両想いだろ?
ねぇ。
オレのこと、好き?
オレは、大好きだよ。
だからさ~
オレのこと、好きになってよ。
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>> 1
オレの名前?
聞きたい?
干潟笙。
ひがたしょう、って読む。
笙って字は、竹のように真っ直ぐ、そして強く生きられますように。って、親が付けてくれた。
まぁ、おかげで?
オレの身長、竹のようにグングン伸びて182センチ。
ちょっとやそっとじゃ、くじけねぇ!
そんなハートの持ち主に育ちました~
しかも、モテる。
自分でいうのも、何だけどさ。
学校でも、コクってきた女子は、数え切れねぇ。
そんなオレは今、大学3年生。
一人暮らししてる。
縁あって、親戚の知り合いのとこでバイトさせてもらう事になったんだけどさ。
そこで見つけたのが、さっきの女子。
これがまた、超好みのタイプでさぁ。
どストライク!
ただ、なかなかオチねぇの。
>> 7
そんなある日。
疲れ果てて、夜遅くにおやっさんと二人、帰ってきた。
おばさんは、いつもおやっさんが帰ってきてからじゃないと、風呂には入らねぇ。
でも、オレは、当然風呂には入らねぇから。
「澪夏~、干潟くんにご飯の用意してあげて~」
おばさんが、2階の自分の部屋にいた澪夏ちゃんに声を掛ける。
「えぇ~!なんで~」
半分キレながらも、階段を降りてくる澪夏ちゃん。
おばさんはそんな澪夏ちゃんを無視するように。
おやっさんと風呂に入ってった。
仲、いいんだよな。
おやっさんとおばさん。
いくつになっても、必ず一緒に風呂入って。
オレも。
そうなりてぇ~
もちろん、澪夏ちゃんと!
>> 9
「なに?じゃなくてさ。」
どした?澪夏ちゃん。
あ!
ついに、オレに。
こ・く・は・く?
キラキラモードで、澪夏ちゃんを見つめる!
「干潟くん。あなた、私より下、だよね?」
なんだ!そんな事?
「そだね!でも、オレ的には全然!気にしねぇよ~」
だって、そうだろ?
3歳年上の彼女なんて。
今時、全然珍しくもなんともねぇし~
「何が気にしないのよ!私が気にするの!!」
へぇ~
澪夏ちゃんて、意外に人の目?とか、気にするタイプなんだ~
「大丈夫!オレの方は、全く問題ないから!」
何口目かのカレーを食いながら。
「澪夏ちゃんのカレー!うめぇ~」
まさかこんなに早く、澪夏ちゃんとつきあう事ができるようになるなんて~
笙スマイル全開で、澪夏ちゃんを見つめた。
>> 14
なんで、そんなセクスィーな格好してんだよ~
テンション上がりっぱなしのオレと!オレ、Jr。
って。
ここは、澪夏ちゃんち。
自分の家にいるんだから、リラックスしてても、なんの問題もない。ワケで。
にしてもさ。
無防備すぎるぜ。
澪夏ちゃん。
澪夏ちゃんのカレーも、一層旨く感じるっつうの!
絶対、オレの彼女にするからな!
「はい!三杯目!!」
「ハァ…、よく食べるわね…」
呆れたように、オレから皿を受け取る。
「えっ~だってっ…」
澪夏ちゃんの下着が見えて、テンション上がって~なんて言ったら。
きっと、半殺しの目に遭う……!
