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自由人
12/11/04 17:08(更新日時)



短編小説です

No.1857568 12/10/01 16:51(スレ作成日時)

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付箋

No.1 12/10/01 16:54
自由人0 



珈琲

No.2 12/10/01 17:07
自由人0 


いつものカフェに着いたのは、午前0時少し前だった


街中にあるこのカフェは深夜3時まで開いていることや近くに飲み屋が建ち並んでいることもあり、平日だと言うのに少し混んでいる

俺は、注文した珈琲と灰皿をトレイに乗せ少し奥の席に座った


席に煙草に火をつける




その時、俺はその女に目を惹かれた

No.3 12/10/01 21:49
自由人0 


見ては、いけないもの…だではないよな。俺は、頭の中で何かの答えを弾きだすのにとまどった

社会人としてというか。
注目して後を追ってはいけない個人の表現の自由。個性。自己表現、ファッション。
自由ではないか。

俺に、目線ごしの女の何がわかるというのか。

分かるわけがない。嫌悪感さえ、抱いているのだから。
それでも、その女を表現する文句を…
彼女にどう話したら自分がよく見えるのか考えてしまい、俺の恋の終わりを考えさせられた瞬間だった

No.4 12/10/01 21:56
自由人0 


その女は、色白だった


そして、俺がみたことない艶やかな赤いスーツを身にまとい、唇が真っ赤に染まっていた


年は、ほんとに分からない

40代だと思うがこれで50代だとすれば若いねと驚くし、30代そこそこだとすれば哀れに思う

No.5 12/10/01 22:02
自由人0 


その女の髪型にも、驚く


決して小さくはない、顔に、ででんともさもさの固そうな固まりの毛が乗っかっている


極め付けは。

くちびるだ。



遠い昔の日本のお化けのような、
薄い、長い、真っ赤なくちびるだった

No.6 12/10/01 22:08
自由人0 


俺は、携帯をいじりながらも、その女から目が離せなかった


あまりにも時代錯誤すぎて、笑えないのか、ただ、目が離せないのか分からないが俺は、その女が気になって仕方ない


珈琲を飲みながら、あげる視線を全て女にそそいだ

No.7 12/10/01 22:19
自由人0 

俺は、携帯を気にしながらもその女を見入っていた


女は、ぎこちなく長っ細い煙草に火をつけ煙りをふかしていた


そして、しきりに前髪を気にしたり携帯を覗く


女の指先な煙草の灰も、それほどないのに、女は幾度も灰皿に手をかざし、灰を落としている

No.8 12/10/02 00:30
名無し8 ( 30代 ♀ )

続きが気になるなぁ💦

頑張って下さい✊

  • << 10 ありがとうございます。 嬉しい一言に感謝☆です。

No.9 12/10/02 10:49
自由人0 

あまりじろじろ見てもいけない

俺にも弱冠のモラルはある

だが、俺の目線など全く気づいていないかのように、女は一人の世界に入っていた


奥に席をとった俺は、少ししくじったと感じた


女の様子、行動を分かち合える人は誰もいない


早く彼女がくる事を願った

No.10 12/10/02 10:50
自由人0 

>> 8 続きが気になるなぁ💦 頑張って下さい✊ ありがとうございます。

嬉しい一言に感謝☆です。

No.11 12/10/02 10:57
自由人0 


携帯を時々左右に振りながら、カチャカチャ、いや、ガシガシと言う音が聞こえるかと思うほど

指でキーを叩きながら

眉を寄せたり、ブツブツ言ったり煙草をふかしていた


俺は、彼女からきたメールに返信しながらも女を見続けた

No.12 12/10/02 11:05
自由人0 


女は40歳はいってるな

きっと、普段は専業主婦かパートとかしてそうだ
疲れた生活感を感じる

携帯を片時も離さないということは、出会い系で待ち合わせでも、してるのだろう
すっぽかされたか、遠目から容姿みられて逃げられたか
とにかく、今は連絡とれてないんだろうな



俺は、ざっと推理をすると何だか、女が哀れになった

No.13 12/10/02 11:14
自由人0 


女は、間違いなく俺に気づくことはないと確信すると
俺にも余裕が出てきた


すっかり冷めてしまった珈琲を口にしながら女を眺めていた



俺が、もし、ユナと結婚することになったら
ユナにはずっとずっと輝いていてほしい
その為には、今の給料では無理かも知れない
けど、ユナから笑顔を消すような生活だけは、避けたい


