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花火2

レス0 HIT数 1173 あ+ あ-

小説家
15/12/09 14:41(更新日時)

周りの女友だちからは

「よくある、アーティストの夢を追い続ける彼氏を、健気に応援してあげたいという彼女って、端から見ると、馬鹿かもね。
仮に、万に一つでも売れてもよ、今度は、
恩を仇で返されるしね」

なんて言われて。

でも私には、どこか羨ましいという気持ちもある。
人にあれこれ言われても、ストレートにグサッとくることを言われても、ただ、好きなことをやりたいと前に進むだけなんて、私は出来ない。

圭介さんは、周りに一喜一憂しても仕方がないって言うけれど、好き勝手言う方は楽でいいわよねっていう、私なら怒っちゃう
かも。

俺は、夜中の11時に、家の近所のコンビニの駐車場で裕太に電話をかけていた。
俺の幼なじみで、倉多医院の跡取り息子で
高校の文化祭で一緒にミスチルを歌った奴。

今は、医学部にいっているが、休みで家にいるはずだ。
俺は、少しドキドキしていた。少し無茶苦茶な御願いをするかもしれないからだ。
コールが5回ほど鳴り、裕太が電話に出た。

「もしもし、裕太。俺、圭介だけど。」

「おう。圭介か。久しぶり。どうした?」

「なぁ。昔みたいに俺たち、音楽やらないか。お互いにバラバラの生活で、もう」

「そのことだけど、以前、俺の従兄弟の柳之助にも言われたよ。あいつ今は、製薬会社に勤めていて、俺の大学の附属病院に出入りしているんだ。昔、良かったなって。
何度も何度も。でも、もう終わったことじゃないのか?そう、俺は、思う」

そう、裕太は言って、電話を切った。

俺もそうは思うけれども、夢は夢のままで終わらせて、誰かと比べて才能が無いから、カッコつけてるだけだから、それで納得が出来るだろうか。

俺は、大学4年のある日、司法試験を受けないのかという父親にキッパリと言った。

「兄さんや姉さんのようには、やれないし、そうなれません。自分は、それで食べていけないにしても、人からどんなに非難されようと、自分がやりたいことをやります。周りが賛成してくれたり、上手いよねと言われないとやってはいけないはずはないし」

弁護士の父親は、呆れたように一言だけ言葉を発した。

「お前のやりたい音楽とやらは、人の評価にさらされる、アンチな奴もいる。人を非難することに生き甲斐をもつ者もいる。心が折れるだろう。それが嫌になったら辞めろ。」

俺は、大学を卒業して、コンビニや居酒屋でアルバイトをして過ごした。
ギターを片手に、柳之助のアパートに行っては、二人で過ごした。柳之助の友だちでバーの雇われ店長が、たまに店が閉まった後で、貸してくれたりした。
ありがたい事だ。

裕太とは、あれから、何も連絡をとっていない。医者になる為に今が一番、大事な時なのだ。倉多医院を継がないなんて選択肢は彼にないはずだ。

俺と柳之助は、曲も作ったりしていた。誰に聞かせる訳でもなく。

外は、うっすらと茜色だった。

「なぁ。俺、もしもだよ、もしも、メジャーデビューしたら、その時は、今の製薬会社を辞めないとな。お前は、法曹一家だけど、親父さんとか、兄弟とか困らないか?俺たち、一応はプロを目指しているだろう?」

俺は、そう柳之助に言われて、一番に姉の顔を思い出した。


No.2282056 15/12/09 14:41(スレ作成日時)

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