「澪夏ちゃんのカレー!サイコー!」
ここはひとまず、冷静に対処。
「ふーん。」
なのに澪夏ちゃんは。
オレの顔なんて見もしねぇで、キッチンの方へ行っちまった。
- << 26 澪夏ちゃんと入れ違いに、おやっさんが風呂から上がってきた。 「先に頂いてます!」 おやっさんに挨拶する。 こうみえて、オレ。 礼儀はきちんとやってる方だって、自負してる。 まぁ、エラそうに言う事じゃねぇけどさ。 「おぅ!腹一杯食ってけ。」 おやっさんが、タオルで顔を拭きながらオレに声かけてくれる。 「はい!ありがとうございます!もう、三杯目です。」 「そうかぁ!うちのかみさんのカレー、旨いだろ?」 ニコニコ笑いながら、胡座をかくおやっさん。 え……? 「はい。三杯目」 ニヤニヤしながら、オレの目の前に三杯目のカレーを置く、澪夏ちゃん…。 「お…おばさんのカレー。」 「まだまだ、おかわりしていいぞ~」 「え…、あ、はい。……ありがとう…ございます。」 呆然とするオレの前で、必死で笑いをこらえてる…澪夏ちゃん…。 澪夏ちゃんが、鬼に見えるぜ…… 今までのオレのテンション…… どーしてくれんだよ~~~
>> 15
なんで、そんなセクスィーな格好してんだよ~
テンション上がりっぱなしのオレと!オレ、Jr。
って。
ここは、澪夏ちゃんち…
澪夏ちゃんと入れ違いに、おやっさんが風呂から上がってきた。
「先に頂いてます!」
おやっさんに挨拶する。
こうみえて、オレ。
礼儀はきちんとやってる方だって、自負してる。
まぁ、エラそうに言う事じゃねぇけどさ。
「おぅ!腹一杯食ってけ。」
おやっさんが、タオルで顔を拭きながらオレに声かけてくれる。
「はい!ありがとうございます!もう、三杯目です。」
「そうかぁ!うちのかみさんのカレー、旨いだろ?」
ニコニコ笑いながら、胡座をかくおやっさん。
え……?
「はい。三杯目」
ニヤニヤしながら、オレの目の前に三杯目のカレーを置く、澪夏ちゃん…。
「お…おばさんのカレー。」
「まだまだ、おかわりしていいぞ~」
「え…、あ、はい。……ありがとう…ございます。」
呆然とするオレの前で、必死で笑いをこらえてる…澪夏ちゃん…。
澪夏ちゃんが、鬼に見えるぜ……
今までのオレのテンション……
どーしてくれんだよ~~~
>> 26
バイトは、毎日行ってるわけじゃねぇ。
平日は基本、学校あるから。
だから、土日がバイトの日。っていうパターンが多い。
今日は土曜日。
いつものように、オレは愛車で澪夏ちゃんちに向かう。
ちょうど、車を止めて降りようとした時だった。澪夏ちゃんが仕事に出掛けようとしてて。
朝から、澪夏ちゃんに会えるなんて!
ラッキー!
「わかった?澪夏?
今日の夜は、空けておきなさいよ~」
家の中から、おばさんの声が聞こえる。
「わかったよ…。」
生返事の澪夏ちゃん。
玄関からでてきた澪夏ちゃんがオレに気付いて。
「あ…」
あ?って、なんだよ~
朝からテンション互いオレに向かって~
しかも。
「はぁ…」
ため息までついてるし!
>> 27
「ちょっと~澪夏ちゃん?人の顔見てため息つくなんて、失礼過ぎるっしょっ!」
軽く口を尖らせながら、拗ねてみる。
「仕方ないでしょ。まんま、干潟くんのせいなんだから。」
鞄から、車のkeyを取り出しながら、オレを横目で見る。
「へっ?なんだよ。オレのせいって~」
「お母さんに聞いて。」
「え?おばさんに…?」
余計、わかんないねぇよ~
ひとりいじけてるオレを。
無視するかのように。
澪夏ちゃんは、車を発進させた。
くぅ~!
相変わらず、つめてぇ~
でも、今日も。
可愛かったぜ。澪夏ちゃん!
しかも、このあとに知る出来事が、更にオレのテンションを上げてくれるなんて。
この時のオレは、まだ知らなくて~
>> 28
「えっ?マジですか!?」
この事だったんだ!
「そう~。急で悪いんだけどね。
干潟くん、来れそう?」
「もちろんです!」
あったりまえじゃ、ないっすか!
「ほんとに?なんか予定とかなかった?
せっかくの土曜日だし~」
「いや~、ないですよ~!」
思いっきり、だちと約束あったけど~
「そう~?良かった。
じゃあ、また後でね。」
おやっさんとオレが、仕事に出かける前、車の外からおばさんと話した内容だ。
詳しく言うと。
おやっさん家族と、おやっさんの仕事関係の社長さんとで、飯食いに行くから、オレも誘ってもらったって話!
たださ。
さっきの澪夏ちゃん?
なんで、ため息ついてんだ~?
