いつか解き放たれる時まで…。
駅から近い真っ白なワンルームのアパート。
好きな雑貨に囲まれて、一人で自由に暮らす…。
こんな生活は出来ないけど私の理想の生活や夢を描きながら、小説を書いて行きたいと思います。
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私の住まいは駅前からほど近いワンルームのアパート。
外壁が白くて、スーパーも近いこのアパートを決めるのに、そんなに時間はかからなかった。
田舎と違って、近所付き合いはないと思っていたから、挨拶周りはどうしようか本当に迷った。
ただどんな人が住んでいるのか気にはなった。
不動産屋は男性も女性も半々くらいです、とだけ教えてくれた。
2階に決めた理由は“太陽の光が入ること。”
窓辺に小さな観葉植物を置きたい。
そんな単純な理由だ。
引っ越した当日からすぐ使う物って何だろ❓。
カーテン、洗面用具、洗濯機、冷蔵庫、家財道具はどれもすぐ必要だった。
実家から段ボールに詰めて持って来た物でしばらくは我慢しよう💦。
そう思ったけど、本当は新しい物で揃えたい…。
その日は仕方ないから、とりあえずだいたいの物は出してあらゆる場所に置いた。
都会は田舎と違って、アルバイトもたくさんあったから、どれにしようか迷った。
自分の稼ぎだけで生きて行かなきゃない…。
生活費、保険、交際費や、服飾費、そして貯蓄をしなければならない。
昼夜掛け持ちをするのと、長い時間ずっと同じ場所で働くのとどっちがいいんだろう。
飲食店はちょっと自信がなかった。
時間にあまり追われずに好きな物に囲まれて働きたかった。
憧れだった雑貨屋。
店内に流れるオルゴール…。
お客さんもどこかホッとした表情で商品を眺める…。
うん。
ダメもとでいいから、面接受けてみよう。
都会で暮らすためにせっせとお金を貯めた。
アパートを借りるために、結構な金額がかかってしまった。
早く働かなきゃ💦💦。
最初の一ヶ月は給料出ないんだよね…💦。
大事に大事に使わなきゃ。
面接日が決まった…。
アパートから最寄りの駅よりも一駅向こうにその雑貨屋はあった。
都会の電車は全くわからなかったけど、次々来るからとりあえず乗ればいいやなんて単純な考えだ。
冷蔵庫はリサイクルショップで見付けた白いもの。
高さは私の身長より少し低くて上が冷凍庫だ。
今日から始める自炊。
料理は割と出来た。
実家から荷物と一緒に母がお米を持たせてくれた。
炊飯器は実家で使わなくなった5合炊き。
ちょっと水の勢いが弱い流しで米を研いだ。
初めての自炊。
なんだかワクワクするな…。
まだ未開封の調味料などをとりあえず置き場所がないから冷蔵庫にしまった。
時計はPM3:00…。
都会の冬は、田舎とは寒さの度合いも違った。
春をもうすぐそこに感じるようだった。
静かだな…。
無音で作業もなんだから、音楽を流してみた。
ワンルームだからちょっと狭いけど、一人だし掃除も楽だな。
ユニットバスがちょっと大変だけどそれくらいは我慢した。
パソコンとテレビがあれば寂しくない。
無理に友達を作ろうとも思ってない。
彼氏は…。
いらないと言ったら嘘になるかな。
私から自由を奪わない、そんな人なら付き合いたい…。
ご飯が炊けた。
母にメールをした。
「少し片付けて落ち着いたよ。今ご飯炊いた。明後日仕事の面接に行ってくるね。大丈夫だから心配しないでね。」
母からはすぐに返事が来た。
「ちゃんとご飯食べてね。また連絡してね。」
ちょっと恋しく❓なった。
別に実家を飛び出して来た訳でもない。
ずっとこっちで暮らすつもりでもない。
ただ夢だった都会での一人暮らしをしたかった。
いつかもう生活出来なくなって実家に帰ったとしても、悔いはない。
いつかは田舎に帰って、結婚して両親の側で暮らすと思われているから、母も引き止めなかった。
少し夢を見させてね。母さん。
ご飯が炊けたけどおかずがない💦。
ふりかけ、梅干しのみ。
明日の朝も食べなきゃないからちょっと勇気を出してスーパーに行ってこようかな💦。
音楽を止めて、バッグに財布と携帯を入れた。