俺は、女をみながら、付き合って一ヶ月の彼女に何かを決心した

No.14 12/10/02 11:41
自由人0 


女は、鞄をあさると財布と携帯を手にとり立ち上がった

履きなれていないのか、足に合わないのか
ひょこひょこと歩きながら、鳴らすヒールの音が哀愁をさそう


トイレにでも行ったのであろう


俺は、煙草に火をつけると短く震えた携帯に視線を落とした

No.15 12/10/02 11:48
自由人0 

『今、女子会終了
近くに着いたらメールするね』

俺が、返信しようとした時、目の前に湯気をたてた珈琲が置かれた


俺は、顔をあげると驚きよりも恐怖に包まれた

No.16 12/10/02 11:57
自由人0 


俺の目には、女が写っていた


女は、ぞくっとするような唇をほんの少し上にあげると珈琲をさらに俺の方へ押しやった

そして、目を限りなくすぼめるとヨタヨタと自分の席へいき鞄を手にとり、俺の方を振り返る

俺は、携帯を持つ手に思わず力が入る


女は、さらに目を細めた後踵をかえすと店から出て行った

No.17 12/10/02 12:01
自由人0 


女が行ってしまった後には、珈琲の湯気が妙に揺れていた






【珈琲・完】

No.18 12/10/02 12:17
自由人0 




  シワ

No.19 12/10/02 12:29
自由人0 

78円で買ったカップ麺をすすっていると夫から電話が鳴った




『あ、俺。
言い忘れたんだけど今日、代引で商品届くから』


何を買ったのかという問いにもったいつけたかのように

『シワ伸ばし』

と嬉しそうな夫の声


毎晩やっきになって、顔に色々ぬりたくる私を不敏に思っていたのだろう


『お前にも、少し楽させたくてさ。いつも綺麗な方がいいだろ?』


お金は、俺の小遣いから出すから立て替えておいてくれといい、夫は電話を切った

No.20 12/10/02 12:35
自由人0 

半年前に変えた化粧品の効果もまだ出てない


ネットでの好評だというそのクリームか、ジェルか何かに心が躍る




12800円


自分では決して買わない金額だ

ほうれい線も綺麗になったら新しい髪型にもチャレンジしてみようかな


私は、5年前の自分を想像し思わず微笑んだ

No.21 12/10/02 12:41
自由人0 

学校から戻ると、玄関に段ボールの空き箱があった



お父さんがまた何か頼んだんだ

だけど、綺麗好きのお母さんがそのままなんて珍しい


私は、お母さんを呼びながら家に入る

ソファで寝ているお母さんをみつけた


『あ、新しいアイロン買ったんだ』
テーブルの上に目をやりながら話すとお母さんは、



うぅう~んと

唸り声で私に答えた








【シワ・完】

  • << 24 笑えました。 頑張って✊

No.22 12/10/02 20:49
自由人0 




   カレーライス

No.23 12/10/02 20:57
自由人0 


一人暮らし、3年


彼と付き合って3年弱


憧れの一人暮らしだったはずなのに、彼の家でほとんどの時間を過ごす


だから、私の部屋は埃っぽさはあるが綺麗なものだった


キッチンなど特に綺麗なもので、汚れ一つない
逆にカラカラしすぎて、あまりみたい場所ではない

No.24 12/10/02 23:29
名無し8 ( 30代 ♀ )

>> 21 学校から戻ると、玄関に段ボールの空き箱があった お父さんがまた何か頼んだんだ だけど、綺麗好きのお母さんがそのままなんて… 笑えました。

頑張って✊

No.25 12/10/03 07:29
自由人0 

>> 24 温かい言葉ありがとうございます🎵

No.26 12/10/03 07:41
自由人0 


彼の部屋で半同棲してようが、このキッチンをみたらあなたにもすぐ分かる


そう
私は、料理が出来ない


世話好きの母に甘えて育ち、料理好きの彼に甘えて暮らしてきた


もちろん、私だって料理のレシピをネットで覗いたり本を開いたことはある
家庭科の試験だって悪くはなかった
しかし、私にとっては全く現実味のない、他人事の世界だ

No.27 12/10/03 07:51
自由人0 


自分の中で数々の言い訳は散々してきた
だが、今、私は現実と向き合い乗り越えなければならない






お湯をコンロで沸かすのも冷や汗かく私だが


事態は避けて通れない


もしかしたら、怪我を負ったりボヤ程度でも火事を引き起こすかも知れない


でも、私は作る


カレーライスを

No.28 12/10/03 08:05
自由人0 


事の始まりは大学の学食


私や彼が通うK大学はマンモス校

だだっ広い敷地に無理矢理増築したのか、趣味なのかは分からないが、不思議な形の校舎が何棟も建っている

当然、学食も何箇所かあるし私は、日替わり店をしているので必然的に私を見つけるのが難しいと友達から言われる

No.29 12/10/03 08:17
自由人0 


日替わり店はするが、いつも私は、オムライスを食べる
オムライスはどこの学食にもメニューにあり、安定した味だった
ケチャップライスの中にグリンピースではなくピーマンであることも、私の中では高いポイントだ


