無題

「月の輪っか」

幸子はたまらず外に出た。
出て驚いた。青い灰色の静かな影が、地面にべったりくっついている。

ああ、今日は満月なのだな。
空を見上げたが月は見当たらない。光の漏れる方へ歩いてみると、そこに月はいた。

細切れのぼつぼつした雲が、はっきりと月の周りにまとわりついている。そしてその周りには輪っかが出来ていた。

「お父さん」
幸子はつぶやいた。

輪っかの中をするすると雲が流れていく。
お月様は、相変わらず黙って上を向いている。

幸子はしばらくそこに突っ立って月を眺めていたが、肌寒い思いがしたので家に戻ることにした。

「ただいま。」
「どこ行ってたのよ。早くお風呂入りなさい。」

その夜、月の輪っかは一晩中、月にかかったままだった。

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らんらんらららん
らららららん

らんらんらららん
ららららららん

バックの中に、君のおめめを入れといた。

らんらんらららん
ららららららん

らんらんらららん
ららららららん

ぽっけの中にはママの爪。


今日は今日はね？楽しい日！

らんらんららららん
らららららん

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「じじいの独り言」

うちのじじいはうるさい。９０歳を超えるとさすがにボケてきて、独り言が多くなった。何言ってんのか知らないけどとにかくうざいんだ。

親が言うには、若い頃かなり横暴で、ばあちゃんをこき使って死なせたらしい。おまけに愛人を作りまくって遊び放題。俺のじじいながら軽蔑するね。

親族の中じゃ腫物扱いのじじい。


正直、いなくてもいいと思ってる。おしっこ漏らすし、何もできないし、毎日毎日ぶつぶつぶつぶつ。勉強しなくちゃいけないのに邪魔なんだよ。


またなんか言ってら。今度はなんだよ。

「…さん…も…ども……」



今日はやけにボソボソ喋ってんな。何を言ってるんだろう。
面白いことだったら、親に教えてやろ。


「照子さん。照子さん。」
ばあちゃん？




「照子さん。照子さん。何度も。何度でも。一緒に生きましょうね」

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｢神様降臨｣

神様が降ってきた。
神様が降ってきた。

それは雨みたいにザザーッて、体をびたびた濡らしていく。体のなかに入ってくそれは、痛くて痛くて痛くてたまらない。

私は神様に包まれて、全てを捨てた。

怒り？
喜び？
悲しみ？

そんなものじゃない。私を捨てた。



気づくと私は、水溜まりになっていた。

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「たて」

こうこうせいのわたしはきょうが17のたんじょうび

ろうそくのひをひとりでけしたの

しってる？ひとりではっぴーばーすでーをうたうとでてくるの

てすとはいつも９０てんいじょうよ

やっぱりおかあさんはわたしにいいこにそだってほしいみたいなの

るるる、きょうはわたしのたんじょうび

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「ミンチ」

合挽きミンチを買った。
ぷぎゃーーーーーーーーーーーー
も゛おおおおおおおおおおおおおおおおおおおお

お肉の奏でるハーモニー
私お料理が大好きなの。

お母さん今日の料理はなに？
今日のメニューはハンバーグよ。

じゅうじゅうじゅうじゅうじゅうじゅうじゅうじゅうじゅう
ぷぎゃーーーーああああーーーーじゅうーーーーーーーじゅうじゅうーーああ
も゛おおおおおおおじゅうじゅうおおおおおおおおおおおおおおおお
るんるんるんじゅうじゅうじゅうんるんるんるん



さあ召し上がれ。

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