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ホラータイトルからのいまじねーしょん集会略してホライマ会

レス195 HIT数 18899 あ+ あ-

ストーリーテラー
13/10/09 22:22(更新日時)

恐い話がスキ❤

だけど、ちょっぴり怖がりさん❤(ちょっぴり?)

な、主です。

別スレ
『ホラー映画のタイトル』
より、主や皆さんが我慢出来ずに、気に入ったタイトルからストーリーを半具体的に半抽象的に(ここ重要!)作成・考案し発表する……

ここはそんなスレです。


注意事項
1,あくまで『ホラー』でお願いします
2,死者の冒涜は、いい事がありません。
3,生々しい表現や、暴力的な表現は、主が怖がるので、抽象的にお願い致します
4,開封後は直射日光の当たらない涼しい場所に保管し賞味期限に関わらずお早めにお召し上がり下さい。
5,仲良くしてね

13/08/31 07:11 追記
※読んで下さり、本当にありがとうございます!

参加してみたいと思ってもらえたらまた嬉しいです(*^_^*)

感想スレは
(感想スレホライマのキモチ)です。

これからもどうぞよろしくお願い致します!!

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No.1878530 12/11/19 12:42(スレ作成日時)

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No.1 12/11/19 14:36
ストーリーテラー0 

ストーリーテラーです(照)

どなたか、
『バッドバースデー』
のストーリーを考えていただけませんか?

No.2 12/11/20 07:59
人気作家2 

『バッドバースデー』


N♀はいつも通りの電車に乗り、仕事先に向かっていた。

いつも通りの朝ではあったが、今日は自分にとって特別な日だった。

しかし、最近は同じ職場にいるストーカー気質のK♂にウンザリして気が滅入っていた。

Kという男は遅刻や無断欠勤も無く、勤務姿勢にこれといった問題は無いのだが

人格の方で
とかく40を過ぎてて女性が絡む話ではひどく幼い感情を見せるのだ。

好きな女性の言葉や話、嗜好品などを片っ端から真似をしては、そんな自分を誇示しているかのようである。

Kは常に他の誰かに依存しては自分をごまかし続け、今日に至っている、そんな印象を受ける。

勤務先のSに対しても以前から不満があった。

Sは複数の派遣会社から派遣社員を大量に雇っている会社なのだが、派遣されてやってくる新人の半分にまともな人間はいない
と感じていた。

NやKもその中の1人ではあるのだが、Kの場合は勤務年数が長く、Nの入社以前からいた長老のような存在だ。

そんなKとは部署は違えど1日に数回会う、全体の流れによっては一緒に勤務しなければならない。

今日も億劫な1日が始まる…

電車K線はK駅に着いた。

No.3 12/11/20 09:41
ストーリーテラー0 

ストーリーテラーです。

早速ありがとうございます✨🎁✨🍰✨

感激です(ToT)


感想スレも立てさせていただきましたので、よろしくお願い致します☆

好き放題言っちゃって~⤴でもたのしくたのしくやさしくね!(歌詞パクりにハマっている様子)

さ~もう一度読もう❤次もたのしみ😁

「(感想スレ)ホライマのキモチ」です。

No.4 12/11/20 09:48
人気作家2 

『バッドバースデー』


Nは小柄で童顔、見た目も可愛いので注目を浴びる存在であるのは間違いないのだが、Nの小悪魔な性格上、男からしつこくアプローチされることも多かった。

その経験から、自然と男のあしらい方も学び、大概の男は手の平の上に治める自信があった。
この会社でも何人かの男をそうやってあしらってもきた。

だが、Kは少し話が違う。

幼さや人に対する依存の度合いが異常で

何も知らない他者を利用してはアピールとアプローチを繰り返す。

たまに注意を促す者がいても
落ち着きなく体を揺らしながら責任転嫁の反論ばかりし、その相手を逆恨みしては、また他の人間を使ってごまかし己を正当化する。

Nと良い雰囲気になる男がいればすぐ嗅ぎ付けて邪魔をする。

周囲にはKに嫌気がさしている者も少なくは無いが、皆まともに相手するのも嫌がり、お互いに厄介者を押し付けるように黙って傍観する状況が長く続いていた。

Kの言動や会社Sをおかしいと思う者は次々と職場を去ってゆく。

去ってゆく者は比較的、真面目な者が多く、少しずる賢いところがあるNにとっては職場内の待遇も悪く無く、給料も良かった。

Nはそんな状況の中にいた。

No.5 12/11/20 12:17
人気作家2 

>> 4 『バッドバースデー』


Nが会社につき更衣室に入ると
いつも一緒に昼食をとる同僚のYがいた。

「お早よー」
「あ、Nちゃん…お早よ」

Yはいつも声が大きく、一方的によくしゃべり、密かに想いを寄せていた男Ⅰからは『うるさい女』と陰口を言われるほど自己顕示欲も強かった。

そのⅠはKの後輩だったのだが
つい最近、職場を去りYはここのところ元気がなかった。

更衣室を出ると隣の男子更衣室から聞き慣れた声が聞こえてくる。

Kだ。

YとKは性格が似ていて仲が良く、仕事中もよくしゃべっている。
が、この2人の間に恋愛感情は考えられず、お互いの欠点をかばい合う関係というのが妥当であろう。

Nは内心、嫌がっていた。自分の情報をYがいつもKに流しているのを。

Kを避けるためサッサと更衣室から離れたかったが、Yが何やらもぞもぞしては話しかけてくる。

「昨日さぁー……なんだけどぉー……🌕🌕さんが…してさぁ…」

ガチャ。

「おっ、Nちゃん」
『げっ、捕まったぁ…』


「お早うございます…」


「Nちゃん、今日は……じゃん。」


「アハ…ハ…」
『いちいちチェックすんな!!』


「今日はNちゃん、誕生日なんだよ。ね?」

No.6 12/11/20 13:28
人気作家2 

>> 5 『バッドバースデー』



「あっ、そーなの?ふぅん」

Kの体がゆらゆらと揺れ始めた。


『Y…また余計な事を…話を変えよ』
「Ⅰさん、なんで辞めたんですかねぇ?」

Kの目つきが変わり、Nを睨み付けた。

Nは知っていた。
ⅠがYとKを嫌い、特にKとは顔も合わせたくなかった事を。
KはⅠに男同士で依存気味だった事も。

NはⅠ本人からも周りの人からも不満や愚痴を聞いていて知っていたのだった。


「知らねぇよ、もう関係無いんじゃん?」
体が揺れ動く。
「NちゃんがⅠ君をイジメたんじゃないの?」


「それは、Kさんでしょ?」


「Nちゃん、腹黒いもんねぇ」


「そう、そう」

「……」
NがKを睨み付ける。

Kは優越感に浸って、うすら笑いを浮かべている。

Nは無言で歩き始め、仕事場へと向かう。
『そんなんだから嫌われるんだよ』

Kは意気揚々としゃべりながらYと共にNの後を付いてゆく。

Kはまだ、何やらグチグチと言っている。

Nは少し振り返って
「Kさんって犬みたいですね。いや、金魚のフンかな?」

Nは日頃から思っていた事を吐き出してしまった。

Nはまた歩き出す。
背中から怒りの視線を感じる。

No.7 12/11/20 16:07
人気作家2 

>> 6 『バッドバースデー』


その日は仕事がはかどり、Nは気分が良かった。
昼が過ぎ、もうすぐ3時の休憩時間になる。

『Kとは、しばらく口をきかず、会っても目を合わせないでおこう』

『それにしてもYはどうしたんだろう?いつもは社員食堂でお昼食べるのに…外食なんて珍しい。それに昼から姿見てない…。』

「ねぇ、🌕🌕さん、Y知らない?」
「あー、お昼に1度戻って来たよ。
体調悪いからって帰ったみたい」

…?

3時になりNはタバコを吸いに喫煙室に向かった。

喫煙室は階ごとにあり、4Fの喫煙室には同じ部署の喫煙仲間も何人か集まるし、Kもそこにはあまり姿を現さない。


『あれ?誰も居ない…。電気も付いてない。節電で誰かが消したのかな。』

Nは電気を点けようとしたが、すぐに手を止めた。

暗い部屋の隅に誰かが居る。
しゃがんでこちらを見ている。

目を合わせてはいないものの、それはすでに視野の中に入っていた。

Nはゆっくりと後ずさりしながら部屋を出た。

それに合わせて中に居た人物も動き始めた。

Nは足早に廊下に出て仕事場に戻ろうとする。

1度、振り返って見ると扉の間から顔の一部と目が見えた。
『Kさん?』

No.8 12/11/20 17:06
人気作家2 

>> 7 『バッドバースデー』


仕事が終わり、Nは帰る準備をしていた。

いつからか雨が降り始め、雨風が強くなっていた。
『予報では夜に台風が接近するって言ってたっけ。
電車が止まってしまう前に帰ろう。
Yは良い頃合いに帰ったな…』

急ぐ途中、パートで働くおばさん達の会話が聞こえてきた。

「Yちゃんって……は……るのよ」
「え!?そうなの!?」
「………よねぇ。」

『えっ?』
Nは足を止めた。

Nに気付いたおばさん達は会話をやめ、

「あらNちゃん、お疲れ様~」

「お疲れ様です…」
『何を話してたんだろう?微かに聞こえたのが……何だっけか?』


Nは駅に向かって急いだ。
電車はまだ止まっておらず、自宅までいつも通りに帰れそうだった。

電車に乗り、座席に座ってしばらくするとNは眠気に襲われ寝てしまっていた。

そして妙な夢を見た。

Kが誰かを殴ったり、蹴ったりしているのだ。相手は女性のようだ。その女性と目が合いゾッとしたところで目が覚めた。

『うぅ~ん、なんか今日…怖い』

電車は丁度、降りる駅に着き、Nは傘をさして自宅に向かった。

Nは兄と2人暮らしで、兄はいつも夜遅くに帰って来る。
夕飯はいつも1人だった。

No.9 12/11/20 17:59
人気作家2 

>> 8 『バッドバースデー』


でも、今日はNにとって特別な日なので、軽く食事を済ませ兄の帰りを待った。

今朝、兄がケーキを買って帰ってくると言ってくれたのだ。

テレビを見ながらNは今日の事を思い出していた。

『Kが変なのはわかるけど、Yはどうしちゃったんだろう?大丈夫かな?』

『それにパートのおばさん達が話してた事…』


『思い出した!』
『妊娠…だ!!』

「Yちゃんって……は……るのよ」


ピンポーン…

Nはビクッとした。

『兄が帰って来たにしては早い…。気を付かって早く帰って来てくれたのかな?』

Nはインターホンに出た。

「はーい?」


「…………。」


『兄じゃない!』
「誰?」


「誕生日…おめでとう…」


- 終わり -

No.10 12/11/21 11:34
ストーリーテラー0 

ストーリーテラーです。

どなたか、

『近道』の妄想発表して頂けませんか?

