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迷( FQCEh )
15/06/01 15:33(更新日時)

思い付きで、初めて書きたいと思いました。

本当に、ド素人で小説版に載せて良いものか悩みましたが…

自己満足ですすめて行きたいと思っています。

どうなるか自分でもわかりませんが、ひとりでも読んでいただければ嬉しいです。

小説なんて…図々しくてすみません。


15/03/28 20:19 追記
ё迷の小部屋ё

スレ経てました(^O^)

よろしかったら、お立ち寄り下さい(^-^)

http://mikle.jp/thread/2200885/


No.2180169 15/01/24 21:48(スレ作成日時)

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No.1 15/01/24 21:57
迷 ( FQCEh )

はあ…。

はあ、もう説明する事が面倒くさいよ

私の名前は、阿部真理亜…

物心ついてから嫌いな名前だ。

名字も名前もだよ。

名字は仕方ないよね…

しかし、名前はさ
寄りによって、真理亜って何なのよ。

No.2 15/01/24 22:04
迷 ( FQCEh )

「アベ マリア?」

絶対言われるこの言葉。うんざりだ!

シューベルトなのか、シュークリームなのか知らないけど何なのよ。

病院や市役所
名前を呼ばれる度に、目線を感じる事は想像していたたげるだろうか?

この前も歯医者で、綺麗なお姉さんに「アベマリアさ~ん」て呼ばれ、待合室に居た数人の患者さんが一斉に私を見た…見られたじゃないか!

No.3 15/01/24 22:12
迷 ( FQCEh )

綺麗なお姉さんは、笑顔で対応してくれたけれど笑いを堪えているのではないか?

それとも、被害妄想なのだろうか?

どっちでも良いけど、無愛想な方が楽かもしれないよ。

No.4 15/01/24 22:28
迷 ( FQCEh )

私はアラサー女、いまだに独身だ。

子供の頃から、早く結婚してアベさんとはサッサとおさらばする!

と、決めていたものの…実際そう簡単に事が運ぶはずがない。

長女かつ一人娘だから。
高校卒業するまでは、良く言えば【箱入り娘】だったのだ。

門限19時
外泊禁止
旅行禁止
アルバイト禁止

世間知らずで、ボケーっと過ごして居た…と思う。
父親っこだった私は「お父さんと結婚するの」と宣言をしていたらしい。父は「婿取りして、ずっと一緒にいような」と言っていた。
父の事は、今も好きですよ。
自他共に認めるファザコンですよ。

なのに、今では【箱出し娘】だ。

母は「早く嫁に行け」やら「デキ婚でも言いよ」って…

軽く言わないでくれ。

No.5 15/01/24 22:39
迷 ( FQCEh )

門限や外泊は、かなり厳しかったが、服装や彼氏についてはうるさく言われた覚えはない。

それなりに恋愛もして来たし、アラサーになってまで「清い体よ!」なんて事は言わない。

しかし、世間知らず過ぎて見る目がないのである。

好きになる男性は、見た目で判断すると言う…今では最低だったと思っている
だから、お付き合いが続かなかったのよ。

No.6 15/01/24 22:49
迷 ( FQCEh )

私の祖母は、アメリカで生まれたそうです

だから、クォーター?

なんて言うと、おめめパッチリで髪や肌の色が薄いと思うだろう

実際の私は、顔も体系も日本人
髪は、こめかみの一部が金髪に近い茶色ってだけで、一般的な栗色

そんな風貌なのに、目が少し青いのだ

何ともアンバランスないでたちだ。

このアメリカ生まれの祖母が【真理亜】と名付けたそうだ

からかわれたり、いじめに繋がると思わなかったのかしら?

幸い、ぼーっとしていた私は何も気付かなかったが、もしかしたらいじめらしきものがあったのかもしれない。

鈍感で良かった。


No.7 15/01/24 23:17
迷 ( FQCEh )

祖母の希望で、キリスト教の幼稚園に通っていた
たまたま、送迎バスがあったから?