私は、卵とライスとソースの配分に気をつけながら食べ進めていると肩を叩かれた

No.30 12/10/03 09:33
自由人0 

少しむせながら振り返るとカップを持ったサキだった

鎖骨まで伸びた髪の毛先を少し巻き、やり過ぎでない睫毛はそれでもパッチリしていて愛らしいサキによく似合う
ウエストラインを高めにしたワンピースは、彼女の体にピッタリ合っていて季節を先取りしたブーツも彼女が履くと嫌味にならないから不思議だ


セールで買ったTシャツにジーパン、ぺたぺたサンダルの足元の自分


仮にも同じ大学生
いや、女子大生
こうも、違うものか


私は、サキにみとれていたが彼女はおかまいなしに、私の横の席に座り、可憐な顔を私の化粧っ気のない顔に近づけた

No.31 12/10/03 09:48
自由人0 


「ちょっと、ナツ
こんなとこで暢気に食事なんて、よく出来るわね」


え~何が?とオムライスを頬張る私の手をサキは止めた


「あんた、旦那とはどうなってるの?
別れたの?」


物凄い剣幕で話す彼女に驚いていると

「やっぱり、知らないのね
…そんなとこだろうとは思ってた
あんたの天然もそこまでくると、呆れるわ
あんたから、何も言ってこないから黙って見守るつもりだったけどわかりやすく説明してあげる
あんたの旦那、浮気してるよ」


サキは、少々言葉遣いが乱暴である

No.32 12/10/03 10:18
自由人0 

サキの言う旦那とは私の彼の事だ

サキと彼は、同じ学部なのだ

三年生である私達は、授業数は一年の頃から比べると減ってはいたが、敷地内で彼と顔を合わせるのは、他学部の私よりもサキの方がぐっと多い


サキによると、彼は同じ学部の一年生と仲がいいと言う
お昼は、いつも一緒だしお互いの授業にそれぞれ潜りこんでまで一緒にいるとのこと
二人で帰る所も何度も見かけたという
時には、二人で顔が引っ付く位寄り添ってi-padを見ていたらしい
サキが調べた情報では、ラーメン屋から二人で出てきたことや、居酒屋でお酒を交わす姿も目撃されているという


気が合う友達なんじゃないか、という私にサキは空になった自分のカップを握り潰した


「いーい?
目を反らさず考えな
あんた、彼女だよね?
別れてないんだよね?
気の合うだけの存在があんたの方だったらどうすんの!
最近、キスしてる?愛、確かめあってるの?」


サキは、まくし立てるとこう付け足した



「一年の子
めっちゃ、可愛いのよ」

No.33 12/10/03 11:32
自由人0 

サキが、行ってしまうと私は、すっかり冷めきったオムライスをつついてみたが食欲も冷めきってしまった

午前中に授業は終わっていたので、学食を出ると私は家へ帰ることにした。



考えたこともなかった


彼との恋、生活が崩れることや無くなること


怪しんだことも、彼の気持ちが自分から離れてしまうなんて、本当に考えたこともなかった


けれど…


疑いの目でみたら、思い当たる節がある


夜、二人でご飯を食べる回数が減り、彼の飲み会の回数がぐっと増えた
以前は、二人でバイクでよく出かけていたが、最近では乗せて貰っていない
むしろ、二人で出かけたのっていつ以来だろう
彼はスマホに替えてから、部屋ではスマホばかりいじっている
洗濯は、してくれる
でも、最近…
キスしてないや
いや、いや、触れても触れられてもない