この部屋のカギに付けるキーホルダーはまだない。
こっちで気に入ったものを見付けたら買おうと決めていた。
カギをかけて部屋を出た。
もう夕陽が差して来ている…。
綺麗だな…。
東京に来てよかった…。
面接はあっけなく落とされた。
何がいけなかったんだろ…。
担当の人にはピンと来なかったのだろうか…。
独身だし、ほぼ毎日働けるとも伝えた。
雑貨が好きだから仕事がしたくて申し込みました。
この理由だけでは何か不満だったのかな。
容姿かな。
自分に自信がなくなった。
雑貨屋の面接に落ちて、焦りが出て来ていた💦。
とにかく早く働かなきゃ。
貯金にはなるべく手をつけたくなかった。
もういきあたりばったりで、貼り紙をしているアルバイト募集の文字が目についた店をあたった。
これだ‼。
私の目に止まったのは、商店街の総菜屋だった。
ご年配のご夫婦が忙しそうに総菜を作っているのが見える。
アルバイト急募‼。
手書きの字に焦りが見えたような気がして、声をかけた。
「こんにちは。貼り紙を見たんですが。」
第一印象は肝心だ。
引き攣った笑顔にならないように心掛けた。
少しの間私をじっと見てから旦那さんが言った。
「いつから来れる❓❓。」
えっ⁉、採用⁉。
急に決まってびっくりした…💦。
「今からでも働けます。」
私もびっくり発言。
「そうかそうか💦、こんな子も珍しいな。」
旦那さんが私の採用を独断で決めたために、奥さんが呆気に取られて見ていた。
奥さんはOKなの❓❓。
旦那さんとは気が合いそうだけど、奥さんはどんな方なんだろう…💦。
前の人が急に辞めた理由は⁉。
もしかして奥さんと折り合いが悪かったの⁉。
マイナス思考な私はそんな疑問ばかりが浮かんだ。
その日はさすがに採用決定で、働くのは明日からということになった。
馴染みのお客さんも居るようで旦那さんや奥さんが作業しながら私の面接をしている間にも、揚げたての天ぷらを買い求めに来ていた客もいた。
ちくわの天ぷら美味しそう💕。
早く働きたい。
明日が楽しみだ。
アパートに帰る足取りは軽い🎵。
自然とニコニコになれた。
アパートに帰ってからは特にすることもなかったので、総菜屋の近くを散策して帰った。
商店街には婦人服屋さんや薬局お茶の専門店もある。
若者が集う商店街という感じよりは、中高年の方に人気があるといった感じだろうか。
商店街を抜けると住宅街に続く道があった。
方向音痴な私は後ろを振り返りながら、ちゃんと道を覚えて帰るように気をつけた。
明日初日なのに道に迷って遅刻なんて絶対嫌だ💦。
住宅街を進み、始めの信号を右に行けば○○駅前にたどり着く。
大丈夫かも(笑)。
きっと面接に落ちた雑貨屋は駅裏の方だったかも。
一ヶ月だとまだまだ地理がわからない。
平日のお昼前だったから帰りの電車は割と空いていた。
一駅だからいつもドアの所に立っているけど、座る事にした。
よかったぁ💕💕。
母に仕事が決まったとメールを入れた。
「多少嫌な事があってもすぐ辞めないんだよ。」
母からはそんな返事が来た。
「どこにいっても意地悪な人って必ずいるものだよ。」
働き出した20代の始めに、母によく言われていた。
あの奥さんが気になった…。
一言も会話できなかったし、よろしくお願いしますとだけ言って帰ってきただけだったから。
確かに多少嫌な事があっても辞めるわけには行かない。
生活していかなきゃないから。
決して時給も高いわけではなかったから、掛け持ちもまだ考えてはいた。
いろいろ考えている間に最寄り駅に着いた。
少しの食材を買って、アパートに帰った。
明日からお昼はどうしよう。
おにぎりを作って行けばいいのかな💦。
お昼はどこで食べるんだろ❓。
何もわからないままだ。
明日行ってみなきゃわからない。
明日はどんな仕事から取り掛かるんだろう。
いきなりきんぴらごぼう作ってなんて言われたら…。
レジも昔ながらのレジだったし。
覚える事がたくさんありそうだ。
理解するのに時間がかかる私は覚えるのが苦手だ。
髪をシュシュできちんとまとめて、爪をしっかり切る。マスクをしていたからメイクはナチュラルでいいし、服装は動き安いジーンズとスニーカーでいいかな。
