注目の話題
誰からも愛されない
おばさんイジリされる職場
「夫が家事を手伝うのは当たり前」

~女~

レス8 HIT数 2122 あ+ あ-

女( ♀ qk1Unb )
15/09/03 00:54(更新日時)

私は女だった。

女として生きていきたい。それには男が必要だった。私を女にしてくれる男が。

タグ

No.2252063 15/09/02 20:27(スレ作成日時)

投稿順
新着順
主のみ
付箋

No.1 15/09/02 20:42
女 ( ♀ qk1Unb )

なぜだろうか?私は物心ついたときから自分は光の世界の人間でないことをすぐに理解した。

その答えは鏡にあった。

美しくない顔。中学生になるころにはニキビなんかもできてさらに醜くなった。

自分という存在が汚物にみえた。そんな私にも好きな人ができた。初恋だろう。

彼はバスケ部で背が高く。とても美しい顔をしていた。私はそんな彼をいつも見ていたくて女子のバスケ部に入った。

休憩時間は彼のプレーをずっと見れるので幸せだった。ある日の放課後誰かが倉庫で話をしていた。

ガマガエル。その単語が何度も聞こえた。私は隙間から中を覗いた。

憧れの彼と同じバスケ部でいつも親切にしてくれる綺麗な友達とその外に4人ほど人がいた。

「マジで!マジで無理!」ケラケラと笑いながら憧れの彼が顔の前で手ふっている。

「ガマコね!あんたのこと穴が開くほど見てるよ!あんたとの恋応援するって言ったら目を輝かせて″ガンバル!″だって 笑」

私のことだとすぐに分かった。ガマガエル、ガマコは私のことだった。

No.2 15/09/02 20:48
女 ( ♀ qk1Unb )

背筋が寒くなるのを感じた。夏だというのに冷水を頭からかけられたようだ。

私は体調が悪いと部活を早退し、次の日に部活をやめた。

そこからの人生そんなことの繰り返し。一つ変わったのは期待するのをやめたこと。女であることを捨てたことだった。

社会人になって私は出会い系にハマった。顔も見えない。私はそこでは女になった。

好きな食べ物はイチゴ。好きな色はピンク。好きなことはお料理。

男達は顔が見えない私に群がった。やれるのが目的のやつ、本気で恋人を探してるやつ。いろんなやつがいた。

けして私は会わないとそう決めていた。だって会ったらそこで私は女でなくなる。汚物になるから。

男達の優しさが消えてしまうから。私は会おうと言われると誤魔化したりまたは連絡を断ったりした。

No.3 15/09/02 20:57
女 ( ♀ qk1Unb )

私はその中で硬派な感じの男性と電話をするようになった。

朝会社に行く前、休憩時間、家に帰って寝るまで。とにかくひたすら電話した。

私はいつしか会いたい。その感情が抑えられなくなってることに気がついた。そしてそれは彼も同じだった。

山中聡。彼はいつも私を誉めてくれた。可愛い声だと。話してると楽しいと。

「会いたい」おやすみと電話を切ろうとしたとき彼がそういった。私は口元が震えてしまって噛みながらも「私も」そう答えていた。

私は正直に話した。太ってること、学生時代ガマガエルと呼ばれていたこと、友達がいないこと、好きな色は緑であること、好きな食べ物はスイカであることを。

彼は「大丈夫。理穂の性格が好きだからと。」

私たちは夜のファミレスで会うことになった。私はめったにしない化粧をし、念入りにダサい洋服の中から一番いいものを選んだ。

No.4 15/09/02 21:02
女 ( ♀ qk1Unb )

山中聡。

この時初めて全てを打ち明け初めて会った彼が今の私の旦那になった。

あの夜ファミレスであった。終わりになることも覚悟して。でも彼も私に嘘をついていた。

彼はとても年上であった。彼は怯むことなくこういった。付き合って下さいと。

私はこの人について行こうとこの時決めていた。そして彼もそれに答え、私たちは三ヶ月付き合ってその後結婚式はせず、籍だけいれて夫婦となった。

私は畑山理穂から山中理穂になった。

No.5 15/09/02 21:08
女 ( ♀ qk1Unb )

彼は私を愛してくれる。そう信じて。そう信じたかった。

朝は聡のため息から始まる。不機嫌な顔でタバコを吸いながらこちらを睨む。私は彼がなぜ不機嫌なのかいつも理解できなかった。

初めは大丈夫?とかどうしたの?とか聞いたが、それが逆効果となり彼の機嫌が更に悪くなることからとにかく息を凝らし彼の逆鱗に触れないように努めた。

無言の朝食。いってらっしゃいのキスは私の憧れだったがそれが叶うことはなく、目を見ずに会社にでかける旦那の背中がとてもつらかった。

No.6 15/09/03 00:27
女 ( ♀ qk1Unb )

