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ストーリーテラー( ♀ )
12/10/25 22:07(更新日時)

実体験をもとにしていますが、人物特定を防ぐため誇張と脚色をしております。

いじめがもとになっている小説なので、苦手な方はご遠慮ください。

かなり不愉快な描写もまじっています。お食事中または食後に読むのはお控えください。

大丈夫なかたはどうぞ。


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No.1867460 12/10/24 12:44(スレ作成日時)

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No.1 12/10/24 12:57
ストーリーテラー0 ( ♀ )


騒がしい朝の教室。
ドアを開けると、しんと静まり返った。空気の流れが止まったように思えた。

くすんだ色の床を見つめながら、教室を歩く。

人生を色で例えるなら、私の人生はこんな色。
今までも、これからも。

「お腐れ様だお腐れ様が通るぞ!」

「あいつと目を合わせるな!目ん玉が腐るぞ‼」


足元に消しゴムが落ちる。
私は拾って持ち主に渡そうとした。
持ち主はティッシュできたないものを触るように消しゴムの角をつまみ、ゴミ箱へ捨てた。

いつの日か知らないが、私はお腐れ様と呼ばれ、私と目を合わせた者、私が触ったもの、私が歩いた足跡は腐ってしまうという噂が流れていた。



No.2 12/10/24 13:09
ストーリーテラー0 ( ♀ )

もう長いことそう呼ばれ続けていたので、慣れてしまった。
どうせ、助けてくれる人はいない。
一生、お腐れ様と呼ばれ続けて生きていくのだ。
一生、誰にも人間扱いされないんだ。

悟ってしまえば、つらくない。
そう思う反面
愛されたい
友達が欲しい
という気持ちが人一倍強くなった。

席につき、うつむいて何も見ないようにした。
間違って誰かと目を合わせたら、腐る腐ると騒がれる。
早く学校が終わらないかなと思いながら、一日を過ごした。

No.3 12/10/24 13:29
ストーリーテラー0 ( ♀ )

家に帰る。
両親は共働きなので、誰もいない。
お風呂を掃除したあと、お湯を入れた。
湯船にお湯が半分くらいになったら、お風呂に入る支度をした。
服を脱いで、身体と頭を念入りに洗う。
赤くなって皮がめくれる寸前までこする。
全身の泡を流したあと、お湯につかったらしみて痛い。
熱いお湯にのぼせるまで、入る。
泣いてるのか、汗なのかわからない。
ぽっかり空いている心が満たされていく感覚。
ずっとお風呂に入っていたい。

***

お風呂からあがって髪を乾かす。
テレビをぼーっと眺めていたら、父と母が帰ってきた。

晩ご飯を食べているとき、母は決まって聞く
「学校はどうだった?」
「たのしいよ」
どうせ、いじめられてると言ったって、助けてはくれない。
ほっとけ。こどもの遊びだ。
その一言で終わる。
無駄だ。
だからあたりさわりのないことしか言えない。

No.4 12/10/24 13:38
ストーリーテラー0 ( ♀ )


夜、寝る前にカッターナイフを取り出して、首にあてる。
このナイフを横に引いたら、どんなに楽になるだろう?
痛いかな。痛いだろうな。
ナイフを元のいちにもどして、眠る。
今は寝ることとお風呂に入ることしか楽しみがない。

電気を消したら、外が明るい。
満月だった。

綺麗だなあ。
あれに祈ったら、何か願いが叶うだろうか?

そう想って手を合わせようとしたが、やめた。
願い事をしても、かなうわけがないから。

No.5 12/10/24 14:13
ストーリーテラー0 ( ♀ )

朝日がまぶしくて、目を覚ました。
ため息をつく。
また、一日が始まるのか。

学校に行くと、お腐れ様になる。
また、腐る腐ると騒がれるのか。
誰も助けてくれない。

だるい。
学校に行きたくない。
だけど、行かないとダメな気がした。
あそこが私の世界だから。
針のむしろに座るような気分になる。

学校に行くと、また言われた。
腐ると。
先生が来るとみんないいこになる。
先生は先生で、このクラスはいいこばかりだと信じている。

給食の時間。
私は給食当番でごはんをよそった。
みんな、ごはんを残した。
先生はどうしてみんなごはんを残すんだと聞いた。
みんなはお互い目を合わせてニヤニヤした。

先生はああそうと言ったあと、こんな話をした。
先生はナメクジが好きだ。
もう、可愛くて可愛くてしかたない。
ナメクジにキスしたあと、アゴにナメクジを這わせたあと、アゴに粘液をすり合わせ、その手を洗わずにおにぎりを握って娘たちに食べさせた。
と。