総菜屋だからどうしても揚げ物の匂いがついてしまいそう。
電車に乗るのをちょっとためらってしまう。一駅だから、ヘアコロンしたりニット帽を被ればなんとかなるかな。
総菜屋は昼前からだから、朝はそんなに早くないけど、10時からの勤務らしいので、9時半前にアパートを出よう。
駅からそんなに遠くなかったし。
テレビをつけてお昼ご飯。
田舎でもたまに見ていた全国ネットのバラエティー番組がやっていた。
思えば私は東京にいる。
不思議な感じがした。
お昼を済ませてボーッとしていたら、いつの間にかベッドに寝ていた。
隣の住人がガチャガチャとカギをかけて出掛ける音で目が覚めた。
あまりにとっさに仕事が決まり気が張っていて疲れたのか、気付いたら1時間くらい寝ていた。
テレビではちょっとドロドロした昼ドラがやっていた。
隣の住人は女の人のようだ。
時々静かにしていると声が聞こえてくる。
電話の声や、咳をしていたりすると聞こえるものだ。
はっきりとは聞こえない。モゴモゴした感じ。
引っ越した時に、特に挨拶もしないでしまった。
だから顔もよくわからないけどヒールのコツコツした音を聞いたら、東京の生活に慣れている綺麗な女の人のような感じがした。
私も早く東京の生活に慣れたいな…。
ワンルームだから冷蔵庫の上にレンジを置くしかなかった。
炊飯器なんて床に置いている。
こんなイメージじゃないんだけどな…。
洗濯物もカーテンレールにハンガーをかけて干している。
彼氏が出来たとしても恥ずかしくて呼びたくなかった。
隣の住人はこのワンルームをどう使っているのだろう。
一度拝見してみたいものである。
一ヶ月もすれば受信料の支払いや新聞屋の勧誘が来る。
何回かは居留守を使ったけど、何度も来られてピンポンを押されるのはごめんだ。
しかもこのアパートのピンポンはちょっと音が大きくてびっくりするのだ。
ドアを開けずに新聞屋は丁重にお断りした。
受信料は免れないので、口座振替の手続きをした。
自分のためになんてお金は使えない。
固定支出だけで大半はなくなるだろう。
美容院にも行きたいし、電車通勤だから少しはかわいい格好がしたい。
総菜屋だけの給料じゃ、固定支出を引いてもマイナスかもしれない。
何度計算しても足りないとわかっていた。
増やすしかない。
夜も働くかな…。
いろいろあれこれ考えながらシャワーを浴びて、夜はうどんを作って食べた。
なかなか寝付けなかったからパソコンを見ていた。
実家にいた頃は家賃もいらなかったし、ご飯も食べれたから自分で自由に使えるお金があった。
好きなネットショッピングも良く利用した。
眺めてるといろいろ欲しくなる。
今欲しいものは、あまり大きくない鏡台。
鏡台がないからテーブルに小さい鏡を置いてメイクをしている。
鏡台があれば全身見れるし、ゆっくりメイクが出来る。
でもなければなくても困らないものだから、買うのはやめよう。
今はそんな事にお金は使えない。
仕事始めの緊張からか、あまりぐっすり眠れなかった。
お昼はどうするかわからないけど、小さめのおにぎりを二個作ってバッグに入れた。
マイボトルにお茶も入れた。
メイクをしてシュシュをして支度完了。
まだ寒いので、軽めのダウンを着て出掛ける。
荷物になるから迷ったけど、スニーカーは持ってブーツを履いた。
仕事用のスニーカーは持って行く事にしよう。
いつどこで出逢いがあるかわからないから、いつも綺麗にしていなきゃ…。
心の何処かで、彼氏が欲しいと思っていた。
今日も快晴だ。
空が青い。
電車はまだ少し混んでいた。
これから毎日私はこの時間のこの電車に乗るんだ…。
ワクワクした。
電車でも出逢いってあるのかな…。
今まで周りの人をちゃんと見た事はなかった。
というか見れなかった…。
駅に着く。
混雑した駅中を歩いて外に出る。
信号に向かって歩く。
信号を左に歩いて行けば住宅街。
そうしたらすぐ商店街だったはず。
私の頭のナビでよかった。
ちゃんと商店街に着いた。
「おはようございます。今日からお世話になります。よろしくお願いします。」
奥さんに挨拶をする。
