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いじめなのか本当に息子が悪いのか

あの人が俺の前に現れた

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自由人
16/06/29 14:57(更新日時)

俺は異性を好きになったことがない。

30年間生きてきたが、
まるでわからない。

だが、何だかおかしいんだ。
あの人は何者なんだ?

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No.2019517 13/10/30 15:13(スレ作成日時)

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No.51 13/11/08 07:57
自由人0 

忙しい…
とにかく忙しい…。

Mとは時間が合わずに、会えない。

女に会えなくて辛くなったのは
生まれてはじめてだ。

No.52 13/11/08 09:24
自由人0 

俺は、はじめての感覚を自覚していた。
ひとつひとつの、自分の感情と、
この俺の心臓の鼓動を照らし合わせても、
これは、きっと
人を好きになるという現象なんだと。

俺は生まれてはじめて、
人を好きになった。愛しさを知った。

Mを思うと、セックスをしたいというよりも
彼女を抱き締めたかった。
強く抱き締めて、優しく抱き締めて、離したくない気持ち。
これが、今まで俺が
手に入れたくても、手に入れられなかった感情なんだ。

俺は、この人間らしい感情に、
心地よさを感じていた。

小学生でも知っている
好きという感情…俺は30にして
手にいれた。
Mがいてくれたおかげで、
俺は欠けていた自分を手にいれた。

No.53 13/11/08 09:36
自由人0 

俺は、この気持ちをMに伝えた。
Mは、何と言うだろう。
信じてくれるだろうか。
Mは、静かに聞いていた。
電話の向こうで彼女はどんな顔をしているんだろうか。

多分、この俺が、今さらこんなことを言っても
また何かの冗談みたいに聞こえるんだろう。
俺だってまだ、夢をみているような気持ちなんだから、無理もない。

俺は心をこめて正直に話すしかなかった。

俺はあなたが好きです。

彼女は静かに言った。

ありがとう。私は、あなたに、そんなふうに思ってもらえてとても幸せです。

その言葉に、彼女の優しさや深さを感じていた。俺の言葉を信じてくれたことへの感謝の気持ちもあった。

ただ、彼女は、俺を好きだとは言ってくれなかった…

No.54 13/11/08 13:26
自由人0 

今まで付き合ってきた女たちが
俺の心を手にいれようと必死だったが、
今は、俺がその立場になったわけだ。

何でそんなに、好きだとか
愛してるとか言ってほしいのか
俺にはわからなかった。

そんなのはただの言葉じゃないか。
そんな不確かな、うわべだけの言葉を並べたって、なんの意味もない。
そう思っていた。

だが、今は、Mに
俺を好きだと言って欲しい。
俺は我儘な男だ。本当に。

どうしたら、Mは俺を好きになってくれるんだ?

No.55 13/11/11 08:21
自由人0 

Mはこう言った。

あなたと私は歳が違いすぎるよ
あなたが、好きという感情を手にいれたのなら
私よりも条件がいい女性をちゃんと選んで。

やっぱりMは、歳の差を気にしていたし、
子どもがいることも気にしていた。

俺の幸せを考えてくれていた。

それじゃあ、なぜ俺とセックスをした?

Mはしばらく無言だった。

No.56 13/11/11 19:26
自由人0 

わからない…
私はあなたに、同情していたのかもしれない。
私は、こんなにおばさんで…
あなたは、私の母性を求めていると思ったの。
だから私は
あなたを抱きしめてあげたかった…。
そうすることで、
あなたが、もしかしたら人の温もりや、
愛情を思い出せるかもしれないと思ったから。

ただ、
あなたが、私を好きになるなんて
想像もしていなくて。
だから、今はあなたの気持ちをきいて
すごく戸惑ってるの。

よく考えてみて。あなたと私は
10歳も歳が離れているよね。
今は気にならないとしても、
これから先は、あなたにとっては
若い女性と恋愛したほうが幸せになれるに
決まってるよ。

Mは続けて話した…

No.57 13/11/11 21:01
自由人0 

私は、あなたを愛してる。
だから、あなたの幸せをいつも祈ってる。
あなたには、いつも笑っていてほしいし、
人生を楽しんでほしい。

でも、私はあなたを好きになっては
いけないと
いつも思っているの。
私はあなたを求めてはいけないの。
私があなたを好きになったら
私はあなたの全てを知りたくなってしまう。
それは、あなたの大嫌いな束縛だよね。
今何してるの?今日は誰といたの?
そんな、あなたの大嫌いなことを
私は聞いてしまうようになると思う。

No.58 13/11/11 23:44
自由人0 

私は、あなたの、特別な人になりたくなってしまうと思う。
でも、あなたは、そういう女が嫌いなはず。
だから、私はあなたを好きにならない。
ただ、あなたの幸せだけを祈ってる。
ただ、愛してる。

きっと、あなたも、
今は私を好きだといっているけど、
以前、あなたが言っていたように
人の気持ちは必ず変わる…。
あなたも、変わるはず。

Mは、ゆっくりゆっくり
そう話した。
一字一句は違うかもしれないが
こんなようなことを、俺に話したんだ。

No.59 13/11/11 23:54
自由人0 

俺にはよくわからなかった。
いや、
全くわからなかった。

愛してるのに
好きにならないって…?