私は、何て自分がおめでたい奴だったのだろうと頭を抱えた


動揺している

私は、本当に頭を抱えていたので通りがかりのおばさんに『大丈夫?』と声をかけられてしまった

No.34 12/10/03 11:53
自由人0 


かなりズレてる私でも、この時は自分の部屋に帰った

久しぶりに帰る自分の部屋は、殺風景で他人の部屋のようだった


私は、とりあえず座った

しっくりこないので、立った

トイレへ行ってみる


居場所がなかった



涙が溢れる


幾度となく、流れる涙をそのままにしながら泣き方すら分からない自分が情けなかった

No.35 12/10/03 12:10
自由人0 


おいおいとひと泣きした後、私は、何気なくテレビをつけた


と、そこに可愛いエプロンをした女性と男性がカレーのCMをしていた
男性は、彼女が作った設定のカレーを嬉しそうに頬張る
私が好きな俳優だ

少し彼に似ている




そうだ


私もカレーを作ろう


二人で食べて、笑顔になって、そしてそして…

彼の今の気持ちを聞いてあげよう

それをなるべく、受け止めてあげるんだ

例え、別れという選択になったとしても



私は、一人で妄想し盛り上がっていた

半袖Tシャツなのに腕まくりのフリを付けて、無意味に指を鳴らした

No.36 12/10/03 13:33
自由人0 


カレーを美味しそうに食べる彼を散々思い浮かべた後、私はまた頭を抱えた



作り方がわからない


いや、入ってるものは大体わかる

市販のルーがあるから、比較的簡単そうなのもわかる
ジャガ芋など、皮をむくのだということも分かる

だが、じゃ始めましょうとなると手始めに何をしていいのか分からなくなるのだ

私は、母にメールをすることにした


元気?
彼に作りたいの
お父さんどうしてる?
などなど、伝えたいことはあったがシンプルに
『カレーの作り方教えて』と送った


母が返信くれるまでの間、シャワーでも浴びよう
これからの格闘に備えるために



私が立ち上がると、携帯が短く鳴った


メールを開く





『ルーの箱の裏に書いてある』

No.37 12/10/03 14:46
自由人0 


母の一言は、私の決意の炎を消しかけた


恐らく、料理のできない私にあーだこーだと説明しても無理だと判断したのだろう
これも、母の優しさだと言い聞かせ私はシャワーを浴びた


髪を乾かすも、もどかしく少々濡れた髪をゴムで引っ詰めて、スーパーへと向かった

No.38 12/10/03 19:04
自由人0 


足をのばして、大きめのスーパーに着くと、私はルーを探した


この時点で私は砕け散りそうになる


カレーのルーだけで、何て何て種類があるのだろう

箱でないのも、ある

値段もまちまちだ


とりあえず、CMと同じのを選び箱をひっくり返す



材料以外に工程は4つほどしかない

私は、思わず指を鳴らしそうになった


それから、読みふける

No.39 12/10/03 19:12
自由人0 


あの場所で、箱裏とにらめっこしてるのは私くらいなものだろう…


工程の1、で私はつまずく
厚手の鍋、というのが家にかろうじてある鍋で足りるのかが分からないのだ

母が作っていた鍋を思い浮かべた
私が持っているよりもたいそうな鍋だったことを思い出す


うちの鍋で代用出来るのか…
私は不安になった

よし、食材買ったらホームセンターへ行こう


私は、箱をカゴに入れると野菜コーナーへ向かった

No.40 12/10/03 19:33
自由人0 


それから、奮闘すること…どれ位の時間が過ぎたのだろう

スーパーを出た時には、薄暗くなっていた
夏休み前だというのに



冷静になってみると。私は変な客だったのだと思う


野菜コーナーでとまどった私は店員を捕まえ、中サイズのジャガ芋はどれか聞いたり、しまいには、量りをかしてくれと頼んだり

肉のコーナーでは、400㌘の肉を売ってくれと頼んだり

冷ややかな苦笑をなげかけられたが、気にしてはいられない


有りがたい事に鍋も売っていて、カレーに適した鍋を手に入れられた



私は、たっぷり脇汗をかいていたが満足していた



家へと急ぐ

No.41 12/10/04 07:13
自由人0 


キッチンに所狭しと、買ってきたものを並べる


念のため、バンドエイドも二箱買ってきた


さぁ、やるぞと意気込んだところで携帯が呼んだ

私は、少し舌打ちをして受信ボックスを開く



『今日、バイトだった?』
彼からのメールだった

今日は、二人ともバイトがない日だった

私が帰らないので、メールをしてきたのだろう




カレーが出来たら持って行くから

私は、携帯にそう話かけるといざ、キッチンへ勇んだ

No.42 12/10/04 07:25
自由人0 


野菜は生きている


私達の食卓に当たり前のように顔を出しているが、実は調理される前にはかなり抵抗しているのだろう


私は、にんじんの皮と戦い、ジャガ芋のでこぼこに右往左往し、たまねぎの果てしない皮の前に降参寸前だった

一口にカットする前に既に一口に近い状態で、これではカレーを作る材料として足りない

私は、シワシワになった掌を見つめると深いため息をついた


休憩しようとふらふらとソファに向かっていると携帯が光っていた


母からだった



『隠し味にチョコをひとかけ入れてみて』



意味の分からない母のメールに私は涙が出てしまった

No.43 12/10/04 07:38
自由人0 


今日は、きっと涙の日なんだ
私はこんなに涙もろくない

よく考えてみたら、今日カレーを持っていき彼の話を聞いたらもっと泣いてしまうかも知れない
そしたら、私は涙を一生分流してしまって、目が乾き、病院送りになるかも知れないのだ



