🔔🎄殺人サンタはただのバイト🎄🔔(クリスマス限定読み切り)

俺たちはサタン(悪魔)
ではなく
サンタだ！
あくまでも 子供の夢を叶えることを生業としているはずだ


だから人を殺すなんて
そんな不道徳なことがあっていいはずがない


｢ﾌｫｯﾌｫｯﾌｫ
子どもたちに笑顔を与えるのがサンタの仕事じゃ！
泣かせたりしたら、罰則おしりぺんぺんの刑じゃぞ！
では、頼んだぞ😄｣


なんて軽い言葉をかけて、ボスサンタは颯爽と消えてしまった


えぇえええ!!!!


ありえねぇ！!!!!

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>> 1 バイトでも、仕事は 仕事だ！


とにかく、願い事の主にあってみるしかねぇ！


最近やっと乗ることができるようになった
トナカイ101号に乗って
俺はとりあえず、偵察に出ることにした


余談だが、トナカイ101号は、
赤鼻の荒くれ者で誰も乗り手がおらず
まあ･･簡単に言えば
誰も使いたがらなかったトナカイは､バイトのサンタ(俺)に押し付けられたってわけで････


｢ギャアアア！やめろ！
トナカイ101号!!!!!!｣


トナカイ101号は
俺の気を知ってか知らずか､今日も素晴らしい飛行を見せ


チュどーん！


乗って数分も経たないうちに見事に墜落した･･･

｢イッテー！
てめぇ！トナカイ101号
顔かせや!こら！｣


ニヤニヤ･･･


｢笑ってんじゃねぇ！
高速で墜落しやがって！
サンタがシンダなんて洒落にもならねぇ！
願い事の主の所まで連れてくこともできねぇのか！
このトンマ！｣


ニヤニヤ････
｢････おじちゃん
サンタなの?
まじ･･････ﾀﾞｻｯ｣

｢ダサいとは何だ！
こんにゃろ！
･････････ん？｣


トナカイ101号の方から声がしたと思ったが
こいつは言葉を話せない

目を凝らしてよく見ると
奴の後ろに小さい黒い頭が見える


｢おぃ！そこのチビ！
出てこい！
サンタが格好いいことを
お･に･い･ち･ゃ･ん･が
約百字にまとめてせつめいしてやっから！｣


｢うんこ座りしたサンタなんか信じられるわけないだろ･･･ﾀﾞｻｯ！｣


｢なにぃ！
チビ！ちょっと顔出せや！ｺﾞﾗ！｣

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>> 2 ｢がら悪っ!!!
でもお前
本当にサンタなんだな！｣


疑い深そうにﾄﾅｶｲの後ろから顔を出したのは
名探偵コ🌕ン風の
いかにもｸｿ生意気そうなお子様


｢おぅ！
ウンコ座りしてても、
サンタはさんたよ！
なんか願い事でもあんのか？
ｸｿちびよ！｣


｢ふぅん･･･ｳﾝｺサンタでも、
サンタはさんただよな！
じゃあ、僕の願い事､絶対かなえろよ！｣


｢お･･･おぅ！｣


ｸｿちびが､子どもらしいワクワクした目とは真逆の冷めた暗い目つきをして、
俺を睨みつけるもんだから
思わず返事しちまった


俺はまだ、おっきな問題(願い事)抱えてんだけどなぁ


｢とおさんを殺してよ｣


そうそう！
とおさんを殺してよ
っていう、わけのわからない子どもの願い事を･････


ん･････


････････


この願い事の主はお前かぁ～～～～‼‼‼‼‼


下手すぎだろ。まじで

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>> 3 ﾄﾅｶｲ101号が
ちゃんと目的地連れてっただろうが‼
と言わんばかりに
フフン(`ー´)
と鼻をならす


わーった！
お前の仕事ぶりには
暴走飛行以外は､感謝してる


しかし、
実際会ってみたら､
『願い事
まちがえちゃったんだ
えへ💕』


なんて･･･
可愛いお子さんを予想していた俺にとって
この結果は最悪だ‼‼


｢さっさと殺ってくれよ｣


頭を抱えていると、
まるでヤ🌕ザのようにドスの利いた声で
ｸｿちびがせまってくる


あぁ
どうすっかなぁ････


｢えと･･･その親父さんは何者ですかね？｣


｢人だよ！人！
この地球上に人間を生めるのは人以外にいないだろ！
そんなこともわかんねぇの！
ｳﾝｺサンタ！｣


｢いや･･･人殺すって
殺人っすよね･･･
てか、もうちょっと
子供らしい願い事ないっすかね
ほら、この暴走ﾄﾅｶｲが欲しいとかなんとか･･･
ｺﾞﾆｮｺﾞﾆｮ｣


｢ない！｣


はぁ･･･


地面に指でｺﾞﾆｮｺﾞﾆｮ落書きしてる俺の尻を
ﾄﾅｶｲ101号が角でｸﾞﾘｸﾞﾘやってくる


分かったよ
行きゃあいいんだろ
行きゃあ･･･


因みにﾃﾒｪは
ｸｿちびがほしがったら
即刻プレゼントにしてやるからな！
リボンもかけずに
速攻くれてやる💢

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>> 4 それから俺は､半ば引きずられるようにｸｿちびの家まで運ばれた


そこは川沿いのボロいﾄﾀﾝ屋根の家で
ベニヤ板を張り付けたような壁からは
冷たい風がﾋﾟｭｳﾋﾟｭｳ吹き込む


｢なぁ･･･
クリスマスプレゼント･･･
家欲しい､とかに変えねぇ？｣


｢母さんただいまぁ！｣


俺の提案をことごとく無視し、
ｸｿちびは､母さんと呼ばれた人の所に走っていった


こんなガキの母親なんて
そこらへんのオカンみたいにどっしりとした
オバハンじゃねぇの？



なぁんて、思いながら
母親を見たんだ



｢ｼﾞｭﾃﾞｰﾑ。
俺があなたを救ってあげましょう💕｣



そこに居たのは･････
人魚が川から地上に降りたったかのごとく････
綺麗な人で･･････


｢やった！約束だぞ!
誓えよ!
絶対僕たちを救うって｣

<即答>
｢あぁ！約束しよう！
サンタの誇りにかけて！
<ｷﾗｰﾝ(`ー´>✨✨>｣


俺はその美しい母親の前で
ｸｿちびとかたく握手を交わした


ﾄﾅｶｲ101号が横でまた
ニヤニヤしているのが分かる


仕方ないだろ！
俺はバイトで
まだまだ収入も安定してないけど
クリスマスぐらい!!
いいじゃねぇか！


彼女と一緒に過ごしたいと思ってなにが悪い!!!!!ヽ(*｀Д´)ノ

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>> 5 ｢しかし殺すってのは
あんまりお薦めしないなぁ････｣


