呪女-ｼﾞｭｼﾞｮ-

出会いは私のHPだった。

みんなの溜まり場になっていたHPに私のHPのアドレスを貼っておいたのを見て来たらしい。

私は溜まり場の主さん企画のオフ会に２度参加していた。

呪女はそれがよっぽど羨ましかったのだろう。

私と仲良くなりたがった。

私はその時、正体なんか知らないからオフ会で仲良くなったみんなと同じように接した。

彼女は当時24歳、歯科衛生士の資格を持つ大学生だと言っていた。

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ある時私は荒れていた。

精神的にヤバくて溜まり場に書きまくった。

誰か助けてと願いながら。

そうしたら溜まり場の主さんが二人で雛祭りオフ会しようとメールが来た。

嬉しかった。メールのやり取りだけでも救われた気がした。

数日後、知らないケータイ番号から電話が…。

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誰だろうと思い出ると呪女だった。

電話に出るなり彼女は自己紹介してきた。

「呪女だよ。本名は内藤実日子(仮名)と言います。」

「どこに住んでるの？私は千葉です。」

「ら～ら♪ちゃんて言うんだ。ねぇ、ケータイじゃ高いから家電教えてくれる？」

ここで教えた私が馬鹿だった。

ネット上だけの付き合いなのに、油断した私が馬鹿だった。

電話での内容は溜まり場の主さんとの雛祭りオフ会を止めて欲しいと。

「息切れしてて苦しそうだった。お願い会わないで。」

なんで第三者が首突っ込むんだろう？

主さんから断られるなら仕方ないけど。

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私は呪女との電話を切った後すぐに主さんに電話した。

「呪女って人から主さんが具合悪いからオフ会止めて欲しいって電話があったんだけど具合大丈夫？」

「大丈夫だよ。オフ会しよう。」

「分かった。楽しみにしてます。無理そうなら言ってね。」

と電話を切った。

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当日、溜まり場の主さんからメールが来た。

「雪降ってるし、母親が行っちゃダメだって。ごめんね。」

主さんは電車で来るので運行状態をお母さんが心配されたんだと思う。

「また別の日に埋め合わせしてくれればいいよ。」

「死んでお詫びする。」

「なんでそんなこというの？また別の日に会えばいいじゃん。」

私はHPの日記に今日のことを書いた。

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私はメールのやり取りをほぼそのまま書いた。

どうせあまり人の来ないHPだから自分だけの自由スペースになっていた。

夜中、溜まり場の主さんからメールが来た。

何故か怒ってる。

「確かに死んでお詫びするって言ったよ。でも良い子だと思ってたのに。さよなら。」

ああ正直に書きすぎたと落ち込んだと同時に疑問が…。

溜まり場だけあって主さんのHPは人がいっぱい集まってくる。

他の人のHPなんか見てる暇はない。

私のHPには立ち上げた私だけどこのメーカーのケータイで来てるかわかるようになっている。

もしかして呪女？

私は確かに正直には書いたけど怒らせるような書き方はしてないし、わざわざ大きなHP抱えてる人がくる確率は低かった。

呪女だ、呪女が私が主さんの悪口を書いたとでも言ったんだ。

私はその日の日記を削除してもう主さんとは関われない落ち込みと呪女の存在に怒りがこみ上げてきた。

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翌日、呪女からケータイにかかってきた。

「なんで昨日の日記消したの？」

やっぱりこの女見てたんだ。

怒りはあったけどあーだこーだ言う気力がなくて何も話さず切った。

それでもしつこい女だからケータイにでないとなると家電にかけてくる。

話すことなんかない。

全部あんたのせいにするつもりはないけど、溜まり場の主さんとはもう友達じゃなくなったんだ。

やっぱり全部あんたのせいにしたいよ。

馬鹿だな私。

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後から溜まり場の人と連絡を取ることができて色々聞いてみたら、呪女の電話攻撃にはウンザリしているとのこと。

