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がま口太郎の駅前旅館

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こむら*蛙( ♂ 56a9nb )
14/11/13 03:38(更新日時)

全国各地に、今も〃ひっそり〃と営業している駅前旅館。


二流時代小説家の、がま口太郎は、そんな駅前旅館が好きだ。


弟子の〃モンチッチ〃と、全国各地の駅前旅館に泊まり歩き、駅前旅館の魅力を紹介していきます。


14/08/01 10:33 追記
※調べたのですが、昭和40年代の宿泊料金が、良くわかりません…

14/08/29 07:43 追記
※つまらなくて、馬鹿馬鹿しい話が、続くと思いますが、暖かい目で見守ってやって下さい。こんな馬鹿な携帯馬鹿話一つあってもいいのではないかと、思います。

No.2120028 14/07/25 10:36(スレ作成日時)

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No.1 14/07/27 00:23
こむら*蛙 ( ♂ 56a9nb )



昭和43年夏、がま口太郎は夜間警備員の仕事の傍ら、小説家を志し、せっせと自作私小説を執筆、文学賞への応募、出版社への小説の持ち込みを精力的に行っていたが、成果は散々たるありさまだった。

No.2 14/07/28 10:36
こむら*蛙 ( ♂ 56a9nb )



がま口太郎は、少年時代に自分の心の中に抑えきれない怒りみたいなものがあり、それを発散させる為にカミナリ族(現代における暴走族)に所属し、盗んだオートバイで、夜の公道を暴走していた。


その頃、自分の母が男を作り家を出て、その寂しさを埋める癒しを、カミナリ族に求めていたのかも知れなかった。

No.3 14/07/29 10:33
こむら*蛙 ( ♂ 56a9nb )



カミナリ族で過ごした自分の思春期の心の移ろいを軸に、自分の私小説を構成したものを投稿し続ける、私小説家志望がま口太郎。


が、出しても出しても無反応であった。


「私には、私小説を書く才能がないのだ…」


上野駅近くの安酒場で、やけ酒のコップ酒をしこたま飲み、悪酔いしながらさ迷う失意の、がま口太郎。


とそこへ、


「お兄さん、今夜泊まるところ探してはるんちゃいます?」


と後ろから女の声がした。

No.4 14/07/30 11:40
こむら*蛙 ( ♂ 56a9nb )



振り返ると、栗毛の髪を三編みにして、紺色のハッピを着た、ややぽっちゃりした女が、微笑んでいた。


「すみませんけど、旅行してはる人でしょ?今晩泊まるとこないなら、ぜひウチに泊まりません?」


と、やや早口な関西弁で話しかけてくる。関西女のつけている真っ赤な口紅が、ヌラヌラと光っていた。関西女の着ている紺色のハッピを見ると、


「上野駅前旅館・河豚天」

と記されていた。と、同時に、がま口太郎の視線は、関西女が着ているハッピからもハッキリと突きだしている、豊満な乳房に目を奪われる。

No.5 14/07/31 10:28
こむら*蛙 ( ♂ 56a9nb )



がま口太郎は、5年前に小説家になるために、上京したのだが、食べる為の仕事ほかは、全ての時間を私小説執筆、売り込みに費やしていた。



女には、目もくれず…当然ながら、そのような男に関心を持つ女もいない。


がま口太郎の、男根は暴発寸前であった。


がま口太郎は、関西女の豊満な乳房を凝視しながら、


「君、一晩いくらだ?」


と値段交渉を始める。


がま口太郎は、喉の渇きを感じていた。

No.6 14/08/01 10:23
こむら*蛙 ( ♂ 56a9nb )



関西女の豊満な乳房が少し揺れた。


「わ、お泊まりですかぁ?今からの時間帯やったら、朝食ついて、一泊500円になりますよ。ウチは、お風呂が結構大きくて、皆さん…」


がま口太郎は、関西女の説明をさえぎるように、


「そんなことを、私は聞いてるのではない…」


がま口太郎の、息が荒い。

「…?」


がま口太郎は、自分の厚い唇を少し舐めてから、


「…き、君の身体は、一晩いくらだと、私は聞いとるのだ…」


「…はぁ?」


笑顔だった関西女の表情が一瞬にして険しくなり、ちょうど通りかかったカップルが、がま口太郎の交渉事を聞いていたのか、大きな声を出して笑いだした。

No.7 14/08/02 10:04
こむら*蛙 ( ♂ 56a9nb )



