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悔しいけど・・・旦那に恋してます

レス59 HIT数 16561 あ+ あ-

自由人( ♀ )
13/04/16 21:29(更新日時)

「…次…どうしたらいいの?」

年下の彼が悪戯な瞳で私の耳許で、囁く

悔しい!!
「アタシしか″知らなかった″くせにムカつく…年下のくせに…」
私は 声を震わせながら 康也(やすなり)を 軽く睨む。

「そうだよ… 俺、紗菜(さな)さんに調教されたんだよ」

全く言い訳もせず、康也は優しく微笑み、私の胸に顔を埋めた。

「…ッ!!」

真面目そうな男だと思ったのに!! 何っ!?
このギャップ!?

それが・・・今の私の旦那・・・



No.1916730 13/02/18 21:09(スレ作成日時)

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No.1 13/02/18 21:23
自由人0 ( ♀ )

・・・出会い・・・

私はパート。 康也は新人社員として会社に入ってきた。

正直…何処にでもいる普通の顔で、眼鏡をかけた清純そうなタイプ。

はっきり言えば、彼氏がいる私には、全く興味なかった。

唯一・・・気になったのは・・・声が良かった。 耳に心地よい低い声。何だか 癒される。

(この声… 嫌いじゃない…)

でも ただそれだけの事だった。

その声に惹かれたのは、私だけではなかった。
歳上の女性からには 完全にハマッていたようだった。

No.2 13/02/19 09:41
自由人0 ( ♀ )

新人社員紹介が終了したと同時に、彼女達は 康也に群がって来た。

「ねぇ~、西原さんは彼女いるの?」
「イイ声してるわねぇ~。アタシ 気に入っちゃった」
「新人歓迎会 絶対!私の隣に来てよ!」

…相当…ウザいだろうに…

康也は キョトンとした顔をしていたが、笑顔で彼女達の質問に一つずつ答える。

「彼女は残念ながら、いません。 イイ声と言われたのは初めてです。 嬉しいです。 歓迎会 あまりお酒は 飲めませんが、宜しくお願いします」

そして一礼をした。

彼女達は「可愛い~っ!!」と声を上げる

真面目で、完璧、草食系。
(つまんない…男…)

私は 冷やかな目で彼を見ていた。

No.3 13/02/19 10:24
自由人0 ( ♀ )

仕事に入ろうと、荷物を持ち上げると 背後から もう一人の新人社員が話しかけてきた

「立川さん…ですよね?」

「ええ?…(あっ!そうか…名札ね) えっと…青井…さんでしたっけ?」

青井 晃汰(こうた) 。
康也と違うタイプの 今時風の少し軽そうなタイプ。
こちらは、若い女性に人気がある感じだった

「立川さん、僕らには全く興味ないみたいですね? 彼氏いるんですか?」

・・・何だ? この男? いきなり人のプライベート聞いてきて、常識ないの?・・・

私は 少しイラつきながら答えた

「ええ。彼氏いるわよ。‥正直 年下は 興味ないし」

「うわっ…ハッキリ言うんですねぇ~…でも、俺…そう言う女性 嫌いじゃないですけど…」

晃汰は軽く髪をかきあげ ニヤリと 私の顔を見つめた。
私は ゾクリと背中に寒気を感じた

「あ~…そう。 どうでもいいけど…課長 呼んでるわよ」

「ヤバッ…それじゃまた…」

晃汰は 私に手を上げ 笑顔で去って行った。

(・・・あれは きっと、超ナルシストだな… 気持ち悪いだけ)


新人社員に それぞれの印象を受けただけだった。

あの頃は 康也とは、仕事の会話以外 ほとんど話さなかった。

No.4 13/02/19 10:56
自由人0 ( ♀ )

・・・彼氏がいると言ったものの…正直 彼氏とはうまくはいってなかった・・・

半同棲歴 6年… 始めは 5歳上彼氏に 結婚の夢を見てきたけど、 浮気はするし 金使いは荒いし最悪だった。

″顔がイイだけ″の男だった。

「結婚するなら 絶対!イケメン!」
と決めつけていた私… でも…浮気 金使いの荒い男と結婚しても 先はもう目に見えてる。

( そろそろ…潮時か…)

今日も帰ってこない彼氏のアパートに 私は、怒りもなく、嫉妬もなく、冷静に1人酒をしていた

・・・来年…30歳だよ…何やってんだろ… 今の彼氏と別れて…この先こんなアタシに結婚相手 見つかんのかなぁ~…・・・

結婚願望が強かった私。
そう思うと 情けなくて涙が出た

No.5 13/02/19 13:00
自由人0 ( ♀ )

朝方に悪びれた様子もなく、鼻唄混じりに帰ってきた彼氏 。

帰って来るなり 私の上に乗り 無理やり自分の唇を私の唇に押し付けた。

(お酒クサッ!!)

「ちょっ…!!ヤダッ!やめ…っ」

無理やり上の服を脱がそうとする彼氏に 私は必死に抵抗した。

「イイじゃん。ヤらせてよ」

トロンとした甘えたような顔で 私を見つめる彼氏。
昔は 長いまつ毛・ 鼻筋がしっかりしたこの顔に ベタ惚れだったけど… 今は気持ち悪さも感じる。

ほどよく筋肉が付いた腕に 私の肩を押し付け 強引に下着を 外され暴れる私の胸に、片手で乱暴にわしづかみをされる。

「痛いっっ! …本当に…ヤメテ!」
(もうヤダッ! 限界!)

No.6 13/02/20 10:53
自由人0 ( ♀ )

私は、ありったけの力で彼氏の腹部を足で 蹴りあげた。
不意討ちにやられたせいか、彼氏は「ウッ!」と低い声をあげ 簡単に後ろにはね飛ばされ 床に頭を打ち付けた。

「ってなぁ~…何すんの?お前」

頭をこすりながら 低い声で怒りを隠せない瞳で、私を睨み付けた。

・・・しかし…彼氏は、何があっても女には 手をあげない・・・

唯一の… 長所かもしれない…

睨み付けながらも 私には向かって来なかった。 床を拳で、おもいっきり叩きつけ 自分の怒りを抑えていた。

一思いに 私を殴ってくれれば、簡単に別れられたかもしれない… この優しさも知ってるから、別れらないんだ…私…

・・・だけどっ!やっぱりこのままじゃっ!・・・

私は、唇を噛みしめ意を決して彼氏に尋ねた。

No.7 13/02/20 11:26
自由人0 ( ♀ )

「ねぇ…?」

「あぁ?…」
彼氏は無愛想に返事をしながら タバコをくわえた。

「今更 聞く事じゃないけど…このまま ズルズル行くのも、嫌だから…」

「……」
彼氏は、無言で灰皿にタバコをポンポンと軽く叩き灰を落としている。

「私…来年、三十路だよ?結婚願望あるの、知ってるよね?」

「……あぁ……」

「だったら!私と籍入れる気ある?」

「……」
彼氏は面倒臭そうに タバコを吹かし 頭をおもいっ
きりクシャクシャとかきあげながら 重い口を開いた。
「…結婚する気あるんだったら、今頃、結婚してるんじゃね?」

・・・思った通りの答え・・・

解ってたけどね…。解ってたけど…
少しでも、期待してたんだなぁ~私……涙、出そうだ。

この男は…自分から別れようとしない…色々と不利になる事を知ってるから・・・
この男にいくら つぎ込んだと思ってるんだ!

怒りが込み上げると同時に、半分諦めている自分がいる。

(何だったんだろう…この6年間…無駄に過ぎてきた気がする…)

・・・何か…もぅ、どうでもイイや・・・

No.8 13/02/20 12:02
自由人0 ( ♀ )

「…別れよっか…」

意地で言わなかった言葉。 この一言で呆気なく 2人の関係は 何もなかったように終わるんだろうな・・・

私は、悔し涙を堪えながら その言葉を発した。

彼氏の顔が ″待ってました″と言うように ニヤケている。
「…まぁ~、お前が言うなら?」

・・・ムカつく!!! …だけど こんな奴の為に、犯罪者には、なりたくない!・・・

私は、ひきつる顔で彼氏に 嫌味で質問した
「随分…嬉しそうだね?」

「別に…惜しい分もあるよ。お前 痩せてる割に 胸あるし、イイ身体してるし…別れる気なかったのそれもあるし」

・・・なんて! 最低な答えっ!!・・・

彼氏が、ニヤケながら私の顔へと近付き 耳許で囁いた
「なぁ…別れても、身体の関係 続けない?」

その言葉に私は、一本の頭のネジが飛んでしまった。

「ふざけんなっ!!人を舐めんのも大概にしろやっ!!!」
私は立ち上がり そこら辺にある小物を 彼氏に投げつけた。
今までの怒りを 全て彼氏に投げつけた。

そして、自分の貴重品・化粧品など、バッグ一つで収まる量だけ持ち 彼氏のアパートを後にした。

・・・6年間一緒にいて 荷物はこれだけ・・・

(なんて虚しい…)

背中を丸めように 実家へと向かった。

No.9 13/02/20 12:29
自由人0 ( ♀ )