大学に友達いないのかしら？

大学生ってのは嘘？

たぶん名前も嘘だろうな。

呪女の言うことは信じられない。

でも可哀想な人なんだなぁと思った。

だからって構ってられないけどね。

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私は呪女が関わらない方がいい女だと分かっていながら相手していた。

ブランク有りで２～３年くらい。

どうせ実際会うこともないし。

呪女の嘘を信じるふりして心の中で嘲笑ってた。

このくらいいいよね。

溜まり場の主さんと上手く行かなくなったってことは他の友達とも友達じゃなくなってしまった訳だから。

私も寂しかったのかな？

そうだったかも。

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呪女とはよく喧嘩になった。

口が達者な呪女に負けまいと私も色々言った。

喧嘩の理由は忘れてしまった。

いつもささいなことだった。

言いたいことだけ言って一方的に切るってこともやった。

そうするとまた電話がかかってきて「勝手に切るなっていつも言ってんでしょ！」と呪女。

この頃は今でいうリア充でリアルな友達もいたから呪女とはフェードアウトしていこうと思った。

そんな時また喧嘩をしてしまった。

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また喧嘩の理由が思い出せない。

でもこの日の電話はいつにもましてしつこかった。

どうせ呪女くらいしか見なくなったHP。

私は削除した。

するとまた電話。

「あたしのこと友達だと思わないで。」

はぁ？意味不明。

こっちは繋がりを切るためにHP削除したんだけど、何言ってんの？

結局家電の番号は変えた。

母にも散々怒られた。

「いつも電話してる子でしょ。内藤実日子とはもう関わるのやめなさい。」と母。

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ケータイのアドレスも変えた。

でもケータイ番号を着拒することはできなかった。

私は頭が麻痺してしまったのか。

ただこっちから連絡する気はなかった。

嵐のような夕方がやっと終わったのだから。

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しばらく呪女のことは忘れてた。

仕事に行くのが楽しくて、仕事場の人達とも友達になれて。

少し話が戻りますが、新しく入ってきた新人の女の子に懐かれてしまった時があった。

束縛感を覚え、その子に会うのがちょっと苦手だった。

悪い子ではないのは分かってはいたけど、つい愚痴が出てしまう。

呪女はその子のケータイ番号を教えて欲しいと言い出した。

「私が説得する。」

そう言って聞かない。

溜まり場の主さんの時もこうやってしつこく私の番号を聞き出したんだな。

うぜえ女。

意地でも教えなかった。

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ネットから離れて健やかになったと思う。

オフ会で会ったネット住民はたまたまみんな良い人達だったけど、事件に巻き込まれることだってあるかもしれない。

あの時の私は危機感がなかった。

あの場に呪女がいたらと思うと鳥肌ものだ。

でもまたネットに寄生してこうやって書いてますけどね。

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呪女は気まぐれだ。

忘れた頃に電話してくる。

電話で話を聞く限り呪女はヤリマンだと思う。

男自慢も凄かった。

はいはいって感じで聞いてたけど、あんまり羨ましくない。

そういう男しか相手してくれないのかぁって。

そういう男とは軽い、その場だけ、みたいなイメージがした。

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溜まり場にいた男に拉致されたなんて嘘もついたことがあった。

２４時間監視されてるって言ってたわりにすんなり自分のマンションに帰ってきた。

一体何のための嘘？

呪女には私しか話せる人がいないのか？

呪女は溜まり場にスレを立てていて結構人気があったのに。

確かにみんなに去られてしまうのは分かる。

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ある日、呪女が泣きながら電話してきた。

「父親が死んだ。」

しばらくしてまた電話がきた。

今度は「母親が死んだ。」

１ヶ月以内に両親を亡くしたらしい。

気を引きたい嘘でしょ。

本当は亡くなってないでしょ。

嘘泣きでしょ。

お芝居がまあまあお上手だこと。

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もし本当でも信じられなかった。

散々嘘つかれてきて溜まり場にもいられなくなったし。

気の毒だけど信じなかった。

ただ泣き言を聞いていた。

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私は精神科に通っているのですが、喧嘩になると病気のことを言われたこともあった。

