てねむ
俺
新居 豊
(にいどめ ゆたか
21歳♂
相方
相馬 拓海
(そうま たくみ
21歳♂
路上からやっと売れ始めたストリートmusician‼
※更新不定期です
※本当にだらだら更新します。すみません。
※途中でやめたらすみません。
>> 2
「・・・・・ハァ」
リコーダってなんだよ💨
てねむってなんだよ💨
言いたいことが頭の端っこから幽霊みたいにフワフワって流れてく
ギターにリコーダって・・・・
だから、バンド名ぐらい格好良くしたかったのに
てねむ
って・・・・・・
食べかけのハンバーガーを片手にもったまま
机にうつ伏した
俺の気も知らないで
横からハンバーガーを奪い取って食べ始める奴に更にやる気を失う
- << 5 「バンド名はてねむでしょう~ 楽器はにいちゃん(新ちゃん)のギターに、僕のリコーダ✨ 歌は、僕高音 にいちゃん低音 ってとこ?」 「まて! 2つ訂正させろ まず!リコーダ却下! かっこわりぃ! それから、俺高音。 お前低音。」 「ええ! そんなごっつい声で低音なんて無理だよ~ 僕のリコーダと高音はピカイチさ✨」 俺のポテトを当たり前のようにはぐはぐやっている拓海の頭を、グーで軽く叩く 思い起こせば、俺の人選ミスだったんだ
>> 3
「・・・・・ハァ」
リコーダってなんだよ💨
てねむってなんだよ💨
言いたいことが頭の端っこから幽霊みたいにフワフワっ…
「バンド名はてねむでしょう~
楽器はにいちゃん(新ちゃん)のギターに、僕のリコーダ✨
歌は、僕高音
にいちゃん低音
ってとこ?」
「まて!
2つ訂正させろ
まず!リコーダ却下!
かっこわりぃ!
それから、俺高音。
お前低音。」
「ええ!
そんなごっつい声で低音なんて無理だよ~
僕のリコーダと高音はピカイチさ✨」
俺のポテトを当たり前のようにはぐはぐやっている拓海の頭を、グーで軽く叩く
思い起こせば、俺の人選ミスだったんだ
- << 7 もともと一人で路上してたんだ 特に目的もなく、ただがむしゃらに歌いたかった 歌声やギターには自信があったし 俺の高い声は、煩い街中でもよく響いた だからといって、路上なんてたくさんいるから、聞いてくれる人なんて殆どいない いても酔っ払ったオジサンか、飲み屋の姉ちゃん。 それでも、構わなかったんだ ギターをかき鳴らし 声を張り上げる 最高に気持ちのいい時間
>> 7
あれはいつものように
急に歌いたくなって
遠くに行くのが面倒で
近所の飲み屋街の端っこで
行き交う人々を横目に
声を張り上げていた時だった
誰一人振り返らない中
小柄の茶髪の男の子(あの時俺にはそう見えた)がよたよたと俺に寄りかかってきた
そいつは俺を見上げると目を輝かせて
にいっ
と笑って口を開いた
「にいちゃん!カッコイい!
僕も一緒に歌わせてぇ✨」
なんだ!コイツ!?
正直馴れ馴れしい奴は苦手だ!
肩に回してきた手をはねのけると
そいつは大事なギターに触れてきた
「なっ💦こら!俺のギターにサワルナ!お前だれだ!」
「にいちゃん、僕のこと忘れたのぉ?
僕は一目見ただけで
分かったのにぃ~~」
「はぁ?ににいちゃんって?俺お前の兄貴じゃないし?
てか酒くせぇ!
酔っ払いならお断りだ!」
「なんだよぉ!
いましがたふられた僕の気持ちを癒すのは
歌しかないんだよぉ
にいちゃん一緒に歌わせてよぉ」
だめだこりゃ
なんだか面倒臭い酔っ払いに会っちまった
時々いるんだよな
こういう奴
歌わせろ!歌うまでかえらねぇ!