ただ、俺の中では
また新しい感情が生まれていた。

Mを大事におもった。
俺にとって、Mは大事な人だ。
俺は、Mから離れられないだろう…。

Mのことは、いじめたくなかった。
壊したくなかった。
こんなことを思ったのは初めてだった。

No.60 13/11/12 08:32
自由人0 

俺はMに言った。

会いたい。

Mは電話のむこうで
どんな、顔をしているんだろうか。
きっと、眉間にシワをよせて
困ってるんだろう。

Mに会ったら、
絶対に抱きしめたい。

歳の差が何なのか。
40のMは、正直、20代の女より女性だ。
しかも、そのへんの40の女性とは違う。
綺麗なだけじゃない。
かわいいし、おもしろいし…
人としての温かさ、包容力、母性…
優しくて柔らかい…
深さ…魅力…

人は年齢じゃない。

No.61 13/11/13 16:26
自由人0 

久しぶりにMに会えた。

心臓がうるさい。

俺はMにキスをしていた。
キスをせずにはいられなかった。

会いたかった…

そんなクサい言葉まで吐いていた。

Mは少し抵抗したようにみえたが、
俺はそんなことはどうでもよかった。
Mを強く抱きしめて
もう一度キスをした。

このままずっと一緒にいたい。
Mを離したら
またいつ会えるのかもわからない。
このまま
さらってしまいたかった。

No.62 13/11/14 00:11
自由人0 

Mは、俺を少し押すようにして
唇をはずした。
それでも俺は求めた。
Mは小さく応じるが、ためらっては唇をはなした…。
そして言った。

あのね、ダメだよ…やっぱり、だめ。
私はあなたには、ふさわしくないよ。
子どもだっている…。

俺はそんなこと、聞き飽きていた。

俺は、あなたがいいと言っているのに
だめなんですか?
俺は、あなたがいいです。
多分、あなたでないと、俺のことはわかってもらえない。
俺には歳なんて関係ないんですよ。
俺はあなたを諦めません。
俺は変わらない。
それは、これからの俺を見ていたらわかることです。

俺は、一生懸命話したつもりだ。
言っておくが、俺から離れようとした女を
ここまで引き留めたのは、これが
はじめてだ。

必死な自分を、自分で観察したいくらいだった。それくらい、俺のなかでは、
大事件が起きていたんだ。

こんなに人を好きになり、人に執着している。
人生の大事件だよ…。

No.63 14/01/23 09:16
自由人0 

Mは、
ありがとう
と言った。

なぜ、ありがとう?

俺にはこのありがとうの意味がわからなかった。

私みたいなおばさんを
そんなふうに思ってくれて。
私なんかに…。
なんだか、もったいないなぁ…。

そうMが言った。

嬉しそうなのに嬉しそうじゃない。
Mの表情はやっぱり困っている感じだった。

俺は、正直、自分のことしか考えていない。
相手がどう思おうがいい。
Mがいることで、自分が幸せになれる。
自分勝手なんだろうな。

でも、この世に自分勝手じゃない奴なんて
いるのか?
みんな自分がかわいいんじゃないのか?
人のため、あなたのため、なんて言っていても
結局は自分が満たされたいだろ?

俺は、今の自分にはMが必要だと判断した。
それを、わかってもらわなければ困る。
わかってもらえなければイヤだ。
わがままと思われてもいい。

No.64 14/01/24 08:02
自由人0 

キスもするし
セックスもするのに
俺とMは、まだ恋人になれていない。

俺は、そんな関係には慣れている。
セフレみたいな女が山ほどいたからな。
セックスだけの関係なんて
珍しくもないだろう。

だが、俺の中では、Mはただのセフレではない。

Mは、少しずつ俺に
身体だけじゃなく、気持ちもさらけ出してくれるようになってきていた。

No.65 14/01/24 11:02
自由人0 

俺は、Mに特別な感情がありながらも
他の女とも、今までどおりに付き合っている。

女が望めば、セックスもしてやるし、
その場の雰囲気で俺が欲情すれば
俺が女を襲うこともある。

Mはそれをはじめから知っている。
知っていて俺に抱かれている。

でも、これだけは言える。
Mのことは他の女たちとは違う。
俺の中ではMは別格なんだ。
それも、きっとMはわかってくれているんだろう。

きっとわかってくれる…俺は勝手に思い込んでいた。

だが、違ったんだな。
そう、Mだって人間だ。女だ。
神でも仏でもなければ、マリアさまでもないわけだ。

ある日、Mは言った。

こうして会うのが、私でなければいけない理由はある?