俺たちは､ｸｿちびに連れられて近くのパチンコ屋に来ていた


まぁ殺したいほど憎い父親だけあって
昼間っからパチンコ
夜は酒浸りみたいな
堕落した生活を送っているようで･･･


｢あそこ！あいつだ！｣


｢あいつって････一応父親だろ･･･｣


｢ダメだ！アイツは母さんを殴って金巻き上げてパチンコしたり
酒飲んだり
なんていうんだ、こういうの･･･
クズ！人間のくずだ！
｣


｢クズって････
でも
お前にも遺伝子受け継がれてんだしよ･･･
もっと言いようがあんだろ💧｣


｢あいつ僕の本当の父親じゃないし･･･｣


｢そっか････｣


なんだか、ｸｿちびが異様に凹んでる様にみえたのでそれ以上は聞けなかった。
ま、色々事情はあるよな

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>> 6 ｢まあでもさぁ
殺すってのもなんだからもっと良心的な方法さがそうぜ！
例えば･･･その･･
俺がお前の母ちゃんと･･･その･･･
結婚して･･･
新しい父ちゃんになってさぁ･･･
そしたら今の父ちゃん
殺さなくてもいいじゃん！
･･･てことで！
お前の母ちゃんと！
母ちゃんと結婚させてください！
(*>д<*)(叫)｣

｢やだよ(即答｣


｢･････(つд｀)｣


まぁ断られることは分かっていたが
こうも即答されると微妙に凹む
まぁ俺まだバイトだし･･･････
バイトだしよ････


｢でもよぉ････ 殺人ってのは
やっぱ お薦めしないわ････
なんっうかさぁ････
ほら
人切ったら、どばっと血でんだろ！
俺！あれが苦手でさぁ｣


｢え!お前サンタだろ!!
もっと格好いい方法で殺せないのかよ💢｣



｢いや･俺
バイトだから･･･ｺﾞﾆｮｺﾞﾆｮ｣



確かに、正社員のサンタは子どもたちの願いを叶えるために､多少の魔法が使える

でも、俺は新人のバイトサンタだ
できることと言ったら、ﾄﾅｶｲで空飛ぶことぐらい


｢なんだよ･･･頼りにならな💢💢!!!｣


ｸｿちびは頬を河豚のように膨らましてそっぽをむいている
まぁ仕方ねぇ
俺バイトだし


｢しかあし！
そんなバイトサンタにも！素晴らしい特技があーる💡💡｣


ジャジャーン！
と下手な効果音を声に出しながら
俺は例の物を取り出した


｢･･････で？｣


｢うわっ！冷たい！
ﾄﾅｶｲ101号!
このﾁﾋﾞさめてるよ😫｣


ニヤニヤ


｢っうか！
くだらない会話はいいから。
んで、その右手に握ってる携帯どうするわけ?｣


｢よくぞ聞いてくれました!
これこそは文明の利器!俺の少ないバイト代で買った最高級の携帯です!｣


｢ださ!
まだガラケイかよ！
で？それでどうすんだよ｣


｢(こんにゃろ💢ださいだと💢まぁいい💢落ち着け俺！俺は大人、あいつはガキだ💢)
はいはい
よくぞ聞いてくれました
こっからは大人の話なんだがな。ﾑﾋﾋ･･･｣

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>> 7 神の速さで俺の指はあっという間に、素晴らしい文章を打った


｢まぁ、お子様には見せられないが
ざっとこんなもんさ！｣

｢なにがさ?｣


｢まーまーいいから！
お前の親父のメルアド教えろよ｣


｢やだよ！訳わかんねぇ！何するか言わないと教えないからな💢｣


ちくしょう困ったな
お子様にはちと
刺激的すぎんだけど･･･

｢ふーん


以前から好きでした
私と〇×△しませんか？

なんだこりゃ？｣


｢ぐわ＿＿!!!!
いつの間に 俺の携帯をっ!!!!
てか ﾄﾅｶｲ101号!
ﾃﾒｰが盗んだのか!!!｣


ﾄﾅｶｲ101号は､ｸｿちびとニヤニヤしながら俺の携帯を覗き込んでいる


｢ってかさぁ
どこぞの下手なエロメールより酷いこんな文で、親父を浮気させようとか思った訳？
ださっ！｣


｢うるせぇ！
俺は浮気に関しては
掲示板ﾐｸﾙで学んで詳しいんだよ！
お前の親父
浮気させりゃあ、簡単に離婚できんだろ！｣

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>> 8 はぁ～


と一つため息をついて
ｸｿちびは
神以上の速さでメールを打ち始めた


ﾄﾅｶｲ号がまたニヤニヤこちらをみている


うるせぇな
最近のがきは､指が器用だからメールもはやくうてんだよ！


｢ほら！これでいいだろ｣

冷めたような目で
こちらも見ずに携帯を投げられ
さてどんなもんかと
メールをのぞいてみたが････


｢〇△＆◇＃∂Φ////!!!!!!!!｣


｢どんだけエロいんだ！これ！やばいだろ！｣


｢やばくないよ！
そのくらい普通だろ
早く親父に送れよ
アドレス入れたから｣


｢お おう！｣


ポチリと送信ボタンを押し､
なんだか急に協力的になっかｸｿちびを､疑わしげにじろじろ見ていたら
俺の神機(携帯)がメール受信の素敵なクリスマスソングを流す


｢･････えと
メール･･･
お前の親父からの返事だったんだけど･･･
あ････と
お前以外とメール上手いじゃん！｣


｢いいよ、気ぃ使わなくたって･･･
親父はそういうやつなんだ
浮気作戦！のってやってもいいよ
でも、クリスマスまでに離婚できなかったら
さっさと殺っちゃってくれよ！｣

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>> 9 相変わらずの気の強そうな声にすこしほっとして

(まぁこんな俺でも
気は回る方なんだよ！)

俺たちはこの
｢クリスマスまでには
浮気の証拠を集めて浮気させる作戦｣


を実行することにした


それからはバイトの合間にメールを打つ

バイトの合間にメールを打つ！

という地味な日々が続いた


バイトだからって
サンタ業は暇なわけではない


クリスマスにプレゼントを配る家のルートを
先輩サンタと確認したり

願い事の手紙を集めたり

プレゼントを探して用意したり


ﾄﾅｶｲ101号に乗る練習をしたり･･･


っうか！こいつに一番手こずった！
あいつわざとだかなんだか、俺やプレゼントを振り落としやがる
まじでむかつく💢
正社員サンタになったらマジで捨ててやる💢

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>> 10 そうこうしているうちに、クリスマス前日！
つまりイブの日がやってきた