大学生らしい頭がよさそうなカップルが、ニヤニヤ笑いながら、がま口太郎を見て、


「あの男の人、目が怖いよ」


「彼は、童貞で女の口説き方を知らないから必死なのさ」


なんて好き勝手な事を言いながら、がま口太郎の前を通りすぎてゆく。


「あの…、何か勘違いしてない?ウチは、そういう旅館と違うし!」


そう言って関西女は、がま口太郎から離れようと速足で歩きだした。


逃げてゆく、豊満な乳房。


最悪だ。どうすれば…

No.8 14/08/04 10:26
こむら*蛙 ( ♂ 56a9nb )



「ちょっと待ってくれ!私は、君のちぶ…」


小走りで、がま口太郎から離れたい関西女を、追いかけるがま口太郎。


そこに、


「あれ、がま口か?君は、がま口太郎だよな!」


と横から不意に男に声をかけられる、がま口太郎。


何だよ、誰だ。私は忙しいんだよと、見ると高校時代の同級生、魁玉乃助が両手に少し不細工な水商売風の女ふたりを連れて、なつかしそうに、がま口太郎を見ていた。


「おお、魁君じゃないか!君は確か、プロ野球選手になったんだったよなぁ?」

No.9 14/08/05 10:33
こむら*蛙 ( ♂ 56a9nb )



魁玉乃助は、メガネをかけた童顔の顔に満面の笑顔を作り、


「おおよ。最近やっと一軍で守備固めやら、代走で使ってもらえるようになってな。昨夜のナイターは、盗塁も決めたぜぇ」


と、うれしそうに話す。テスト生、練習生、使いっぱしりからスタートした、魁玉乃助のプロ野球人生は、ここが正念場であろうと、がま口太郎は、思った。


「それは、そうとがま口、逃げていく女に、何か喚きながら女追いかけてたけど何してたんだ?」

No.10 14/08/06 11:20
こむら*蛙 ( ♂ 56a9nb )



「いや、なに」


がま口太郎は、遠くを見つめるような目つきになり、


「あの女は、私の女なのだが、そこのナイトクラブでお互いに酒も入っていたのだろう口論になり、つい、掴みあいの喧嘩をだ、したってわけさ」


昔から人の良い性格で、他人に良く騙されやすい魁玉乃助は、


「それは呼び止めて悪かったなぁ。これ、がま口にやるよ。週末、東京スタジアムで試合するんだよ。俺が出れるかわからんけど、さっきの彼女と見に来いよな」


と、南海ホークスの試合切符を二枚もらった。

No.11 14/08/10 08:34
こむら*蛙 ( ♂ 56a9nb )



泥酔した背広姿のサラリーマン風の中年男性達が、「まだまだ呑むぞぉ!次々!」と大騒ぎしている。


「おっと、今何時だ?」


魁玉乃助が左手首にしている自分の高級時計オメガで時間を確認する様を目にして、いかにも値がはりそうなオメガの時計よりも、魁玉乃助が、日々の厳しいトレーニングの賜物であろうガッチリした太い手首に、がま口太郎は、驚く。


魁玉乃助の体を良く見ると割りと細かったはずの体型は、筋肉がつき体格も大きくなっていた。


…あいつ、体が太く見えるからって、あんなに筋肉つけるの嫌がってたのにな…

高校時代、スマートな体型にこだわりを持っていた魁玉乃助だが、プロ野球で生き抜く為には、そんな事を言ってられなかったのであろう。

No.12 14/08/11 09:44
こむら*蛙 ( ♂ 56a9nb )



「がま口、そろそろ俺行くわ。今から、南海の先輩達と呑みに行くんだよ。この女の子達も一緒にな」


魁玉乃助の連れている女達を見ると、女達二人は、顔を背けて、煙草をふかしていた。


「…わ、私も連れて行ってくれ…」


「え、何だって?」


「私も、南海の飲み会に連れて行けと言ってるのだ」

キャハハと、魁玉乃助の連れている女達二人が笑い出す。

No.13 14/08/13 21:07
こむら*蛙 ( ♂ 56a9nb )



魁玉乃助は、申し訳なさそうな表情で、


「がま口な、俺達が呑みに行くところは、目黒のほうのマンションで会員制の、クラブなんだよな。まぁ、芸能関係とか…がま口みたいな、一般人は、いないから、悪いけど気軽に連れて行けないんだ」


