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まさか…私が・・・②

レス196 HIT数 977349 あ+ あ-

あい( 30代 ♀ ffxHh )
12/06/09 18:18(更新日時)


【まさか…私が】続編です🍀✨

もう、どうにもならない事が
この世には たくさんある


受け入れられない現実と向き合うことは


自分が壊れてしまうほど辛く悲しいことだったりする


ほぼ、99%の
ノンフィクションです



初めて読んで頂ける方は
7⃣拡張スレ検索から

検索ワード【まさか…私が】
投稿者名【あい】で検索してご覧ください🙇



読んでくださる皆様、
お付き合いくださり、ありがとうございます☺



No.1744649 12/02/06 13:53(スレ作成日時)

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No.1 12/02/06 14:41
あい ( 30代 ♀ ffxHh )

隣りにせいちゃんが座り


義両親が揃うまでタバコを吸って待っていた


お義母さんとお義父さんが揃う

タバコを消して、頭を下げた


『昨日は、時間を作って頂きながら席を外し…
申し訳ありません…』


お義父さんが、離婚届けを広げた


そこには保証人の欄に、氏名が書かれていた


お義母さんが印鑑をテーブルに置く


『あいちゃん…ほんとにこれでいいの?

あなたは病気なんでしょう?
これから、ふぅちゃんやしんちゃんを一人で育てられるの?』


『覚悟はしています。』


『せいからの養育費や慰謝料を考えても
苦しいことだと思うわ…

せいが女と別れてもダメなの?』


『はい…私は、せいちゃんが好きでした。

好きな人と結婚して、普通のありふれた…幸せな家庭を築きたかった

だけど、せいちゃんは嘘をつき、裏切り、欺き…続けて
このような結果になりました。

普通と呼べる結婚生活ではありませんでした

アタシは、すっと我慢して来た、許し続けて来ましたが……

もう無理です!ご理解ください』
毅然とした態度で答えた



はぁ~とため息をつく両親…


『離婚したら…融資は今まで通り…?
一体、どうなってしまうんだ?』


義父の言葉に頭に来た


『お義父さん、アタシは政略結婚したつもりはありません。

父の仕事のことまで知りません!!
口出しする気もありません!!』


はぁ………両親揃ってため息をつく


『なんとかならないの?
あいちゃん……』


『せいちゃんに言ってください!

この結果は、せいちゃんが招いたものです…』


『融資は…どうなってしまうんだ…』


無視して、せいちゃんを見た




せいちゃんは、ずっと下を向いたままだった



『Jちゃんの結婚式まで、後二週間なのよ?
こんな時期に、長男の弟夫婦が離婚だなんて…

言えないわ…Jちゃんがかわいそうだと思わないの?』


自分たちのことばかり…

ため息をついて
『言われてるよ、せいちゃん』


せいちゃんに話しをふった


No.2 12/02/06 19:57
あい ( 30代 ♀ ffxHh )

せいちゃんは『仕方ねぇだろ?ななことは別れる気もねぇし

Jのことなんて知るかよ!
あいが別れるって言うんだから、好きにさせてやればいいじゃん


俺は、今でもあいと別れたくはねぇ…

あいが、男を作って…一緒に暮らして、ななこが近所に引っ越して来て


ゆくゆくは、あいとななこと、俺とあいの男と
四人で暮らせたらいいと思ってる…

だけど、あいはそれが分からねぇ。嫌だって言うんだから…

仕方ねぇじゃん…
離婚しかねぇじゃん。
捺印してやれば?』



言葉もなかった……

ショックと言うより、呆れると言うより…



狂ってると…思った



義両親も言葉を失っていた
ただ、マヌケに座っていた


義両親の、その態度がアタシは気に入らなかった


『何故…?
こんなこと言ってる息子を…何故叱らねぇんだよ?』


無言の義両親…


アタシは、せいちゃんに平手打ちをした


『せいちゃん何言ってんだ?!
人としておかしいだろ!!しっかりしろよ!!』



『あいちゃん…暴力は…!!!』
義母が止める。


腐ってる………

もう嫌だ………


『私達は、暴力を振るって子育てしたことは、ないのよ!!』



…じゃあ、アタシのこの姿はなんだ?



昨日よりも、痣が青く濃くなってるの…分かるだろう?



何が…暴力は…だよ!!!!




アタシは、タバコを吸った
イライラする…

胸糞悪い…



No.3 12/02/06 20:47
あい ( 30代 ♀ ffxHh )

義父が大きくため息をついて
テーブルの離婚届けに手をついた


『あいちゃん…条件があるんだ…

Jちゃんの結婚式が終わってから、離婚届けを提出してくれないか?


それと…
せいのことだが…あいちゃんの実家の両親には、

せいの女性問題を隠しておいて欲しい…


今のような話しを、お父さんが聞けば…
どうなるか…………


はぁ……


暴力を振るって許せない。
と言うことにしておいてもらえないかな?

………それなら、捺印しよう』



『分かりました。
早く捺印してください』



『あいちゃん!!!
こんな話しは、お父さんに絶対しないでね…


こんなことが知れたら…


あいちゃんのご両親に…
お詫びに行かなきゃいけないわ…』


『え?
お義母さん…うちの実家にせいちゃんの暴力を…
謝罪には来てもらえないんですか?』


『…だって…ねぇ…

どんな顔して行けばいいのか…


電話で謝罪しておくわ…

だから、実家に話しに行く前に教えてちょうだいね


その後、電話させてもらうから…』



ため息を吐きタバコを消した


『早く、捺印してください…』



義父は、やっと捺印してくれた


長い闘いは終わった…



ホッとすると、いきなり明るくお義母さんが
『宅配のピザでも取りましょう♪

もうお昼だわ~!!Jちゃんったら…
いつまで寝てるつもりかしら…』


『Jちゃ~ん、ふぅちゃ~ん、しんちゃ~ん!!
お昼、ピザにするわよー♪

メニュー見に降りてらっしゃ~い!!
ふぅちゃん、Jちゃん起こしてちょうだ~い!!』
と叫んだ




ああ、疲れる。


これで、もうこの家とはおさらばだ…



お義母さんは、終始ニコニコしていた



……バカ?


No.4 12/02/06 21:43
あい ( 30代 ♀ ffxHh )

皆様🙇

読んで頂きありがとうございます☺🍀✨


実は、ちょっとした手術を受けますので💦

明日から3日ほど、✏お休みさせて頂きます🙇


多くの皆様からの感想レス、ほんとにありがとうございます☺❤✨


とても励みになります☺🍀⤴


また必ず✏再開しますので、お付き合いよろしくお願いします☺❤✨


調子良く、📱触れそうなら✏します😁✌
(もちろん、マナーを守り、病院内の📱マークのある場所です🍀)


今後とも
よろしくお願いします☺❤✨


No.5 12/02/09 10:38
あい ( 30代 ♀ ffxHh )

お義母さんがピザ屋に注文をする

Jちゃんが、ボサボサの髪で起きて来て
『あ~あいちゃん、昨日より酷いことになってるね』
と一言吐いて洗面所に消えた…


義両親も何事も無かったかのような、振る舞い


アタシは、まだ……

謝罪してもらっていない。



だけど、もう謝罪する気もないのだと
割り切って、タバコを吸った


ふぅちゃんとしんちゃんが、義両親に
『お父さん、叱ってくれた?
お父さん、お母さんに、ちゃんと謝った?
もう別れるんだよね?!!』
と、問いただしていたが

義両親からは『大人の話しだから、顔を突っ込まないの!!』と言われていた


ふぅちゃんや、しんちゃんは子供だけど…

巻き込まれた被害者でもあるはず…


『お義父さん、お義母さん…
子供たちには謝ってもらえませんか?
なんでも笑ってごまかさないで!!
謝ってください…せいちゃんもだよ!!!!』


その場が、静まりかえった…


Jちゃんが口を挟む。

『なんでウチの親まで謝るわけ?
親は、悪いことしてないじゃない!

あんたが離婚して欲しがったんでしょう?

あんたが、今までありがとうございます。
我慢が足りなくてすみません。って言う立場なんじゃないの?』


とても、9つも年上の42歳の言葉とは思えない…

もうすぐ結婚するんだよね?

なのに…そんな考えなの?



『はぁ~?!Jちゃん…真面目に言ってんのかよ?!』
アタシは大きな声を出した



『まぁ、まぁ、こんな結果になったのは、お互い様だから
どちらが悪いわけでもないわ』

はぁ?お義母さん……絶句。


せいちゃんだけが
『あい…ごめんな…
ふぅちゃん、しんちゃん…ごめんな…』
と言った


ふぅちゃんと、しんちゃんは、ゲームに夢中で聞いてもいなかった





ピザが届いた

『さぁ、熱いうちに食べましょう~♪』



アタシだけが、ソファーに座り、ダイニングテーブルには行かなかった


『あいちゃん、冷めるわよ~♪』


どんな神経してんだよ!!!


No.6 12/02/09 11:35
あい ( 30代 ♀ ffxHh )

夕方前に、せいちゃんの実家を後にした

『おばあちゃん、バイバーイ!!』ふぅちゃんと、しんちゃんが手を振って玄関を出る


アタシは、ブーツを履いていた

お義母さんが言う。

『もうふぅちゃんと、しんちゃんにも会えないわね…

せいぜい頑張って育ててちょうだい!
私達には、もう関係ないことだから…

後は、知らないわ。泣きついて来ないでね

実家にでも泣きつけば、いいわ』

と言って家の中に入って行った…



頭に血がのぼる。
怒りが頂点に立つが…もう知らない!