幸い 今日は、仕事が休みだった。 おかげでおもいっきり 泣けた。

実家に帰って 父親は何かを察したように、何も問わず 「…お帰り…」の一言だけだった。

母親は「どうしたの?彼氏に殴られたのっ!?」と泣き腫らした私の顔を覗き込み しつこく問いかけた。

「お前っ!!しつこいぞ!男女関係に色々あるのは 当たり前だろ!ほっといてやれ!!」

「…でも…」

母親は納得してないような顔で 自分の部屋へと、戻る 私の背中を 落ち着かない顔で見送った。

・・・ものわかりのイイ 父親に感謝だ・・・

普通だったら、黙って彼氏の家に転がり込んで 6年間 家に帰って来たり来なかったり・・・
挙げ句には、別れて当たり前のように、家に帰って来る娘に 罵倒くらいするだろうに・・・

(・・・ただ…呆れて 何も言えないだけかな?
…それでも・・・)

私は 普通に迎え入れてくれた 父親の優しさに また涙が止まらなかった。

No.10 13/02/20 13:04
自由人0 ( ♀ )

・・・翌日・・

前夜に、仕事仲間にバレないように 必死に目を氷水で 冷やした。

おかげで、化粧で何とか隠せる位まともな顔になった。
私は、鏡ごしに自分の顔を見つめて 苦笑いした。

「…不細工が…イケメンと結婚するだなんて、よく言えたもんだわ…」
そう呟き パンッと軽く自分の顔を叩いた。

・・・心機一転!! 今は男より仕事よ!!!・・・

そう自分に言い聞かせ 会社へと向かった。

No.11 13/02/20 13:33
自由人0 ( ♀ )

会社に着くと 同じパートで一つ下の 香奈枝(かなえ)が笑顔で、挨拶をしてきた。

香奈枝には 彼氏との破局を、事前にメールで知らせておいた。
香奈枝は 肩を軽く″ポンッ″と叩き

「…大丈夫? ごめんね。アタシが結婚してなかったら 一晩中話し聞けたのに…」
と小声で 話し掛けてきてくれた。

「うん。大丈夫。心配させてごめんね。…でも何か 凄い スッキリした」
私の笑顔に 安心したように 香奈枝は頭を優しく撫でてくれた。

・・・持つべきものは…やっぱり 友達だ・・・

私1人が 感動していた。

「けど…紗菜ちゃんが 彼氏と別れたって聞いたら黙ってない男がいるわよ」

「…え?何で?」

香奈枝は コソッと指を差し
「…青井だよ」

青井の後ろ姿を指差した。

「どう言う意味?」

「前に、青井に聞かれたのよ″立川さん、彼氏と別れる予定ないかな?″って…」

私は、顔を青ざめた。
「ちょっと!? 冗談でしょ?」

「まだ 別れる前に聞いてきたから ″紗菜ちゃんなら、残念ながら、彼氏とラブラブよ″って言ってやったら、アイツ、いきなり″紗菜ちゃんが彼氏と別れたって聞いたら教えてね″だって!!
ちょっと ひいちゃったわよ」

「………大丈夫……聞いてるアタシもひいた…」
私は、ずっと寒気が 止まらなかった。

No.12 13/02/20 13:47
自由人0 ( ♀ )

「紗菜ちゃん、自分で気付いてないかも知れないけど 紗菜ちゃん目当ての男… 結構いるよ?」

「冗談止めてよ!香奈ちゃん! もうすぐ三十路だよ? ここの独身男 ほとんど年下じゃない。
興味ないよ」

私は、苦笑いで応えた。

・・・マジで 年下は勘弁・・・



あの時は 本当にそう思った・・・

何時からだろう・・・

康成を男して 意識し始めたのは・・・

No.13 13/02/20 16:00
自由人0 ( ♀ )

・・・会社の休憩室・・・

私は、軽い休憩を取るため 部屋に入った。
そこには、 青井 晃汰が先に休憩を取っていた

(げっ・・・)

私は、思い出したくない香奈枝の、話しを思いだした。

青井は私に気付くと 嬉しそうにコーヒーカップを片手に 近寄って来た。


・・・来なくて イイって・・・

私は ひきつる顔を抑えながら、笑顔で挨拶した

「あら? 青井さんも今から休憩?」

「ええ。嬉しいな♪ 立川さんも今から休憩なんだ」

「まぁね……(私の前では 名前で呼ばないんだ)」

笑いが出そうなのを 堪えながら応えた。
私が 自分のカップを 棚から取りだし コーヒーを入れていると、背後から晃汰が 近寄って来た。

ビクッとまた 背筋に″何か″が走った。

そして、私に囁くように聞いてきた。

「彼氏とは 元気にやってるの?」

「…(キタッ!)ええ…まぁ。何とかね」
私は 動揺を隠す為、晃汰の目を合わさないように
そのまま 前に向いて コーヒーを一口入れた。

「…ふぅん。つまんないの…でも…別れたら 一番に、俺に教えてよ」

「何の為に?」

私は、イラッとしながら晃汰に質問した

「だって、立川さんと付き合ったら 楽しそうじゃん」

「何 それ? 意味わかんない」

晃汰は、コトッとコーヒーカップを優しく置き いきなり 背後から抱き寄せてきた。

「…ちょっ!何のつもり!? セクハラで訴えるわよ!」
コーヒーカップから コーヒーを溢さないように 必死だった。
抵抗出来ない・・・!!



No.14 13/02/20 18:23
自由人0 ( ♀ )

「…立川さんて 結構…男好きかと思うんだけど…?」

人気がないとは言え、晃汰は遠慮無しに 自分の身体を私の身体に密着してきた。

「勝手に決めないでくれる?」

私は半ば諦めかけて、抵抗するのを止め 平静を装おった。

「…立川さんの髪……イイ香りする。 しかも うなじがヤバい位 セクシーだよね…俺 興奮してきちゃった」

・・・確かに、私のお尻あたりに ″変な物″があたってる・・・

(ウェッ… 気持ち悪っ!)

当分 ″これ系″の男とは関わりたくないのに……

私は 溜め息を吐き
「……言ったじゃん。年下は興味ないって…」

「たかが6歳じゃん。 付き合ってみなきゃ、解んないでしょ? 俺、全然問題ないけど?」

「…だからっ!!アタシが あるんだってば!!」


コーヒーカップを叩きつけるように 台に置き
大きな声で 晃汰に振り返ろうとした時・・・

″ガチャッ″と ドアが開いた

私は とっさに両手で晃汰をはね除けた。

そこに 現れたのは・・・康成だった。

No.15 13/02/20 19:05
自由人0 ( ♀ )

康成は、 私と晃汰の間に違和感を感じたのか 申し訳なさそうに 口を開いた。

「………あっ…何か お邪魔でした?」

私は、部屋を出て行こうとする康成を 必死に引き留めた。

「ううん!! 全然!大丈夫だから!!」

「………はぁ。そうですか…」

″バツ″が悪そうに、康成は 自動販売機にお金を入れた。
そして、 思いだしたように

「……あぁ…そう言えば、青井さん。佐久田さんが探してましたよ? なんか…発注が合わないとかで…」

・・・西原さんて、 青井と同期でも敬語で、話しするんだ・・・
私は、何事もなかったように、コーヒーを飲んだ。

晃汰は 少し青ざめた顔で
「げっ!マジで?佐久田さん何処にいた?」

「食品 倉庫ですよ」

「ありがとう。西原君…じゃ、立川さん、またね。」

晃汰は悪びれた様子もなく、私に手を振り 休憩室を出て行った。

・・・しばらく ピーンと はりつめた空気が続いた・・・

(本当に 口数少ない子だわね)

私は、静けさに居たたまれなくなり 康成に話し掛けた。

「…西原さんさぁ~ 入社して 数ヶ月経つけど 好みの娘は出来た?」

「…え?」

康成は 少し驚いたように、私の顔を見つめた

・・・っ!! 何考えてんだ!? 私!? ほとんど話しした事ないのに、 いきなり こんな質問するなんてっ!・・・

(これじゃぁ……青井と大して 代わらないわね)

私は、1人で苦笑した。

「…ごめんね。 何かへんな質問しちゃった」

康成は 優しく微笑んだ。

「いえ。大丈夫ですよ。……ただ立川さんから こんな質問されるとは思わなかったんで、少し 驚きましたけど…」

「…え?何で!」

No.16 13/02/20 21:09
自由人0 ( ♀ )

康成は 缶コーヒーを口に含み ひと飲みして 私に微笑んだ。

「…すみません。 僕の勝手な解釈ですが…立川さんて、他人の事にあまり興味を持ってなさそうな雰囲気を出されてましたから…」

・・・確かに 今までの私なら 自分の事で、精一杯だったもんな・・・
(あんな 男の為に…)

元カレの事を思いだし 鼻で笑ってしまった。

「…西原さんて 人間観察とか好きなの?」

「? いいえ。特に… 僕はどちらかと言うと 他人に興味を持たないタイプなんで…」

「だったら 勘が鋭いのかしら?」

「まさか…よく 人に、鈍感って 言われてますよ」
康成は 申し訳なさそうに、頭をかき出した

「…さっきだって…」

「え?アァ~…さっきのは本当に!何もなかったんだから。変な考えしなくてイイのよ」
私は 手を横に振り笑いながら応えた。

(むしろ 助かったわよ)

No.17 13/02/21 14:40
自由人0 ( ♀ )

「…で?」

「はい?」
康成はキョトンとした顔で 私の言葉を聞き返した。

「だから、気になる娘 いるの?」

「アハハ…残念ながら いませんよ。いたとしても、僕みたいなタイプが相手されませんし…」
照れくさそうに顔をうつ向いて 短い髪をかきあげるように、手を頭の上に置いた。