「あぁ、その点なら大丈夫だ。私も小説家…文士だから、その会員制クラブとやらに、入る資格はあると思う」


「え?がま口、お前小説家だったのか?知らなかったわ!何て小説だしてんだ?今度買いに行くわ」


「あ、いや…文学賞の選考員や、編集者が私の小説を理解できないボンクラだから、まだ世には出てないんだが」


魁玉乃助の連れている女達が、またキャハハと、人を小馬鹿にするような甲高い声で笑い出す。

No.14 14/08/18 10:35
こむら*蛙 ( ♂ 56a9nb )



魁玉乃助は、ニッコリ微笑んで、


「そっか。いつか、がま口の小説が認められたら良いな。ま、また二人でどっか呑みに行こう…」


その時、魁玉乃助の連れている二人の女のうちの一人が、吸っているの煙草の煙を鼻から吐き出しながら、

「なーにが、ワタシも小説家よ。どうせ、才能のないただの小説家志望でしょお?」


と言えば、もう一人の連れの女も、ヤニで黄色くなった汚い歯をむき出しにして笑い、


「馬鹿みたい。かっこつけるなよお前」


と、怒りでブチキレそうで体をプルプル震わせているがま口太郎を、指さして腹を抱えて笑う。

No.15 14/08/19 14:40
こむら*蛙 ( ♂ 56a9nb )



傍で、老人と少年が騒いでいる。路上生活者の老人が拾い集めた雑誌を路上に並べて叩き売りしているところに、赤い派手なアロハシャツを着た、猿に似た少年が酔って吐いたものだから、商売にならないだろ!とキレてしまった路上老人と、アロハモンキー少年が掴み合いを始めて、通行人やら近くの安酒場から、客が飛び出してきて、やれやれ!と囃し立てていた。


さっきからハエが、飛び回り、うっとおしい。


腹を抱えて笑う、女達二人を連れて、慌てて去った魁玉乃助達の後ろ姿を見ながら、屈辱感で涙する、がま口太郎。


あんな女達に散々小馬鹿にされたが、言い返せない自分がいた。


No.16 14/08/20 10:20
こむら*蛙 ( ♂ 56a9nb )



雨が、落ちてくる。

先ほど、魁玉乃助の連れの女達に小馬鹿にされ、泣いてしまった、がま口太郎であるが、ふと、あの女達を主人公に小説は、書けないだろうか?と思いつく。


がま口太郎は、遠くを見つめるような表情で考え始めた。


ニューヨーク。最終章の舞台だ。


※海外旅行、飛行機すら乗ったことがないので、ニューヨークについては、図書館で調べねばなるまいが。

…東京は、…浅草でスナックで働く、登士子と、未左枝。ふらりとカンザスシティ生まれの青年、ピーターパンが血まみれで店に入ってくる…


悲鳴をあげる未左枝。


「おい、お前!」

ふいに後ろから誰かが、がま口太郎に、声をかけるが自作小説思案中の、がま口太郎は、全く気がつかない。

No.17 14/08/21 10:27
こむら*蛙 ( ♂ 56a9nb )



…カンザスシティ生まれの…ピーターパン…年齢は、23才…日本には、日大全共闘運動の写真を撮影する為来日…。


雨に打たれながら、目を閉じて、普段書いている私小説ではなく、初の恋愛小説の構想に思いふける、がま口太郎。


「この野郎、シカトしてるのかよ!」


ピーターパンは、写真家だ。父親は、…ダイエットマシーンのセールスマン、…母は、マーケットのレジスターのパートをしていて…


「この野郎、足元を見ろや!」


うーん、ピーターパンは、女と交際したことがない。


つまり、チェリーボーイ。


ピーターパン→チェリーボーイ。とイメージした時、がま口太郎は、吹き出して思いだし笑いしてしまう。

No.18 14/08/22 10:09
こむら*蛙 ( ♂ 56a9nb )



童貞のキーワードで、ガハハと笑いだした、がま口太郎であるが、その時、何者かが、がま口太郎の胸ぐらを捕まえ、強烈なパンチをがま口太郎に、浴びせた。


頬をいきなり、殴られて無様に倒れこむ、がま口太郎。


何だ!?誰だ、私にこんな仕打ちをする奴は?



