*~年下の男~*
全て私の妄想です(*^^*)
登場人物は実在しません(*^^*)
16/06/20 22:39 追記
大変ご迷惑をおかけしました。
自己満足の世界ではありますが、また再開したいと思っとります
m(__)m
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昇進してからの彼は忙しそうだった。
呑んで帰る事が多くなった。
毎日が接待.....そんな感じ。
(営業だから仕方ない・・・・)
体が心配だ・・・・
そのうち、土日は接待ゴルフにも
行く様になった。
だんだん、私の知らない歩君が
増えていく・・・・
今日は金曜日。
明日のゴルフの為に久しぶりの早い帰宅。
『ねぇ、歩くん』
『ん?』
彼はクラブの手入れに夢中だ。
『少し呑む機会を減らせない?
体が心配なんだけど・・・』
『大丈夫だょッ♪1つ、明日の
ゴルフで契約がとれそうなんだよ♪』
『・・・・』
『親父、喜ぶぞぉ!!!』
貸ビルの一室が契約にこぎつけるらしい。
ふと麻衣ちゃんも来るのか
気になった。
聞いてみようか・・・・
いや、止めよう・・・・
麻衣ちゃんは関係ない・・・・
私達の問題だ・・・・
土日、暇だなあ…
2人なのに.........独り
『あ!来週は空けといてよ。
たまにはフタリで
映画でも見に行きたいわ』
『わかったよ!!明日、
麻衣ちゃんに言っとくから』
(やっぱり、麻衣ちゃんも
来るんだ・・・・)
翌朝早くに歩君は出掛けて行った。
迎えに来た車の前に麻衣ちゃんが立っていた。
『おはようございます!』
歩君と私に挨拶をする。
車に乗り込むと、窓を開け
『行ってきます♪』と手を振る彼。
20代の麻衣ちゃんはとても眩しかった。キラキラ輝く.....そんな言葉が似合いそう。
私には無いモノが全身から溢れてた。
住んでいるアパートは上京してから住み続けている。
入居当時は新築だったけど、今は私と同じ古ぼけてきた。
古さには古さの良さがあるけどねー・・・・
慰めにもならない
私の独り言・・・・
部屋に入ると、急に寂しさが
込み上げてきた。
この部屋は今までもずっと独りだったのに・・・・
歩君と暮らし始めてからは
ヒトリの空間がとても広く感じる。
濃いめのコーヒーを入れ
わざと持ち帰った仕事にとりかかる。
また
私の知らない歩君が増えていく
最近は出張もするようになった。
事業展開の為なのか・・・・
一泊が月に1~2回。
(麻衣ちゃんも行くの?)
聞きたいケド聞けない見栄っ張り
の私・・・・
土産は必ず買ってきてくれたが、
普通に考えれば東京のアンテナショップ
で買える事に気がついた.....
聞けないまま半年が過ぎた
Christmasseason・・・・
『さっちゃん、ごめん。
今年のクリスマスは金沢へ行くことになった。親父が北陸新幹線の影響が出る前に、金沢で物件を購入したいと言ってきてさ、その下見
なんだ・・・・』
『・・・・』
仏頂面の私を察知したのか、
『ごめんよ。この埋め合わせは
帰って来てから・・・・』
『・・・・』
『本当に・・・・ごめん。』
仕事に一生懸命なのは分かる。
お父様の為に頑張るのも分かる。
でも、私の為には頑張れないの?
昇進してからは
フタリで笑うことも無くなってた.....
クリスマス当日
『行ってきます』
とだけ言い残し、出て行った......
まさか、あの場所で、
金沢に行ってるはずの
あなたに会うとは・・・・
歩君、
あなたも思ってなかったでしょ?
今日は金曜日・・・・
そして、クリスマスだ・・・・
街中がクリスマスカラー一色。
様々なイルミネーションが街路樹を彩っている。
このまま帰っても歩君はいない。
(街中に溢れている知らない人達
から、少しだけ元気を貰って帰ろう.......)
ふと気がつくと◎◎ホテルの前だっ
た。
(そういえば、歩君と私・・・・
ココから始まったんだ・・・・)
『懐かしい~♪』
思わず声に出してしまった.....
ココで彼と会わなかったら
今頃、私は・・・
同じ毎日を淡々と繰り返している
のかな・・・・
歩君のお陰で私は幸せだよね。
寂しいからって、メソメソしてたら
駄目だよね!!!