No.11 12/11/23 15:13
人気作家2 

>> 10 『近道』ー前編ー


夏の夕暮れ時の公園。
人もまばらな公園の片隅に一匹の灰色の猫がいた。

その猫は近くの神社に住みついていて、いつも公園に来ては近くに住むお年寄りや子供から食べ物をもらっていた。

そんなある日のこと。

公園の前の道を自転車で走ってゆく少年の姿があった。
少年は注文していた本を買いに出掛け、その帰りだった。

「しもたぁ。だいぶ遅くなってしもうたぁ。」

「ハァハァハァ…」
少年はスピードを緩め
『……あの道を通るか…』

そう思うと、神社の方へと走りだした。


自宅まではあと20分かかるところを、その道を通れば10分以内には帰宅出来る。

この道は少年を含め、近隣の住民はあまり通りたがらない。

この神社では過去に不審な事件が何度かあり、日が落ちれば人も通らず、木々に覆われていて昼間でも薄暗く気味が悪い。
山に近いため道も舗装されてはいなかった。


灰色の猫は少年の後ろ姿をジーっと見送り、少年の姿が見えなくなると、ゆっくりとどこかへ歩き始めた。

辺りは静まり返り、人の気配も無く、風が吹いてはブランコの
「キィ…キィ……」
という音だけが響いていた。

No.12 12/11/24 16:52
人気作家2 

>> 11 『近道』-後編-


徐々に空が暗くなり、少年は自転車のライトを点けた。

神社の入り口にさしかかった時、

『ん!?』

社へ向かう階段に見知らぬ老人が腰を掛けている。

少年は急いでいるのも忘れて一旦停まりそちらを見ると、老人は少年に向かってゆっくりと手招きをしている。

少年は近寄ろうと自転車を降りたが、不意に背後から猫の鳴き声が聞こえたような気がして振り向いた。
しかし、猫などどこにもいない。

少年は以前飼っていた猫を思い出した。
ある日、姿を見なくなり、その数日後に変わり果てた姿で神社の境内で見つかった事を。

ジャリッ…ジャリッ…
『ハッ!!』
と少年は老人の方に目をやる。

老人がこちらへと歩いて来ている。
手には包丁のような物を握りしめて。

少年は声も出ず、急いで自転車に乗り、こぎ始めた。
ジャリ…
ジャッ、ジャッ、ジャッ…
後ろから老人が追いかけて来た。

少年は自転車を必死にこいだ。

足音は徐々に遠くなり、逃れたと実感できる位には引き離した。

そこで一度、振り返ってみたが老人の姿はもうない。
家に帰った少年は、ある物を落とした事に気付かなかった。

翌朝、郵便受けには昨日買った本が…。

No.13 12/11/24 23:01
ストーリーテラー0 

ストーリーテラーです。


どなたか、
「逢えない隣人」
の妄想発表して頂けませんか?

No.14 12/11/25 21:04
自由人14 ( ♀ )

>> 13 茶の間のおばさん19です(・ω・)ノ

下手くそですがどうぞよろしくm(__)m

『逢えない隣人』

主人公⇒雪子32歳既婚者
旦那、子供(小5♂)、の三人家族


雪子の住まいは賃貸アパート。

全6世帯、部屋は一応3LDKだが築20年の古アパートである。

案の定隣の物音や話し声は微かであるが聞こえる。

雪子は常日頃からわんぱく盛りの我が子の笑い声や叫び声が、隣に迷惑じゃないか気にしていた。

ある日、パートから帰って来た雪子が目にしたものは隣の部屋の全ての窓が開いている状態だ。

率直に「うわっ!なにしてんの?部屋ん中丸見えじゃん!」と雪子は思ってしまったが、不思議な事に2階の部屋のせいかあまり中がよく見えない。

あまりジロジロ見るのも気が引けて、雪子は早々に自宅に入った。

自宅に戻ってからふと、ある事に気付いた。
『そう言えばお隣さんって会った事ないな〜』と。

雪子の家族は入居して3年ほど。雪子達が入居した時は隣は30代くらいの独身男性が一人で住んでいたが、一年後ぐらいに退居していった。

その後3ヶ月ぐらい空き部屋だったが、いつの間にか隣から物音がするようになり雪子も『あ〜、隣入ったんだ』ぐらいにしか思ってなかった。




続く……かな?

No.15 12/11/25 21:36
自由人14 ( ♀ )

>> 14 『逢えない隣人』

続きです(・ω・)ノ

約1年半以上お隣の顔を見てない事に気付いた雪子は少し怖くなった。

男性か女性か、一人暮しかどうかも全く分からない。

雪子達家族は引っ越して来た時、隣と階下の人には一応挨拶しにいった。

今の隣の住人は挨拶にこなかった。

今まで特に気にしていなかったが、一度も会った事がないなんてやっぱりおかしいと思い始めた。

いないことはない。だって毎日物音が聞こえるから。

気になるような大きな物音はしないが、壁に何かぶつかるような音、CDか何か音楽(割とテンポのいい、今時の歌)も聞こえてくる時もある。

特に迷惑に思う時間帯には殆ど物音はしない。

そう!なにも問題の無いお隣さんなのだ。

だから雪子は今迄
何も気にしなかった。逆に我が家を迷惑に思われてないかとずっと思っていた。

しかし今日は初めてお隣さんが気になった。

『一体どんな人なんだろう?一人暮らしかな?男性?女性?』

悶々としていると玄関のドアが開いて「ただいまー!」と息子が帰ってきた。

「おかえりー!」といつも通り息子を迎えてあげると、息子の隣にもう一人男の子が…,。




続く……といいな〜(;^_^A

No.16 12/11/25 22:23
自由人14 ( ♀ )

>> 15 『逢えない隣人』

続きです(・ω・)ノ

息子の隣に息子と同い年ぐらいの男の子。

息子の同級生は殆ど知っている。でもその子は見たことが無い。『誰?』…

雪子は息子に『その子誰?』と聞こうとしたのだが、その前に息子から「ママー!今日レン君とウチで遊んでいい?」と言われた。

「レン君?えーっと何年生の子だっけ?」と息子に聞くと「ママ〜何言ってんの?同級生でしょ?お隣のレン君だよ!ボケてんのママ?」

…今、なんと? え? お隣? 同級生?

雪子は訳がわからなくなり、息子に改めて聞いた。

「お隣のレン君っていつからお隣だったっけ?」

何を言っているのか自分でもおかしいと思いながら息子の返事を待つと息子は

「はぁママ何言ってんの?ずっと前からいるじゃん!いつも朝一緒に学校行ってるの知ってるでしょ?もうホントウザいよ〜。部屋で遊ぶからじゃあね!」と二人で部屋に入っていった。

雪子は混乱の中にいた。ずっと前から? 毎朝一緒?
…あり得ない!だって毎日息子は私と一緒に家を出るから。

私のパート出勤と息子の通学時間が一緒なので、いつも一緒に家を出て途中まで一緒に行ってその後息子は仲のいい友達と通学している。

そして今迄その中に『レン君』と言われる子は見たことが無い。

一体誰?…お隣?…えーっ⁉ お隣に子供がいたの?

いや、それより息子は何故その子と毎朝一緒とか訳わかんない事言うの?

雪子は不安な気持ちになり息子の部屋をノックした。

中から息子が「な〜に〜?」と面倒くさそうに返事した。



続く……と思います(;^_^A

ちょっと煮詰まってます(~_~;)
しばらく間が空いてしまいます。
申し訳ないm(__)m

No.17 12/11/26 00:02
自由人14 ( ♀ )

>> 16 『逢えない隣人』

続きです(・ω・)ノ

息子の部屋のドアが開いた。

「はい、おやつ持ってきたよ。レン君と仲良く食べなよ」と無理やり口実を作って雪子は息子の部屋を見渡した。

そこにはキョトンとした息子一人がおり、その息子が一言「レン君て誰?」

えっ!だって今一緒に部屋に入ったじゃない!しかも息子自身の口から同級生でお隣だと….。

「あなた今お友達連れてきたでしょ?レン君っていうお隣の子。」

雪子は少しヒステリックな口調で息子に問いただした。

息子は少し身を引きながらもハッキリと「俺一人で帰ってきたけど。お隣にレンって子いるの?俺見たことないけど。」

どういう事これは?雪子は何が何だか訳がわからなくなった。

私がおかしいの?いやでも確かににレン君はそこに居た。

だって息子の口からレン君って名前が出てきたのだから。

お隣だとも,。…お隣?

そうだ!隣に行ってみよう!さっき窓が全開だったから絶対誰かいるはず!