って
てこでもかえりゃしねぇんだこれが・・・💧
>> 8
「わ~った!わかったから ちょっとまて!
えと・・・
じゃあ この本の中から曲選べよ!」
「えぇ!
これ オフタロ~の歌じゃないかぁ
なんか暗くてイヤなんだよね~
これしかないの?」
「ない!」
「ちぇっ
しょうがないなぁ~!」
おいおい
俺の尊敬するオフタロ~を
暗い呼ばわりした挙げ句、しょうがないだとぉ!!
キレそうな俺を知ってか知らずか
奴はつまんなそうに
コード本をペラペラとめくる
サラサラの茶髪が、くりんとした二重の目にかかってる
こいつ、女みてぇ
俺の視線を感じたのか
奴がふいにこちらを見る
そして、ニヤリと笑うと、開いた本を差し出した
「これっ✨いいねぇ
今の切ない僕の気持ちにピッタリ✨」
ふぅん・・・
意外といい曲選ぶじゃん
「わ~った!
これ歌ったら帰れよな!潔く!」
「なんだよ~にいちゃん
冷たいのぉ~」
「だから
俺はお前の兄じゃねぇ!
って、とにかく
もういいから 歌い終わったら帰ってくれ!」
「うぇ~
酔っ払いになんか構ってらんない
俺は奴の言葉を遮るように、勢いよく
ギターをかき鳴らした
>> 15
観客が一斉に笑い出す
オイオイ
拍手ぐらいくれよ💧
「いょっ!大統領!」
なんて訳の分からないほめ言葉と
女性陣の痛い視線を浴びながら
酔っ払ってんだか
なんだかしらんが
抱きついてはなさない奴を無理やり剥がそうと試みる
抱きつくのは構わん
いや
暑苦しいのは暑苦しいんだけど
とにかくギターを壊されたんじゃたまんない
「とにかく!離れろ!
ギターが壊れんだろ!」
「やだ!離さない~!
もう一曲!もう一曲歌いたい!歌わせてくれるなら離す」
「一曲だけの約束だろ!
帰れ!帰れ!この酔っ払い!」
「やだ!もっと気持ちよくなりたい!
一緒に逝こう!」
「だから!
んなエロい言い方すんな!意味わかんねぇし!」
>> 23
「東卒中 三年二組
新居 豊くんっつ!
僕は あの時 君のことが!!むぐぐっ!!!」
ひぃ!xF0xF0xF0xF0xF0xF0
振り返り、猛ダッシュで奴の口を塞ぐ
なにを言い出すかわからなかったが
きっとよからぬことだとは検討がついた
そのまま首根っこ捕まえて
目についた居酒屋へ連れ込む
居酒屋の兄ちゃんが威勢良く俺たちを奥の座敷へと案内する
「どういうことだ💢」
「わぁい!僕ここの
手羽餃子大好き✨」
「なんでお前俺のこと知ってんだ💢」
「あ!すみません~
ビール2つおねが~い」
『はいまいど~!』
「大体お前、あんな人だかりで、何を言おうとしてたんだ!」
『はい!ビール二丁』
「うわぁい!ビール✨
ビール✨
はい✨かんぱーい✨」
「💢💢💢💢
俺の話を聞け!!!!!!!!」
>> 25
冷たいビールが一気に喉を通り、適度なアルコールが、苛立ちを少しだけ緩和させる
「にいちゃん、なに食べる?ぼくは手羽餃子にポテトに・・・あ!ピザもいいね!」
「ビール💢」
「わぁ✨飲める口✨
どんどんいっちゃって!」
コイツと話し合うには、ゆっくり腰を据える必要がありそうだ
並々と注がれたビールの柔らかい泡を見ながら
どうやったらコイツと歌わなくてすむか考える
『らっしゃいませっ』
居酒屋の店員が、店に若いたくさんの客を案内し、店はますます騒がしさを増す
苦手だ・・・
人ごみが苦手
人間が苦手
誰かと深く関わるなんてまっぴら
そういえば、居酒屋なんて、大学の入学式以来だ(付き合い)
喫茶店にでも行けば良かった
と
適当に店を選んだことを少し後悔した
>> 26
そんな中、悩みの種は
運ばれてきたばかりで湯気の立つピザを、はふはふ美味しそうに頬張っている
犬ころに餌をあげているような気持ちにすらさせる、奴の姿に
不覚にも少し和んでしまう
「にいちゃんも食へなよ✨お腹ふいたら、ハモリも、半減ひちゃうよ」
「・・・・・ハァ(ため息
なんでお前
そんなに俺と歌いたいわけ?」
「へっとへぇ」
口いっぱいにいれたピザをビールで流し込むと
奴はすくりと立ち上がり、俺にウィンクをした
???・・・・
また、いやな予感がして
いつでも逃げられるように、とっさにギターケースと財布を握る
『いらっしゃいませ~』
店員が客を運び、
店はますます人の熱気でむせ返す
その様子を見て嬉しそうに笑った奴は
唇の端についたピザソースを、ペロリと舐めると突然、大声で呼びかけた
「相馬 拓海!