これでいいんだ。



義父だけが外まで出て来ていたが…

最後まで無言のままだった




自宅へ帰った…

せいちゃんは、アタシ達を降ろすと
ななこの家へと帰って行った


『また、来週にあいの実家に行こう!
それまでに、慰謝料や養育費……
話し合いに来るから…

ななこはどうする?連れて来ようか?』


『家の中に、入れさせる気はねぇよ

ふぅちゃんや、しんちゃんにも見せたくないから…

来るなら一人で来てよ』


『分かった……
じゃあ、水曜日に…早く決めてしまおう!』


『……そうだね…』


『ちゃんと責任は取るから…
ごめんな……
じゃぁ………』




3人で家に入る

『寒いね~……早く、ヒーター!!付けて~!!(笑)』

『お父さん…お父さんじゃなくなっちゃうんだよね…』
ふぅちゃんがつぶやく


『そんなことはないよ?
一緒に暮らしてなくても、苗字が変わっても
お父さんであることには、変わりはないよ♪

ただ、お母さんと夫婦じゃなくなっただけだよ』



離婚すると言うことは…
自分たちの生活だけでなく…子供たちのメンタル面を
今より、より一層に気を使ってあげなくちゃいけない…


自分のことで精一杯なんて、生温いことは言ってられない



だって…
だって…


両親の離婚を、あんなに恐れ…
不安になり、必死に闘った
離婚が不安だった幼き日々のアタシ…



それを………

アタシは、忘れてなんかいない…


アタシと
ふぅちゃんや、しんちゃんは違う人格だけど…

子供の頃の気持ちを忘れた、大人にはなりたく無かった


左手の星を撫でる


アタシは、やらなきゃいけない!


めいいっぱいの愛情を注いで行こう


子供たちから目を離さずに、子供たちの心を大切にケアして行こう…


アタシの選んだ道……


No.7 12/02/09 17:51
あい ( 30代 ♀ ffxHh )

その頃の感情は…不安と悲しみとがグチャグチャになったものだった

怒りも確かにあったが、それよりも悲しみ…
絶望感……
不安感……

胸にぽっかりと大きな穴が開いたような
虚無感……


だけど、気を強くもって、自分を奮い立たせてなきゃならなかった


昼間は、
ユマに、胸の内をさらけ出して泣いた


サエちゃんにも全ての気持ちを吐き出して泣いた


毎晩、夜にはタニにも同じように泣きついた


電話ばかりしていた


独りでいると何かに、押し潰されそうだった



3人とも、ただひたすら聞き役に徹してくれた

意見も何も言わず

ただ、ただ、聞いてくれた


有り難かった……





そして、水曜日…
せいちゃんが、やって来た(帰って来た?)


『ご飯は~?』

『食べて来た…話し終わったら、夜には向こうに帰るから…』


『ふーん……アタシ達も食べたし…
話しする?』


『……だな。』


ふぅちゃんの部屋へ移動する


長い長い話し合いだった

感情的になることは、無かった


だけど……

なんて、嫌な空気なんだろう

息が詰まりそうだ…


結婚する時の話し合いとは、真逆の話し合い…

まさか…離婚するなんて思ってもみなかった…



条件は、全てせいちゃんの提案に異議は、無かった


慰謝料、養育費としてマンションをアタシ名義に変更してもらい


それなりの生活が出来るまでは、給料の折半


今、ある貯金の全てはアタシ名義に変更



ほぼ一文無しの状態で、ななこと一からやって行くと言うことだった


子供たちは、自分で判断出来るまでは会わさない
と言う条件ものんでくれた


ななこには、後日会って話しがしたいと伝えた



全ての約束を書面に書き、署名、捺印を押してもらった


不動産には、すでにせいちゃんが連絡をとってくれていて
ややこしい手続きをお任せすることにした


No.8 12/02/10 09:22
あい ( 30代 ♀ ffxHh )

話し合いが終わり

せいちゃんは、子供達に『ごめんな…』とだけ言って
ななこの元へ帰って行った


ななことの対面のため、直接アタシから電話をかけた


『もしもし、あいです』

『あ~、こんばんは♪』

『せいと話し合いしました、もうすぐ戻ると思いますよ』

『知ってますよ♪電話ありましたから♪
あいさんには、いい条件だったでしょう?』

馬鹿にしたように言われた


『ななこさん…慰謝料の件ですが…』

『もちろん、お支払いしますよ~!!逃げたりしませんって(笑)

で、せいちゃんのお値段はいくらですか?』

『…一括でお願いしたいので、いくらなら用意できますか?
せいの値段は、ななこさんにお任せします』


『え~っ(笑)アタシが決めてもいいの?
一括か~……30万から50万ってとこですね
家庭を壊しておきながら(笑)ですけど~♪』


『………分かりました。
では、50万で結構ですので…
直接会えますか?』

『別に構わないよ?だけど、せいちゃんも連れて行くから

それと謝罪はしませんから(笑)
だって、アタシはただ好きになっただけで
離婚は、あいさんが決めたことでしょう?(笑)

ないない(笑)謝罪なんて、有り得ない』


……………もう無理。


『また連絡します』

『はいはーい♪』

プッ。電話を切ってリビングに行く



『ふぅちゃん部屋ありがとう♪もう遅くなっちゃったから寝てね~!』


『お休みー!!』


子供達が寝静まり、独りで泣いた

ななこの態度になのか、それともせいちゃんとの離婚が
現実的になって来たからなのか…


タニにメールを送る

『話し合い終わったよ⤵
疲れちゃったよ😢
ななことも話した。相変わらず嫌なヤツだった😢

寝る前に電話ちょうだい!』


アタシは、お風呂に浸かった


ぼんやりと天井を見上げていた


No.9 12/02/10 11:58
あい ( 30代 ♀ ffxHh )

ぼんやりと天井を見つめる

熱い涙が流れる

胸が苦しい…

ななこの声が蘇る…謝罪なんてしない
離婚を決めたのは、アタシ…

そりゃそうだ。

せいちゃんへの憎しみが湧いて来る…


フラフラとお風呂から上がり

パジャマを着た


涙が落ちる…悔しい!!!!


タオルと輪ゴムで人形をつくり
包丁でグサグサ刺した…


ななこに見たてて

せいちゃんに見たてて

お義父さんに見たてて

お義母さんに見たてて

Jちゃんに見たてて


グサグサと何度も何度も、力いっぱい包丁を人形に振り下ろした

めちゃくちゃに切り刻んだ…

アタシは、鬼の形相をしていたと思う


無言で無心で包丁を振り下ろし続けた


ななこ!!!ななこ!!!せい!!!!せい!!!!せい!!!


人形がボロボロになるまで…包丁を振り下ろした


ボロボロになった人形を見て、包丁を置いた




カーディガンを羽織り

タバコを吸いにベランダへ出る

今夜も満天の星空……

『あんたに負けたよ…面白いか?満足か?』空に向かってつぶやく

壁にもたれ煙りを吐き出す

天へとのぼる煙り…


ポッポッと煙りの輪っかを作り、アタシの頭に合わせる

天使みたい……

あの場面が浮かぶ。

せいちゃん…終わっちゃうね

もう終わっちゃうね。

せいちゃんは50万なんだって…


アタシや子供達の慰謝料なんて、あんな女から取るつもりなんて初めからない!!!


あんな女に、アタシ達への慰めの費用なんて…請求する気もない


苦しめるために多額の金額を考えたりもした

だけど、ななこの頭にアタシや子供達が残って欲しく無かった


ただ、けじめとして
あの女の払える金額を…と思っていたら


『せいちゃんのお値段』ときたのだ

呆れる………



補聴器を付けて、携帯を見たらタニから
何度も着信があった

『お風呂入ってた💦
もうすぐ📱かけるね💦ごめん~‼』
タニに送信…


人形をごみ箱に捨てて、包丁を洗う

タオルのクズをコロコロで綺麗にして


顔のケアをした


気を取り直し、タニに電話をかけた


No.10 12/02/10 15:42
あい ( 30代 ♀ ffxHh )

プルル…プルル…『もしも~し』
『あいだよー♪ごめんね、何回も電話くれてたのにさ』

『いいよ~!話し合い出来たんだ?!』
『うん…話し終わったら、すぐに帰ってったけどね(笑)』

『帰るって(笑)まだ離婚成立してね~だろ?
ったく…

で、ななこには?』

『うん……アタシから電話したんだ…』

先程の電話の内容と、せいちゃんの離婚の、慰謝料なんかの話しをした


『でね…お風呂入って…
すげぇ悔しくなっちゃって…
アタシ…何したと思う?絶対引くよ!……』

『黒魔術でもしたか?(笑)』

『惜しい!!!!
…アタシね、タオルで人形作って…
包丁でズタズタに刺したの…!!

現代版、藁人形(笑)!
アタシって、こんなヤツだったんだね~
陰険だよね~(笑)』


『……いや。おかしくない(笑)』
『え?タニ引かないの~?』

『俺なんか、結婚破談になった時……
生き霊飛ばしたもんね(笑)』

『マジ~(笑)?』
『くそマジ!!!だから、あいは普通だよ
なっ?………』

『うん…ありがとう…グスッ…』
『泣くなーぁ♪3月入ったら離婚成立だろ?

どっか行こうか?
これからはさ、あいがパニックで子供達を連れて行ってやれないところ…

俺が連れてってやるから♪』

『あんた優し過ぎ~…そんなんじゃ一生、結婚できないよ?

タニの人生狂わせたくないから…
ちょっとだけ、甘えることにする

ありがとうね』

『も~気を使い過ぎなの!!あいちゃんは~!!
もっと甘えなさいよ~』
お姉言葉で話すタニ…


『ぷっ。アハハ…』

『やっと笑った(笑)
この頃、泣いてばかりだから心配してた

笑った声、聞きたかった』


ドキドキした。

タニの言葉に優しさに、クラクラ来た……


『じゃあ、また明日も電話するわ♪』

『うん。ありがとう!!
タニ……好きだよ!』




『えっ。えっ。
え………えぇ?……!!!』

『くくっ(笑)アハハ…
いつもありがとうね♪』




『お前なーぁ………
んじゃ、明日な…お休み~』



そっかぁ。
タニも生き霊…飛ばしてたんだ♪


心が軽くなった


No.11 12/02/11 20:11
あい ( 30代 ♀ ffxHh )

次の日、母に電話をした

『あっ、お母さん?あいだけど…』

『はいはい。何~?
お母さん、ちょっと買い物行くのよ』

『じゃあ、手短に…
あのさ、土曜日空いてる?
せいちゃんと…ちょっと話しあって
お父さんにも話したいんだけど…』


『何よ?改まって…?
もしかして…おめでた?!
ヤダー、あいは…もう…』

『違うよ!そんなんじゃない…
まぁ、会ってきちんと話したいから…
今は、話せないけどごめんね…』


『なんだか、嫌な話しみたいね

まあ、当日お父さんと一緒に聞くから

じゃあ、お母さん忙しいから、また土曜日にね!