雪子は大急ぎで玄関を出て隣のドアの前でインターホンを鳴らし続けた。

誰も出てこない。

そうだ!窓が開いていたから窓側から声を掛けてみよう!…と思い雪子はアパートを回り込んで二階の窓を見た。

窓は閉まっている。

いつの間に…。

雪子はまた玄関に戻りインターホンを鳴らした。

すると階段の方から丁度大家さんが上がってきた。

「あらどうしたの?」と大家さん。

「大家さん、うちのお隣さんってどんな方なんですか?」と少し青ざめた雪子。

そして大家さんの口から出た言葉は雪子を振るい上がらせた。

「お隣はずっと誰も入ってないわよ」

えっ?まって大家さん。そんなはず無い。だって…だってうちは二階の端っこの部屋だから隣以外から物音はしないはず。

階下からの物音はまた別に聞こえてくる。

いや、あきらかに隣からの物音としか思えない。壁に何かがぶつかったような音とか。

どういう事?そうだ!窓!窓が開いていた!「大家さん!さっき隣の窓全部開いてたんですよ!誰か勝手に中にいるんじゃないですか?だってウチに隣の物音も聞こえてきますよ!」

雪子は必死に大家さんに訴えた。

大家さんは雪子の顔を怪訝に覗き込みながらハァ〜と溜息をついた。

そして苦虫を潰したような顔でぽつりぽつりと話始めた。

「悪かったね黙ってて。でもやっぱり言わなきゃいけなかったね。実はこの部屋は前の住人も部屋に誰かいるみたいで気持ち悪いって言って出て行ったんだよ。こっちは他の住人に知られたくないから“なにバカな事言ってんの!変な難癖つけるなら出て行ってもらうよ。”って言って出ていってもらったんだよ。でも本当はもっと前から色々言われてたんだよ、この部屋。」

なに?何言ってるの大家さん?

雪子はただただ恐怖だけがこみ上げてきた。




続く……はずです(;^_^A

今度はホント煮詰まった(~_~;)
マジヤバい。
しばしお別れです。
失礼…ドロン‼

No.18 12/11/26 01:14
ストーリーテラー0 

ストーリーテラーです。

どなたか、
「キミ・カ・ワ・イ・イ・ネ…」
の妄想発表して頂けませんか?

※茶の間のおばさんさん、
「逢えない隣人」
続き、待ってますからね!!!

No.19 12/11/26 12:45
自由人14 ( ♀ )

『逢えない隣人』

続きです(・ω・)ノ

「大家さん、どういう事ですか?本当に誰も入居していないんですか?だって毎日人のいる気配がするんですよ。変な冗談止めて下さいよ〜。」

雪子はどうしても信じられなかった。

大家さんは雪子を宥めるような目で語りだした。

「もう10年程前の事なんだけどね。この部屋にはお宅と同じような家族が住んでたんだよ。ある日その家族の旦那さんが浮気して出ていっちゃってさ。奥さんと子供が無理心中しちゃったんだよ。可哀想にね、子供まで道連れにされてさ〜。」

雪子はもう聞きたくないと思いつつ、その場から動く事が出来なかった。

大家さんはタガが外れたようにポンポンと話を続ける。

「その後2年程はこちらも気が引けて誰も入居させなかったんだよ。でも流石にこっちも大変だからさ、部屋改装してお祓いもしてもらって入居者募集したんだよ。それですぐに独身の女の人が入ってくれたんだけど、2ヶ月で出ていっちゃってさ。」

雪子はもう泣きそうな気持ちで自宅に帰りたかったが、どうしても体が動かない。

大家さんは遠慮なく話を続ける。

「その時はここに住めなくなったので出ますって理由しか言わなかったから、仕事の都合か何かかと思って深く聞かなかったの。でもその後に入った若い夫婦が入ってすぐぐらいに旦那さんが変な事言い始めてね」

いやいや!もう聞きたくない‼

雪子は体を動かそうと必死にもがいた。だかまるで何かに体を押さえつけられているように全く動けなかった。




続く……といいなぁ(;^_^A
主さんすみませm(__)mなかなか結末までいかなくて(;^_^A

もう少々このへたっぴな文章にお付き合い願えたらと思いますm(__)m

またしばらくお休みします。
失礼…ドロン‼

  • << 21 『逢えない隣人』 続きです(・ω・)ノ 大家さんは雪子の様子を気にも止めず更に若夫婦の話を続けた。 「その旦那さんが夜に仕事から帰って来ると、奥さんが待ってたんだけど、奥さんと違う誰かの声で“おかえり”って聞こえたらしいの。最初は隣の声でも聞こえたかと思ってたんだって。でもそのうち何時に帰宅しても奥さんの“おかえり“の後に違う声で“おかえり”って聞こえるらしいの。」 雪子はもう体を動かそうとするのを諦めていた。これ以上聞きたくないと思っていた大家さんの話も、雪子の思いと裏腹に全て脳裏に残ってしまった。 そして雪子にはその“おかえり”の声の主がわかっていた。 『レン君だ。レン君が出ていったお父さんの帰りを待っているんだ。』 雪子はまだ話し続けようとする大家さんの言葉を遮り少し大きな声で尋ねた。 「大家さん!どうしても知りたいのですが、無理心中したお子さんの名前わかりますか?」 大家さんは自分の話を遮られた不満を持ちつつも雪子の青ざめた真剣な顔つきに圧倒され、自分の記憶の引き出しを引っ切り無しに引っ張った。 そして… 「思い出した!確か“レン“って名前だよ!お母さんがよく2階の窓から外の子供を呼んでたもん。自然と覚えちゃったよ。」 やっぱり…。 そう思った瞬間、今迄必死で動かそうとしてもピクリともしなかった足がふわりと軽くなり、自然と自宅に向かい2.3歩、歩いていた。 流石に大家さんも雪子の状態が不安になり 「ごめんね、今迄黙ってて。こんな話住人にしたくなかったんだけど、やっぱり隠し通せなかったね。」 「あの部屋はやっぱり何かいるのかね〜。お宅に物音がするってどんな感じなの?」 雪子は焦った。 さっき息子が連れてきた『レン君』は何か訴えたいことがあるのだろうか? 何故、窓は全開だったのだろうか? 隣から物音は確かにした。だが嫌な感じでは無く、普通の生活音。迷惑に思う程でもない。 体が自由に動くようになった雪子は気持ちも少し落ち着き、自分に冷静になるように言い聞かせ、とりあえず大家さんの問に答える事にした。 続く……いつ迄? はぁ疲れました。 理由はホライマ感想スレにて(;^_^A もう少しで終了です。頑張ります*\(^o^)/*

No.20 12/11/26 18:27
自由人20 

読ませていただいてます(^-^)
私も書けるように頑張ります!

  • << 31 茶の間のおばさんです(・ω・)ノ 自由人20さん、読んで頂いてありがとうございますm(__)m お礼が遅くなり申し訳ありません。 やっと完結しました\(^o^)/ 今度、是非自由人20さんの小説を読ませて頂いたらと思います(・ω・)ノ
  • << 32 20さん!はじめまして❤ 逢えない隣人 ついに終わりましたよね! どでした!?どでした!?(笑) 次のタイトルからのストーリー投稿がめでたく♪開始されたら、次のタイトル予告したいと思います。 心に『ガッツン』くるタイトルが出てきたら発表しに是非是非来てくださいね! ※私の好みのタイトルばかりではアレなんで(どれ?)皆さんの声も聞かせてくださいね! ゆったり待ってます❤

No.21 12/11/26 23:41
自由人14 ( ♀ )

>> 19 『逢えない隣人』 続きです(・ω・)ノ 「大家さん、どういう事ですか?本当に誰も入居していないんですか?だって毎日人のいる気配が… 『逢えない隣人』

続きです(・ω・)ノ

大家さんは雪子の様子を気にも止めず更に若夫婦の話を続けた。

「その旦那さんが夜に仕事から帰って来ると、奥さんが待ってたんだけど、奥さんと違う誰かの声で“おかえり”って聞こえたらしいの。最初は隣の声でも聞こえたかと思ってたんだって。でもそのうち何時に帰宅しても奥さんの“おかえり“の後に違う声で“おかえり”って聞こえるらしいの。」

雪子はもう体を動かそうとするのを諦めていた。これ以上聞きたくないと思っていた大家さんの話も、雪子の思いと裏腹に全て脳裏に残ってしまった。

そして雪子にはその“おかえり”の声の主がわかっていた。

『レン君だ。レン君が出ていったお父さんの帰りを待っているんだ。』

雪子はまだ話し続けようとする大家さんの言葉を遮り少し大きな声で尋ねた。

「大家さん!どうしても知りたいのですが、無理心中したお子さんの名前わかりますか?」

大家さんは自分の話を遮られた不満を持ちつつも雪子の青ざめた真剣な顔つきに圧倒され、自分の記憶の引き出しを引っ切り無しに引っ張った。

そして…

「思い出した!確か“レン“って名前だよ!お母さんがよく2階の窓から外の子供を呼んでたもん。自然と覚えちゃったよ。」

やっぱり…。

そう思った瞬間、今迄必死で動かそうとしてもピクリともしなかった足がふわりと軽くなり、自然と自宅に向かい2.3歩、歩いていた。

流石に大家さんも雪子の状態が不安になり

「ごめんね、今迄黙ってて。こんな話住人にしたくなかったんだけど、やっぱり隠し通せなかったね。」

「あの部屋はやっぱり何かいるのかね〜。お宅に物音がするってどんな感じなの?」

雪子は焦った。

さっき息子が連れてきた『レン君』は何か訴えたいことがあるのだろうか?

何故、窓は全開だったのだろうか?

隣から物音は確かにした。だが嫌な感じでは無く、普通の生活音。迷惑に思う程でもない。

体が自由に動くようになった雪子は気持ちも少し落ち着き、自分に冷静になるように言い聞かせ、とりあえず大家さんの問に答える事にした。




続く……いつ迄?

はぁ疲れました。

理由はホライマ感想スレにて(;^_^A

もう少しで終了です。頑張ります*\(^o^)/*

No.22 12/11/27 00:38
自由人14 ( ♀ )

>> 21 『逢えない隣人』

続きです(・ω・)ノ

「はい、確かに毎日普通に誰かが生活しているような物音してました。でも決して不快な感じじゃなかったですよ、逆にウチの方がうるさくないかなって思うぐらいで。」

雪子の話を聞いた大家さんは大きな溜息をついた。

「私はなんて言うか…。霊とかそういうのは全然信じない方なんだよ。だから今迄の住人の話は殆どいい加減に聞いてたんだよ。だけど今日初めてお宅さんから隣の部屋に誰かいるような事言われてさ〜。今迄隣の部屋の人からは何も言われなかったのに、流石に私も何かいるのかと思っちゃったよ。」

大家さんは少し悲しそうな顔をした。

雪子もまだ自分の見てきた事が信じられない。

あの『レン君』は本当に“霊”だったのか?何故、息子についてきたのか?