オレは、澪夏ちゃんと飯食いに行けるってだけでさ、こんなにウキウキなのにさ~
>> 30
オレとおやっさんが帰ってきた頃には、おばさんも澪夏ちゃんも出かける用意済ませてて。
おやっさんはいつも、すぐ風呂入んだけど。
オレは、今日だけシャワー使わせてもらった。
汗塗れのまま、食事に行くの可哀相だからって。
ありがてぇ~
オレ以外はもう、ほとんど準備終わらせて、待っててもらってるから。
急いで、シャワー浴びる。
頭から掛ける少しぬるめのシャワーに、ちょっとビクッとなりながらも、
「フーッ!気持ちいい!」
シャンプーを使わせてもらおうと思って、辺りを見渡せば…
明らかに違うシャンプーとコンディショナーのセットが二種類。
恐らく。
一つはおやっさんとおばさんが使ってるやつで。
もう一つは、澪夏ちゃんが使ってるやつ。
オレは迷わず。
澪夏ちゃんが使ってると思う方を使う!
…って!
オレ、変態か!!
いや…
ここは、変態と思われようが思われまいが。
澪夏ちゃんと同じ香り。
漂わせてぇ~!
やっぱ。
オレ、…変態。………
>> 31
「すみません。お待たせしました!」
澪夏ちゃんちのシャワーで、身も心もきれいさっぱりになったオレは、おやっさんちの車に便乗させてもらう事になった。
オレはオレで、どうせ帰りは車だから、自分の車でも良かったんだけど。
なんでも。
飯食うとこが、山道を行ったとこで。
駐車場もあんま、広くないらしい。
それに、おやっさんの知り合いの社長さんって人は、そこで待ち合わせてるから。
余計、駐車場が足りなくなる可能性があるとかで。
一緒に行く事になったってワケ。
おやっさんは、酒飲むから。行きは、おやっさんが運転して、帰りはおばさんが運転するらしい。
だから、運転席にはおやっさん。
助手席には、おばさん。
つう事は。
後部座席には、オレと。
澪夏ちゃん!
>> 32
車の中では、おやっさんとおばさん、そしてオレの三人で話が弾んでた。
そんな中、澪夏ちゃんはほとんど?いや。
全くと言っていいくらい、何にもしゃべんねぇ。
まぁ、いつもの事だけど。
チラッと、澪夏ちゃんを見る。
窓の方を見て、何かを考えてるみてぇだ。
「ねぇ。どうかした?」
オレの質問に、
一瞬だけ、オレを見たかと思えば。
すぐさま視線を窓の外に戻して、
「別に。」
冷たく返す澪夏ちゃん。
そりゃないぜ!
あ!
「腹でもいてぇとか!?」
「………!」
はい…
思いっきり、睨まれました。
そんなオレ達を見て、おやっさんもおばさんも笑ってたけど。
もう。
その目的の場所に着く頃には、辺りは薄暗くなってて。
しかも、けっこうな山道だった。
確かに、運転には自信のあるオレでも、ちょっとヤバかったかも!
>> 33
店に着いた時、ちょうど知り合いの社長さんも着いたばっかりだったみてぇで。
初めてだったオレは、軽く挨拶する。
「どうも!真鍋といいます。干潟くん。だったっけ?」
歳は、おやっさんより少し若そうだけど。
なんかこう……
上から目線っつう感じが出てなんな。
ま、社長っていうぐらいだから。
それなりに、すげーんだろうけど。
ただ。
オレは、興味ねぇ。
「やあ~、澪夏ちゃん!元気そうだね~」
澪夏ちゃんを見つけた真鍋さんが、近寄ってくる。
ん?
澪夏ちゃんの事、知ってんのか?
「どうも。ご無沙汰しております。」
深々と頭を下げる澪夏ちゃん…
なんだか…
妙に、仰々しいな。
>> 35
ただ、誰も手を出そうとしねぇ。
こんなに美味そうな料理が並んでんのに!
なぜだ?
誰も食べねぇんだったら!
そう思って、箸を持とうとした時………
澪夏ちゃんが素早くオレの右手を押さえつけてきた。
なに!?