新居 豊!
歌っていいでっすかぁ~!」
>> 27
「よくねぇ💢」
とっさに突っ込んでしまい、周りから笑い声がパラパラ降りかかる
『いいぞ兄ちゃん!
歌っちゃぃな!』
・・・・・!なっ
マジで勘弁!
「はいはーい🎶
じゃあ、オフタロ~の歌
歌いまーす」
『オフタロ~かよ!くれぇなぁ!』
「うんうん
ぼくもそう思う!
でも相方が好きなんだよね」
オフタロ~は暗くねぇ!
てか
相方って誰だ!?
俺か!?
突っ込み所満載で
まずどれから訂正したらいいか分からず
とりあえず
目の前に運ばれてきた
ビールを一気飲みしてみた
ふぅ~旨い
さて・・・・・
一息ついて考える
奴に、一番始めに言わなければいけないことは
きっと・・・・・
「くぉらぁ!拓海!
ここは飲み屋で
歌うところじゃねぇ!」
(同時)
ここは、飲み屋で
歌うところじゃないということだ💢
>> 28
ほぼ同時に言いたいことを言われてしまい
声がする方を見ると
なんだか
見るからに料理してますってオヤジが、客に焼き鳥を運んでいる所だった
「うっわ~店長
久しぶり!」
『久しぶりじゃねぇ!
こないだ腹へったから
少しバイトさせろって泣きついてきた奴はどこのどいつだ!』
「えへへへへ
あのときはどうも💕」
『んでなんだ!
売れないモデル
売れない役者
の次は
売れない歌手か!
もう諦めて
故郷にけ~れ!け~れ』
「売れなくなんかないさ!
次は売れる!
だって!ぼくは!最強の相方を手に入れたんだ!」
ジャーンなんて効果音が流れそうな手振りで
奴は俺に手を伸ばした
騒がしい2人のやり取りに
なんだなんだと
野次馬たちが集まり始める
またかよ!
どうしてこうも目立つんだコイツ
皆の視線を避けるように、机に肘をついて頭を抱える
てか
机の下にでも潜ってしまいたい
>> 30
ぎやはははははは!!!!!!!!!!!!
店中が笑い声で溢れる
店長なんか腹抱えてわらっていやがる
「ひでぇ!ひっでぇな!
お前は・・・あれだ!
お笑いめざせる!!!」
「いいな!それ!
たくみ!