園の敷地内に修道院があり、シスターも数人居てたまに白人のシスターも修道院に来ていたのを今でも覚えている

私は日本人の年配のシスターに可愛がられ、送迎時のバス内では、そのシスターの膝で毎日寝て通っていたそうだ。

No.8 15/01/24 23:24
迷 ( FQCEh )

子供の頃からぐうたらな私だが、幼稚園に行くのは楽しみだった。

幼なじみの、まーちゃんと同じ幼稚園だったから。

まーちゃんは母の友人の息子さんで、誕生日が私と5日しか変わらない男の子
初恋だったのかもしれない

彼は今では、3人の子供のパパだよ

まーちゃんと「大人になったら結婚しようね」なんて話していたけれど、今思えば、まーちゃんも【阿部】なんだよ…
しょんぼり。

No.9 15/01/24 23:33
迷 ( FQCEh )

こんな家庭なので、友人から
「真理亜ってキリスト教徒なの?」
と良く聞かれたが

うちは、仏教です!

それ程、信仰心は強くないのだが

【南無阿弥陀仏】
浄土宗の阿弥陀様なのだ
法事の時に「皆さんも南無阿弥陀仏…南無阿弥陀仏…と十回唱えましょう」って言っている。

ますます、【阿部真理亜】とは程遠いのである。
南無阿弥陀仏の漢字に自信ありません…

No.10 15/01/25 00:01
迷 ( FQCEh )

ひとりっこは、ひとり遊びが上手ね

そんな声が周りから良く聞こえて来たが、例に漏れず私もひとりで遊ぶ事が多かった

気楽だったのだと思う
団体行動は、いまだに苦手だ。

想像が大好きで、人の話なんて聞いていない
気付いたら、想像の世界に入っているわけで

ひとり妄想族だ

例えば、
母に叱られて居る最中に、考え事をしていて笑ってしまった事がある。
つまり、叱られている事を忘れてしまうのだ

ヒステリックが声がフェイドアウトして聞こえなくなる

だって、想像の世界が楽しいんだもん。

No.11 15/01/25 00:09
迷 ( FQCEh )

ああ…またかよ

せっかくの妄想が、例の声で一気に覚めたてしまったじゃない!

いまだに妄想が好きらしい?

そんなに大きい声で呼ばなくても聞こえるよ
「アベマリアさ~ん、次回の御予約は来週の水曜日ですが、お時間はどうされますか?」

何時でもいいよ!
それより、名字だけにしてくれないかな。

小さい頃は「マリアちゃーん」だったのに。

No.12 15/01/25 00:17
迷 ( FQCEh )

何を妄想していたかと言うと

結婚したら名字が変わるんだな

鈴木?
佐藤?
吉田?
前田前田?なわけないか

ごく普通が良いな

せめて【真理】だったらこんなに悩まなかったのに

おばあちゃん、あなたの脳みそ見てみたいよ

何て思っていたら、天然祖母が

「真理亜は、私の若い頃にそっくりよ」って

えっ?

似てない!
似てない!

No.13 15/01/25 12:44
迷 ( FQCEh )

>> 12 私と祖母は、一緒に歯医者に通っている
何だかんだ仲良しなんだよね

綺麗なお姉さんが「アベエミリーさ~ん」と祖母を呼んだ

呼ばれた祖母の事も、周りは見るのだ

もちろん、私を見る目とは違う

当たり前だよね

金髪から白髪に変わりつつあるものの、白い肌にブルーの瞳

とても、愛くるしいおばあちゃんなのだ。

No.14 15/01/25 13:10
迷 ( FQCEh )

下らない前置きと言うか

だらだらとまとまりのない文章が続いてしまった
…シマッタ、閉まった、締まった


ごめんなさい。

真理亜、撃沈。

No.15 15/01/25 15:45
迷 ( FQCEh )

