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母親( eoesnb )
13/05/21 14:05(更新日時)

貴方ならどうしますか?
我が子が何か得体のしれないウイルスに感染し
我が子が感染源となり
我が子の意志とは裏腹に我が子に触れた人が感染し
死に至るとしたら

我が子を監禁しますか?

まわりに殺せと非難されたら殺せますか?

我が子と共に逃げますか?

貴方なら


どうしますか?

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No.1567596 11/04/05 01:31(スレ作成日時)

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No.1 11/04/05 01:42
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

事の始まりはいつもと変わらないはずだった日常の一部から始まった

私の一人息子(五歳)巧が朝から咳をしている

ただの風邪だと思いながら病院に連れて行くと診断はやはり風邪

やっぱりね

ただ巧は小さい頃から体が弱い

主治医は念の為に血液検査をするといった

30分後白血球の数が少し多いが問題ないだろうということで帰された

私は安堵し巧と共に帰宅

夕方まで巧と家で過ごし夕方のニュースに目をやりながら夕飯の支度をする

No.2 11/04/05 01:54
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

その時ニュースから見たことがある映像が飛び込んできた

今日行った病院が移っている

なにがあったんだろう

一時夕飯作りの手を止めテレビに集中する

レポーターがけたましく話し始める

『○○市立病院から中継です
先程病院内でこの病院に勤務している医師の林田昌三さんと看護師の長井智美さんが倒れているのが見つかりました
二人共に発見時には意識不明でしたがまもなく死亡しました
死亡原因はわかっておらず警察は事件として調べる模様です
詳しい事がわかり次第お伝えいたします』

林田先生が死んだの?
私は気が動転した

No.3 11/04/05 02:04
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

林田先生は今日巧をみてもらった先生だ
先生がいきなり何故?

私の疑問にはテレビは答えてくれずもう違う話題になっている

呆然としながらふと巧に目を向けた

無邪気に遊んでいる
時折咳がでるが元気なようだ

No.4 11/04/05 02:26
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

お葬式とかあるならいったほうがいいのかしら
などと考えていると
玄関から声が聞こえた
「パパだ!」
巧が玄関に跳んで行った
旦那が帰宅したらしい

お帰りなさいと旦那に告げ中途半端な夕飯の支度にとりかかった



「そんな事があったんだ」
夕飯時林田先生が亡くなった話をすると旦那はあまり興味なさそうな返事をしたいつもそうだ
私の話には対して興味を示さない
わかっていたことだけどね
「葬式ぐらいいってこれば?巧は母さん預かってくれるだろ 巧咳もうしてないみたいだから大丈夫だろ」

やっぱり葬式ぐらいいったほうがいいよね
お世話になったし原因も知りたいし なにか聞けるかもしれないし やじ馬根性かもしれないけど何故急に?って気になるし

香典いくら包めばいいかしら なんて軽く考えながらその日は終わった

No.5 11/04/05 02:50
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

葬式当日

雨が降りしきる中
葬儀は滞りなく進んでいる
沢山とはいえない参列者からは時々啜り泣きのような声が漏れていた

受付で香典を渡すと受付の女が声をかけてきた

「患者さん?」
「はぁ」
私の返事に女は小声で耳打ちした
「ここだけの話なんだけど」
「はぁ」
「貴方大丈夫?」

大丈夫ってなにが?

「林田先生ねなんか普通の死に方じゃなくてね」
女が小声をさらに小さくする
「ナニカに感染して亡くなったみたいなの」
「?」
「私見てたんだけどね」
女は回りを気にしながら続けた
「先生と看護師の遺体が病院から運びだされた後に病院立ち入り禁止になったのに防護服みたいなの着た人達が何人も出入りしてたのよ!」
「防護服?」
「そうよっ!私近所だから見ちゃって!防護服の人達になにかあったんですかっ!聞いても何もないっていうし でも何もないなら防護服なんて変でしょう? だからナニカ病原菌がいてそれに不注意で感染してなくなったんじゃないかって噂なのよ 病院だもの 」
「いやぁ話が飛躍しすぎじゃ」
「でも防護服ってへんよ 先生が亡くなってから毎日出入りしてるわ 私近所だからうちにまでなんか変な菌がこないか心配で 」
「大丈夫じゃ」
「なにかあってからじゃ遅いのよ 貴方も患者であそこいっていたのなら感染していないか調べた方がいいわよ!」
「はぁ」

No.6 11/04/05 02:57
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

調べるって何を?

