ハッピーライフ🎵
結婚して十年。
絶対無いと思っていたことが起きた!!
旦那の浮気…。
どうする?アタシ?
どうなる?アタシ⁉
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絶対に不倫なんか無いから。
何の根拠も無いのに、旦那のこの言葉だけは、本当に信じてた…。
何で、携帯見ちゃったんだろ?
知らない女の人の名前。
彼氏、彼女の楽しげで、ラブラブなメール。
読みながら、体が震え、頭が、カーッとなるのが分かった。
すぐに、寝ている旦那を起こした。
「何これ?」
「あぁ…。」
冷静に受け答えする旦那。メールだけの付き合いだから、そんなに悪い事じゃあ無いと思っていたと…。
でも、もうやめる。
嫌な思いさせて、ごめん。
と、旦那は言ってた。
いっぱい泣いた。
いっぱい怒った。
携帯も折った。
悲しかった。
体の関係が、本当に無かったとしても、彼女とメールをしている間、旦那の気持ちは、彼女に向いていた。それが、悲しかった。
でも、子供たちの為にも、今回は許そう。
何より、アタシが、旦那の事が、好きだから。
笑って許そう!
携帯を開いて、マナーモードに。
何となく、メールを見てしまった。
彼女からのメールだった。
頭が、真っ白になっていく。
「パパ、これ何?」
「えっ!?」
携帯を見て、ゆっくり起きた旦那が…。
そのまま、家を飛び出した!!
呆然として、旦那の後ろ姿を見つめてた…。
家に入って、鍵を掛けた。
1時間ぐらい経った頃、旦那が帰って来た。
携帯だけ持って、飛び出した旦那。
家に入れて欲しいと、メールを送ってきた。
何回かの、電話とメールを無視した。
でも、「携帯を渡すなら」という条件で、旦那を家に入れた。
土下座して謝る旦那。
何だか、冷静に旦那の姿を見ている。
まるで、テレビや映画を見てるみたいな、現実味の無い、不思議な感覚。
最初に発覚した時、あんなに、怒って泣いたのに…。
土下座して、謝り、言い訳をする旦那を見ながら、
「この男は誰だろう?」
自分の知らない男が、何か言ってる。
しばらく、そんな感覚で、旦那の姿を見つめてた…。
一人になると、携帯のロックを解除するのに、必死になった。
アタシに隠して、守りたい女なの?
アタシより、その女の方がいいの?
知りたかった…。
旦那が、どんな女と、どんなやり取りをして、どんな気持ちだったのか、知りたかった。
気がつくと、朝になっていた。
携帯のロックが解除された。
携帯のデータは、全て削除されていた…。
でも、退会したはずの無料ゲームのサイトにまた、登録しているのを見つけた。
サイトの中でのメールのやり取りをしてるのは、4人も居た。
この男は、何を考えているんだろう?
何がしたいんだろう?
もう、考えるのも嫌になってきた。
「バカじゃない!?」
そう言いながら、携帯を投げ捨てた。
その日は、日曜日だった。子供たちを連れて3人で出掛けた。
何も知らずに、楽しそうに遊んでる子供たち。
パパの事を聞かれたら、どうしよう…。
旦那は、子供たちをとても可愛いがっていた。
子煩悩で、真面目で優しい旦那。
そう思っていた。
今は、何も考えず、子供たちと思いっきり楽しもう。
そう思い直して、いっぱい遊んだ。
ファミレスで夕食をして、3人でお風呂に入って、とても楽しい1日だった。
旦那の事を忘れて、眠れそうだった。
真夜中…。
旦那の携帯の着信音が鳴った。
電話の相手は、怒りを押さえてる様な震える声だった。
旦那の名前を言い、旦那の携帯かと確認された。
旦那の携帯だけど、旦那は、留守だと伝えた。
電話の相手は、旦那の浮気相手のご主人だった。
こちらも携帯番号、メアドを削除するので、そちらからも、連絡しないで欲しいとの電話だった。
どうすればいいのか、何を言えばいいのか、わからないままとりあえず、旦那の不始末のお詫びをした。
相手のご主人も、少し冷静になられた様で、申し訳ないと言って下さった。
相手の携帯には、メールのやり取りも残っていて、どんなやり取りをしていて、会っていたと思われる日、次に会う約束をしていた日を教えてくれた。
二度と連絡を取り合わせない事を約束して、電話を切った。
電話を切った後、ひどい吐き気がして、トイレに駆け込んだ。
吐く程ショックを受けたのに、涙は出なかった…。
悲しいのか、腹が立つのか、自分の感情も気持ちも、わからなかった。
自分の体が、自分のものじゃないみたいな、フワフワした感覚がまとわりつていた。
旦那に連絡しようとも、思わなかった。
いろんな事を考えた。
ただの、浮気なのか?
