　半日、血は止まらなかった。

　何を踏んだかは分からない。
　左足の先からは血が流れ続けていた。

　「ティッシュペーパーでも当てておけばその内止まるだろ」なんて思ってたら午後になって母親が来た。

　血だらけの布団を見て、怒りながら「なんで医者にいかないの」。
　まぁ、その通りなんだが、「その内止まるだろ。こんなキズ」って気持ちだった。

　それよりも気になったのは「なんで知ってんだ」って事。

　あいつが電話したらしい。俺の布団以外は家中を綺麗にしてから出掛けやがった。
　勿論、俺に向かって「どうしたの」って一言だってありゃしない。「大丈夫？」なんてここ１０年位聞いてないな。

　仕方がないから病院に行ったさ。血だらけの足で車に乗ってね。

　あいつから「だいじょう？」って気持ちの無い台詞を聞いたのは医者の領収書を見せた時だったなぁ。

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No.3 15/08/16 15:38
名無し ( 40代 ♂ )

　そもそもが、「男と女」って感じでは無かった。
　どんなに遅くなろうともホテルに泊まった事は無かった。朝まで飲み続けた事は数え切れない程有ったが、泊まった事は一度も無かった。
　俺から誘うこともあれば誘われることもあった。どんな時でも最後は駅の改札でサヨナラだった。
　「またな…」って言葉を最後に電車に乗る。

　そんな関係がしばらく続いていた。