不意の殴打により、チェリーボーイのイメージが消しとんでしまい、一瞬にして我に返った、がま口太郎の視界に、赤いアロハシャツが、目に止まる。


「何だキサマは!どうして私に、こんな仕打ちをするんだ!?」


No.19 14/08/23 14:27
こむら*蛙 ( ♂ 56a9nb )



目の前には、殴られたのだろう鼻血を出した赤いアロハシャツを着た少年がいた。


たしか、この猿に似た少年は、すぐ近くで老人と殴りあいをしてなかったか?なぜ、自分にからんでくるのか、がま口太郎は理解できなかった。


アロハモンキー少年は、がま口太郎の足元を指差し、


「この野郎。スカシやがって、足元を見てみろ!」


と言うので、がま口太郎が、自分の足元を見ると、煙草の吸殻が、10本ほど路上に捨ててある。


「お前が吸った煙草だろ?ちゃんと、灰皿に捨てろと俺は注意してるんだよ」

No.20 14/08/24 01:10
こむら*蛙 ( ♂ 56a9nb )



落ちている吸殻を見ると、セーラムのハッカ煙草で、吸い口に、口紅が付いている。さきぼどの、魁玉乃助の連れの女達のだ。



バカどもめが、と舌うちして、がま口太郎が立ち上がると、背後で誰かが陽気な声で話している。


見ると、陽気な声の主は路上老人で、小僧が殴りかかってきたけども、つい軍隊に入っていた頃を思い出して、何発か殴り返したら逃げて行きましての。などと何人かの野次馬と話していた。



ははん、この野郎、あの老人に喧嘩で負けたから、腹いせに、私に絡んできたのだな。



No.21 14/08/24 01:29
こむら*蛙 ( ♂ 56a9nb )




立ち上がった、がま口太郎は、まっすぐアロハモンキーの眼を見据えると、


「君は、チェリーボーイか?」


「な、何?チェリー?」


「童貞か?と聞いてるのだ私は!」


「…何だよいきなり…」


がま口太郎の、予期せぬ女を抱いたことがあるのか、お前は?のストレートな質問に、アロハモンキーは少し顔が赤くなり、うつむき加減になる。


「君は、チェリーボーイだな。自己処理も満足にできてないのだろう。金玉に毒が溜まっているから、そんな粗暴なチンピラなのだ、君は」

No.22 14/08/25 11:06
こむら*蛙 ( ♂ 56a9nb )




上野駅近くの高速道路下で営業している屋台のおでん屋に、派手な赤いアロハシャツを着た少年と、クルーカットにした髪型のやや陰気くさい男が、肩を並べて酒を飲んでいる。


一時間ほど前に、トラブルになった、猿に似た少年と、自称私小説作家の、がま口太郎であった。


「決心は、着いたか?」


がま口太郎は、アロハモンキーのコップに、麦酒をつぎながら、アロハモンキーの酔いで赤くなった顔を見ると、


猿に似ていると言っても、良く見ると端正な顔だちで髪型が、猿風なだけな感じのアロハモンキーが、嫌そうな表情で、


「がま口さん、またその話かよぉ。俺は、やっぱ初めての女は、好きな子としたいから」

No.23 14/08/26 03:59
こむら*蛙 ( ♂ 56a9nb )




「好きな子か。君は、交際している娘は、いるの?」


「いないけど…好きな人はいるな」


「どんな、女性だね?」


「え?…いや、隣に住んでるお姉さん」


「その、お姉さんとは話したことあるの?」



「え?そりゃあるよ。小さい時から、遊んでもらったから…七才年上だけどな」


「君は、実家暮らしか。お姉さんは、グラマー?」


「グラマー?いや。やたら色々聞くね、あんた。スラリとした、目元が涼しげな美人だよ」


No.24 14/08/26 12:03
こむら*蛙 ( ♂ 56a9nb )




「その、隣のお姉さんには男がいるね、君?」


「まぁな。彼は、いるよ。休みには、仲良くドライブに行ってるみたいだからな」


「じゃあ、男がいる隣の年上のお姉さんに、七つ年下のチンピラの君が、結ばれて、チェリーボーイじゃなくなる可能性は、ほとんどないのでは、ないのか?」


「まぁな。好きでいるぐらい勝手だろ?」



「だったら、女を買いに行こう。私と。そっちのほうが、確実にチェリーボーイから、卒業できるから」



「結局、その話かよ。がま口さん。俺は、西川口乗り込んでまで、白人の女としたくないよ。勘弁してくれよ」

No.25 14/08/27 10:34
こむら*蛙 ( ♂ 56a9nb )