さ、家に帰ろう!
ホテルを背に歩き始めた。
不意に背中から聞き覚えのある
男女の声・・・・
会話が聞き取れない・・・・
振り返る私・・・・
歩君と
麻衣ちゃんだった。
(えッ?!金沢じゃ.......?)
(どうして東京に?!
何故ホテルから出て来たの?!)
パニックになった・・・・
どうか間違いであってほしい。
頭の中で整理が出来ない。
何故?なぜ??
歩君と麻衣ちゃんがこっちに
向かって来る。
とっさに隠れる私・・・・
(何処に行くの??)
足が震える・・・・
行き交う人にぶつかる・・・・
突っ立っている私を怪訝そうに
見る。
足がすくんで動けない・・・・
『?!・・さっちゃん・・!!』
見つかってしまった・・・・
『あ、あの・・・・
ご、ごめん。』
見てはいけないものを
見てしまった。
とっさに走り出していた。
息が苦しい。
どうにかなりそうだ。
誰か
私を
助けて・・・・
何処をどうやって歩いたか記憶がない。
ふと気がつくとアパートにいた。
カーテンから朝日が射し込んでいた。
どれくらいの時間が経ったのだろう・・・・
今日が何時なのか分からない為
TVをつけた。
月曜日の朝になっていた。
(会社を休むッて連絡しなきゃ)
風邪で2~3日休むと電話した。
休む私が珍しいらしく、所轄の部長はとても心配をしてくれた。
歩君は居ない・・・・
休んでいる間に考えなくては.......
冷静な自分が居た.......
ふと我に返った。
寝ていたのか?起きていたのか?
記憶がない・・・・
私は部屋の隅っこにいた。
部屋全体を見回した。
歩君がそこに居る感じがした。
『さっちゃん、ご飯だよ!』
『もう、寝ようよ!』
そんな声が聞こえてきそうだ。
泣きたい、けど泣けない.......
どうしよう・・・・
考えがまとまらない。
疑う毎日は嫌だ.....
歩君は私以上に苦しんでいるかも
しれない。
私の出方を待っているのかな?
歩君はどうしたいんだろう.......
私は歩君を
まだ、好き?.........
ふと、ケータイを見た。
歩君からは連絡は無い。
これが彼の返事かもしれない.......
翌朝、ご飯を炊き、味噌汁を作り
、歩が好きだったスクランブルエッグを
作って食べた。
今から歩君に連絡をし、別れを
告げる。
もし、元に戻ったとしても
私の性格上たった1度でも
許す事は出来ないと思う。
一生罵る自分は嫌だ!
一生疑う自分は嫌だ!
そして、いつまでも
ウジウジ引き延ばすのは
もっと嫌だ!!
最後は元気な私で終わりにしたい
歩君の
記憶に残る
最後の私・・・・
lineを送る・・・・
『荷物、夜にでも取りに来て』
既読
『わかった』
『まとめておくね』
既読
『ありがとう』
終わった・・・・
彼の荷物をまとめよう・・・・
気持ちが揺るがない為に
髪を1つに結んだ・・・・
別れてからは、がむしゃらに
働いた。
離婚してなお精力的に働く私を、会社のみんなはそっとしといて
くれた。
進んで残業をし、帰りたくない
日は誰かを誘って呑みに行った。
みんなは明るく接してくれた。
(仕事辞めなくて良かったな。
今更ながら周りのみんなには
感謝している。)
引っ越しはまだしていない......
元々私の部屋だったし、少しの
間だけ歩君が関わっただけの事。
元々あった私の荷物に
歩君の荷物が増え、そして減った
・・・・それだけの事。
そう強がって、自分を慰める。
だけど、無性に寂しくなる時がある。
ふとした瞬間に歩君の匂いがする
時がある。
幻聴すらした時は、(歩君??).......
玄関のドアまで開けてしまう......
未だに
泣きたいのに泣けないでいる......
この部屋では
笑うコトも
泣くコトも
何も出来なくなっていた。
40年ちかく生きてきた私の中の
たった2年は・・・・
私の人生の中で最も幸せな時間だったのかもしれない。
あの時許してたら?
私はまだ、幸せたッた???
忘れなきゃ....良い思い出にしなきゃ.....