女の噂と思い込みって凄いなぁ と感心しながら
私は受付を後にした

でも防護服ってほんとかな?
そう言われると怖いような
そんな事を考えている時だった
私の携帯がけたましくなりだした

しまった!
マナーモードにするのを忘れた!
参列者の冷たい視線を浴びながら部屋の出口を探す

謝りながら出口にたどり着き携帯を開く

知らない番号だ

知らない番号に不審に思いながら通話ボタンを押した

No.7 11/04/05 03:13
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

「もしもし」
「鈴木仁美さんですか?」
知らない声だ
「そうですけど・・」
「鈴木道子さんご存知ですね?」
「!義理母ですが」
「こちら××病院ですが先程道子さんが救急で運ばれてきました 意識がない状態で大変危険です
仁美さんはいまどちらにおられますか?」
危険? 救急で運ばれた?
「事故ですか?!」
「いえ自宅で急に倒れられたようで」
「あっあの!巧は?五歳の男の子が一緒なんですけど!」
「お孫さんですか?いまこちらにいらっしゃいます すぐこちらに来ていただきたいのですが」
「わかりました!すぐいきます」
私はすぐさまタクシーをつかまえ××病院に急いだ
タクシーの中で旦那に連絡しようにも旦那の携帯は圏外 旦那の会社に連絡し状況を伝えた
どうしてこんな事に・・・

No.8 11/04/05 03:30
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

病院につくと
巧が私の姿を見つけはしりよってくる
「ままぁ!」
泣きじゃくりながら私にしがみついて離れない
無理もない いきなり大好きなおばあちゃんが倒れた事はショックだろうから

「鈴木仁美さん?」
わたしが頷くと看護師がICUまで誘導してくれた

ICUのドアを開けたと同時ぐらいだろうか
義理母の心臓が停止したことを知らせる音が鳴り響いたのは

医者達が懸命に忙しく蘇生させようと頑張るも心臓が停止したことを知らせる音はなりやまなかった
義理母は息を引き取ったのだ

No.9 11/04/05 03:45
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

「処置がありますのでこちらでお待ちください」
と看護師に言われカウンセリングルームに入りそこのソファーに深く腰をかけた
お義母さん死んじゃった

なんで急に?

巧は私の膝に頭をのせしきりに指しゃぶりをしている
巧も不安なんだろう
そりゃそうだ
私もなにがなんだか・・

「仁美!」
カウンセリングルームのドアが開き旦那が慌てて入ってきた
「母さんは!?」
旦那の言葉に私は首を振った
「嘘だろ?」
旦那はその場に座り込んでしまった
無理もない

No.10 11/04/05 03:55
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

「医者として最善を尽くしましたが私達の力が及ばず・・・」
医者から説明があると言われカウンセリングルームで医者の話を聞く
どっかで聞いたようなセリフを聞き流していると医者が一枚の紙を取り出した
「お母様の解剖をしたいのです」

No.11 11/04/05 23:58
えω ( yeDsnb )

主さん、はじめまして。
読ませて頂いています。 わたしも男の子の母親です。更新、よろしくお願いいたします。

No.12 11/04/06 00:45
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

>> 11 ありがとうございます

読んで下さる方がいてうれしいです

拙い文章ですが勘弁してください

ぼちぼち更新していきます

No.13 11/04/06 00:56
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

解剖?

何故?