「はい、よろしくね…。いつもこっちから入ってちょうだい。来たらまずはタイムカードを押してそこの部屋で着替えてね。着替えたらここに消毒があるから…。」
奥さんは細かく私にいろいろ教えてくれた。
厨房では旦那さんが総菜を作り始めている。
「おぅ❗、来たかい。早いな。今日はさ、どんな事やってるかまず見てって。」
そう告げてまた旦那さんは仕事に取り掛かる。
「はい。」
私は元気に返事をして、言われた通り今日は見学をした。
自ら店の前を掃いたり、ガラスケースを拭いたりした。
「あらあら働き者ねぇ、ありがとう。」
奥さんにそう言われて益々やる気になった。
AM10:00。
店を開ける時間だ。
美味しそうな総菜がガラスケースに並んでいた。
グラムで売る物や、天ぷらのようにバラ売りするもの、ご飯も炊いて販売するようだ。
利用する人にとっては助かるだろうな…。
ご飯もおかずも揃うわけだからすぐに食べられる。
私は美味しそうに揚がったかき揚げを、アパートにまだ残っているうどんにのせて食べたいと思った。
お昼近くになると店は大忙しだった。
あっという間に大半が売れた。
ここの総菜屋は人気のようだ。
ラジオを流しながら販売していたし、商店街のお昼に流れるチャイムみたいなもので、12時を回ったことに気付いた。
2時間はあっという間だった。
毎日こんな風に早く時間が経つのならいいな。
「お昼、何か持って来たの❓」
「はい。おにぎり持って来ました。」
「奥の部屋案内するからいらっしゃい。」
6畳くらいの部屋にテレビがあって、こたつが置いてあった。
こたつの側にポットがあって、新聞やらお茶菓子が置いてある。
なんか実家を思い出した。
「ここでお昼を食べてね。お店が暇なら私達も一緒に食べるから。混んでるとお昼が遅くなることもあるけどごめんなさいね。暇なら一時間休憩してもいいんだけど、忙しい時は30分くらいで出てもらうわ。」
「わかりました、ありがとうございます。」
「お茶とかお菓子もどうぞ。お疲れ様。」
奥さんはそう言ってまた厨房に戻っていった。
初日だしちょっと落ち着かなかったけど、お腹は空いていた。
こたつに入るとホッとした。
午後の仕込みは夕方から夜にかけて総菜を買い求めにくるお客さん用に、昼よりも少しこってりした物が多かった。
酢豚にレバニラ、豚の角煮、あんけ焼きそば、どれも本当に美味しそう…。
午後は野菜を洗う、切るなどの作業をやらせてもらった。
元々料理が好きだから苦にならないし、これからの自炊にも役に立ちそうだ。
旦那さんと奥さんが交代で休憩を取った。
お二人ともまだ50代くらいでとてもお若い。
私の両親と同じくらいなのかも。
住まいや育ちをいろいろ聞かれた。
東京に引っ越したばかりとは言いたくなくて、仕事はいろいろやりましたと伝えた。
旦那さんと奥さんはそんなに仲がいいわけではなさそうだった。
時折見せる奥さんの寂しそうな顔が私はちょっと気になった。
この家に子供はいるのだろうか❓。
自分があれこれ詮索されたくないので、他人にもあまり深入りしないと決めていた。
だから何かを話して来てくれた時だけ自分も話した。
「まだ若いけど結婚は❓。彼氏とかいるの❓。」
答えなくなかったけど、本当の事を言った。
「独身です…、今は。」
今は独身。
そう、私は離婚をしている。
東京に出てきたのも、また始めからやり直したい、少し地元から離れたいと強く思ったから。
母にはいつかまた再婚する、地元に帰ってくるから大丈夫だよと約束したのだった。
離婚をするのに膨大な時間と費用もかかった。
心の傷も深かった…。
あんなに大変な事だとは思わなかった。
もう結婚はいいや。
一人でいたほうがずっと楽。
その思いは、まだ残っている。
でも最近ふと寂しくなる時があるのだ。
結婚とか関係なく、
普通に彼氏を作って恋愛を楽しみたい。
そんな感情も湧き始めてきていた。
環境を変えるって悪い事ではないのかもしれない。
一日の勤務は10時から17時まで。
割と長い。
暇な時は早くあがれたりするみたいだ。
激務ではないけれど、立ち仕事だし、昼と午後の休憩以外は働いているので夕方には脚がパンパンになった。