アタシには、もう、気持ちが無いのか?
平気な顔をして、アタシや子供たちの前で、メールをしてた事。
旦那は、別れたいのか?
アタシが、泣いたり、怒ったりする姿を見ても、何も思わなかったのか?
「絶対に離婚なんかしてやらない!」
いつの間にか、そう思っていた。
旦那が出て行って、何日か経ったある日、下の子供が言った。
「パパ帰って来ないね~。僕、お手紙書いておくね♪」
子供が書いた手紙には、
「パパ大好きだよ。」
「パパのお顔を見せてね。」
と書いてあった。
旦那に連絡して、話しをしなければ…。
そう思った。
1週間ぶりに旦那が、帰って来た。
「どうするつもりで、帰って来たの?」
「どうするか、俺に決める権利はないだろう?」
何処の女と、どういう付き合いをしていたのか、どうするつもりなのかを聞いた。
旦那に、携帯のロックが解除された事を告げ、正直に話して欲しいと言った。
旦那とサイトでやり取りしていた人の名前を一人づつ挙げて、それぞれどういう付き合いかを聞いた。
バレる訳ないと思っていたのだろう。
驚いた顔をして、アタシを見ていたが、ポツポツと話し始めた。
4人のうち2人は、サイトの中だけのやり取りしかしていない。
1人は、直接メールのやり取りをしていたけど、携帯を変えてからは、メールは、していないと…。
最後の1人は、サイトでも、直接メールでも、やり取りを続けていた。
でも、それだけだと言った。
何の為に、誤魔化そうとするのか?
込み上げてくる怒りを押さえながら、努めて冷静に聞いた。
「そう…。
じゃあ、この携帯の番号は、誰の?」
旦那は、携帯の画面を見て、驚いた。
「何で…!?」
「〇〇さんの番号よね?
〇〇に住んでいる人でしょ?」
唖然とする旦那。
アタシは、胸の奥で何かが割れる音を聞いた様な気がした。
旦那は、もうアタシの顔を見なかった。
探る様な、諦めた様な、帰って来た時とは、明らかに違う様子で、話し始めた。
「何て、電話があったの?」
「〇〇さんとは、話したの?」
そう聞かれた…。
何でバレたのか、彼女がどうしてるのか、どこまで知っているのか…。
旦那が知りたいのは、彼女との事ばかりだった。
旦那の口から謝罪の言葉や、アタシを気遣う様な言葉は、何一つ出なかった…。
「どうするつもりで、帰って来たの?」
もう一度聞いた。
「次に会う約束してたよね?アタシが知らないと思って、会うつもりだったでしょ!?」
「彼女と会った後で、アタシとも、そういう事が出来るって、何考えてんの!?」
他にも色々文句を言った。怒り過ぎて、覚えてないけど、旦那の言葉は、覚えている。
「正直、バレる訳ないと思ってたから、適当に理由を言って、会いに行くつもりだった…。」
旦那は、彼女との関係を終わらせる気など無かったのだ…。
彼女も、ご主人にバレた。
自分も、嫁にバレた。
彼女との関係を続ける事は、出来ない。
そう思ったからなのか、その場しのぎの言葉なのか、
「ごめん…。」
と、旦那が言った。
「ママの事を嫌いになった訳じゃない。
彼女とどうこうしたかった訳でもない。
遊びのつもりだった。
向こうも家庭があったし、お互い、遊びだった。
愛してるのは、ママだけだから…。」
旦那の言葉は、もう信じられなかった。
もう、旦那が何を言っても、アタシの心に響くものは、無かった。
「三度目は、ないから。」
そう言って、旦那が家に戻る事を許した。
次の日の朝。
久しぶりに、パパの顔を見た子供たち。
すごく嬉しそうだった。
「パパ、お仕事忙しいの終わった?