医者の言葉に旦那が食いつく

「解剖ってなんですか?」

医者は頭をかきながら旦那に告げる

「お母様の死因がはっきりしないのです」

「はっきりしないって・・・」

「正直解剖してみないことには」

「不審死ということ・・ですか?」

「死因を明らかにするためにもお母様の解剖を・・」

医者の言葉を遮るように旦那が立ち上がった

「解剖はしません」
半ば吐き捨てるように旦那が呟いた

「解剖したところで母さんは戻ってこない」

No.14 11/04/06 01:08
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

「戻らないんだ!」

旦那の怒鳴り声で巧の顔に不安の色が浮かぶ

「ままぁ?」

巧に大丈夫だよと小声で告げ旦那に諭すように問い掛ける

「とりあえず落ち着こう?」

旦那は母子家庭で育った
いきなりの母親の死で気が動転しているのだろう

「いましかないんだよ?
お母さんの死因をはっきりさせる事 解剖断ったらもう一生わからないんだよ」

「・・・」

「あなたがいいなら口は出さないけど 後で後悔しないの?」

医者がわざわざ解剖したいと言い出すのにはナニカあるんだろう

旦那はまだ黙っている

その時だった

No.15 11/04/06 01:15
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

私の膝にのっている小さな手がふるえているのに気がついた

「巧?」

私は巧の顔を覗き込む

この場の空気が怖くて震えているのか?

巧の顔は顔面蒼白になっている!

「巧!」

私の呼びかけと同時だろうか
巧の体が大きく揺れだす

「巧!巧?!」

目の前にいた医者が異変に気づいた

No.16 11/04/06 01:30
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

「お母さん!お子さんをこちらへ!」
「巧!巧!」
「君!救急に!急いで!」

医者に抱き抱えられカウンセリングルームを出ていく巧

私は医者の後を必死に追う
「お母さん!?お子さんはなにか病歴が!?」
「いいえ!いいえ!」
半ば泣きそうになりながら答える

「お母さんはこちらでお待ちください」
看護師に救急受付のドアの前で制止されその場に立ち尽くす
巧は医者と共にドアの中へ消えて行った

「巧・・」

昨日から咳がでてたぐらいなのに!
なんで?!
ただの風邪じゃないの?
あの様子は尋常ではない・・・
あぁ! 神様!
神様なんか今まで信じていないけど!
もしいるのなら!
助けて!
無事に巧を私に戻してください!

No.17 11/04/06 01:49
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

「仁美」
ふいに後ろから声をかけられ振り返ると旦那が呆然と立っていた

「大丈夫・・だよな?」

旦那の言葉に涙が出てきてうまく喋れない

「母さんが死んで巧まで・・・」

「そんな訳ない!」
自分でも驚く程の声が出た
「仁美・・」

思わず旦那の衿をつかむ

「だってだってだって・・・さっきまで元気だったじゃん!咳は少ししてたけど元気だったでしょ!人間咳ぐらいで死なないでしょ!?」
自分に言い聞かせているように泣き叫ぶしかない
「・・・」

「死なないって言ってよ・・・大丈夫って・・お願いだから!」

旦那が無言で私を抱きしめる
「俺も辛いんだよ・・」

旦那の言葉でまた涙がこぼれる

二人でひたすら救急のドアが開くのを待つしかない

時間の流れが今までの人生で1番遅く感じらるだろう

No.18 11/04/06 01:54
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

どれぐらいまてばよいのか
巧は無事に帰ってくるのか
あの無邪気な笑顔を思い出しながら私はひたすら待つ
救急のドアが開くのをただじっと待ち続ける





どれぐらい時間がたったのか
救急のドアが開いた!

私は直ぐさまドアに駆け寄った

No.19 11/04/06 02:06
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

「先生!」

ドアの隙間から巧が見えた
あぁ今すぐ巧の側に行きたい!

「お母さん大丈夫です」
医者の言葉に我に帰る

「発作みたいですね お子さんアレルギーかなにかお持ちですか?」

発作? なんの?

「なんらかのアレルギーに強く反応したようです 一時は危なかったですがいまは落ち着いています」
医者の言葉に私は安堵感でよろめいてしまった

「なんのアレルギーかわかりませんが検査したほうがいいですね」
「ありがとうございます!」人生でこれ程ありがとうを心を込めていった事はない

No.20 11/04/06 02:13
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

「ご主人のお母様も同じ症状で運ばれてきまして」

医者は続ける

「お子さんの今回の発作の原因をより深くしるためにもお母様の解剖の許可をいただきたいのですが」

No.21 11/04/06 23:45
るい ( 30代 ♀ L986h )

>> 20 はじめまして。泣きそうになっちゃいました💧更新を楽しみにしています。無理しないで続けてください

No.22 11/04/06 23:49
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

>> 21 ありがとうございます

更新楽しみにして頂いてうれしいです

無理なく更新していきたいと思います

No.23 11/04/07 00:07
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

「アレルギー体質は遺伝する確率が否定できず」

医者が続ける

「お母様と同じアレルギーとは考えにくいのですが何にしても特例もありえますので」

義理母と同じアレルギー?