私のおまじない。

結婚できただけまし。

世の中には結婚もできない女もいる。

私はいつもそれを唱えて自分の不幸から逃げた。どんなに痛みを感じても自分より不幸な人を探してはまだ私はましなのだと思う癖がついていた。

私は会社である女性と話すようになり、そのおまじないが消えていくのが分かった。

「彼氏がね~毎日迎えにくるっていうんだ~」「彼氏がね~これプレゼントしてくれたんだ~」「彼氏がね~キスしないと寂しくて死んじゃうっていうんだ~」

彼女の名前は木田元子。私より2つ年下の28才。私は基本的に友達ができないがなぜか彼女は私を気に入り、よく話しかけてくるようになった。

といってもいつも彼氏がね~ばかり。うんざりしてくる反面私は彼女の素直さやその彼氏から受けてる愛情に嫉妬するようになった。

彼女の待ち受けは彼氏とのキスしてる写メ。いい歳して何やってんだと周りが言っていたが、私にはとても潔く感じた。

こうやって堂々と好きだと言えること、愛されてると言えること、私は羨ましくて仕方なかった。

No.7 15/09/03 00:44
女 ( ♀ qk1Unb )

「理穂さんは旦那さんとうまくいってるの?」珍しく私に質問をしてきた。そして一番痛いところをつかれてしまった。

「うまくはいってないかも。難しいよ夫婦になると。」私は軽く結婚の先輩であるかのように言った。そこには恋人と夫婦とは違うんだよという気持ちが隠されている。

「なんで別れないの?」
彼女は当たり前のように言った。私はあまりにストレートに言われたのその言葉の意味が逆に分からなくなった。

「恋人じゃないんだし、そんな簡単に別れないよ。」私がそういうと彼女は首を傾げている。

「どううまくいってないの?理穂さん」
コーヒーの缶を両手で大事そうに持ちながら上目使いで聞いてくる。元子ちゃんは大きな目が印象的でいつもその目に吸い込まれるような感覚になる。

「うーん。なんか嫌われてるっぽい。いつも不機嫌だしため息つくし。一緒にいても楽しく会話できないし…」私は嘘が下手なのでそのまま伝えた。オブラートに包んだり変な言い訳をするとこの子はすぐにそこをツツいてくるから。

「Hは?キスはするの?」
またまた当たり前のようにどぎついことを聞いてくる。

「Hは挿入だけして旦那がイクのみって感じ。キスはないかな。」私は少し恥ずかしくなってズレたメガネを直すふりをした。

「交尾じゃん。それって意味あるの?」
元子ちゃんは長い茶色の柔らかい髪の毛を指で絡めながらそういった。

「そうだね。意味は分からないけど断ったら前にキレられたし。」

「理穂さんにとって愛って何?その旦那さんといる意味は?」お昼休みになんて重い話をしてるのだろう。そしてなぜここまでストレートに聞いてこれるのか彼女の神経を疑った。

No.8 15/09/03 00:54
女 ( ♀ qk1Unb )

「え?難しくて分かんないよ 笑」
私は笑って誤魔化した。でも元子ちゃんの目はいたって真面目で私のことを射抜くようにみてくる。

「ふーん」それだけいうと彼女は携帯に目を移した。そしていつもの彼氏がね~の話をし続けた。

私は夜になり彼女の質問をベッドの中で考えていた。そしてやっぱり答えは出なかった。

「ただいま」
玄関から聡の声が聞こえた。

「おかえりー!今日は聡の好きな唐揚げだよ~!」私は迷いを振り払うように努めて明るく振る舞った。

聡はそっかぁ。とだけ言い残してお風呂にいってしまった。

元子ちゃんの彼氏なら、マジでー!超うれしい!もっちゃん好きだぁ!チュ!とでもするだろうと妄想してしまった。

あながちこれは間違いのない妄想だと思う。

私はそんなバカっぽいやりとりがしたいのだ。そんな風に唐揚げ一つで大喜びされてみたいのだ。

投稿順
新着順
主のみ
付箋
このスレに返信する

小説・エッセイ掲示板のスレ一覧

ウェブ小説家デビューをしてみませんか? 私小説やエッセイから、本格派の小説など、自分の作品をミクルで公開してみよう。※時に未完で終わってしまうことはありますが、読者のためにも、できる限り完結させるようにしましょう。

  • レス新
  • 人気
  • スレ新
  • レス少
新しくスレを作成する

サブ掲示板

注目の話題

カテゴリ一覧