お疲れ様♪」
喜んで、パパに飛びつく子供たちを見て、自分の感情は、抑えなきゃ。
今までの生活に戻さければ…。
そう思っていた。
今まで通り、生活しよう。そう、思ったのに、旦那に何事も無かったかの様にされると、イライラしてしまう。
旦那の為に食事を用意するのも、旦那の着たものを洗濯するのも、嫌だった。
アタシのこのイライラは何なんだろう?
夜、子供たちが寝てから、旦那が帰って来た。
旦那の顔を見た瞬間、自分のイライラの原因に気づいた。
アタシは、旦那をベッドに誘った。
寂しかった…。
旦那の気持ちが、他の女に移った事。
アタシのものだと、信じていた旦那が、他の女を抱いた事。
アタシは、自分で思っていた以上に旦那を愛していたんだ…。
旦那を取り戻したかった。
旦那は、戸惑いながら、アタシを抱いた。
アタシは、また、すぐに旦那を求めた。
旦那は、もう、無理と応じてくれなかった。
泣きながら、訴えた。
「アタシにこんなに寂しい思いをさせたのは、パパでしょ!?
傷つけたのは、パパでしょ!?
だったら、傷を癒してよ!寂しい思いをさせないで!」
旦那は、何も言わず、背を向けて寝てしまった…。
惨めだった…。
旦那にとって、女じゃなくなってしまったのか?
彼女に負けたのか?
裏切ったという事が、許せないのか?
何が悲しくて、何に腹が立って、惨めに思うのか、わからなかったけど、
凄く惨めだと感じていた…。
その日、アタシは、イライラを子供たちに、ぶつけてしまった。
いつもなら、叱ったりしない些細な失敗を、大きな声で責めていた。
びっくりして、泣く事も忘れて、アタシを見上げる子供たち。
駄目だ、子供たちに当たりたくない!!
アタシは、家を飛び出していた…。
日曜日の夜。
ファミレスには、楽しそうに食事をしている家族。
駅からは、買い物帰りの仲良さげな家族。
手を繋ぎ、寄り添って歩く、恋人たち。
家を飛び出し、街を歩くアタシの目に映るのは、幸せそうな人達ばかりだった。
どうして、こんな事になったのか?
どうして、アタシが、こんな思いをさせられるのか?
ずっと涙もこぼさずにいたからか、胸が詰まった様な苦しい気持ちが、溢れ出した。
アタシは、公園のベンチに座って、しばらく泣き続けた。
そして、気持ちに踏ん切りを着けて、立ち上がった。
家に戻ったのは、深夜だった。
携帯には、旦那からの着信が、何度も入っていた。
「何処に行ってたんだ!?」旦那が、起きて待っていた。
アタシは、それに答えず、子供たちの部屋へ行き、寝ている子供たちを抱きしめて眠りについた。
朝、いつもの様に子供たちを送り出した。
その後、出勤前の旦那に告げた。
「離婚はしません。
愛してるからじゃない。子供たちとアタシに対する責任を果たして欲しいから。
でも、アタシたちは、もう夫婦じゃないから。
意味わかるよね?