「はっきりとは解剖を終えお子さんのアレルギー検査の結果をみてみないとなんとも言えませんが」

黙って話を聞いていた旦那が口を開いた

「解剖をお願いします
さっきは気が動転していて・・すいませんでした」

「あなた・・・」

「巧に関わりがあるかもしれない事なら・・母さんも許してくれるだろ・・」

「・・・」

死んでいるとはいえ自分の母親をあれこれ切り刻まれる
一度は解剖を勧めたがやはり現実となると躊躇してしまう
だけど巧に関わる事なら・・・
力無く笑う旦那に私は何もいえなかった

No.24 11/04/07 00:20
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

「ままぁ?」

救急からでてきたストレッチャーから巧の声が聞こえた

「巧!」

私は巧に走り寄り頭を撫でる

巧は頭を撫でるわたしの手を両手でぎゅっと握り返す
あぁ 本当によかった!

「アレルギーの検査結果が出るのに一日かかりますので今日はこのまま入院して頂いて明日検査結果がでてからまたお話しましょう」

「本当にありがとうございました!」

No.25 11/04/07 01:10
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

一日入院することになり
病室のベッドの上で私に甘えて来る巧

私は今まで時折我が儘をいう事もあるけれど我が子が笑顔で目の前にいる事が当たり前だと思っていた

そんな当たり前の事が さっきまではもう叶わないのかもしれないと思った瞬間気が狂いそうになった

本当によかった

もうあんな思いはしたくない
「ままぁ今日病院にお泊りだよねっ!?」

無邪気に喜ぶ巧を抱きしめる

「よかった・・・」

でも油断はできない
明日にならないとアレルギーの原因はわからない

また発作が起こったら・・
いや不安になったらダメだ
私が強くならなくては!

とりあえず明日・・

明日になれば・・・!

No.26 11/04/07 02:01
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

翌日
検査結果を聞くために入った診察室には昨日と違う医者がいた

「鈴木巧君かな?」
医者はニッコリと笑顔をみせる

「あの?昨日の先生は?」
「あぁ・・山本先生は今日お休みで・・」
私の問い掛けに医者は歯切れが悪い

「?」

少し不安を覚えながら
医者と言葉を交わす

「検査結果ですが」
「はい」
「アレルギーはありませんでした」

「・・・?!」

医者の言葉に一瞬耳を疑う
「ないというか・・」

医者は言葉を続ける

「全くないというわけではないですがどれも許容範囲のレベルで・・発作が起きるレベルのものは見つからないんです ただ」

「ただ?」

「巧君は異常に免疫力というか抗体が・・強いと言うか・・・昨日の発作はアレルギーに反応したわけではなくナニカに激しく反応したと思います」

ナニカって何?
そのナニカが何なのか知りたいんだけど

「ナニカって何なんですか?」

「考えられる物としてはウイルスなどだと思います」

「ウイルス・・」

No.27 11/04/07 23:11
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

「ウイルス?それはインフルエンザとかそういう?」

私の問い掛けに医者は困った顔をする

「世の中にあるウイルスは多数にあります 全て解明しているわけではないので未知の物なのかそうでないかは病理検査をしてみない事にはなんとも・・」

なんだ?

何を言っているんだ?

この医者は


未知のウイルス?

なにそれ?

No.28 11/04/07 23:26
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

「なんでそんな・・・」

いいようのない不安が私の中に漂いはじめる

「とにかく病理検査をしますので・・お母さんよろしいですか?」

私が頷くと医者は巧にニッコリと笑いかけた

「お注射したいんだけど巧君頑張れるかな?」

「うん!」

巧は元気よく返事をする

巧の服の袖をまくりあげ医者は巧の腕を消毒し注射針を刺す

「偉いね!」

我慢している巧を褒めた時だった

注射針が微かに震え出した
「?」

私が先生の顔を見上げると先生の顔がおかしい

「先生?」

「ごっ・・ごがっ!」

医者はいきなりうめき声をあげ椅子から転げ落ち苦しみだした

「先生!!」

看護師が医者に駆け寄る

私は巧を引き寄せる

医者は直も苦しんでいる

No.29 11/04/08 00:21
さよ ( 30代 ♀ tMn9h )