前に進む為に・・・・
自分を守る為に・・・・
『先輩!最近変な人が
会社の前に出没するらしいですよ』
入社5年目の優香が、何処からか
情報を仕入れてきたらしい。
私に報告する。
『そうなの? 』
『先輩帰りが遅いから
気を付けてくださいよ!』
『帰りが遅すぎて裏の出入口よ、最近は.....』
しかし、今日は珍しく早く終わり
優香と一緒にエントランスから出た。
『あ!!あの人じゃないですか?』
『ん??』
『ほら、あそこに座ってる人...』
『ん?・・・えッ?・・・・・』
歩君だ。見間違い?
いや、別れて暫く会ってないとは
いえ、見間違えるはずがない。
何してるんだろう・・・・
誰か知り合いでも待っているのか
・・・・
『・・さっちゃん・・』
(えッ?!私?)
『どうしてココに・・・・?』
やっとの思いで忘れた元夫。
懐かしさより怒りが込み上げる。
『さっちゃん、久しぶりだね。
元気にしてた?』
『・・・・』
『良かったらこの後、ご飯でも
行かない?』
『私は話なんてないけど?』
『話がしたいんだ。さっちゃん』
『もう来ないでくれる?
迷惑なんだけど・・・・』
『・・さっちゃん・・』
『行こッ!優香・・』
『えッ?!でも、先輩・・・・』
駅に向かう。
『先輩....,あの人知り合いなんですか?』
『別れた元夫・・・・』
『ええええええええ!!!!』
どうやら警備員が歩君を通報したらしい。
慌てて下に降りた。
『僕は何もしてないよ....』
『ちょっと署までご同行願います.....』
警察の方と一悶着していた。
会社周りに出来たギャラリーの数に
なんとかしないといけないと思った。
『すみません。
私の知り合いです』
『さっちゃん!!』
『お騒がせしまして申し訳ありません』
警察、警備員に説明をする。
もう迷惑行為をしない様忠告すると約束をし、引き取って頂いた。
『ありがとう。さっちゃん』
ここは私の会社。
恥ずかしさのあまり苛立ちを覚えた。
『なんなのよ、一体。
いい加減にしてよ!!』
『ごめん・・・・』
ギャラリーは減ってはいたが、好奇心や興味本意で残っている人も居たため、少し離れた場所まで来た。
『....今頃何の用?』
『・・ただ・・話がしたかった
.....それだけだよ・・』
また会社に来てもらっては困る。
『....今日付き合ったら
もう来ないでくれる?』
『うん。約束する』
『じゃあね....私の行きたい店を当てたら一緒に行く。外れたら
これで終わり。どお?』
『ぇぇぇぇぇ!、そんなぁ.....』
『10秒待つわ。1..2...3......』
『え!え!ちょ、待って・・・
んとね・・・・マチコの店??』
『?!.......』
『え?当たり!?
やったぁぁぁぁぁ!!』
約束は約束だ。
しょうがない・・・・
やっと忘れた元夫
何故今頃になって会いに来たのか
私と何を話したいんだろう.........
懐かしさより
情けで付き合う事にした。
マチコの店・・・・
そう、オカマバー・・・・
昔は仕事帰りによく待ち合わせをした店だった・・・・
ママに離婚した事を報告したかった。
(あなた達は絶対別れる!!)
そう言われ続けていたからだ。
『まだ営業してるのかなぁ?』
『・・・・』
無言の私。
複雑な自分の今の心境をどう操れば良いのかわからず、いつもより早足で歩いていた。
10分程歩くと見覚えのある看板に灯りが灯っているのが見えた。
ドァベルの音と共に
『いらっしゃいませぇ!』
酒とタバコで潰れたのママの声
(懐かしい♪)
思わず笑顔になった。
一瞬で昔に戻った気がした。
私達を見るなり、
『?!・・・あらッ・やだ・・
あんたたち・・・久しぶりじゃ
ないのさ・・・・』
『ママ!久しぶり♪
元気にしてた?』
広い店内ではないが満席に近かった。
私達は入り口近くのカウンター席に座りビールを頼んだ。
お互い目も合わさず、ひたすら前を見つめる無言の私達。
店が落ち着いた頃にママがこっち
にやって来た。
『ちょっとぉ、あんたたち。
イヤに他人行儀じゃないのさ.....