そして雪子はもう一つの疑問、隣の部屋の窓が全開していたが中がハッキリ見えなかった事を大家さんに告げた。

そして気が付けばもう辺りは薄暗くなってきていた。

大家さんも我にかえったように雪子に対してバツの悪い顔をして「この話は他の住人さんに絶対言わないでね。お願いよ!また明日お話しましょ。あらっ!うっかりしてた。私、回覧板持って来てたんだわ。はい、これ。じゃまた明日ね。」

「はい、誰にも言いません。また明日お願いします。」

雪子は回覧板を手に自宅に戻った。

自宅に戻った途端に体中の力が抜けて雪子は玄関でへたり込んでしまった。

『はぁ、一体なんだったんだろう。』

最初の恐怖は何処かに消え去り、謎だけが雪子の頭の中に残ってしまった。





続く……あと本当にちょっと(;^_^A

  • << 24 『逢えない隣人』 続きです(・ω・)ノ 雪子はふうっと一息つき立ち上がったと同時に息子が部屋から出てきた。 「ママ〜。今日はおやつ多かったけど全部食べちゃったよ。」 そうだ、おやつ二人分用意したんだ。やっぱり私は『レン君』を見ている。 …雪子はまた少しづつ恐怖心が戻ってきた。息子の様子はいつもと変わらず『レン君』の事はやはり記憶にないようだ。雪子はこのまま余計な事は言わず、息子に何事も無かったように接した。 「うん。今日は夕飯簡単にするからおやつ大目にしておいたの。ごめん、ママ少しテレビ見て休んでるね。ご飯少し遅くなるけど大丈夫だよね?」 「うん別にいいよ。俺、部屋でゲームしてるからご飯できたら呼んでね。」 雪子はうな垂れるように部屋のソファに横になった。テレビはずっと付けっ放しだった。丁度夕方のニュースをやっていた。雪子はボーッと見ていたがニュースの内容は殆ど頭に入っていなかった。 少し休んで夕食の準備をしようと考えていたが、出来れば何もしたくなかった。鬱々とした気持ちでテレビを見ていた雪子はビクッとなって飛び起きた。電話が鳴ったのだ。 心臓がバクバクなった状態で雪子は電話に出た。 「はい、もしもし」 「あ〜俺。」旦那だった。「なに、どうしたの。」「今日遅くなるわ。」「なんで⁉」「なんでってニュース見てないの?」「えっ?見てたけどなんかあった?」「さっき俺の利用してる電車で人身事故あったみたいで、電車動いてないんだよ。参っちゃうよな〜。いつ動くかわかんねぇし。あっ!今日飯いいや。こっちで済ますよ。じゃそういう事でよろしく。」 用件だけ言って電話は切れた。 うそでしょ!なんでよりによって今日なの?雪子は泣きそうになった。勿体無いけど今日だけはタクシーでいいから少しでも早く帰って来てほしかった。 雪子はそう伝えようと受話器を持とうとした手を止めた。 訳をはなしても信じてはくれないだろう。 雪子は腹をくくり、何が起きても息子だけは守ろう…と心に決めた。もう色々考えても何もわからないのだから、考えるのも止めよう。開き直ると少なからず恐怖心は減った。 その日の夕飯は息子の好きなカルボナーラで済ませた。 雪子は隣から物音がするか気にはなったが、いつもよりテレビの音を大きくして、出来るだけ気にしないようにした。だがそれは無理な話。テレビは見ているが全く内容は入ってない。気付けば隣に耳を澄ましている。 もう早く寝てしまいたかった。 隣からは物音はきこえなかったが、雪子はどうしても落ち着く事が出来なかった。 時計は22時になっていた。まだ旦那は帰って来ない。いつもは20時には家にいるのに。 雪子は何とか寝ようと少しお酒を飲んだ。お酒に弱い雪子は30分後、見事にベッドに横になっていた。 続く……( ´Д`)y━・~~

No.23 12/11/27 12:03
人気作家2 

ひと休み小説
(読み切り)


知り合ったばかりの4人が異次元の世界へと飛ばされたお話。

「ここは…?」

そこはロールプレイングゲームの世界だった。
パーティーは

ストーリーテラー
人気作家
茶の間のおばさん
自由人

訳も解らぬ内に敵らしき妖術使いが現れ、魔法の呪文を唱えた!

すると、人気作家は混乱し、ストーリーテラーを欲情の眼差しで見つめ、押し倒した。

ストーリーテラー
「あ~れ~😱ダメよ、ダメダメ❤」

呆気にとられる茶の間のおばさんと自由人。


茶の間のおばさん
「おいおい…
こんな時にコイツら何をやっとんじゃ!」

自由人
「………。」

たまらず茶の間のおばさんは、滅びの呪文
『どげにゃせんとイカン』
を唱えた!

すると、空間が歪み始め4人は気が付くと現実の世界に戻っていた
とさ。

めでたしめでたし。
ー 完 ー

No.24 12/11/27 21:30
自由人14 ( ♀ )

>> 22 『逢えない隣人』 続きです(・ω・)ノ 「はい、確かに毎日普通に誰かが生活しているような物音してました。でも決して不快な感じじゃ… 『逢えない隣人』

続きです(・ω・)ノ

雪子はふうっと一息つき立ち上がったと同時に息子が部屋から出てきた。

「ママ〜。今日はおやつ多かったけど全部食べちゃったよ。」

そうだ、おやつ二人分用意したんだ。やっぱり私は『レン君』を見ている。

…雪子はまた少しづつ恐怖心が戻ってきた。息子の様子はいつもと変わらず『レン君』の事はやはり記憶にないようだ。雪子はこのまま余計な事は言わず、息子に何事も無かったように接した。

「うん。今日は夕飯簡単にするからおやつ大目にしておいたの。ごめん、ママ少しテレビ見て休んでるね。ご飯少し遅くなるけど大丈夫だよね?」

「うん別にいいよ。俺、部屋でゲームしてるからご飯できたら呼んでね。」

雪子はうな垂れるように部屋のソファに横になった。テレビはずっと付けっ放しだった。丁度夕方のニュースをやっていた。雪子はボーッと見ていたがニュースの内容は殆ど頭に入っていなかった。

少し休んで夕食の準備をしようと考えていたが、出来れば何もしたくなかった。鬱々とした気持ちでテレビを見ていた雪子はビクッとなって飛び起きた。電話が鳴ったのだ。

心臓がバクバクなった状態で雪子は電話に出た。

「はい、もしもし」
「あ〜俺。」旦那だった。「なに、どうしたの。」「今日遅くなるわ。」「なんで⁉」「なんでってニュース見てないの?」「えっ?見てたけどなんかあった?」「さっき俺の利用してる電車で人身事故あったみたいで、電車動いてないんだよ。参っちゃうよな〜。いつ動くかわかんねぇし。あっ!今日飯いいや。こっちで済ますよ。じゃそういう事でよろしく。」

用件だけ言って電話は切れた。

うそでしょ!なんでよりによって今日なの?雪子は泣きそうになった。勿体無いけど今日だけはタクシーでいいから少しでも早く帰って来てほしかった。

雪子はそう伝えようと受話器を持とうとした手を止めた。

訳をはなしても信じてはくれないだろう。

雪子は腹をくくり、何が起きても息子だけは守ろう…と心に決めた。もう色々考えても何もわからないのだから、考えるのも止めよう。開き直ると少なからず恐怖心は減った。

その日の夕飯は息子の好きなカルボナーラで済ませた。

雪子は隣から物音がするか気にはなったが、いつもよりテレビの音を大きくして、出来るだけ気にしないようにした。だがそれは無理な話。テレビは見ているが全く内容は入ってない。気付けば隣に耳を澄ましている。

もう早く寝てしまいたかった。

隣からは物音はきこえなかったが、雪子はどうしても落ち着く事が出来なかった。

時計は22時になっていた。まだ旦那は帰って来ない。いつもは20時には家にいるのに。

雪子は何とか寝ようと少しお酒を飲んだ。お酒に弱い雪子は30分後、見事にベッドに横になっていた。




続く……( ´Д`)y━・~~

No.25 12/11/28 22:15
自由人14 ( ♀ )

>> 24 『逢えない隣人』

続きです(・ω・)ノ

目覚めた雪子は真っ暗な中、時計を見ると4時を少し過ぎていた。

『あたし寝てたんだ。やだ!パパ帰ってきたのかな?』とふっと横を見ると旦那が丸まって寝ていた。帰って来たのも気づかないぐらい熟睡していたようだ。

我ながら図太い神経していると呆れた。そう思うと同時に息子の事を思い出して慌てて息子の部屋を覗いた。

息子は大の字になってグッスリ眠っていた。『良かった。無事だった。』

本当に呆れてしまう。息子だけは何があっても守ろうと決めたのに、自分が恐怖から逃れる為に飲めないお酒まで飲んで寝てしまうなんて。

自己嫌悪に陥りながら雪子は玄関に向かった。昨日、その場に回覧板を置きっ放しにしていたさらだ。

回覧板…。『そう言えば回覧板、私お隣に回してたけど居ないのに何故次に回ってたの?』

雪子の住んでいるアパートは皆、わざわざ手渡ししないで玄関先に置いて回覧板を回していた。

『きっとそのお隣さんが黙って取りに来てたのかも。悪い事しちゃったな』雪子はもう深く考えるのが嫌だったので勝手にそう決めつけた。事実はわからないが…。

昨日の疲れかお酒を飲んだせいか、雪子は頭痛がしていた。そのせいもあって考えるのが嫌なのだ。

まだ日の出まで間があるが、雪子はそのまま起きて小さな音でテレビを見始めた。早朝の番組はニュースと情報番組しかやってなく、雪子はまたボーッと見ているだけだった。すると昨日の人身事故のニュースもやっていた。