主さんすみません。
実話なんですか?すごく気になります。


更新待ってます。

No.30 11/04/08 20:24
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

>> 29 お返事遅くなりすいません
実話ではありません

実話ではないので話の展開が無理矢理な時がありますが
ご容赦下さい

読んで頂いてありがとうございます

No.31 11/04/10 00:07
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

「先生!」
看護師の悲痛な声

「せん・・ごふっ」

突然医者の体の上に看護師が倒れ込んだ

「!」

「がっ・・ごっ・・」

声にならない声を出しながら看護師は私に必死に手を伸ばしてきた

私は巧の手を引き診察室を飛び出した

「助けて!先生達が!」

通りかかった看護師に縋り付く

看護師が診察室に飛び込む
私は診察室のドアの前で巧を抱きしめ座り込んでしまった

看護師と医者の苦しむ顔が頭から離れない

No.32 11/04/10 23:24
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

巧を抱きしめたまま私はそこから動けない

診察室から悲鳴があがる

巧は何も言わずに私にしっかりとしがみついている


何故?

何故こんな・・

No.33 11/04/10 23:45
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

どれぐらいその場にいただろう

「鈴木仁美さん?」

ふいに声をかけられ顔を上げる

見知らぬ男が目の前に立っていた

「?」

私が頷くと男は私に立つように促した

「この子が巧君かな?」

巧が頷くと男は静かに語りだした

「お母さんには申し訳ないんですが」

「?」

「巧君をこちらでお預かり致します」

男はそういうと巧の腕に手をかけた

「!?」

何?

何言ってるの?!
私は巧に伸びた男の手を振り払った
「あなた・・だっ誰なんですか!?いきなり巧を預かるってなんなんですか?!」
「後でご説明します」

男はまたも手を伸ばし巧の腕を掴もうとする

「やめて下さい!だれか!」
私の叫び声を聞き付けてくれたのか人影が見えた
安堵したがそれは直ぐに恐怖に変わった

明らかに病院スタッフではない男二人が近寄ってきた
「?!」

男二人に私は押さえ付けられ巧は抵抗虚しく男に抱え上げられた

「巧!」

「まま!まま!」

巧の泣き叫ぶ声に私は必死に抵抗するが男達に押さえ付けられ身動きが取れない
「まま!まま!ままぁ!」

巧の叫び声が小さくなっていく

「巧!巧!」


その時いきなり右腕にナニカを刺されたような感覚

その瞬間私の意識が途切れた

No.34 11/04/14 00:03
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

誰かの声が頭の中から聞こえてくる

「・・・」
聞き取れない

「まま!」

「巧!」

私は叫びながら飛び起きた 「巧?」

辺りを見回す

四方を白い壁に囲まれた四畳半程の部屋

私以外に誰もいない

巧の声だと思ったのは幻聴だったのか

「巧・・」

何故私はこんなところにいるのか

巧は誰に連れて行かれたのか

何故こんな事になっているのか?

頭が混乱する

ベッドから立ち上がり部屋のドアに近寄る

ドアのぶに手をかけたが回らない

鍵がかかっているようだ

No.35 11/04/14 00:20
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

私は閉じ込められている


その事実に私は笑ってしまった

「ははっ」


なんで?

なんで?

私が何したの?


巧を連れさって私閉じ込めて

誰がなんのためにこんなことしてんの?

「なんでよ!」

叫びながらドアを力任せに何度も殴る

「なんなの?!」

「巧に会わせてよ!出して!」

叫び声が段々泣き声に変わる

「お願いだから・・」

ドアに縋り付くようにその場に座り込む

「巧・・・」

あの子は今どうしているだろうか

お腹空いてないかな
寒くないかな
私がいなくて寂しくて泣いてないだろうか
あの子は少し甘えん坊だから・・

考えながら涙がこぼれる

あの子が生まれた時
小さい手が私を握りしめた時 思ったのに
この子は私が守るって決めたのに ・・・

「ごめんね・・・巧・・・ごめんね・・・」

No.36 11/04/15 22:43
他人 ( 20代 ♀ k4w7nb )