って声が出そうになったと同時に。
「待って…!」
ほんとに聞こえるか聞こえないか、わからねぇような声で。
澪夏ちゃんが言う。
訳が分からないオレが、澪夏ちゃんを見ると……
表情ひとつ変えずに、前を見てる。
オレの右手の上には、
澪夏ちゃんの白い手がしっかりと乗せられてて。
おやっさんと真鍋さんの談笑が続いている中。
澪夏ちゃんからは、ただならぬ緊張感が伝わってきた。
>> 36
訳はわからねぇけど。
ここは。
澪夏ちゃんに従おう。
おばさんを何気に見ると、やっぱり何も食べずに、おやっさんと真鍋さんの話をじっと聞いてる感じだ。
そのうち、酒も運ばれてきて。
澪夏ちゃんが、その場で膝立ちする…。直前。
オレの耳元で澪夏ちゃんが囁いた。
「私が合図するまで、箸をつけるのは待って。」
小さく頷くオレ。
日本酒なんだろう。
澪夏ちゃんが目の前にいる真鍋さんに向かって。
「どうぞ。」
そう言って、徳利を差し出す。
「ああ~、澪夏ちゃん。ありがとね。」
テーブルの上に置いてあったお猪口を取って、座ったまま、前に突き出す真鍋さん。
「あ、いえ。」
そう言いながら澪夏ちゃんは、真鍋さんのお猪口にお酒を注ぐ。
>> 37
それを見計らったように、おばさんがおやっさんのお猪口にも酒を注いでいく。
そしてまた、膝立ちしたままの澪夏ちゃんが、真鍋さんのお猪口に注ぐ……。
なんだ、これ……
世に言う。
接待ってやつじゃねぇのか………
何回か、こんな場面が続いた後。
「さあ~、食べましょ~」
ご機嫌になった真鍋さんが、皿の上にある刺身を一口食べた。
その時。
「食べていいよ。」
って、澪夏ちゃんが。
けど。オレは…
どうしても、箸をつける気にならなくて。
だって、そうだろ?
なんで。
澪夏ちゃんが、こんな…
まるで。
ホステスみてぇな事……
やんなきゃ、いけねぇんだ!!
でも、その間も。
澪夏ちゃんは、真鍋さんの酒を注いでいく。
どんどん。
そのうち、真鍋さんが、
「ほら~、澪夏ちゃんも飲みなさ~い」
澪夏ちゃんに進めてきた。
皿の上の料理もどんどん、無くなっていく。
>> 39
外灯しかない駐車場で、オレは一人、煙草を吹かしてた。
なんでだよ……!
澪夏ちゃん…。
クソッ!!
オレは吸ってた煙草を思いっきり、地面に叩きつけた。
「煙草。こんな所に捨てちゃ駄目でしょ。」
「!!……」
澪夏、ちゃん………
オレが捨てた煙草を拾い上げ、近くにあった吸い殻入れに捨てた澪夏ちゃん。
なんで。
ここにいんだよ。
聞きたい事はいっぱいあるのに……
頭の中がぐちゃぐちゃで、コトバが浮かんでこねぇ……
あの、真鍋…っ
「ハァ~」
澪夏ちゃんが、ため息ついた。
ため息つきたいのは、オレの方だよ…?
だから、つい……
「アイツの相手、しなくていいのかよ…!」
こんな、
クソみてぇな、事。
聞いちまってた。
>> 41
オレも黙って、澪夏ちゃんの横に腰掛けた。
「ま。あのオヤジが考えてる事なんて、手に取るようにわかるから。
特に問題はなかったんだけどね。」
「い…、いや!問題あんだろ!めちゃくちゃ、あるじゃん!」
またもや興奮したオレは、いつのまにか、手にした煙草を握りつぶしてた。
そんなオレをチラッと見た澪夏ちゃんが
「そうね。
あったとしたら…。
干潟くんね。」
なんて。
足を組み直しながら、ちょっと遠くを見つめる。
「オレ?いやいや!オレじゃないっしょ!
問題なのは、あのオヤジと……!……」
身を乗り出しながら、澪夏ちゃんに訴えようとして。
思わず、澪夏ちゃんの名前をだしそうになる。
>> 42
いや。
わかってんだ。
澪夏ちゃんは、なんも悪くねえって事、ぐらい…
ただ…オレは、……
あんなくそオヤジにお酌して!
しかも、澪夏ちゃん……
一緒に飲んだんだぜ?……!
オレは…。
「あのオヤジね。
いつも、そうなの。」
オレの不満を抑えるように、澪夏ちゃんが静かに話す。
……いつも。
…って?