身元がわかったようで40代男性で、自殺との見方だった。

なんだかな〜と思い、雪子は大きく溜息をついた。そしてキッチンでコーヒーにミルクたっぷり入れて一口飲んだ。
少し頭痛がするがスッキリ目が覚め、昨日の事をゆっくり思い出してみた。

やっぱりどうしても『レン君』の存在が気になった。息子について来て何がしたかったのか?息子に対して何か思うところがあるのか?しかしどう考えても息子と接点が無い。雪子はとにかく息子に危害が及ばない事を願った。

そのうち夜が明け辺りが明るくなってきた。息子も旦那もまだ夢の中のようだ。さて、旦那に話して信じてもらえるだろうか?雪子は悩んだがとりあえず今日、大家さんと話してから夜に旦那に話そうと決めた。

いつも通りの朝を過ごし旦那にお弁当を渡そうとした時、「どうしたの?顔色悪いけど、風邪でも引いた?熱あるんじゃない?」と旦那がおでこをさわってきた。

「おい〜熱あるぞ。ちゃんと熱計ってみろ。」と言われたので計ってみると38度5分あった。雪子はまさかって思ったが確かに頭痛もしていたからどうやら風邪を引いてしまったようだ。

「今日はパート休んで家でゆっくりしてろ。辛いようなら病院行けよ。タクシー使ってもいいから。」雪子は言われた通りにしようと思った。風邪じゃなくても今日は気分的に仕事が出来そうにもなかったから。

息子を送り出して、雪子はベッドで横になった。熱があり頭痛もするのだが、風邪のような気だるさはあまりなかった。しかし今日は後で大家さんと話もあるし、とりあえず解熱剤を飲んで少し休んでおこう。




続く……(O_O)

No.26 12/11/28 22:55
自由人14 ( ♀ )

>> 25 『逢えない隣人』

続きです(・ω・)ノ

解熱剤の効きめか雪子はまた少し眠っていた。

インターホンが鳴った。出ると大家さんだった。どうやら旦那が出掛けに出会って私が家に居ると言ったようだ。

「大丈夫?風邪引いたんだって?はい、これりんご。食べるなら剥いてあげるよ。」

「すみません。でも大丈夫です。朝に薬飲んだら大分楽になりましたから。りんごありがとうございます。後で頂きます。それより大家さん、昨日の話なんですけど…」

「そうね。だけど今日はやめときましょう。体調悪いのにあんな話は余計によくないよ。」

「いいえ大家さん!大丈夫です!何もわからないでいる方が頭おかしくなりそうです。」

「そう?じゃあ今から隣の部屋に行ってみるけど一緒に行ける?」

雪子は一瞬躊躇った。だが何でもいいから少しでもわかりたかったので「はい、行きます。」と返事した。

雪子はサッと身なりを整え、大家さんと共に隣のドアの前に立った。

「じゃあ開けるよ。」

雪子はゴクリと唾を飲んだ。熱がまた少し上がってきたのか体が熱くなったようだった。

大家さんは極自然な感じで鍵を開けた。





続く……Σ(゚д゚lll)

No.27 12/11/28 23:57
自由人14 ( ♀ )

>> 26 『逢えない隣人』

続きです(・ω・)ノ

部屋の窓にはカーテンが閉まっていて薄暗かった。そして少しだけ家具があった。

「大家さん、本当にこの部屋誰も住んでいないんですか?」雪子は怪訝な顔で大家さんに問いかけた。

「ごめんね、不信におもっちゃうよね。実は昨日も話したけどこの部屋、出這入りが激しいでしょ。大家としてはあまりご近所に知られたくないから見え張って空き部屋のように見せてなかったんだよ。だから余計にあなたも誤解したのかもね.。」

雪子は一言言い返したかったがあまり悪びれて無い大家さんを見て止めた。

大家さんは何の躊躇いも無くズカズカと中に入りカーテンを開けた。南向き(正確には南西向き)の窓から日差しが入り、部屋の中がパッと明るくなった。

家具はローチェストだけ残っていた。

その上に古いタイプのCDラジカセが置いてあった。

雪子は震え出した。風邪のせいでは無い。恐怖心からくる震えだった。

何故これが置いてあるの?

大家さんは雪子の様子に全く気付かないまま話し始めた。

「あら?こんなラジカセあったかな?もう忘れちゃったわ。CD入ってるかしら?」

『この人どこまで怖いもの知らずなの?じゃなくてただの無神経?』雪子は少し怒りを覚えた。雪子には身に覚えがある。隣の気配に時々CDでも聴いているような音楽が聞こえたからだ。誰の何の曲かわからないが、明るい感じの曲だった。

「大家さん、ここまだ電気停めてないですか?」

「いえいえ、さすがに電気、ガスは止まってるよ。」

大家さんはラジカセを持ち上げながら返事をした。

「でもこのラジカセ、電池でも動くみたい。電池入ってるかしら?ちょっと電源入れてみようか。」

やめてー‼…雪子は心の中で叫んだ。だが大家さんには伝わらず、大家さんの指はスイッチを押していた。





続く……ε=ε=ε=ε=ε=ε=┌(; ̄◇ ̄)┘

No.28 12/11/29 21:45
自由人14 ( ♀ )

>> 27 『逢えない隣人』

続きです(・ω・)ノ

電池は入っていた。

ラジカセから音楽が流れてきた。雪子は少し恐怖心が薄れた。時々聞こえた音楽と一緒かどうかはわからないが、洋楽で美しい女性ボーカルの歌だった。

「前の住人さんの忘れ物かな?でも電池よく残ってたね。」

あっけらかんと話す大家さん。確かに霊などの存在を信じてないから恐怖心が全くないような行動をする人だ。

今の雪子には羨ましい限りだった。

一曲分流れてる間、大家さんは押入れを開けたり残りの部屋を見てきたりしていた。特に何も無かった。

一曲終わると後には何も聞こえなかった。大家さんは『な〜んだ』って感じの顔をして電源を消そうとした時、まだ何か音がした。

ノイズのような音と共に人の話声のようなものが聞こえる。雪子は恐ろしくなり大家さんを見るとさすがに顔が強張っている。二人とも何も言葉を発する事が出来ず、ただ石のように固まってCDの続きを聞いていた。

人が話ているのは間違いなさそうだが、言葉はハッキリ聞こえない。ただ、一人ではない。二人で話ている。時々本当に楽しそうな笑い声も聞こえる。

その笑い声を聞いた時、雪子は気が付いた。『これは…』

笑い声の主は雪子の息子だ。間違いない。息子の笑い方は少し独特で笑い過ぎて途中でよくむせている。笑い声と笑い声の間に咳をするのだ。少し気間が細いのも原因のようで、息子ならではの笑い方だった。そして、もう一人の声の主は…間違いなく雪子だ。

話の内容は殆ど聞き取れないが、雪子と息子でテレビか何かを見て楽しそうに笑ったりお喋りしたりしているのはわかる。しかし何故CDに二人の声が….。雪子は怖いもの見たさのようにCDをじっくりと聞きだした。

大家さんは『これはなに?』というような顔を雪子に向けた。「とりあえず最後まで聞いてみましょう。」とこれまでと逆に雪子の方が落ち着いた感じで話した。




続く……(−_−#)

No.29 12/12/01 21:09
自由人14 ( ♀ )

>> 28 『逢えない隣人』

続きです(・ω・)ノ

しばらくただ呆然と聞いていたが、同じノイズの中ての会話たけが続いていた。

そしてノイズだけになり、どうやら終わりと思われた。

今度は雪子が電源を消そうとしたその時、

…「おかえり、お父さん」とハッキリした声が聞こえた。

息子の声ではなかった。しかし子供の、男の子の声だった。

大家さんは後退りしてそのまま腰を抜かした。そして雪子は…ただその場に立ち尽くしていた。

雪子は今迄の事を走馬灯のように思い出していた。そして雪子にはその声が『レン君』である事を確信していた。雪子は静かにラジカセの電源を消した。

部屋のカーテンを閉め、腰を抜かしている大家さんを抱えて部屋を出た。部屋に鍵をかけ、大家さんを自宅まで送り雪子は自分の部屋に戻った。

大家さんの様子は今迄と違い恐怖に慄いているようだったが、雪子はあまり心配していなかった。大家さんの性格上、明日にはいつも通りになっている事だろうと思っていた。正直雪子は大家さんの心配をする余裕がなかった。頭の中は『レン君』の事で一杯だった。





続く……う〜(ー ー;)風邪が少々悪化したでござる。
申し訳ないが今日はここまでm(__)m

No.30 12/12/02 08:26
自由人14 ( ♀ )

>> 29 『逢えない隣人』

続きです(・ω・)ノ

雪子は落ち着いていた。そして『レン君』の事を考えた。
今迄の事からやはり隣の部屋には『レン君』がずっといたのだ。ずっと『お父さん』の帰りを待っていた。そして昨日、窓が全開だったのはきっと『お父さん』が帰ってきたのだろう。

…と言う事は『お父さん』も亡くなったのか?