と。

No.66 14/01/24 17:41
自由人0 

俺は多分、精神科かどこかにいけば
名前がつく病気なのかもしれないな。

俺は、確かにMに甘い言葉も言った。
酔ったときなんかは酷かったな。
結婚したいなんてことも口走った。
Mに会いたくて仕方なかったし
Mを失いたくなかった。
確かに、Mは今までの女たちとは違う。

だが、俺はM一人だけを見て生きていくつもりはない。

やはり、一般的にみれば、
この俺は異常なんだろうな。

なぜ一途に一人の女を見なくちゃいけない?
俺にはわからない。
好きという感情は手にいれたのに
そのあとがわからない。
どう大事にしたらいいかわからない。

根本的に俺は変われない。

Mはきっとそんな俺を見抜いていて
不安なんだろう。

No.67 14/01/24 19:58
自由人0 

俺は昔から不思議だった。

あなた「だけ」をアイシテル
おまえ「だけ」をアイシテル

なぜ「だけ」にこだわる?
そのあまりにも安易で不確かな「だけ」の言葉をなぜ求める?

Mもそうなんだろうか
言ってほしいんだろうか

あなた「だけ」を抱きますよ、と。

あなただけ
あなたしかいない

なぜ人は、そんな言葉に安心する?
そんなものは
俺にとってはウソでしかない。
人の気持ちは必ず変わるからだ。
俺はそんな人間たちを散々見てきたし
俺も「だけ」にこだわったことなどない。

言葉ではなんとでも言える。
言葉ではその場しのぎで雰囲気を飾ることができる。
言葉に酔うこともできる。

でもそこにどれだけの真実があるというのか。

No.68 14/01/24 20:14
自由人0 

確かに、今はMにしか安心感を感じない。
今のところ
Mしか本当の俺を理解していないと思う。

だが俺はM一人だけを想い続けることに決心がつかない。
Mのことはずっと想いながら、同時に他の女も
見定めていくんだろう。
ここでMに対しての罪悪感はない。
Mも、俺を好きになったとしても、
きっと必ず他の男に惹かれることがあるにちがいない。
亡くなった旦那を忘れずにいながらも
俺に抱かれたように。

だが、Mの記憶に俺は残る。
セックスをしたからだ。
一つになった記憶は、そう簡単にはなくならない。
うわべだけの、どんなに甘い言葉よりも
セックスの方がどんなに確かなものか。

その時だけは
相手を見て、相手の肌を感じ、相手の声をきく。
相手の存在を自分の肉体で確かめられるから
自分の存在も確信できるのだ。

言葉などいらない。

No.69 14/01/25 00:21
自由人0 

俺は、Mが何を考えているのか
よくわからなかった。
というか、あまりわかりたくもないしな。

正直、面倒くさかった。
女のそういう感情に振り回されるのは好きじゃない。

俺は相変わらずマイペースだった。
腹が減れば、Mの顔が浮かび、
一緒に飯を食いたいと思った。
眠る時は
Mが隣にいたら安心できるのにと
思ったりもした。
Mの匂いも思い出した。

その日も、
俺は当たり前のようにMに会っていた。
俺が会いたいといえば
Mは時間を作ってくれた。
セックスは毎回じゃない。
セックスが目当てじゃないのに、Mに会いたいと思う自分に、俺は自分らしさを感じられずにいたが、それも心地よかった。

Mを自宅に送っていく車の中で
Mがポツリと言った。

私、もうあなたとは会わない。
会いたくないの。

予想していたような、
予想していなかったような…
そんな言葉をきいて、
その時、俺はどんな顔をしていただろう…。

No.70 14/01/25 15:53
自由人0 

その日はそれなりに楽しく過ごしたつもりでいた。
Mだってよく笑っていた。
何か気に障ったんだろうか。

俺は一瞬の間に頭の中で1日のことを
思い出していた。
何一つ思い当たる出来事はなかった。
少なくとも俺は楽しく過ごしていたのだから。

第一、Mはいつ
そんなことを言おうと決めたのだろうか。
会う前から?