「なにが……?」
「人を試すような事をしてくる。」
「え?試す?」
「そう。
お父さんが干潟くんを雇ったって聞くと、どんな人間なのか知りたくて。あ、勿論本人はそんな事、これっぽっちも口にださないけどね。
だけど、さっきも言ったけど。
見え見えなの。アイツの考えてる事なんて。」
いつのまにか、《オヤジ》から《アイツ》になってるよ…
オレも、人のこと言えねぇけど。
静かに話しだした澪夏ちゃんを見てると、オレもちょっとだけ冷静になってて。
>> 43
「自分は、非常識なくせして、人には常識を求めてくる。」
常識……
「!!…それっ…て!」
「そ。あの場合、一応。
アイツが私たちを招待してるから、アイツより先に箸をつける訳にはいかないの。」
「………そっ…か…」
もしあの時、澪夏ちゃんが止めてくれなかったら。
「おやっさんの仕事。……無くなってた?」
今更ながら。
オレは。
オレのした事に、後悔した……
礼儀はちゃんとしてるなんて。
は…笑える。……
ガキだな。オレ…
「大丈夫よ。」
「大丈夫…な訳、ないよ…」
ごめん。澪夏ちゃん…
すみません。おやっさん……
オレのちっぽけなヤキモチのせいで。
「実際、起きた時には、何も覚えてないから。あのオヤジ。」
え?覚えてない…って?
それに澪夏ちゃん…
また、オヤジに戻ってるし……
「どういう事?」
>> 44
「言ったでしょ?
つぶれてるって。」
うん?
あ…
「いや、言ったけど…さ。ただ、酒飲ませたぐらいで?」
「そうよ。
あのオヤジ、酒好きなくせして、酒、弱いのよ。
だから、最初っから、ガンガン飲ませてたでしょ?」
思い出してみる。
……………
いや…、確かに。
そうでしたけど…
「いつも、ああやって、私が、相手しながら、飲ませてんの。
お母さんは、全くダメだし。
かと言って、お父さんは自分も飲んじゃって、役に立たないから。」
えっと…
自分のお父さんの事、役に立たない…って?
澪夏ちゃん…。
あははは…
さすが…。澪夏ちゃん!って感じ。です。
って!
いやいや!
ちょっと待てよ!
「澪夏ちゃん!だって…かなり、飲んでた?よね……?」
「そう?別に、私は普通だけど?」
「いや。だって、オレが部屋を出てからだって、飲んでたんじゃねぇの???」
「まぁね~干潟くんが、拗ねてる間に~。日本酒を五合、瓶ビールの大を5本、焼酎のお湯割りを3杯。こんなとこかな~」
何気に、オレの事拗ねてる…とかつついてるし……
しかも。
自分たちが飲んだアルコールの量、きちんと把握してるし……
>> 45
澪夏ちゃん…
いや、
姉さん…。
コワイッす……
「ん?なんか、言った?」
「あ!いえ!」
た…頼もしいっす……。
「ハァ…」
今度は、オレがため息ついた。
「何?ため息なんかついちゃって。」
なのに澪夏ちゃんは、オレと違って、怒ったりしねぇ…。
ほんと。
ガキ…。
「オレ…。」
「ねぇ。」
「え…?」
「夜景。………キレイだね。」
夜景?
澪夏ちゃんと二人、座ったベンチから。
街の夜景が見えた。
「そだね。」
「あたし。あんまり、夜景なんて観た事ないんだ。」
「そう、なの?」
「うん。」
確かに。
ここからも、夜景は見える。
ただ、山って言っても、ちょっと小高い所って感じだし。
夜景だって、街の灯りはかなり少なくて。
>> 47
部屋に戻ったオレと澪夏ちゃん。
するとそこには、真鍋のオヤジの姿はなく。
キョロキョロするオレに、目配せする澪夏ちゃん。
その視線の先には、最初に部屋に入った時に気付いてた襖が…。
オレは、そっと襖を開ける。
そこには。
顔を真っ赤にして、すっげえいびきををかきながら、布団に寝る真鍋のオヤジの姿。
いくら、酒よえーからって。
オレの隣には、思いっきり普通の、澪夏ちゃん。
オレの視線に気付いた澪夏ちゃんが、ニヤリと笑った……
やっぱ。
マジ、コワいっす……。
でも、今更だけど。
澪夏ちゃんのおかげで、オレは今、普通にここにいられるんであって。
マジで感謝です。
あ、真鍋のオヤジの事だけど。
このオヤジは、いつもこうなるから。
澪夏ちゃんが最初っから手配してて、ここに泊まっていくようになってるらしくて。
朝になって、本人は覚えてないから。
いつも、店の人が上手く話してくれて。
恐縮しながら帰っていくらしい。
これも、澪夏ちゃんに言わせると。
思惑通りらしくて。
『事を荒立てる事なく、上手く付き合っていくのよ。』って、澪夏ちゃん。
はい。尊敬します!