仕事に慣れてきて、調理を任せられるようになると、疲労がたまった。
電車でも席が空いていたら一駅でも座りたいと思った。
総菜屋で働く私が、スーパーの総菜を買って帰って食べる事もあった。
掛け持ち出来ないかも…。
想像以上に疲れていた。
総菜屋で働き始めて、最初の給料日が来た。
正直金欠で苦しかったから助かった💦。
お昼を早めに済ませて、商店街の中のATMに走った。
通帳記入を済ませる。
いくら入っているかな、ドキドキした…。
自分でも計算していた額とほぼ同額が振り込まれていた。
やったぁ💕💕。
凄く嬉しかった。
「母さん、給料貰ったよ。頑張って働いたよ。」
母にメールをした。
嬉しくて誰かに言いたかった。
結婚していた時は旦那さんの給料を毎月当たり前のように給料日におろしていた。
感謝という感謝をしていたわけではなかった。
今になって、有り難いことだったんだとつくづく思った。
決して働いて当たり前ではないのだ。
どんなに辛くても頑張って働いてくれていた旦那さんに感謝出来ずに、姑とうまく行かず、不満ばかりを言っていた私。
姑から解放されたい。
誰にも気兼ねなく生きたい。
ただ旦那さんを愛してますだけでは結婚生活は続かないと思った。
午後の仕事に取り掛かる。
お給料を貰ったら益々やる気になった。
「お給料ちゃんと入ってた⁉」
奥さんが遠慮なく何でも聞いてくる。
「はい、確かに。ありがとうございます。」
笑顔で答えた。
「ならよかったわ~。肉じゃが作るからジャガ芋の皮むいてちょうだい。」
肉じゃが。
最近食べてないな。
ジャガ芋の皮を剥いてから、他の野菜の皮剥きをして、野菜を切った。
その後からは奥さんが代わって肉じゃがが出来上がった。
秘伝のタレや味付けは興味津々だ。
まだここのお惣菜をいただいた事がなかったから食べたいと思った。
「奥さん、もし肉じゃがが余ってたら少し買って帰ってもいいですか❓。」
「勿論❗、食べてくれるのね、ありがとう。」
今夜はご飯と肉じゃがに決まり❗。
ちくわの天ぷらも買って帰ろう❗。
少し割引きしてくれるかな…。
もう今日も上がりの時間になる。
お客さんもうまく切れたのを見計らって帰る支度をした。
「肉じゃがとちくわの天ぷらをいただいて帰ってもいいですか❓。」
「肉じゃがとちくわね❗、今用意するから支度していいわよ。」
奥さんの言葉に甘えて身支度をしていた。
その時厨房の方から声がした。
「こんばんはー、母さんいる⁉」
「なんだまた来たのか💦⁉、今日は何もないぞ。」
誰かの問い掛けに、旦那さんがそう答えた。
「あるじゃん、ほら肉じゃが。これもらってくわ。あとさぁ、あんかけ焼きそばもちょっとくれる❓。」
「いい加減にしろ‼」
なんか重々しい雰囲気だ。
一体誰が来たんだろう。
隠れているのもおかしいから恐る恐る厨房に行くと、小さい子供を連れた女の人が立っていた。
「こんばんは💦。」
誰だかわからないけど、とりあえず挨拶をする。
「また新しい人雇ったの❓。」
「お前には関係ない、早く帰れ。」
旦那さんが冷たく言い放った。
「ごめんなさいね💦、娘なの。」
奥さんが教えてくれた。
「あっ、失礼しました。こちらでお世話になっております💦。」
深々と頭を下げた。
私の挨拶もまともに聞かずに娘さんは言った。
「父さんいいでしょー。今日旦那居ないからさ、出来合いで済ませたいからもらっていきたいんだけどー。」
子供は黙ってママと手を繋いでいる。
ちょっと寂しそうな表情だ。
「欲しいなら金払え‼、ただじゃやらない。」
「ケチ‼‼、いいじゃん。かわいい娘がわざわざ孫連れて来てんのにさ~。」
ふて腐れて、娘が旦那さんを睨みつけている。
居ずらくなったので、お惣菜は買わずに私は店を出ようとした。
「お先します💦、お疲れ様でした💦。」
「あっ、待って‼。肉じゃがとちくわは⁉。」
奥さんが私を気にかけた。
「大丈夫です💦、お先します。」
駆け足で店を出た。
速足で歩きながら、まだ動揺していた。
娘さんが居たんだ。
たまにああやって実家に来るのだろうか。
私は関係ない。ただのパートだから、何も関わらなくて大丈夫。
ただあの後どうしたんだろうか。