・・・なるほど…いるんだ…・・・
(しかし 超ネガティブ思考だわね)

私は、クスクスと笑い
「西原さんて 顔に出やすいタイプね。 嘘とか付けないでしょ?」

「あっ!解ります?」
頬を赤らめながら康成は 応えた。

・・・歳上女性が 西原さんを可愛いがる意味 何となく 解る気がする・・・
(純粋な少年を 見てるみたい。 まだいたんだ……こういうタイプ…)


私は、目を細め優しく 康成に諭した。
「西原さん…あまり自分の事 下げないで。西原さんにはその素敵な声があるじゃない? 私…嫌いじゃないよ。その声…凄く癒やされる…し…」

一瞬・・・時が 止まった気がした・・・

(……あれ? アタシ……何か変な事 言ってないよ…ね?……)

私は、自分の言った言葉を頭の中で繰り返した。

すると、康成は残りの 缶コーヒーを飲み干し ゴミ箱に捨てた。そして、私の方を振り返り

「優しいんですね。立川さんて…… 社交辞令でも、嬉しかったです。…少し 勇気が出ました。有難うございます」

爽やかに笑い 一礼した。

「お先に 失礼します」
と 休憩室を出て行った。

独り残された私は、 自分でも解らない位 顔が火照っているのが解った。

No.18 13/02/21 15:26
自由人0 ( ♀ )

・・・何で? 赤くなってんだ? 私…… イヤ待て!…… タイプじゃないし。 年下だし…… 可愛いらしいな、とは 思うけど・・・

私は、休憩が終わっても 康成の事が頭から 離れなくなっていた。

(そうよ! 彼氏と別れたばっかだから、何かに焦ってるんだわ!! 慎重にならなきゃっ!)
そう 自分に言い聞かせ 仕事の続きをした。

そこに 私の3歳上の 瀬良 葉子(せら ようこ)が隣にやって来た。 葉子は私にコソッと話しかけた

「さっき……西原さんと同じ休憩だったでしょ?」

「え?エェ~…… まぁ~‥」
(何!?動揺してんだ!! 私!!)

「いいなぁ~…… 今度 休憩一緒になりそうだったら シフト、代わってくれない?」
葉子は 少し頬を赤らめながら 私に聞いてきた。

・・・本気だったんだ!?・・・

私は、驚きながら 了解した。
「…いいですよ。 代われたら代わります」

「やったぁ~ 有難う 立川さん!」
葉子は本当に、嬉しそうに微笑んだ。


前々から 葉子は康成の事を″可愛い″・″あの子は ありよ″と、言っていたが・・・まさか 本気だったとは・・・

葉子は どちらかと言えば ぽっちゃり体型で、性格もはっきり言うタイプ。異性からは 遠ざけられている方だ。
しかし 本人は気付いていない・・・

私と同じく結婚願望が強い。 私と葉子とで「結婚相手はこうでなくては!」など よく、話しを盛り上げていた。

No.19 13/02/21 19:19
自由人0 ( ♀ )

(……でも 西原さんには気になる娘いるみたいだけど…別に 瀬良さんには教えなくても イイよね?)

自分で自分に問いかけ 葉子の横顔をバレないように 伺った。
葉子の手つきが より一層 仕事が早かった。

(本当に 嬉しそう… これじゃぁ~…西原さんの気になる娘の事なんて 言えないや。 ごめん!瀬良さん! 協力は出来ないけど…見守らせてね!!)

私は、心の中で訴えた。

・・・西原さんの 気になる娘って どう言う娘なんだろ・・・

真面目で草食系タイプが好きそうな女の子… きっと 私とは全く正反対のほっとけない、可愛いらしい タイプの娘なんだろうな・・・

・・・・・・。

(だから!!何で アタシと比べてるんだ!? 馬鹿みたい!!)

私は、身震いを感じ 両手で自分の顔を叩いた。
それを見た 葉子が怪訝そうに話しかけてきた。

「…ど、どうしたの? 立川さん…?」

「アハハ…気にしないで下さい!単なる気の迷いですから…」

「…気の迷い?」
ますます 頭の中で?マークが出ている 葉子をよそに 私は、夢中で仕事に没頭した。

・・・そうよ!! 単なる気の迷いだわ!・・・


No.20 13/02/21 20:46
自由人0 ( ♀ )

☆すみません主です☆

もし……読んで下さってる皆様へ・・・

自由気ままに 文章を打ってきましたが・・・
所々 脱字・誤字に、文才の無さ (^^;

お恥ずかしい限りですが… ど素人と言う事で ご勘弁をm(__)m

少しずつ 更新していきます(((^^;)

感想スレは もう少ししたらたててみようかな?
なんて 思ってます


No.21 13/02/22 21:17
自由人0 ( ♀ )

・・・気の迷いから数ヶ月・・・

康成の事は 頭の片隅に置いた感じになってしまい 、いつもと変わらない毎日を過ごしていた。


相変わらず、晃汰は「まだ彼氏とは 別れないの?」としつこく付きまとっているが・・・

「…その内ね」と捨て台詞をはいて 相手にはしていなかった。

そして、 残念ながら 葉子と康成の方も進展は なく 次第に葉子の想いは康成から離れてしまっていたようだった。


・・・そんなある日・・・

7歳下である アルバイトの 牧原 リナが、私に話しかけてきた。

「紗菜姉さん。 お話があるんですけど……今日 夜飲み会終わったら 話し聞いてくれます?」

「…?私で良ければ いいわよ」

月に一度 会社の仲間と交流を深めようと 上司が 企画しているのだが、私は ほとんど参加した事がなかった。

(参加したの……何ヵ月ぶりだろ… )

案の定・・・周りの仲間達も 私が参加している事に 驚いている様子だった。

・・・きっと…彼氏と別れた事 バレただろうなぁ~・・・

私は 一人苦笑した・・・

No.22 13/02/23 13:20
自由人0 ( ♀ )

何かに察知したように 晃汰は にやけ混じりな顔をして 私の隣に座って来た。

「あれ?立川さん 珍しいね?飲み会に来るなんて…… 何かの心境の変化?」

(……アァ~ うざっ!)

「私が 来たら、駄目なわけ?」
私は、 わざと低い声を出し ビールを口に含んだ。

「……チェッ 相変わらず、冷たいなぁ~…″紗菜ちゃん″は…」

「…歳上に向かって ″ちゃん″付けは 失礼でしょ?」
私は、 晃汰を睨み付けた。

晃汰 ため息をもらし
「…何が 俺には足りないの? マジで……俺…本気なんだけど…)
寂しそうな瞳で 私をみつめた。

(そっか・・・きちんと青井には 気持ちを伝えるべきだわ)

「…ごめん…青井さんの事は…歳上・年下に関係なく 恋愛感情はない…。」
「… 青井さんには もっと可愛い娘見付かるでしょ? 顔だって、悪くないし…
確かに 彼氏とは別れたけど…今は…一人でいたいと言うか……」



(今度こそ! 失敗したくない!)

「………結婚相手に相応しい男(ひと)…見付けたいんだよね…」

「………。」
晃汰は ただ黙って 私の話しを聞いてくれた。

・・・この子…根は真面目なんだ・・・

私は、晃汰の意外な性格に少し 驚いた。

「…そっか…ンじゃぁ~ …立川さんにとって、俺は…結婚相手に 相応しくないって事かぁ~」

晃汰は 顔を上に上げ 苦笑した。
「確かに 俺、まだ 結婚とか考えた事ないしなぁ~… そっか…」
晃汰は 一人で呟くように 少し考えながら 私の方へ顔を向いた。

「………あれ? さっき……歳上・年下に関係なくって言ったけど… 立川さんて年下は 絶対に興味なかったんじゃなかったけ?」

・・・えっ?・・・
「……え?…あれ?… べっ、別に そう意味で言ったわけじゃなくて! ″例え ″って 事よ!」

No.23 13/02/23 19:25
自由人0 ( ♀ )

・・・何で 動揺してんだ?私は・・・

晃汰は目を光らせるように ニヤケ出した。
「 …まさかとは思うけど… 年下もありになったって事は…それこそ本当に、 何か 心境の変化でもあったわけ?」

晃汰は近くにある 皿に盛られている焼き鳥串に 手を出し かぶり付いた。

私は、動揺を隠すようにビールをイッキ飲みした。
「…ない。ない。 始めから年下には興味ありません!」
そう言うと 店員を呼び出し 次の飲み物を注文した。

「あっ!青井さんは?飲み物は?」

「…あっ。すみません、じゃっ梅チューハイで…」

青井は 私と店員の やり取りをじっと見続け、店員が去って行くと 青井は 私を横目に 少しむくれたように話しかけた

「…話しそらされた気がする」

「え? そう?」

私は、青井と目を合わせないように 刺し身の盛り付けを食べ続けた。

No.24 13/02/23 20:34
自由人0 ( ♀ )

・・・頭の片隅に置いてあったはずの…康成の爽やかな笑顔が 浮かび上がってきた・・・

(ヒェ~っ!!何で!?どうして!? 西原さんは、関係ないでしょ!! 消さなきゃっ!)