昼過ぎに来てちょうだい』



受話器を置いた


はぁ………疲れた


どうなるんだろう…
土曜日…

アタシは、不安でいっぱいだった



何よりも…こんな身体を見たら
両親が悲しむだろうな……

と想像すると泣けて来た




鏡を見て、自分を見つめて泣いた


『あんたがしっかりしなきゃ…
どうなるんだよ!泣くなよ…』


鏡の自分に喝を入れて泣いた


No.12 12/02/11 21:28
あい ( 30代 ♀ ffxHh )

両親に…特に母親には、せいちゃんの女性問題で苦しんでることを、
絶対に悟られたく無かった



母方の、おばあちゃんの姉が
夫の不倫でノイローゼになり自殺している


そして、おばあちゃんのいとこも夫の不倫が原因で自殺していた


母方の、おばあちゃんは、いつも『女の一番悲しいことは、夫に女が出来ること…
だから、あんた達はいつも綺麗に化粧して
いつでも微笑みを忘れず、大切にされるいい女でいなさいよ

女を作られる悲しみは、もう誰にも味わって欲しくないからね…』

と、アタシと妹にいつも言っていた

母にも、もう聞き飽きたと言ってたほど言っていた



だから……

絶対に、アタシがこんな苦しみを抱えてるなんて…


死んでも言えない。と強く思っていた



暴力の悲しみは、父が悲しむだろう…
激怒するだろう…

だけど、父は強い。


暴力ならば…父の怒りを買って
すぐに離婚成立になるだろう…


暴力の痛みは、父を悲しませてしまうけど…

女性問題まで話すなんてできない。



悶々と独り苦しんだ


言えない苦しみ。
嘘をつく苦しみ。



だけど、守りたい者のため…

悲しみは、少ない方がいいに決まってる



アタシは、一生、両親には知らせず、
墓まで持って行くことを決めた




No.13 12/02/12 01:20
あい ( 30代 ♀ ffxHh )

タニと電話するのが、毎晩の習慣になっていた


その日の夜も、11時を過ぎる頃に、電話がかかり
話しをした


『土曜日に、実家に行くことになったよ』


『そっかぁ…
あいには辛いことだよな


あいさ…覚えてる?

あいが話せなくなって…、俺が初めて
あいの家に行った時のこと…』


『え~…ん~…
分かんない、覚えてないや…
あの頃も、タニには、いっぱいお世話になったよね』


『あいは…赤ちゃんみたいに、はいはいしてて…
お母さんに抱かれて出て来てさ

夏だったから、オムツしてて…
ヨダレ垂らしてて…
何も話せなくて、目も虚ろで…

俺、忘れられないよ
絶対、守ってやるって決めたんだ…

こんな話ししてごめんね』


『知らなかった………
アタシ…そんなんだったの?

お母さんからも、お父さんからも誰からも
聞いてないよ…!!!!
オムツなんて……何も覚えてない…』


『あい!!ごめん……
知らなかったんだ!!!!

あーごめん。
どうしよう…話しちゃダメだったな

あい………』


アタシは、ショックよりも嬉しかった
ビックリした。


『タニは……そんなアタシに…
毎日、会いに来てくれてたんだ?

知らなかった…ありがとう…

嫌になったり、からかったり…

全くしないでいてくれたんだ…
すごく嬉しいよ…
どうしよう。すごく嬉しい……

ありがとう……』


涙が止まらなかった

胸がいっぱいになる。


『そんなアタシを見て…
守ってくれようとしたんだ…』


『あい。
好きだよ……ずっと…
今でも、
頭も心も、あいでいっぱいだ…

愛してる……
守ってやりたいんだ』



『タニ…………』



『離婚成立してから、言うつもりだったのに

ごめんな……

俺、結婚破談になって良かったわ(笑)

あいに、また好きだって言えた(笑)』

『ずっと、何があっても守ってやるから
壊れても、守ってやるから…

安心して、土曜日話しして来いよ

って言いたかったんだ』


涙で声にならない……



『うん……』



『あ、好きなのは俺だけでいいからな♪

あいの心まで求めてないから…

あいに、無償の愛を捧げます(笑)

気にすんなよな!!』



タニは、いつでもそうだ


好きだ。って宣言する…


すごく、強くなれる


『ありがとう……』


『じゃあ、また明日♪お休み~』


電話を切った

No.14 12/02/12 14:09
あい ( 30代 ♀ ffxHh )

タニの気持ちに、アタシは全く気づいていなかった


あの頃は…
自分のことで精一杯で、タニに甘えていた


タニの気持ちも知らないで……




タニから聞いた話しは、その後…

うんと後から、母に聞いてみた


アタシは、全く覚えてないけど

ロッキーが家に来た後、歩けなくなり
ロッキーに寄り添いながら、声も出せず
涙とヨダレを垂らして、トイレにも行けず粗相をし…

ロッキーにくっついて暮らしていたと聞いた


アタシの記憶には、全くない…


母から聞く話しは、あまりにも衝撃的で……



だけど、海での事件が原因だと

自分の中では、すぐに分かった



ロッキーが居てくれたから、妹が居てくれたから……

タニが居てくれたから……




アタシは、アタシを取り戻せたと思う



No.15 12/02/12 14:27
あい ( 30代 ♀ ffxHh )

タニから愛してる。
という気持ちを聞いて…

すごく嬉しかった


だけど、
だからと言って…
タニへの気持ちが、恋心に変わる訳でもなく


ただ、嬉しくてありがたかった


強くなれた。



だけど心の中では、まだ……

せいちゃんへの想いがあった


悲しくて…
悲しくて…


何故、こんなことになってしまったの?


リアルに離婚を進めておきながら
心では、せいちゃんを求めていた


だけど
せいちゃんは、アタシもななこも好きだと言う…


悲しかった。


せいちゃんが狂ってしまったことが
悲しかった。


あの頃は……
せいちゃんへの気持ち、理不尽な現実

せいちゃんの実家の両親とJちゃんの態度


離婚と言う…自分が選んでおきながら
受け入れ難い現実


全てに、疲れ……


今までの、せいちゃんが嘘みたいで…これも受け入れ難く


こんな奴だったんだ…


と思いながらも信じたく無かった




アタシの思いとは、うらはらに
時間は…
着実に進んでいた



No.16 12/02/12 21:51
あい ( 30代 ♀ ffxHh )

土曜日が来た

午前中に、せいちゃんが家に迎えに来た


『ただいま~、今日あいの実家行くんだろ?』

リビングでテレビゲームをしていた
ふぅちゃんと、しんちゃんは『知ってるよ!!お昼ご飯食べてからだよ…
来るの早過ぎ…』

素っ気なく言う


もう、せいちゃんは、この家の家族じゃない!と言わんばかりの態度…


『じゃあ、ラーメンでもみんなで食べようか?』
アタシの提案に

『え~!!!お父さんの分なんていらないよ』
ふぅちゃんが言う



はぁ……ため息をつく、せいちゃん



『アタシ、とりあえず着替えて来るよ』

寝室へ行き、服を選ぶ…


なるべく、いつも通りのバカっぽい服を選んだ

両親の怒り、悲しみが少しでも薄れるように考えながら…


バカっぽく見えたら、娘への、呆れもあるかも知れない


ヒョウ柄のヒラミニスカートに、ビョウ打ちの黒いロックトレーナー
黒いタイツに足を通す


ウィッグを付けて、前髪をポンパにした

ネイルは、真っ赤に金のラメ


いつものアタシ。



だけど、実家へ行く時の、いつもは少し考えて
シンプルな大人びた、モデルの休日(笑)
っぽい服を選んでいた



だから、今日は…少しは違う



ラーメンを作り

4人で食べた。



心は、サッパリしていた




これから修羅場が起こるなんて…

思いもしなかった


No.17 12/02/13 09:09
あい ( 30代 ♀ ffxHh )

実家へ向かう途中に、『子供達を預かって!!』と頼んでおいた妹の家へ寄った


『お姉ちゃん!!!何……その顔…痣が…いっぱい!!!
どうしたんだよ~!?酷い顔…
まさか……?』

妹が、新築の一軒家の玄関で固い表情になる

『うん…まぁ、想像通り…』


『ふぅちゃん、しんちゃん!部屋、上がってな!!』


『お姉ちゃんを殴るなんて…許せない!!!!』

妹は、外に出て車のドアを勢いよく開けて
せいちゃんを引きずり降ろした


『せいちゃん!!!あんた、何があったとしても…
ここまで、酷い顔にするなんて許せない!

なんで殴った?なんでだよ!!!
お姉ちゃんはなぁ……もう殴られちゃ駄目な人なんだよ!!』


『……………………ごめん』


『聞こえねぇ!!ごめんじゃ済まねぇ!』


バチン!!!!
妹は、せいちゃんを思いっきり平手打ちした


『お姉ちゃん、離婚しな!!
捨ててやれ!!アタシは、絶対許せない!!!

もう殴られて生きるなんて…お姉ちゃんには…


痛い思いして欲しくないよ……』

妹が泣いた。


『ありがとう……ありがとう……』

アタシも、涙が出る


『離婚。するよ……』

『うん……それがいい…一回殴ると、ずっと殴る奴になるからね…

もう痛い思いしないで…子供達は、明日も休みだから…
明日の夜に家まで、送ってあげるから
ゆっくりしてね……』


『ありがとう……』


妹の肩に手を伸ばす


震えて泣いてる妹……


『じゃあ、行くね』



再び、車に乗って実家へ向かった


車の中では、せいちゃんが
『あ~!!先が思いやられる…
あいが殴られて育ったから…酷い目にあいそうだな…』


『これでも、顔以外は痣が見えねぇように
気を遣ったんだよ!!
てめぇが文句言うな!!