ご夫婦が気になった。
肉じゃが残念だったな💦。
くだらないことを悔やみながらアパートに帰る。
今日何食べよう。
そういえば、お給料入ったんだ。
たまには外食しよっかな。
東京に来てから、近所の店をゆっくりリサーチする余裕がなくて、何処に何があるのかまだ詳しく知らない。
ずっと外食してないし、今日くらいいいよね。
私は駅前のハンバーガーショップに入った。
東京に来てからは初めてだ。
ポテトがめちゃめちゃ美味しかった…。
ハンバーガーとポテトとコーラを何も言わずにパクパク食べるのも、半年ぶりくらいだ。
さっきの出来事が頭から離れなかった。
子供が居たらたまには手抜きしたくなる気持ちもよく分かる。
実家に甘えて私もよく頼っていたから。
ハンバーガーショップが混んで来たので、食べ終わるとすぐ店を出た。
明日は休みだ。
ちょっと嫌な週の終わり方だったけど、気にしないでゆっくり休もう。
お酒が好きな私。
今日は給料日だからコンビニでいつもより多めにお酒を買った。
つまみは何にしよう…。
105円のコーナーでチョコと煎餅を選んだ。
レジを済ませてコンビニを出る。
アパートまでは5分くらい。
私の先を歩く若いカップルが居た。
手を繋いでラブラブな二人は私と同じ道を歩いていた。
もしかして向かいのアパートの人とかかな。
カップルは、なんと私のアパートに入って行った。
同じか…(笑)。
階段を上がる二人。
距離を置いて私もアパートの入口に着く。
ポストを確認して部屋に向かう。
“2階のどの部屋だろ。まさか隣だったりして…。”
予感は的中。
カップルの女の人は私がずっと気になっていた隣の女の人だった。
後ろ姿しか見ていないから、何歳くらいの人かはわからなかったけど、もしかしたら同じくらいかな。
カップルが部屋に入ったのを確認して私も部屋に入った。
夕飯はハンバーガーで済ませたから楽だ。
お酒とつまみを楽しみに、私はメイクを落とす。
明日は休みだからシャワーは明日にしよう。
一人暮らしって気楽でいい。
何を食べようと、次に何をしようと自由だ。
部屋着に着替えてメイクを落としてテレビをつけた。
最近ドラマを見ていないから何がやっているのかわからない。
とりあえずつける。
“おつかれー💕”
乾杯する人は居ないけど、そう言ってビールを飲んだ。
“うまいー。💕💕”
幸せだ。
私は独り言が多いようだ。
酔ってくると一人でもテレビと会話する(笑)。
芸能人の話を聞きながら、ああでもないこうでもないと一人語り始めていた。
隣は今頃二人でラブラブやってんのかなぁ。
ちょっと羨ましかった。
携帯を手に取った。
こんな時話し相手になってくれる人はいなかった。
急に寂しさが込み上げて来た。
自由になりたくて一人東京に出て来た。
やっと手に入れた自由。
これが望みだったんだよね…。
ちょっと泣きそうになった。
誰かお酒持って飲みに来てくれないかなぁ。
私を元気にしてくれる楽しい人こないかなぁ。
テレビを消した。
寝よう。
酔ってはいるけど意識ははっきりしていた。
明かりをダウンライトにして、ベッドに入っていた。
AM1:45。
隣から例の如く女の人の声が聞こえる。
夜だから余計に響く。
彼氏と楽しそうに話していたようだったが、急に静かになった。
しばらくすると…。
予想通りの展開。
隣の私にもしっかり聞こえてしまった💦💦。
うわぁ…きついなぁ⤵。
私までおかしくなりそうだ。
段々男の声も大きくなってきて益々うるさい。
思い切り壁を蹴ってやりたくなった。
わざと聞かせてんのか。
寝ようとしても隣がこんなんじゃ眠れない。
タバコに火をつけた…。
翌朝お隣りはまた朝から激しかった。
嫌な休みの朝だ。
ユニットバスの流れが悪かったから、不動産屋に電話をした。
ちょうど今日水道屋が来てくれるというのでお願いした。
この部屋に人を入れるのが水道屋さんが最初かぁ。
お昼頃に伺います。
お昼頃って何時かな。出掛けれないな。
今日は安いスーパーや、八百屋を探したいと思っていた。
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