ぇッ??やだ....もしかして.............』
『そう、今日はその報告!』
『んまッ!どうせこのアンポンタンが
悪い事したんでしょ!』
と、歩君の頭をピシャリと叩く。
歩君は小さな声で
『ごめん』の一言だけ。
それ以上、ママは深く追及して来なかった。有り難かった。
そして私がこの店を選んだ理由。
絶対別れると断言してたママは
本当は応援してくれていた。
ママなりの優しさは私には分かっ
ていたから。
頑張れなかった事を謝りたくて
今日はここを選んだのだった。
相変わらず黙り込んだままの
歩君。
『ほら、もっと呑んで売り上げ
に貢献しなさいよ!』
明るく接してくれる
ママなりの優しさ・・・
痛い程伝わってくる・・・・
歩君が忙しくなった時から、独りでよくここへ来て時間を潰した。
部屋に独りでいると麻衣ちゃんの
事ばかり考えてしまう自分が嫌だった。
フタリで来なくなった私に
ママはいつものジョークで
『別れたら私に頂戴ね!!!!』
『別れないもん!!!!!』
そう言い合いながら
よく笑ったッけ....
楽しかった事も
辛かった事も
走馬灯のように蘇ってくる。
(やだ....泣きそう........)
何も話さない歩君・・・・
何をしに私に会いに来たの?
店が混雑し始めたのと、このまま一緒に居ても辛いだけなので
店を出る事にした。
『さて、これでおしまい!
もう来ないでよね!おやすみ...』
歩君に背を向け歩き始めた。
『さっちゃん』
『何?』
『さっちゃん、僕達
やり直せないかな???』
『はぁ??!』
『はあ?!』
思わず振り返った。
私がどんな思いであんたを
忘れたと思ってんの??
呆れてしまった。
無責任な発言に無性に腹がたった
『僕さっちゃんじゃなきゃ
駄目なんだ!』
『離婚して分かったんだ。
凄く後悔してる......』
私は頭が混乱してきた。
『軽はずみな気持ちで傷つけて
しまった事、凄く後悔している』
『ちゃんと謝れなかった事を
後悔している』
今までずっと黙っていた歩君は、
怒涛のごとく一気に喋り出した。
『僕は昇進して、親父もさっちゃんも喜んでくれて.....契約も
どんどん決まるし、何やっても
許される気がしたんだ。
有頂天になってたんだ.......』
私の手は握りこぶしになり、
怒りとなんとも言えない複雑な心境でブルブルと震えていた。
『何言ってンの?歩君、まだ
離婚してないじゃない.......』
『よりを戻してくれたら
離婚する』
『悪いけど、遅いわ。
私はもう、あなたの事は忘れた』
だめだ・・・・
純粋にあなたの事が好きだった
自分が蘇ってくる・・・・
(マチコママのせいなかな........)
全身のちからが抜けてゆく.....
直ぐにでも歩君の胸に飛び込み
たくなる・・・・
あなたに隠してた事を
話そう・・・・
そうすれば、私の気持ちも
収まるだろう・・・・
『歩君、うち来る?』
『え?!』
『話たい事がある』
『さ、上がって』
『・・・まだここに?』
『うん。思い出が沢山有りすぎて辛い時期もあったけど・・・』
『コーヒー入れるわね』
歩君は久しぶりの部屋を
懐かしそうに見回している。
『座ってよ』
『うん』
ふと気がついた・・・・
私達は離れて座っていた。
あの頃とは違う位置・・・・
これが現実だ・・・・
『麻衣子さん、元気にしてる?』
『うん』
『子供、出来た?』
『うん。女の子1人......』
『そう......』
素直におめでとうと言えなかった
コーヒーを一口飲み本題を切り出した
『実はね・・・・
結婚して少し経った頃だったかなぁ,....
課長の送別会で、あるホテルを使ったの。二次会が8階のラウンジでね、そこでお父様と麻衣子さんを1度見掛けているの。品の良いお嬢様。そんな印象だった。
二人とも楽しそうに話をしていたわ。その時は何故か声を掛けてはいけない、そんな気がたの.......。
それからまた暫くして、歩君が昇進し麻衣子さんが秘書として紹介
された時わかったんだ。
お父様は本当は麻衣子さんと結婚させたかったんだってね.........
あなたが私を選んでそして紹介
してくれた時はお父様はとりあえず賛成してくれたけど、本当は
反対だったのよ。
あなたの意思を尊重しつつ、麻衣子さんという刺客を送り込んだ。
私はそう思ったの........
あなたはまんまとお父様の罠に
掛かった。そして、私の性格も
よく知っていた。
絶対に離婚するだろうってね.....