私は、 自分でも訳がわからない位 顔が赤くなっていた。

「すみません 遅くなりました」

変なタイミングに 康成が飲み会に現れた。

上司の佐久田が手を挙げた。
「オォ~っ! お使いご苦労さんだったな!こっち来いよ」

運悪く 私の前の席へと呼び寄せた。

・・・今は 止めて~っ!来ないで!!・・・

私は、 鼓動が早くなるのを感じた。 すると 横にいた 晃汰が 不思議そうに 呟いた。

「…あれ? 松山さんも一緒じゃん」

・・・えっ?・・・

私は、 康成の方に目を向けた。

そこには 康成の後ろに 松山 楓(かえで)が 可愛らしく微笑んでいた。

「何? 二人でお使いに行ったの? 仲良くね?」

青井は席に近付いてくる二人に からかうように話しかけた。

「ヤダっ。違いますよ。課長に頼まれたんです。
2人で行くように…って、 ね?西原さん。 」

楓は 軽く手を横に振り 満面な笑顔で康成に 話しかけた。

康成は 少し照れくさそうに お絞りで手をふきながら、眩しそうに目を細め 楓に返事した。

「…エェ…そうです」

・・・私…見た事のない、あんな男の顔・・・

(……そっか… 西原さんの気になる娘は…松山さんか…)

確かに 楓は私と違って 清純そうで周りの男共が 放ってないくらい、可愛い娘だ。

自然なお化粧で 眼鏡をかけていても 解るくらいの、大きな瞳。
だからと言って 男には頼らない、仕事が出来る娘。私より、5歳下なのに しっかりしている。

・・・そりゃ、西原さんも好きになるよね・・・

康成は 私に気付くと 軽く「お疲れ様です」と会釈し 楓との会話に 華を咲かせていた。

(本当っ!! 解りやすい男ッ!!)

私は、 さっき来たばかりのビールを イッキ飲みした。

No.25 13/02/23 23:37
自由人0 ( ♀ )

気が付くと 青井は、若い女性達に呼ばれ 話しに盛り上がっていた。

・・・本当に アタシを好きだったのか?・・・

疑いたくなるように 青井は女の子に囲まれ ベタベタしていた。
(……男なんて そんなもんよ……若い女性の方が好きに決まってる)

私は、冷めた目付きで 近くにあるつまみを 黙々と食べていた。


どれくらい 飲んだのだろう。 …でも、酔った気がしない……

私は、 周りの仲間達の盛り上がりを ただ ぼんやり眺めていた。

「立川さん?大丈夫ですか?」

心配そうに話しかけてくる男が 私の隣りに座ってきた。

・・・この声・・・

康成だった・・・

No.26 13/02/24 00:04
自由人0 ( ♀ )

私は、少し驚きつつも 楓の事を思いだし、少し康成に 嫌味な質問をした。

「…あら? いいの?私に話すよりも 若い娘と話した方が盛り上がるんじゃない?」

「え?何でですか? 僕、若い娘と 話さないと駄目なんですか?」

「………駄目じゃないけど……で、って言われても困るけど…そうなのかな?って思っただけ…」


(……嫌味って解ってないのね…)

康成らしいと言えば 康成らしい。

「………でも、いいの?松山さんの事、もっと話さなくていいの?」

「…松山さん?…アァ~。仕事の話しだったんで 終わりました」

康成は、私の意味あり上げの質問を、何事もなかったように、さらりと 応えた。

私の方が拍子抜けした。

「あれ? 西原さんの気になる娘って…」

私は、聞けずにはいられなくなり 康成に、質問をしてしまった。

「…え?… 松山さん?…アァ~。確かに松山さん、可愛い娘だなって、思いますけど …」

康成は ウーロン茶を一口飲み
「彼女の好きな男は、青井さんですから」
にこやかに 応えた。

・・・えっ?マジで!?・・・

私は、口に入れようとした つまみを落としかけた。

No.27 13/02/27 19:37
自由人0 ( ♀ )

私は、口を開けたまま 康成を見つめた。
そして 我に返り 康成に問いかけた
「…え?何で 松山さんが青井さんの事が好きって解るの?」

康成は 皿に置いてある残り物に 手を出しながら 普通に応えた。
「 ぶっちゃけてくれましたから」

・・・ぶっちゃけトークするくらいの間柄なんだ・・・

「へぇ~……そうなんだ…… ショックじゃなかった?」

「え?何でそう思うんですか? ……う~ん… まぁ~ 本気になる前で 良かったかな?とは 思いますけど…」

・・・だから……気になってたんでしょ!!・・・

康成に突っ込みを入れたかったが 止めた。


「そう言う……立川さんは?」

「…え?何が?」

いきなりの康成からの問いかけに 私は、おつまみを口に含み ながら キョトンとした顔で 聞き返した。

No.28 13/02/28 17:59
自由人0 ( ♀ )

「…彼氏さんと…仲良くされているんですか?」

「…え?…」
・・・他人に 興味なかったんじゃなかったけ?・・・

康成の意外な質問に なぜだか 一人にやついてしまった。

「…他人事には 興味なかったんじゃなかったけ?」

「…別に……僕に″気になる娘はいないのか″って聞いてきた お返しと言うか…」

康成は 顔を赤らめながら照れくさそうに 人差し指で眼鏡を上下に 動かした。

(……うわっ!なんだろ…可愛いな…)

私はにやける顔を 抑えながら平静を装うように 康成に応える。

「…まっ。そうだよね 私からプライベートな事 聞いたんだし……。彼氏とは 数ヶ月前に別れたよ」

「えっ?そうなんですか!? ……すみません。僕…デリカシーないですね…」

私は、申し訳ない顔をしている康成に プッと笑いだした

「やだ。別に知らなかったんだから 気にしないでよ。…それに別れる前から もうお互いの気持ちは なかったんだから。 別れて正解だったの」

・・・既に アイツ(元彼)は、女が出来てるって聞いてるし・・・
不思議と ショックもなければ嫉妬もなかった。
どうせ 同じ事の繰り返しをするんだろうな…と ただ、他人事のように思っていただけだった。

「…そうでしたか…」

どう 応えていいの解らないのか、康成は それから黙ってしまった。

・・・本当、女慣れしてないのね・・・

私は、康成の横顔を見て微笑んだ。

そこに ほろ酔いになっている 康成の上司の内山が私達の姿を見て ニヤニヤしながら康成に 近付き
康成の肩に 手を置いた。

「なんだよ。紗菜さんといい感じになってんじゃん」

「ハハ…違いますよ。 内山さんこそ飲み過ぎたんじゃないんですか? 足許ふらついてますよ」

康成は 平静とした顔で さらりと、内山の言葉を交わした。

・・・さっきとはかなり違う 大人の対応ね・・・

私は康成と内山の会話を 静かに聞いていた。

No.29 13/02/28 18:42
自由人0 ( ♀ )

・・・暫く 康成と内山は 仕事の話しをしていた・・・

真面目な顔で聞いている 康成の顔を 無意識にチラチラと見ていた私は、 内山と目が合い 私は、 何事もないように 内山に微笑んだ。

すると 内山が
「そう言えば、紗菜さんと西原って 何歳 離れてるんだっけ?」

「…え?…」
康成は 先ほど頼んだ、コーラーを口に含みながら聞き返した。

「え~と、立川さん。 今 何歳でしたっけ?」

(……うっ!あんまし 言いたくないんだけど…)

私は、酎ハイをゴクリと飲み 低い声で応えた。
「…来年…三十路だから‥29歳」

康成は特に悪気はなさそうに 内山に 応える。
「僕が 23歳だから 6歳差ですね」

それを聞くと 内山は悪戯そうな顔で 康成に、とんでもない質問をした
「西原さぁ~、ぶっちゃけ 紗菜さんは″あり″なの?″なし″なの?」

「…はっ!?」

私と康成は 思わず同時に 言葉を発した。

内山は、私達が動揺しているのを お構い無しに 話しを続ける。

「イヤ…俺的に2人を見ると、 お似合いなんだよね。 この際さぁ~、西原もぶっちゃけようよ。
上司とか 関係なくさ。 そもそも、歳上女性とか どうなの? 抵抗あり?」

康成は 少し考えながら 真面目に応える。
「…特に‥抵抗はないですし、歳上女性は 魅力的だと思います」

(……聞いてる こっちが 恥ずかしいじゃん!)

私は 火照る顔を抑えながら、内山に話しかけた。

「ア、アハハ…内山さんたら 冗談過ぎるよ~。西原さんも困ってるんだし…」

しかし内山は 話しを変えようとせず、康成に質問をする。

「じゃあさ。紗菜さんは?マジで応えてよ。″あり ″なの? 」

・・・半分 私も気になるけど・・・

康成は しばらく黙り 口を開いた。

No.30 13/02/28 19:47
自由人0 ( ♀ )

「……″あり″です」

康成は 私の顔を見ずに、内山さんの方に顔を向け 小さな声で応えた。

その瞬間・・・私の鼓動は速くなっていく。

・・・どんな顔で、応えたんだろう・・・

私は 平静な顔を装いながら 酎ハイを飲み 康成の背中を軽く叩いた。
「…アハハ…ごめんね。傷心してる私に 気を使わせちゃって……。本当、西原さんは優しいわねぇ」

そう言いながら、立ち上がった。

「……いえ。」

康成は苦笑しながら 私の顔を見つめた

「…え?紗菜さん、何処行くの?」

「トイレ!デリカシーないなぁ~、内山さんは!」

私は 2人の顔を合わせないように ヒラヒラと手を振り 二人から離れた。

・・・きっと!あれは 西原さんの本心じゃない!!・・・

私は、女子トイレの洗面所で 化粧直しをした。
(…解ってる!西原さんは誰でも 優しいんだもん!
本気なってはダメ!!)