俺に会わない、会いたくない?

まあ、他の女には何度も言われてきた言葉だ。
他の女に言われた時は
何だか腹立たしかった。
俺の存在を否定されたようで。
もちろん理由はきいた。だが、
あ、そう。わかった。で、済んだ。
理由はだいたいみんな同じだった。
俺の本性がわからないのだと。
俺の特別な女になれないことが悲しいのだと。
愛されていないことが辛いんだと。
俺とのセックスが怖いという女もいたな。

それを聞くと、やっぱりなと納得するしかなかった。
それに、引き留める理由もない。
俺は女たちに情がわかなかった。執着できなかった。
俺についてこられないのなら、仕方がない話だ。

でもMに言われるとさすがに堪えるな。
せっかくここまで俺の思い通りになっていたのに。
俺は平静を装ってMにきいた。

俺はイヤだよ。
なぜそんなこと言うの?

No.71 14/01/25 21:20
自由人0 

Mは少しうつむきながら
静かに話しはじめた。

俺は運転をしながら
時々Mを視界に入れながら聞いていた。


あのね、私、何か勘違いしてたみたいなの。

Mはもともと
言葉を選びながら話す。

長くなりそうだな…俺は思った。
いつもの道をそれて、遠回りすることにした。

俺は、Mがこれから何を言おうとも
また引き留めたいと考えていた。
会えなくなるのは絶対にイヤだった。
俺にとってプラスにはならないからだ。

No.72 14/01/29 18:41
自由人0 

私、あなたのことを全て理解していると
勘違いしてたの。
それから、恥ずかしいんだけど、
あなたもは、私を必要としてくれていると
思っていたの。
あなたをわかってあげられるのは
きっと私しかいないんだろうなって
思っていたの。
おかしいでしょ?

そう言ってMは少し笑った。

No.73 14/01/29 21:56
自由人0 

俺は、Mが何を言いたいのか
よくわからなかった。

Mはそんな俺が、余計なことを話す前に
次の言葉を続けた。

つまりね、
私は、つい普通の恋人同士みたいに
思ってしまっていたみたいなの。
あ、無意識にね。無意識に。
私は前にも話したよね。あなたを愛してるって。幸せを祈ってた。
でも、いつからか、違ってしまったのよ。
私ね、あなたを好きになってしまったみたいなの。

俺はMの話を聞きながら、
この人はやっぱりおもしろい人だなと思っていた。

No.74 14/01/30 02:48
自由人0 

Mは話し続けた。

好きになるといけないね。
いろんなことが、辛くなる。
私って、どんなふうに見える?
もういい歳のおばさんだけど、中身は
そのへんの女子高生と変わらないのかも。
ちっとも大人になれないのよ。
愛してるとかいうけど、本当のところは
わかってないのかもしれない。
ごめんね。何を言ってるのかわからないでしょう?
あのね、ダメなのよ。
そういうのを見るのは、辛くて。
恥ずかしいけど、とても嫉妬してしまうの。
だから私には無理かなと思うの。

ん?何を言っているんだろう?
俺はわからなかった。
そういうのを見るのは?何を見るのは?

俺がMに質問するより早く
Mが俺の方を向き、
俺の首を触った。
そして、少し低い声でゆっくりと言った。

ここに、キスマーク、ついてるの。
一日中、それを見てたけど
耐えられそうにない。
だから私はもう
あなたと会いたくないの。

No.75 14/01/31 09:04
自由人0 

俺がキスマークの言い訳を考えている中で、
それを見抜くように
Mは言った。

あなたが、誰と何をしようが
私には何か言う資格もないのにね。
私は、あなたが何をしようが
あなたが幸せなら、それでよかったの。
はじめはね。
でも、好きになってしまうとね、
そうじゃないの。
私だけを見てほしいし、私だけを愛してほしい、私とだけセックスをしてほしい。
そんなわがままなことしか考えられなくなるのよ。
私ね、今さらだけどわかった気がする。
無償の愛って、親子関係にしか成立しないんじゃないかって。
男女の恋愛関係の中で
見返りを求めない愛ってないんだと思う。
夫婦でも同じ。
自分だけを愛してほしい欲求はいつもつきまとう。