「君、これを見てくれ」



がま口太郎は、はいているパンタロンのポケットから、何やら新聞紙の切り抜きのような物を取り出した。



「またかよ。何回も見たよそれは」



がま口太郎は、自分の厚い唇を少し舐めてから、



「この西川口にな、できた新しい店な、欧州女が、沢山いるんだよね。もう乳房が、凄いんだ」



「親父さん、さつまあげと、大根と…」と、おでん屋の店主に追加注文して、アロハモンキーは、けだるそうに、がま口太郎の持っているスポーツ新聞の風俗欄の切り抜きを見て、



「何回も、取り出したり、しまったりしてるから記事がクタクタになってるじゃねぇか。さっきから女の胸の話ばっかだし」



がま口太郎と、アロハモンキーのやりとりを黙って聞いていた、パンチパーマにねじり鉢巻きをした、こわもての、おでん屋の親父が、



「お客さん、洋物が好きなんですか?…いえね、この近くで、バッチリ見えちゃう、洋物のポルノフィルムを見れちゃうとこが、あるんですわ。よろしければ、あたしが、ご案内しますよ」

No.26 14/08/28 10:47
こむら*蛙 ( ♂ 56a9nb )




と、話かけてくる。


「親父、本当か?その話は!」


裏ポルノフィルムの噂は、聞いていたが、がま口太郎は、見たことがなかった。ここは、ぜひみたい。


おでん屋の、親父は不器用な笑顔で、


「本当ですとも。昼間は、喫茶室なんですがね。夜、不定期に修正なしの、ポルノフィルムを上映させていただいてます。結構、繁盛しておりますです、はい」


話は、まとまり、おでん屋の親父は、公衆電話で店側に連絡をして、店の地図を書いて渡してくれた。


酔いがまわって、眠そうなアロハモンキーに、裏ポルノフィルム観賞→西川口へ一緒に突撃しよう。と執拗に誘う、がま口太郎に、頑なに拒絶していたアロハモンキーだが、根負けして裏ポルノフィルム観賞だけならと、一緒に行くことになった。


実は、がま口太郎は、この手の店には一人で行けない、小心者であったのだ。

No.27 14/08/29 14:19
こむら*蛙 ( ♂ 56a9nb )





夜に、裏ポルノフィルム上映をする喫茶室「岬」に、小走りで駆け込む、がま口太郎とアロハモンキーの二人。



二人が呑んでいた、おでん屋から徒歩五分ほどの距離であったが、がま口太郎の道案内は、めちゃくちゃで方向音痴…(間違えようがない場所であるが)の彼に代わってアロハモンキーが道案内をして、汗をかきながらも走りとおしたおかげで、なんとか上映時間予定より十五分ほど前に、すべりこむことができた。



「岬」の入り口である木の扉の前で、受付の男が「裏」と言い、がま口太郎達は、「ポルノフィルム」と答える。店側と、一般客を入れない為の合い言葉である。



店側に、がま口太郎とアロハモンキーは、それぞれ500円札を支払って、通り道で深夜営業していた酒屋で、買ったスルメイカをかじりながら、木の扉を開ける。



裏ポルノフィルムを観賞しながら、スルメイカを肴に缶ビールを飲むつもりであった。



No.28 14/08/29 20:43
こむら*蛙 ( ♂ 56a9nb )




「でさぁ、あの男何て言ったと思う?結婚して下さいだって」


「マジ?」


「信じられないでしょ?あんたと、あたしが結婚するわけないじゃない。あんな男と結婚したら、毎日、地味で死にそうだわ」


「消えろって感じよねぇ」


…何だ、これは!



確か、私達は「裏ポルノフィルム」を観賞する為に、ここに来たはずだが。



…なぜ、ほとんど女性客なのだ!