>> 48
真鍋のオヤジ程じゃねぇけど。
酔っ払って一人では歩けなくなってるおやっさんを、オレが背負って車まで運んだ。
「ありがとね~。干潟くん~」
酔っ払ってるおやっさんを、助手席に乗せてると。
おばさんがオレに礼を言う。
「あ!いえ。」
礼なんて。
言われるような事、してないっす…。
「はい。」
そんな感傷に浸ってると、いきなり澪夏ちゃんが何かをオレに差し出す。
「?…なに?」
「お腹、空いてない?」
「え?…あ。」
そういえば。オレ…
結局、何にも食ってなかった…
「腹…減った…」
「でしょ。お店の人に言って、適当に詰めてもらったから。まぁ、刺身は流石に…ね。楽しみにしてたみたいだけど?」
あ…
改めて、今日の事思いだしてみた。
クソ…
真鍋のオヤジのせいで…
………
いや、結局は。
オレが未熟で、
ガキだったから。
なのに。
そんなオレを、おばさんも澪夏ちゃんも。
責める事なく……。
「ありがとうございます…。いただきます!」
おばさんや澪夏ちゃんが作ってくれたものじゃねぇけど。
みんなの愛情がいっぱい詰まった弁当を。
オレは、有り難く受け取った。
>> 49
バイトじゃない日に、おやっさんち行くの。
初めてだからか。
妙に緊張すんな…
今日は、澪夏ちゃんと約束した《夜景》を観に行く日。
オレは、前日、バイト中に。
おやっさんにきちんと今日の事、報告した。
だって、仮にもおやっさんの娘さんだし。
おやっさんちに迎えに行くのに、何にも言わねぇなんて。
あり得ねぇだろ?
おやっさん。
ちょっとだけ、困ったような顔したけど。
「そうか。澪夏の事…よろしくな。」
って。
「あ…、はい!」
よろしくな。なんて、かしこまって言われると…。
ちょっと、照れちまったけど。
任せて下さい!
この前の、真鍋のオヤジ…あ…!
真鍋…さんの件もあるんで!
なんて口には出さねぇけど。
澪夏ちゃんの事。
ちゃんと、楽しませてきますから!
- << 51 家の中に入ると、おばさんが奥から出てきた。 オレの顔を見るなり。 「澪夏~!干潟くん、来てるわよ~」 二階の自室にいる澪夏ちゃんに、声を掛ける。 「あ…!すみません!」 オレが恐縮してると… ニッコリ笑いながら。 「何、してるのぉ~ 早く、しなさ~い。」 ってまた、澪夏ちゃんに向かって階段下から、急かすおばさん。 「あ、あの、いいっすよ!オレが、予定より早く来すぎたんで!」 そう。オレは。 気合いが入りすぎて、予定の時間よりかなり早く、着いてしまって。 「そうよ。まったく…!こっちの身にもなってよ!」 階段を降りてくる澪夏ちゃんの声が聞こえてきて。 ヤベッ! 超、機嫌悪そう! 「澪夏ね~。あなた、迎えにきてもらってんだから。早めに準備しておくのが、礼儀でしょう~」 なんて言いながら。 おばさんは、オレに申し訳なさそうに言ってくれる。……んだけど…。 ほんとにもう…、いいっすよ……おばさん… だって。澪夏ちゃん。 怒らせると、マジこえ~し! オレは、苦笑いするしかなくて。 おばさんに頭下げてた。 下げた頭の視線の先に、澪夏ちゃんの足先が見えたから。 顔を上げると…… 「……………」 オレは。 言葉を、失った。
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