自分に言い聞かせる為 パフをおもいっきり 顔に叩いた。

・・・ダメだ…社交辞令って解っても、嬉しい…… ・・・

(…こんな想いしたの、何年ぶりだろ…懐かしいな…)

元彼にもなかった 何処か懐かしい気持ちに、私は苦笑した。そして鏡ごしに 自分の顔を見つめた。

「…大の大人が…恥ずかしいヤツだな。私は…」

・・・多分…その時からだろう…まさか 私が、年下の男に片想いを 始めるとは・・・

・・・ 自分でも 思ってもいなかった・・・

No.31 13/03/04 12:03
自由人0 ( ♀ )

いつの間にか 飲み会は終わり、誰かが「二次会は○○な!」と叫ぶ声がする。

自分ではそんなに 酔ってはいないと思っていたが、脚がふらつく。
(……今日は大人しく、帰ろう)

そう思い 団体と反対方向に 足を向けた時、″ガシッ″と 誰かの手が 私の腕を掴んだ。

「…紗菜さん!話し聞いてくれる約束ですよね」

その声は リナだった・・・

(ヤバ‥すっかり忘れてた)

私は、動揺する顔を抑え 笑顔でリナに応えた。

「アハハ…違うわよ。 リナちゃん探してるとこだったの」

リナは少し疑いながらも
「…会社の人に あまり聞かれたくないんで…」

と リナの行き付けのバーへと、向かった。

私とリナは カウンターに座り カクテルを頼んだ。
正直 これ以上 酔うと二日酔いになってしまうと、思い マスターに軽めの物を頼んだ。

それを横で、聞いていたリナが驚いた顔で 聴いてきた。
「紗菜姉さんて、お酒に強い と思ってたけど?」

「今日は 一次会からペースあげちゃったから…」
(……今日の飲み会で いろんな思いがあったし…)

私は、苦笑しながらおじぼりで、手を拭いた。

「……で? 話しって?」

私は 早速、本題に入った。

No.32 13/03/04 17:22
自由人0 ( ♀ )

リナは恥ずかしそうに 下をうつ向き 話し始めた。

「…実は……来週の休みに 私と松山さんと、青井さんと西原さんで ドライブに行く事になったんです」

・・・え?・・・

「…あ、そう…なの?」

私は、少し胸騒ぎをしながら リナの話しを聞いた。

「そのドライブで 松山さんと、私。 お互いの好きな人に告白しよう…て」

「…そっ、そうなんだ…へっへぇ~…」

(……ヤバい。どうしよう言葉が 出ない!)

私は、差し出されたカクテルを 一気に口に流し込み お代わりを頼んだ。

リナはチビチビと カクテルを口に含み 恥ずかしそうに 私を見つめた。

・・・何て!純粋な瞳・・・

私は 純粋な瞳を そらすように 目の前にある、ブランデーのボトルを見つめながら、リナに問いかけた。

「…お互い 好きな人って?リナちゃんはどっちに告白するの?」

解りきった答えを私は、 敢えて質問をする。

「………西原さんです…」

「だよねぇ~…」

「え?」

「え!?(しまった!思った事が口に出た!)
いやぁ~、 リナちゃんの好きそうなタイプだな と思って」

「って事は 松山さんは青井さんの事が 好きなんだ?」

・・・知ってたけど 知らない振りをしてしまった・・・

「だけど、松山さん。″自信ない″って言ってました。青井さん…紗菜さんに夢中みたいだからって。」

明らかに 青井は私に事あるごとに 金魚のふんのように付きまとっていたもんな。

「アァ~。その事なら 松山さんに伝えといて。″あれは 青井さんの 一瞬の気の迷いだからって、 心配する程でもないからっね″て」

・・・そんな事よりも・・・

私は、リナの横顔を見ながら グラスに入ったポッキーに手を出した。

・・・リナは 明るく 誰に対しても人懐こい。 ノリが良く 年上に好かれるタイプ・・・

私もリナは妹のように 可愛がっている。一度、リナに「…好きな男出来たら、私が応援してあげるからね!」と言った事がある

(……まさか、皮肉にもこのタイミングで来るとは…)

私は、お代わりしたカクテルを 一口、口に含んだ。

・・・リナは純粋な性格だ。いつも…他人の恋愛ばかり応援して、自分の事は二の次… だから私は、リナが放っておけない・・・

「…リナちゃんに好きな人が出来るなんて 相当 本気なのね」

「…そうなのかな? 気付いたら 目で追ってました…」

リナは照れながらも 瞳をキラキラしながら応えた。
(……私と一緒だ…)

私は、リナに微笑みながら リナの背中を軽くポンと叩いた。

「…いいんじゃない? 二人ならお似合いだわ。頑張ってね!」

「はい!頑張ります!」
リナの笑顔が 胸に突き刺さる・・

・・・あ~ぁ…言っちゃった・・・

私は、静かに天井を見上げた。

No.33 13/03/04 18:03
自由人0 ( ♀ )

・・・数日後、私は自分の気持ちを誰かに伝えてたくて、香奈枝に相談をした・・・

人気のない休憩室に、香奈枝は 空いた口が塞がらない顔で コーヒーカップを片手に 止まっていた。

「香奈ちゃん?」

私が香奈枝の目の前で、手を横に振ると

「…マジで!? 何処がいいの!?」
香奈枝は 我にかえると、小声ながらも力強い野太い声で 私に顔を近付けてきた。

「…何処が…って‥解らないけど…気が付いたら……?」

私が照れくさそうに コーヒーを飲むと 香奈枝は クスっと笑い

「…女の子になっちゃってまぁ~。」
悪戯っぽい顔で 私の腕に香奈枝の肘が、コツいてきた。

「…っさいなぁ~…」

「そっかぁ~…西原ねぇ~…しかも年下に恋するとは…」

・・・改めて 香奈枝に言われると 恥ずかしい・・・

「しかし…まずいよね? リナちゃんと西原が上手く行っちゃったら?どうすんの?」

「…仕方ないんじゃない? 西原さんが選んだ事だもん」

「大人の答えだけど…無理あるよね?」

香奈枝は私の肩に手を置いた。

「…まぁ~…ね。…でも 応援しちゃったんだから 見届けるしかないでしょ…」

私は、半分ふてくされながら、コーヒーをコクリと飲んだ。

・・・そこに ″カチャ″と扉が開いた・・・

またも タイミグ良く、康成が顔を出した。

私の鼓動が 早まっていく・・・

No.34 13/03/04 20:32
自由人0 ( ♀ )

「あ…お疲れ様です」

康成は、何時もと変わらない笑顔で 挨拶した。

『…ありです…』

・・・あの言葉が よみがえってくる・・・

私は、目をそらしながら 康成に問いかけた。

「お疲れ様。西原さんも今から休憩?」

「はい 今日は残業なんで、″早めにとっておけ″と 課長からの指示で……」

「また残業なんだ、大変だね。」

「月末ですからね…」

「………」

暫く、二人のやり取りを黙って見ていた香奈枝が、口を開いた。

「ねぇ、西原は休みの日って 何してんの?」

「え?え~と‥パチンコ行ったりとか…」

・・・ギャンブルするんだ……意外……・・・

その思いは 香奈枝も同じだった。
「へぇ~。パチンコすんの?何か 意外……西原って そういう事しないタイプだと思った」

「恥ずかしながら、大学時代からハマっちゃいまして、でも 使える範囲内でやってますよ」

頭をかきながら 康成は応えた。
香奈枝は何やら 思い付いた顔をし、ニヤケまじりに康成に話しかける。

「ねぇ~、今度 良かったらアタシら3人で、食事行かない?」

・・・え?・・・

(え~っ!? 何言っちゃってんの!? 香奈ちゃん!)