少ない男性客は、ほぼ全員女日照りの金の無さそうな冴えない男達で、場違いな場所に来たように、うつむいて小さくなっている。



それに比べて、女性客どもはリラックスして大声で話していて、着ている服や、身に付けているアクセサリーも高そうな物ばかり。



アロハモンキーが、恥ずかしいのか赤い顔をして、



「何で、女が来てんだよ。何だか帰りたいよ。帰ろうぜ」



No.29 14/08/30 18:05
こむら*蛙 ( ♂ 56a9nb )




「あなたがた、岬来るの始めてですか?」


と、声をかけられて見るとゲゲゲの鬼太郎みたいなヘアースタイルの中年男が、声をかけてきた。


「何だ、キサマは?」


「いやぁ、週刊誌の取材などを、やっとるものですがね」


と名刺を渡してくる。


渡された名刺を見ると、


フリー・ジャーナルリスト
☆東海林宇宙☆


と記されてあった。


「フリー・ジャーナルリスト?とうかいりん、うちゅう君か。何か我々に取材でも?」

No.30 14/08/30 18:16
こむら*蛙 ( ♂ 56a9nb )

>> 29 ※訂正です


始めて×

初めて○

です、失礼しました☆

No.31 14/08/31 19:31
こむら*蛙 ( ♂ 56a9nb )

…※


「あんたらに、僕が取材を?馬鹿な」


東海林宇宙は、ジタンの煙草を取り出して、マッチでジタンに火をつけ、


「僕の名前は、しょうじひろしと読むんだ。君は、勉学はサッパリの口だろう?」


と、がま口太郎の顔にジタンの煙を吹きかける。


「… 」


「東海林さん、じゃ俺達に何の用なのさ?」


アロハモンキーの問いに、東海林宇宙は、


「今夜、岬が上映するポルノ女優は、僕の妻だ。ぜひ充分に、妻の身体を見て楽しんで欲しくてね」


※制作ノート①


当初の、駅前旅館コメディの構想から、大きく脱線しております(笑)


東海林宇宙のキャラは、全く出す予定は、ありませんでした。話のバランスが大きく崩れないように、頑張ります。

No.32 14/09/01 10:35
こむら*蛙 ( ♂ 56a9nb )




「今夜見るポルノ女優が、東海林さんの奥さん?本当に?外人の?」


アロハモンキーは、目を丸くしている。



「支配人!ちょっとジタンを買ってきてくれ!それと葡萄酒の赤を三つ頼む」



岬の常連か、VIPなのか東海林宇宙は、横柄な態度で気障な口髭を生やした黒服の男に声をかけると、ジタンを吸いながら、



「妻の名前は、グロリアと言う。僕より10才下のオーストリア人だ。僕達は、グラーツで出会った。当時、妻は学校には行かず、グラーツの街をさまよい歩く不良少女だったんだ。しかし美しかった。妖精のようだったんだ」



No.33 14/09/01 14:13
こむら*蛙 ( ♂ 56a9nb )





アロハモンキーが、考えこむ顔をして、



「ちょっとまって、東海林さん。それ、いつの話?」


「あん?10年前だ。妻、グロリアは、まだ16才だった…」



「東海林さん、それおかしいよ。一般人が、海外旅行できるようになったのは昭和39年の話だろ?今は、昭和43年だから、行けないはずだよ!学校の先生が言ってた」



「…そうだったかな?僕の場合は、内緒だが特別渡航許可証を特別に発行してもらい、オーストリアに行ったのだ。…僕は当時、日本国の欧州エリア担当の、スパイの仕事をしていたのだ」


No.34 14/09/01 20:41
こむら*蛙 ( ♂ 56a9nb )




「スパイぃ?東海林さんがぁ?」



何となく場が、シラケる。


「支配人!まだ用意できないの!」



東海林宇宙は、カウンターに向かって怒鳴り、



「…グラーツで、グロリアと出会って、その日のうちに、僕とグロリアは関係を持った。僕は、グロリアを深く愛してたんだよ」


と言っていきなり泣きそうな笑顔で、アロハモンキーの目を見つめてきた東海林宇宙に、アロハモンキーは思わず目線をそらして、



「でもさ、16才のグロリアさんに、10才年上のスパイの東海林さんが、声かけて寝たなんて、何だかキモいね」



と返すと、



「そうだな、僕はロリータ・コンプレックスかも知れない」



No.35 14/09/03 10:23
こむら*蛙 ( ♂ 56a9nb )




いい匂いがする。香水の匂いだ。


「スパイって、ロリコンなんですかぁ?」



女の子の声がするので、見るとショートカットの、猫のような結構可愛い女の子が微笑んでいた。



東海林宇宙は、爽やか風なぎこちない笑顔を作り、



「いやぁ、こんな可愛い女の子に聞かれてたなんて恥ずかしいな。君も、一緒に見ないか?良かったら僕の隣の席に座らない?」



猫娘は、東海林宇宙の横の席には座らず、アロハモンキーの横に、くっつくように座り、



「お邪魔しまぁす」



とアロハモンキーに微笑んだ。



No.36 14/09/04 10:27
こむら*蛙 ( ♂ 56a9nb )