Mは一気に話している。

俺は目に入ったコンビニの駐車場に
車を入れた。

No.76 14/01/31 22:39
自由人0 

あ、ごめんね。
私がこんな話をしたから帰れないね。
話、やめるから出てもいいよ。

そうMは言ったが、俺は

話をききたいからいいよ

と伝えた。

Mは、少し俺の顔を見ていたが
またすぐに下を向くと
再び話しだした。

あのね、私ってどんな女に見える?
私ってね、すっごく嫌な女なんだよ。
全然関係ないんだけどね、
私ね、死んだ旦那に浮気されてたことがあったの…。

………俺はちょっとギョッとした。
しかも、今日のMの話は、珍しく飛びすぎている。
俺に会いたくないという話から、ここまで飛ぶのか。
何が言いたいのか。
それでもMの話は興味深かった。
俺は適度に相づちをうちながら
聞いていた。

No.77 14/02/03 01:16
自由人0 

旦那は浮気を反省して、
私のところに戻ってきた。だけど
私は、毎日裏切られた哀しみと
不安の中にいたの。
そんな中、旦那が病気になり、
私は出来る限りのことをしてきた。
旦那を愛していたから。
旦那は毎日病室で私を待ち、
私に感謝してくれたの。
そして、最期のときまで
私を見つめ、私の手をにぎり、
私にありがとうと言ってくれたの。
私は、旦那を亡くした寂しさで
泣いて暮らしたよ。
でもね、
こころのどこかでホッとしてた…。

No.78 14/02/03 12:37
自由人0 

俺はMの話をききながら、
Mも普通の女なんだなと思っていた。

これまで、Mを他の女とは違うと思ってきたが、そうではなかった。
俺のすべてを受け入れてくれるかもしれないなんて、俺は勝手に思い込み、妄想し、Mに勝手に甘えていたんだな。

そんなことを考えながら
Mの横顔をみた。
Mは焦点の合わなくなった視線を窓の外に向けていた。

俺はMに少しだけがっかりしていたが、
不思議と嫌ではなかった。
これもおもしろい感覚だった。

Mは、またポツリポツリと話をはじめた。
今度は勢いがない。静かな語りだった。

No.79 14/02/04 07:52
自由人0 

自分の大好きな異性、大切な異性が、
一生、自分の隣で、自分だけを見て
自分だけを愛してくれるなら、
そういう保証があるなら、
私も旦那に生き返ってほしいと思ったかもしれない。
でも、わからないでしょ。
生きていたら、また違う人をすきになるかもしれないでしょ。
そして私はまた傷つくでしょ。
だからね、私は
亡くなった旦那に対して、
哀しいとか寂しいとかもちろんそういう感情はあるけれど、
それとは反対にホッとした気持ちがいつもどこかにあるの。
私って、どこまでも嫉妬深くて、
自分が大切な女なのよね。
あ、もしかしたら、
あの世で好きな女性ができてるかもしれないけどね…ふふ。
それはもう諦めるわ。

Mはそう言って少し笑った。

No.80 14/02/04 08:10
自由人0 

俺はふと思っていた。
こんなに人間としても、女性としても魅力があるMと結婚しながら、なぜ旦那は浮気したんだろうか。
旦那はMに甘えていたんだろう。
Mの大きな愛の中にいて安心していたんだろう。
最後にはMの胸の中に戻ることも、
いや、戻りたくなることも、全てわかっていたに違いない。
それなのに、バカなことをして
情けない旦那だな…
俺は死んだ旦那のことを、心の中で同情しながら笑っていた。

そして、ふと気がついた。

あ、俺も同じか…。

No.81 14/02/06 10:53
自由人0 

ごめんね。話がとんじゃった!
Mが言った。

私ね、そういう女だから、
あなたとは一緒にいられないよ。
あなたは、私じゃなくてもいいでしょう?
私の他にもデートする相手がいるし
セックスする相手もいる。
あなたを好きと言ってくれる相手もいる。
私じゃなくてもいいはずなのよ。
私はあなたを好きになってしまったから
それに耐えられないの。
そのキスマーク見てるだけで
泣きそうになる。今日はすっごく我慢しちゃった。すっごく疲れたし。
だから、あなたとはもう会いたくない。
私も、よく考えてみたら
あなたにはふさわしくないって、自分でわかっていたし
こんなおばさんが、また恋をするなんて
夢みたいな話で…
本当に感謝してるよ。
この夢みたいな思い出だけで
死ぬまで頑張って生きられそう!
あ、死ぬまで生きるって、
当たり前か!