『何故そんな事を親父が?』
『・・私の推測だけど・・
世間に自慢出来る嫁が欲しかったんだと思う。そして、孫も・・』
『・・・・』
『そういう私も・・・・
お父様の罠に引っ掛かったんだけどね・・・・』
『そんな・・・・』
『歩君、何故突然部長になったと思う?普通は部長に秘書なんて
つかないと思わない?』
『・・・・』
『歩君、私は短い間でも幸せだった。今はありがとうと素直に
言える。だから、歩君も・・
お父様の為にも頑張らなくちゃ』
(歩君?)
泣いている。声を押し殺し泣いている。
私も・・・・泣いていた・・・・
『本当に....もう、駄目なのかなぁ………』
『うん・・・・あなたと私・・
お父様に負けた』
目の前にはあんなに夢に出てきた歩君がいる。
手を伸ばせば届くのに・・・・
もう1度抱き締めたい
キスをしたい・・・・
理性なんてどうでもいい
お父様なんてどうでもいい
もう1度........歩君と...........
でも、止めておこう。
歩君との思い出だけでいい
幸せだったあの頃だけで・・・・
あの日
あの二人を見掛けた時に
既に私は負けていたから・・・・
とある土曜日。
ふとカレンダーをみた。
(.....今日、歩君の誕生日だ。
いくつになったんだろう.......)
離婚してから7年。
41歳かぁ、、私は?......
47歳・・・・
縮まる事のない、そして
開く事もない年齢差。
今度は50歳手前かぁ・・・・
がむしゃらに働いた7年だった。
あっという間の7年だった。
いいなぁ~と思える人も居たには居たが、自分から飛び込める程の元気は無かった。
マチコママの店もあれから行ってない
あの日、
歩君の
『やり直せないかな?』
の一言が今でも忘れられないで
いる。お父様に負けていたとはいえ、素直に飛び込めば良かったのかな?
(このまま、独りで
老後を送るのかぁ~)
(もう1度結婚してみたいな.....
今度は両家と言わず自分の為に)
あの相談所はまだやっているのだ
ろうか・・・・。
場所は覚えている。
明日の日曜日、行ってみようかな
日曜日。
(あッ!あった....)
まだ営業していた。
~結婚相談所・出会い~
『こんにちは~』
『いらっしゃいませぇ~』
あのおばちゃんではなくて、違うおばちゃんが出てきた。
2度目とはいえ、ちょっと緊張
している私・・・・
『初めての方ですかぁ ~?』
『あ!いえ、退会はしましたが
以前登録はした事あります』
『そうなんですねぇ~。では、
もう1度用紙に記入をお願い
しますぅ~』
『わかりました』
(イヤに語尾を上げる人だわッ♪)
思わずクスッて笑ってしまった。
緊張が溶けた。
見合い方法は昔と変わらない同じ内容だった。
『では、パソコンを見れる状態
にしておきますねぇ~』
『ありがとうございます』
さてと・・・・
どんな人が登録されているんだろう・・・・
歩君のプロフィールを無表情で眺めている私。
先程のおばちゃんがこっちに
やって来た。
『その方、社長サンでしてねぇ。
何人かの方から申し込みが
あるんですがぁ、お見合いまではなかなかたどり着かないと言いますか・・・・』
『・・・・』
『宜しければこの方に連絡をとっ・・・・』
『結構です。年下には興味ありませんから・・・・』
『あッ!あらぁ。残念ですぅ。
では、他の方々でもごゆっくり
ご覧下さいねぇ』
そう言い残し席を経って行った。
(冗談じゃ無いわ!
同じ過ちを2度と繰り返すもんですか!! )
でも、何故ここに登録を?
あれから歩君は会社に1度も来ない。
風の便りも聞かない。
(社長って事はお父様、引退したのかな.........)
歩君を見てから頭に何も入って来なくなっていた。
今日も入会金を支払い相談所を
後にした。
今の相談所は新規登録者の会員名簿がケータイのメールで来るシステムになっていた。
私はそれを利用し相談所まで足を運ぶ様な面倒な事はしなくなっていた。
入会3ヶ月後
(集団お見合いパーティー開催)
という連絡が入った。
『今度、◎◎ホテルでぇ、お見合いパーティーが.........』
『あぁ、行きます。
申し込みしといて下さい』
『あッ!わかりましたぁ。
ありがとうございますぅ』
『宜しくお願いします』
今度こそ夜景より
男を見なくては・・・・
私の気合いはMAXだった。
幸せになるぞー!!