この日は、サンタにとって一番忙しい日
つまりプレゼントを配る日となる


だから、ｸｿちびの親父との待ち合わせ時間を、子供たちが寝る時間より少し前に設定した


俺のメールが功を成して、あいつの親父は今日､美しくちょっとエロい女性(女装した俺)と会うことになっている


ｸｿちびは、
親父が現れた所で浮気の証拠写真を撮り、
今まで送ってきた証拠メールを突きつけ
離婚を迫る役


ってわけ


どうだ！
俺の作戦
完璧だろ😜

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>> 11 忙しかったからということを言い訳にしたくなるぐらい、女装した俺は
いかしてなかった


｢ださっ！その格好！
どうにかならなかったわけ！?｣


まぁｸｿちびに文句いわれるのは予想できたのだが

｢うるせぇな💧
浮気相手の女性がいねぇんだから、俺がやるしかねぇだろ💢｣


｢だとしても
もうちょっと、なんかやり方あんだろ。
魔法で美しい女性に変身するとかさぁ｣


｢だから！
俺はまだバイトなの!
ﾄﾅｶｲにしか乗れねぇの!
魔法なんか使えねぇの

しくしく｣


なんか色々忙しくて､疲れがたまってるのか
俺の腕のなさに
涙がでてきた


｢わっ!
なっさけねぇな！
泣くなよ！男だろ！
うんこサンタでも男だろ！泣くな!｣


なんだよ！
いつもは冷たいのに
そっとハンカチなんか差し出さちゃったら、じんときちまうだろ


ﾄﾅｶｲ101号がその姿を
父親のように温かく見守ってる


なんだこれ
家族みたいで
暖かいな････


なんて冗談は置いといて････ってか！父親！
時計をみたら
もう父親と約束した時間を少し過ぎている


｢やべ！時間だ！
ｸｿちび！
はやく隠れろ！｣｢あのぅ･････｣


｢え?｣


振り返ると、
俺たちの後ろに、親父は立っていた


やべぇ････!


｢お嬢さん、大丈夫ですか？
もしかして
メールをくれた
ｸﾘｽさんかな？｣

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>> 12 ｸｿチビに関しては寛大なﾄﾅｶｲ101号が
さっと奴の首根っこを加えて物陰に隠れる


ナイス！ﾄﾅｶｲ101号！


｢あ、ﾊｲ(・∀・∩)
そうなんです
てへっ｣


俺はホッと一息つくと
慌てて帽子を深く被り、猫なで声で返事をした


｢やはりそうですか
いつも素敵なメールをありがとう。｣


エロメールだけどな！


悪態をついていると
親父は俺の前にねっとりと手を差し出す


握手か！
握手なんだよな！
よし！いい浮気証拠写真になるじゃねぇか！
バッチリ撮れよｸｿチビ！

ピースサインでもしてやろうかと思って
アイツの方を見ると
クソチビは、物陰から、カメラも構えず
まるで死に神の釜のようにサッと親指を横に動かした

親指の方をﾁﾗﾘと覗くと･････

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>> 13 ｢ﾌﾞｯ！｣


｢どうしましたか？
ｸﾘｽさん？｣


｢ｲｴｲｴ
大丈夫ﾃﾞｽ
でへっ｣


あ！あちらに見えるは
噂の
も！モーテル(ラブホ)
ってやつじゃないっすか！

あそこに行けってのか！

嫌な汗をダラダラかきながら
再度チビの方を見ると

アイツは殺気立った目でｷﾞﾛﾘと睨みながら
また親指をモーテル街の方に動かした


親指がまるで
首切りの鎌のようにみえるぜ･･･


｢さぁ、ｸﾘｽさん
どちらに行きましょうか？｣


親父は躊躇することなく肩に腕をかけてきた


足先から背中まで
ぞぞそぉっと
悪寒が走る


ﾄﾅｶｲ号が物陰でチビとニヤニヤしてんのがよく分かる


ってか！
俺･･･
俺っ実をいうとっ！

じ･･･
齢２２年の若輩者でありまして

つ
つまりっ

未だにっ

モーテルなんて
ﾊﾚﾝﾁﾅ場所

行ったことないんすけどっ！
(ｹﾄﾞｰ！ｹﾄﾞｰ！ｹﾄﾞｰ！)
↑エコー

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>> 14 俺の気も知らず
ｸｿチビとﾄﾅｶｲは殺気立った目で中指をモーテル街に向ける


わーった！
行きゃあいいんだろ😫


奴らの視線に負け、覚悟を決めた俺は
ふぅ～
と一息いれると、帽子の鍔を少し弄くりながら下を向いて話しかけた


｢あのぅ･･･｣


｢どうしました？
ｸﾘｽさん？｣


｢えと
えっとですねぇ･･も･｣


｢も?｣


｢だ
だから
も･･･も･･･
も････｣


｢?｣


｢も･･･
も･･･もう、そろそろ冬ですねぇ｣


｢あ、ええ
そうですね。
雪も降ってますしね｣


モーテルの一言がでねぇ

情けない俺を見て、向こうの二人がイライラしている姿が目に浮かぶ
いや
１人はイライラして
一匹は馬鹿にしたようにニヤニヤしてんだろうな

｢さて、
どこに行きましょうか？｣


親父が馴れ馴れしく肩を寄せる


うへぇ
きもちわりぃ
こんなﾎﾜｲﾄｸﾘｽﾏｽに
こんな親父と肩組んで
俺の青春をこんな切ない思い出の1ページで飾ることになるなんてなんだか泣けてくる

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>> 15 足がすくんで一歩も動けねぇことをいいことに
親父の手は肩から腰へ
サラサラッと流れ始める

ぎゃあああ！
マジでもう勘弁だ!


限界がきて親父の腕を振り払おうとした瞬間
足元を何かがかすめた


｢ぎゃあああ！いたたたた！｣


？??