言葉にならない 私は、口をパクパクしながら 香奈枝を見つめた。
康成は 何の疑いも無いような顔で
「いいですよ。是非!」
笑顔で応えた。

そして 康成は携帯のスケジュール表を 見ながら

「… え~と……今週は、先約があるんで、来週なら
空いてますので……」

(……リナちゃんか…)

私は、直ぐに察知した。胸の中でチクチクと何かに刺されているようで 痛かった。

香奈枝は、康成を予定を聞き

「…じゃあ、アタシも旦那に聞いて 日にちが当てはまりそうなら また、話しかけるよ」

「解りました。 待ってます。」

康成は 爽やかな笑顔で 香奈枝に応えた。


私は、喜んでいいのか……リナに対しての罪悪感で、複雑だった。

No.35 13/03/08 21:00
自由人0 ( ♀ )

康成は 「お先に失礼します」と一礼をして休憩室を後にした。

私は、香奈枝に食らい付くように小声で叫んだ。
「ちょっと! 香奈ちゃん! どういうつもり!?」

香奈枝は、動揺している私を諭すように 肩を″ポン ″と軽く叩いた。

「別に、いいじゃない? 食事くらい…… って言うか、私が思うのは……リナちゃんには悪いけど、西原とは 付き合うことはないと思うよ」

「…え?何で そう思うの?」

私は、不思議そうに香奈枝を見つめた。

「…何となく……女の勘?ってヤツ?」

香奈枝はニヤリとして、自分のコーヒーカップを洗い始めた。
私は、首をかしげ 残りのコーヒーを飲み干した。

・・・″女の勘″なんて言うけど、リナちゃんと西原さん お似合いだと思うけどな・・・

私は、香奈枝の″勘″を ″あて″にはしていなかった。

香奈枝はコーヒーカップを洗い終え カップを拭きながら、私に優しく笑いかけた。

「… もし、あの2人が 付き合う事になったら 西原の方から 食事のお断りが来るんじゃない?
西原、律儀だし …」

「…そ、そうね…」

(……それは それで、かなりへこむけど…)

リナに『頑張ってね』と、励ました以上 私は、
リナと康成の事は 黙って見届けるしかなかった。

No.36 13/03/08 22:11
自由人0 ( ♀ )

・・・リナと康成達のドライブの日にちが過ぎた・・・

私は、何も考えないように 仕事に集中した。 仕事をしている間は 康成達の事を考えなくてすんだ。

しかし・・・仕事が終わり 1人の時間が出来ると 2人の事が頭から離れない・・・
夜は 必ず アルコールを飲み、直ぐに寝れる態勢を作っていた。

あれから リナからの結果もなく 特に2人が付き合いだしたと言う噂もない。
こちらから リナに聞くのも……と思い、敢えてリナには直接、聞く事はなかった。

仕事中の2人を 見ていても、特に変わった様子もなく、普通に会話をしている。

・・・もぅっ! 結局…どうなったのよ!?・・・

私独りが イライラしていた。

・・・数日後・・・

香奈枝から メールが届いた。

『″例の食事会″決まったよ! 西原にも、了承済みだから♪ 今週の日曜日、空けといてよ!! 』

(……この意味は…?…)

私は、このメールの意味に暫く 悩み、1人止まっていた。

・・・休憩室にリナと2人になる チャンスが訪れた・・・

No.37 13/03/10 11:53
自由人0 ( ♀ )

私が マイカップにコーヒーを注いでいると、休憩室の扉が開き リナが顔を出した。

リナは私に気付き、笑顔で挨拶をしてきた。

「お疲れ様です。…先日は話しを聞いてくれて、有難うございました」

「…お疲れ様。ううん。こちらこそ、あまり…アドバイスとか出来なかったけど…」

・・・あの後 ほとんど上の空だったけど・・・

・・・・・・。
少しの沈黙があると、リナは自動販売機にある 野菜ジュースを買い、口を開いた。

「………実は、ドライブの話し、なくなっちゃって…」

・・・え?・・・

「…そ、そうなの? 何で?」

リナの意外な言葉に私は 不思議そうにリナの顔を見つめた。

「………なんだか、告白するまでもない感じでしたから……」
リナは 苦笑しながら 野菜ジュースの紙パックにストローを挿し込み 一口飲んだ。

私は、益々 意味が解らず、リナが話し出すのを待っていた。

「西原さん、私の事は本当に ただの会社仲間しか思ってないみたいです」

「…何で?そう言い切れるの?」

「……実は、西原さんと少し メールしてたんです…」

(……なんだ。ちゃっかりしてんじゃん)
「へ、へぇ~、そうなんだ」

私は、顔をひきつるのこらえた。

「だけど……メールの中身も仕事の時とは変わらない 内容だし………私が″メールだけは、タメ口にしましょ″って打ったんです。 それで、タメ口にはなったんですけど、内容が続かないって言うか、それとなく、ドライブ前に意味深な事 メールで言ったんですけど、通じてないし、はぐらかされてるしで……」

リナは 話しを止め、何かを思い出したように 大きくため息を吐いた。

No.38 13/03/10 12:26
自由人0 ( ♀ )

「………何だか、ドライブ行く前に、私の方が疲れちゃいました!………それに、西原さんは″私にとって 優しいお兄さん的存在なんだ″って、気付いたんです!」

リナは スッキリした顔で 私に微笑みかけた。そして 私に一礼をした。

「…紗菜姉さんには、申し訳ないと思ってます。せっかく 応援してくれたのに…」

・・・うっ!心が痛い・・・

私は、罪悪感を感じながら手を横に振った。

「イヤイヤ!私は何もしてないんだから、そこは気にしないで………でも、それでリナちゃんは 良かったの?後悔しないの?」

「はい!後悔してません。告白する前に気付いて良かったなって 自分でも思ってますから!」

リナは 満面な笑顔で応えてくれた。
そして リナは野菜ジュースを飲み干し、少しニヤケた顔で 私に耳打ちをしてきた。

「…でも、松山さんと青井さんは 上手くいきそうですけど…」

私は、少しコーヒーを吹き出しそうになり リナに小声で叫んだ。

「えっ!?そうなんだ!」
(……青井さんの 切り換えは早いけど、助かった!)

私は、驚きながらも 素直にホッとした。


・・・しかし…西原さんて、相当 女慣れしてないのね・・・

私は、リナの話しを改めて思い返した。
(……きっと これは生半可な気持ちで、西原さんに 攻めてもダメって事ね…)

私の中で、何故か解らない 闘志が芽生えた。

No.39 13/03/10 13:42
自由人0 ( ♀ )

・・・運命(?)の食事会の日がきた・・・

服装は 大人しめにしようと決めていた。 女慣れしていなさそうな康成に 胸が開いた 攻めの服装を着ても、通じないだろうと勝手に解釈していた。

香奈枝は私に気を使って、会社仲間に会わないように 市外で食事をすると言う事で、車を出してくれた。

先に私の家まで、迎えに来てくれ、次に康成が待つマンションへと向かった。
マンションの入り口に 康成が 私服姿で待っていた。


・・・初めて 康成の私服を見た・・・

助手席には荷物があるからと 香奈枝は後ろの席へと誘導した。私の隣に来て 康成は笑顔で挨拶をして座った。
香奈枝は少し驚いた顔で 後ろを振り向き 康成の私服姿を眺めた。

「…へぇ~、意外とオシャレなのね♪ その腕時計 結構、ブランド物でしょ?」

「エェ。大学時代にアルバイトして 貯めて買いました」

ブランド物には 全く疎い私には「…へぇ~」と 軽く相づちするだけだった。

(……確かに 西原さんらしい清楚な 私服)

シンプルな服装だが 革靴も高そうな感じだった。
ほのかに香る、 香水。
今まで オシャレに力を入れない男ばかり 付き合ってきた私には 康成の私服が 全て新鮮に感じた。

私と香奈枝が 舐めるように康成の私服を眺めていると、康成は照れくさそうに 髪を軽くかいた。

「…見た目が、こんなんですから、せめて服装だけでも と、思いまして…」

意外に努力している事に 私は感心した。

No.40 13/03/17 17:02
自由人0 ( ♀ )

目的地まで、2・30分位かかるが、仕事、上司の話しが盛り上がり 気が付けば 目的地にある駐車場に着いていた。

私の隣りに、康成が座っている・・・自分の顔が紅くなっているのではないかと思うと なかなか 目が合わせられなかった。

しかし、康成は 私の事には 何も気にしていないかのように いつもと変わらない 会話をしている。

・・・なんだか 見込みなさそう・・・

私は、食事をする前に既に、弱気になっていた。


目的の飲食店に入り、個室のテーブルに 私と康成、向かいの席に香奈枝が 1人座った。
私が、2人の会話に入らず 大人しく座っていると、

「紗菜ちゃん?大丈夫?車酔いした?」

いつもより静かになっている私に 香奈枝は心配そうに 話しかけてきた。

・・・しまった!せっかく 香奈ちゃんが食事のチャンス作ってくれたのに! 暗くなってどうすんのよ!!・・・

私は、自分に言い聞かせ 笑顔で香奈枝に応える。
「ごめん、ごめん!お腹空いちゃって。私、お腹空くと 会話がなくなるんだよねぇ~」

「なんだ。良かったぁ~、紗菜ちゃん 家の子供達と似てるわよ。家の子供達もお腹空くと、口数減るんだよね」

「どうせ、私は、お子ちゃまですよ!」

空気が明るくなり、康成も一緒になり 笑っていた。 そして 康成は優しく微笑んだ。

「本当に、お2人を観ていて 楽しいですね」

私と香奈枝は お互いの顔を合わせ笑いあった。

「初めて会った時から、紗菜ちゃんとは気があったよね?」

「そうね。香奈ちゃんて、誰とも仲良く出来るから、私は、羨ましい限りだけどね」

すると 康成は不思議そうな顔で私の顔を 見つめた。

(……えっ?何!?私 何か変な事言った!?)

