拳へ

貴方と別れてから、お母さんは訳も分からない状態で、本来ならば絶対一緒にいないだろう人達の中にいました。
そこから逃げ出す為に、少しのお金と着替えを持ち、信州まで逃げてそこで住み込みで働きました。働いて貴方を迎えに行きたかった。でも、現状は生活するだけでいっぱいだった。そんな状態が３年過ぎた頃、お母さんは体調を崩し働けなくなり、そんな時お母さんの居場所を探していた貴方のお祖父ちゃん達がお母さんのところに来て、お母さんは実家に帰る事になりました。

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それからしばらく、お母さんは療養する事になりました。
ようやく、回復してまた働ける状態になった頃、お母さんは貴方が経済的にも恵まれて、のびのび生活していることを聞きました。それを壊してはいけないと助言もうけました。
お母さんは、貴方に会いたくて会いたくて、貴方の住所と電話番号を調べました。でも、どんな顔をして行けばいいのか、そんな資格があるのか悩み貴方の後ろ姿を遠くから見つめて、その姿を目に焼き付けました。

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お母さんにとっての拳は、５歳のまま。
そこで記憶が止まっています。
お小遣いを貰って、喜んだ拳はお母さんに黙ってお家から居なくなった事があったね、必死に探して近所のおじさんにスーパーの近くで見かけたと言われて行ったら、貴方は一生懸命おかずを選ぼうとしていたね。
お母さんが近づいて行ったら、拳はママにプレゼントしようとしたのにってガッカリしていたね、お母さん嬉しくて涙が出たよ。
拳は、とても優しい男の子でした。
お母さんは、拳さえいてくれたらそれで良かった。

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それなのに…。
今でも、あの当時の自分の知識の無さには情けなく思う。
法律の知識もなく、拳を渡さずにすんだのにわからなかった。後悔せずにはいられない
今なら負けなかったのに、精神的にも。

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>> 4 拳、お母さんを恨んでいるよね。お母さんを憎んでいるよね。それも仕方ないです。
お父さんとは仲良くしてますか？
好きな人はいますか？
お母さんのせいで、信じられないでいますか？
本当にごめんなさい。

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お母さんはあれから、貴方を思い出さない日は１日もありません。
貴方は生まれつき、病気がありました。お母さんは、自分をずっと責めていました。
一緒にいられた時は、病院にちゃんと通わせていましたが、今は通っていますか？それで苦しんだりしていませんか？

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