突然座り込んだ親父をみると足を押さえてうずくまっている


足元には
どでかい石が･･･


振り返ると
ﾄﾅｶｲ101号が無駄に
ニヤニヤしていて
ｸｿチビが、右手に石ころを持ったまま鼻っ柱を指で軽く擦ってみせた



ｸﾞｯｼﾞｮﾌﾞ👍✨

やるじゃねぇか！

ｳｨﾝｸ😉を送り
わざとらしく親父の足を心配そうに覗き込む



｢だ･･･
大丈夫ですか？
お💕じ💕さ💕ま💕｣

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>> 16 ｢いたたたた
何か飛んできたきがしたんだが･･･｣


親父が痛そうに足首をさする


｢まあっ！まあっ！
たいいへんっつ！｣


あほか!!!
非力なチビが投げた石なんか大していたくねぇだろ！
なーんて心ん中で悪態つきながら
めっちゃ心配そうな顔してみせる俺って
サンタの鏡だな


さて･･･
これからどうすっかな


親父おいてとんずらしたいんだけど


なんて思いながら
チビのほうみると
明らかに
さっき親父を狙っていた石は
俺を狙っているようだなぁ･･････


ﾊｧ･････


分かってるっての
どうにかしなきゃな･･･

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>> 17 ｢おやじ･･･
もとい
おじさま
本当に大丈夫ですか？｣


｢まいったな･･･
血がでているようだ･･｣


｢まああ ああああ
どうしましょう｣


なんだか力をなくして
心配そうなセリフを棒読みしたんだが

親父はそんなことにきづかず
どこかﾔﾗｼｲい視線で
ねっとりと俺見つめてくる


背中にｵｶﾝが走る･･･


うわぁ･･･


嫌な予感がする･･･


｢あの～
どうされましたか？
おじさま?｣



｢アイタタタタ!!!
いたいぃ!!!!｣


｢う･･･えぇえと･･･
どうされたんですか？｣


｢ｲﾀﾀﾀﾀ･･･お嬢さん
あるくのは･･･無理みたいだょ
･･･どこか休めるところがあるといいんだｹﾄﾞなぁ･･｣


｢休む所なんて
ありま･･･いてっ!｣


後頭部に痛みを感じ
振り向くと
足元に小さい石ころが転がっていて
ｸｿﾁﾋﾞがｷﾞﾗｷﾞﾗした目でまた
そちらを指差す



その方向には
いわずもがな････
･･･が見える


あほか！！
冗談じゃねぇ！
あんなかすり傷、
休まなくたって
唾つけとけばなおるわ！

････


･･･････


･･･なんてわけにはいかねぇか････



あぁ････

願わくば
あそこには
愛する人とドキドキしながら行きたかった


そうだな


できれば、
チビの母親のような
美しい人と････

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>> 18 ｢美しい人！｣


ｸｿチビの母親の姿が
まるで天女が舞い降りてきたように瞼に浮かんだ

そうだ！
俺はあの人を救うためにがんばらなくてはならない！!!!!!


ガンガン力がみなぎる!!!今の俺は愛の力によってｽｰﾊﾟｰｻｲﾔ人のように最強だぜ！


チビの方を振り返り
親指を立てて、ｳｨﾝｸをした😉👍✨✨✨



｢おじさまっ！｣


｢は！はい！｣


｢お怪我が酷いようなので！あそこで休みましょう！｣


｢あ！あそこで！｣


｢はいっ!
あちらにそびえ立っ
モーテル街のっ

い!い!い
一室でっ!!!!!｣

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>> 19 ｸｿチビとﾄﾅｶｲが
｢いょっ！待ってました!｣
と言わんばかりに
拍手喝采しているのがみえる


腹を抱えて笑っているのがチョットかんに障るが････


｢じゃあ行こうか！｣


親父が急に元気になり
すっくと立ち上がると
肩を組んできた


｢ええ！行きましょう！｣

おぃおぃ
さっき抱えてた足首はどうした
なんて突っ込む余裕もなく
俺は地獄へと続く道を
一歩一歩勇んで歩む


証拠写真さえ撮れりゃいいんだ！
大したこっちゃねぇ！


写真さえ撮っちまえば
後はトンズラよ！

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>> 20 意気揚々と進む二人の後をﾄﾅｶｲにのったチビが追いかける


俺たちはついにモーテル街へと侵入した


きらびやかなネオンが怪しさを漂わせる


｢どこにしましょうか？｣

｢そうですね････｣


俺は冷静に帽子を深く被ると、
チビとﾄﾅｶｲのいる場所を確認する


あいつらがカメラを構えて､一番よく証拠写真が撮れる場所は････


｢あそこで！｣


さすてんばー


なんて変な看板がついては消えている怪しげなホテルは、あいつらが写真をとるには最高の角度だった。


｢いいんですか？｣

親父がギュッと手を握る

ギャー！ｷﾓﾁﾜﾘｨ！!!!


しかし！しかし！
あと一歩だ！!!!!!!


引きつる顔を帽子で隠し俺はしっかり🆗のサインをおくる


親父と


カメラを握る
チビに向かって

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>> 21 一歩
また一歩歩むごとに
心臓が高鳴る


ああ
勿論、いやな意味でな💢💢

チビを見ながら角度を調節し、派手なネオンの前でゆっくり深呼吸をした

｢どうしました？
行きましょう｣


親父が手を差し伸べ
優しくエスコートする


｢えぇ････
一緒に歩みましょう｣


唱えるように呟きながら
がっちりと親父の手を握る


｢歩む？
はは･･･そうですね
一緒にホテルへ歩みましょう｣


｢ちがうの｣


｢ちがう?
ここまで来て何をおっしゃる。
!
行きますよ!｣


親父が少し強引に俺の腕を掴み、引きずろうとする


かかった！
待ってたんだよ
この時を!!!


さぁ！
ｼｮｰﾀｲﾑの始まりだ！


｢えぇ！
行きましょう！


俺はチビに軽くｳｨﾝｸすると
帽子の鍔を軽くあげ
白い髭を靡かせながら
親父ににんまりと笑いかけた


｢地獄へな!!!!!!｣


｢白髭････?
キミは････
サンタ･･･････?｣

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>> 22 願い事!!
叶えて!!
やるぜ！!!!!!