そのどへたくそな歌で
お笑いの頂点を目指せ!!!」
ムカッ💢
なんだかイライラする・・・なんだそれ💢
少なくともたくみは
一生懸命歌ってんだぞ
いや・・・多分・・・
ちらりとたくみの顔を見る
奴は、歌いながら頬を赤らめ、ニコニコ明るく手を振ってる
なぁんだやっぱ中途半端か・・・
なんて思ったけど・・・・
握ってる拳
震えてる・・・・・・
表情が・・・・あれ?・・・
コイツも意外と・・・・・・
・・・・・悔しそう・・・・・・
>> 32
「五月蝿ぇ!!!!!!!!!!!!💢💢💢💢💢」
気づいたら俺はギターを持って立ち上がってた
『なんだとコノヤロウ💢
お前の相方の歌が
うるせぇんだよ💢
黙らせろ💢』
『土下手くそな歌は
やめさせちまえ!』
酔っぱらい達は俺を睨みつけて口々に文句を言い始めた
俺はそいつ等を無視して、いまだ勝手に歌い続ける拓海をじろりと睨みつける
「拓海!お前の歌
五月蝿い💢」
『まじかよ!(笑)』
『兄ちゃん!よく言った!』
酔っぱらい達は、またもや腹を抱えて笑い始める
拓海は、一瞬
下を向いたが、すぐに顔をあげ
ペコちゃんを彷彿させるような仕草で
エヘッとおどけて笑った
『二度と歌うんじゃねぇぞ
兄ちゃん!!!』
『雑音は近所迷惑だからなぁ』
>> 38
そんな俺の行く手を阻むように
奴が 突然俺の前にしゃがみこみ顔を覗く
まん丸な目がキラキラと見つめる
ヤバい
コイツ
またなんか企んでる?
捕まらないように
するりと奴の横を通りぬける
ダッシュだダッシュ!
もう、やっかいごとは真っ平だ!
俺はいつものように
ただ
ただ
一人ゆっくりと
歌いたいんだ
「新居 豊くん!!!」
拓海がまた大声で俺を呼ぶ
「新居 豊くんっ!
ぼくっ!ぼく!
中学はいってから
ずっと!ずっとっ!」
猛ダッシュで走ってるのに
あいつも負けじと付いてくる
街を抜け
公園を抜け
川沿いを走りつづける
あいつ!まだついてきやがる!
ギターが重くて振り切れねぇ
奴は息を切らしながら
俺の腕を掴もうと必死に手を伸ばす
「聞いて!聞いてよっ!兄ちゃん!
ぼくはっ
ずっと!ずっとっ!
君のことが!」
>> 40
土手を転げ落ちるなんて漫画かよ💢まじ痛え💢
擦り傷だらけの体を見てムカつきが最高潮まで達する
「・・・・・ってぇ~~~
っ!ギター!!!!」
抱えていたギターは
・・・・・
なんとか守りきったみたいだった
ってか
ギターまで傷だらけで壊れてたらまじでコイツ殺ってやる
殺気立って
立ち上がり周りを見回すと、奴も近くに間抜けな姿でひっくり返っていた
「はぁ~~~~~~」
深いため息をつき
とりあえず
タバコをポケットからとりだした
気がつくと
季節は夏から秋へかわりつつあり
風上から吹く少し冷たい風が、汗だくだった体を掠める
りりり・・・りりり・・・
草むらからは静かに美しい虫の声が響いている
あいつの声も
こんくらい綺麗だったらなぁ・・・・
>> 41
土手に倒れてる男に目を向けポケットを探った
シュボッ
やっぱりマッチだよな・・・心地よい硝煙のにおいが漂い苛立った心を解していく
逃げ回ってたって・・・
しょうがねぇな・・・・
「おぃ
おきろ!」
煙草草を深く吸い込み
奴の顔に思い切りふっかけた
「うゎ!なにっ
ゲホゲホ!😲」
拓海がアホな顔してむくりと起き上がる
残念ながら
顔は良いようで、美形好きの女性がこの姿をみたら、手を貸してあげそうでムカつく
「話つけよう
俺はお前と組むきはねぇなんでお前は
俺と組みたいんだ?」
「だからぁ
兄ちゃんが好きだからだよ」
ほっぺをプクッとふくらまして、拓海が答える
反射的に
両頬を片手で潰してしまいたくなる
「俺にその気はねぇ
大体俺、彼女いるし」
「知ってる知ってる
中学ん時の生徒会長
福原 亜衣ちゃん
ハキハキしてて格好良かったよね~彼女✨」
「何で知ってるんだ・・💧」
「君のことならなんでも知ってる✨」
>> 42
拓海はキラキラした瞳で俺を見る
うーん・・・
なんていうか
悪いけどおかしいを通り越して
コイツ少し
気持ち悪い・・・💧
俺の心中を察したのか
奴は手のひらをブンブンと振って顔を赤らめ困ったようににごりと笑った
「ちがう!ちがう!