明日、食材を買い足そうと決心すると涙が引っ込んだ

No.44 12/10/04 08:06
自由人0 

ピンポ…ン



突然、部屋のチャイムが鳴った


私の部屋にもチャイムがあったのだと驚き戸惑っていると



トントントン


ドアを叩く音


がちゃり



外のあたたかい空気が入ってきた



「無用心だなぁ」


クスッと笑う、彼がそこにいた

No.45 12/10/04 08:26
自由人0 


カレーの張本人、いや、改めてみると爽やかで優しそうな彼の登場に私は、言葉を失った


「メールしたのに返事ないし、ナツはぶっきらぼうでも突然のバイトや出かける時も連絡はくれるだろ?」

靴をぬぎながら、彼は言った

そして、視線はキッチンへ注がれていた


私は、喉の奥が熱くなり一言も出すことが出来ない


彼は、私の顔を覗き込むと私の手をとった



「手は切ってないみたいだね
どれだけ、野菜を洗ったの?ふやけてる」


ナツ、カレーが食べたかったの?言ってくれたら作ったのに
と優しく微笑む彼に私はブンブンと首を振る


クエスチョンマークを浮かべながらも優しい態度の彼を見て、私は涙した

No.46 12/10/04 08:46
自由人0 


彼は、私をソファへ座らせると私が泣き止むまでずっと手を握っていてくれた


あぁ、こんなに素敵なんだもの
私にはもったいないよね



「ナツと連絡がとれなくて
居るだろうと思った時にナツがいなかったなんて初めてだったから
心配したよ」

少し泣き止んだ私の様子を見ながら彼が話し出した


「だから、サキに電話してみたんだ

サキから聞いたよ
サキが今日、ナツに話したことを」

私は、一瞬ビクンと反応したが冷静さを少し取り戻していた


彼の話を聞こう

こんな私に今でも優しくしてくれる
彼を受け止めてあげよう



「ナツにもサキにも迷惑かけたみたいだね
ごめんね
最近、ナツにご飯作れなかったもんね
コンビニやインスタントにも飽きるよね
サキは、ナツに女らしくなって欲しいから意地悪言って喝いれたって言ってたけど」


きつく目をつむっていた私だが、何だか話が分からなくなった


彼は、私にご飯を作れなかったことを詫びている

サキの喝…?



私は、喉をゴクンと鳴らした

No.47 12/10/04 09:05
自由人0 


夏休みももう目前


私は、とろり卵の上にかかったケチャップをまんべんなく広げながらサキと話していた


可愛い一年生が男の子だったなんて意地悪ね
と笑いながら、サキに話すと彼女も笑った


そして、カレー事件について私が話すともっと笑った

サキは、ガハガハ笑っても可憐さがあってうらやましい


「でさ、カレーは結局どうなったの」


サキの質問に答える



あのあと


彼と、話して軽いキスした後
あっ聞いてない?
一口サイズの野菜をみじん切りしてドライカレーを作ってくれたの
出来上がって、さあ食べようとした時、ご飯がないことに気づいてさ

でね

と話続ける私を見てサキは

「ナツ、綺麗になった」

と笑った



【カレーライス・完】

  • << 50 えぇ話しだ☺

No.48 12/10/04 10:36
自由人0 





コールセンター

No.49 12/10/04 12:26
自由人0 


インカムをはめた右耳からププと短く機械音がした

パソコンのディスプレイを見ると『電話がかかっています』の文字


私は、さっとペットボトルのお茶を含むとEnterキーを叩く




『お電話ありがとうございます
KS株式会社お客様センターの加藤でございます』

No.50 12/10/04 15:08
名無し8 ( 30代 ♀ )

>> 47 夏休みももう目前 私は、とろり卵の上にかかったケチャップをまんべんなく広げながらサキと話していた 可愛い一年生が男の… えぇ話しだ☺

  • << 51 名無し8さん いつもありがとうございます。あなたの一言で心が軽くなります。
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