幼なじみは○○使い
幼なじみの男の子の秘密。
仕事中に思い浮かんだ話です。
14/07/24 21:23 追記
追加↓
主人公、黎ちゃんですが最初のレスで私と言っていたところをあたしと言っていました。
そしてユキくんのことをユキと呼んでいたり……(;・∀・)・・
ユキの名前は雪代尚生(ゆきしろなお)と読みます。
色々と書くのを間違えてしまうかもしれませんが、
生暖かく見ていただけると幸いです。
16/10/19 01:57 追記
追記:2年越しですが再開始めました。
間があるので書き方が変わってたりしますのであらかじめご了承ください。
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.+*:゚+。.☆
数分間屋上で突ったったあと、あたしは教室へ戻った。
「おー、おかえり黎(れい)ー」
自分の席へ着くや否や、前の席に座る女子にそう言われた。
「ただいま唯羽(ゆう)」
あたしはその女子にそう返し、机に突っ伏する。
「何?どうしたのさ」
「朝からついてないの」
はぁっと溜息をついて窓の外を見る。
「珍しいよね、あんたがあんなに運悪いタイミングに遭うなんて」
本当、唯羽の言った通り朝からついてない。
朝は登校途中に犬に追いかけられて遅刻して先生に怒られて廊下に立たされるし。
何もないところで転ぶし。
お昼ご飯で食べるつもりだったお弁当は忘れてくるし。
さっきもさっきで…………。
さっきはわかんないや、屋上に行ったことすら覚えてないし。
「うぅ……」
「ほれほれ、あんまり嘆くとこっちまでテンション下がる。
あっち見て落ち着け」
唯羽が指差す教卓前に顔を向かせる。
そんな男の子の幼なじみがあたし、永山黎だ。
ルックスがいいユキくんに比べて、あたしはごく普通。成績も運動神経もそこそこだ。
性格は歪んでないからセーフだ。
「あ、そういや黎」
「ん?」
「さっきどこ行ってたのさ。
先生に呼ばれたの?」
「あー…………」
唯羽の一言に、あたしは目を逸らしながら少し考える。
いくらなんでもこれだけは言えない。
屋上に行って飛び降りだなんて。
ましてや覚えていないんだ。
言えるわけがない。
「……黎?」
「え、あ、うん。
先生に呼ばれたかな?」
「なんで過去形?」
冷静な唯羽のツッコミに、あたしは笑うけど返す言葉も何もなかった。
中学からの友人、平田唯羽はクールな性格だけど、
いつもあたしのことを心配してくれる。
まあ、たまに怒られるけど。
.+*:゚+。.☆
放課後。
部活や帰宅する人達が溢れる中、あたしは委員会に行った唯羽とユキを待っていた。
「……遅いな……」
いつもならそろそろ来るはずなんだけど、
どうしたんだろ。
「黎ーー」
校門で待つあたしの後ろから、聞き覚えのある声が近づいてきた。
「ユキ。遅かったじゃん、唯羽は?」
「平田なら今日部活寄っていくって。
幽霊部員でもちゃんとでなきゃなって言いながら部室向かってった」
へぇ、珍しい。
唯羽は隠れオタクでたまに漫画研究会に顔を出してる。
今日は活動日だったんだ。
「じゃあ、今日ユキと二人だけ?」
「ダメ?たまには幼なじみ同士一緒に帰ろ。
それとも平田も一緒がよかった?」
「なっ……?!」
ユキの一言にあたしは慌てる。
恋愛感情がないにしても、不意打ちはキツイ。
不意をつかれると返しようがないというか……。
なんとか落ち着いたあたしはもう一度歩き出す。
けど、今度は違った。
ユキは危なくないようにあたしを庇いながら車道側に歩く。
「……そんな事しなくても気をつけるよ?」
「ダーメ。
黎は目を離すと危ないからそんな事するの」
平田にも絶対言われるからね、とつけてユキはあたしの歩幅に合わせて歩いてくれた。
昔から変わってない。
ユキは昔から人に優しくって幼なじみのあたしに対しても優しかった。
誰かが困っていたらすぐに助けに行くくらい人思いの男の子。