僕だって女の子が好きさ!
兄ちゃんは憧れというかなんていうか・・・・」
言いかけて拓海は、軽く石を蹴飛ばすと
川に向かい歩き出す
サクサクと草原を歩くたび、虫たちは演奏をやめ、音色の消えた川縁はしんと静まり返る
俺に背を向けたまま、川を眺めるようにしゃがんだアイツは独り言のようにまた話し出した
「僕さぁ
中学ン時、かなりアニメオタクでさぁ。女の子のオタクグループに囲まれて、女装コスプレでコミケなんて日々で、男友達いなかったんだよねぇ。
てか、軽くいじめられてたしね。」
コミケ?コスプレ?なんだそりゃ?
知らない単語が並び困惑したが、なんだか深刻な話のようなので軽く流す
「まぁ 同性から気味悪がられていたのは事実でさ。でもまぁ欲しかったんだよね。男友達。
だから僕、いっつも、クラスメートの視線や態度ばっかり気にしてた」
「でもさぁ・・・」
何かを言いかけて
こちらを振り向いた拓海は、俺に真剣な眼差しを向ける
「クラスメートにさ
全くそんなん気にしない人がいてさ
いっつも一人なんだけど全然平気そうで
なんだかその姿が羨ましくて
僕、自然といつもその人の姿追いかけてた
そうこうしているうちにいつの間にか尊敬する先輩っていうか
兄貴みたいに感じるようになってさ」
>> 43
「・・・・ってか
まぁ それが君だったわけで・・・」
拓海はなんだかバツが悪そうに頭をかく
「・・・・・・・・」
いやいっちゃいけねぇ
でも 悪いけど
悪いけど
こんな奴
クラスにいたっけ(-_-
「あ!!!!!今こんな奴クラスにいたっけ(-_-
って顔した!」
拓海が間髪入れず突っ込む
「・・・・・
いや・・・・なんつーか
まぁ・・・・」
ごまかしでもってしょうがねぇわな
覚えてねぇもんは
覚えてねぇも
「お前のこと、知らんわ。俺。」
はっきりと伝えると
ズーンって言葉が似合うぐらい拓海は肩を落とした
「・・・・・まぁ
わかっちゃいたんだけど少しぐらいは
って望みはあったんだよね。
まぁ・・・・別にいいけど・・・・・・・」
>> 44
はっきり言って
あいつがいうように
他人には興味ねぇ
というか
興味ねぇと思っている
それが羨ましく思えるかどうかは謎だが
尊敬してる風に言われるのは悪くないな
「まぁ
いいんだけどさ
憧れてただけだし
一緒に歌えたらなぁって思ったらドキドキして
なんか嬉しかったんだ
・・・・・」
突然拓海が黙り込む
夜も更けて風も随分冷たくなってきた
ぶっちゃけ
はやく帰りてぇ
「・・・・・・」
「・・・・・・ねぇ
お願いだよ
僕と
付き合って欲しいんだ」
上目遣いで再度たずねられる
どこぞのおねぇちゃんだったらイチコロだろうな
で
俺はどうすんだ?
追っかけされて
憧れなんていわれて
告られたみたいに
懇願されて
今もイヌコロみたいな目でじっと見つめられてるし
あぁ・・・・
ズルいよ。こいつ。
>> 45
「まぁ・・・少しの間だけなら・・・」
「まじで✨✨✨✨✨」
しまった
と思った時には遅かった
拓海は俺の腕をとり
ぴょんぴょん飛び跳ね勢い余って抱きついてくる
あぁ・・・・
まじで
失敗した
端から見たら
マジで疑われそうなこの光景を避けようと
力いっぱい抱きつく拓海を引っ剥がし
念を押す
「いいか!