掴まれた腕を翻し、親父の手を、渾身の力を込めて引っ張った！
親父はよろけて俺の方に倒れ込む！


さぁ！
クリスマスプレゼントだ

お前の望んでいた不倫証拠写真を
思う存分とるがいい！


親父の胸に
ガツンと飛び込むと

両腕で力いっぱい
彼を抱きしめた

• << 25 声は瞬時に移動し、気づくと親父はｸｿチビの後ろに立っていた ｢これを、どうする気だね｣ 親父はチビの腕に手をかけると、カメラを奪い取ろうと手をひねった ｢うっさい！ てめえには関係ねーよ｣ ｢おやおや 父親に向かってそんな口は如何なものか｣ ｢てめぇなんか父親じゃねぇ！｣ 振り返り啖呵を切ったチビに親父の口元がﾋﾟｸﾘと動いた ｢躾が･･･必要だな｣ 親父は拳を振りかざすと、反射で構えたチビの首を掴み頭上へ高々とあげる ｢････くるし！はなせ･･･ｺﾞﾎｯ!!!｣ ｢ｸｿチビ！ てめ！それでも父親かよ！離せよ!!死んじまう!!｣ ｢躾が必要なんだよ このクソガキには!!!｣ ｢やりすぎなんだよ!!! そんなの躾じゃねえ｣ ｢ふぅん では こんなのはどうかな？｣ 親父はニヤリと笑うと 空に高く高く浮かび上がる ｢なっ! なんで空飛んでんだ？ あいつ･･･ ってかあぶねぇだろ とにかく降りてこい!!｣

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>> 23 パシャ✨パシャ✨


とフラッシュがたかれる


何回か音がしたあと、
チビはにんまりと🆗サインをおくった



｢ありがとよ！親父！｣


ぽかんとする親父を置き去りにして
早速チビのデジカメを確認する


｢ｳﾋｬﾋｬ
バッチリじゃねえか！｣

｢そうだね
これと、あいつ(親父)の送ってきたメールをあわせると、バッチリ証拠になる｣


冷静を装っているが、声が高ぶっているのがわかる


｢これを
これを弁護士にもっていけば
あいつともおさらばなんだ･･･やっと･･･やっと｣


やっと･･･

親父を殺してください
なんて乱暴なチビの願いが､親父を不倫させ別れさせる
という簡単？なものになり
しかも簡単にまんまと尻尾をつかまれた、バカな親父に感謝しつつ


如何せん、今日はクリスマス！
チビの証拠写真でも確認してトンズラしようか


｢そういうことか･･･｣


にんまりと笑顔を交わしたその時
後ろから、低い声がした

｢悪い子だ･･･せな･･･｣

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>> 23 願い事!! 叶えて!! やるぜ！!!!!! 掴まれた腕を翻し、親父の手を、渾身の力を込めて引っ張った！ 親父はよろけて俺… 声は瞬時に移動し、気づくと親父はｸｿチビの後ろに立っていた


｢これを、どうする気だね｣


親父はチビの腕に手をかけると、カメラを奪い取ろうと手をひねった


｢うっさい！
てめえには関係ねーよ｣


｢おやおや
父親に向かってそんな口は如何なものか｣


｢てめぇなんか父親じゃねぇ！｣


振り返り啖呵を切ったチビに親父の口元がﾋﾟｸﾘと動いた


｢躾が･･･必要だな｣


親父は拳を振りかざすと、反射で構えたチビの首を掴み頭上へ高々とあげる


｢････くるし！はなせ･･･ｺﾞﾎｯ!!!｣


｢ｸｿチビ！
てめ！それでも父親かよ！離せよ!!死んじまう!!｣


｢躾が必要なんだよ
このクソガキには!!!｣


｢やりすぎなんだよ!!!
そんなの躾じゃねえ｣


｢ふぅん
では
こんなのはどうかな？｣

親父はニヤリと笑うと
空に高く高く浮かび上がる


｢なっ!
なんで空飛んでんだ？
あいつ･･･
ってかあぶねぇだろ
とにかく降りてこい!!｣

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>> 25 ｸｿチビが苦しそ
うに足をばたつかせる
なんだかさっきより元気がねぇ
早く助けねぇと



｢ふふ･･･
ここから叩き落とせば
ちったぁよい子になるかもな｣


｢なっ!!
やめろっ！!
まじで死んじまうだろ!!!
冗談はよせ!!!!!!｣


｢冗談ねぇ･･･｣


ニヤリと笑うと
親父は嬉しそうになんの躊躇もなく手を離した


｢チビ!!!!!!!!!!!!!!｣


俺の叫びが後か先か、
ﾋﾞｭﾝと疾風のごとく、ﾄﾅｶｲ101号が空を駆け上がった


｢ﾄﾅｶｲ101号!!!
ｸｿチビをっ･･･
せなをっ!!!！｣


ﾄﾅｶｲ101号はニャッと笑うと
せなを背中に乗せ､おやじの背後から
思い切りアタックまでかまして
帰ってきやがった


得意げな鼻息に
愛しさすらこみ上げてくるぜ
この荒くれ！
よくやったな!!!



｢っ！たたたた！
こんの！ｸｿ駄目ﾄﾅｶｲ！｣

｢子どもが嫌がってんだろ!やめろよ！
てめぇそれでも親父かよ！｣

• << 33 ････せな･･･カメラを持ってきなさい･･･ はやく････ 地をはうような低い声が空間中に響き渡る ･･･さもないと･･･この新米サンタの命はないよ････ ｢っ！ ざけんな！ せな！こんな馬鹿親父の言うことなんかきくことねぇぞ！ 俺は大丈夫･･･ ｸﾞｷﾞｷﾞｷﾞ････｣ 蛇は容赦なく、ギリギリと体を締め付ける 骨のきしむ音がする でも でも 負けるわけにはいかねぇ！ 俺はサンタだ サンタは子どもの夢 守るもんだ!!! ････せな･･･ 早くしなさい････ さあ･･･ 殺しちゃうよ･･･ お前のせいでこの新米サンタは死んでしまうんだ････悪い子だね･･･せな･･･お前は本当に･･･悪い子だ･･･

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>> 26 ｢ふ････｣


親父は俯き
ニヤリと笑うと、落ち着いたようにズボンのほこりをはらい
まっすぐと俺をみた


｢れっきとした
父親だが！
そう
そのガキが欲しがっていた父親だ｣


｢ちがう!!!!!!!!!!!｣


せながﾄﾅｶｲから
さけんだ

｢ちがわないだろう!!｣


わざとらしく大きくため息を漏つくと
親父はポケットをあさり
タバコに火をつけた


白い煙がゆっくりと空に舞い上がる


｢ふぅ････
そうだな･･･


あれは今日みたいな
雪のふるクリスマスの日だった｣


はっとした顔をすると
ﾄﾅｶｲから降りたせなは
俺の脚に掴まった


｢ちがう！
僕はのぞんでなんかなかった!
あれは間違いだったんだ｣


｢ふうん･･･
しかし君は必死に願い、枕の下に手紙をいれただろう！｣


｢そ･･･
そんなの覚えてねぇ!!｣


｢そうか？
そこには
一字一字丁寧に字がかかれていたが･･
そう
きっと
心の底から望んでいたからこそこんな一生懸命かかれていたのだとおもったんだよ｣

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>> 27 ｢そんなのしらない！
訳わかんないこというんじゃねぇ！｣