>> 14 私の両親は、かなり心配性だ

父「真理亜は社会に出てやって行けるのか?」

母「どうだろう?人と接する仕事は無理なんじゃないかしら?」

まんまと親のレールに乗り専門職の資格を取得した。

今はとても感謝しているが、この頃は有り難みはあまりなかった

当たり前に苦労もせず、就職したのだ。

数年働いたある日…

No.16 15/01/25 15:55
迷 ( FQCEh )

お昼休み前に、上司に呼び出され

上司「今日の昼休み空いてるか?飯食いに出よう」

私「良いですよ。他に誰か一緒ですか?」

上司「いや…」

何だろう?
特別な話でもあるのかな?
もしかしたら、私の事好きなの?
めでたい頭だと、我ながら感心するよ。

No.17 15/01/25 16:10
迷 ( FQCEh )

>> 16 上司の車に乗せてもらい、普段行くような定食屋ではなく

お洒落なサンドイッチ屋さんに入った。

それぞれ、ランチセットを注文してお水をひとくち飲んだところで、上司が言いにくそうに話始めた

上司「あのな、阿部さん…」

ドキドキ…何?

上司「実は、会社の上からなんだが経費節減で人員カットの話が出ているんだ」

私「はい?」

上司「本当に、申し訳ないんだが君もリストに入っている」

えっ?えーっ?

パニックだ!

セットドリンクのソーダ水が口に入っている事を忘れ、話そうとしてしまった私のブラウスはグリーンのしみがついてしまった。

つまり、リストラだよね?
無縁だと思っていたリストラ…

上司「~と言うわけで、今月中に会社都合で構わないから、退職届を書いて来て欲しい」

「有給休暇は、あるだけ使ってかまわない」

無言…

上司の話は上の空で気付いたら、黙々とサンドイッチを食べて、上司の分まで平らげていたのだ

恥ずかしい。

No.18 15/01/25 20:14
迷 ( FQCEh )

私は、風邪で高熱が出ても食欲はある方だが

この日は、営業さんからの差し入れでお団子があったのに、2本しか食べられなかった

そして夕飯は、炊き込み御飯2杯は何とか食べたけれど、ジャンボ茶碗蒸しはおかわり出来なかったのである

おばあちゃんも心配してくれて、おかわり出来なかったみたい。

かなり重症です。

リストラの事は誰にも、話していません

どうしよう。

No.19 15/01/25 20:40
迷 ( FQCEh )

人生初の危機感を味わっているが、何も出来ないし、考えても答えは出ない

おそらく今夜は眠れないだろうな

22時になっても眠れなかったので、枕を持っておばあちゃんの部屋に向かった

とりあえず、おばあちゃんに相談しようと思ったのだ。

起きてるかな?

No.20 15/01/25 20:57
迷 ( FQCEh )

やっぱり止めた。



有給休暇が20日程残っているから、リフレッシュ休暇と言うことにして、その間ゆっくり考えよう。

No.21 15/01/25 22:28
迷 ( FQCEh )

「明日から20日間、有給休暇取るから」

私は家族に宣言した


母「20日も?旅行でも行くの?」

私「リフレッシュ休暇なんだよ」


嘘つきだ

本当は、寿退社で会社の人達から、花束を貰い笑顔で去る予定だったのに…

去るどころか、路頭に迷う猿だよ


数日はゆっくりしよう

前から入っていたインターネットのサイトを覗いてみる事にした。

No.22 15/01/25 22:50
迷 ( FQCEh )

そのサイトは、ゲームや趣味のコミュニケーションや、チャット等を楽しむのだが

私は、何となくチャットを開いてみた


いるいる、暇人だらけがたくさん


ニヤニヤしながら

「おひさ~」と入ってみた

ハンドルネームは【みつき】
特に意味はないけれど、3月生まれだから適当につけただけだ

早速

「みつき!まぢひさびーじゃん!元気?」
【春】と言う、同年代の女性が声をかけて来た

みつき「春~元気じゃない(泣)」

春「どしたん?何かあったの?」

みつき「会社クビー」

春「いきなり何で?」

何でと聞かれても、解らないよ

しばらく会話をしてキリの良いところで落ちた

あら!