……まあ、やりすぎる事もあるけど。
それがユキの取り柄だから仕方が無い。
「じゃあまた明日ね」
「うん」
家に着き、お互いの家の前でそう告げ同時に中へと入る。
昔から変わらない、幼なじみの挨拶だ。
.+*:゚+。.☆
次の日、あたしは昨日の厄日がなかったように何事もなく過ごした。
唯羽とお昼を食べ、午後の授業も終えた。
とにかく何事もなく過ごせた。
…………放課後までは。
「黎、今日先帰ってて」
放課後、いつもどおり唯羽とユキとあたしで帰るつもりだったが、
唯羽は今日も部活だと言って教室をあとにした。
今日は金曜だから、クレープ食べに行こうと思ったのにな……。
あたしと唯羽とユキは、毎週金曜の放課後クレープ屋さんへ行くのが習慣だ。
そこでクレープを食べながら今日出された課題を片付ける。
ユキは女子二人だけで食べなよと遠慮するけど。
はぁ……今日はまっすぐ帰ろう。
あたしは心の中でつぶやいて、ユキの席へ向かう。
「ユキ、いっしょに帰ろう」
あたしはユキにそう言ったが、顔を見るなりあたしの目の前で両手合わせる。
「ごめん、今日部活の助っ人頼まれたんだ。
悪いけど先帰ってて?」
「えぇぇ」
本日2回目のキャンセルに、あたしは半分泣きそうになった。
本当にごめんと言いながら、ユキも教室をあとにする。
気が付けば、教室にいるのはあたしだけになった。
「……帰ろう」
あたしはため息をつきながら教室を出た。
.+*:゚+。.☆
家路に着く途中、あたしの目の前に黒い毬藻みたいなモノがうずくまってた。
『ニャー』
「え、黒猫……?」
よく見ると、まだ小さい黒猫だった。
「こんな所にいたら車に轢かれちゃうよ。
こっちおいで」
あたしはしゃがんで黒猫を呼ぶ。
黒猫は応えるようにあたしの方へ歩いてきた。
『ニャー』
「よしよし……って、怪我してる」
黒猫が歩いてきた所には、赤いのが転々と落ちてて、黒猫の体を見ると、黒くて見えづらいけど右手に怪我を負っていた。
「ちょっと待って。今手当してあげる」
あたしはそう言って、通学用のリュックからティッシュとハンカチを出した。
「……これでよし、と」
不格好だけど、なんとか手当て終了。
『ニャー』
黒猫はひと鳴きするとあたしの手に擦り寄る。
「ははっ、擽ったいって。
……迷子かな?」
あたしは黒猫をまじまじ見ると、首元に赤いリボンが結ばれていた。
あ、これよく見たら箔押しで名前付いてる。
きっと飼い主が付けたんだろうな。
あたしはそう思って、箔押しされた名前を読み上げる。
「えっと……ルゥナ?」
『ニャ!』
どうやらこの子の名前みたい。
「君どこから来たの?」
あたしは黒猫、ルゥナにそう聞いてみる。
って、言っても分かんないか……。
『ニャ?』
「……あたしの家に来る?」
『ニャ!』
あたしの言葉に、ルゥナは応えるように鳴いた。
それだけは分かるのね……、
まぁともかく。
怪我が治るまで、あたしはルゥナを家に置くことにした。
お母さん達、許してくれるかな……?
.+*:゚+。.☆
「猫?いいよー。
ちゃんと面倒見てあげてねー」
あっさりお母さん達に承諾されて、ルゥナは今、あたしの部屋にいる。
ルゥナは猫じゃらしで遊んでいるのを横目に、あたしはこれからの事を考えていた。
「怪我が治るまでの間だし、名前の付いたリボンが結んであるんだから、飼い主はいるはずだよね」
近くにポスター貼らせてもらって……。
「あ、ポスター作るとしても、
あたしPCあんまり使いこなせないんだよな」
スマートフォンは使いこなせるんだけど。
「んー……どうしよ」
お父さんに頼んで作ってもらおうかな?
PR広告とか雑誌の編集やってるし。
「そうと決まれば!」
あたしはお父さんの作業室へ向おうとドアを開けた、その時。
「うわっ?!」
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