親父は
ふぅ！
とわざとらしく大きなため息をつくと
また
ポケットをあさり、小さな紙きれをとりだした


｢じゃあこれは
なんだろう･･･｣


顔色がｻｯとかわり
せなはそのまま親父の方へ駆け出した
親父は嬉しそうに紙切れをヒラヒラと頭上でふってみせる


｢!返せ!
返せよ!｣


｢覚えていないんだろう！
覚えていないなら
よんであげよう!
サンタさんへ･･･｣


紙を奪おうとめいっぱい手を伸ばすせなをせせら笑うように
親父は紙に書いてある字を読み始める


｢嫌だ！嫌だ！
やめろよ｣


訳が分からないが
めちゃくちゃ嫌がっているのだけは確実だ
つーか
まじておとなげねぇ💢


｢嫌がってんだろ！
やめろよ｣


俺はツカツカと親父の前に出ると
せなを庇うように奴の腕をとる

｢ふぅ～ん｣


奴は面白そうに笑い
俺の腕を握り返した


｢新米サンタがえらそうに先輩に説教かい？｣


｢先輩?･･･
どういうことだ???｣


｢･････｣


黙り込んだせなを見て
親父が俺の手を払い
コホンと咳払いした


｢こういうことだよ！

｢サンタさん
クリスマスプレゼントは僕に
お父さんを
ください
････････････せな｣


｢お父さん?
クリスマスプレゼント？
どういうことだ?
せな？｣


｢まだわからんのかね

せなは
去年､クリスマスプレゼントに父親が欲しいといったんだよ
だから
サンタである俺が
願い事を叶え､父親になってやった

なのに!
もう父親に飽きたみたいだな


最近の子どもはすぐに貰った玩具に飽きて
文句を言って捨てたがる
いかんな
せな


悪い子だ･･･


お仕置きが必要だね｣

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>> 28 そう言うと親父は
右手で軽く円を描いた


フワリと透明なベールが俺たちを包む


｢これは････｣


｢な!なんなんだ
これっ！｣


せなが手足をバタバタ動かし､被さってきたベールを気持ち悪そうに振り払う


｢これは･･･タイムベール･･･｣


｢ほほぅ
初心者サンタでも
このぐらいは分かるかい｣


｢ったりめーだ
てか！これは
クリスマスプレゼントを配るとき
よい子が起きそうになったら少しだけ時間を止めるために使う
最後の手段だろ!!
今は必要ねぇ💢｣


｢いやいや
必要だろう
邪魔が入ると面倒なんでね･･･
悪い子にはちゃんとわからせなきゃいけない
そんなとき
必要だと思わんかね｣


そう言うと
親父は一瞬で大きな蛇に化けた


｢!!!
どういうつもり･･
｢ぎゃああ！
蛇！へび！｣


せなが突然大声をあげ
頭を抱えて座り込んだ


｢いやだ！いやだぁ！
僕んち
古いから蛇はいってきて
だから
蛇！へび！
いやだぁ!!!!｣


蛇はｼｭｰｼｭｰと音をたてながら蜷局を巻いて舌をﾁﾛﾁﾛと見せる


｢やめろ！
嫌がってんだろ！｣


｢おやおや
先輩に向かってそんな口を叩いて新米が!
貴様もお仕置きが必要そうだな･･･｣

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>> 30 時間が止まった空間を大蛇がにゅるにゅると彷徨い歩く


暫く俺たちの周りをぐるぐる回った蛇は
何かを見つけて
大きな口を空けた


｢カメラだっ!!!!｣


｢うぇ！?｣


｢!!!!!!カメラだよ！
そこっ｣


確かにカメラは･･･
ないな
あぁ
あそこに落っこちてますね･･･


手をひらひらさせていると
せな髭を握りしめすごい剣幕でどやしたてる


｢あれは
あんたと僕の苦労の結晶だろう!!!
ぼんやりしてないで
とりかえさないと!!!
アイツ!!!
僕たちを怖がらせて
本当の目当ては
カメラだったんだ!!｣


蛇は一瞬ニヤリと俺たちをみると


大きな口を開けて
カメラに飛びかかった！


ｸｿ親父のｾｸﾊﾗに耐えて手に入れた品!!!


｢それは俺の苦渋の結晶だぁ😫
させるかぁ！｣


半泣き男が勢い良く飛び出すのと

チビがﾄﾅｶｲ101号に乗るのとは同時だったと思う

俺の指先は
惜しくも?
カメラをかすりもせずに空を切った

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>> 31 ｢くっそおぉ!
!あとちょっとだったのに!｣


多分
まじで
あとちょっとだったのに!

拳を地面に打ちつけ
嘆いていると頭上でｼｭｰｼｭｰと
蛇の威嚇する音が聞こえた


｢まだまだだ!!!!｣


取り返してやろうと
蛇をみると
奴は俺を無視して
空を睨んでいる


視線の先には、
ﾄﾅｶｲ101号がニヤニヤしながら空を飛んでいた


口にはしっかりとカメラの紐をくわえて


｢全然あとチョットじゃなかったぞ
ｳﾝｺさんた!!｣


ニヤニヤ


｢うっせぇ
あとｲﾁﾐﾘ指が長けりゃ
とどいたんだよ!｣


ナイス！アホﾄﾅｶｲ!!!
今回の件で
結構あいつを見直したぜ!!


二人にピースサインをした矢先
首筋を何かﾆｭﾙﾘとしたものがかすめた



｢ｳﾝｺさんた!!!!
後ろっ!!!!｣


｢ん･･･?ぐえっ!!!｣


首もとに痛みが走り
せなの笑顔がにわかに曇る

ん････?
首に何かが絡みついて･････


ｼｭｰｼｭｰ


｢くっ!
くそ親父か！｣


親父の巨大な蛇頭がニヤリと笑い
あっという間に綱のように固い蛇の尾が体中にグルグルと巻きつく

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>> 26 ｸｿチビが苦しそ うに足をばたつかせる なんだかさっきより元気がねぇ 早く助けねぇと ｢ふふ･･･ ここから叩き落とせ… ････せな･･･カメラを持ってきなさい･･･
はやく････


地をはうような低い声が空間中に響き渡る


･･･さもないと･･･この新米サンタの命はないよ････

｢っ！
ざけんな！
せな！こんな馬鹿親父の言うことなんかきくことねぇぞ！
俺は大丈夫･･･
ｸﾞｷﾞｷﾞｷﾞ････｣


蛇は容赦なく、ギリギリと体を締め付ける
骨のきしむ音がする


でも
でも
負けるわけにはいかねぇ！

俺はサンタだ
サンタは子どもの夢
守るもんだ!!!