一番先に、顔も知らないネットの友達に相談してしまった。

親しい友達に話すより楽かな?
なんて、呑気な事を考えていたのだ。

これから、また名前に悩まされるなんて事は、まだ知らない私だった。

No.23 15/01/26 13:21
迷 ( FQCEh )

有給休暇に入ってから、3日が過ぎた

何もしないで、だらだら過ごしてしまったみたいだ

とりあえず、ハローワークに行ってみる事にしよう

まだ離職届も手元にないので、受付に向かいパソコンを見せて貰うように頼んだ

受付の人に、事情を説明したところ

「在職中でも就職活動は出来ますよ」と言われたので、手続きをする事にした

受付「それでは、この用紙の太枠に記入して下さいね」

私「はい。」


出たーっ!

当たり前だけど、名前書くんだよね

とにかく、解る範囲で記入して受付に持って行った

受付「阿部真理亜さん?素敵なお名前ですね」

二度見しながら言われても


嬉しくない。

No.24 15/01/26 13:28
迷 ( FQCEh )

出入り口付近で求人のファイルをペラペラめくって眺めていたら、やっとパソコンの順番が来た

求人はいっぱいある

しかし、思っていた以上に年齢的に難しく少々焦って来た

今までと、同じ様な職種を探してみたが

年齢26歳までってのが多い

私は29歳なのだ

アラサーの就職は大変だよ。

No.25 15/01/26 13:49
迷 ( FQCEh )

疲れたな

今夜も食欲がない

大好きな鮪のお刺身だったのに、おかわり出来なかったよ

母「真理亜が食べないからご飯残っちゃったよ」「明日の朝はチャーハンよ」

おばあちゃんが心配して、手作りのミートパイを焼いてくれたのに

3つしか食べられなかった

祖母「真理亜…全然食べてないのね…また痩せちゃうわよ」

そう言えば、最近体重減ってるかも?

お風呂上がりに計ってみたら、41キロになっていた

身長160センチの41キロって普通なのかな?

先週までは45キロで健康体だったんだけどな

そうそう、うちの家系は大食いなのだ

テレビで大食いの番組を良く見るが、大したことはないと思う。

No.26 15/01/26 16:52
迷 ( FQCEh )

友人に押され、大食いコンテストに出た事が何度かあるが

なかなか入賞出来ない

私は、食べるのが遅いのだ

一時間以内に餃子100皿なんて、とてもじゃないけど無理よ

80皿くらいで時間切れになるのだ

いつも腹7分目で、我慢しなくてはいけないなんて、辛いよ。

No.27 15/01/26 17:05
迷 ( FQCEh )

話はぶっ飛びますが、ふと気付いてしまった

少し前までは、男女共に飲み会や、旅行等を計画していたが

ここしばらくは、何もないよ

携帯のアドレスを見たら女子は殆ど結婚して子持ちになっている

男子も、決まった相手がいるっぽいし

年賀状は子供の写真付ハガキが増えた

家族写真なら、まだましなんだよな

子供の顔知らないし

あれ…私ったら、少し寂しくなって来たのかしら?

No.28 15/01/26 17:07
迷 ( FQCEh )

寂しい…

何だか寂しいよ




少し冬眠しようかな。

No.29 15/01/26 23:41
迷 ( FQCEh )

頭が重いな

凄く良く眠った気がするが、瞼も重くて目が開かない

どうやらベッドに横になっているみたい
自宅とは違う空気だし、少し消毒の匂いがする

背中や足には抱き枕の様なものがあてがってあるけど…


ゆっくり目を開けてみた

眩しい

白い天井に白いシーツ


ここは何処?
病院なの?