子供と一緒に死にます。

No.37 11/04/15 22:52
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

>> 36 お返事ありがとうございます

それは貴方がお子さんを手にかけるって事ですよね

参考にさせて頂きます

ありがとうございました

No.38 11/04/15 23:18
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

どれぐらい泣いていたのだろう
ドアの向こうから靴音が聞こえてきた事に気づいた

私はドアに耳をつけ靴音に耳を澄ます

靴音がドアの前で止まった
私は咄嗟にドアから離れベッドの影に隠れた

鈍い音とともにドアが開く
誰かが部屋に入ってくる

靴音が私に近寄ってくる

私はベッドの影から立ち上がる

目の前には巧を連れさった男!

「!」

私は男につかみ掛かった

No.39 11/04/15 23:27
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

「落ち着いて!」

「お・・落ち着いて?」

男の言葉に怒りが込み上げる

「落ち着けるわけないでしょ!?巧・・巧は?」

男の衿元を揺さぶる

「きちんと説明しますから!」

男は私の手を振り払う

「ついて来て下さい」

男はそう言うと部屋を出た
私は男の言葉に従うしかない

怒りと不安に駆られながら私は男の後に続く

No.40 11/04/15 23:47
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

長い廊下を男の後に続いて歩く

男があるドアの前で立ち止まり映画でよくみる装置に男の手をかざした

ドアが左右に開く

「こちらへ」

男は少し振り向きながら私を誘導する

少し躊躇したがドアの向こうに見覚えのあるものが少しだけ見えた

「!」

巧の靴!

私は足早に駆け寄る

間違いない!巧の靴だ!
靴を握りしめ男に詰め寄る
「巧は?!」

男は無言で壁についたボタンを操作する

すると目の前の白い壁が左右に開きガラスの壁が現れた

そのガラスの壁の向こうにあるベッドに巧は寝かされていた

色んなチューブと色んな機械に繋がれている巧

「巧!」

私はガラスにしがみついた
「何があったの?!なんで巧は繋がれているの?向こうに・・巧の近くに行かせて!」

頭が混乱し言葉がうまく出てこない

「落ち着いて聞いて下さい」
男はゆっくりと話しはじめた

「巧君は」

「・・・」

「未知のウィルスに感染していて」

「・・・」

No.41 11/04/16 00:15
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

「検査の結果巧君に触れた人間が感染し発症していることがわかりました」

「・・!?」

「残念ながら貴方も感染されています」

男は続けた

「巧君がどこでウィルスに感染したかはわかりませんが巧君は何故か耐性があり巧君は発症しても風邪程度の症状しか変化はないみたいですが」

「何?・・何?」

「他の人間が感染した場合発症するのに要する時間は個人差はありますが発作を起こし死亡します」

「は・・?」

「巧君は・・つまり感染源なのです」

「ちょっと待ってよ!」

私は声をあげた

「あなた・・いきなりなにいってんの?」

フラフラする

「意味わかんないんだけど・・・ウィルス?感染?感染源?なにそれ?」

「理解しがたいのはわかりますが・・」

私は男の声を遮る

「巧は普通の子供です!いきなり感染源?ってなんなの?なんかの間違いだよ!ドラマじゃあるまいし・・現実にそんな事になるわけないでしょ?!」

「事実です」

私の言葉を男はピシャリと遮る

「嘘みたいですが真実なんです」

「だって!」

No.42 11/04/16 00:31
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

「林田医師 長井看護師 お義母さん 鈴原医師 佐久間看護師・・巧くんと接触した後不可解な発作を起こし死亡
遺体解剖の結果未知のウィルスが判明しました

巧君の血液からも少し変化したウィルスもみつかりました
事実なんです」

「血液検査はしました!鈴原先生はなんも問題ないって・・!」

「従来のウィルスなら一般の血液にも反応は出たでしょう ですが今回巧君から見つかったウィルスは世界で初めてなんです
感染経路もわかりませんし何もわかっていません
わかっていることは
巧君が感染源であり巧君と接触した生物は発症し死亡する という事だけです」

「そんな・・!」

「我々としても信じがたいですが・・先程巧君の血液を猿に与えてみました
猿は死にましたよ
五体とも・・ね」

No.43 11/04/16 00:42
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

「苦しむ間もなく」

男は吐き捨てる様に呟いた
「私も巧君に接触しました」
「!」

「私も感染していました・・・」

「・・・」

私は足の震えをとめる事が出来ずにいた

イマイチ理解出来ない
というか理解したくない

巧が・・感染源・・?