中年のおじさんが話すことではない。

今日の最後の授業は野球だった。
先生は大はしゃぎでグローブを持つ。
先生に続いてみんなもグローブを持つ。
出遅れて最後にグローブの入っているカゴを見たが、からだった。
「先生、グローブがないです」
「えー?仕方ないなあ」
先生のグローブをかしてくれるのかなとおもったが、甘かった。
「素手でやれ」
先生はグローブを持ったまま、授業が始まった。
まずは2人組でキャッチボール。
みんな、2人組にわかれるが、私だけ誰も組んでくれる人がいない。
「なんでみんな森崎と組まないんだ?」
「だって……ねぇ……?」
「仕方ないなあ。先生と組もう」
みんな、それを聞いてホッとした顔になる。
キャッチボールを始めた。
先生は豪速球を続けざまに投げた。
お腹に当たって、うごけなくなる。


「みんなー。野球は遊びじゃない。本気でやれ!」

授業はゲームが終わるまで続いた。
お腹が痛いのに休ませてもらえなかった。




No.6 12/10/24 14:31
ストーリーテラー0 ( ♀ )

うちに帰って、いつものようにお風呂の支度をしたあと、お風呂に入る。
お腹を見たら、ボールのあとがくっきりついていた。
なんか指がしみると思ったら、小指の爪が割れていた。



お風呂からあがって、髪を乾かしたあと、仕事から帰った母が夕食のカレーをつくってくれた。

カレーのスパイスの香りが辛い気持ちをやわらげた。
一口カレーを口に運ぶと、何故か涙が出てきた。
両手でぬぐってもぬぐっても、後から後から涙が溢れてくる。
「あら、美里どうしたの?」
「カレーが美味しくて」
「そんなことないよ。いつものカレーでしょう?」
「そうだね。あはは。どうしたんだろ。ははははっ」
「おかしなこねぇほんまに」
お互い笑いあった。
そして、テレビを見てから自分の部屋に入った。
カッターナイフを取り出して首にあてた。
横に引こうとするがなかなか引けない。
練習が足りないせいかもしれない。
左手を見た。
手首というものをまじまじと見つめる。
これも名前に首がついてる。
首を切る予行練習をしてみよう。
左手首にカッターナイフをあてた。
やっぱり痛いかな。
素早く切ったら、痛みは一瞬かもしれない。
スパイクの要領で、カッターナイフを勢いよく下ろした。

No.7 12/10/24 14:42
ストーリーテラー0 ( ♀ )

傷口がパックリ開いて唇を開いたよう。
そこから真っ赤な血が溢れ出る。
一筋の血液が、腕をつたって床に落ちた。
頭の中がひんやりと冷たくなっていく。
なぜか、気持ちよくなってきた。
頭はひんやりとしているけど、ぽっかり空いた心の中は静かに何かが満ちていた。
幸せってこういう感じなのかな。
恋人に愛されたらこんな気持ちになるのかな。
恋人なんていないけど。
異様な眠気に襲われ、その場に倒れた。
お母さんの作ったカレー、美味しかった。
ありがとう。

これが、死ぬってことなんだ。

No.8 12/10/24 14:57
ストーリーテラー0 ( ♀ )

白い光がさしている。
白い個室に白いカーテン。
窓には青い空。
水彩画が壁に飾られている。
ぼーっとしていた。
ここは、天国?
「先生、森崎さんが目を覚ましました」
看護師さんが、白衣の医師を連れてきた。
「森崎さん、先生がわかるかな?」
「ここ、どこですか」
「病院。ちょっと腕を深く切りすぎたね」
「お母さん……は?」
「お仕事。だけど、森崎さんが目を覚ます寸前までここにいたよ」
「ちょっと、簡単な絵を書いてみようか。できる?」
「はい」

先生に木を書くように言われた。
簡単にささっと絵を書き、先生に見せた。
先生は表情を曇らせる。

No.9 12/10/24 15:20
ストーリーテラー0 ( ♀ )

「毎週、診察を受けてください」
「私は病気じゃないです。元気です」
「あなたは心が弱ってる。このまま放っておいたら、死んでしまうかもしれない」
ここがどういう科の病院か、ようやくわかった。