ベッド脇の薄いピンク色のカーテンをひこうとしたが、手に力が入ずに触れるだけで精一杯だった。

No.30 15/01/27 15:52
迷 ( FQCEh )

ゆっくりと周りを見渡したけれど、誰もいない

しかし、何故こんな所に居るの?

思いだそうとしたら、頭に激痛が走り

うう…痛い

(誰か…)

あれ?
声が出ないよ

(あー、あー)
出そうとしても、声が出ない

どうしたんだろう

(あー、あー)
やっぱり無理だ。

No.31 15/01/27 17:27
迷 ( FQCEh )

20分程経っただろうか
ガラガラ

部屋の扉が開く音がした
「阿部さん、今日も栄養補給しましょうね」

看護師さんらしき人が入って来た

目を開けている私を見て、看護師さんはびっくりした様子で

「阿部さん!解る?」
「良かった!意識が戻って」

と良いながら、担当医を呼ぶように、慌ててナースコールを押した。

No.32 15/01/27 17:28
迷 ( FQCEh )

20分程経っただろうか

~ガラガラ~

部屋の扉が開く音がした
「阿部さん、今日も栄養補給しましょうね」

看護師さんらしき人が入って来た

目を開けている私を見て、看護師さんはびっくりした様子で

「阿部さん!解る?」
「良かった!意識が戻って」

と良いながら、担当医を呼ぶように、慌ててナースコールを押した。

No.33 15/01/27 17:30
迷 ( FQCEh )

※重複してしまいました
すみませんm(_ _)m

No.34 15/01/27 17:49
迷 ( FQCEh )

看護師さんは、自己紹介を始めた

平野尚美さん
私と同い年らしい

平野さん「阿部さんの担当の看護師、平野尚美です、よろしくね」

私は頷く事しか出来なかった

平野さん「意識が戻って間もないから、無理しないでね」

無理も何も、何があったのか全く解らないし、思い出せないんだよ

話したくても、話せないんだよ。

No.35 15/01/27 22:56
迷 ( FQCEh )

私の様子を看た平野さんは

「あら?私と気が合わないのかしら?」

ゆっくり、話してくれたが、私が困った顔をしたので

何か異変があるのだろうと察してくれたようだ

「もう少ししたら、担当の医師が来ますからね」

と良いながら、点滴の速度を見たり、検温や血圧を計ってくれた。

No.36 15/01/27 23:12
迷 ( FQCEh )

数分後、医師らしき人が部屋に入って来た

担当医は、増田と名乗った

増田ドクター「気分はどうですか?」


私「……」

一見怖そうな人だけど、話し方が優しいので少し拍子抜けした


増田ドクター「事故にあってから、意識不明だったんですよ」


平野さん「先生、阿部さんはまだ声が出しにくいみたいなんです」

増田ドクター「んー、目が覚めてから間もないからね、数日様子をみましょう」

(様子って?何が何だか解らないんだけど)

(お父さん、おばあちゃん、お母さん)

あっ!携帯はどこだろう?

増田ドクターと平野さんが部屋から出た後、体を起こそうとしたが自力では動けない。

No.37 15/01/28 18:18
迷 ( FQCEh )

体に力も入らないし、声も出ない

良く考えてみたが、考えれば考える程、頭痛が痛い

頭痛が痛い、なんて日本語はないが、本当に激痛が走り耳鳴りが酷くなるのである

バタバタ!
バタバタ!

ガラガラ!

物凄い勢いで、母が部屋に入って来た。

No.38 15/01/28 18:25
迷 ( FQCEh )

私を見た母は、ホッとしたような、力が抜けたような顔になり、ポロポロと、次から次に涙が溢れ出ていた

そして、
「良かった…本当に良かった」

「間もなくお父さんも来るからね」

今度は泣きながら、笑った。

No.39 15/01/29 00:54
迷 ( FQCEh )

いったいどうなっているんだろう?