Mは自分で突っ込み、自分で笑った。

俺は、その時思った。
俺はMのこういうところが好きなんだよなぁ。

No.82 14/07/03 11:20
自由人0 

俺は、うまい言葉が浮かばずに、
結局Mを送り、
家に帰ってため息をついた。

俺は、病気だな…
そう思った。

Mは、大切な人だとわかっているのに
Mの幸せを考えてあげられない。
Mの気持ちに応えようとしてあげられない。
どこまでも、
自分が、自分が、自分が…

自分が一番大事で、
それを譲れない。

俺はそうやって生きてきたんだから
仕方ない。

他の女に求められれば
それに応じてしまう。
そこで、生きていることを実感できるし、
誰と関係を持とうが
俺は変わらない。

セックスはそんな崇高なものではない。

好きな人としかできない
好きな人じゃないといやだ
そんなものではない。

Mが俺から去ろうとしているのに
俺は
これからはMだけを愛し
Mだけを抱くとは
どうしても言えない。

でも、Mを失うことは
とても考えられない。

俺のことを理解してくれなんて
やっぱり無理なことなんだろうか。

No.83 14/07/05 00:36
自由人0 

今までのことだが、

俺から離れていく女は、
俺を好きになった女だ。

俺が一人の女で満足できないから
辛いらしい。
俺は
わたし『だけ』を愛してほしいという女の
心理がわからなかった。

俺から離れない女は、
みんな割りきれるやつばかり。
俺をセックスの相手、都合のいいときに会える相手としてみている。
俺もそれで充分だった。

だから、俺を好きになって
勝手に苦しくなって
離れていこうとする女のことを
引きとめたことはない。

面倒なだけだからだ。

だが…Mが俺から離れることは、どうしても嫌だった。
こんなに焦ることが今まであっただろうか。
どんな理由でもいい、
どんな形でもいい、
俺のそばにいてほしいと思った。

No.84 14/07/05 00:55
自由人0 

俺は、Mにメールを送った。

俺はあなたと離れるなんていやだ。
なぜ結論を出そうとするの?
終わりなんてない。
俺にはあなたが必要。
俺が求めているのはあなた。
俺が会いたいと思うのはあなた。
他のやつなんてどうでもいい。
ただ求められたらセックスするだけ。俺はそうすることで生きている実感を得てきたから、これからも変われない。
ただ、ひとつだけ言えるのは、こうやって
俺から離れていく人をひきとめるのは
あなただけということ。
こんなに人に執着するのはあなただけ。
だから、もう会わないなんていわないで。


これが、俺の嘘のない気持ちだった。

No.85 14/07/09 13:59
自由人0 

世の中のだいたいのルールが
俺には理解できないし
納得できない。

なぜ浮気や不倫がダメなのか。
なぜ自然の摂理に逆らうのか。
人間は動物だろ。
本能ってやつを無視してるルールが
世の中には山ほどあるだろ。
身体が求めるもの
頭が求めるもの
それは違っていいんだ。
誰だって、誰かだけを愛するなんて
無理だ。
いつだって、人の気持ちは変わる。
誰かを思いながら
他の誰かのことも、いいなと思っている。
昨日は愛した人でも
今日は死んでほしいと思うほど
憎しみでいっぱいになることもある。
好きだの、愛してるだの
所詮、その時の気分なんだよ。
俺は正直に生きているだけだ。
セックスは、誰とでもできる。
身体さえ反応すれば物理的にできることだし
気持ちなんかなくても快楽は得られる。
ただ、本当に心が求める人はいる。

俺にとってはMだ。

他の誰といても、何をしていても
充たされないものは確かにある。
本当に求めているもの以外は
所詮、代用だ。

Mは、旦那に浮気されたことを
ずいぶん悩んでいたようだが、
俺に言わせれば、そんなこと
大したことじゃない。
そんなことはお互い様だし
自然なことだ。
人は、いつだって、どんな時だって
好きな人が変わってもなんら不思議はない。

俺はきっと
みんなとは違う考え方なんだろうな。
みんなから非難されるような
考え方の持ち主なんだろう。

俺は致命的に変われないのだ。

No.86 14/07/10 10:30
自由人0 

俺は、
Mのことを考えていた。

セックスの時のMを思い出すと
俺はたまらなくなる。

他の女たちと比べてしまう。

Mの中に指を入れると波打つように締まってくるのがわかる。
俺のものを、優しく丁寧に口の中に含み
俺のツボを攻めてくるその姿は、
見た目の清楚さ、真面目さからは
とても想像ができない。
でも、いやらしくない。不潔さがない。

俺は、入れるまでに時間がかかる方だが、
Mの時は違う。我慢ができなくなる。

Mの中にいるときは、上からMの感じる顔を見ているだけで幸せになれる。
本当は、いじめたい。痛めつけたい。
首さえしめたくなる。
その衝動は、一生懸命抑える。
嫌われたくないからだ。
無意識にMの身体を噛んでしまう時はある。
痕をつけたい
傷をつけたい、残したい…
俺の性癖は異常だろうか。