恐らくそうだろう。そして我が子の元に帰ってきたのだろう。

雪子と息子の声が入っていたCDはきっと『レン君』が隣で聞いていた我が家の生活音で、もしかしたら息子が羨ましかったのかもしれない。だから一度息子に会いたくなったのだろう。

雪子はそう思う事にした。きっとこれからは隣からは何も聞こえてこないだろう。

「ただいまー!」息子が帰ってきた。いつも通り一人で元気良く。

「おかえり」雪子もいつも通りに息子を迎えた。

「ママー!今日ご飯なに?」えーっ?もう夕飯の話?雪子に笑顔が戻った。「今日はキノコの炊き込みご飯と和風ハンバーグ。」「わーお!俺の好きな物ばかり〜」

息子の喜ぶ顔を見て雪子は少し複雑な思いをした。『レン君』もきっと息子のように楽しい毎日を過ごしたかったのだろうな…と。

雪子は首を左右に振り、『もう終わった事。考えるのはやめよう。さ〜て!息子のご期待に添えて美味しいご飯でも作りますか!』

いつの間にか熱もすっかり下がり、気分も晴れやかに夕飯の準備を始めた。

日も暮れ、息子も外から帰ってきて後は旦那の帰りを待つだけだった。気にし無いようにしていたものの、やはり昨日ほどではないが隣が気になる。しかし、何も聞こえてはこなかった。

夕飯の準備が整ったと同時に旦那が帰ってきた。「パパ!おかえり」息子はご飯をよそう手伝いをしながら旦那を迎えた。「おかえりなさい。丁度ご飯出来たよ。」

「ただいま。おっ!美味そうだな。腹減ったよ。飯メシ。」息子とほぼ同じ子供だな〜と雪子は内心笑っていた。

そして手洗いうがいを済ませた旦那が食卓に向かいながら、「そう言えばさっき、お隣の奥さんからお前に『お騒がせしてすみませんでした』とお伝え下さいって言われたよ。なんかあった?ってか俺初めてお隣さんに会ったよ。」

雪子は息子のよそってくれた炊き込みご飯を落とした。






終わり

No.31 12/12/02 10:00
自由人14 ( ♀ )

>> 20 読ませていただいてます(^-^) 私も書けるように頑張ります! 茶の間のおばさんです(・ω・)ノ

自由人20さん、読んで頂いてありがとうございますm(__)m

お礼が遅くなり申し訳ありません。

やっと完結しました\(^o^)/

今度、是非自由人20さんの小説を読ませて頂いたらと思います(・ω・)ノ


No.32 12/12/02 15:58
ストーリーテラー0 

>> 20 読ませていただいてます(^-^) 私も書けるように頑張ります! 20さん!はじめまして❤

逢えない隣人

ついに終わりましたよね!
どでした!?どでした!?(笑)

次のタイトルからのストーリー投稿がめでたく♪開始されたら、次のタイトル予告したいと思います。
心に『ガッツン』くるタイトルが出てきたら発表しに是非是非来てくださいね!


※私の好みのタイトルばかりではアレなんで(どれ?)皆さんの声も聞かせてくださいね!
ゆったり待ってます❤

No.33 12/12/03 05:55
人気作家2 

『キミ・カ・ワ・イ・イ・ネ…』
ー ♭1 ー

ある朝、高校2年のカスミは同級生のミカと一緒に歩いて登校していた。

カスミ
「昨日借りたCD、早速聞いたよ!
4曲目の『ミス にんじん』がすごい好き!」

ミカ
「でしょ!?
私は9曲目の『スカーレット ホライズン』も好きだなぁ。」

カスミ
「それ、まだ聞いてないぃ~💧」

『キミ・カ・ワ・イ・イ・ネ…』

カスミ
『……!?…』

ミカ
「イノアビってさぁ~、ヴォーカルのハヤトが作詞作曲してんのね、すごいよねぇ。全部の…」

「ちょ…ちょっと!」
カスミは声を低くし
「…今、何か聞こえなかった?」

ミカ
「へ…!?……
何が?」

カスミ
「なんか…男の人の声でね!?…キミ可愛いねって…」

ミカは思わず吹き出し
「プッ…クスクス…
フフン…
はい、自意識過剰!」
とミカを指差した。

カスミは恥ずかしくなり、焦って
「違う、違うって!本当に聞こえたんだってばぁ!」
と言いつつも内心は
気のせい?と思い始めた。

ミカ
「カスミには困ったものだねぇ💧
次は
『君と結婚したい』って聞こえた!
とか言い始めたりして…」

カスミは口を手で覆い
「ちょっとぉ…💧」
と苦笑いし
2人は顔を見合わせて笑っていた。

  • << 35 『キミ・カ・ワ・イ・イ・ネ…』 ー ♭2 ー 2人が学校に着き教室へ向かうと、クラスメイトのサナエとノリコが机を挟んで話し合っている。 サナエ 「コレ……じゃなくない?」 ノリコ 「うん、…そう……ど…。」 カスミとミカは2人に近づき、机の上にある紙を覗き込んだ。 それは昨日、授業中に配られたプリント用紙で、裏に絵が描いてあった。 「何コレ?」 カスミが聞くとミカが 「ん~?…電車?」 と呟いた。 サナエ 「やっぱりそうだよね?これノリちゃんが描いたの。」 話を聞いていくとノリコは昨日、印象的で妙な夢を見たらしい。 それは電車に乗ってトンネルの中のような暗い場所を走ってゆくという夢だった。 ノリコが言うには電車っぽいけど少し違う。また、崇高的な川のイメージがあり、大きな不安もあったとのこと。 ガラガラッ 担任の先生が入ってきて、ホームルームが始まった。 カスミはノリコの夢の話を思い出していた。 ノリコは絵を描くのが好きで美術部に在籍している。 普段は大人しい子なのだが、たまに不審な行動をとる時があり、それがよく笑いのタネになり、話題に上がりやすい。 そんなノリコと自分との間には壁のようなものを感じていた。

No.34 12/12/03 10:18
ストーリーテラー0 

ストーリーテラーです。

皆さん、いつも素敵なスレにして頂き、ありがとうございます

どなたか、

『振り返れば奴がいる』

の、妄想発表して頂けませんか?

注)主人公を『ユウジ』とする程度のパクりは可(笑)ですが、ドラマの内容や設定に軽くでも沿う程度のパロディーは不可です。ドラマ見たこと無い方が読むと切なくなりますので(←主の事だな。何で?他にもいるかもじゃん。いやいやいや、主だけだよ。チッ(舌打ち)。?何だよ今の。別に。チッってしただろチッって。チッってしてねえよ!。したじゃんか!。チッってしてねえって!。した!。チッってしてない!。した!チッってしてない!。何でいちいち『チッって』って付けんだよ!。悪いかよ、勝手だろ!。ゴッ)
どちらが小突いたかわかりますか?じゃなくて、そんなわけでどうぞよろしくお願い致します。



注意事項の確認も、時々お願い致します

初めての方も大歓迎です

No.35 12/12/03 11:51
人気作家2 

>> 33 『キミ・カ・ワ・イ・イ・ネ…』 ー ♭1 ー ある朝、高校2年のカスミは同級生のミカと一緒に歩いて登校していた。 カスミ 「… 『キミ・カ・ワ・イ・イ・ネ…』
ー ♭2 ー

2人が学校に着き教室へ向かうと、クラスメイトのサナエとノリコが机を挟んで話し合っている。

サナエ
「コレ……じゃなくない?」

ノリコ
「うん、…そう……ど…。」

カスミとミカは2人に近づき、机の上にある紙を覗き込んだ。

それは昨日、授業中に配られたプリント用紙で、裏に絵が描いてあった。
「何コレ?」
カスミが聞くとミカが
「ん~?…電車?」
と呟いた。

サナエ
「やっぱりそうだよね?これノリちゃんが描いたの。」

話を聞いていくとノリコは昨日、印象的で妙な夢を見たらしい。
それは電車に乗ってトンネルの中のような暗い場所を走ってゆくという夢だった。

ノリコが言うには電車っぽいけど少し違う。また、崇高的な川のイメージがあり、大きな不安もあったとのこと。


ガラガラッ

担任の先生が入ってきて、ホームルームが始まった。

カスミはノリコの夢の話を思い出していた。

ノリコは絵を描くのが好きで美術部に在籍している。
普段は大人しい子なのだが、たまに不審な行動をとる時があり、それがよく笑いのタネになり、話題に上がりやすい。

そんなノリコと自分との間には壁のようなものを感じていた。

No.36 12/12/04 10:04
人気作家2 

>> 35 『キミ・カ・ワ・イ・イ・ネ…』
ー ♭3 ー

壁を感じる理由は、ノリコが他の人と接する時と自分に接する時とで態度の違いが見られ、明らかにノリコが無理して自分に合わせていると感じる事もよくあったからだ。

ノリコは普段から抜けてるところが多々あったが、人一倍敏感なセンサーのようなものが備わっているようだった。
…それこそ霊感のような。

以前、霊感があるのでは?と聞いたこともあったが、本人は霊感など無いと言っていた。

『私、ノリちゃんに嫌われてんのかな?』
カスミは授業中もそんな思いやノリコの夢の話が頭をよぎったり、たまに『ミス にんじん』が流れたりしていた。

昼休みになり、昼食を食べ終えた4人は音楽室へと向かった。

音楽室では、サナエのピアノ演奏を聴いたり、お菓子を食べながらおしゃべりしたりしていた。


そんな中、カスミは急にめまいがして気持ち悪くなってきた。

『何!?コレ!?』
息苦しくなり、何でもない不安が洪水のように押し寄せ、『死』が脳裏に浮かんだ。
『え…!?
私、…死ぬの?』
額から汗が吹き出てきた。

異変に気付いたミカは
「カスミ…?」

「ねぇ!ちょっと!」
黒板の前にいるサナエとノリコに向かって叫んだ。

No.37 12/12/05 09:13
人気作家2 

>> 36 『キミ・カ・ワ・イ・イ・ネ…』
ー ♭4 ー

「大丈夫!?どこか具合が悪いの?」
「保健室に行こ?」
3人はカスミを囲み不安がっていた。

カスミは
「大…丈夫…。
少し…このまま…。」
と言い、押し黙っていると徐々に気分が落ち着いてきた。

少し楽になったので、ゆっくりと立ち上がり
「保健室に行ってくる…。」
と言い、けだるいようにフラフラと歩き出した。

3人は心配しながら一緒に付いて行った。

しかし、3人の心配とは裏腹に、カスミの体調は歩いている内にどんどん回復し、保健室に着く頃にはスッキリ爽快な気分だった。



『言えない…💧』
カスミの体調不良は途中から演技になっていた。
『でも、体調が悪くなったのは事実だし、原因も気になるし、また具合が悪くなるかもしれないし…
いいよね、休んでこ。』