アタシは、あなたの事は、要らない。
アタシは、自由にさせて貰います。
あなたに文句を言う権利はないから。」
旦那は、黙って聞いていた。
完全に吹っ切れた訳じゃない。
旦那のした事を忘れるなんて、無理だろう。
でも、進まなきゃ。
前に向かって、一歩でもいいから、進まないと。
子供たちの為にも、泣いて沈んだまま暮らす事は出来ない。
何より、アタシ自身、辛く、惨めな思いを抱えたくなかった。
失恋したんだ…。
結婚してから、失恋なんて、ちょっと可笑しいけど、失恋なんだ。
だから、過去の経験を思い出して、また、立ち直ればいい。
その時は、そう思っていた。
すぐに、立ち直って笑えると…。
いつもと同じ日々が続いた。
朝、子供たちを送り出し、洗濯や掃除をする。
昼間、買い物に行き、子供たちが帰って来たら、宿題を見ながら、夕食の準備。夜は、子供たちと夕食を食べて、一緒にお風呂に入って、本を読んだり、少しおしゃべりをして、就寝。
そこに、旦那が居ない事以外は、いつもと同じ生活だ。
旦那の世話は、何もしなかった。
洗濯も、食事の用意も、何もかも…。
アタシの中から「旦那」という存在を消そうとしていた。
子供たちが一緒に居る時は、余計な事を考えず、楽しい時間が過ごせていた。
子供たちを送り出した後も、ママ友とランチに行ったり、おしゃべりしたり、いつもと同じ日々を過ごした。
旦那は、残業だったのか、遊んでいたのか知らないが、帰宅するのが、遅かった。
旦那に踏ん切りをつけた三日後、仕事中の旦那からメールが届いた。
「ママを失ないたくない。」
裏切り、傷つけて、本当に申し訳なかった。
もう一度、信頼してもらえる様に努力するから、チャンスをくれないか?
そういう内容のメールだった。
アタシは、何の返事もしなかった。
意地を張ったのでは無く、何も感じられなくて、返事が出来なかったのだ。
夜、子供たちと3人分の夕食の片付けをしていると、メールが届いた。
旦那から、二度目のメール…。
少し、胸がザワついた。
昼のメールと同じ様に、別れたくないという、内容のメール。
自分が、軽はずみにした事で、どんなにママを傷つけてしまったか、自分にとって、ママが必要だ、別れたくない。
ママを失うと思うと、頭が真っ白になって、何も考えられない。
0からでいいから、もう一度やり直してくれないか?
心が…動いた…。
許せない訳じゃない。
許したらいけない。
そう思っていた。
もう裏切られたくない。
自分が傷つきたくない。
信じるのが怖かった。
でも、アタシも、旦那の事をまだ愛してる。
だから、旦那のメールに揺さぶられてしまうのだと思う。
メールに返事は、しなかった。
でも、何も言わず、旦那の帰りを待ち、夕食とビールの用意をして迎えた。
「お帰りなさい。」
旦那は、最初、驚いていたけど、照れた様に「ただいま。」と言った。
お風呂に入って、テーブルに用意した食事を嬉しそうに食べていた。
新婚の時の様に、「美味しいね」と繰り返し、仕事の話しをしながら、食べていた。
あの頃に戻れるんだろうか?
全て元通りとは、いかないだろうけど、0からやり直せるんだろうか?
何も言わず、そんな事を考えていると、
「今すぐじゃなくていいから。ママの気持ちが戻ってくれる様に、頑張るから。」
旦那が、そう言って微笑んだ。
いつもと同じ朝。
子供たちを送り出し、旦那を送り出し、笑顔で見送る。
洗濯、掃除、毎朝繰り返される家事。
洗濯機の前に立ち、衣類を分類する。
箸でつまんだりは、しなかったが、旦那のものだけ別に洗濯機を回した。
嫌悪感?
そこまでじゃないかも知れない。
でも、一緒に洗いたくなかった。
一通りの家事を終え、ひと息つくと、リビングの棚に、家族で写した写真が、目に入った。
平凡だけど、何事もなく、幸せだった。
旦那は、この時、どんな気持ちだったんだろう?
どうして、子供たちの事を忘れてしまったんだろう?