女のことがバレないように、子供達には話さないでって念を押してあるんだから……』


イライラしてタバコを吸いながら言う



『はぁ~………』相変わらず、ため息をつく
せいちゃん………




ため息つきたいのは、こっちだよ


No.18 12/02/13 12:02
あい ( 30代 ♀ ffxHh )

実家に着いた

足どりが重くなる…

顔以外は、見えないように気をつけて来た



チャイムを鳴らし、そっと玄関のドアを開けた


『はーい♪♪』パタパタとスリッパの音と同時に、母が顔を出した


アタシは、下を向いていた


『いらっしゃい♪さぁ、上がって…』

顔を上げた瞬間……



母は、言葉を失った。



『すみません…………』か細い声で、せいちゃんが言う

隣りで頭を深く下げた



『……何?あいの顔……痣でしょう?


せいちゃんが?…え…』


母は、突っ立たままだった



父が顔を出す
『どうした?いらっしゃ…………!!!!!!


何なんだ!あい…!!
せい君、あいの顔は……何なんだ!』


父が震えている

顔色が、みるみる赤黒くなって行く……


せいちゃんは、その場に土下座した


『申し訳ありません……つい、カッとなり…

僕が…僕が、あいを……』


言い終わらないうちに、父が降りて来て


せいちゃんを揺さぶり、立ち上がらせて

ドン!!!!!
と壁に叩き付けた




『お前、暴力振るったのか?!
あいに…暴力振るったのか?
ええっ!!??許さんぞ!!!』

『何があろうと………ここまでヤルとは…
許さね~からな?!!!』


『お父さん…止めて!!』母が父の背中を引っ張った



アタシは、予想はしていたが…

父の体の震えを見て、腰を抜かしてヘナヘナとしゃがみ込んだ



No.19 12/02/13 12:56
あい ( 30代 ♀ ffxHh )

『表へ出ろ!』

父の叫ぶ声……


『止めてよ!!もう止めて~!!!!』
アタシは、座り込みながら、泣きながら声を張り上げた



『あい……』

両親が振り向く

母が、アタシを包み込むように立ち上がらせてくれた


『お父さん…話しを聞いて…』


父は、渋々…『上がれ…』
と、せいちゃんに声をかけた


せいちゃんは、下を向いて『すみません……』と言ってスニーカーを脱いだ



座敷に座る。


テーブルに、鬼のような父…
そして、母…


小さく背中を丸めた、せいちゃんと
少し離れて座るアタシ…



長い沈黙……………………



『あい、殴られたのは…初めてか?』

父の問いに首を振り『2回……』と言った



ため息をつく父と母……


『俺はな、暴力振るう人間が大嫌いなんだよ。

お前は、殴られたことがあるか?』


『ありません…………』


父がテーブルを叩く


『ふざけるな!!!!痛みはな、体だけじゃないんだ!

心も痛むんだ!お前には…分からんだろう!』



いや、お父さん…
アタシも、せいちゃん殴った事あるよ。

とは、言わなかった


No.20 12/02/13 15:02
あい ( 30代 ♀ ffxHh )

『なんで殴った?』

『カッとなりました…』

『最低だな』

『…はい』



沈黙……………………



『あいの気に入らない所を、言ってみろ!!』


『…ありません…
……が、パニックで頼られるのが一番…嫌になりました…』


アタシが言った

『お父さん、せいちゃんはね…
アタシが病気なのが嫌なんだって、だから…

もう…こんなに殴られて、アタシも嫌になったの!!

こんな奴と、一緒に生きて行くなんて嫌なの!』


『……だから…離婚するために来たの…
名前書いて……』



アタシは、テーブルに離婚届けを広げた




父と母が、離婚届けを黙って見る


『せい君…の…ご両親には…
もう話してあるのか…?』


『……はい』
せいちゃんが下を向いて答える



再び、父が立ち上がり胸ぐらを掴みかかる


『俺は、知らない!……こんな…こんな目に娘が遭わされて…

お前の両親は、なんの連絡も無しなのか!』

せいちゃんをグラグラと揺する



こんな父を、初めて見た。



『お前の親を、今すぐにここへ呼べ!!!!』

父は叫んだ…




No.21 12/02/13 16:33
あい ( 30代 ♀ ffxHh )

『お前の親を、今すぐにここへ呼べ!!!!』


『お父さん、無理だよ
この前、話し合いした時に
合わす顔がないから、後で電話するって、お義母さん言ってたから』



父が激怒するのは、分かっていたが
言わずにはいられ無かった


バカにしやがって…あの義母!!


『何?!あいに…そう言ったのか?

どういうことだ!お前の親は…
電話で済ますつもりか!
ふざけるな!!』



さすがに母も
『人の娘に、こんな酷いことしておいて…
信じられないわ!


あい、離婚しなさい!
もう…お話する必要もないわ!』



『いや、気が済まん!!!今すぐ、ここへ呼べ!!』

父が吠え立てる



せいちゃんは、仕方なくと言う表情で携帯を持った


アタシは、タバコを吸って、ため息をついた


『あい…大丈夫か?』
こちらを見る父…


アタシは、体が震えていた

声も出せず、うん。と頷いた


『あ~、母ちゃん…今、あいの実家…

お義父さんが、……その……父ちゃんと母ちゃんを呼べって…

うん…大丈夫。うん…来てくれるかな?

うん……じゃあ。』



何が、何が、何が…大丈夫なんだよ!!!

電話に向かって、叫びたいのを我慢した


はあー
タバコを吸う。

父も一緒に吸う。


『あい……痛かったな…
お父さんが守ってやるから…

お前が殴られるなんて…』

『お母さん……ちょっと席を外してくれ…』


母は、リビングへ行った


父とアタシと、せいちゃんの三人になった


『お前は、あいがオバアの家に預けられてた話しを、知ってるのか?』


『………はい……』


『あいが暴力受けてた事も…
知ってるのか?』


『はい……すみません…』


バチン!!!!!
父が、せいちゃんに平手打ちをした


『このクズ男!!!!
あいが…あいが…どんな風に育ったのか知っていながら……!!!!!!』


父が拳を振り上げた



父の手を咄嗟に掴んだ

『お父さん!止めて………』



『くそ!!!クズ男!!!
お前のような奴は、大嫌いだ…


軽蔑する………』


ワナワナと震える父。


そんな父に、本気で怯えるせいちゃん…



情けない…


No.22 12/02/14 11:24
あい ( 30代 ♀ ffxHh )

父の怒りに、せいちゃんは…ただ黙っていた

『あいに、暴力を振るって…
それで、お前は平気であいの飯を食っていたのか?』


『………………』


『なんとか言え!!!』

父がテーブルを叩く

『はい………』決して目を合わせないで、下を向いたまま
答えるせいちゃん…


はぁー…何度もため息をつき、頭を抱える父


『ふぅちゃんと、しんちゃんは…当然知ってるよな?』

『はい…………』


『子供がな、母親を父親に殴られたって…
どんな気持ちか分かるか?
クズなりに想像してみろ!』

『分かるだろう……?!』


『すみませんでした……』


父が、またテーブルを叩く


『お前も同じ目に遭わせてやりたい!
痛みを知らねークズに…

暴力の恐怖と痛みを教えてやりたい…!!!』


父は、悔しそうに言うと黙った



長い沈黙………


アタシも話す気になれず、せいちゃんを見ていた


せいちゃんは、足がしびれて来たようで
足をモゾモゾと動かしてる


なんだか、とても情けなく見えた


黙ってタバコを吸う父が、悲しそうで胸が痛んだ



母が、遠慮がちに入って来て座った


『せいちゃん……私、あなたを許せない!

あいが…あなたを頼って何が悪いの?

病気だからって…酷い理由だわ…』


母が泣いた


『部屋が…いつも綺麗に掃除してあるんです…

ご飯も、毎日…ちゃんと作ってくれるんです…

いつも…綺麗にしてる…
子供たちも可愛がって…

それも…嫌だった、魅力を感じなくなった

ただの母親に、なってしまったあいが鬱陶しかった…』


せいちゃんが話した



父と母は、絶句していた


No.23 12/02/14 13:44
あい ( 30代 ♀ ffxHh )

絶句している父と母


アタシは、この勢いでせいちゃんが、ななこの事を言ってしまうんじゃないかと
ハラハラした



母が
『何を言ってるの!あなたは……!!!!』
と叫んだ




ピンポーン♪


……このタイミングで、せいちゃんの両親がやって来た


イライラとしてる母…

もちろん激怒してる父…


『こんにちは…』

二人が上がって来た。


一番に、アタシを見て義母が大きな声を出した


『あいちゃん…!!!髪の毛あるじゃない!!

私達の前では、ハゲた頭を見せたのに、ご両親の前ではかつらを被ってるのね!!!

私達に、嫌がらせのつもりだったの!!!!』



場が静まりかえる。



アタシは、ため息をついてウィッグを外した


ハゲた頭を両親には、見せたく無かったけど…



その瞬間、父が拳でせいちゃんの頬を殴りつけた!


『キャァー!!!!!
お義父さん!!!せいに…せいに何をするんですか!』

走って、せいちゃんに駆け寄るバカ義母……


『ふざけるな!
娘のあんな姿を見て…
…………


正常でいられる親がどこにいるんだ!!!!』

父が勢いに任せて、壁を殴る


隣りで母は、アタシを抱き寄せ
泣き叫んだ……



突っ立ってる義父。


せいちゃんの頬を撫でる、義母…


下を向くせいちゃん



地獄絵図だった……



No.24 12/02/14 21:21
あい ( 30代 ♀ ffxHh )

アタシは、ただ泣くことしかできなかった


お義父さんが、バッとひざまずき土下座した
『せいが……
大切な娘さんに、暴力を振るい…
こんな姿にしてしまい…申し訳ありませんでした…!!!!!』
必死に頭を下げる義父



女性問題を言わないなら、捺印してやる
と、条件を出して来たくせに…

ずいぶんな演技力じゃねぇか!