そういう呪女も心療内科に通っていた癖に。

どう違うのか両方通っている仕事仲間に聞いたら分からないと言われた。

呪女はなんとかって薬を１シート飲んだけど眠れないとか言ってた。

一度に１シートも飲むか？

そっちの方が不健康。

呪女とは似てるなぁと思うことがあった。

そう思うたびああいう人間にはなりたくないと心に強く誓った。

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呪女とはもう５年くらい連絡は取ってない。

２４歳と言っていたから今はもう３０歳にはなってると思う。

自分の身を省みず相変わらず私は正しいと思っているんだろうな。

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別にショックは受けなかったけど、呪女に言われたことで今でも記憶に残ってる言葉がある。

「あんたいつか人を刺すよ。」

「誰々(溜まり場の元住民)があんたと喋った時そう思ったって。あたしもそう思うな。」

誰々さんがどう思ったかは確認が取れないからいつもの嘘だと思って聞き流してたけど、いつか人を刺すって何故そう思ったんだろう。

呪女と関わり過ぎたかな。

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今年の３月２２日、呪女から着信があった。

今さら何の用だろう。

今回は着拒した。

相変わらず気まぐれだ。

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こんなこともあったっけ。

知らない番号から着信が…。

出てみると呪女だった。

ケータイを２個持っていた。

「今東京駅にいるんだけど東京のどこに住んでるの？場所教えて。」

蛇のような女。

怖い。鬱陶しい。

いつまで私にまとわり付くんだろう。

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着拒したケータイからかかってきて、６日後のことだった。

拒否られてるのに会いに行こうとよく思ったもんだ。

電話の向こうで呪女はキレてる。

どんなにキレようが会いたくないから。

余計会いたくないから。

不気味だよ。

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だいたいなんなの？

わたしには「いつか人を刺す。」とか言っといて、会わないって言ったら「あんたん家見つけ出して火つけてやる」って言われたんだから。

物騒なこと言って。

イカレてる。

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ご覧になってくれている皆さんへ。

文章力が無くて分かりづらい所がいくつもあると思います。

申し訳ありません。
気をつけて何度も書き直してから載せるようにします。

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呪女の嘘物語を内心嘲笑って聞いてきた私。

暴言も吐かれたけど「また言ってらぁ」くらいにしか思わない。

だって呪女は可哀想な人なんだから。

でもリア充になると鬱陶しくなる。

私も勝手だね。

最後に連絡来てから２ヶ月経ってないんだね。

もう連絡取ることはないか。

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呪女と関わってた頃、毎日のように朝５時から６時くらいに電話がかかってきた。

愚痴、泣き言、溜まり場の悪口、一方的に喋ってた。

私は目覚まし代わりにちょうどいいやと思った。

相当ウザい目覚まし時計だけどね。

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唯一、くだらない喧嘩を思い出した。

電話中、呪女がおでんの中にタバコを落としてしまった。

呪女は「大丈夫？とか言ってくれないの？」と言ってきたが、「電話しながらタバコ吸いながらどうやって食べるつもり？」

そう言い返した。

そしたら勢いよく喋ってたな。

呪女にとっては予想外の言葉が返ってきたから。

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呪女はマンションで独り暮らし。

ケータイでしか繋がってないから素性も分からないし、名前だっていくらでも嘘つける。

嘘の中に本当を混ぜて話すから疑心暗鬼にもなった。

本当に人を騙すのがうまい。

だからかな、失ったものは大きいからそう簡単にこいつから離れるもんかって思った。

どうにか復讐できないか無い知恵絞ってみたけど、やっぱり浮かばない。

関わってもただウザいだけ。

しかも嫌な所が似てるんだよなぁ。執念深いし、負けず嫌いだし。

でももう関わることは無い。

溜まり場での楽しかった日々が時々頭をよぎる。

戻れないなら忘れたい。

今の生活が大切だし、今私を必要としてくれる人が大切。

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