････せな･･･
早くしなさい････
さあ･･･
殺しちゃうよ･･･
お前のせいでこの新米サンタは死んでしまうんだ････悪い子だね･･･せな･･･お前は本当に･･･悪い子だ･･･

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>> 33
｢っせえっ！
せなはいい子だ！

サンタはなぁ!!!
いい子の夢守るもんだっ!!!!

子どもを笑顔にできないサンタなんて!!!
サンタなんて!!!

サンタじゃねぇっつ!!!!!！｣


･･･おやおや
新米が偉そうに
君も躾が足りないようだ･･･


そう言うと大蛇は思い切り体を捩った


ボキボキッ

｢ぎゃああ！｣

嫌な音がして体中に激痛が走る
それを見て奴は嬉しそうに笑った


･･･おやおや
ちょっと体をひねっただけだったんだが、すまないね
骨のいちにほんはいったかな･･･


ふんと鼻息をたてると
大蛇は再び空を見上げ
せなをみた


････さぁ
せな･･･
どうしたらいいか
わかるな･･･

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>> 34 優しくﾄﾅｶｲの頭を撫で
せなを乗せたﾄﾅｶｲがゆっくりと地面に降り立った

｢ダメだ せなっ！
俺は平気だから!
だから
くるんじゃねぇ!!!｣


｢･･････


････ありがと
ｳﾝｺサンタ😄✋｣


笑顔を向けたチビが
ﾄﾅｶｲの口元にそっと触れカメラの紐を握った


ﾄﾅｶｲが寂しそうに鼻を擦り付ける



･･･いい子だ
せな････


カメラを持ったせなが
青ざめた顔で
大蛇の前に歩いていく


･･･さぁ
また三人で
幸せな家庭を築こう
せなと
俺と
美沙子と
ずっと一緒だ････


｢･････｣


大蛇の前で
震える手をぎゅっと握りしめ
一瞬こちらを見たせなの頬を
涙が一滴
ゆっくりと
伝った･････

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>> 35 ｢ふっざけんじゃ
ねえぇえええ!!!!!
子どもを泣かす奴なんかサンタでも、父親でもねぇっ！
そんな奴は
ﾄﾅｶｲ!!
ﾄﾅｶｲ101号に蹴られて
しんじまぇ!!!!｣



･････

････････


ﾄﾅｶｲ101号???


っーかこんないいシーンだったら
ﾄﾅｶｲ101号が正義の見方を助けるってのが筋だろ!!!


あんのダメﾄﾅｶｲ･･･



激しく肩を落としていると
空から軽快な音が降ってくる


ｼｬﾝｼｬﾝｼｬﾝｼｬﾝ🔔
ｼｬﾝｼｬﾝｼｬﾝｼｬﾝ🔔


ん？何の音だ？


ｼｬﾝｼｬﾝｼｬﾝｼｬﾝ🔔
ｼｬﾝｼｬﾝｼｬﾝｼｬﾝ🔔


空を仰ぎ見ると
ﾄﾅｶｲ101号が遠くから走ってくるのが見えた


そして
ﾄﾅｶｲに続いて
テンポよく鈴の音が聞こえる

ｼｬﾝｼｬﾝｼｬﾝｼｬﾝ🔔
ｼｬﾝｼｬﾝｼｬﾝｼｬﾝ🔔


｢メリー🔔クリスマス🔔
ホッホッホッホッ🔔｣


陽気な声が聞こえ
ﾄﾅｶｲ101号の後ろから
立派なおひげのサンタがやってくる

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>> 36
あれは････


｢ボスサンタ‼｣


ﾄﾅｶｲ101号が連れてきたのか？!
やるじゃん
あいつ!!!


｢メリークリスマス🔔
ホッホッホッホッ🔔｣


白い髭をゆっくりと大きな手で撫でながら
ボスサンタは
すっとせなの前に座り
せなの顔を覗きこんだ


｢メリークリスマス🔔
かわいい子どもたち🔔

おやおや
泣いておるのかね
よしよし･･･｣


そう言うと
ボスさんたは優しく頬に伝う涙を
親指でぬぐう


そしてゆっくりと
体操をするように
周りを見渡した


｢ふんふん･･･
さてと････

こんな可愛い子どもを泣かした
悪いサンタはっ😋

誰かのぅ･･･🔔｣



その言葉に操られるようにせなは
ぼんやりと
蛇を指差す


｢そうか･･
そうか･････｣


ボスサンタは指さされた方を見て
にっこりと微笑んだ


････こ
これは!これは
そのっ！
躾！躾だ！
我が子を躾ていたんだ！誤解です！ボスサンタ!････


｢ほほぅ躾かね･･･｣


ボスサンタは
せなを腕に抱くと
にこりと笑った


｢子どもを泣かして
それは本当に
躾かね？｣

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>> 37 ･･･いや
これは･･･あの･･
その････


ボスサンタの深い瞳の色に意気消沈した大蛇が
一瞬にして背中を丸めた親父に姿を変える


ﾊﾟｯﾊﾟﾗﾊﾟｯﾊﾟｯﾊｰ


オモチャのようなトランペットの音がして

うなだれた親父の前に
ボスサンタの手のひらから姿を表したのっぽな黒い帽子をかぶったミニサンタが､横一列に並ぶ


｢サンタ刑法第一条‼‼｣

ミニサンタは軽快な声で続ける

｢サンタが子どもを泣かした場合‼｣


｢サンタが子どもを
泣かした場合･･･
えと･･･
ｵﾎﾝ！｣


ミニサンタはお互いにお互いを小突くが
小さな咳払いが続くばかりで話が繋がらない


仕方なくミニサンタはボスサンタをチラリとみた


ボスサンタは軽くおひげをさわると
コホンと咳払いをした


｢サンタが子どもを泣かした場合はのぅ｣


抱っこしていたせなの顔を優しく覗き込み
ｳｨﾝｸしてボスは続けた


｢サンタが子どもを泣かした場合････


そのサンタはのぅ･･･

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>> 38
････そのサンタはのぅ
なぁんと
おしりペンペンの刑
(この小説No.1ﾍﾟｰｼﾞ目を参照)
じゃ！｣