少しだけだぞ!
少しだけ!」
「🆗😉✨💕」
「いや、まじで
分かってんのか?
本当に、短期間だ!」
「🆗😉✨✨✨💕」
「ってか
俺、大学通ってるし
就きたい仕事だってある。」
「🆗😉✨✨✨✨💕」
「将来の夢は歌手じゃねぇ。」
「🆗😉✨✨✨✨✨✨✨✨」
あぁ
本当にこいつ
わかってんのかよ😫
>> 46
そんなこんなでコイツと組むことになった
「だからさぁ
てねむ
に決めよう!」
俺から奪ったハンバーガーを食べ終わった奴は
ペロリとケチャップの付いた唇を舐めると
てねむ
というバンド名を
大きく紙に書いた
なにが だから なのか
全くわからん。
「てねむ!
毎晩七時
なかやオヤジ店前
歌ってます!
みんな来てね!
ほら!
できた!」
「なんだ それ」
「看板!看板!」
「いや、オヤジ店前毎晩七時って😒」
「オヤジ店はこないだの飲み屋だよ!
歌っていいって
言われただろっ✨✨」
「売れたら歌っていいんだろ
ってか
毎晩七時ってなんだよ」
「オヤジ店前だから
いいんだよ✨
きっとオヤジも喜ぶさ✨」
「いや
迷惑だろ
っーか
毎晩七時ってなんだよ」
「迷惑じゃないさ
きっと喜ぶ‼」
「・・・・・
で
毎晩七時って?」
「明日から!
毎晩七時に歌う!」
・・・・・
あぁ
どこから
訂正すればいいんだ?
ってか
こいつの根拠のない自信とやる気は、どこからくるんだ?
飲みかけの安い珈琲を
ゆっくり口に含んで外を眺める
いい天気だな
>> 48
まぁ・・・いいか
少し伸びをして、拓海を見ると
なんか細かく作戦をたてている
まぁ
「好きにやってみろよ。」
「うんっ✨」
子犬みたいにキラキラした目で大きく返事をする奴になんだかいろいろとどうでもよくなった
熱くなんかならない
でも
適当に・・・
じゃなくて
適度に歌っていたい
空は蒼く澄み
雲がゆっくりと流れていく
誰かが運んだ珈琲の香りがすっと辺りに漂い
なんだか
ほっと一息
「明日!今日?!
いつから始める?
い!!!!今!?
今がいい?
あぁ!どうしよう!
僕!イベントでコスプレした時より興奮してる!楽しい!楽しいね!!」
「ん~
じゃあ
明日からだな」
「明日!あしたか!
えっ!
明日!
今日でもいいだろ!
今からでもいいだろ!」
ブッ!アハハハハ!!!!
「アハハハハ!って!
そこ笑うとこじゃないし!
ってか!ニイちゃん
笑うとかわいいし!!
いや
そんなことより
今日からだろ!
今からだろ!」
「明日
明日♪」
「ええぇ!
今からだろ!」
あれ
なんか今俺、少し楽しいぞ
あぁ・・・・でも気のせいだな♪天気いいし♪
ワイワイ騒ぐ奴を横目に残った珈琲を飲み干した
明日から
明日からなんだか騒がしくなりそう
そんな予感がする
いや
悪寒かな
そんな日曜日の昼下がりだった
小説・エッセイ掲示板のスレ一覧
ウェブ小説家デビューをしてみませんか? 私小説やエッセイから、本格派の小説など、自分の作品をミクルで公開してみよう。※時に未完で終わってしまうことはありますが、読者のためにも、できる限り完結させるようにしましょう。
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76レス 2329HIT 蜻蛉玉゜ -
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