ジェスチャーで声が出ないと母に訴えたら、持っていたボールペンと小さなメモ帳を出してくれた

力は出ないが、たどたどしく文字を書く

(お母さん、声が出せないの)

母は
一瞬「ん?どうして?」と言った後
「ナースステーションに行って聞いてみるよ」と一度、部屋を出て行った
しばらくして母が戻って来た

「一時的なものらしいよ」
「何か欲しいものは?」
(携帯と、もう少し大きなノート)
とメモ帳に書いた

母は一瞬困った顔になり「真理亜の携帯…壊れちゃったのよ…」
「それに病院だと携帯使えないでしよ」

私はまたメモ帳に
(何も覚えてないの、思い出そうとすると、頭痛が酷いの)

母は節目がちになってしまった。

No.40 15/01/29 01:07
迷 ( FQCEh )

数秒の沈黙の後、

ドタドタ!ドタドタ!

ガラっ!

父が、息を切らしながら部屋に入って来た

「真理亜!大丈夫か?目を覚ましてくれて良かったよ…お母さんに電話貰って会社から飛び出して来たんだ」

確かに汗だくで、息も切れていたので、走って来たんだろうと思った

手には、袋いっぱいの飲み物や、プリンやヨーグルトが入っていた

「嫌だ!お父さん、いくらなんでもこんなに…まだ食事の許可も降りてないのに」

両親は顔を見合わせて、また泣き笑いになった。
母が私の様子を、父に話したら

「売店で真理亜に、ペンとノートを買って来てやってくれ」
と父が母に頼んでくれた。

No.41 15/01/29 01:15
迷 ( FQCEh )

父は、ハーフなので祖母に似ている

掘りの深いブルーに近い瞳で髪は、今で言う茶髪の様な感じだ

少し、ウェーブがかかって居て、我が父ながらも昔からカッコいいなと思っていた

そんな父が

私をそっと抱きしめてくれた

さっきの母のように、目に涙を浮かべながら…

父の涙は、初めて見たかもしれない。

No.42 15/01/29 15:23
迷 ( FQCEh )

売店から帰って来た母は

「小さな売店だから、これくらいしかなかったの」
「明日、文具店で良さそうな物を買ってくるね」

campusのB5サイズのノートに、黒と赤のマジックだった

力がはいらない私にはありがたかった

これも母の思い遣りなんだろう

早速、新しいノートを手に取り書き始めた私を、両親は顔を寄せて見入っていた

(顔が近過ぎてかけないよ)

ふたりは顔を合わせて笑った。

No.43 15/01/29 16:27
迷 ( FQCEh )

続けてノートに書く

(増田先生から事故って聞いたんだけど、全然覚えてないの)

(体が痛い訳でもないし、声が出ない事と頭痛が酷いだけで…私どうしたの?)

両親は、顔を曇らせた

どう話して良いのか、考えている様子だ

私が、首を傾げていたら父がゆっくり話し出した

「真理亜は増田先生が仰った通り、事故にあったんだよ」

「病院に運ばれてからも意識が戻らなかったんだ…目に見える怪我もないし骨折もしていないから、脳の検査もしたけれど異常はなかったんだよ」

ここまで話した父は、母が売店で買って来たお茶をひと口飲んだ

「先生は、脳しんとうかも知れないので、少し様子を見ましょうって…それから約5ヶ月も意識不明だったんだよ…」

父の話を、母も神妙な面持ちで聞いていた。

えっ?5ヶ月?

冗談でしょ…

混乱して、また頭痛がして来た。

母が私の頬を優しく手で撫でてくれた

「ひとまず、増田先生にお話してみよう」

父が母を促し

「先生にお話したら、また戻るから」

ショックと言うか、現実なのかも解らず、ひとりになりたかった

両親の心中を思う余裕など、全くなかった私は

(今日はひとりにしてくれる?)