No.87 15/03/12 09:09
自由人 

ある日、Mが言った。

ずっと一緒にいたいよ

と。

俺はこんな言葉、何十人という女の口から聞いてきた。
なんて嘘っぽい言葉か。軽々しく傲慢な言葉か。
そんな言葉をきくたびに吐き気がしたものだ。
大体が、セックスの最中に言う女が多い。
気持ちよくなって頭が麻痺しているのか?
気持ちよくなっていれば、何でも言えるのか?
こんな言葉で俺が喜ぶとでも?
俺がお前に傾くとでも?ふざけるな。
いつか気が変わるくせに責任のない言葉を吐くな。

だが…
Mに言われた時は
何の違和感も嫌悪感もなかった。不思議だった。心のなかで
俺も一緒にいたいよ
と思っていた。
口から出そうだった。だが飲み込んだ。
自分が信じられないくらい素直で怖かったからだ。
Mの言葉が、例え傲慢でその時の感情で
気まぐれに発せられた言葉だったとしても
それを噛み締めたかった。

Mを強く強く抱き締めた。
俺は完全にイカれてる。
自分で自分を笑いながら、それでもこれでいいと思えた。

No.88 15/03/12 09:19
自由人 

Mは、俺の考え方や、今までの生き方、
そういうものを全部のみこもうとしてくれていた。
Mは真面目な女だ。
自分の常識では当てはまらないことがあると
立ち止まり、俺に投げかけてくる。
俺のことを理解しようとしてくれる。

俺のこの、病気ともいえる性分を、性癖を、
全て受け止めようとしてくれる。

俺は絶対に言えないが
ありがとうと思っていた。Mのその気持ち、
存在に、ありがとうと。
俺は、やっと人間らしい心を手にいれたような気がしていた。
30すぎてやっとだ。

No.89 15/03/12 15:43
自由人 

Mを抱いていた。
毎回思うが、なんだろうな、この処女のような反応は。
どこを触っても、舐めても
はじめてのようにビクンと小さく反応する。
少し眉間にシワを寄せているが
目は俺をまっすぐ見ている。
俺のモノがMの中で暴発しそうになっている。

俺の性癖が疼く。殺したい…。
今、この時、この瞬間
Mは俺のものだ。俺を見て、俺を感じている。
小さく喘ぐその口のなかに
舌をねじこんだ。苦しいか…?
俺は次の衝動にかられる。
Mの首に手をかけた。細い首だ。
Mは少し反応したが抵抗はない。
俺はキスをしながら手の力を入れていった。
殺したい…殺したい…
ぐっと絞めていく。
俺を想っているまま死んでくれ。
死ぬ瞬間まで俺を感じてくれ。

No.90 15/03/12 23:41
自由人 

俺の指に、Mの脈が伝わってきた。
Mは苦しそうにギュッと目を閉じた。
Mの顔色が変わってくる。
俺の中に命がある…
苦しむその姿が美しく見えて仕方なかった。
俺のモノを受け入れながら
俺に舌を入れられながら
Mは俺に首を絞められている…

ダメだ…
このままいくと
Mは失神するだろう…
いくらMでも、俺を怖がるに違いない。
俺を嫌いになるに違いない。
俺から離れるに違いない…。

No.91 15/03/12 23:47
自由人 

そうだよ…
殺したい願望はあるが
それをしてはいけないことはわかっている。

Mの苦しむ顔を見ながら
Mの永遠を手にいれたかったが、
俺はそれより
またMと話し、
Mのぬくもりを感じたいと思った。

No.92 15/03/12 23:54
自由人 

俺は、Mの首から手を離し
Mを息苦しさから解放した。
そのかわり
俺の願望の全てをかけて
Mの中に入れていたものを一気に突き上げた…

Mは俺にしがみつきながら身体をのけぞらせた。

殺さなくてよかった…
俺はこうして Mの感じている姿を見ることができている。

No.93 15/03/14 18:32
自由人 

ごめん…
首しめちゃった…
俺はMに謝った。

Mは少し笑って大丈夫だよと
言った。
そして冗談ぽく
苦しかった~!と言って
また笑った。

Mは続けて言った。
私が死んだら、もう話もできないし、会えなくなっちゃうよ?一緒にいられなくなるよ?

