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まき( 20代 ♀ osc8nb )
13/09/20 19:15(更新日時)

初めまして、こんにちは(^-^*)/


普段は読むが好きですが、書いてみようと思います。


フィクションです。
性描写あり、恋愛物です。

No.1942922 13/04/27 13:25(スレ作成日時)

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No.1 13/04/28 15:10
まき ( 20代 ♀ osc8nb )

「いままでお世話になりました」


私は額を畳につけお父様とお母様に告げた。隣には生涯を添い遂げる伴侶がいる。



彼の名前は渡辺尚人。父の会社の部下で人当たりの良い顔と言葉遣いで、若くして営業主任になった。


私は顔を上げ両親を見据える。
今日は式の前夜、明日にはこの有馬家を出る。


私は渡辺桜子になる。


やっと有馬でない桜子になる。

No.2 13/05/01 22:33
まき ( 20代 ♀ osc8nb )

「尚人君、娘をよろしく頼むよ」

父は機嫌良く笑い、母が寄り添うように頷く。

「じゃ、明日も早いしこの辺で…」


と、父の一言で最後の夜はお開きになった。

私は父を見た。
母も見た。
私の家族、だった。


隣にいる尚人さん…私の新しい家族。


尚人さんとは三回目の食事で結婚を決めた。いわゆるお見合いだ。父の会社で父の秘書をする私に一目惚れしたらしい。


合理的な父が認めたのだから何かがある人だろう。
物凄く野心家なのかもしれない。
一目惚れは嘘で、次期社長を狙っているのかもしれない。


別にそれでもいい。
父の認めた何かを近くで知ることができるのも面白いし、それに…、と考えてやめた。



明日は結婚式だ。
早く寝て、体調を整えなければいけない。


家の階段を上り自室に戻る。尚人さんは客室へ入る。



No.3 13/06/15 21:11
まき ( 20代 ♀ osc8nb )

「桜子さん」

自室のドアを開けたところで呼び止められた。

「尚人さん?」


「あ、あの、お時間はありますか?お話をしたくて、とんとん拍子に結婚になって、夢のようで…」


「実感がわかない?」

私はクスリと笑った。尚人さんも照れたように笑う。

「私もよ、でも明日からずっと一緒にいるのよ」


「そうですよね…」
尚人さんは嬉しそうに相槌をうった。


「だから、今日は一人でいさせて」


「…」


「この家とさよならをしたいから」

私はドアを閉めた。


嫌いなわけではない。むしろ私に安定を与える好ましい存在だ。



しかし愛など信じてはいない。愛なんて、と考えお気に入り雑貨を飾っている棚に目をやる。


父にもらったチューリップと魚が重なるように絡み合うオブジェを触る。




父はどちらかが無理をしていると言っていた。そしてそれが良いのだと。




私は幼くてわからなかった。
今はわかる。単純に生きる場所の違う二つが絡み合う違和感に気がついたのではなく、なぜ父が良いと言ったかわかったのだ。



父は共感したのだ。
そしてわたしも。

No.4 13/09/14 23:35
まき ( 20代 ♀ osc8nb )

滞りなく進む結婚式


流行りのモデルプロデュースのドレス

豪華な花

品の良い式場

落ち着いた紳士、淑女の祝福の声


素敵としか言えない完璧な今日を私は待っていた。


やっと私は自由になれる。



私は逃げたかった。
気づいたその日からずっとこの日を待っていた。



父が私の耳に囁く。
「おめでとう、これで君も一人前だ」


「…」
私は返事が出来なかった。


No.5 13/09/20 18:48
まき ( 20代 ♀ osc8nb )

>> 4 分譲マンションが私達の新居。父が頭金を出してくれた。


「やっとゆっくりできるね」

夫が言った。

「ええ」

「ハワイ楽しかったね、ありきたり過ぎるかな?って思ったけど王道っていうのかな」

「そうね、私もそう思うわ。海も綺麗で………」


にこやかに答えながら私は新婚旅行の初夜を思い返していた。私達の初めての夜だった。この時間を過ごしてから夫はよく話、笑うようになった。



彼は私を抱きしめ大好きだ、夢のようだ、と言った。


私にはただただ現実だった。



夢から覚め現実の一人前の女になった。


これからもっと女になる。


もう夢は見ない。


急に不安になる。
私は絡み合うチューリップと魚を見た。



まるで父と娘。
親と子。
老人と若者。


そして…男と女。


それぐらいに相容れない関係もつオブジェ。


父から譲り受けた。
たった一つの宝物だ。

No.7 13/09/20 19:15
まき ( 20代 ♀ osc8nb )

~私と父と靴と…~
第一章



「桜子、百合子…来なさい」


澄み切ったよく伸びる声で姉妹を呼んだ。


「良いかい、明日の食事会はこれを履くように」


「えー百合子はピンクのリボンの…」


「百合子、赤にしなさい。いいね」

「でも…」

「百合子にはこっちが似合うよ。だってもう七歳だ。ピンクなんて子供だよ」


「…そうかな?お父様は赤が好きなの?」


「もちろんだ」

「それなら百合子は赤にする」


「姉妹でお揃いなんて可愛いだろう?」


「うん」


「桜子もそうおもうかい?」


「…はい」


「では、行ってよし。早く寝なさい」


姉妹は部屋を出た。
新しい品の良い赤靴。百合子は上機嫌だ。

桜子は無表情だった。

なぜなら青いリボンの靴が嫌だったからだ。なのに赤の可愛い靴になった。我が儘を言わない私のために変えてくれたのだ。



それだけではない。
これは私が誰にも内緒で欲しかった靴だ。なぜ分かったのだろう。


驚きすぎて、嬉しい過ぎて感情が休んでしまったのだ。

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