「そうだね…急にいろいろ話しても疲れるもんね」
「明日また来るから」と母は手を振り

「また明日ね」

と優しく言いながら部屋を出て行った。

No.44 15/01/30 15:57
迷 ( FQCEh )

>> 43 真理亜の両親は、部屋を出た後、担当医の増田先生に話を聞きに行った

ふたりとも、気にかかる事は同じだ

ナースステーションの窓口で

「増田先生とお話出来ますか」


父が平野さんに訪ねた

「連絡取りますので少しお待ち下さいね」

いつも笑顔の平野さんは

「後少しで外来診察が終わりますので、お待ちいただけますか?」


両親は揃って

「お願いします」

と頭を下げた


病院の応接室に通され、15分くらい待っていると、増田先生が

「お待たせして、すみません」
「外来が長引いてしまって」

「大丈夫ですよ、真理亜の事で聞きたい事があるのですが…」


増田先生にも、両親の気持ちが伝わっていたようだ。

No.45 15/01/31 01:02
迷 ( FQCEh )

「あの…」

両親の声が重なった

ふたりの目の合図で、父が話すことになった

「真理亜には、事故で5ヶ月意識が戻らなかった、と言う事だけを話しました」

「体は慣れると思うのですが、記憶がない事と話せない事がきになります」

母が付け足すように

「それから、事故当日の事を、あの子に話すタイミングが解らないのですが、どうすれば良いのでしょうか?」

ふたりは、増田先生の言葉を待った

「仰る通り娘さんの体と脳は異常はありません」

「しかし5ヶ月も意識がなかったので、ゆっくりリハビリと、カウンセリングが必要になる場合もあると思います」

「思い出せないのは、一時的な記憶障害かと思われます」


「今、事実を全て話したらパニックに陥り、彼女のメンタルが心配です」

「おふたりの判断は正しかったと思いますよ」

「先ずは日常生活が出来るように、私たちスタッフも全力で行いたいと思いますが、よろしいですか?」


「はい。どうぞよろしくお願いします」

「解りました。一緒にがんばりましょう」


増田先生は熱心に、話を聞いてくれて、質問に対しても、わかりやすく説明してくれた。


「ありがとうございます。今日は娘も疲れたようなので、私達は失礼します。」

「真理亜の事よろしくお願いします」

両親は、増田先生に深々とお礼をして病院を後にした。

No.46 15/01/31 14:19
迷 ( FQCEh )

両親と増田先生の、やりとりなど知らない私は、ゆっくりと大きく深呼吸をした

少しだか、手の感覚が戻って来たような気がする

それにしても、5ヶ月も意識がなかったなんて…

その上、何も覚えていない事が不安だった

今日は何曜日?
あっ…月日も解らない

個室だからなのか、カレンダーもないな

お母さんが買って来てくれたノートに聞きたいことをメモしよう

(今日の月日と曜日、カレンダーが欲しい)

(会社のリストラの事、黙っててごめんなさい、無事?退職出来たの?)

(どんな事故にあったの?)

(おばあちゃんは?)


こんなところだろうか

ノートをサイドテーブルに戻し、横になり目を閉じてみた

目の奥が熱くなって来た…疲れたのだろうか…今は休みたかった。

No.47 15/02/01 01:22
迷 ( FQCEh )

1時間程ウトウトしていたようだ

病室に時計があるから、時間は確認できる

丸いシンプルな時計

デジタルより、時間の感覚が読めるから好きだな

時刻は、午後7時を回っていた

天井を見ながら、ぼーっとしていたら、平野さんが点滴を変えに来てくれた

「あら!起こしちゃったかしら?」

私は、ゆっくり首を横に振り

(大丈夫)

と合図した

「阿部さんは、御両親に恵まれてますね」

「毎日、欠かさずお見舞に来られてたのよ」

私は、平野さんにノートを渡した

(いつもありがとうございます)

(今日の日付を教えて貰えますか?)