パーティー当日。
◎◎ホテルの前。
9年前、全てはここから
始まった・・・・
同じ過ちは繰り返さない!
エレベーターで屋上へ・・・・
(よしッ!)と、気合いを入れる。
受付で参加費を支払い、既に来ていた男性陣の中へ進んで行った。
『こんばんは。話の中に混ぜてもらってもいいですか?』
男性陣の名札など見なかった。
年齢ばかり気にしてた卑屈な自分とはオサラバだ!
楽しく会話が出来ればいい。
と、思ったが名札をチラ見する自分
(50代から30代のグループだろうか
・・・・)
たわいもない会話が心地良かった
積極的に話し掛けてくれる人も
居た。
(歩君以上の人・・・・
居ないな・・・・)
いやだ、こんな時にも歩君を思い出すなんて・・・・
パソコンで見掛けてしまったからかな・・・・
歩君も参加してるかも・・・・
心のどこかで期待してた自分が
居た。
そう、彼は参加してなかった。
私の気持ちはお見合いどころではなくなっていた。
少し頭を冷やそう・・・・
夜景を見る。
(綺麗だなぁ~。)
・・・ナニやってんだろ・・・・・
・・何も進歩してないや・・・・
『隣、宜しいですか?』
1人の男性が声をかけてきた。
『?!』
この声・・・・
振り向く事が出来ない・・・・
体が硬直する。
『さっちゃん!』
名前を呼ばれて呪文が溶けた。
『・・あゆむ・・くん?』
『さっちゃん、また登録した
の?』
『あ・・歩君こそ・・』
『誰かいい人居た?』
『まだ・・・・歩君も・・・・
また登録したんだね』
『・・・ここに登録したら
またさっちゃんに会える・・・
そんな気がしてさ・・・・』
『そんな事言わないで』
(やだ、泣きそう.........)
『そういえば歩君いつ来たの?
さっきまで居なかったよね?』
『実を言うと相談所の人に
頼んでおいたんだ。斉藤幸子さんが来たら連絡してくれって......』
『そうなんだ・・・・』
『相談所から送られてきた
新規登録者名簿で、さっちゃんのこと見ていたからね.........』
9年前の私達
現在の私達
同じ場所で
同じ事をしていた。
歩君が現れた事で、嬉しさや
懐かしさで、私の頭の中は
グチャグチャになっていた。
1度ならず2度も諦めた歩君が
目の前にいる。
溢れそうな涙に気付かれない様
に夜景を見ているふりをするのが
精一杯だった。
相変わらず笑顔が似合う彼は
あの頃より大人びた顔になって
いた。
離婚してからの
私の知らない7年
歩君
どんな人生を送ってきたの?
『ねぇ、歩君。麻衣子さんと
離婚したの?』
『うん、あの後、さっちゃん
から聞いた話を親父に聞いて
みたんだ。そしたら、あっさり
認めてね・・・それからはもう
・・・・無理だったよ。子供も
いたけど素直に愛せなかった。
僕の分身なのに、ね。・・・・
子供には申し訳ないと思ったけど・・・・これが親父の望んだ
事かと思ったら・・・・』
『・・・・』
『どうしても許せなかった。
親父も、麻衣子も、そして自分も・・・・』
『・・・・』
『さっちゃんを傷つけた事、
一生後悔する為にも離婚を
決意したんだ』
『.....私のせいにしないでよ.....』
『ごめん、違うんだ。
僕のせいなんだよ。
自分に対する戒めなんだよ。』
『ただの自己満足だよ、それ』
『うん。そうだよね・・・』
沈黙が続く。
私は既に泣いていた。
『でもね、さっちゃん。
これだけは信じて・・・・』
『・・・・』
『今でも、さっちゃんが
好きだって事・・・・』
『・・やめて・・』
『僕もさっちゃんに隠してる
事・・・・あるんだよ。』
『何?』
『初めてさっちゃんを見た時』
『うん』
『僕はさっちゃんに
一目惚れしたってこと..........』
涙で何も見えない・・・・
駄目だ・・・・
歩君が好きだ・・・・
純粋に歩君が好き・・・・
気が付くと歩君に抱きついていた
『・・・私・・・も・・・』
そう言えるのが精一杯だった。
『さっちゃん、
改めて言うよ。
・・・・
両親に会って下さいじゃなく
僕と結婚して下さい』
『歩君.......大好き♪』
*~完~*
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