私がシドロモドロしていると 康成は口を開いた。

「立川さんて こんな事言うと失礼かもしれませんが、最近、お顔が穏やかになりましたよね」

・・・え?・・・

「…そ、そうかな?……って、前は どうだったのかしら?」

私が 軽く康成を睨むと康成は 少し困惑しながら

「…え~と…正直に言っていいですか?」

私に尋ねてきた。
すると、香奈枝が私の代わりに応えるように 口を開いた。

「いいわよ。この際 ぶっちゃけなさいよ」

私も香奈枝が言うように 顔を縦に頷き

「…私も 気になるじゃない。周りからどう見られてたか……って」

康成は 少し申し訳なさそうに口を開いた。

No.41 13/03/17 18:33
自由人0 ( ♀ )

「…何て言うか、最初に仕事の会話をした時に感じたのは、冷たい感じがしました。
人を寄せ付けない感じで、怖いと言うか………」

・・・アァ~……思い当たるな。あの頃は ピリピリしてたしなぁ~。 原因は勿論、元彼だ・・・

康成は おしぼりで手を拭きながら、更に 話しを続けた。

「でも、今は 前とは全然違う顔されて 本当は優しくて、話しやすい方なんだと解りました」

香奈枝は康成の話しを聞きながら ニヤニヤしながら私の顔を見ていた。
私は、照れる顔を隠しながら 香奈枝の視線を外した。

「…まっ。紗菜ちゃんも色々 あったもんね~」

頼んでおいた飲み物が 席に置かれ 香奈枝は それぞれの飲み物を 手渡ししながら、呟いた。

「それも、過去の事ですから…」

私は、苦笑いをしながら アルコールが入ったグラスを上に挙げた。
そして「お疲れ様」の掛け声で それぞれのグラスを軽くあて 一口飲んだ。

香奈枝は 頬杖を付き 康成の顔を見つめた。

「西原さぁ~、初体験 いつ?」

「えっ!?」

康成は あわや、飲んでいた物を吹き出しそうになるのを口で抑えながら

「えぇ!? それ言わないと ダメですか?」

康成は紅くなりながら おしぼりで口を拭いた。

「いいじゃん。ぶっちゃけついでにさぁ~」

香奈枝は面白そうに 前に身を乗り出した。

「…こらこら。逆セクハラになるわよ………っていうか、初っぱなから早すぎない?そう言う話し………香奈ちゃん、アルコールも飲んでないのに行き過ぎ!」

私は、笑いながら 飲み物を口にした。香奈枝は 嬉しそうに 康成に話しかける。

「…ねぇ、西原が嫌じゃなかったら 紗菜ちゃんのメル友に なってあげてよ」

(なっ、いきなり!?)
私は 香奈枝の早すぎる行動に ただ驚くばかりだった。

「エェ。僕で良かったら 構わないですよ」

西原は携帯電話を取りだしながら 私に身体を向けた。
私は、慌てながら 携帯電話を取りだし、お互いのメルアドと、電話番号を赤外線で 送りあった

・・・半ば 強引になった気もしないけど、香奈ちゃんに感謝・・・

私は、心踊る気持ちを抑えた。

それからは 3人のそれぞれの趣味や 私と香奈枝は実は口が悪い事や 康成は 大学時代は、かなりダサい私服だったなど、過去の話しで盛り上がり あっという間に時間が過ぎていった。

そして、会計を済まし 「この後 どうする?」と香奈枝が話しを持ちかけた。

「アタシは 旦那から0時までに帰る約束してるから もう少し 遊べるけど」

「でしたら、僕のマンションに来ます?僕、1人暮らしなんで、構わないですよ」

康成の意外な言葉に 私は、少し驚いた。

・・・このまま、車で帰って解散するのかと 思ってた・・・

No.42 13/03/17 19:01
自由人0 ( ♀ )

そして、康成のマンションまで香奈枝は 車を走らせた・・・

お酒を飲んだのは 私1人だけだった。かなり酔いがまわってしまった私は、 康成のマンションまでウトウトしていた。

香奈枝と康成の会話が妙に心地よかった。・・・と言うか、やはり康成の声に癒されていた。まるで 子守唄に聴こえる。

車に揺られながら 私は、気づくと 康成の肩に頭を寄せていた。

「…わっ!ご、ごめん! 重かったよね!?」

「僕は大丈夫ですよ。気にしないで下さい。それより 立川さんの方こそ 大丈夫ですか?飲み過ぎました?」

康成は 心配そうに私を見つめる。

「少し 飲み過ぎたかな?マンションでいきなり寝たら、ごめんね」

私が冗談まじりに言うと

「いいですよ。お客様用の布団有りますし。」

康成は 何の迷いもなく笑顔で応えた。

(……冗談通じてない………)

私が苦笑をしていると バックミラーごしに見ていた 香奈枝が笑い出した。

「アハハ!いいじゃん紗菜ちゃん、 泊まっちゃえ♪」

すると、康成は笑顔でさらりと口を出した。

「…女性を泊めるのは 立川さんが初めてになりますけど」


・・・この人………女性を泊める意味 解ってんのかしら?それとも………本当に、深い意味がないってこと?・・・

私は、康成が何を考えているのか さっぱり検討もつかなかった・・・

・・・ただ 香奈枝だけは 面白そうに1人で大笑いをしていた・・・

No.43 13/03/17 20:28
自由人0 ( ♀ )

・・・そして、康成のマンションへと着いた・・・

香奈枝は来客用の駐車場に車を停めた。

康成は マンションの入り口にある 鍵穴に鍵を入れ 自動ドアを開けた。
康成が住む部屋は2階だった。 独り用の部屋は 1階と2階だった。

香奈枝は 辺りを見渡し 康成に質問した。
「…この街では 立派な方よね?家賃高くないの?」

「家族用は、高いみたいですけど 僕らの1人用は、そんなに高くないですよ」

康成は丁寧に応えた。

エレベーターは2階で止まり 康成は自分の部屋の鍵を入れ ドアを開けた。

「…散らかってますけど、どうぞ」

私と香奈枝を 先に部屋の中へと誘導した。

「…お邪魔しま~す」

私と香奈枝は 小声で遠慮がちに部屋の奥へと入った。
部屋の通路の間に トイレと風呂が別にあり 中ドアを開けると 10畳位のワンルームになっていた。

小さなキッチン。食器棚・小さめの冷蔵庫・・・

小綺麗にしてあるが、あまり物が置いていないシンプルな部屋だった。

真ん中に敷いてあるじゅうたんが、やけに肌触りが良かった。

「…適当に座って下さいね。何か飲まれますか?…と言っても お酒はありませんが」

康成はジャケットをハンガーにかけ キッチンへと向かった。
香奈枝は 腰掛け
「…私は、大丈夫よ。紗菜ちゃんは?何か飲む?」

「私も大丈夫よ…それより、このじゅうたん、肌触りが良いのね。何処で買ったの?」

わたしは 肌触りの良い、じゅうたんを触り 康成に質問した。

「それは、親が買ってくれたんで、すみません。何処かは 解らないです」

康成はそう応えると、窓際にある机に向かい パソコンを開き椅子に腰掛けた。

No.44 13/03/18 11:06
自由人0 ( ♀ )

康成は″カタカタ″と慣れた手つきで キーボードに何かを打ち込み パソコンの画面をじっと見つめている。

香奈枝は康成の近くに行き、一緒に何かを調べている様子だった。
どうやら ブランド物の時計や服などを見ているようだった。

私は、そう言う物に全く興味がなく、暫く 2人の会話を聴いていた。

「あっ、これ旦那欲しがってんだよね~、ほらここのデザインが………」

「あぁ~、これ 僕も目をつけてるんですけど、限定物らしくて 手に入らないんですよねぇ~」

2人の話しが盛り上がっている・・・
(……何だか、つまらないなぁ~…)

私は、その場に横たわりウトウトしてしまった。

それに気付いた香奈枝が 壁に掛かっている時計を眺めた。

「おっと、私 帰らなきゃ。紗菜ちゃん アタシ送れないけど どうする?」

「…う~ん…?タクシーで帰るよ…」

私は、眠気混じりに応えた。

「…じゃ!西原、紗菜ちゃん宜しくね」

「あっ、はい。村山さん(←香奈枝の名字)、今日は車を出して頂き有難うございました。 お気を付けて」

康成は香奈枝を玄関まで 送り、扉を閉めた。

・・・・・・・・・・・・。

暫く 沈黙が続き、康成はどうしていいのか解らない様子で 落ち着きがなかった。
そして、遠慮がちに

「…あの…布団………敷きましょうか?」

小声で、問いかけてきた。

(……本当に、女の人 入れた事ないんだわ)

私は、少し面白くなってしまった。

「…大丈夫。少しだけこのまま寝かせてくれる?」

「あ、はい!どうぞ」

康成はタジタジしながら 応えた。

・・・プッ、何だか、可愛い。 このまま寝たふりしちゃおうっと・・・

私は、康成の今後の行動を楽しみながら 寝たふりをした・・・

No.45 13/03/19 21:03
自由人0 ( ♀ )

・・・暫く 康成の行動を薄目で見ていたが 康成はパソコンに向かって、何かを調べていた・・・

そこから 落ち着きなく立ち上がり 物置用のクローゼットを開け 自分用の布団を敷きだし、横になった。
そして、ファッション雑誌を 見始めた。

・・・そこから 康成は ずっと雑誌を見ていた。


(……これは…きっと、明日の朝まで何事もなく、普通に寝て 終わりそうだわね…)

康成の真面目な性格からして いきなり 寝込みを襲うような事はしないだろう。
それに、中途半端な男女関係なんか 彼は求めるわけがない・・・

・・・当然よね。………何 期待しちゃってたんだろ…私………・・・

自分の考えている事に 恥ずかしさを感じ 今起きたかのように 目を擦り、起き上がった。

「…もう 2時になるんだ…帰らなきゃ」

私は、タクシー会社に電話しようと 鞄の中にある 携帯を探した。

康成は 暫く、私の行動を見ていたが 何かに気付いた様に 起き上がった。

「…あ、僕が 電話しますよ。タクシーの番号 控えてますから」

そう言って 棚にある用紙を 取りだし 自分の携帯で タクシー会社に電話をしてくれた。

私は、電話をする康成の横顔を見つめていた。

電話を終えた 康成は私に振り向き 笑顔で

「後、10分後に来てくれるそうですよ」
教えてくれた。

「…う、うん。有難う!助かったわ。ごめんね だいぶ 居座っちゃったね。」

「…いえ…僕は全然 構わなかったですけど…」

康成は照れくさそうに うつむき 黙ってしまった。
私は、沈黙を避けようと口を開いた。

「あ、ねぇ~?本当に、メールしてもいいの?」

「え?エエ!勿論!お願いします。 メールはあまり 慣れてないんで、返信が 遅れるかもしれませんが 絶対、返しますので…」

康成は 笑顔で応えてくれた。

(……え?リナちゃんと メールしてたんだから 結構、慣れてるんじゃないの?)