裏ポルノフィルム上映が、始まった。


いきなり画面に、女の尻のアップ画面から始まる。


女の尻には、ブツブツの出来物みたいなのが多い。観客は、このブツブツの出来物が、気になって仕方がない。


左から、東海林宇宙、がま口太郎、アロハモンキー、猫娘の順横並び座りで、観賞しているが、アロハモンキーと猫娘の二人は、ポルノフィルムは、あまり観賞せず話込んでいた。


お互いの趣味が、クリケットと知り話が盛り上がってる様子。


気障な口髭を生やした支配人が、運んできた葡萄酒を二人で仲良く飲みながら、話は、お互いの過去の恋愛話になっていた。

No.37 14/09/04 10:48
こむら*蛙 ( ♂ 56a9nb )




洋物裏ポルノフィルムだというので、エーゲ海などで白人が抱き合う外国ポルノを想像していた観客達であるが、このポルノフィルムの撮影場所は、どうやら日本海で、グロリアのsexパートナーの、ポルノ男優は、ねじり鉢巻きをした角刈りの漁師風のニッポン男児であった。



「妻、グロリアと寝てみたいんだろ、君は?」



先ほどから、がま口太郎の耳もとで、東海林宇宙が囁いてくる。



東海林宇宙が、妖精のようだと言っていた妻グロリアは、観客達の目には怪獣映画のガメラのようで、特に男性客は、がっかりしてしまった。



No.38 14/09/05 06:44
こむら*蛙 ( ♂ 56a9nb )





画面には、漁師男優に後ろから攻め立てられるグロリアの苦し気な顔が写し出されている。



「がま口君、僕は…実はインポテンツなんだ」



「インポテンツ?どうしてインポテンツなんかに?」


「…僕の精は、妻グロリアに吸い付くされてしまった。グロリアは、物凄く性欲が強くてね。僕は道具を使って擬似挿入しか、もはやできない。そんな僕に、グロリアは興味はないんだ」


グロリアの獣の遠吠えのような喘ぐ大きな声が聞こえてくる。がま口太郎は、グロリアが何だか演技をしているような感じがした。



東海林宇宙は、ジタンの煙を吐き出しながら



「がま口君、妻グロリアのペットになってくれないか?」



No.39 14/09/08 07:37
こむら*蛙 ( ♂ 56a9nb )




がま口太郎は、八月末でアルバイト先である、だるま警備会社を解雇された。



遅刻、無断欠勤、勤務態度などが問題視されたからである。



・・・・・・・・・・・



「週末、土曜日だけグロリアの性の相手をしてやってくれ。その時のプレイの様子を、僕は写真に撮りたいのだ。報酬は、君の仕事の給料分くらいは払うよ」



「馬鹿な!わ、私にも男のプライドがある。そんな君に、私が尻の穴を見せる行為など、できるものか!」



「そうかね?君は結局この話を受ける気がするね。…一応、僕の電話番号を渡しておくよ」



がま口太郎は、だるま警備会社を解雇された、その日に東海林宇宙に連絡をして、妻グロリアのペットにならせて下さいと伝えると、東海林宇宙は、受話器の向こうで笑いながら、



「そら、僕の言ったとおりになっただろう?グロリアは、薔薇のイラストが入ったシースルーのネグリジェを、君の為に買ったんだ。グロリアは、はりきっているぜ」



No.40 14/09/16 11:14
こむら*蛙 ( ♂ 56a9nb )




女の舌が、男の耳の穴の中を舐めようとする。


「やめてくれ!」


女と、身体の交わりを持ちたくない男は、体をよじって逃げようとしたが、女だが腕の力が強いオーストリアの女は、がっちりと男を組強いて離さない…


東海林宇宙の妻グロリアとペット契約…二人に取って初めての初夜を過ごし、根津にある自分の三畳一間の下宿先に、がま口太郎が帰ってきたのは、日曜日の朝9時頃であった。


がま口太郎は、服を脱ぐと自分の体中に、グロリアの真っ赤な口紅で吸われたキッス・マークが付いていた。


No.41 14/09/17 10:30
こむら*蛙 ( ♂ 56a9nb )