他人にふれただけで人を死なせてしまう?

そんな馬鹿な!

あの子はどこにでもいる普通の子だよ?

そんなウィルスになんて感染するわけないじゃない!
だって だって !

否定する言葉が頭の中をぐるぐる回る

私はガラスの向こうの巧に目を向けた

「巧・・」

その時だった

No.44 11/04/16 00:50
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

「ごぁ!」

男が苦しみだしたのだ

「いや・・いや・・嫌ぁ!」
私は叫びながら後ずさる

「がぁ・・!」

男は自分の喉元を両手で掻きむしる様にして倒れた

倒れた後も男は小刻みに揺れ続けそして静かになった
私はその光景から目を背ける事が出来ずにいた

「なんで・・どうして・・」

No.45 11/04/17 02:07
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

狂ってしまいたい

発狂できたならどんなに楽か

目の前で苦しみ倒れ死んでいく人間・・
原因はわが子・・・

「わぁぁぁ!」

頭を抱え叫び声をあげる

嘘・・嘘でしょ・・
こんなこと・・
ありえない!

No.46 11/04/17 02:28
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

私は頭を壁に何度も打ち付ける
壊れてしまいたい!

なんで?
なんで?
なんで!?

「たくみぃ・・」

壁に頭をぶつけたままその場に座り込む

「落ち着かれましたか」

いきなり頭の上から見知らぬ声が響いた

「・・・」

答える気力もなく私は無気力に声のしたほうを見る

誰もいない

辺りをゆっくり見渡すが私と男の死体だけだ

まさか!

生きてる?

私はおそる恐る恐る立ちあがり男の近くに近寄ろうとした

「その男は死んでますよ」

またしても声が聞こえた

No.47 11/04/17 02:43
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

「・・誰?」

私の問いに声が答えた

「素性は明かせませんがあなたと巧君を監視し処分を決めるものです」

「・・処分・!」

「巧君は未知のウィルスに感染していてそのウィルスがなんなのかどこに棲息しているものなのかもまったくわかっていません」

声は淡々と続ける

「致死率百パーセントと接触感染ということ以外何もわかっていないということは対処法ももちろんわかっていないということで」

「・・・」

「巧君は世界各国に対し十分過ぎるほど驚異になりえます」

声は一旦そこで止んだ

驚異・・・
世界各国・・・
何が言いたいの・・・

No.48 11/04/17 03:00
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

「もし巧君がテロ組織に連れ去られた場合最悪な結果を生み出す事はわかりますよね?」

テロ組織・・?!

「まずその様な事態を防ぐ事 そしてウィルスの解明 これ以上の感染を防ぐの三点を行わなければなりません」

「ちょっと・・ちょっと待って!」

「・・なんですか?」

「巧は・・本当に・・?」

「信じがたいかもしれないですが事実です 目の前に死体があるでしょう?」

私の問いに声は呆れた様に話し出す

「さて・・さっきの続きですが・・」

No.49 11/04/17 03:20
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

「ウィルスの解明の為と国内の安全とテロ対策によりあなた方親子はこの部屋で当分暮らしていただきますこの部屋は24時間監視されています
不自由かも知れませんが
ご理解下さい
壁のもう一つのボタンを押してください 巧君がいる部屋に通じるドアが開きます 巧君の部屋も監視されています どちらにいようと構いませんが 巧君を動かす事は許可しません
なにかご質問は?」

私は力無く首を横に振る

「では」

声が聞こえなくなる

私はフラフラとボタンがある壁に近寄りボタンを押した
するとガラスの壁が動き人が通れるぐらいの隙間ができた

その隙間を通り巧の側による

No.50 11/04/17 03:25
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

巧は眠っていた

寝顔もいつもと変わらない
私は巧の頬を撫でた

いつもと変わらない感触

頭も撫でた

なんら変わらない

いつもの巧・・

私は涙が止まらなかった

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