その姿に、心底頭に来た…軽蔑した



父は、そんな義父を無視して

『おい!お前!!!
今、どんな気分だ!!情けないとは、思わないのか!
子供の親である、いい大人が…

さっきの言葉!!!この場でもう一度言ってみろ!』



『お義父さん…せいだけが悪いわけじゃ…』
義母が庇う




『さっきの言葉、あいに暴力を振るうほど、あいが鬱陶しかった理由を言え!!!!』



小さな声で、せいちゃんが言う
『部屋が…いつも綺麗に掃除してあって

ご飯が、毎日…ちゃんと作ってある…

いつも…身綺麗にしてて文句はないです


子供たちも可愛がってました…

そんなところに、魅力を感じなくなった

ただの完ぺきな…母親に…なってしまったあいが鬱陶しかった……です

だから……』


また、父が鉄拳をぶち込む

せいちゃんは、鼻血が出て、よろめいて座り込んだ


『キャァ~ァ!!!!!
せいちゃん…せいちゃん……!!!!』


義母の悲鳴がこだまする



No.25 12/02/14 22:43
あい ( 30代 ♀ ffxHh )

『せいちゃ~ん………せいちゃ~ん…!!!』

義母が、父を睨みつける



『お義父さんのしてることは、犯罪ですよ!
せいちゃんを殴るなんて…

私達はね、子供を殴ったことなんて一度もないのよ!!
この子は、殴られたこともないのに…かわいそうに…痛かったわね…』



せいちゃんが、義母の手を払いのけた


父は、無言だ。


せいちゃんが、父に頭を下げた

『大切な…あいを…殴り傷つけてしまい
申し訳ありませんでした…

僕のできる限りのことをして償います…

ほんとに…申し訳ありませんでした…』



『せいちゃん…あなた…!!』義母が、せいちゃんの背中に抱き着く


『止めろ!母ちゃん、みっともない!!
俺が悪い。分かってるんだ…
あいは、微塵も悪くない…
あい。ごめんなさい…』

せいちゃんが、アタシを見て頭を下げる



『お義父さん……誠に申し訳ございません…
お恥ずかしい限りです…

どうか…どうか、私からもお願いします…お許しください!
せいのバカを…家内のバカをお許しください!』

義父が頭を畳に、こすりつける



ため息をつき、父はテーブルに向かい座った


『どうぞ、頭をあげてください…』


やっと、まともな話しをした。




義母だけが、せいちゃんの隣りに座り



せいちゃんの背中をさすり続けていた…




No.26 12/02/15 11:06
あい ( 30代 ♀ ffxHh )

義両親は、アタシの両親に謝罪した


父は、離婚届けに署名、捺印を押した


『孫は、こちらで構いませんね!』
父が言った


当たり前だ。
だって、義母はアタシに、子供たちに会えないわね。泣きついて来ないでって言ったんだ…!!!


『……はい。
あいちゃんが、病気を抱えながら…うまく育てて行けるのか
心配ですが…こちらからは、何も言えない立場です』
義父が言う


アタシは、
『お義父さん、お義母さん…アタシは、子供たちが小さな頃からも…
パニックになってからも

せいちゃんの長い出張中、一人で周りに助けられながら二人を育てて来ました

せいちゃんは、出張だらけですよ!!!
(嫌味を込める)

今さら、せいちゃんが居ないからって…
何も変わりません!!!』


『……………………』

黙り込む義両親。


『私達も助けて行きますので、ご心配は無用です!』
母が、キッパリと言った



話し合いは、ほぼ終了して義両親は
席を立つ前に、
二人して父に、もう一度土下座をした


『こちらの勝手で申し訳ありませんが…

融資は…今まで通り…』



『知りませんな。
これからは、担当を変わるつもりです

いつまでも縁が続くのも、おかしな話しでしょう

次の担当の者とご相談ください!

今は、仕事の話しをする場ではありませんから!!』


心の中で、父に拍手を送った



部屋を出る前に、母が『お義父さん、お義母さん…私達だけでなく

あいに謝罪してください!』と言った


義両親は、一瞬戸惑った様子に見えたが

アタシの方を向いて
『…あいちゃん…
今まで、せいをありがとうございました

そして…このような酷い仕打ち、申し訳ありませんでした…』
義父が言い、二人はお辞儀をした



アタシは、何も言わなかった



義両親と、せいちゃんは帰って行った……


長い長い時間だった


もう夕方も、とっくに過ぎていた


父に抱きしめられる

『何も心配するな♪頑張ったな……

あいは、頑張った。
こんな姿になってしまうくらいに……
頑張ったんだよ……!!!
何も心配することは、ないから…

新しい門出だ。
前を向いて行こうな…』
優しく優しく頭を撫でられる


母も肩に、もたれるように寄り添ってくれる


『お父さん…お母さん…
ごめんね…
ありがとう…』



三人で抱き合いながら、泣いた


No.27 12/02/15 15:17
あい ( 30代 ♀ ffxHh )

ふぅちゃんと、しんちゃんは妹の家でお泊りだと伝えると

父が、明日の夕方に、アタシを送るついでに
妹の家に寄ると言ってくれた


アタシは、…結婚してから初めて、実家で娘のように
独りの夜を過ごすことになった



もちろん、両親との話しはこれからの生活のこと…


実家へ帰って来いと言われたが、ふぅちゃんやしんちゃんの事を考えると
転校もかわいそうだし

今まで通り、南の地で住みたいと思った


パニックで行動範囲が狭く、自分の力では、実家までは帰って来れない…

両親は、それが心配だったんだろう


その晩の、
簡単な夕食も喉を通らない…

食べられないから、ビールを飲んで、おかずをつまむ



♪♪♪~
メールがはいった。

『今日は、ご苦労様でした。
離婚届けは、来週のJちゃんの結婚式が終わってから出してください

よろしくお願いします。

暴力の件だけで済んで良かったです』


義母からのメール……


ため息が出た。

情けなくなった…こんな人間がいるんだな…


両親の手前、普通に携帯を見ただけにして
それまで通りに話しをした



No.28 12/02/15 20:44
あい ( 30代 ♀ ffxHh )

その夜は、しんみりとした夜だった


両親がアタシに、気を使ってるのが痛いほど分かる


『だけど、早めに見切りを付けて良かったわね

こんな、暴力振るうなんて…
我慢してたら、次は女でも作るようになるとこだったと思うわ』


『そうだね…』


ビールを、また開けて飲む


女か………
もう痛いくらい女で泣いて来た

暴力よりも、もっと痛くて辛くて…苦しんだ


なんて言えるはずもなく、ビールを飲みながら

ロッキーの話し等をしてごまかした



『あ、そうだ!
お父さん、お母さん!!
タニがね、お店二号店持っててね

二号店が、〇〇市にあって移動するんだって!

タニに、色々と相談してたから…
なんか、アタシ雇ってくれるって話しなんだよ』


『え~タニちゃん?
すごいじゃない!!!やっぱり、いい子よね~

あい、お世話になるの?』

『うん…
パニックのことも理解してくれてるし…
甘えようかな?って思ってる』


『タニ君は、優しい子だからなぁ…

二号店に移るのは偶然なのか?』
父が聞く。
鋭い………


『…だと思うよ?』



『お世話になりっぱなしだな。

また、ご飯でも呼んで、ご馳走しなきゃならんな(笑)

あいも、バツ1だな(笑)
タニ君を狙うなよ(笑)』


『も~ぉ!!!!!お父さんは!
飲み過ぎなんじゃない?(笑)』


『ハハハ……♪♪』



ウチの家族は、妹以外は、よく飲む。


いくら飲んでも、人格が変わるとか
テンションが上がり過ぎるなんてことはない


強いのだろう。

あまり普通の量で、酔っ払うってことは、ない。


ビール代が、もったいない気もするが…(笑)

(発泡酒ですが、ビールと表現してます(笑))



『でも、あい。
今日の服装、あいらしいな~!!』

『ほんと♪…あなた、無理して、おとなしい服着てウチに来るでしょう?(笑)』



『えぇ!!!知ってたの?』アタシは、ビックリした。


『そんな、ジャラジャラとしてる派手な子が
無理しておとなしいふりしてても、無理よ(笑)

これからは、あいらしく居てなさい♪

別に、お父さんもお母さんも見た目で、人を判断したりしないから

子供達の参観日には、気をつけてね(笑)』



アタシは、笑った


なんて、マヌケな努力をしてたんだろう!


タバコを吸って
ビールを飲む。

左手の星が、アタシらしさの象徴……



No.29 12/02/16 08:29
あい ( 30代 ♀ ffxHh )

『おやすみ~』

2階へ上がり、
弟の使ってた部屋に入る


ベッドに寝転び、携帯を見た
せいちゃんと、タニからメールがあった


【せいちゃん】受信
お疲れさま😃💦

離婚するなんて、
なんだか実感湧かないな💦💦

あいには、辛い日々だったと思う😔
俺の勝手を…許せないと思う😔

また、荷物取りに行くから連絡します

――――――――――――――


あぁ、ほんとに終わったんだな…

アタシは、せいちゃんを愛してた…

だけど、こんな気持ちも過去になるんだろうな

とりあえず、やることは山のようにある…

一つ一つ整理して前に進むしかない


タニからのメールを開く

【タニ】受信
ちゃんと話し合いできたかな?

なんか、今日1日ずっと気になってたよ😥

元気ならメールくれ😁
そんな気にもならないなら、また気が向いた時に…😉

心配してるから、頼ってくれよ✌🍀

――――――――――――――

はぁ~、ため息…

タニは、優しいなぁ…

電話しようか迷ったけど、声を聞けば泣いてしまいそうだったから

メールを返した


【タニ】
なんとか、1日が終わりました💦

長い1日だったよ~😥

今夜は、しんみりと一人でいたいから…(笑)
心配してくれてありがとう😃🎵

また連絡するね✌⤴

――――――――――――――
送信…っと。



あぁ、これから頑張らないとな~…!!!