保健室では先生に症状を伝え、問診に答え、熱と脈を計った結果、特に問題は無いようだった。

先生
「午後はベッドで休んでなさい。
担任の先生には伝えておくから。」

「さっ、あなた達は教室に戻って。
授業、始まるわよ。」

ミカ達はカスミに小さく手を振り、保健室を出ていった。

カスミも小さく手を振り返し、上履きを脱いでベッドに横になった。

No.38 12/12/05 11:56
人気作家2 

>> 37 『キミ・カ・ワ・イ・イ・ネ…』
ー ♭5 ー

「ピンポンパンポーン♪
🌕🌕先生、至急、職員室までお越し下さい」

パタパタッ…カラカラッ…ピシャ…。

保健の先生が部屋を出て行き、カスミは1人になり、室内は時計の秒針の音だけが聞こえる静けさになった。

『さっきの得体の知れない不安…死を連想させた恐怖は何だったんだろう?
思い当たる不安の原因なんて無いし…。
不安と言えば…
ノリコが不安を感じたって言う夢の内容…

音楽室でサナエは

宮沢賢治の銀河鉄道の夜
みたいって言ってた…。
…ジョバンニ…とカン…パネルラ………… 』
カスミは眠りに落ちていった…。

…‐-― ――
カタンコトン…カタンコトン…
カスミは電車に乗っていた。4人座りの窓側の座席に座っている。

向かいに男性が座っているが、車内が暗くて顔はよく見えない。

その男性の口が薄く開き
「キミ・カ・ワ・イ・イ・ネ…」と話し始めた。
「サ・ガ・シ・テ・タン・ダ…
キミ・ノ・ヨウ・ナ・コ…
サア・イッショ・ニ・イコウ…」
と手が伸びてきた。

『捕まったらまずい!』
と本能的に感じたカスミは立ち上がって逃げた。

走って逃げている間も、どこからか声が響く。

「キミ・ヲ・ム・カ・エ・ニ・ユ・ク・ヨ…
カ・ナ・ラ・ズ…
カ・ナ・ラ・ズ…ネ。」


―-‐…

No.39 12/12/06 13:05
人気作家2 

>> 38 『キミ・カ・ワ・イ・イ・ネ…』
ー ♭6 ー

『ハッ!?……夢…。』
カスミが目を覚ますと、保健の先生が上から覗き込んでいた。

「あなた、…大丈夫?ひどくうなされていたけど?」

………。

「気分はどう?
もう一度、熱を計り…」

カスミは
「いえっ、今日はもう帰りますっ。
ありがとうございましたっ。」
と言い、そそくさと帰り支度をしだした。

「…そう……。
あなたの荷物はそこのカゴに……。
お友達が持って来て………………」

「…ハイ。…ハイ。」
と、カスミは返事をしながら先生の話をほとんど聞き流していた。

「もし、また体調が悪くなったら一度、病院に…………………。
………………、…………………………………迎えに…来たよ…。」


『っ!!……!?』
最後の言葉にカスミはビクッとして先生を見た。

先生は突っ立ったまま、どこか虚ろな表情でこちらをジーッと見ている。

部屋は…シン…と静まりかえり、カスミの体は恐怖で震え始めた。

カスミは警戒しながら出口に近付く…。
先生に何かするような素振りは見られず、背を向けて急いで保健室を出た。

廊下も外も既に暗くなっていた。


先生
『!?』
「…あの子、あんなに慌ててどうしたのかしら?」

No.40 12/12/06 15:01
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>> 39 『キミ・カ・ワ・イ・イ・ネ…』
ー ♭7 ー

カスミは暗い廊下を走っていたが、すぐに歩いて考え始めた。

『保健室での事、考え過ぎ?…なのかも…。』

カスミは携帯電話を取り出し、時刻を見た。

『サナエはもう帰ったろうけど、ミカの陸上部はまだやってるはず。
とりあえずミカには連絡しておこう。』

ミカにメールを送った。

『美術部はまだやってるかな?』
実は今、一番話したい相手はノリコだった。

カスミは美術室へと向かった。

『まだ、明かりがついてる。』

美術室を覗くとノリコは1人、残って絵を描いてるようだ。

『いるぅぅ!』
嬉しさもあったが、少しためらいながら戸を開けっ放しにして入った。

「ノリちゃーん…」

「………。」
返事が無い。

『?』

近付いてよく見ると、耳にイヤホンを付けて音楽を聴いているようだった。

ノリコをびっくりさせないように、と前方に回ると…

ノリコは口を半開きにして寝ているではないか。

『コレコレ、ノリコくん?』

気の抜けたカスミは戸を閉めに戻った。

再び、ノリコに近寄るとカンが良いのか悪いのか、ノリコはビクッと起きて動き始めた。

カスミは後ろで
『ノリコ、始動!!』
と思った。

No.41 12/12/07 10:13
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>> 40 『キミ・カ・ワ・イ・イ・ネ…』
ー ♭8 ー

カスミはノリコの視野に入るように改めて前方に回った。

ノリコは少し怯えたようにビックリしてたが、カスミが笑うと恥ずかしそうに笑い、イヤホンを外した。

ノリコ
「具合は?もう、いいの?」

カスミ
「うん、午後はずっと寝てて…
もう平気。
何を聴いてたの?」

ノリコ
「ミルキー ウェイって曲…イノセント アビリティの。」

「イノアビ!?
そんな曲があったんだ!?天の川のことだよね?
天の川かぁ。」
と、遠い目で天井を見つめるカスミ。

「あ、今しゃべってて平気?忙しい?」
(寝てたけど…)

ノリコ
「うん、今日はもう遅いし、この辺でやめる。」

カスミは近くにあった椅子を持って来て、座り
「なんかノリちゃんと話したくて…。」
と言うと

ノリコは
「私も1人で心細くて…。カスミちゃんが来てくれて嬉しい。」
ともじもじしながら言った。

『そのわりには寝てたじゃん。』
…は置いといて

ノリコからそんな言葉を聞くのは意外だった。
2人きりで話す事もあまりなかったし、話しても常にお互いぎこちなかった。

カスミはノリコが描いた絵に目を向けた。

「これって
例の夢を描いたの?銀河鉄道の夜…の絵?」

No.42 12/12/07 12:43
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>> 41 『キミ・カ・ワ・イ・イ・ネ…』
ー ♭9 ー

ノリコ
「そう。イノアビのハヤトも銀河鉄道の夜が好きなんだって。」
「ミルキー ウェイはそれを意識して書いたみたいよ。」

「綺麗な絵だね。」
カスミはノリコの絵に見とれていた。

「え!?ぇへ、うふふふ…。」
ノリコは嬉しそうに笑っている。

そんなノリコを見てカスミは、サナエがいつもやってる接し方を真似して、ノリコの肩に手を置き

「頑張ったね、ノリコくん!」
と言った。

「ふふふふふふ。」
「あはははは。」

更に調子に乗ってカスミはノリコに抱き付き


「キミ・カ・ワ・イ・イ・ネ」

と耳元で囁いた。

するとノリコの笑い声が急に止まり、下を向いて黙ってしまった。


『え!?』
カスミとしては、もやもやした気持ちを笑って吹き飛ばすつもりで言った言葉だった。

『ノリコから見れば他愛も無い言葉のはず…、なのに…ノリコのこの反応は…何?』



「今…、なんて言ったの…?」

ノリコは床を見つめながら口を開いた。

カスミの心に不安が漂ってきた。


ノリコは震えた声で話す。
「カスミちゃんもそれ…聞いたんだ?」

今度は泣き声になり
「さっき夢で…グスン
夢でさぁ…」

突然、フッ…と部屋の照明が消えた。

No.43 12/12/07 16:26
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>> 42 『キミ・カ・ワ・イ・イ・ネ…』
ー ♭10 ー

暗闇の中、2人は悲鳴にならない声をあげた。
「ヒィッ!!」

「しょ…照明のスイッチは…」
(意味ない!入の状態で消えたんだから)

カスミは混乱し、音楽室でのあの不安とめまいが再び襲ってきた。
『まただ!』
脳裏には死のイメージばかりが溢れてきて、ジッとはして居られない程の不安が押し寄せる。
ドクン…ドクン…
カスミはガタガタと震え、息使いも荒くなり、立って居られず床に座り込んでいた。

「カスミちゃん!?
カスミちゃん!!どこ?」
ノリコは手探りでカスミを探した。

「ノリちゃん…ハァ…夢って…どんな内容?…ハァ…だった?…」

ノリコはカスミに触れてやっとつかめた。

「女の子が1人…連れて行かれちゃう…男の人に…」

カスミは意識がもうろうとしながらも思い出した。
『「ム・カ・エ・ニ・ユク・ヨ」
誰かが私を連れて行く気なんだ。…私、ここで死ぬのかな?』
カスミは涙が溢れてきた。


ふと廊下の方から足音が聞こえてきた。
ズリッ…ズリッ…
引きずるような歩き方だ。
その人物は独り言を言っている。
「無い…無い…無い…。」

足音は美術室の前まで来た。

2人はそれを、見つかってはいけない相手だと確信した。

No.44 12/12/08 02:24
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>> 43 『キミ・カ・ワ・イ・イ・ネ…』
ー ♭11 ー

足音は美術室のひとつめの入口を通り過ぎた。

ズリッ…ズリッ…
2人は抱き合って押し黙っていた。カスミに至っては息を潜めるのも非常に苦しかった。

ズリッ…ズリッ…
足音は後ろのふたつめの入口を通り過ぎ、美術室を素通りしていった。

2人は一安心した。

と、その時!
カスミの携帯電話の着信音が鳴り響いた。
『こんな時に!?』
カスミは慌てて音を止めながら、ミカからの電話かメールだとわかった。

静かになって、足音の行方を探る2人。

どこかで止まっている…。

カスミはノリコに囁いた。
「ノリちゃん、逃げて…早く!」

ノリコは離れようとはせず、カスミを強く抱きしめた。

ズリッ…ズリッ…足音が動き始め、部屋のふたつめの入口に近づいて来た。
戸がガタッといい張り付いてるようだ。
「時間が…時間が無い…さぁ、一緒に…あの列車に乗ろう…。」

『!?…時間が無い?ひょっとして…』カスミが思っていると

ノリコが入口に向かって震えながら声を発した。

「あなたは独りで逝くのが怖いのね…。道連れが欲しいのね。だけどあなたと一緒には行けない!」

「…………。」

静かになり明かりがパッと点いた。

No.45 12/12/08 04:00
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>> 44 『キミ・カ・ワ・イ・イ・ネ…』
ー ♭12 完結ー