何故、アタシ以外の人と…。
一度考え出すと、止まらない。
答えなんて出ないのに、ぐるぐると、同じ様な事をずっと考えていた。
それが、始まり。
繰り返される、フラッシュバックにアタシは、苦しめられる事になる。
何気なく目に入る文字や、耳に入る言葉から、旦那の事が、頭に浮かぶ。
「旦那は、浮気してたんだ…。」
時計を見ても、旦那と彼女がメールしていた時間だったりすると、
「アタシには、仕事へ行ってから帰るまで、メールなんて送ってきた事ないのに…。
彼女には、送ってたんだ。」
ふと、自分の携帯の受信メールを確認した。
旦那からのメールは、彼女と付き合う様になってから、全く送られていなかった。
改めて、旦那の気持ちが、余所へ向いてしまった寂しさに襲われた。
最初は、子供たちや、ママ友たちと過ごしている時間は、笑顔で居られた。
冗談を言ったり、ふざけっこをしたり出来ていた。
ある日、ママ友と話してると、スーパーの窓ガラスに映る自分の笑顔が、不自然で、ひきつった妙な顔になっていた。
おしゃべりをしていても、買い物をしていても、旦那の事が浮かんでくる。
次第に、子供たちと遊ぶ時間も、会話も減っていった。
旦那は、やり直したいと言ったけれど、本当は、彼女との関係を続けて居たかったのでは…?
メールで呼び合っていた、親しげな呼び方。
関係を持った後だと、容易にわかるメール。
残業だと言ったのに、彼女と会っていた日。
最初にメールを見つけた時、怒るアタシに土下座していた旦那。
でも、その後、泣いて責めたアタシには、冷たい目で
「メールだけなのに。」と言った。
2度目の浮気発覚の時、家を飛び出して、すぐに彼女に連絡を取っていた。
明日以降、連絡するから、待っててと…。
旦那がアタシについた嘘。
彼女と会って、帰って来た時の様子が、繰り返し思い出される様になっていった。
フラッシュバックは、続き、食事が喉を通らなくなった…。
用もないのに、旦那の昼休みの時間に、携帯を鳴らした。
繋がった時は、安心したけど、繋がらず、折り返し連絡してくれない時は、イライラしたり、不安になった。
旦那が入浴中、就寝後は、必ず携帯をチェックした。
疑わしいメールも電話も無い。
少し前なら、ほっとしていたのに、今は、削除したのかもと疑ってしまう。
そして、旦那が寝た後、携帯を触っていると、メールの予測変換に気づいた。
「デート」「会いたい」彼女の名前。
アタシには、使った事の無い絵文字や❤の履歴。
何時間も、旦那の携帯の履歴や、予測変換で、彼女に送っていたと、思われる言葉を繋ぎ続けていた…。
アタシは…病んでいった。
一日中、旦那の浮気の事ばかり考えていた…。
家事も、きちんと出来ず、気がつくと、涙を流していた。
悲しいとか、寂しいとか、そんな感情があったのかも、わらない。
泣く…。というのではなく、勝手に涙が溢れて出た。そんな感覚だった…。
数日が経ち、子供たちに、「ママ、辛いの?」
と聞かれた。
「どうして?」と聞き返すと、
「ママ、笑わなくなったから。」と言われた。
いつもなら、おやつも一緒に食べてたし、必ず、ふざけっこしながら、抱きしめたりしていた。
旦那の浮気に囚われ過ぎて、子供たちの事を考えていなかった…。
その晩、旦那に話しがしたいと言った。
旦那は、少し、沈んだ顔をしたが、すぐに応じてくれた。
「本当に彼女とは、終わった?」
「終わったよ。」
「お互い、バレて、無理やり終わらせたから、未練があるんじゃない?」
「彼女に対して未練は、無いよ。」
「どうして、そんなにあっさり出来るの?