複雑な思いの中、少し泣いて
目を閉じた


せいちゃんとの、沢山の思い出…


バカバカしく思えたり、胸が裂けるような悲しみに涙が出たり…


そして眠った……




朝になり、顔を洗い

なんだか清々しい気持ちだった


さて、身支度をして
『ちょっと出掛けるからー』


山田さんちに向かった。


もちろん報告に…


No.30 12/02/16 09:21
あい ( 30代 ♀ ffxHh )

ピンポーン♪
『おはよう~!!あいでーす!!』


『あいちゃん♪あら、顔の腫れは引いたわね
良かったわ~、さぁ上がって♪♪』


『おっちゃんは~?』

『今、買い物お願いしたのよ♪』

おばあちゃんは、おっちゃんに電話して
アタシが来てるから、ケーキを買って来て!
とお願いしてた


……丸聞こえ(笑)

ありがたい。
嬉しくなる。
心が温かくなる。


『あ、おばちゃんお昼は帰って食べるから
心配しないでね~!!』


『はいはい♪
で、あいちゃん…なんだかサッパリした顔してるじゃない』

『え~(笑)分かる?』


『昨日、話し合いできたんだ♪
後は、離婚届け出すだけなんだ♪』
アタシはVサインをした


おばちゃんは、ニッコリ笑って
『新しい人生の始まりね♪』
と言ってくれた



換気扇の下で、タバコを吸う


『ただいま~!!コラ!(笑)
不良娘、またタバコか(笑)』

『お帰り~♪美味しく頂いてます(笑)♪』

プカプカと煙りを吐き出す


『もっと旨いもん買って来たぞ~♪
ケーキ食べるぞ♪』


『ヤッター!!!!!』


『あれ?ふぅちゃんと、しんちゃんは?』
おっちゃんかキョロキョロしてる


『昨日、離婚の話し合いしたから妹のウチに
お泊りしてるよ、また連れて来るね♪』

そっか。と少し肩を落とすおっちゃん


嬉しくなる。


ふぅちゃんと、しんちゃんを、心待ちにしてくれてる気持ちが
嬉しくて、ありがたい


ケーキを食べながら、昨日の事を話す


おっちゃんとおばちゃんは、『あいちゃん頑張ったな~、女の話ししなかったのか…
うん。よく耐えた!!』

『ここで愚痴なら話しなさい』


優しい二人…


おかげで、恨み心も消え失せた


『もう、いいや(笑)
喋ったらスッキリしたから…
ありがとう…』


美味しいケーキを食べて、いっぱい話して
元気をもらって
アタシは、また実家へ戻った


『また来るね~!!ありがとう♪』


帰り道…

もう、義両親のことなんて悔しくも無かった


No.31 12/02/16 13:46
あい ( 30代 ♀ ffxHh )

夕方に、母から沢山の食品や日曜日を貰い

父の車で送ってもらった


途中で、妹の家に寄り子供達を預かってもらった礼を言う

子供達は、『バイバーイ』と車に乗り込み

父は、降りて来ずに窓から手を振っていた


『で、離婚できた?』

『うん!まぁ、向こうにが謝罪に来て…
お父さん怒っちゃって、修羅場だったけどさ

なんとか、離婚できるよ、ありがとう♪』


『お姉ちゃん!これからは、もっといっぱい遊びに行くね!!

それに、なんでも頼って!!
お姉ちゃんが行けないところは、足になるから!!』

『ありがとう♪♪
頼りにしてる。じゃあ、また電話するね!!』


アタシが、車に乗り込むと妹が手を振った

『バイバーイ♪♪♪』
みんなで手を振り、自宅へと車は走った



我が家のマンションが見えて来る


駅、周辺に建つ、高層マンションの幾つかの一つ…


あれが、見えると帰って来た気になる



暗証番号を押して、沢山の荷物をそれぞれが持ち
自宅へ入る


『ただいま~♪』


これからは…
ここは、私達三人の我が家


『お父さん、ご飯食べて帰る?』


『それなら、外食にしようか?
あいも作るの面倒だろう?(笑)』


『ヤッター♪♪決定~!!
僕、お寿司がいいな!!』

『アタシは、焼肉♪♪』

テンションの高い子供達(笑)


『じゃあ、焼肉に決定~!!』アタシが言った


『なんで~!!!!!』拗ねるしんちゃん


『だって、もうお父さん居ないから
焼肉って、お母さんだけじゃ連れて行ってあげられないもん……』


『そうだな…』父が頷く。


『分かった!回転寿司なら、お母さんでも行けるもんね!!』
機嫌が治ったしんちゃん


ホッと胸を撫で下ろした



これから先…
こんな事が、山ほど出て来るのかも知れないな…


少し不安を感じながら、
私達は、少し早い夕食に出掛けた


No.32 12/02/16 16:23
あい ( 30代 ♀ ffxHh )

父も帰り、子供達も寝静まり


一人になる。


なんとも言えない感情…

吹っ切れた訳ではない。

まだ、最後に残されている
ななことの対面………


色んな思いがよぎる


せいちゃんに、メールを送った


『ななことの話し合い、ちゃんと日を決めて連絡してください。

子供達を、遅くまで待たせたくないから
定時に終わる日に、お願いします

慰謝料は、ななこに直接言ってあるから
よろしくお願いします


後、せいちゃんの服や色んなモノどうにかしてください。

目にしたくないので、とりあえず、実家に送っても構いませんか?

それか、ななこの自宅に持って行ってください』



絵文字も一切なしの、用件だけのメール


もう、
子供達も、夜の9時頃までは、アタシも学校の役員等で
夜に留守にすることもあり

留守番は、平気になっていた



部屋中には、
まだまだ、せいちゃんのモノが溢れている


これらも、処分するなり、持って行くなり
早く目の前から、アタシの生活から消えて欲しかった



ダブルベッドも捨てよう。


せいちゃんと寝てたベッドが、一番捨てたいモノだった



No.33 12/02/16 18:15
あい ( 30代 ♀ ffxHh )

そして、朝が来て



また、いつもの…新しい三人の生活が始まった


『行って来ま~す♪』

『行ってらっしゃい!』


アタシは、
ユマに電話して、離婚することになったと話した


ユマは、泣いた


『あい…アタシの事、軽蔑してない?

アタシ…不倫してたじゃん?
あいは…不倫されて…アタシに、いっぱい泣いて胸の内を話してくれたよね…


アタシね、バレなきゃいいって思ってたんだ

でも……
あいの苦しみを聞いて、あいの泣き叫ぶ声を聞いて…

なんて、最低なことをしてたんだろう…って


ごめんなさい…

あいの泣き声が、耳から離れない

どんなに酷いことをしてたのか、自分が嫌になる


あい…アタシと友達でいられるの?

不倫して、家族を裏切っておきながら…
こんなに普通に暮らしてる
アタシを許してくれるの?

軽蔑するよね…

もう友達じゃない!って言われても仕方ない…

ごめんね…ごめんね…

離婚になったんだ…辛かったね

ごめんね…不倫って最低だね…』


ユマが、受話器越しに…泣きながら、しゃくりあげながら話す


『ユマ……
アタシは、ユマが好きだよ

不倫される悲しみを、ユマがアタシを通して
分かってくれたなら、その何倍も…
ユマの家族を、愛して大切にしてあげて…


アタシは、これからもユマが大好き

支えてくれたじゃん。
ありがとう…』


ユマは、大きな声で泣いた


『今さら、後悔しても…アタシのしたことは
無かったことにならない…』


『そうだね………
ならないね……ユマ、だけど気づいたんだから

もう、大切さが分かったんだから…

お互い、幸せになろうよ』


『あい~……!!!』


『また、電話するからね♪』


『あい!!!いつでも頼ってね!
パニックで出れないなら、アタシが行くから!!』


『ありがとう♪♪』



それから、ユマは前よりも頻繁に
ウチに来てくれるようになった


アタシ達の絆は、深まった。



No.34 12/02/17 07:56
あい ( 30代 ♀ ffxHh )

この頃は、ありがとう生活もヨガも、瞑想も風水からも遠ざかっていた


必要最低限の掃除をして、ハウスちゃんに
『ごめんね…お母さんやる気出ないんだ…』

と言って、ぼんやりとしてる時が多かった



幸せ生活。なんて言って色んなことをして来たけど…

なんの効果も無く、こんな結果…


おまけに、『家が綺麗で不満だった』
と言われたのが、効いた…

かなり凹んだ。



夜に、せいちゃんからメールが入る

『水曜日なら、定時だから〇〇ビル前の〇〇〇で、6時にななこと話し合いしようか?

ななこも、了解してるから。
慰謝料の準備もできてるらしいよ

だから、ご心配なく✌
俺も行くから』


『了解。』
一言だけのメールを送信…


その後、ななこからも
『こんばんわ⤴
ちゃんと慰謝料準備したから(笑)
逃げるとか思ってたでしょ😁🎵

アタシは、どこにも逃げないよ😜
せいちゃんと別れてくれて、ありがとね~✋🎵』


ななこには、メールは返信しなかった


心臓を握りつぶされる感じがした


精神安定剤を飲んで、子供達とこたつに入って
バラエティーを見た




ななこが怖かった。


夜は、相変わらずタニと電話をして
不安な胸の内を話していた


No.35 12/02/17 11:00
あい ( 30代 ♀ ffxHh )

『じゃあ、お母さんちょっと行って来るね♪

なるべく早く帰るから、なんかあったら電話してね!!』


5時45分。

オムライスとサラダと、野菜スープを用意して

食べてね♪と子供達に言って家を出た…



服装は、悩みに悩んだ。


頭を悩ませながら、昼過ぎから
あれこれと着替えをして決めた



選んだのは、シンプルで無難なダークグレーのニットワンピ


黒いライダースの革ジャンを合わせる


ダイヤの三連雫のネックレス…
せいちゃんからのプレゼントだったけど……
迷った結果、似合うので付ける事にした


ウィッグを被り、前髪を流した



いざ出陣。



サエちゃんが着いて行こうか?
と言ってくれたが、一人で行くことにした


余裕を見せたかった…


あいにくの、大雨…

ビニール傘を差して、指定のお店は駅前だったから
家から近く、ニーハイブーツを履いて歩いて行った


安定剤も頓服も飲んで来た。


パニックは大丈夫だろう…


寒いから震えるのか、怖くて震えるのか
分からないまま、傘を握り占めて


店まで、歩いた………



アタシの、予定では5分くらいの遅刻が、ベストと踏んでいた



No.36 12/02/17 19:22
あい ( 30代 ♀ ffxHh )