「ちょっと待っててね、ナースステーションに卓上カレンダーがあると思うから」

数分後、平野さんが戻って来た

「今日は、5月5日よ、火曜日だけどゴールデンウイークだから、世間はお休みね」

「いいな~」

平野さんの言葉に、笑ってしまった

「私、変な事言いました?」

少し慌てて、可愛らしい

(いいな~が実感こもっていたので)

「嫌だ!恥ずかしい…でも本心よ」

平野さんは、爽やかに笑いながら

「お隣の病室に行って来ます、順番なの」

「何かあったら、ナースコールしてね、今日夜勤だから、朝まで居ますから」

首を縦に振り、手を降ったら、平野さんも手を振り隣の病室へ向かった。

No.48 15/02/01 01:45
迷 ( FQCEh )

>> 47 ゴールデンウイーク…

5月…

逆算すると、去年の12月から、眠りっぱなしだったわけ?

私は、眠り姫か!

いや!王子様にキスされた覚えはない

ううー
冗談よしこちゃんだよ

私は、病院で年越しをしていた

そして、20代最後の日も気付かず…

眠っている間に、知らない間に、三十路になっていたのである。

そうだ…もう歳なんてどうでもいいよ

思いだそうとしたら、また頭痛が…

割れるような激痛…

我慢が出来なくなり、ナースコールを押した

「すぐ向かいます」

今度は年配の看護師さんが早歩きで部屋に入って来た

「阿部さん、どうしました?」

私は、頭を抱えてノートも開けない

「ごめんね、ほんの少し我慢してね」

我慢出来ないよ…

看護師さんが鎮痛剤らしき物を持って来てくれた

「増田先生の指示よ、我慢出来なくなったら飲んでね、なるべく4時間は空けて下さいね」

「大丈夫?」

もう、文字を書く余裕もないんだよ

アイスノンで頭を冷やして貰い、少しずつ痛みが引いて来た。

そして、浅い眠りのまま朝になった。

No.49 15/02/01 14:47
迷 ( FQCEh )

団体行動が苦手な私には、個室はありがたかったのだけれど、少々殺風景な感じだな

カーテン開けてあっても、建物で景色はほぼみえない

この病院は、コの字形の建物なのかな?

もう無理に、考えるのは止めて病室の中や、看護師さん達の様子を眺めていた

~ガラガラ~ガラガラ~

どうやら検温の時間らしい

「阿部さん、おはようございます」

若い看護師さんが入って来た

「気分どうですか?」

検温、血圧、尿のカテーテルを確認しながら、聞かれたので

(大丈夫)と合図した

「阿部さん、お食事食べられそうですか?内臓も元気だし、食欲が出たら、おもゆや流動食のような物で慣らしましょうか?」

そうだ!
食事のことなんか、すっかり忘れていた

(はい)

首を縦に振ったら

「では、増田先生に報告しておきますね」

若い看護師さんは、次の患者さんの検温に向かった。

No.50 15/02/01 23:37
迷 ( FQCEh )

お昼前になり、回診の時間になったらしい

増田先生と、平野さんがやって来た

「阿部さん、ご飯食べれそう何だって?アレルギーはないって聞いてるけど、嫌いな物はある?」

自慢じゃないが、私は嫌いな物はない!が、食事とデザート、おやつは別ものなのだ

ノートに

(食べられない物はないけど、ご飯が甘いのは嫌かも…栗ご飯とか…おはぎとか)

増田先生は笑いながら

「そんな豪華な食事は出ないと思うよ?平野さん、一応カルテに書いてくれるかな」

平野さんは、笑いを押し殺している様にみえたのは、気のせいかな?

「あっ!そうそう、外来が延びる事があってね、回診が午後になる場合があるんだ、ごめんね」

ふーん、結構忙しいんだな

午後になったら、午後ティーでも持って来てくれれば良いのに

「また、後でね」

増田先生と平野さんは、また次の患者さんの病室に向かった。

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