした猿は、
「そんなに食べたいならくれてやる。」と大きな木を揺らし始めた。
勢いよく落ちていくりんごの雨を避けきれず、リーダーは当たって死んでしまった。
そこからはリーダーの古い付き合いであるというウスくん、蜂くん、クリくんが弔い合戦をして猿を倒したのだった。

一部始終を見ていたカニィは、自分の為に言ってくれたリーダーの勇姿を引き継ぐべく、このグループに入ったのだ。
そんなお涙頂戴経緯で入ったにも関わらず、今自分は捕縛されている。
仲間達に誤解だと声を大にして唱えるも、誰一匹、反応さえしない。

No.11 16/02/09 20:20
名太 ( ♂ Rm4Unb )

「おカニィな…。」
おかしいなという意味だ。
こんな状況でもぐんたいガニはユーモアを忘れない。
疑問に感じたのは、仲間達の応対について、だ。
全員と仲良しだったわけではないが、ムードメーカーのカニィだ、それなりに仲間がいたつもりだった。
ちょっといいな、と思っていたガールフレンドのカニ美。
親友のカニ蔵。
そのカニ達でさえ、カニィの訴えを無視している。
彼等の目は虚ろで、集点が定まっていない。
リーダーばかり喋っていて、まるで独り言のようだ。
ぺらぺらと声がなりやまない。
一瞬、何か映像のようなものが、カニィの脳裏を過った。
デジャブとは違い、体験した実感。冷や汗。震え。
しかし、どうしてもそれが何なのか思い出せない。
その時、前方で何かが弾けるような音がした。
なんだろうと思ったが、捕まってる自分は動くことができないから見ることができない。
「何かあったのカニ?」
近くのぐんたいガニに問い掛けるも、やはり返事はない。
それどころか、見向きもしない。
しかし、何かあったらしい。
あれほど騒がしかったリーダーの声が聞こえなくなったからだ。
また破裂音がした。
今度はその音の原因がわかった。
カニィの位置からも、それが見えたからだ。
前方を歩いてたぐんたいガニが、突然爆発して飛散した。
肉塊が散らばり、返り血を浴びるも、他のぐんたいガニは逃げるどころか、声すら出さない。
ただ一匹、カニィが甲高い叫び声をあげた。
何だ?いったい何がおきてる?
自問自答するも答えはわからない。
その間も次々に飛散していく仲間達。
ガールフレンドのカニ美も、親友のカニ蔵も呆気なくその生涯を終えた。
残ってるぐんたいガニは、カニィを運んでる、最近入った新入りと、カニィだけになった。
目の前で起きた惨状だが、現実味がない。
ライアンに道具のように見捨てられ、仲間達に捕縛され、挙げ句には謎の爆発でほぼ壊滅。
おかしい。いくら右のクラブで叩いても、この悪夢から覚めてくれない。
突如、新入りのぐんたいガニは抱えていたカニィを放り投げた。
ぐんたいガニとは思えないそのパワーで、旋回しながら岩に叩き付けられるカニィ。
精神的ショックとダメージにより、最早息も絶え絶えで、ふらふらしているところに、更に新入りに追撃された。
前のめりに倒れ込むカニィ。
目の前を過る、死が確実なものになろうとしていた。

No.12 16/02/10 22:02
名太 ( ♂ Rm4Unb )

暖かで優しい光の中で、カニィは覚醒した。
「…ここはどこカニ?」
きょろきょろと周囲を見渡すも、誰もいない。
事態がまるで呑み込めていなかったが、時間が経つにつれ、自分の身にふりかかった災難を思い出してきた。
そう、自分はぐんたいガニの一匹で、元々は仲間達と行動していた。
しかしある洞窟を通る最中に見付けたホイミスライムを見ていたら仲間達とはぐれたのだ。
見知らぬ洞窟で、心細くなってホイミスライムに話し掛けようとするも、誤ってクラブで殴打して気絶させてしまった。 気絶させたホイミスライムが呟いてた言葉を復唱していたら、全身ピンクの髭オヤジのライアンと遭遇。
ほんの少しだけ共に行動するも、勘違いをしたぐんたいガニの仲間達に囲まれた際に、見捨てられて捕縛された。
その仲間達は謎の爆発で飛散してしまい、最近入った新入りのぐんたいガニに投げられ………。
−−−瀕死のダメージを負い、そう、気絶したのだ。
しかしわからないことだらけだ。
仲間達は何故爆発したのか?新入りは何故自分を投げ飛ばしたのか?その後に自分はどうなったのか?
もう一度周囲を見渡すも、やはり自分は光の中にいた。
他に誰もいないが、心地よい空間で、傷付いた身体を癒してくれるようだ。
「…カニィ、カニィよ。私の声が聞こえますか?」
突然自分の脳裏に声が響いてきた。
話し掛けられてるのとは異なり、なんとも不思議な感じがする。
「私は精霊ルビス。貴方を助け、ここに連れてきました。」
「精霊!?」
カニィが驚いたのも無理は無い。
この世界には、精霊と呼ばれる神の使いが存在する。
太古の昔、ぐんたいガニを含む魔物達の王の魔王と神々が戦い、そして魔王は敗れてしまった。
つまりこの世界において、神はとんでもない力を秘めているし、その使いの精霊もしかり。
それに精霊は変わった力を使う。聖なる力がなんちゃらかんちゃら。
そんなことはただの魔物のカニィには全く知らないことなのだが。
通常、魔物が精霊と会話はおろか、助けてもらえるなどということは有り得ない。
助けるメリットがない。相手は魔物、排除すべき敵だ。
「困惑しているようですね。無理もありません。」
カニィの頭の中を読んでるかのように、精霊ルビスは話を続けた。
「まず、最初に断っておきます。…貴方は死にました。」

カニィ人生史上最も過酷な宣言をされた瞬間だった。

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