がま口太郎は、やかんを持って白いブリーフ一丁の姿で部屋を出て、共同台所にゆきインスタント・コーシーを飲むためにお湯を沸かす。


何気に、窓を開けて外を見てみると、向かいのアパルトマンの奥様風の、なんとも艶っぽい顔をしたミセスが、洗濯をしたのだろう紫色のブラジャーを干しているところで、白いブリーフ姿で体中にグロリアのキッス・マークをつけたクルー・カットの陰気くさい、半笑いのがま口太郎とお互いの顔を見つめる形になってしまい、驚いたミセスが悲鳴をあげると、近所の人や下宿先の他の住人など、なんだなんだと、いっせいに集まってきた。


No.42 14/09/22 10:52
こむら*蛙 ( ♂ 56a9nb )




日頃から小言ばかり言っている(がま口太郎に)大家婆や、悲鳴をあげたミセスを見て、旦那が警察に通報し、駆けつけた警官など、野次馬どもの噂話のせいで、がま口太郎はミセスに、自分の露出したモノを見せた変質者というレッテルを貼られ、問い詰める警官や大家婆に必死に否定する、がま口太郎であるが、


「わ、燃えてる!火事だぞ!」


野次馬の一人が、発した叫び声に一同見てみると、なるほど、煙がたち燃えている。がま口太郎が、インスタント・コーシーを飲む為につけたガスの火が、消し忘れた為に側のカーテンに燃え移ったのだ!


No.43 14/10/01 11:17
こむら*蛙 ( ♂ 56a9nb )




大変だ、消防車を呼べ、呼んだってこんな狭い路地に入ってこれるかしら?バカ、かまわないから呼べよと大変な騒ぎになり、近所の人達が力をあわせて素人消火作業をするも、メラメラ、バチバチと、がま口太郎の下宿先が燃えてゆき、その炎は、ますます大きくなるばかり。


「バカ、コップの水をかけていたって消火なんかできないだろ、バケツの水か、消火器持ってくるんだよ!」


と、消火活動をしていた火事を起こした張本人の、がま口太郎は、怒鳴られ邪魔邪魔と、がま口太郎を邪魔者あつかいされていたが、誰かが火事おこしたのは、がま口太郎じゃない?と言いだした。



No.44 14/10/02 10:54
こむら*蛙 ( ♂ 56a9nb )




「僕、見たんです。がま口太郎が、カーテンのある窓際で、エロ本を読みながらタバコを吸ってました。そして火のついたタバコを灰皿に置いたまま、窓をあけて、いきなりはいていたブリーフを下げたんです。いきなり、何をするんだこの男は?と、びっくりしたら、女の人の悲鳴が聞こえました。その時灰皿から煙が出ていた気がしましたが、女の人の悲鳴に気を取られてしまって…他に、火の元になるようなものは、なかったし、がま口太郎が吸っていたタバコしか原因は考えられませんね」


オイオイ、何を出任せ言ってるのだ、この男は。私はタバコは吸わないぞ!警官と大家婆に、得意そうに話している猫の絵が描いてあるシャツを着ている、やや肥満気味な、この男に大家婆は「まじんさん」と呼んでいる。


がま口太郎は、今の下宿先に4年近く住んでるが、この「魔神さん」を見たことがなかった。


No.45 14/10/03 10:24
こむら*蛙 ( ♂ 56a9nb )





「まじんは、悪魔の魔に神と書いて魔神…まぁ大魔神の魔神です。…下の名前はよしお…え?美しいに男です。魔神美男です…」



警官に名前と職業を聞かれた魔神美男は、職業を小説家と言い、



「私小説を書いてます。私小説家です」



と警官にハキハキと答えるのを聞いた、がま口太郎は私小説家?私と同じ職業じゃないか、ライバルか、こいつはと、少し驚いた。



No.46 14/11/13 03:38
こむら*蛙 ( ♂ 56a9nb )




私小説家を名乗る魔神美男の証言により、警察官から事情を聞かれそうになった私小説家の、がま口太郎はその場から逃走、ほとんど裸の彼は、丁度通りかかったラーメン屋の出前持ち小僧に、手刀を浴びせ気絶させ、出前持ち小僧の服と自転車を強奪、それらを身に付け、表情を変えラーメン屋の出前持ち小僧に変装しながら、東海林宇宙とグロリアの住むマンションに向かった。


行き場のない彼は、東海林宇宙に事情を話し、かくまってもらおうと考えたのだ…


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