アタシを裏切ってまで、会いたかった彼女なのに。」
「本当に、お互い遊びだったんだ…。
愛してるのは、ママだけ。ママの気持ちに甘えてしまったんだ…。
大事にされる事に甘えて、ママや、子供の事を考えなくなってた。
彼女にその気になる様なメールを貰って、深く考えず、軽い気持ちで遊んでしまった。
本当に、ごめん。」
「彼女が、ご主人にバレてなかったら、まだ続ける気だったんでしょ?」
「………。正直、そのつもりだった…。
でも、ママが家を出て、自分の前から居なくなると思ったら、どうしていいか判らなくなって、本当に恐かったんだ。
だから、二度としないよ。」
ここまで聞いて、本当に愛されてるとは、思えなかった。
アタシたち夫婦は、同棲して、妊娠したから、籍を入れた。
いわゆる、できちゃった婚。
いずれは…と言いながら、自分たちの意思とは、関係なく結婚してしまった。
アタシは、旦那の事が好きで、旦那の子供を生みたいと思っていたので、そんな状況をすんなり受け入れたが、旦那は違うと思っていた。
したい仕事を諦め、生活する為に収入重視で仕事を選び、いきなり家族の為と責任を背負う事になった…。だから、
『望んでした結婚じゃない』
旦那の気持ちは、そうなんじゃないかと、胸の奥でずっと引っ掛かっていた。
「したくてした結婚じゃないでしょ?
アタシと、結婚したかった訳じゃないよね?」
アタシは、思いきって聞いた。
「結婚したいと思ってなかった…。」
と、旦那は言った。
「やっぱりね…。
ずっと、引っ掛かってたんだ…。
この人は、アタシと結婚したくないんだって。
責任は取るけど、愛してるんじゃない。
結婚して、子供も二人、授かったけど、愛されてないかも…。
ずっと、そう思ってた。」
「違うよ!!
結婚して、家族を養って、責任持つことが、不安で、結婚は、まだ、したくなかった。
そういう意味だよ。」
「でも、アタシの事を裏切ったじゃない。
アタシは、パパ以外の人なんて、興味も持たない。
でも、パパは、出来た。
それが、アタシには、愛してない証拠に思える。」
「愛されてないのに、一緒に暮らしたくない。
夫婦じゃないよ。
セックスが出来る、家政婦だよ。
もう、いやだ!!」
長い間、溜めていたものを、全部吐き出した。
「やっぱり、やり直すなんて無理だよ。
最初から、何も無いのに、どう、やり直すの?」
「別れたいの?」
旦那が聞いてきた。
「愛されてないのに、一緒に居るなんて、もう無理。」
その日、旦那をリビングに残して、アタシは子供部屋で、眠った。
体が、気持ちが、冷えていく様な、空っぽになっていく様な、なんとも言えない寂しさに潰されそうになった…。
アタシは、子供たちを抱きしめて、泣いた。
旦那が浮気した事で、自分が抱いていた、不安が真実になる。
愛されていない。
アタシは、それを認めるのが、一番恐かったのかも知れない。
愛されてない不安が、胸の奥で燻る中、旦那が浮気した。
結局、愛されていないという、実感だけが残った。
そして、この数ヵ月間の旦那の言葉や、顔を思い出して、旦那が知らない男の人になっていった。
どうすれば、いいんだろう?
この先、どうなるんだろう?
答えが出ないまま、気持ちは、どんどん沈んでいった。
次の日の朝、アタシは、旦那の顔が見れなかった。
出掛ける間際、旦那がアタシの前に立った。
うつ向いたままのアタシに「本当にもう無理?」
と聞いてきた。
「俺と一緒に居たくない?」
「……一緒に居たい…。
でも、愛されてないのに、一緒に居るのは、辛いから嫌だ…。」
「じゃあ、一緒に居て。」アタシは、顔を上げて、旦那の顔を見た。
「今は、何を言っても無理かも知れない。
俺の事も信じて貰えないと思う…。
でも、俺は、一緒に居たい。
本当に愛してるから一緒に居たい。」
旦那の言葉をどう受け止めればいいのか、わからなかった…。
アタシを裏切った旦那。
愛してくれていないかも知れない旦那…。
この先、信じていけるかどうか、判らない。
でも……。
一緒に居たい。
それが、アタシの本心だ。
旦那は、愛してくれなくても、アタシの傍に居てくれる。
旦那との間に可愛い子供も二人居る。
アタシが旦那を愛しているんなら、もう、それだけでいいか…。
アタシは、そう思い始めてた。
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