精神科。

なんでいるのかわからない。
しかし、今日一日父が迎えにくるまで入院した。

***
家に帰る。
誰一人口を開く人はいなかった。
何か聞きたいことがあったのかもしれない。
何か言いたいこともあったのかもしれない。
だけど、無言だった。

***

自分の部屋に行き、カッターナイフを探すが、見つからない。

もう一度、あの感覚を体験したかったのだが。


No.10 12/10/24 15:34
ストーリーテラー0 ( ♀ )

次の日、学校に行かなかった。
母も仕事を休んだ。

母は、ココアを作ってくれた。
台所で一口一口ゆっくり飲んだ。
暖かいものがのどをつたう。

「美里、何があっても、お父さんとお母さんは美里の味方だからね」

母の目から涙がこぼれた。

「今まで気づいてあげられなくて、ごめんね」

一日、のんびりした。

明日は学校に行く。
学校に行かないといけない気がして。

No.11 12/10/24 15:54
ストーリーテラー0 ( ♀ )

学校に行くと、みんなが私を見つめた。

お前、生きてたのかよ。
なんで死んでないんだよ。
死んだら面白かったのに。

そんな声がした気がする。

先生がやってきた。
一時間目は学級会になった。
「みんな、森崎がいじめにあってたのは知ってるよな?」

ずいぶん他人行儀な言い方だな。自分のクラスなのに。

「みんながあまりにも最高なクラスだから、いじめなんてないって信じてた」

信じたかったんじゃないの?

「いじめは人権を踏みにじる最も罪深い行いです」

だから?

「しかし、先生は今までいじめられたことがありません。だからいじめられている人の気持ちがわかりません。何がいいたいのかわからないから、いじめられた本人である森崎さんに話してもらいましょう!」

卑怯者。
晒し者じゃないか。
ここで立派に発表できたら、いじめにはあわないよ!

無言でいたら先生は納得したように頷いた。

「森崎さんからはなにもないということは、このクラスにはいじめがなかったということです!みんなは悪くありません!やっぱり、このクラスは最高なクラスです!」

No.12 12/10/24 16:02
ストーリーテラー0 ( ♀ )

クラスにいる人がひとりひとり手をたたき出した。
ひとりの拍手が他の人の拍手を呼び、クラス全体が拍手していた。

拍手の音が渦のように聞こえる。


完結。
独りよがり。
それ以外の何物でもない。

この人たちは、いじめがあった事実をもみ消したいのだ。

自分たちは悪くないとおもっていたいのだ。

許せない。
絶対に
許さない。

No.13 12/10/24 16:09
ストーリーテラー0 ( ♀ )

それから、十年以上たっていじめが過去のものになっても、忘れられない。
もし、あのとき反論できればこんなに悩まなかったのかもしれない。
自分史史上最高の独りよがりな先生へ
この長い手紙を読んでいますか?
私のことなど忘れ、幸せにすごしているのでしょう。
それがどうしても許せません。
あなたを殺して私も死にます。

森崎美里より。

No.14 12/10/24 16:19
ストーリーテラー0 ( ♀ )

***
手紙を投函したあと、買い物をした。
化粧品とおしゃれな洋服を見たててもらった。
ベージュのピーコートに黒いタイツ、やわらかい皮のブーツ、白いボウタイつきのシャツに、血の色のようなスカート。

そして、金属バット。

それを持って、ファミレスのドリンクバーを頼んだ。
ひとりで飲んでたら相席に男性が座った。
「珍しいですね。野球するんですか?」
「いえ、これは、深い意味がありまして」
「どんな?」

No.15 12/10/24 16:37
ストーリーテラー0 ( ♀ )

お兄さんは目をキラキラさせている。
野球が好きなのだろうか。
「どうしたんですか?」
私はいじめにあったことを
そして、先生を殺して私も死のうとおもっていると言った。
もう二度とあうことはないひとだから、気楽に話せた。
「きっつい経験してきたね」
からからと笑った。
「俺もいじめにあってた。偶然だね」
「え?」
「それから、野球のバットで殴って退学。大検受けて今ウェブデザイナーやってる」
「すごいね」
「いじめられたらさ、いじめにあったぶん幸せにならなきゃダメだよ」
「……」
「人を殺すより、幸せになるほうが人生勝ちじゃん?」
「ちゃらい」
「暗いよりまし」
お兄さんはにたーっと笑う。
「でさ、今日俺誕生日なんだよね。でも、祝ってくれる人いないし、プレゼントもないわけ」
ウェイトレスさんが、ケーキを運んできた。
「ひとりでひとりバースデーパーティするのもさみしいからさ、付き合ってくれる?」
「さみしいひと」
「寂しさも友達さ」
「意味わかんない」