私は、それを口にしようかと 思ったが 飲み込んだ。

「了解。気長に待ちますね」
そう私は、康成に笑顔で 返事をした。

No.46 13/03/19 21:33
自由人0 ( ♀ )

・・・そろそろ タクシーがマンションに 来ている頃だろうと 私は、 重い腰をあげた・・・

「…外まで 送ります」

そう言って 康成は ジャケットをはおり、ドアを開けてくれた。

「いいのに…外は寒いよ。明日も仕事だし…」

私が申し訳なく 康成に言うと

「気にしないで下さい。本来なら僕が車で送るはずなんでしょうけど…まだ車を買ってなくて…すみません」

康成は エレベーターの階ボタンを押しながら 頭を下げた。

「…それこそ 気にしないで!有難うね」

私は、康成に笑顔で 手を横に振った。
エレベーターに乗り込み、康成は

「また、食事に行きましょうね」

意外な言葉を口にした。 私は、思わず

「そうね。今度はボーリングでもしましょ。香奈ちゃんも一緒に…」

そう応えてしまった。
康成は 苦笑しながら 返事をした。

「…そうですね…」

・・・あ、れ? ″また3人で″って意味じゃなかったの?・・・

私は、頭の中で 沢山の?マークが出ていた。

マンションに出ると タクシーが 既に路駐で待っていた。

「…西原さん。今日は有難うね。お休みなさい」

「はい。また…お休みなさい」

康成は 優しく目を細めた。
そして私は、自分の住所を運転手に 告げ タクシーは出発した。

康成は 暫く走り去るタクシーを見届け 自分の部屋へと帰って行った。

・・・今日は 香奈ちゃんにも助けられたな。取り敢えず 第一段階 クリアって とこかな・・・

私は、嬉しさが混み上がるのを抑えながら 携帯に登録されている康成のメルアドを 眺めていた。

No.47 13/03/22 19:21
自由人0 ( ♀ )

・・・それから、数日たった ・・・

あれから、康成とは 少しだけ距離が縮まった気がしたが さほど進歩していなかった。
メールも私からしないと、康成からメールが来ることはまずなかった。

(……これじゃぁ~、私ばっかり、メールするなんて リナちゃんの二の舞じゃない…)

私は、康成の味気ないメールに 苛立ちを覚え、
少しだけ 康成にメールをするのを止めてみた。

そして、仕事以外の会話を減らしてみた。

・・・推してダメなら 退いてみろ!だわ・・・

私は、賭けてみた。 ・・・これで 康成から何のアクションも起こして来なかったら、それまでの関係だった…それで諦めるしかないと 決めた。

・・・それから 5日後・・・

休日の夜に メールの着信音が 部屋に響いた。
携帯を開くと、そこには・・・康成からのメールだった。

(……やった!作戦成功)

私は、ニヤケ顔で 康成からのメール内容を 読んだ。

『 お疲れ様です。西原です。
最近 仕事以外のお話し してないんで………元気かなと思いましてメールしてみました』

気を使ったメールに 私は、思わず笑ってしまった。

「まっ♪西原さんにしては 頑張った方かな?」

私は、急いで康成に返信をした。

『お疲れ様です。 心配してくれてたの? 有難う♪私は、元気だよ♪ ねぇ?そろそろ メールでの、敬語やめにしない? 西原さんも メールまで敬語使うの 疲れるでしょ?』

すると、数分後に康成からの返信メールがきた。

『了解。立川さんが言うなら そうするよ。
たまに 間違って敬語で打っても 怒らないでね』

素直に受け止めてくれる 康成に私は、ますます 愛しさを感じた。

・・・こんなに、遠回しにアプローチするの 初めてかもしれない・・・

正直・・・男性と付き合う時は 肉体関係からの付き合いが多かった。
だからこそ 康成とのやり取りが 全て新鮮に感じて、楽しかった。



No.48 13/03/22 19:51
自由人0 ( ♀ )

康成から メールがくるようになり 康成のメールに絵文字も入るようになった。前に比べて かなり私に 打ち解けてくれている気がした。

私は、欲が出てきた・・・。

(……西原さんと付き合えたら良いな…)

『もし良かったら、 仕事が落ち着いたら 二人で、食事に行こうよ♪』

私から 男性に食事の誘いをしたのは 後にも先にも 康成だけだった。
数分後、康成からの返信メールが 届いた。

『勿論!行こうよ♪ 僕から紗菜さんを 誘うつもりだったのに 先に言われちゃったよ(((^^;)』

・・・″紗菜さん″ 初めて、康成から下の名前が 打たれていた・・・

康成の声で呼ばれたわけでもないのに 私は、嬉しくて 携帯を胸に 握りしめていた。

(……私って こんなに、単純な女だったけ? 後、少しで30歳だって言うのに…)

自分でも驚く程 胸がときめいていた。
そして、私は、決心をした・・・

来週は バレンタイン・・・

康成に告白をしよう・・・と。



No.49 13/04/14 19:25
自由人0 ( ♀ )

私は、告白する決心をした事を 香奈枝に伝えた。
「告白する」その言葉を発しただけで 顔から火がでそうな程 恥ずかしかった。

真っ赤な顔をした私は、香奈枝の顔を的もに見れず ただ下だけ向いていた。
香奈枝は、ニヤニヤしながら 私の肩に手を置いた

「ったく。あたしに告白してるわけじゃないんだから………今からそんな顔だったら まともに、西原に告白出来るの?」

「…うっ………わ、解んない………」

私は 口許に手をあて 恥ずかしそうに、香奈枝の顔を見つめた。
香奈枝は 私の顔を見るなり 大きく口を開け 笑いだした

「アハハハ。ちょっと!紗菜ちゃん、今何歳よ?
可愛い過ぎるって!! 今まで 男に 告白した事 あるんでしょ? 大丈夫!自信持ちなって!!」

「ないわけないけど…香奈ちゃん、笑い過ぎだよ。 確かに、イイ歳した女が たかが、告白に恥ずかしがるのも、どうかと 思うけど………」

私は 少しふてくさりながら ブツブツと小声で言っていると 香奈枝は 笑いを止め 私の背中を おもいっきり叩いた。

「ごめんっ!! 笑い過ぎた。 あたしは 紗菜ちゃんが羨ましいんだって! 告白するって言う 純粋な気持ちがもてるのが………あたしは 結婚して、この何年間 そんな気持ちにもなってないからさ………」

香奈枝は懐かしそうに 瞳を輝かせた。

「だから、紗菜ちゃんが 告白するって聞いて あたしまで 嬉しくて テンション上がっちゃった。
絶対!上手くいくから!頑張って!!」

「香奈ちゃん………」

・・・香奈ちゃんが そう言ってくれると 大丈夫な気がするよ・・・

やっぱり、友達っていいな。私は、力強く背中を推してくれる香奈枝の存在に 感謝した。

No.50 13/04/14 20:01
自由人0 ( ♀ )

バレンタインデーの前日の夜・・・私は、さりげなく 康也に 仕事が終わる時間帯をメールで聞いた。

康也からの返信には 残業があり 仕事が終わるのは、夜の10時過ぎと あった。

「…残業…最近、多いな。やっぱり、昇格する噂、本当なのかな………」

康也は 誰よりも働き者で、休日出勤までしていた。その目が上司に止まり 康也の事を気に入ったらしく、昇格の話しが 仕事仲間に広まっていた。

・・・昇格したら 転勤になる事は 間違いない・・・

(……そうなれば いつ告白出来るか 解らない。だったら!今しかないよね!)

私は、 気持ちが 揺るがないように 自分に言い聞かせた。

・・・だけど…今、大事な時に 西原さんは 彼女をつくる気持ちなんてあるのかな?・・・

不安な気持ちがよぎった。 告白に失敗すれば 今の関係は 勿論なくなるだろう・・・
前のように 仕事だけの会話をして・・・

そして・・・何事も無かったかのように 西原さんは 転勤して行くんだろうな・・・

(……告白がダメだったら…この先 好きになる男の人は もう、現れないかもしれない………だったら…私は、将来 結婚出来るのかな?…)

ネガティブな気持ちばかりで 私は、なかなか 眠りに つけなかった。仕方なく お酒の力をかりた。

そして、ようやく眠りに就いた。 しかし・・・眠りに就いたのは 夜中の3時過ぎ・・・

勿論 バレンタイン当日は 二日酔いだった・・・




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