俺は思わず
いや…ちがう…
と言った。

No.94 15/03/14 23:33
自由人 

俺があなたを殺しても
俺はあなたを食べるよ。
だから
俺の中にあなたは生き続ける。
あなたは、俺が死ぬまで
俺の中にいる。
生きて隣にいるより
その方がずっと近いし
一緒にいられる。

生きていたら
いつか離れてしまう時がくるけれど
俺があなたを食べたら
ずっと離れないということになる。

本当は、あなたが
俺から去る前に
俺の手であなたを殺し、
すべてを食べたいよ。

これが俺の性癖なんだよ…。

だけど、この世の中で
それは認められていない。
やっちゃいけないことになってるから
俺はやらない。
ただそれだけの話だよ。

でも、あなたが生きていてくれた方が
いいことだってある。
あなたが俺のそばにいてくれるなら、
俺はあなたの温もりを感じられる。
あなたに甘えることだって
安らぎを感じることだってできる…。

No.95 15/03/16 07:57
自由人 

俺は、自分に言い聞かせるように
Mに話していた。

Mは時々哀しそうな顔をしながら
時々俺を見ながら
時々うつむきながら
時々うなづきながら
静かに聞いてくれた。

俺に殺人願望があるなんて
引くよな…

俺がそう言うと

No.96 15/03/16 09:10
自由人 

Mは少し真面目な顔で
首を振った。

大丈夫。
あなたは何も悪くないよ。

そう言って俺の頭を撫でた。

No.97 15/03/17 08:10
自由人 

俺は、悪くないのか…?
心が解き放たれる気持ちだった。

人を殺したい

この願望をもっていることは
悪いことだろう?
この願望をもっているやつは
悪いやつだろう?

俺は今までそう思って生きてきたんだ。

それなのに、Mは
こんな俺を怖がらずに
頭を撫でてくれた…

俺は安心感の中にいた。
ああ…
Mが俺の母親だったらよかったのになぁ…
そう思った。

そのとたん、
俺の中で一気に子どもの頃の記憶が
よみがえってきた。

思い出したくもないのに
いつまでもつきまとう記憶が。

No.98 15/03/18 10:21
自由人 

俺は幼少期のことは他人にはあまり語りたくなかった。
その頃のことを思い出すだけで
俺はここにいなくなる。
俺が消えてしまう。

俺は虐待をうけていた。

虐待にも種類があるらしいな。
虐待だと気づいたのも、
種類があることを知ったのも
中学を卒業してからだった。

俺は
小さいころ空気のようだった。
まるで俺は存在していなかった。
とくに父親には俺が見えていないかのようだった。
姉と妹には笑いかけ、話もするのに
俺はそれをしてもらった記憶がない。
なぜ自分だけそうされるのか
わからなかった。

寂しい寂しい寂しい…

毎日どんなふうに過ごしたのか
よく覚えている。
ひたらすら一人でいた。
夜はとくにこわかった。
真っ暗で静まり返った部屋に一人でいると、
本当に俺は
自分がいなくなっていくような感覚に襲われた。
体はあるのに、なぜ
自分はいないのだろう…。
生きている実感などなかった。

誰も俺のとなりで寝てはくれなかった。
飯はひとり別の部屋で食べさせられた。

ある夜、俺は苦しくて飛び起きた。
目の前には父親がいた。
俺の首をしめていた。鬼のような形相で。
俺が蹴りあげた足が父親の腹に当たり
父親はしりもちをついた。

その瞬間、とっさに俺は外に飛び出した。
裸足だった。

父親がはじめて俺を見てくれた
父親がはじめて俺に触れてくれた

けれどそれは
俺を殺すためだった

真っ暗な道路をうろうろと歩いた。
家に帰れば殺される。
だが、俺は家以外にいく場所なんて
知らなかった。
小学校3年生だった。

No.99 15/03/19 23:18
自由人 

そっと家に帰り
息を殺して布団に入った。

家の中は
何事もなかったように
静まり返っていた。
それが、なんとも言えず不気味だった。

夢だったのかと思った。
夢のわけがない…
俺の首にはしっかりと感触が残っていた。

眠れなかった。
眠ったら殺される…
気持ちが安らいだことはなかった。

No.100 15/03/19 23:33
自由人 

俺は、その時のことを
1日たりとも忘れたことはない。

俺は父親に殺されそうになったことを
次の日母親にも話した。
だが、母親からは何の答えもなかったことを覚えている。

この人は俺を守ってはくれない

俺はそう感じていた。

母親は、
飯は与えてくれた。
菓子パンみたいなものが多かったが。
洗濯もしてくれた。
服もそろえてくれた。

ただ、それは
世間から非難されないための
最低限の世話にすぎなかった。

俺は母親に抱きしめられたこともないし
優しく話をきいてもらったこともない。

母親は、俺が生きようが死のうが
どちらでもよかったんだろう。

どうなってもいい…
俺はきっとそんな存在だったのだろう。

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