押し寄せていた不安が消えてゆき、カスミは深く溜め息をついた。

カスミとノリコはお互いに泣き出し、抱きしめ合った。
背中をさすり合い、笑みも浮かべて。


少しして、どこからか悲鳴が聞こえ、にわかにざわつき始めた。

『!?』
「どうしたんだろ?」


カスミの携帯に、ミカから電話がかかってきた。

ミカは慌てた様子で
「今、どこにいる?」

「今、グスン…、美術室…。」

「へ…美術室?
…ってか、大変!
隣のクラスの子が倒れて今、大騒ぎになってる!」

「えぇ…!?」

カスミはノリコにも話は聞こえたであろうと思い、ノリコを見た。

ノリコは窓の方を見ている。

カスミもつられて窓の方を見た…。

「その子、意識がないみたいなの!…もしもし?聞いてる?」

2階の窓の外には連れ添うように男と女の子の後ろ姿が見え、夜空へと消えていった。

救急車のサイレンが聞こえてくる。

翌日、カスミは隣りのクラスの生徒が亡くなった知らせを聞いた。

また、学校の近所に住む男性が同じ時刻に亡くなったらしい。

その家はカスミが例の声を初めて聞いた場所の近くだった。

カスミ
『あの時から…?』

ー 終 ー

No.46 12/12/11 09:02
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『振り返れば奴がいる』

第1話

少し肌寒い、週末の満月の夜のこと…

タマヒコは仕事が終わって自宅アパートに向かって歩いていた。

後ろに気配を感じ、振り返ると中年のサラリーマンが歩いている。
別によくある普通の光景なのだが、なんとなく背後が気になった。

アパートに近くなった頃には後ろには誰も居なくなった。

この先は大きな川沿いに面して横に広がっているので、この道を通ってここまで来る人間はおおよそ限られてくる。

タマヒコはアパートに着き、着替えて銭湯に向かう準備をしだした。

洗濯機で洗濯物を回している間に銭湯に行き、戻ったら遅い夕飯、という予定で動いた。

携帯電話が鳴り、友人Mの名前が出た。

タマ「はい、もしもし」

M「…………。」

タマ「だ、誰だ?誰なんだ!お前は?」

M「クックック……。さぁ、悪夢の始まりだ…。クックック…。」

タマ「はいはい、んで?用事は?」

M「はいはいって…。今からそっちに行っていい?」

タマ「何時位になる?」

M「いや、もう近くまで来てる。」

タマ「何ぃ!?俺、銭湯に行きたいんだけど…。」

M「………。」

タマ「う~ん…、とりあえず来なよ。
You、来ちゃいなよ。」

M「ジャニーさん…」

  • << 48 『振り返れば奴がいる』 第2話 タマヒコは電話を切り、洗濯をしながらMが来るのを待った。 30分経過したが一向に来る気配が無い。 Mの性格を考えれば珍しい事ではない。 しかし、近くまで来てるのにどこで油を売ってるのだろう? Mはかなりの変わり者だ。 以前、Mがヘビメタにハマっていた頃、ヘビメタのヴォーカルがよくする歌い方、シャウト(裏声で叫ぶ)に憧れ、自分もそんな声を出したいと、ところ構わず練習していた。仕事中でも。 結果、周囲からは 「あいつ、頭おかしいんじゃねぇか?」 と囁かれていたらしい。 とにかく平凡が嫌いなMは 宝クジ売り場みたいなジッとしていなきゃならない職場は絶対に耐えられない! とよく口にしていた。 そんなMとタマヒコは、よく一緒に遊び、目新しい場所に行ったりしていた。 それにしても遅い! 電話をかけても出ない! タマヒコはしびれを切らして銭湯に行った。 途中にあるコインランドリーを見ると… Mがいた! 「何やってる?」 タマヒコは怒り口調で聞いた。 M「ちょっと服が汚れて洗ってたんだ。」 タマ「電話かけても出ないし。 じゃ、まだここに居るんだな?俺、銭湯に行って来るかんな!」

No.47 12/12/11 11:58
ストーリーテラー0 

ストーリーテラーです。

次回予告に参りました

次回の妄想は
僭越ながら私が膨らませ書き綴る事になりました。

全くの初心者の上、下書きの段階で未成年者に飲酒させてしまうという、あってはならないミスをおかし、読み返して気が付き、本当に私が書けるのであろうかと思うとペンが止まり、原稿に涙がポタりました。
しかし、頑張って次回は発表してみたいと思います
どうぞよろしくお願いいたします。

タイトルは、
『埃まみれの人形部屋』
です。


No.48 12/12/12 13:20
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>> 46 『振り返れば奴がいる』 第1話 少し肌寒い、週末の満月の夜のこと… タマヒコは仕事が終わって自宅アパートに向かって歩いてい… 『振り返れば奴がいる』

第2話

タマヒコは電話を切り、洗濯をしながらMが来るのを待った。

30分経過したが一向に来る気配が無い。
Mの性格を考えれば珍しい事ではない。
しかし、近くまで来てるのにどこで油を売ってるのだろう?

Mはかなりの変わり者だ。

以前、Mがヘビメタにハマっていた頃、ヘビメタのヴォーカルがよくする歌い方、シャウト(裏声で叫ぶ)に憧れ、自分もそんな声を出したいと、ところ構わず練習していた。仕事中でも。

結果、周囲からは
「あいつ、頭おかしいんじゃねぇか?」
と囁かれていたらしい。

とにかく平凡が嫌いなMは
宝クジ売り場みたいなジッとしていなきゃならない職場は絶対に耐えられない!
とよく口にしていた。

そんなMとタマヒコは、よく一緒に遊び、目新しい場所に行ったりしていた。

それにしても遅い!
電話をかけても出ない!

タマヒコはしびれを切らして銭湯に行った。

途中にあるコインランドリーを見ると…
Mがいた!

「何やってる?」
タマヒコは怒り口調で聞いた。

M「ちょっと服が汚れて洗ってたんだ。」

タマ「電話かけても出ないし。
じゃ、まだここに居るんだな?俺、銭湯に行って来るかんな!」

No.49 12/12/12 15:16
人気作家2 

>> 48 『振り返れば奴がいる』

第3話

M「………。」

『返事も無しかい!』
タマヒコはプイッと外に出て銭湯に向かった。

『何しに来たんだ?アイツ。今日のMは特に変だ。』

タマヒコはMの事は構わず、ゆっくり風呂に浸かり、風呂上がりにはジュースを買って、コインランドリーを覗いた。

Mの姿はない。

『さっきの電話から1時間以上経ってるから当然か…しかし、今度はどこ行った?』

アパートに戻ろうと外に出ようとした時、タマヒコは入り口に置いてあるゴミ箱に目が向いた。

ゴミ箱には血の付着した服が無造作に捨ててあった。しかも結構な血の量だ。

『げっ…誰だよ。』

タマヒコは湯冷めしそうな気持ちになり、見なかったフリして足早にコインランドリーをあとにした。

満月は雲に隠れ、夜は更けてゆく。

アパートに着くとドアの前にMがいた。

「今日は一体、何しに来たんだよ?」
うんざりした顔でタマヒコが聞くとMはゆっくりとこちらを向き、

「服の汚れが落ちないんだ…。洗っても…洗っても…。」

『やっぱり変だ!?』
タマヒコはコインランドリーのゴミ箱に捨ててあった服はMの物では?と考えた。

「あれって、お前の?捨ててあった服…」

No.50 12/12/14 12:44
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>> 49 『振り返れば奴がいる』

第4話

M「………。」

タマヒコはMの姿を改めて見回したがケガをしてるようには見えなかった。

今日、初めてMの姿を見たのはコインランドリーでだったし、何を洗っていたのかも知らない。
ただ、この季節にしては薄着の格好だ。

あれは知らない人の服か?
思い過ごしか?

「…入れよ。」
タマヒコは部屋の鍵を取り出しドアを開けた。

Mは無言であとについて来る。

部屋に入りテレビをつけるとドラマをやっていた。

『そうだ!洗濯してたんだ。』
タマヒコは玄関前に戻り、洗濯機を開けて、中を見た。

「うっぷ!!!……。」

タマヒコは血相を変えて部屋に戻り、Mを問いただそうとしたがMの姿はない。

『トイレか?』

トイレを見ると中から鍵が閉まっている。
タマヒコはトイレのドアをノックした。
「なぁM、玄関前の洗濯機に変な物が入ってんだけどさ…なにか知らない?」
「俺が銭湯から帰って来た時にはお前、部屋の前に居たよな?」


M「居たよ…ずっと。最初に電話した時も…部屋の前に…。」

タマ「は…?電話で話してた時、すでに部屋の前に来てたのか!?」

M「ああ…。
そうだよ!ウキャキャキャキャキャ!!」

  • << 51 『振り返れば奴がいる』 最終話 トイレのドアの鍵が開き、Mは静かに出て来た。 腰が引けて黙って見ているタマヒコを素通りしてMは玄関へと歩いてゆく。 Mが玄関のドアの前に立ったかと思うと、そのままMの姿はスーッと消えていった。 『なっ…何!?』 『目の錯覚か!?』ドアを開け、外に出たがMは居ない。 玄関前の洗濯機の中を確認すると、さっきはあったはずの動物の内臓らしき物が消えていた。 『…?』 タマヒコは、Mの身を案じ電話をしてみた。 …やはり、つながらない。 …いや、どこからか着信音が聞こえてくる。 タマヒコは電話を切ったりかけたりしてみて、Mの携帯電話が近くで鳴ってるのだと判った。 タマヒコは電話をかけたままにしながら音のする方へと移動した。 着信音はアパートの裏の方から聞こえてくる。 アパートの裏に回ると、人が倒れている。 『あの姿…Mだ!』 Mの腹部は血まみれだった。 「おい!M!」 『救急車を…』 『アレ!? いつの間にか電話が通話状態になってる。』 タマヒコは話しかけてみる。 「もしもし…?」 「ハイ…モシモシ」 と返事があり タマヒコは背後に人の気配を感じた。 - 終 -
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