No.16 12/10/24 16:57
ストーリーテラー0 ( ♀ )

お兄さんはちゃらいけど、悪い人ではなさそう。
プラネタリウムに行ったり、動物園に行ったりした。
カフェでお兄さんの作ったサイトを見た。

ネットはするけど、サイトを作ったことはない。
「これ可愛い」
「女の子が見るサイトだからね、女受け意識した」
「見る人ことかんがえるんだ」
「うん。使ってくれるひとのことを考えるのがプロの仕事だよ」
「この、キャラが動いてるのってどうやってるの」
「フラッシュっていうソフト使ってる。フラッシュ使える人が俺しかいないから、大変なんだ」
言ってることはよくわからないけど、とにかくすごい人なんだと思った。
「あの、さ」
「何?」
「私、あなたみたいに変われるかな」
「うん。頑張れば変われるんじゃない?」
「変わりたいな」
「変われるさ」


***

別れ際、お兄さんはバットを持った

「これ、もらっていい?」
「でも」
「今日、誕生日だから、プレゼント欲しかったんだよね」
バットにトラウマはないの?
「それに、もう、いらんでしょ。」
「そうだね」
「もう人を殺すなんて思っちゃだめっすよ」
「握手していい?」
「いいよ」
「またいつか会えるかな」
「いいとも」
「私はタモ◯さんか」
「じゃあ、縁があれば会いましょう」

No.17 12/10/24 17:05
ストーリーテラー0 ( ♀ )

コートのポケットに何か入っている。
紙ナプキンだった。
走り書きで男の人の名前と連絡先。
あの人かもしれない。
電話をかけた。
お兄さんの声が聞こえる。
「電話はやっ」
振り向くと、お兄さんが手を振っている。
私も手を振った。




<終>

No.18 12/10/24 17:08
ストーリーテラー0 ( ♀ )

あとがき

お目汚し失礼しました。
物語をひとつ書けば何かが変わると聞いたので、チャレンジしてみました。
つたなくてすみません。

No.19 12/10/24 20:21
名無し19 

応援してます!
いじめをした奴らはいつかは苦しい思いをします!あなたが手をくださなくても!
いつかは生きてて良かったと思える日が来ます!

  • << 21 レスありがとうございます。 あの人たちは、楽しく人生を謳歌しているようです。 先生のモデルになった人も変わらず教師を続け、毎日楽しそうにしています。こっそり見に行ったら、先生は生徒に囲まれて幸せそうでしたよ。 私は私で楽しくやっていこうかなと。 この小説は墓標みたいなものなので。

No.20 12/10/25 18:36
名無し20 ( ♂ )

続篇は書かれるんでしょうか?

  • << 22 レスありがとうございます。 続編は書く予定はないです。 いじめのせいか、男性とまともに喋れないので、恋愛はしたことないからです。 恋愛小説を書くには、それなりの恋愛経験がないと絵空事になってしまうからです。 もう、方向性がない感じですね。 続編が楽しみだとしたらすみません。

No.21 12/10/25 18:46
ストーリーテラー0 ( ♀ )

>> 19 応援してます! いじめをした奴らはいつかは苦しい思いをします!あなたが手をくださなくても! いつかは生きてて良かったと思える日が来ます! レスありがとうございます。
あの人たちは、楽しく人生を謳歌しているようです。
先生のモデルになった人も変わらず教師を続け、毎日楽しそうにしています。こっそり見に行ったら、先生は生徒に囲まれて幸せそうでしたよ。

私は私で楽しくやっていこうかなと。
この小説は墓標みたいなものなので。

No.22 12/10/25 18:52
ストーリーテラー0 ( ♀ )

>> 20 続篇は書かれるんでしょうか? レスありがとうございます。
続編は書く予定はないです。
いじめのせいか、男性とまともに喋れないので、恋愛はしたことないからです。
恋愛小説を書くには、それなりの恋愛経験がないと絵空事になってしまうからです。
もう、方向性がない感じですね。
続編が楽しみだとしたらすみません。

No.23 12/10/25 22:04
名無し23 ( ♀ )


一気に読んでしまいました。


最後に希望の光がみえて、ほっとしてます。


主さんのこれからの人生に幸多かれと願います。


No.24 12/10/25 22:07
ストーリーテラー0 ( ♀ )

>> 23 レスありがとうございます。
そうであったら良いですね。
23さんも幸せになれたら良いですね。

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