お店に着いた


最近出来たばかりの、若者が多そうな雰囲気の店


室内は暗く、洞窟を連想させる

内装が、凝っていて壁が一枚岩のようになっていて、
あちこちにランプが吊されていた


薄暗い中を案内され、歩いて行く


高そうな店だな…
財布が気になった(笑)



個室に案内されて、のれんをくぐると

男女が仲良く座り、こちらを向いた


せいちゃんと、ななこ…



せいちゃんは、軽く手をあげて笑った


ななこもニヤっとした




アタシは、汗ばんだ。


初めて見るななこ



アタシに……良く似ている。



これが、感想……


ななこの姿に、ビックリした…

姉妹だと言っても疑われないだろう


ななこは、どう感じたのか…

気になった。



動揺を悟られないように、ブーツを脱ぐ



アタシは、
『遅れてごめんね』

ニッコリと二人に笑って、席に着いた




No.37 12/02/18 09:25
あい ( 30代 ♀ ffxHh )

ななこが『はじめまして~、ってか、すごい痣だね(笑)
殴られたとは聞いてたけどね(笑)
ごめん。ちょっとウケた(笑)』

と、いきなり笑った

かなりムッと来たが、
サラリと交わすことにした


『この歳になると、なかなか消えないんだよ

体の傷は、いつかは消えるからいいけどね』

嫌味を含めて、せいちゃんを見た


店員さんが来て、既にオーダーしてあった料理が運ばれて来た

カルパッチョや、から揚げ…豚の角煮…


どうやら、オシャレな居酒屋だったらしい

『あいも頼めよ!!』

メニューを見ながら、食欲なんて全くない…


ノンアルコールのカシスソーダを頼んだ


目の前のななこが、気になって仕方ない

似ている…


ななこが視線に気づき、歯を見せて笑う


なんだコイツ!!!!


二人は、お皿に料理を盛って食べ始めた


タバコを吸って二人を見る

胸の痛みは無かった。


とにかく、早く帰りたかった…


『で、あいさん♪
食べないの~?せいちゃん取ってあげたら~?』


『いいよ。食欲ないし』


タバコだけが、味方の気がした

左手の星を見る…


『なんか、拍子抜け(笑)もっとグダグダ言われると思ってた(笑)』


『……………』無視してタバコを吸う


『ね、せいちゃん取られた感想は~?』
キャハハと笑う


『てめぇ、挑発してんのか?』

『あ♪♪出た出たぁー♪
なんとか言いなよ!!

慰謝料の話しとかさ~(笑)
人のダンナ取ってどういう神経してんの?とか(笑)
早く~♪♪
これが楽しんだよねー!!

はい。せいちゃん、あ~んして♪』


ななこに言われ、あ~んと口を開き
から揚げが、せいちゃんの口に放り込まれた



カシスソーダが届き、ストローをカラカラ回す


泣きそうだった



ミジメ…分かってた事だけど


完全に、ななこのペースに巻き込まれた


『ほら、あいも食べな!!
こうやって三人で暮らせたら…楽しかったのになぁ』


バカせい。


No.38 12/02/18 16:52
あい ( 30代 ♀ ffxHh )

言いたい事なら、山のようにある

だけど、
ななこを前にしたら、気持ちが萎えた


カラカラと良く笑う。

何も楽しくないのに…
せいちゃんは、こんな女が好きなんだ

元気でバカ。


全くその通り………


『ねぇ…せいちゃん。ななこさんと、アタシ…

気になったんだけどさ、似てるよね』


せいちゃんは、手を叩いた
『そう!!そう!!似てんだよ~♪俺の好みだからだろな~(笑)』


『ヤダよー!!!!
アタシ、まだ29だよ?一緒にしないでよ~

気分悪ぅ~!!!』


ななこは、膨れっ面でメニューを見た



…アタシの方が気分悪いんですけど?


『ななこさん、あのさ~あんた、謝らない。って言ってたよね…

でも、おかしくね?
ウチの娘に、電話したりして…
それですごく傷ついてんだけど、分かるよね?

ウチの娘に対して、した事は謝ってよ!!!!』

アタシは、口調をきつく言った


『だって、あんた娘じゃないじゃん(笑)

なんで?慰謝料だって持って来てるし』


『金の話しなんかしてねぇんだよ!!!!

アタシに、非常識な電話かけたよね?』


『非常識な電話?』


せいちゃんは、知らん顔でビビンバを食べている


『だから……
あんたら二人の本番真っ最中の…電話だよ


あんなの聞かせたり、3Pしたいって
せいちゃんに言ってたり…おかしいんじゃねぇの?』

アタシは、頭をクルクルパーと指で回した



『ヤダー(笑)アハハ…
なんで?面白かったでしょ?

3Pくらい…もしかして、経験ないの?(笑)』


『あるわけねぇーだろが!!!!!』
思いっ切りデカイ声を上げて
テーブルを叩いてしまった


『俺も3P経験なし~』

……このタイミングで言うか?
せいのアホ!

『いいの?せいちゃん…こんな子が?』
呆れて、改まって聞いてみたくなり…聞いた


『刺激的だろ?』ニヤつくせいちゃん…



もうダメだ。

帰りたい。




No.39 12/02/18 23:20
あい ( 30代 ♀ ffxHh )

せいちゃんとななこ、二人を前にして

もう、アタシはせいちゃんを愛していない
と、ハッキリと分かった。


むしろ、イライラした
顔も見たくない。


ななこは話し続ける
『アタシ、短大入ってすぐにキャバやってたんです~ぅ♪

24までキャバやって、派遣やってて、今の会社で4年目!!』


『あんた、派遣社員なの?』


『そうだよ、ねぇせいちゃん♪

前から、せいちゃんに目付けてたの♪』


それから延々と、ななこのキャバ体験談を聞かされた

ほとんど、男を手玉に取って来た話しばかり…

狙った男は、絶対落とすとか…

せいちゃんは、楽しそうに相槌を打って聞いていた


ほんとにバカに見えた。


もう未練も無かった。


『もう、いいよ
そんな話し興味ないし。帰るわ…

あれ、渡してもらえる?』


…ななこは、カバンから封筒を取り出した



きちんと糊付けされていた


封を開けると、お金と手紙が入っていた



なんだろうと不思議に思い、手紙を読んだ……


ななこのモノとは思えない、大人の文字…



これを読んで、アタシは怒りに震えた



『あんた………これ…!!!!』



『最低だな………!!!!』



それは、ななこの母親からの手紙だった





No.40 12/02/19 09:36
あい ( 30代 ♀ ffxHh )

手紙の内容(簡単に…)

『この度は、ななこが大変ご迷惑をおかけ致しましたこと
深くお詫び申し上げます

ななこは、幼い頃、私の勝手により離婚をし、父親のいないまま
私は、母親として、時には父親になり

必死で、短大まで行かせ育てあげました

幼い頃は、物分かりの良い子供だったのです…

今、振り返ると
必死になり過ぎて、ななこの心まで見るゆとりが無かったように思います

私の愛情不足が原因なのか…
このような、家庭のある方と問題を起こし、謝罪するのは二度目になります


どうか、娘の代わりに謝罪させてください
原因は、娘だけではありません

本当に申し訳ありませんでした


お金の方ですが、工面致しましたが
希望額には少し足りておりません

ななこ自身に、きつく言っておきましたので
残りは、ななこから請求してください

この度は、本当に申し訳ありませんでした

親子揃ってお詫びに上がらなければいけないところ
このような、手紙でお許しください』

(かなり簡単に書きました)


お金は、数えたら36万だった
5千円札も混ざっていた。

ななこの母親が、
必死に工面したのだろう


ハラワタが煮えるような怒り…

『あんた……これ…!!!』
『最低だな。
あんた、不倫してること親に話したの?
それで、母親に金を用意させたのかよ?』


『そうだけど?
お母さーん、不倫してゴタゴタなったから
慰謝料50万お願いって言ったけど?
それが何?』


ポテトをつまみながら、全く悪びれた様子もなく話す


『恥ずかしくないのかよ!てめぇ……
もう、大人だろ?自分のケツは自分で拭けよ!!』


『あ~ウザい。
お金足り無かったからって怒らないで!!!』



殴りてぇー!!!!!!!!!!!



怒りで体が、ワナワナと震える

深呼吸をして、タバコに火を付けた


ふぅ~………


『あんた、最低。』


『どうとでも、お金はアタシは出さない!
新しいカバンが欲しいから♪』


『あい、人んちの家庭の事情に口出すなよ…』



『うるさい!!!うるさい!!!うるさい!!!

アタシは、甘えたヤツが嫌いなんだよ!!!』


タバコを深く吸う…


ななこの母親…同情とは違うけど、切なくなった


No.41 12/02/19 21:03
あい ( 30代 ♀ ffxHh )

ななこは、ふてぶてしい態度のまま
『50万じゃないけど、それでなんとかしてよ~』


アタシは、初めからコイツからお金を取ろうなんて…思ってもいなかった


50万と言う、用意出来る金額を準備させて
謝罪の言葉をもらい

お金は、受け取ったらユニセフに全額、寄付して

謝礼の受領書が届けば、それを、ななこに渡す予定でいた



だが、ななこは何一つ動くことも謝罪することもなく
母親に甘え、お金を工面させた

そして、母親も家庭の内情は知らないが
娘の罪を肩代わりする…


許せ無かった。


もう、これ以上関わりたくない!と強く思った


『金のことを言ってんじゃねぇよ!!!

てめぇみたいな、甘えたヤツが嫌いなんだよ!!!

もう、謝罪もいらねぇ
金もいらねぇ!!!

二度と顔見せんじゃねぇ!!!!』


『え?マジ?
じゃあ、このお金アタシがもらっちゃおう~♪』


無視した。


もうコイツは、アタシの中で透明人間…


愛の反対は憎しみ。

無関心は、一番、愛から離れた気持ち


だから、アタシの中からコイツは削除…


『せいちゃん、アタシ帰るわ
もう、なんの用もないよ!!!
あんたの事も、心底幻滅した!!

今日は来て良かったよ。

もう、アタシに関わらないでね!!!

だから、早く荷物取りに来てくれるかな?