ﾊﾟｯﾊﾟﾗﾊﾟｯﾊﾟｯﾊｰ！


軽快なラッパの音が再度響き渡り
親父の手首に何回も縄が結ばれた


｢進め～～～～‼‼｣


ミニサンタは親父を縄で繋いで
ズルズルと引きずりながら連れ去った

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>> 39 ホッホッホッホッ


ぼんやりと連行されていく親父をみていると
突如ボスサンタが
せなを抱いたままこちらに近づいてきた


｢ボ ボス！
ありがとうございます

っ
ててて｣


肋骨何本かいったかな？ってか
今日クリスマスなんだけど
こんなんでプレゼント配れるのか？


｢大丈夫じゃよ😉｣


俺の考えをすべてよんだかのように
ボスサンタが答える


こえぇ
いや
もとい(これも聞こえてるかもしれないしな)
すげぇ
ボスサンタ


ボスは俺の頭の上に手をかざすと
パラパラと金の粉をふりまいた


みるみるうちに
体中の傷がなくなり
痛みもすっとひいていく

｢うわ･･･すげぇ･･･｣


まじで尊敬するぜ
ボスサンタ✨


｢俺、まだまだ新米ですが、ボスみたいにすげぇサンタになりたいです！｣


｢ホッホッホッホッ
十分すごいサンタぶりじゃったよ｣


そう言うとボスはせなに軽くｳｨﾝｸ😉した

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>> 40 チビはちらりと俺の顔をみると
少しだけ向こうをむいて小さくコクリと頷く


な･･なんだよ
やけに素直じゃねぇか
そんな言われたら
照れちまうだろ
ウハハ･･･


そんな俺たちを暖かく見つめながら
サンタは優しくせなをﾄﾅｶｲ101号の上に乗せた
ﾄﾅｶｲ101号が嬉しそうに顔をすりよせる


空からフワフワと粉雪が舞い始めた


｢････それでは
わしはそろそろ行くとしよう😉
よいクリスマスを😉
メリー
クリスマス🔔｣


ホッホッホッホッ
ホッホッホッホッ

ｼｬﾝｼｬﾝｼｬﾝｼｬﾝ
ｼｬﾝｼｬﾝｼｬﾝｼｬﾝ
ｼｬﾝｼｬﾝｼｬﾝｼｬﾝ


ボスサンタは大きく手を振りながら
たくさんのﾄﾅｶｲにひかれた立派なそりで大空に消えていった


｢はぁ
行っちまった
格好良かったなぁ
ボスサンタ････

って!!!!!
今何時だ⁉
おい!!
俺たちも行かねーと‼｣

時計をみると
もう22時をすぎている‼

流石によい子たちも寝静まった頃に違いない！
一部のよい子を覗いて･････

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>> 41 ｢せな！
お前もう寝る時間だぞ‼夜更かしする悪い子にはサンタこねーぞ｣


｢ｳﾙｾｰﾖ
もうサンタ来てんだからよい子なんだよ｣


ふくれっ面で
せなが答え


それがなんだか可笑しくて
２人して笑った


｢だったら
来年のクリスマスはよ･･･
｢だから
来年のクリスマスはさ･･

同じタイミングでハモってしまい
お互い顔を合わせる


｢なんだよせな
お前来年どーすんだよ｣

｢なんだよ
お前こそ来年どーすんだよ｣


｢お､俺はよ
今よりすげぇサンタになって
綺麗な嫁さんと
少し生意気なガキとくらせたらなんてな･･･
だから･･･
その･･･
まぁ
またお前んとこ
願い事かなえにきてやるよ!!!!!｣


ﾄﾅｶｲ101号が
馬鹿にしたようにニヤニヤわらう

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>> 42 ｢･･ってか
お前はどーすんだよ
来年のクリスマス
来年はちったぁ
子どもらしい願い事
してくれよな
誰か殺してくれなんて
もう勘弁だぞ‼｣


ﾅｶｲ101号にのっているチビの鼻を軽く小突くと
せなはそっぽをむいて
ぽそっと呟いた


｢来年のクリスマスは
すげぇサンタが
ちゃんとしたお父さんになってくれるように
願うよ｣



✨✨✨ヒャッホー✨✨✨


俺はﾄﾅｶｲ101号の上に飛び乗ると
しっかり手綱を握り
大空へ飛び立った✨✨


｢待ってろよ
せな!!!!
俺最高の親父に
なってやるからなぁ!!!｣


｢べつに
お前にきてほしいなんて言ってないし！
僕は
優秀な優しいサンタに
父親になってほしいんだよ!!!｣


｢まっかしとけー✨✨｣


２人の笑い声を響かせながら
ﾄﾅｶｲ101号は
雪のチラつく大空を駆け上がった


声は星空に響き渡り
街中を幸せな気持ちで
満たしていった



皆さんにも
素敵な
クリスマスを


あ
ハッピー

メリークリスマス😉😉🔔🔔🔔

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ということで
物語終了です😄

クリスマスに終わらせるつもりが
訂正が多く
書き込みも凝っちゃったりして
年末になってしまい申し訳ありませんでした
楽しんでいただけたなら幸いです

では
また機会がありましたらお会いしましょう

よい年末を😉
ｼﾉｧでした😄


以下
書き込み出来るように
設定致します


感想など頂けたら
泣いて喜びます✨✨

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とても楽しく読ませていただきました✨✨


ありがとうございました✨✨

• << 47 返事が遅くなってしまい申し訳ありません 楽しく読んでいただいて嬉しいです🎶 また何か機会がありましたら作品を読んでいただけるとうれしいな 返レス本当にありがとうございました😌💕

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こんにちは。
お疲れさまでした。温かい気持ちになりました。
続編があると嬉しいな…なんて思っています。
私はトナカイさんのファンです。
素敵な小説をありがとうございました。

• << 48 返事が遅くなってしまい申し訳ありません クリスマスにほっこり気分になってもらおう✨ なんて目的で書いたのでうれしすぎる返事ありがとうございます 私もﾄﾅｶｲ大好きです ニヤニヤって書いてるだけなのにすごくいい味をだしますよね 続編ですか 考えてもみなかったのですが キャラたちが動き出したらまた書いてみたいと思います ありがとうございました😌💕

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>> 45 とても楽しく読ませていただきました✨✨ ありがとうございました✨✨ 返事が遅くなってしまい申し訳ありません
楽しく読んでいただいて嬉しいです🎶
また何か機会がありましたら作品を読んでいただけるとうれしいな
返レス本当にありがとうございました😌💕

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>> 46 こんにちは。 お疲れさまでした。温かい気持ちになりました。 続編があると嬉しいな…なんて思っています。 私はトナカイさんのファンです。 素敵… 返事が遅くなってしまい申し訳ありません
クリスマスにほっこり気分になってもらおう✨
なんて目的で書いたのでうれしすぎる返事ありがとうございます
私もﾄﾅｶｲ大好きです
ニヤニヤって書いてるだけなのにすごくいい味をだしますよね
続編ですか
考えてもみなかったのですが
キャラたちが動き出したらまた書いてみたいと思います
ありがとうございました😌💕

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