マンションの手続きとかも、さっさと済ませてしまおうね


じゃ、帰るわ

ごちそうさま。』


『ああ…分かった…
良かったのか?…せっかくの慰謝料……』


『あんたは、何にも分かってない!!
クズ男だよ………!!!』



『バイバ~イ!!!
これから頑張って生きてってね~(笑)』

ななこが手を振る



無視。



ブーツを履いて店を出た



『さぶ~……』
傘を差して、来た道を帰った



No.42 12/02/20 10:49
あい ( 30代 ♀ ffxHh )

『ただいま~♪さぶ~い』

こたつでテレビを見てる子供達の間に
潜り込み、しんちゃんに抱き着く


落ち着く…………



せいちゃんは、バカだ。

ほんとに冷めた気持ちになれた


携帯をチェックする


あの日以来、タニの気持ちは知ったが
アタシ達は、会話も何も変わらず、仲良くしていた


タニからメールがあった


『泣くなよ~✋
涙は、不倫女の好物だから喜ばせるだけだぞ~😱

泣くなら、俺が聞いてやるから
後で泣きなさい✌⤴』


心が和らぐ。


『ただいまー😃
泣いてないよ✌✨
なんだか、ラブラブぶりを見せつけられて(笑)

冷めたわ😁
かえって良かった🎵

もう未練もなく、離婚しまーす😃‼』

……送信。



なんだか、お腹が空いて来た


食パンを焼いて、野菜スープと一緒に食べた

スープで体が温まる。


明日からは、せいちゃんのモノを整理し始めよう


ほんとの意味で再出発だ!!


♪♪♪~
【タニ】受信
『お疲れ~😁⤴
冷めたか?良かったな🍀

辛かった分、幸せになるんだぞ😉

あ。その幸せ、俺にもお手伝いさせてね⤴

とりあえず、
春休みに、あいと子供達とをお出かけに誘いたいっす🎵✨

また、夜に電話するわ✋』


春休みに…
お出かけか~♪♪ふぅちゃんと、しんちゃんはタニを知らないからなー…


子供達が、楽しんでくれたらいいな


その頃には、アタシも母子家庭!!!



まさか…離婚するなんてね…


No.43 12/02/20 13:41
あい ( 30代 ♀ ffxHh )

そして、週末……

今日は、ほんとならJちゃんの結婚式で
アタシや、子供達も出席していたはず…



だけど、アタシは市役所にいた


せめてもの仕返し。

離婚届けを、Jちゃんの結婚記念日となる日に提出した


市役所では土日でも、受理してくれる


だけど、正式な日付は、月曜日の日付になると説明を受けた


もちろん構わない。


気持ち的に、Jちゃんの結婚式に
離婚届けを出したと言うだけで満足だった




車に戻り、すぐに

タニと、ユマと、A子、サエちゃん
それぞれに、メールを送る


『今、市役所に離婚届け出して来ました~😃✌✨

アタシを支えてくれて、ほんとにありがとう🍀

これからは、バツ1生活😁💕頑張りまーす』




アタシ…33歳(12月が誕生日なので、33歳3ヶ月(笑))
ふぅちゃん…小5
しんちゃん…小2
まだ寒い3月の事でした




実家とせいちゃんには、月曜日に電話することにした


Jちゃんの結婚式に、わざわざ離婚届けを出した

ひそやかな反抗は、アタシと友達だけの秘密



その夜は、子供達と宅配のお寿司を頼み

ひっそりと新しい門出を祝った



タニ、ユマ、A子、サエちゃんからも
次々とお祝い?のメールが入って


まるで、お正月のようだった


子供達も寝静まった後、一人で夜空を見上げて
ビールで乾杯した

『アタシに、乾杯~♪』



満天の星空の下で、寒さをこらえて
星を眺めながらビールを飲んだ



美味しいビールでした(笑)



No.44 12/02/20 19:02
あい ( 30代 ♀ ffxHh )

そして、
春休みまでの間に…
なかなか荷物を取りに来ないせいちゃんに
しびれを切らし、ななこの一人暮らしの自宅に

せいちゃんの荷物を送り付けた


その数、ダンボール大5個…!!
痛い出費だったが、スッキリとした


マンションの名義変更や、免許証…等など

あちこちを駆けずり回った


離婚って、なんて大変なんだ…と心底実感した。



子供達も、せいちゃんのいない生活になったから…といって変化は無かった


もともと出張だらけだった、せいちゃん


あなたがいないからって、何と言う変化もないんだよー!!!
って気分だった



だけど、
今頃ななこと何してるんだろう…


ご飯、ちゃんと食べてるかな…


なんて心配?気になる?
そんな気持ちは、持っていた



夜は、相変わらずタニと電話をする



もう、
タニとの電話で1日が終わる。
というサイクルが
お互いに、出来上がってしまっていた



それが、明日への活力にもなっていた



No.45 12/02/21 08:07
あい ( 30代 ♀ ffxHh )

荷物を送りつけてから、3日ほど経って

ななこからメールが来た



荷物の中に、婚約指輪、結婚指輪、ピアスを除いた貴金属を
『良かったら、使ってください』
と、メッセージ付きで箱に入れて送ったのだ


これも、全てせいちゃんからのプレゼント

もう身に着ける気もしない

中身は、指輪が5つ、ネックレス3つ
(だったと思う)


対面した時に、3連雫のダイヤのネックレスを
いいなー!!と言っていたから…


アタシは、ななこがどう反応するのか、気になっていた


アタシなら、元奥様のお下がりなんていらない!


だけど、ななこは…

『宝石たくさん、ありがとぅ~😍⤴
超嬉しい🎵✨✨✨

慰謝料も、アタシのモノになって、せいちゃんも手に入れて❤

宝石までくれるなんて、あいさん太っ腹(笑)

ありがとね~😍💕💕』


こんな内容だった……



やっぱり、思った通りのバカ女


せいぜい、アタシのお古をどーぞ♪♪


わざわざ返信は、しなかったけど


元妻からの、お古を喜ぶ、バカさ加減に笑えた



サエちゃんに、話したら

『もったいない~!!!そんなモノ、現金にかえたら良かったのに~!!
あげるなんて!!!!!』と、ビックリされた


『いいの、いいの♪
ななこの出方が、見たかっただけだから(笑)』


ナメんな!!って怒ったりしないんだ(笑)



ななこは、やっぱりバカ!!



No.46 12/02/21 08:10
あい ( 30代 ♀ ffxHh )

追加🙇

金とプラチナの、ブレスレットも2本
送りつけました🙇


No.47 12/02/21 20:08
あい ( 30代 ♀ ffxHh )

そして、春休みに入る前のある日


ユマと、A子と、タニが我が家にやって来た


ユマが『離婚祝いしよー♪♪』
と言って決まった


平日だったから(A子もサービス業)
朝から、我が家に集まりランチパーティーをした


みんなが、駅前のデパ地下で
美味しそうなモノを、抱え込んでやって来てくれた


A子が『昼間だから、飲み物はウーロン茶で!!
でも、美味しい紅茶貰ったんだ♪
だから持って来たよ~!!』と言ったから

ランチは、ウーロン茶で。
紅茶は、ケーキと一緒に♪


テーブルに、ズラリと並べられた
美味しそうなサンドイッチや凝ったサラダ
肉団子、エビマヨ、ほかにもいっぱい!!!


とりあえずウーロン茶で…


タニがグラスを掲げ
『あいの新しい門出に乾杯~!!!』


みんなで
『乾杯~♪♪♪』カチン♪


グラスを鳴らし、食べる、話す、笑う


楽しい時間だった


『あいは、いいよね~。アタシ、負け犬だもん(笑)』A子


『何それ(笑)
アタシね、負け犬の本…読んだけどさ~
あの本ね、不倫はするな。
時間の無駄だから…って書いて無かった?

あれ、時間の無駄だからじゃないよね~

ちょっと読んで、不倫されたアタシはムカっとしたよ~
悲しかったよ~』



そう…時間の無駄だから、不倫が駄目なんじゃないよ…


とっても悲しいんだ。

死んでしまう人だっているくらい、悲しいことなんだよ…


人を幸せにする行為から、掛け離れた残酷な行為…


だから、駄目なんだよ。




幾つになっても、不倫なんて悲しみしか生まないことは…
駄目なんだよ



No.48 12/02/21 21:05
あい ( 30代 ♀ ffxHh )

『あい、また落ち着いたらタニのとこで働くんだよね♪』ユマが聞く


タニが、すかさず
『あいは、今は、ちょっと休憩して…
子供達もいるしさ、新学期始まって落ち着いたら

朝10時出勤の、お昼は母ちゃんだから3時上がりなっ♪
あいは、子供達にお帰り~って言ってやりたいんだもんな♪』って笑った


『タニ…ほんとに、ありがとう♪♪

あ~優しくされると涙もろくて…』

アタシは、タニの気持ちが嬉しくて、優しさに触れて

泣いた。



『あい、良かったね♪』ユマとA子が言ってくれる


うん。うん。とブンブンと首を縦に振り
頷きながら、ティッシュで涙を押さえ、鼻をかむ


ブブゥ~。


『アハハ、アハハ……♪』
アタシが鼻をかんだら爆笑になった(笑)


タニを見ると、優しい眼差し……


ドキドキしてしまった。


う~ん…離婚したばっかりなのに
なんて不謹慎なんだ!

ブレーキをかける。



ケーキも紅茶も、すごく美味しい♪♪



女同士は、話しても話しても話し尽きない


タニも、職業がら女性のおしゃべりに付き合うのは得意らしく


お店で、毎日女性を見る
タニの女性論等を語り


A子は、真剣に話しを聞き(笑)


アタシ達は、楽しく過ごした



『もうすぐ、ふぅちゃんとしんちゃん帰って来るね~

アタシとA子は、ふぅちゃんと、しんちゃんの顔見たら帰るわ~』


『俺、あいちゃんに晩飯、ご馳走になって帰るから♪』


ユマとA子。
そして、タニの目配せ…


タニが、ちょっと笑って、戸惑いながらも

『春休みのお出かけ前に、ふぅちゃんとしんちゃんに挨拶させてよ』



そういうことか!!


『じゃあ、晩御飯、一緒に食べて行って♪

ありがとうね、タニ♪♪』



タニが、ご飯を食べることになった



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